2018年3月12日月曜日

森友文書問題で「財務省解体」「財務大臣辞任」はやむなしか―【私の論評】Z解体の好機、ただしZが他省庁の植民化を排除するような方式で完璧に解体せよ(゚д゚)!


そして財務大臣の辞任も…




髙橋 洋一

なぜ金曜日午後に発表されたのか

例年、筆者は確定申告をしている。筆者はかつて税務署長を務めた経験があるので、この時期の税務署関係者の忙しさはわかっている(2月19日付け本コラムhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/54514参照)が、今年ばかりは怒りをもって確定申告した。

今週は確定申告の最終週であるので、税務署では1年のうち最も忙しい時期だ。そのタイミングで、佐川宣寿国税庁長官が辞任した。確定申告のこの時期に辞めた国税庁長官は初めてである。

国税庁長官のポストは、(国内系ポストでは)財務省内において事務次官の次のナンバー2である。主税局長や理財局長などの主計局の次のランクの局長がこのポストに就任することからもわかるだろう。

財務省ナンバー2の佐川氏が辞任したのは、どう考えてもただ事ではない。辞任の理由の一つとして、一連の森友問題に関する決裁文書が国会に提出された時の理財局長であったこともあげられていた。

辞任の第一報は、9日(金)の午後に流れた。その直前のやはり9日(金)の午後には、森友問題に対応していた近畿財務局職員が自殺したという報道があった。

金曜日の午後に報道発表を行う、というのは、役所にとっては大きな意味があることだ。たとえば金融機関の破綻処理が行われる場合などは、「金月処理」と呼ばれる処理が典型的となる。つまり、社会的に影響が大きい発表は、まず金曜日に行って、土日を挟んで、月曜から諸手続をする、というものだ。

(近畿財務局職員が亡くなったのは7日水曜日であり、今回の案件について書かれた遺書もあるといわれている。なんとも痛ましいことであり、ご冥福をお祈りしたい。)

この段階では、打開策として、決裁文書の原本を大阪地検から返してもらって、国会に提出するしか他にとるべき手段は財務省には残されていなかった。

筆者は本件について、先週5日(月)の本コラム<朝日新聞「森友新疑惑」事実なら財務省解体、誤りなら朝日解体危機か>(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54700)でも書いた。

ハッキリ言えば、このときの論考はいろいろな可能性について過不足なく場合分けして考えただけである。筆者は数学畑の出身で、確率計算は得意だ。確率計算は、過不足のない場合分けからスタートするのがセオリーだ。ただし、それぞれの場合分けはできても、どのくらいそれが起こるかという「確率」はわからなかった。

マスコミの報道では、しばしば「前提」や「条件」を書かないで結論だけを書く。筆者には、そのように結論だけを書く書き方にはかなり違和感がある。この点をマスコミの人に聞くと、「一般読者が結論だけを求めるから、そうなってしまう」というが、そもそも記事を執筆する記者の思考自体も「条件→結論」というロジカルシンキングができていないことが多い。

先週の筆者のコラムと、その後状況が変化した後に筆者が執筆・発言したことについて、ロジカルシンキングができない人からは「結論を変えている」と批判を受けたが、書いたものをもう一度読み返してもられば、一貫して「条件→結論」しか書いていないので、そうした批判は間違いであることがわかるだろう。

いずれにしても、各場合の確率がわからない状況は、9日(金)の午前中まで同じだった。例えば、別の媒体に筆者が書いた<決裁文書「書き換え」あり得るか 元財務官僚の筆者の見解>(https://www.j-cast.com/2018/03/08323108.html)では、朝日新聞には「書き換え」の証拠となる「ブツ」(決裁文書の画像など)を出すべきだ、財務省側には大阪地検に文書の「原本」を返してもらってそれを国会と国民に提示せよ、と言っている。それが、この問題を解決するためのベストな方策だったからだ。

ところが、9日(金)の午後に、近畿財務局職員の自殺が報じられ、さらに佐川氏辞任について各社が報道。その後、財務省は決裁文書の書き換えを認め、12日月曜日に国会に報告するという各社の報道があった。ここまでくると、今回の問題の火付け役となった朝日新聞の3月2日の「文書書き換え」に関する報道は、概ね事実であろう。

ところで、財務省が国会になにか重大なことを報告する際には、事前に「要路」を押さえるのが慣習となっている。つまり、政府や自民党幹部のところに赴いて、事前に説明をするわけだ。この説明を受けた政治家は、それを親しいマスコミ記者などに漏らす(というか、マスコミ記者がそれを待っている)。そして、そのことを確認したのちすぐに報道する。

というわけなので、今回も12日の月曜日を待たずして、財務省がなにを国会で報告するかがおおよそわかるのだ。

12日、財務省は自公両党、参院予算、衆院財務金融両委員会の理事懇談会でもろもろの説明を行うのだろう。そのとき、財務省や近畿財務局での処分者も出てくるかもしれない。

財務省はどうなるのか

財務省の側でできるのは、形式的な職員の処分までだ。だが、佐川氏、近畿財務局長、近畿財務担当者らは、一般市民から様々な疑惑で刑事告発され、かつそれが受理されている状態だ。今回の一件が「訂正」だったのか「改ざん」だったのかはまだ分からないが、もし公文書偽造などの刑法に抵触するような場合には、大阪地検によって彼らが起訴される可能性もある。身柄確保(自殺防止)で逮捕ということもありえる。

問題なのは、財務省本省から近畿財務局に対して書き換えの指示があったかどうかだ。それがあれば、指示した人にとどまらず、それこそ「組織的な関与」となって、財務省解体までにつながる重大事件になるだろう(8日の夕刊フジ http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180309/soc1803090003-n1.html?ownedref=articleindex_not%20set_newsList 参照)。

この、指示があったかどうかについては、マスコミの間でも見解がばらけている(23日午後11時現在)。毎日新聞では、「財務省書き換え、佐川氏が指示 12日国会報告」(https://mainichi.jp/articles/20180311/k00/00m/010/141000c)と、指示があったことを明示しているが、産経新聞は「文書書き換え 「改竄ではなく訂正」 自民幹部「問題なし」冷静」(http://www.sankei.com/economy/news/180311/ecn1803110006-n1.html)と違ったニュアンスの報道をしている。

これは、明日以降判明するだろう。ここでは「毎日新聞の報道が正しいとすれば」という前提で、指示があった場合財務省はどうなるか、どうすべきかを考えたい。

4つの提案

こうした場合、一つの参考になるのが「前例」である。もちろん、国民の怒りのレベル次第では前例が参考にならない場合もあるわけだが、前例を知っておいて損はない。

財務省の場合、なんといっても20年前(1998年)の大蔵省スキャンダル事件が「前例」となるだろう。筆者はその当時、大蔵省内で管理職になったばかりだったので、よく覚えている。地検職員が大蔵省に入ってきたのだが、意外にも、というべきか、大蔵省の職員は地検が来ることを当日になって初めて知る。

地検職員が省庁などに入るときには各テレビ局が来て、その姿を放映するのがお決まりだが、大蔵省の職員は、テレビ局の車が来ているのを見て、初めて「今日は強制調査だ」と知るわけだ。当時は大蔵省4階にある金融部局に東京地検の強制調査が入ったが、それに伴い4階への通路の防火扉が閉じられ、4階への出入りが禁止された。

その事件で逮捕されたのは、大蔵省5名、日銀1名。自殺者は3名にのぼった。これらの人はみな筆者の知り合いだったので、本当に切なかった。大蔵省内での処分も多数に上った。その後の省内出世をみると、この時の処分はあまり関係がないようだったが(ただし、大蔵大臣、日銀総裁、大蔵事務次官らは辞任した)。

この事件が大蔵省に与えた影響は大きい。金融行政への信頼を失わせたということで、銀行局、証券局が大蔵省から分離され、これらは後に金融庁になった。そして、それまでは「法律」ではなかった公務員倫理を立法化し、1999年には公務員倫理法ができた。社会の仕組みが変わったわけだ。

さて、もし毎日新聞がいうように財務省による「書き換え」の指示があったのならば、やはり社会の仕組みが変わるほどの変化が起きるだろう。筆者は「財務大臣の辞任」「消費増税の凍結」「財務省の解体」「公文書管理法の改正」が必要だと思う。それを順次説明しよう。

まず、財務大臣の辞任についてだが、さすがに財務大臣は佐川氏をかばい過ぎた。このままいくと、佐川氏の起訴は免れないだろう(ひょっとしたら逮捕もありうる)。佐川氏は辞任しているとはいえ、財務省幹部の逮捕となれば、1948年の昭電疑獄における福田赳夫大蔵省主計局長の逮捕以来だ(裁判では無罪)。

1998年の大蔵省スキャンダルでは、課長補佐のキャリア官僚が逮捕され、執行猶予付きの有罪になったが、佐川氏は局長、国税庁長官とトップクラスの官僚であるので、財務省の信頼失墜という点では、かなり大きいといわざるを得ない。そうなれば財務大臣も責任を取らざるを得ないだろう。

続いて「消費増税凍結」だが、財務省が組織ぐるみで決裁文書の書き換えという「禁じ手」をやってしまったのであれば、もう財務省は役所としての信頼を完全に失うだろう。

筆者はこれまで何度も指摘してきたが、もともと財務省は、日本の財政事情について国民に誠実な説明をしてこなかった。本コラムでも、財政再建の必要性について財務省は過剰な説明をしてきたと再三書いてきた。財務省が主張してきた財政再建の必要性にも疑義があると考えるべきなので、「財政再建」を前提とした消費増税については、凍結が必要と筆者は考える。

すでに信用を失っているのだから

三つ目に、現職の国税庁長官が仮に逮捕、起訴されるということになれば「いまのように、財務省の下部機関として国税庁を置いておくのはいかがなものか」という議論になってもいいだろう。

国税庁は、国家行政組織法第3条に基づく機関として財務省に置かれている。ただし、この組織のトップは歴代財務省キャリアであり、(前述のとおり)財務省の国内ナンバー2のポストになっている。国税庁でも国税のエキスパートを独自に採用しているが、トップはおろか、国税庁の主要部長にすらなれないのが現実だ。

どうして税務執行に詳しいといいがたい財務省キャリアが国税庁のトップや主要部長になるのかといえば、国税庁が財務省の「植民地」と化しているからだ。

民主党は政権を奪取した09年の衆院選で、政権公約として「歳入庁の創設」を掲げていた。筆者はこれに期待していた。歳入庁とは、税と社会保険の徴収を一体化させるための組織であり、世界のほとんどの国が歳入庁のような組織を有している。

民主党政権はいつの間にか歳入庁を公約から下ろしてしまったのだが、今回の事件を契機に、自公政権が財務省から国税庁を分離して歳入庁を作れば、災い転じて…となるだろう。

最後に、公文書管理法の改正についてだが、まず、いまの公文書管理法は、本コラム(2017年11月27日付け「森友問題で「的外れな追及」続けるマスコミには書けない、本当の結論」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53622)でも書いたように、かなりザル法である。

特に横断的な文書管理がまったくできていない。たとえば今回の件を機に、過去の文書の改ざんができないように、ブロックチェーンを使った省庁横断的な電子公文書管理の仕組みをつくる、などを考えるべきだ。

これについては興味深い国会審議もあった。3月9日の参議院予算委員会において、浅田均参院議員(維新)から「ブロックチェーンを公文書管理に取り入れるべき」との質問があった。これにはさすがの麻生財務大臣も前向きに答えざるを得なかった。

いずれにしても、12日月曜日以降の国会で財務省がどんな説明をするのか、だ。とにかく情報公開と事実解明を優先して、国民にスッキリとわかるようにしてもらいたい。が、すでに信用を失っている財務省の報告を国会は鵜呑みにせず、大阪地検にあるとされる決裁文書の原本現物を国民に明らかにしてもらうなどの追及を行うべきだろう。

原本現物があれば、のちに提出されたものが改ざんされたものかそうでないかは、1日もあれば判定可能である。捜査に支障をきたすからというなら、国会の非公開の理事会でそれを判定して、翌日大阪地検に返せばいいだけの話である。

12日から「大きな転換点」を迎えるのか。それぞれの行動に要注目である。

【私の論評】Z解体の好機、ただしZが他省庁の植民化を排除するような方式で完璧に解体せよ(゚д゚)!

佐川宣寿氏に関しては、かなり胡散臭い人物であることはこのブログに過去に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「森友」問題で露呈した 「官僚の裁量で文書管理」の罠―【私の論評】最初からバレバレの財務省キャリア官僚の嘘八百はこれだけではない(゚д゚)!
この記事は昨年の4月13日のものです。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、佐川氏の国会での答弁をとりあげました。

財務省の佐川宣寿・理財局長(当時)
財務省の佐川宣寿・理財局長は、4月3日の衆院決算行政監視委員会で、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」と答弁した。
IT関係の方なら、この佐川氏の発言には、かなりの胡散臭さを感じたと思います。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のような要旨を述べました。
現在のパソコンだと、かなり容量が大きくデスクトップ型ならテラバイト級の記憶装置を持つものも珍しくはないため、パソコン上のデータを自動的に消去して、復元できないようにする必要性など全くないこと。  
仮に消去したとしても、データはかなりの確率で復元できるはずであること。文書でもメールでも、たとえ消去したとしても、ほとんどの場合復元できること。
以上の観点から、同感が手見ても佐川氏の発言は異常としか思えませんでした。本日の財務省の発表をみているとやはりこの考えは正しかったと考えざるを得ません。

そうして、疑問なのは、なぜ政府、野党、マスコミがこれを徹底的に追求しなかったのかということです。特に野党や、マスコミは徹底的に追求すべきでした。もし徹底していたら、本日の財務省による本日の報告は、もっと早い時期に行われていたかもしれません。

ただし、野党やマスコミにとっては、森友問題は倒閣あるいは、安倍政権になるべく悪いイメージを植え付けることが主目的ですから、ここで財務省や佐川氏を追求しても、本題からそれるし、さらに新聞などは、10%増税の際には、財務省から軽減税率を適用してもらいたいなどの意向があり、あまり財務省をつつかなかったのかもしれません。

政府も、もっと厳しく追求すべきでした。そうすれば、少なくとも佐川氏を国税庁長官にする人事などなかったかもしれません。ただし、あたかも政治勢力であるかのように振る舞う財務省といたずらに揉め事を起こしたくないとか、派閥間の力学などで、佐川氏を追求するのはやめたのかもしれません。


いずれにせよ、野党・マスコミ、政府も佐川氏や財務省を追求しなかったのは、明らかに手違いだったと思います。

政府、野党、マスコミが徹底的に財務省と佐川氏をあの頃に徹底的に叩きまくっていれば、財務省解体はもっと早い時期に議論されていたかもしれません。政府にしても、内閣人事局という部署が発足していますから、佐川氏など他省庁に片道切符で左遷するなどのことも出来たかもしれません。

ブログ冒頭の記事では、高橋氏は「財務省本省から近畿財務局に対して書き換えの指示があったかどうかだ。それがあれば、指示した人にとどまらず、それこそ「組織的な関与」となって、財務省解体までにつながる重大事件になる」としています。

私は、これには本当に大賛成です。たとえ「組織的な関与」がなかったにしても、財務省には解体されても致し方ない事由があります。それについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
財務省の補正予算編成が日本のためにならない理由―【私の論評】日本経済復活を阻むボトルネックに成り果てた財務省はこの世から消せ(゚д゚)!

この記事では、財務省が日本経済復活を阻むボトルネックに成り果てていることを掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
日本経済の最大のボトルネック(制約条件)は、ご存じの通り「クニノシャッキンガー」という嘘です。私ははこの「クニノシャッキンガー」という嘘、プロパガンダ・レトリックこそが、日本経済の復活の最大のボトル・ネックであると確信しています。 
酷い人になると、国の借金どころか、「日本の借金は1000兆円!」と、あたかも「日本国」が外国から多額の借金をしており、財政破綻が迫っているかのごときレトリックを使います。このような主張をする人々は、世界最大の対外純資産国、すなわち「世界一のお金持ち国家」であることを知っているのでしょうか。 
テレビ等で「国の借金」「日本の借金」という用語を安易に使う人がいますが、これは明らかな間違いです。本当は「政府の負債」です。そもそも、先に述べたように、日本は外国からお金を借りているわけではなく、世界で一番お金を外国に貸している国だからです。 
政府の負債、と聞くと、皆さんは「政府の借り入れ」と認識します。それで正しいわけですが、「日本の借金!」「国の借金!」などという用語を使われると、皆さんはあたかも「自分たちの借金」であるかのごとく感じてしまい、財務省の緊縮財政プロパガンダに洗脳されてしまうわけです。
そうして、なぜ財務省がこのようなことをするかといえば、予算の配賦権を利用して、他省庁に睨みをきかせ、さらに政府関連機関や外郭団体などに金を貸し付けたりして、財務省の高級官僚の天下り先を開拓し、さらに高級官僚が退官した後の天下り先での超豪華なハッピーライフを満喫するためです。大雑把にいえば、これが目的です。

財務省は、そのためには、増税で国民が塗炭の苦しみを味わうことになってもお構いなしです。高級官僚さえ良ければ、それで良いのです。

民主党政権のときには、様々な政策立案などの実務を官僚から奪いとって政治主導を実現しようとしましたが、欠局事業仕分けなど財務省に仕切られ、野田政権に至っては、財務省の助けがないと政権運営もおぼつかないなどの醜態を晒しました。

このようなことを考えると、私自身は、今回の書き換えに「組織的な関与」があろうが、なかろうが何としてでも必ず財務省を解体すべきと思います。

そうして、財務省解体ということになれば、一つ気をつけなければならないことがあります。

ブログ冒頭の記事にもあるように、国税庁が財務省の「植民地」と化しているように、財務省は、単純に分割すると10年くらいかけて他省庁の植民地を拡大する手段につかうので、それを防ぐために、まずは公的金融部門の廃止、次に財務省官僚が目下においている官庁の下部組織に財務省を分割の上で編入するなどの方式にすべきです。

要するに、従来の財務省組は、他官庁の下部組織に分割されて編入されるため、どうあがいても、所属官庁の次官にはなれそうもないくらいの地位に落とすのです。

これにより、少なくともすべての官庁の高級官僚は財務官僚のDNAとは無縁となります。このようにして、はじめて財務省を解体することができます。

今回は、財務省解体ということにでもなれば一時的に政権側にかなり不利ですが、その後は10%増税の凍結はかなりやりやすくなりますし、それに最近は緊縮気味だった財政を、積極財政にもっていくこともやりやすくなります。

いや、それどころか、最早誰の目から見ても明らかに大失敗だった8%の消費増税をやめて、5%に減税するなどということもかなりやりやすくなるはでず。ボトルネックだった財務省がこの世から消えれば、まともな起動的財政政策が実施しやすくなります。

これを実施しつつ、さらなる量的緩和を実施すれば、短期間で日本経済は上向くことになります。そうなると、国民からの支持率もかなり上がることになります。政府はなんとしても財務省解体に挑むべきです。

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2018年3月11日日曜日

【中国全人代】国家主席の任期撤廃、改憲案を可決 中国政治体制の分岐点―【私の論評】共産党よりも下の位置づけの中国憲法の実体を知らなければ現状を見誤る(゚д゚)!

【中国全人代】国家主席の任期撤廃、改憲案を可決 中国政治体制の分岐点

全人代で憲法改正案が採択され、拍手する
習近平国家主席=11日、北京の人民大会堂

 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は11日、国家主席の任期を2期10年までに制限した規定を撤廃する憲法改正案を可決した。賛成2958票に対して反対は2票、棄権3票で賛成票が99%を上回った。習近平国家主席が兼務する中国共産党総書記と中央軍事委員会主席に明文化された任期制限はなく、最高指導者としての習氏の3期目続投が制度上可能となった。

 党内や国内世論の一部では、習氏の長期政権化が集団指導体制の崩壊や個人独裁、指導者終身制につながるとの懸念も高まっている。だが、習指導部が反腐敗闘争で政敵の打倒を進めた結果、強引ともいえる権力集中を表立って阻止できる党内勢力は存在しないのが現状だ。中国の政治体制は大きな分岐点を迎える。

 1982年に制定された現行憲法の改正は14年ぶり5回目で、今回は習氏と党の権威強化が主眼だ。今世紀中頃までに、「社会主義現代化強国」を実現することをうたう「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」が、毛沢東思想やトウ小平理論などと並ぶ「中国各民族人民」の指導思想として位置づけられた。中国で現役指導者の理念が憲法に明記されるのは毛沢東以来。

 また、総則第1条の「社会主義制度は中華人民共和国の根本的な制度だ」との文言に続いて「中国共産党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴だ」と追加し、共産党統治の正統性が強調された。

 このほか反腐敗闘争の制度化に向け、党員以外の公務員らも摘発対象とする国家機関「監察委員会」の設立を憲法に明記。行政機関の干渉を受けない独立した監察権の行使が認められ、国務院(政府)や最高人民法院(最高裁)、最高人民検察院(最高検)などと同格の機関として位置づけられた。


【用語解説】中華人民共和国憲法

 1954年9月に開かれた初の全国人民代表大会で制定され、その後3度の大幅改正が行われた。現行憲法は82年に制定されたもので「82憲法」とも呼ばれ、序文と「総則」「公民の基本的権利と義務」「国家機構」「国旗、国歌、国章、首都」の4章で構成される。2004年までに計4回の小規模改正を行い、今回の改正では「国家機構」の章に「監察委員会」の新節が加わり全143条となる。総則の第1条では中国について「労働者階級が指導」する「人民民主主義独裁の社会主義国家」だと規定している。

【私の論評】共産党よりも下の位置づけの中国憲法の実体を知らなければ現状を見誤る(゚д゚)!

憲法改正案に賛成2958票に対して反対は2票、棄権3票とされていますが、この意味するところは何なのでしょうか。これには、2つの見方があると思います。

まずは、習近平が権力を完璧に掌握できていないという見方です。もし、完璧に掌握できていたとすれば、反対や危険票は出ないはずです。

もう一つの見方は、習近平が憲法改正の投票がまともであることを印象づけるため、わざと反対2、棄権3が出るように仕組んだという見方です。

私自身は、この2つの見方以外にないと思います。そうして、いずれの場合であっても、習近平は未だ全権力を掌握していないとみるべきです。

なぜなら、最初の見方では、そもそも反対票がでているということは、習近平が権力を掌握できていないということです。

二番目の見方の場合では、憲法改正の投票がまとめであることを印象づける必要性があるということです。それは誰に対してかといえば、まずは共産党内部において、まともな投票が行われたことをアピールするという側面と、中国人民に対して、習近平はまともな手段を用いて、国家主席の任期撤廃をしたということを印象づけるためです。

いずれの場合でも、やはり習近平が全権力を掌握していない可能性が十分にあります。

英経済誌 エコノミストの表紙に掲載された皇帝になった習近平

それと、上の記事では、中華人民共和国憲法の位置づけが説明されておらず、この記事を読んだ多くの人は、中国の憲法も、日本や他の憲法も同じようなものであって、 国家の統治権・統治作用に関する根本原則を定める基礎法であり、他の法律や命令で変更することのできない国の最高法規であると無条件で思い込んでしまうかもしれません。

しかし、これは完璧な間違いです。なぜなら、中国には憲法の上に君臨する存在があるからです。言わずと知れた、中国共産党です。中国の憲法前文には"中国共産党の指導"という文言があります。該当部分を以下に引用します。
中国の各民族人民は、引き続き中国共産党の指導の下に、マルクス・レーニン主義、毛澤東思想、鄧小平理論及び"三つの代表"の重要思想に導かれて、人民民主独裁を堅持し、社会主義の道を堅持し、改革開放を堅持し、社会主義の各種制度を絶えず完備し、社会主義市場経済を発展させ、社会主義的民主主義を発展させ、社会主義的法制度を健全化し、自力更正及び刻苦奮闘につとめて、着実に工業、農業、国防及び科学技術の現代化を実現し、物質文明、政治文明および精神文明の調和のとれた発展を推進して、我が国を富強、民主的、かつ、文明的な社会主義国家として建設する。


"中国の各民族人民は、引き続き中国共産党の指導の下に"ですから、中国の憲法や人権は、ハナから"制限付き憲法・人権"にしかすぎないわけです。

習近平が憲法を変えたということで、習近平がとうとう中国皇帝になり、なにもかも思い通りにできると考える人がいるかもしれません。しかし、これは、表面上はそうかもしれませんが、実体は違う可能性が十分にあります。

そもそも、憲法の上の存在が共産党であり、習近平が現状では共産党の最高権力者なのですから、憲法に違えたことを習近平はいつでもできるし、憲法改正も他国と比較すれば、容易にできるということです。

そもそも、中国では憲法の上に共産党があるということで、元々民主的でもないし、政治と経済の分離ができていないので、すべての中国経済は常時中国政府のコントロール下にあり、実際政府が経済のすべての点に関して、規制したり管理することができる体制にあります。これは、共産主義ではなく国家資本主義と呼ぶべき体制です。さらに、法治国家化もされていないのです。

最近まで、憲法改正がなかったのは、中国にあるいくつかの政治派閥の力がある程度均衡していたからに過ぎず、中国の憲法が他国憲法のように有効に機能していたというわけではありません。

これは、派閥のヘッドが他の派閥のさらに上に出ることができなかったか、出ようとしなかったからに過ぎないのです。それは、出れば他派閥に潰されるからです。

習近平はここ数十年ではじめて、他の派閥のさらに上に出て、全権力を掌握しようとしているわけです。

しかし、そのようなことがおいそれと成功しそうもないのは、はっきりしています。まずは、江沢民、胡錦濤の元前総書記には鄧小平に指名されたとの統治の正当性がありました。しかし習近平以後の党指導者にはそれがありません。

さらに、毛沢東に関しては、大虐殺をしたという悪い側面もありますが、建国の最大功労者であったことには異論はないと思います。鄧小平は、天安門事件では、軍隊の出撃を命令し大虐殺をしたという悪い側面もありますが、毛沢東の死後、文化大革命によって荒廃した中国に四つの経済特区を指定することで改革開放を実施し、その結果、著しい経済成長が起こり、現在の中国を基礎を築きました。

建国の父である毛沢東(左)と現代中国経済の基礎を築いた鄧小平(右)

しかし、習近平にはそのような成果は何もありません。一帯一路を実行しようとしていますが、これは今のところ構想に過ぎず、さらにこの構想はこのブログでも何度か掲載させていただたように、とても成功の見込みはありません。ということは、習近平には毛沢東や鄧小平なみの成果をあげることは不可能であるということです。

さらに、習近平が、如何に腐敗と戦っても、腐敗は古来中国の伝統であり、撲滅することは不可能です。それどころか、習近平自身がファミリー・ビジネスなどで、腐敗しています。腐敗しているものが、腐敗撲滅するなど、撲滅される側にとっては理不尽以外の何ものでもありません。日本を含めた先進国の感覚では、中国の幹部で全く腐敗していないものなどいません。それを考えると、この先の10年以上も習近平独裁政権が続いていることは想像しにくいです。

いずれかの時点で、習近平体制が崩れ、その後中国共産党独裁体制も崩れるであろうと、見なすのがまともだと思います。

私は、今回の習近平の独裁体制は、現在の中国政治体制の崩壊の序曲であると見なすべきだと思います。これは、中国憲法が共産党よりも下という位置づけを理解しないと、到底理解できないと思います。

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2018年3月10日土曜日

森友文書の書き換え認める 財務省、12日に国会報告―【私の論評】この問題で「内閣総辞職」と言うは「悪いアベをのさばらしておく野党が悪いから、野党幹部は全員辞職すべき」と言うに等しい(゚д゚)!

森友文書の書き換え認める 財務省、12日に国会報告

学校法人「森友学園」が小学校建設を目指していた大阪府豊中市の国有地
 財務省は10日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めた。当初の記述を削除した例が複数判明したとの調査結果をまとめ、12日に国会に報告する。関与した近畿財務局の担当職員や本省幹部らの懲戒処分を検討する。野党は「政権の隠蔽体質」への批判を強める構えで、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相の政治責任を問う声が与党で高まる可能性もある。

 決裁文書の国会提出時に担当局長だった佐川宣寿国税庁長官が9日付で辞任するなど混乱が拡大。財務省自らが書き換えの事実を認めることで政権への打撃は大きく、森友問題は重大局面を迎えた。

【私の論評】この問題で「内閣総辞職」と言うは「悪いアベをのさばらしておく野党が悪いから、野党幹部は全員辞職すべき」と言うに等しい(゚д゚)!

財務省による書き換え疑惑に関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞「森友新疑惑」事実なら財務省解体、誤りなら朝日が解体危機か―【私の論評】いずれにしても安倍政権と国民にとっては良いことになる(゚д゚)!
書き換え問題について報じたのは、3月2日の朝日新聞 写真はブログ管理人挿入
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、NHKの日曜討論で、野党の一部から「(書き換えが)事実であれば安倍内閣は総辞職すべき」との意見も出たということを受けて、以下のような結論を掲載しました。
相変わらず、無茶苦茶な論理です。極端なことをいうと、犯罪者が一人出たら、その責任は警視庁にあるから、警視庁にあるから、警視総監をはじめ、警視庁全体が辞任せよと言っているのと何も変わりありません。 
そこまでいかなくても、企業組織で、財務部の部員が何か間違いをしでかしたら、取締役会で、取締役がその問題をとりあげ、社長と財務部担当の役員と財務部長は無条件で辞めよと言っているようなものです。 
無論、これらの人々が、大きな不正に直接関わっているというのなら話は別になるのでしょうが、無条件で辞めろなどと、取締役あたりが、発言すれば、それこそその取締役が解任されるかもしれません。 
それに、本当に安倍内閣が辞職したとすれば、また選挙ということになります。そうなると野党はボロ負けすることになります。最初は、一見野党が有利なようにみえても、選挙期間中に事実が有権者に理解されるようになり、それこそ、希望の党があっと言う間に勢いを失ったような状態になることでしょう。 
野党は、昨年の「もりとも」問題追求から一歩も進歩していないようです。 
それにしても、ブログ冒頭の記事の高橋氏が主張するように、財務省解体か朝日新聞の解体かということになれば、どちらに転んでも、安倍政権は無論のこと、国民にとっても良いことになります。
財務省が解体になれば、10%増税は確実に見送られることになると思います。これによって、市場が好感し、株価もあがり、個人消費も伸びることが期待できます。 
朝日新聞が、解体ということになれば、朝日新聞が、朝鮮人女性を「強制連行」し、「従軍慰安婦」にしたとの吉田清治の虚偽証言報道を2014年まで30年以上にわたって放置、訂正することがなかったことなどに象徴される、朝日のフェイク暴動に煽られるような人が減ることになります。 
本当は、両方とも(ついでにNHKも)解体されるのが、一番なのですが、諺に「二兎を追う者は一兎をも得ず」というのがある通りで、今回はどちらか一方が解体されることを期待したいものです。 
これから、どうなっていくのか、まずは6日が楽しみです。
そうして、6日の財務省の答弁では何も明らかにはならなかったわけですが、今回、財務省が学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めたそうですから、財務省解体の危機もでてきたということです。

ただし、安倍内閣は総辞職すべきであるなどという意見は筋違いです。なぜそのようなことがいえるかといえば、そもそも大本の不手際は近畿財務局によるものだからです。これについては、いわゆる「森友問題」が表面化した当時からこのブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【共産党研究】民進党と明暗分けた森友問題、支持率わずか1・7%差に 選挙に結びつかない疑惑、スキャンダル追及―【私の論評】頭の悪い新聞と民進党はなぜ無間地獄に陥った?
学校法人「森友学園」の小学校建設用地。校舎を残して売却を検討中だ=大阪府豊中市
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にいわゆる森友問題の本質の部分を掲載します。
森友問題の本質を整理すると、「①森友の前の豊中市への売却時にゴミ問題発覚した、②それを言わずに近畿財務局が森友と交渉、③その結果近畿財務局の値引き」というところです。 
以下は、憶測ですが、②の時点で、ゴミが埋められていることを知った篭池氏は烈火のごとく怒って近畿財務局と交渉したことでしょう。これは完璧に近畿財務局の事務ミスであり、その後篭池氏に対しては頭の上がらない状態になったはずです。これで、篭池氏の一見不可解な行動は、大方説明がつきます。 
ところが、朝日新聞は③近畿財務局の値引きと④昭恵夫人の関与というストーリーを報道するのみで、①と②はマスコミなら知っているはずなのに朝日新聞は報道しません。朝日はなぜ書かないのでしょうか。このことからも朝日新聞は、フェイクニュース機関です。 
これは、調べれば誰でも理解できることであるはずです。このような情報を知っていれば、そもそも森友問題は昭恵夫人や政治家が関与したということもなく、単なる近畿財務局の事務ミスであり、これを追求しても他には何も出てこないことなどすぐに理解できたことでしょう。 
上記①②③は明らかなため、大方のメディアはある時点から、森友学園の報道はやめました。それ変わって、現在は緊迫する北朝鮮状況の報道などが目立ちます。 
これは当然といえば、当然です。民進党と共産党などの野党は、この問題の火付け役となりましたが、国会で問題にするくらいなら、上記に掲載した①、②、③くらいは予め良く調べてからにすべきだったでしょう。 
そのため、全く決め手になるような内容は結局何も出てこず、まるで都市伝説のような展開になってしまいました。
私としては、ゴミについて近畿財務局のいずれかの職員が、錯誤したか勘違いしてゴミが埋まっていることをいわずに篭池氏と交渉したのでしょう。これが森友問題の本質であると考えられます。

これが、本質であるか否かはあくまで憶測に過ぎないですが、前後関係を見ていればそれ以外には考えられません。このあたりのことは、大阪地検特捜部の今後の捜査で明らかになるはずです。

近畿財務局

この本質部分は、ある程度明白だったにもかかわらず、マスコミは近畿財務局の値引きと、昭恵夫人の関与というストーリーを報道するのみで、最近になってようやっと朝日新聞が近畿財務局に迫ったということです。それにしても、あまり良い迫り方ではないです。本来であれば、もっとはやくに近畿財務局に切り込むべきだったでしょう。

しかし、マスコミや野党は、それでは最初から近畿財務局の問題となってしまい、倒閣運動に結びつけたり、与党に対する悪いイメージをつけるという彼らの本質からみれば外れてしまうということで、近畿財務局への切り込みは意図的にか行ってこなかっのでしょう。

ここで公文書の「書き換え」そのものが、近畿財務局内の問題であれば、近畿財務局の局長や幹部が処分されることになるでしょう。財務省もある程度の監督責任くらいは問われるかもしれませんが、厳しい処分は考えられません。

もし、公文書の「書き換え」そのものに財務省本省の人間が関わって入れば、これは財務省自体も幹部の処分が行われることになるでしょう。しかし、これもどの程度になるかは、今後の大阪地検などの捜査や政府等の調査次第であると考えられます。

財務省の決裁文書「書き換え」疑惑の“前例”といえる違法行為が、民主党政権の2010年に発覚していました。厚労省東北厚生局の職員が、情報公開法に基づき開示した文書を改竄(かいざん)し、減給の懲戒処分を受けたのです。当時、菅直人内閣の長妻昭厚労相は記者会見で謝罪しましたが、辞任はしませんでした。

改竄されたのは、東北厚生局が、福島県内の柔道整復師の養成専門学校に対して行った実地調査結果に関する文書。

07年に開示請求を受けて公開する際、職員は文書から《未承認のカリキュラムで行っていたため、学則上での授業時間の不足が生じることになる》などと指摘した部分を削除し、一部の行政文書を別の文書に差し替えたとされています。

10年に再び、同じ文書の開示請求があり、請求者が07年の文書にない記述に気付いたといいます。

厚労大臣だった頃の長妻昭氏
東北厚生局の調査では、この職員以外の関与は認められませんでした。発覚時、独立行政法人に移っていた職員は「再三、照会や苦情を受けてノイローゼ気味だった。余計な情報を出さない方がいいと思った」などと説明し、減給1カ月(10分の1)の処分を受けました。

長妻氏は10年6月、処分時の会見で「民主主義の根幹である情報公開制度であってはならないことが起き、おわびする。厳重に再発防止に努める」と述べました。引責辞任はしませんでした。

今回の「書き換え」に関しては、実体がどの程度のものだったのか、関与したのはどの範囲だったのかまで明らかにして、処分を決めることになるでしょう。それにしても、たとえ財務省が関与していていとしても、財務省が厳しい処分を受けることはあっても、内閣総辞職ということはあり得ないです。

もし、そんなことが許されたとすれば、官僚はいつでも公文書改竄で内閣総辞職させることができることになり、それこそ、立憲主義や民主主義に反することになります。

これから、野党の一部は「内閣総辞職」と喚くことになると思いますが、それはあくまで低劣なパフォーマンスにすぎないということを理解すべきです。

そもそも、野党の論理にまともに従えば、立場を変えれば「悪いアベをのさばらしておく野党が悪いから、野党党首や幹部は全員辞職すべき」というような不可思議な論理も成り立ってしまうことになります。

野党は、森友問題に関係のある内閣委員会・外務委員会を審議拒否するのはまだわかりますが、それ以外のものも審議拒否するのは、まともな議論より倒閣を選んだ証拠です。 南北首脳会談が決定直後であり、米朝首脳会談もきまりそうなこの時期に北朝鮮に対する議論を放棄するのはあり得ないです。 仕事する気がないなら議員を辞めるべきです。 野党のせいで1日3億円の国会がまだ無駄になります

率直に言えば、朝鮮半島情勢が動いている中、国会ではもっと有益な議論に時間を使ってほしいものです。

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2018年3月9日金曜日

統一コリアムード高まれば金正恩大統領が誕生する可能性も―【私の論評】半島に新たな秩序を作り出すか、南北統一を許してしまうか、世界は選択を迫られている(゚д゚)!


文在寅大統領が差し出した手は何をもたらすか(写真右が金与正氏)

南北朝鮮の接近が急加速している。韓国の文在寅大統領は平壌での首脳会談に乗り気で、事態は想像を超えて急展開する可能性がある。先に見えるのは、核保有国・統一コリアの姿だ。拓殖大学特任教授の武貞秀士氏が警告する。

 * * *

 「我々はひとつだ!」

 平昌五輪中、私は韓国を訪れて情報収集につとめた。テレビでは連日、専門家の討論番組を放送していた。そして、耳に残ったのがこのフレーズだった。

 韓国政府は、北朝鮮代表団や管弦楽団、美女応援団を熱烈に歓迎した。日米両政府は核・ミサイル問題の解決の遅れを心配したが、文在寅政権は「五輪はスポーツ大会」とかわした。

 韓国社会の反応は意外と冷めていた。美女応援団が「同胞への呼びかけ」に徹したのには違和感もあったようだ。

 そんな世論と裏腹に文在寅大統領は、米国のペンス副大統領が欠席した歓迎レセプションで「女子アイスホッケーチームの選手の心には休戦ラインはない」と挨拶をした。休戦ラインを守っているのは在韓米軍と韓国軍なのだが……。

 金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏らを招いた昼食会では、金大中、盧武鉉政権時代に北朝鮮を訪れた幹部を同席させ、対話への意欲を示した。すでに南北は今年1月、南北閣僚級協議で軍事協議を再開することに合意している。

 五輪期間中、「心を合わせて難関を突破しよう」「南北関係を当事者同士で解決すべきだ」と訴えた文大統領は、五輪を機に北朝鮮との対話を進めるつもりだろう。金委員長の右腕である与正氏が親書を手渡した席で南北交流の具体的な方策を話し合ったにちがいない。

 これから先、何が起こるのだろうか。米・トランプ大統領は南北対話のあいだは、軍事行動をしないと約束している。北朝鮮は、米国が軍事行動を選びにくい状況を創出するため、南北のスポーツ・文化交流計画を韓国に提案するだろう。

 開催を延期している米韓軍事演習が試金石となる。北朝鮮は、「軍事演習をしたら南北対話は進まない」と文大統領に揺さぶりをかける。そのとき、朝鮮半島問題の主人公は韓国と北朝鮮だと考える文在寅政権は、米韓軍事演習の規模縮小を米国に訴えるにちがいない。

 ここで日本が一連の動きに反対すると逆効果になる。平昌五輪開幕式前日の日韓首脳会談で米韓軍事演習を実施すべきと述べた安倍首相に対して文大統領は「内政の問題だ」と不快感を示した。日本が南北交流を警戒し、米韓同盟強化を助言すれば、北朝鮮ブームが起きていない韓国社会だが、日本への反発から親北に傾斜してしまう。

 北朝鮮は今年9月9日の建国70周年を「民族の慶事」の大イベントであると宣伝しており、この時期までに首脳会談を実現したいはずだ。金大中と金正日の両氏が初めて南北首脳会談を開いた2000年6月の記念日に合わせて、今年6月開催を目指している。

 文大統領は米朝対話再開が必要だと答えた。首脳会談が実現すれば、南北の関係改善は加速する。すでに文大統領は北朝鮮に800万ドルの人道支援を行うと決めている。現在停止中の南北経済交流事業が再開され、開城工業団地の操業や金剛山観光再開を検討している。朝鮮半島縦断鉄道からシベリア鉄道に乗り入れる列車ダイヤの運行を具体化する話も浮上することだろう。すべて北朝鮮の外貨獲得源である。

 南北交流が進んで、「分断された民族を統一する」というムードが高まると、1980年の労働党大会で金日成主席が提案したように、まずは南北同数の代議員で民族連邦会議を作り、大統領を選出するシナリオが浮上するだろう。この時、韓国側の代議員に一人でも従北勢力がいれば、多数決で金正恩大統領が誕生する可能性もゼロではない。

 「なだらかな南北統一」の最大の脅威は、統一コリアが核保有国となることだ。北朝鮮が核・ミサイルを開発するのは、多くの識者が指摘するような体制維持のためではなく、米軍介入を阻止して統一するためだ。だから彼らは統一まで核を放棄しないし、統一後も日米両国からの防衛を根拠に核は捨てないだろう。

 ●武貞秀士(たけさだ・ひでし)/1949年兵庫県生まれ。慶應義塾大学大学院修了後、防衛省防衛研究所に教官として36年間勤務。その間、米スタンフォード大学、ジョージワシントン大学客員研究員、韓国中央大学客員教授等を歴任。2011年、防衛省を退職後、韓国延世大学教授等を経て現職。著書に『東アジア動乱』(角川oneテーマ21)、『なぜ韓国外交は日本に敗れたのか』(PHP新書)などがある。

【私の論評】半島に新たな秩序を作り出すか、南北統一を許してしまうか、世界は選択を迫られている(゚д゚)!

実は韓国は、数年前からすでに北朝鮮に乗っ取られていたとみるべきです。北のスパイが約12万人、韓国内に入り込んでいるとされています。

核とミサイルとスパイしか武器を持っていないような国が全力を傾注して、スパイを浸透されたとされてますから、これは十分あり得る数字です。

1998年から2008年まで行われた"圧力より融和で南北統一を目指す政策"である「太陽政策」の間に、北朝鮮は韓国の政治の世界は官邸にむけて、軍部は情報部にむけて、次々に北朝鮮のスパイを浸透させていったとされます。軍自体は良識派の集まりなので、浸透は無理とみて情報部に浸透をはかったとされています。

韓国の政治家のうち、最も始末に負えないのは文在寅をはじめといする「親北・反日」の人々で、大きな勢力を占めています。韓国では「反日」が大前提で、「反日」など争点にすらなりません。

そんな韓国での本当の争点はこのまま北に乗っ取られるのが良いのか、支那に媚びて助けてもらったほうが良いのかということであり、これが最大の争点です。

昨年失脚した朴槿恵大統領は「親中・反日」でしたから、実は当初の大統領選挙の候補者の内、一番まともな政治家でした。

朴槿恵は、韓国は、支那の一の子分になったほうが、北より下になるよりは良いというわけで、彼女はこの10年で、最も良識的な大統領だったといえるかもしれません。

少し前までの、韓国は中国・北朝鮮代理戦争の真っ只中でしたが、朴槿恵が失脚して、文在寅が大統領になった時点で、韓国内では北が圧倒的に優位にたちました。

文在寅大統領は、北朝鮮が韓国を核攻撃するとは考えていません。「北の核はアメリカからの防衛のための核であり、攻撃のための核ではない、平和のための核だ」(盧武鉉元大統領の発言)というのが、盧武鉉の最側近だった文在寅をはじめとする韓国左派系勢力が信じるところです。ですから北朝鮮が「国家核戦力の完成」を表明した段階で南北融和姿勢へ転換するのは、文在寅には当初から「想定内」のことだったのです。

北朝鮮の路線転換とそれを受け入れた韓国が、ともにその先に描いているのが、統一朝鮮実現へ向けた「南北連合国家」(2政府連邦制国家)の形成です。「北朝鮮の国家核戦力の完成」が南北統一への道を開き、しかもそこでは北の独裁体制と核が温存されたままという、まことに理不尽な歴史が始まろうとしているのです。

金正恩が文在寅の訪朝を要請したことで、南北首脳会談が現実味を帯びてきました。実現するとしたら、南北間でどのような話し合いがもたれるのでしょうか。文在寅は果たして、北朝鮮に核放棄を迫るでしょうか。

これまでに南北首脳会談は2回行われています。1回目は2000年6月15日(金大中と金正日)。この会談では、北核問題に触れることなく、「南と北は国の統一問題を、その主人であるわが民族同士で互いに力を合わせ、自主的に解決していくことにした」「南と北は国の統一のため、南側の連合制案と北側のゆるやかな段階での連邦制案が、互いに共通性があると認め、今後、この方向で統一を志向していくことにした」と、南北統一問題に終始しました。

金大中と金正日の首脳会談を特集した
TIMEのdigitalの表紙

ところが、この2年前の1998年5月30日、北朝鮮は自国製のプルトニウムを用いた代理核実験をパキスタンに挙行させたとされ、8月31日には初の準ICBM(テポドン1号)を、日本上空を通過する形で太平洋に向け発射しています。

2回目の首脳会談は2007年10月4日(盧武鉉と金正日)。そこでも北の核問題には触れず、「南と北はわが民族同士の精神によって、統一問題を自主的に解決し、民族の尊厳と利益を重視して、あらゆるものをこれに志向させていくことにした」と、やはり統一問題に終始しています。

この会談の前年の2006年7月5日には、北朝鮮は初のICBM(テポドン2)、ノドンとスカッドC(火星6)6発を日本海に向けて発射し、10月6日には初の核実験を強行。国連安全保障理事会は即刻、全会一致で北朝鮮制裁を決議しました。

この2例のように、今後の南北首脳会談でも、核問題は抜きで「統一問題の自主的な解決」が話し合われることになるでしょう。これまでアメリカは「北核問題と南北和平問題は別問題」としてきましたから、「核問題抜きの南北首脳会談」に強固な反対をすることはないと思われます。

盧武鉉政権下の三つの「親北政策」

文在寅が心酔する盧武鉉元大統領が最大の政治テーマとしたのは、金大中の対北融和政策である「太陽政策」を引き継いでいっそう推し進め、南北統一へ向けて南北連合国家を形成していくことでした。

そこで盧武鉉がとった政策の一つは、過去の「韓国独裁政権」が侵した人権侵害を断罪することです。しかしその一方で、北の核開発や多数の人権侵害については、批判も抗議もまったく行うことがありませんでした。

盧泰愚

二つ目は、韓国史の「北朝鮮式書き替え」でした。北朝鮮史を肯定的に評価する「親北史観」が台頭していったのです。2003年から多数の高校で採用されていった「韓国近現代史」教科書では、戦後韓国の歴史を「米政府および独裁政府」対「韓国民衆」という構図で否定的に記述し、北朝鮮体制を「民族自尊を守りながら絶え間ない変化を追求する合理的体制」と、肯定的な観点で記述しています。

韓国の中学校の国史教科書

三つ目の政策が「国内親日派」の断罪です。北朝鮮では「日本統治時代に親日行為(日本統治への協力)をした者」は、悪逆な犯罪者・売国奴として粛清されました。これを評価する盧武鉉は、これまでの韓国は「国内親日派」を温存してきたと批判し、北朝鮮と同じく「日本統治時代に親日行為をした者」を断罪すべきだとしたのです。

そのために特別法を制定して「親日反民族行為者」(故人を含む)のリストを作成・公表し、彼らを公式の「売国奴」としました。また、多数の「親日反民族行為者とその子孫」の財産が、国家の手によって没収されています。

教科書も憲法も「北朝鮮化」を狙う文在寅

こうした盧武鉉政権の「対北融和・南北連合国家形成」の政治方針を文在寅政権は継承し、「韓国の北朝鮮化」を推し進める政策をいま、次々に打ち出しています。

例えば、2020年から中学・高校で使用される歴史教科書について、「北朝鮮による6・25(朝鮮戦争)南侵」「北朝鮮の世襲体制」「北朝鮮の人権」などの用語をすべて用いないとする執筆基準試案を提示しています。これは盧武鉉政権すら行わなかったことです。


さらに、文在寅政権を支える与党「共に民主党」は、大韓民国憲法にある「自由民主的基本秩序」の文言から「自由」を削除する憲法改正案を議員総会に提出しました。野党の大反対にあっていくらか引っ込めてはいますが、これまでの韓国では「自由民主的基本秩序」とは、北朝鮮のような「一党独裁体制」の否定を意味するとしてきたのです。

この憲法改正案では、自由市場経済に反して国家的な経済統制を強化する条項など、国家社会主義的な思想が露骨に示されています。文在寅政権は、南北連合国家の形成へ向けて、韓国をできるかぎり北朝鮮に近い体制へ変えようとしているのです。

日米中ロは朝鮮半島の統一を望んでいない

このような状況が続けばいずれ「南北連合国家」が形成されてしまうことになります。しかし、これを支持する周辺国が存在するでしょうか。

中国は、半島に北朝鮮優位で、南北が統一されて大きな朝鮮ができることに脅威を感じるでしょう。韓国の朴槿恵は「親中」でしたが、文は「親北」で、金正恩はあからさまな「反中」ではないにしても、「反中」的です。

そのような南北統一朝鮮ができれば、北の核に、南の経済力、工業力と、様々な外国との結びつきが最大限に活用され、アジアにかなり大きな独裁軍事国家ができあがることになります。そのような国と国境を接することは、中国には許容できないでしょう。

ロシアも同じようなものでしょう。元々、北朝鮮はソ連がつくった国です。それが、ロシアと同等以上のGDPである、韓国と統一されれば、隣国が核を持ちしかも、その経済力がロシアより上ということになります。

南北統一朝鮮は、当然のことながら、軍拡に走るでしょう。そうなると、いずれロシアと同等かそれ以上の軍事国家が半島に生まれる可能性もあるのです。

現在のロシアは、中国には経済力ではかなわない存在になってしまいました。かろうじて、軍事力に関しては、ソ連から継承した、軍事技術やノウハウがあるので、圧倒的に優位ですが、それでも台頭する中国は脅威です。

ロシアは、世界で一番長く中国と国境を接している国です。中国の脅威に加えて、核武装した経済力が自分よりも上の、しかも国境を接した新たな大国南北統一朝鮮が誕生することをロシアは望まないでしょう。

その他の国々も、シリアのような国は別にして、北優位ですすめられる南北統一朝鮮は脅威でしょう。

いずれにしても、この問題は放置しておけば、悪化するだけです。以前このブログにも掲載したように、いずれ半島から北朝鮮も、韓国もなくなり全く新たな秩序が形成されるか、南北統一を許してしまうのか、いずれか一方しかないということだけは確かです。

新たな秩序を作り出すというのであれば、国連軍という形をとるかどうかは別にして、日米中ロはもとより、世界の多く国々が、半島に軍隊を送り込み、少なくとも50年くらいは進駐させて、今後世界を脅かすことがなくなる新たな秩序を作り出すまで、分割統治するくらいの覚悟が必要です。

なお、この時に過去の米国による日本統治のようなやり方は許されません。あくまで、国際法にのっとった形で、実行すべきです。北の人民や、韓国の国民の主権を尊重した形で、民主的なやり方をすべきです。ただし、すぐに世界にとって望ましい体制などできあがるわけもありません。どのようなやり方が良いのか、十分考慮した上で、段階的に数十年かけて実行していくべきです。

一歩間違えて、中途半端にすれば、朝鮮半島が中東のように新たな混乱と緊張と脅威を生み出すだけになります。これは、米国だけではいかんともし難いです。やはり、日本も大きな力を発揮すべきですし、他国の力も大いに活用しなければ、できることではありません。

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2018年3月8日木曜日

完全失業率2・4%の意味 異常値ともいえる大幅下落、賃金本格上昇はこれから 高橋洋一 日本の解き方―【私の論評】日本経済にはまだまだ、まだ!量的緩和と積極財政が必要(゚д゚)!

完全失業率2・4%の意味 異常値ともいえる大幅下落、賃金本格上昇はこれから 高橋洋一 日本の解き方

1月の完全失業率が2・4%と24年9カ月ぶりの低水準となった。この失業率が意味するものは何か。賃金の本格上昇には、低い失業率がどの程度続く必要があるのか。

 本コラムで、NAIRU(インフレを加速しない失業率)がマクロ経済政策、とりわけ金融政策において重要だと指摘してきた。一般的に、インフレ率と失業率は逆相関であり、NAIRUを達成する最小のインフレ率をインフレ目標に設定するからだ。ここから導かれる金融政策は、失業率がNAIRUに達するほど低くない場合、インフレ率もインフレ目標に達しないので金融緩和、失業率がNAIRUに達すると、その後はインフレ率がインフレ目標よりも高くなれば金融引き締めというのが基本動作である。


 そして、筆者の推計として、NAIRUを「2%台半ば」としてきた。国会の公聴会でも説明したが、経済学は精密科学でないので、小数点以下に大きな意味はないが、あえてイメージをハッキリさせるために、「2%台半ば」を2・5%ということもある。これは、2・7%かもしれないし2・3%かもしれない。2・5%程度というと数字が一人歩きするので、普通は「2%台半ば」といっている。

 今回、2・4%という数字が実際に出たわけなので、NAIRUに達したかといわれるが、筆者の答えはまだ否である。

 なにしろ、前月の昨年12月は2・7%だったので、0・3%もの大幅な下落となった。一方、1月の有効求人倍率は1・59倍と前月と同水準である。

失業率は、失業者を労働人口で除した数字である。失業者は働く意思があるが失業している人をいうので、1月には大雪があり、職探しを中断して、結果として失業者が減った可能性もある。

 過去のデータを見ても、失業率はあまり上下しない数字である。過去1953年1月から、前月との差をみると、平均0・00064、標準偏差0・11である。ほぼ変動しないのが当たり前だ。これではイメージしにくいかもしれないので、今回のような0・3%下落を探すと、780回のうち今回を含めてわずか7回である。しかも、最大の下落幅だったのだ。


 統計的に見ると、今回の下落はほとんど起こりえないことが起こったわけで、統計的に異常値であるといってもいい。NAIRUになっているかどうかは、あと数カ月間の動向を見なければ判断できない。

 もちろん、失業率が一時でもあれ下落したのは悪いことではない。しかし、これで、金融政策の出口と早計したら、間違った政策になってしまう。

 というわけで、今回の数字だからNAIRUになったとはいえないが、仮にNAIRUになったら、その半年から1年以内に本格的な賃金上昇が来るはずである。なぜなら、人手不足なので、企業は賃金を払わないと人の確保ができなくなり、企業活動に支障が出てしまうからだ。今がNAIRUとは決していえないが、それが目前に迫っていると筆者は思っている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本経済にはまだまだ量的緩和と積極財政が必要(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では触れられていませんが、失業率が一時2.4%になったからといって、インフレ目標2%が達成されない限りは、金融緩和政策をやめるわけにはいきません。

失業率に関しては、このたとえが適切かどうかはわかりませんが、失業率を健康の問題などにたとえると、血圧のようなもので、何かの原因で血圧があがって病院に入院したとして、血圧が下がったからといって、すぐに退院ということにはならないでしょう。


やはり、しばらく様子を見るはずです。血圧が安定して、下がっているかをみるのと同時に、血圧が上がった原因が取り除かれたかどうかを検査することになると思います。その結果、大丈夫だということになれば、退院ということになるでしょう。

ただし、その後もしばらく通院して、様子をみて、その後特に変化がなければ、通院もなしということになると思います。

失業率も同じことです。一時、失業率が下がったことをもって、金融緩和をする必要はなしということにはなりません。

さらに、失業率が上がった原因である、デフレ状況が取り除かれ、緩やかなインフレになっているかも調べる必要があります。

インフレ目標は2%ですが、この2%が恒常的にクリアされている状態にもっていく必要があります。

日銀の現在の政策は、市場に供給するお金の量(マネタリーベース)を年間80兆円ペースで増やすとしていますが、これを年100兆円ペースに増やせば、かなりの確率でデフレから完全脱却できます。

ただ、日銀は市場から買う国債の量を年80兆円から年約50兆円程度まで減らしてきています。国債の購入量を拡大するのが難しくなっているのであれば、政府がそれを埋めるだけの財政拡張をして、合計で100兆円にするべきです。財政拡張自体に景気拡大の効果もあるので、実際に増額するマネタリーベースの量はあと10兆円程度でも良いかもしれません。

具体的には、建設国債など新規の国債を増発し、それを日銀が買い上げる方法をとるべきです。その際、日銀のイールドカーブ・コントロール政策は効果的です。政府が財政出動すると景気が刺激されます。金利が上がりそうになれば、イールドカーブ・コントロール政策で長期金利の水準が一定の値に保たれるように日銀が国債を買うので、金利の上昇は止められることになります。日銀が国債を買うことで、量的金融緩和の効果もあります。


日銀が大規模な「量的・質的金融緩和」を導入した2013年4月以降、「予想インフレ率は着実に上昇していましたが、消費税率引き上げと原油価格の下落を契機に弱まってしまいました。

このため、2019年度の消費税引き上げについては消費低迷を通じて予想インフレ率が弱含み、物価が下がることになるでしょう。海外経済のリスクも19年度までに顕在化する可能性があります。その場合、日本経済は相応に下振れることになります。

要するに、今の日本では失業率が2.4%になったからといって、おいそれとすぐに金融引締めや、緊縮財政をするような状況にはとてもないということです。

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2018年3月7日水曜日

米国が憤るシリアと北朝鮮、サリン使用めぐり共犯関係 「核拡散ドミノ」に強い懸念 高橋洋一日本の解き方―【私の論評】米が本当に北を攻撃するとき、韓国は無視される(゚д゚)!

米国が憤るシリアと北朝鮮、サリン使用めぐり共犯関係 「核拡散ドミノ」に強い懸念 高橋洋一日本の解き方

2013年に北朝鮮を訪問したシリアの与党バース党幹部と金正恩
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 北朝鮮がシリアに対し、化学兵器の製造に使える材料を輸出していたことが国連の報告書で明らかになった。シリアと北朝鮮の関係や、北朝鮮がさらに核・ミサイル開発を進めることの危険性について考えてみたい。

 北朝鮮とシリアの国交樹立は1966年と古い。73年の第4次中東戦争を機に軍事交流もある。90年代には、北朝鮮は化学兵器をシリアに販売、サリン製造施設の支援もしている。2000年代も反米的なアサド政権と友好関係を維持している。北朝鮮とシリアは、相互に大使館を置いている。シリアは北朝鮮との友好関係があるので、韓国とは国交を結んでいない。

 そもそも、米国と北朝鮮との緊張関係は、昨年4月、米中首脳の夕食会の最中に、米軍が行ったシリア空軍基地へのミサイル攻撃が一つの契機になっている。

昨年4月、米中首脳の夕食会の最中に、米軍が行ったシリア空軍基地へのミサイル攻撃

 このミサイル攻撃は、シリア政府軍が自国内の反政府勢力に対して、化学兵器サリンを使ったためといわれていたが、このサリン攻撃が実は北朝鮮によるものという見方は当時からあった。北朝鮮とシリアは切っても切れない関係なので、北朝鮮を警告するために、米国はシリアをミサイル攻撃したわけだ。

 今回の国連の報告書は、そうした北朝鮮とシリアの共犯関係をあぶり出すものと考えたほうがいい。

 シリアは13年に化学兵器禁止条約に加盟して、約1300トンを申告して廃棄した。しかし、サリンを隠し持っていて、それを使ったのだろう。サリンは長期保存は難しいが、北朝鮮の技術、原料供給などによって使用に至ったというのが国際的常識である。そして、シリアのサリン使用は、それまでの米オバマ政権の弱腰も要因の一つとなったといえるだろう。

 この点、オバマ政権とは違うことを見せて大統領に就任したトランプ氏にとって、シリア問題は格好のアピール材料になる。それが、昨年4月のシリアへのミサイル攻撃である。このミサイル攻撃の命中率は驚異的に高く、ほぼ百発百中であった。同席していた習近平主席も驚き、北朝鮮も腰を抜かしたことだろう。

 しかし、その後、北朝鮮は、この米国の警告を無視して、核・ミサイル開発を進めた。

 米国が恐れているのは、米国本土への攻撃とともに核拡散である。これは、今の核不拡散体制への挑戦であり、核不拡散を守るという大義名分は、北朝鮮問題の鍵を握る中国やロシアにも有効である。

 さらに、現実的な懸念として、中東のイラン、シリアへ核が拡散すれば、それこそ中東は各国が核を持つ「核ドミノ」が避けられなくなる。

 北朝鮮がシリアに化学兵器を輸出していたということは、核・ミサイルでも同じことが起こるというわけだ。北朝鮮に対する米国の軍事オプションは、本コラムで繰り返しているように、公算が高まりつつある。2月23日に発表された北朝鮮への経済制裁とともに、また一つ外堀が埋まった感じがする。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】米が本当に北を攻撃するとき、韓国を無視せざるを得ない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にあるように、北朝鮮による核やサリンの拡散の危険については、しっかり認識しておくべきでしょう。米国が北に執拗に圧力をかけるのは、このような問題が背後にあるからです。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2016年末から17年初頭にかけ、北朝鮮は中国の貿易会社を通じて5回にわたりシリアに物資を送っています。物資の搬送は数年間で何十回にも及んだとみられています。

同紙は、シリア政府の科学調査研究センター(SSRC)が多数のフロント(隠れみの)企業を使い、北朝鮮に対価を支払っていたと指摘しました。

ブログ冒頭の記事にでてきた国連報告書は、米紙ワシントン・ポストも同様に確認しています。

化学兵器の犠牲となったシリアの子供達

すでに公表済みの2017年9月の報告書で専門家パネルは、シリアと北朝鮮が「禁止された化学兵器、弾道ミサイルおよび通常兵器で協力しているとの情報について調査している」と述べていました。

当時の報告書は、国連加盟2カ国が押収したシリア向けの積み荷が、北朝鮮の主な武器輸出組織とSSRCのフロント企業による取引の一部ではないかとと、疑念を指摘していました。

国連のステファン・デュジャリック報道官は、報道された報告書が公表されるのかコメントしませんでしたが、ニューヨーク・タイムズに対し、「すべての加盟国に、実施中の制裁に従う義務と責任がある。これが全体としてのメッセージだろう」と語りました。

シリア政府は専門家パネルに対し、シリア国内にいる北朝鮮市民はスポーツのコーチや選手のみだと、説明したとされます。

シリアは化学兵器禁止条約の署名国で、2013年のサリンガスを使ったグータへの攻撃で多数の死者が出た際には、保有していると認めた化学兵器の破棄に同意しました。

それ以降も、シリアは2011年から続く内戦で、禁止された化学兵器を繰り返し使用したと非難されています。

このような危険な北朝鮮に対し韓国は、南北首脳会談を開催しようとしています。メディアや韓国は南北首脳会談の開催をあたかも大成果であるかのように喧伝していますが、話し合いそのものは手段であって話合いは目的でありません。今の韓国の状況は、受験勉強をしても合格しなくては意味がないにもかかわらず、勉強をして満足している駄目な受験生のようなものであり、これでは浪人確定です。

4月末に南北首脳会談が予定されているが・・・・・

頭のネジがずれた文大統領や韓国左派政権にすれば、南北首脳会談してかつての米国のオバマ大統領のようにノーベル平和賞が貰うことが目的なのかもしれません。

南北会談において、北朝鮮は核・ミサイル開発を断念するとはっきりとは一言も言っていません。そもそも、北朝鮮は2013年3月11日に、「朝鮮戦争の休戦協定を破棄する」と一方的に宣言しています。

休戦協定破棄の真意は、戦争を始めるのではなく、終わらせることです。休戦のまま継続されているている異常な状態を破棄するということであり、戦争をするという宣言ではなく、戦争を終わらせるということです。

はっきりと、朝鮮戦争はもう終わったということにして下さいと宣言しているわけです。戦争が正式に終われば、米国も北朝鮮軍と直接戦っていましたから、両国の間で平和条約が結ばれることになります。

休戦だと、休戦協定だけで戦争状態は続いていますが、戦争が終わったとなれば、米国は北朝鮮と、平和条約とか友好条約等の戦争後の条約を結ぶことになります。それをやって下さいと金正恩第一書記は、当時のオバマ大統領に向かって、実は呼びかけてるのがこの休戦協定の破棄でした。

北朝鮮としては、核保有のまま金正恩の独裁を認めて欲しいということを宣言したわけです。これは、虫の良い話しです。

そうして、金正恩休戦協定の破棄の意味するところは、韓国も、そうしてできれば中国も抜きで、米国と直接破棄について話をしたいという意思の現れでもあります。


そもそも、「朝鮮戦争休戦協定」の責任締結国は、「中国」「北朝鮮」「米国(国連軍代表)」であって、「韓国」は締結国ではありません。韓国は無理に理屈をつけて、韓国が締結国に含まれているように主張しますが、それは違います。実際に署名したのは、この三国です。

「朝鮮戦争休戦協定」とは、「国際連合軍司令部総司令官」と、「朝鮮人民軍最高司令官」および「中国人民志願軍司令官」との間で朝鮮戦争を終わらせた休戦協定です。

「国際連合軍」を代表してアメリカ陸軍のウィリアム・ハリソン中将と、「朝鮮人民軍」及び「中国人民志願軍」を代表して南日大将が署名したものです。

このようなことから、金正恩からすれば、本当は韓国など重要でも何でもなく、米国と話をする仲介としてしかみていません。文在寅は、この真意が全く見えていないようです。本当は、そうとうコケにされているということにも気づいていないようです。

北朝鮮芸術団の公演会場となったソウルの国立劇場で、文在寅韓国大統領(右)
と話す北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、与正氏(2018年02月11日) 

北はアメリカと対話する為に韓国を利用しただけなのに韓国は手放しで喜んでいます。五輪も北は参加すると言っただけで、その実際参加しても何も変わってないのに韓国は、南北融和と言い、北の楽団派遣や、挙げ句の果てに独裁者の妹が来ただけで、文在寅は、舞い上がり大騒ぎです。そうして、韓国の保守派の声も抹殺しました。今の韓国に何か言ってももう手遅れです。

韓国のこの体たらくをみていると、韓国にはおかいまなしに、北朝鮮に対する米国の軍事攻撃の可能性はますます高まったと思います。このまま韓国が、北に対する宥和政策を継続するなら、米国としては、北を軍事攻撃する際には韓国に知らせずに行う可能性もでてきました。

なぜなら、米国が北を攻撃することを韓国に事前に通知した場合、韓国から北にそれが伝わる可能性があるからです。あるいは、米国は偽の情報を韓国に送り、それを北側に伝えさせ、北朝鮮を撹乱するということになるかもしれません。それだけ、韓国は信用を失ったのです。

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2018年3月6日火曜日

米空母カールビンソン、ベトナム・ダナンに寄港 戦争終結後初 BBC―【私の論評】新たな日米英同盟が、中国の覇権主義を阻む(゚д゚)!

米空母カールビンソン、ベトナム・ダナンに寄港 戦争終結後初 BBC

ベトナム・ダナン沖の米原子力空母カール・ビンソン=5日
米海軍の原子力空母カールビンソンが5日、ベトナムに寄港した。1975年にベトナム戦争が終結して以来、最大の米艦船による寄港となった。

カールビンソンが寄港したのは、港湾都市のダナン。ベトナム戦争時には、米軍が最初に上陸した場所で、非常に象徴的な場所となっている。

カールビンソンの寄港は、両国の軍事的結びつきの強まりを示す狙いがある。

しかし、専門家らは、ベトナムが中国と南シナ海で領有権をめぐって対立するなか、米空母の寄港が中国に対する何らかのメッセージを送る行為になるのは避けられないと指摘した。

中国ではこの日、全国人民代表大会(全人代)が開幕し、2018年の国防予算が前年比8%増の1.11兆元(約18兆5000億円)となったことが発表されている。

ダナンで取材するBBCのジョナサン・ヘッド記者は、米軍とベトナム軍の協力関係は依然として限定的で、ベトナムは寄港の意味合いがどう受け止められるか、慎重に対応する必要があると語った。

中国は今や、地域の実質的な超大国で、ベトナムにとっても最も重要な貿易相手国。このためベトナム共産党の指導部は、中国との関係を荒立てるようなことを慎重に避けようとしていると、ヘッド記者は指摘した。

中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張しているが、他国が領有権を主張する岩礁や島も含まれている。ベトナムは、西沙(英語名パラセル)諸島や、南沙(同スプラトリー)諸島への領有権を主張し、中国と対立している。

米国は、南シナ海をめぐる対立で一方を支持しない姿勢
を常に示してきたが、米海軍は繰り返し、いわゆる「航行の自由作戦」を同海域で実施しており、中国の領土主張に明確に挑戦する行動をとっている。

カールビンソンは数十年に及ぶ就役で、同海域や周辺を多数回訪れており、最近も通過したことが確認されている。

ダナンはベトナム戦争時、米軍の主要な基地だった。最大90機が搭載可能なカールビンソンは、ベトナム戦争が終結し南北が統一された1975年以降で、米軍として最も大規模なベトナム訪問となる。

長年戦われ多数の犠牲を出したベトナム戦争は、ベトナムでは「米国戦争」と呼ばれている。ベトナム政府は、共産党の兵士と市民の両方で何百万人もの人々が命を落としたと推計しているが、米軍の死者・行方不明者は5万8000人強だった。

(英語記事 US aircraft carrier Carl Vinson in historic Vietnam visit

【私の論評】新たな日米英同盟が、習近平独裁国中国の覇権主義を阻む(゚д゚)!

米空母のベトナム寄港は、ブログ冒頭の記事で英国の公共放送のBBCも報じている時代の画期的変化です。これを理解できない日本の政治家やメディアは、本日も近畿財務局という財務省の一下部機関のしでかしたミスに色めきだっています。

そもそも、文書改竄で内閣総辞職などということが起こり得るはずもありません。もしそうなら、公務員は自分の好きなときにいつでも、総理大臣をやめさせることができることになります。この事件の真相は、朝日新聞が決済文書が改竄されたと大騒ぎして、倒閣しようとしていたのが、朝日新聞が逆にピンチに陥ったというところでしょう。

実際民主党政権だった頃の、2010年にも厚労省東北厚生局が258ヶ所の公文書改竄をしていたにも関わらず時の内閣は総辞職どころか厚労大臣すら辞めていません。

こんなことに色めきたつ日本の政治家やメディアなどは、このベトナムや米国の動きなど全く関心などないのでしょう。

米最大級の空母カールビンソンは最近は我が海上自衛隊との共同演習で日本人にもお馴染みですが、ベトナム戦争以来初めてベトナムの軍港に寄港です。世界の非難をよそに南シナ海を要塞化するシナへの圧力です。

そうして、先にも述べたように、BBCは英国の公共放送ですが、その英国がアジアに戻ってくる気配を見せています。

それについては、以下の動画をご覧いただければ、良くご理解できると思います。


この動画にもあるとおり、英国は空母を南シナ海に派遣することを検討しています。

英国は、航行の自由を確保するために最新空母2隻を南シナ海へ派遣する計画です。これは、昨年7月27日、オーストラリアを訪問中のジョンソン英外相が、シドニーで開いた記者会見で発表しました。

外相は空母派遣の目的について「国際制度のルールや国際貿易に絶対的に必要不可欠な海路の航行の自由に基づく我々の信念を証明することだ」と述べました。さらに、外傷は「英国はEU離脱(Brexit)後にアジア太平洋地域でより大きな役割を担う計画であり、必要であれば地域に英軍を配備する用意もある」と表明しました。

英国の航空母艦HMSクイーン・エリザベス号

また、昨年のこの時期には、中国の戦闘機J-10は南シナ海上空を飛行していた米海軍の軍用機におよそ90メートルの近さまで急接近しました。

一去年、7月、ハーグの仲裁裁判所は南シナ海の広汎な海域に対する中国の領有権主張を退けました。なおその海域は近隣に位置する東南アジア諸国も領有権を主張しています。こうして国際仲裁裁判の判決によって中国は南沙諸島(スプラトリー諸島)の海域での排他的経済水域(EEZ)を主張できないことになりました。

さらに、日本と英国といえば、昨年は事実上の日英同盟の復活がありました。2017年8月30日、英国のテリーザ・メイ首相が日本を訪問しました。アジア諸国の歴訪でもなく、メイ首相はただ日本の安倍晋三首相らと会談するためにだけに、日本にまで出向いて来たのです。その目的は、英国と日本の安全保障協力を新たな段階に押し上げることにありました。

日本を訪問した英メイ首相と安倍首相

英国は1968年、英軍のスエズ運河以東からの撤退を表明しました。以来、英国はグローバルパワー(世界国家)の座から退き、欧州の安全保障にだけ注力してきました。ところが、その英国は今、EUからの離脱を決め、かつてのようなグローバルパワーへの返り咲きを目指しています。

そして、そのために欠かせないのが、アジアのパートナー、日本の存在です。日本と英国は第二次世界大戦前後の不幸な時期を除いて、日本の明治維新から現代に至るまで最も親しい関係を続けてきました。

日本の安倍首相とメイ首相は「安全保障協力に関する日英共同宣言」を発表し、その中で、「日英間の安全保障協力の包括的な強化を通じ、われわれのグローバルな安全保障上のパートナーシップを次の段階へと引き上げる……」と述べ、日英関係をパートナーの段階から同盟の関係に発展させることを宣言しました。

そして、「日本の国際協調主義に基づく『積極的平和主義』の政策と英国の『グローバルな英国』というビジョンにより」と述べ、英国がグローバルパワーとして、日本との同盟関係を活用して、インド太平洋地域の安定に関与していく方針を明確にしました。

この突然ともいえる、日英同盟の復活ですが、これにはそれなりの背景があります。日英はユーラシア大陸の両端に位置しているシーパワーであり、その安全のためにユーラシアのランドパワーを牽制(けんせい)する宿命を負っているといえます。

ユーラシア大陸の両端に位置する海洋国家、英国と日本

日本は中国の海洋進出を警戒しているし、英国はロシアの覇権を抑え込んできました。英国はロシア、日本は中国と別々の脅威に対峙しているようにも見えますが、日本と英国は、ユーラシアというひとかたまりのランドパワーを相手にしているのであって、本質的には同じ脅威に対峙しているのです。

そうして日英同盟は結局、日英米の三国による同盟関係の追求に発展することでしょう。それは覇権の三国同盟ではなく、新しい安全保障の枠組みとしての「平和と安定の正三角形」になることでしょう。そうして、それこそ、新日英同盟の本当の意味があり、それが実現すれば、日本の国際的地位と外交力は飛躍的に向上することになるでしょう。

そうして、この動きは中国の習近平が、終身独裁を目指していることがはっきりしたので、ますます加速されることになります。何しろ、中国が習近平の独裁国家になるということは、中国が北朝鮮化するといっても過言ではないからです。

これでは、いかに日英米の親中派、媚中派が「中国は経済発展して、いずれ民主的な国家になるのだから、中国と対峙すべきではない」と主張したとしても、ほとんど説得力がありません。今のままでは、日本国内でもいくら「習近平を信じろ、中国を信じろ」などと擁護してみても、ほとんど影響力を行使することはできないでしょう。

ただし、この日米英の同盟を成功させ、有効なものにするには、日本としてもさらに軍事力を強化することが求められるのは間違いないでしょう。

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2018年3月5日月曜日

朝日新聞「森友新疑惑」事実なら財務省解体、誤りなら朝日が解体危機か―【私の論評】いずれにしても安倍政権と国民にとっては良いことになる(゚д゚)!

朝日新聞「森友新疑惑」事実なら財務省解体、誤りなら朝日が解体危機か

元役人の眼で問題の本質を解説しよう


高橋洋一

元官僚の筆者が記者から受けた質問

国会が盛り上がってきている。裁量労働問題もそうだが、週明けからは再び「森友問題」が注目されるだろう。

というのも昨日放送のNHK「日曜討論」において、森友学園に関する財務省の決裁文書が「書き換えられた疑いがある」と報じられたことを受けて、野党の一部から「事実であれば安倍内閣は総辞職すべき」との意見も出たからだ。

この書き換え問題について報じたのは、3月2日の朝日新聞「森友文書、財務省が書き換えか 『特例』など文言消える」(https://www.asahi.com/articles/ASL317533L31UTIL060.html)だ。

書き換え問題について報じたのは、3月2日の朝日新聞 写真はブログ管理人挿入

報じられた当初、野党議員からは「財務省自体が吹っ飛ぶような話」(https://www.minshin.or.jp/article/113185)という声が出ていたが、わずか2、3日で「内閣総辞職すべきだ」とまで話が格上げされる重大事案になっている。

本コラムでこれから書く話は、筆者の役人時の経験やそれに基づく推測であり、今の段階で断定的なことは言えないため、多少もどかしいところがあることを理解していただきたい。6日までには財務省が一定の「調査結果」を出すはずであるので、それを読むときの予備知識、とでも考えていただければ幸いだ。

まず筆者がこの報道を見たときに直感したのは、「この報道が事実であれば、財務省解体、万が一事実でなければ朝日新聞解体」ということである(今の段階では朝日新聞の報道が事実であるという確信が持てないため、このような「直感」となった。この理由は後ほど詳しく述べよう)。

はじめに、朝日新聞の報道を要約しておこう。ポイントは、2016年6月14日付けの決裁文書について、国会議員に開示されたもの(https://www.minshin.or.jp/download/37616.pdf)と、朝日新聞が「確認」したものが異なっていたということだ。

例えば、朝日新聞が「確認」した文書では「特例的な内容となる」などの文言があったが、国会議員に開示された文書では、その文言がなくなっていた、と報じられている。

ちなみに、新聞各社はこの文書について情報公開請求をしており、それによって公開されたものは国会議員に開示されたものと同一になっている。

要するに、朝日新聞の「確認」したものは、同じ決裁文書であるにもかかわらず、国会議員に開示されたもの(と、情報公開請求で開示されたもの)と違っていたというのだ。これが、「森友文書、財務省が書き換えか」というタイトルの意味で、朝日新聞は関係者の話を引用しながら「森友学園の問題が発覚した後に、文書が書き換えられた疑いがある」と指摘している。

この問題で、元財務官僚の筆者は各方面から取材を受けた。そのほとんどは「朝日新聞の報道が事実である」という前提での質問であった。

質問の内容は次のようなものだった。

①財務省が、今回のような決裁文書の書き換えを行うことはあり得るのか。実は、よく行われていることなのか②今回なぜこうした財務省の行為が報道されたのか(どうしてこのような情報が漏れたのか)③こうした財務省の行為は、問題があるといえるのか。

この場でも、ひとつずつ答えていこう。

第一の質問であるが、これはまずあり得ない。決裁文書は典型的な公文書であり、その改ざんは、刑法犯の虚偽公文書作成等の罪にもなりうるものだ。これは入省時にもたっぷり説明されるし、そのようなリスクを冒してまで「書き換え」をやろうとは思わないのが、普通の役人である。

筆者の役人経験のなかでも、「書き換え」についてはほとんど聞いたことがない。たった1回であるが、筆者の仕事の関係で、別の省庁とやり取りする中で、対外的な連絡文書において、省庁間での合意事項に反することが書かれていたことがあった。調べてみると、筆者がやりとりをしていた省庁の担当者が苦し紛れに書いたものだったことが分かった。

こちらから「書き換え」があったことを相手省庁の幹部に申し入れると、その幹部は「あやうく虚偽公文書作成等の罪になるところだった」と筆者に感謝を示したうえで、すぐに適切に対応した。そのくらい、公務員の間では公文書の改ざんはマズいこと、と認識されているのだ。

しかも、今回の決裁文書の場合、決裁者が8人もいたことが開示された文書から分かる。この過程で改ざんを行うには、組織的な関与が必ず必要であり、誰か一人でも口外したらバレるので、かなり実行は難しいだろうと思う。

本当なら、誰が「漏らした」のか
第二の質問であるが、もし決裁文書が報道機関に漏れるとすれば、それを持っていた人から漏れるはずだ。では、誰が持っていたかというと①近畿財務局の内部の人、②書類を捜査資料として保有している大阪地検の人、③書類を会計監査資料として保有している会計検査院の人、しか考えられない。
①の場合、正義感のある人や野党労組関係者が朝日新聞に漏らした可能性がある。筆者の現役時代、筆者のいた部署で、ある資料がファイルごと紛失したことがある。その直後の国会質問で、野党からその資料に関する質問があったこともある。資料管理の不適切例としてあげられていたが、内部から「漏れる」ことはあるのだ。
①の場合には、決裁文書であれば、そのコピーが記者に渡っているはずだ。しかし、②と③の場合には、せいぜいが記者に確認のために見せるだけで、コピーは渡らない。
今のタイミングでこの「文書書き換え疑惑」が報道されたのは、厚労省の裁量労働に関するデータの不適切な処理が問題になっているので、いま報じれば効果的と思ったからだろう。実際、書き換えがあったとされるのは、1年前の話。本来であれば、昨年の総選挙の時に出てきたとしてもおかしくない話だ。
第三の質問であるが、改ざんであれば、その個人は当然刑事罰の対象になる。懲戒免職となり、退職金は出ない。もし、組織的にやっていたとすれば、組織の解体まであり得る話だ。
もっとも、普通に考えれば、近畿財務局の人にとって、本省の局長をかばう義理もないし、そんなリスクを犯すこともない。というのは、今回の場合の国有財産売却の事務を行う人は、本省キャリアではなく、財務局採用の人であるからだ。両者は人事上交わることはなく、はっきりいえば無関係な人だ。近畿財務局の人にとって、本省キャリアのために人生をかける人はまずいないだろう。
しかし朝日新聞の報道が事実であれば、財務省にとっては相当な痛手になる。もちろん、財務省はその場合でも、今回の決裁文書は、近畿財務局内の典型的な委任決裁(近畿財務局長が主管部長に任せているもの)であることを理由として、「近畿財務局の問題であり、本省では関知していない」というだろう。つまり、財務省には責任は(ほとんど)ない、というわけだ。
ただし、そうした言い訳は省庁では通じても、政治的にどこまで通用するのか。やはり財務省を解体せよ、という声が出てきてもおかしくないだろう(もっとも、これは財務省内の問題であって、野党が叫ぶ「内閣総辞職」というのは言い過ぎだ。そんなことを前例にしたら、地方部局の改ざん問題で総理を辞めさせることもできる、というとんでもない世界になる)
朝日新聞はなぜ「画像」を出せないのか

さて、ここまでは「報道が事実であれば」という前提で話してきたが、筆者はどうもその点に引っかかっている。というのも、朝日新聞はこれまでの「モリカケ」報道で、信用しがたい報道をしてきたからだ。

「カケ」…つまり加計学園の問題では、文科省内のどうでもいい文書を金科玉条のごとく取り上げて、安倍首相の「意向」疑惑を激しく追及したが、結局空振りに終わった。「モリ」(森友学園問題)でも、当初は「安倍晋三記念小学校」という名前で小学校を建設予定だったとする煽り報道は、「誤報」であったとも指摘されている(たとえば https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180202/soc1802020013-n2.html)。

思い返すと、朝日新聞は加計学園問題で文科省文書を報じたときには、周辺は黒ぼかしで一部しか見えないとはいえ、それでも文書の画像を掲載していた(https://www.asahi.com/articles/DA3S12940810.html)。

しかし、今回の「森友文書書き換え報道」では、筆者の知る限り文書の画像は一切出されていない(3月4日午後11時現在)。「カケ」の時には、文書の画像を出したばかりに、その出所が詮索されたので、今回、画像を出さないのはその対策なのかもしれない。

一方、今回の報道で朝日新聞は文書を「確認した」という表現を使っているのがかなり奇妙だ。普通であれば「入手」と書くだろう。そもそも、記事を書く上で明確な「ブツ」がないと、取材をした記者が原稿を書いても、デスクや上司がその原稿を読んだ時に「どこに『ブツ』(証拠)があるんだ」と言われるはずだ。記者がそれを示せないと、原稿が通らないのが普通である。

そのため、筆者は役人時代、記者から「ブツくれ」「カミ(資料)くれ」と記者から執拗に求められ、辟易したくらいだ(もちろん、筆者が役人時代に記者に撒いたのは、筆者の上司もマスコミに渡すことを了解済みの、毒にも薬にもならない「カミ」であったが)。

情報源との関係で難しいところもあるのかもしれないが、こういう報道の場合、ちょろっとでも文書の画像を出さないと、「ブツ」を持っている(あるいは、最低でも確認した)という説得力にも欠ける。

麻生財務大臣はこの朝日報道について、大阪地検の捜査に影響を与えるおそれがあるとして「答弁を差し控えねばならない」と言ったが、これは朝日新聞が文書の画像を出していないからだろう。その一方で、②大阪地検か③会計検査院がリーク元であるなら、朝日新聞はどうしたって画像を出せないので、それへの牽制球でもあるだろう。

もし文書の画像を出したなら、役人経験のある人なら、その文書が本物かどうかを判別できるかもしれない。役所の決裁文書は、今回のものを見てもわかるが、基本的には複数の人がチェックしている。しかも、紙ベースなので、それぞれの手書きのチェックの痕跡があり、それには人それぞれのクセがある。それをみれば、本物かどうかはわかるのだ。

例えば、今回の決裁文書にはいろいろなところに「点」が打たれているが、あれは痕跡の一つである(次ページの写真参照)。

朝日新聞のいうように文書が書き換えられているのであれば、当初のものと今開示されているものではかなり「痕跡」が異なるはずである。それは、これまでの報道のように画像を出せば、ある程度わかることだ。
どんな決着がつくのか
もうひとつ、現時点で指摘しておきたいことがある。それは、朝日新聞が「確認」したという資料は、もしかすると決裁文書でない可能性もある、ということだ。
というのは、決裁文書は、ハンコが並んだ表紙とその添付資料から成っている。実質的な起案者は、添付資料を複数のバージョンで作成していることがしばしばだ。当該記事を執筆した朝日新聞の記者は、決裁文書でないバージョンを見せられた可能性もある。その場合には、「書き換え」ではなく、他の書類だった、ということになるかもしれない。
逆に、朝日新聞の「確認」した資料が本物であり、情報公開や国会議員に開示した資料が別のもの(書き換えられていたバージョンのもの)であった可能性もある。この場合には、財務省の責任は大きい。
なお、決裁文書では起案者に目が行きがちであるが、実は起案者は最も下の者がなるので、今回の場合には、実質的な起案は、担当管理官(ハンコの文字は読めない)か統括官(池田、と書いてあるのか?)であろう。
クリツクすると拡大します
いずれにしても、財務省は6日(火)までに国会に一定の報告をすることになっている。おそらく、この週末には近畿財務局の関係者すべてから事情を聞いているはずだ。それが(邪推であるが)口裏合わせなのか、朝日新聞への反論集めなのかは、筆者にはわからない。

ただし、朝日新聞社説(https://www.asahi.com/articles/DA3S13384911.html)のように、財務省に挙証責任をかぶせるのはいかがだろうか。朝日新聞も、取材先の秘匿はいうまでもないので難しいのかもしれないが、これまでのモリカケ報道のようにしっかりと「ブツ」の画像を出し、自分の情報ソースの正当性をいうべきではないか。

繰り返しになるが、筆者は今のところ、「報道が事実であれば財務省解体、万が一事実でなければ朝日新聞解体危機」が基本スタンスである。今後の報道と財務省の対応に注視したい。

【私の論評】いずれにしても安倍政権と国民にとっては良いことになる(゚д゚)!

もう一度上の記事の内容を簡単にまとめと私の論評を掲載します。

朝日新聞によれば、契約当時の文書に書かれた森友側との交渉経緯に関する記述や、「特例」などの文言が、国会議員へ開示された文書では削除されていたといいますが、財務省が意図的に書き換えたのが事実とすれば、財務省の担当者は刑法上の公文書偽造等罪に問われることになるので、財務省がこういう書き換えを行うということは、通常ではあり得ません。

契約当初の文書とは違うものを国会議員に開示してしまったなど、担当者である官僚のとんでもないミスである可能性も考えられます。または、朝日が違うものを報道したかです。

財務省内で保管されている契約当時のものとされる文書は、すでに一部が情報開示請求を受けて開示されており、法律に基づいて開示されたものなので、財務省としては、そちらのほうが間違っていたとは絶対に言えません。

国会議員に開示されたものと情報開示請求で開示されたものは同じだという情報もあるので、財務省はどう説明するのでしょうか。ひょっとしたら、朝日の報道がおかしいと説明するかもしれません。

本件について、財務省の官僚が安倍政権への攻撃を意図してマスコミや国会議員に情報を流したという見方もあるようですが、これについてはかなり疑問符がつきます。

どのような経緯で朝日が情報を入手したのかはわかりませんが、そうした官僚による“倒閣”的な動きではないでしょう。もし仮に書き換えが事実であれば、あくまで財務省の一官僚のミスとして処理されるでしょうし、法的に罪を問われるのも官僚個人だからです。安倍晋三首相や麻生太郎財務相は関係ないので、そもそも倒閣運動にはなり得ないからです。

そうして、倒閣運動という意味では、2月に発覚した厚労省による裁量労働制に関する調査データ異常問題のほうが注目されるべきです。厚労省のデータ異常問題は、野党による国会での追及で公けになりましたが、その経緯に疑問を感じます。

通常、厚労省の重要な政策や情報の公開についてはまず、すべて厚労省の労働政策審議会(労政審)に並べられ、調査審議されることになっています。

今回のデータ異常は、この労政審を経ずに閣僚答弁されてから、野党が追及し、野党の部会で厚労省からデータ提供されたものですが、このプロセスは通常ではあり得ません。

そもそも、この調査の企画は旧民主党時代にされていますから、こちらのほうがよほど“官僚による倒閣運動”である可能性を感じます。

いずれにせよ、6日までに財務省から発表される報告の内容が焦点となります。そうして、今のところ私自身は、朝日新聞の誤報である可能性が高いと思います。

いずれにしても、森友学園に関する財務省の決裁文書が「書き換えられた疑いがある」と報じられたことを受けて、NHKの日曜討論で、野党の一部から「事実であれば安倍内閣は総辞職すべき」との意見も出たといいますが、これは全くの問題外の外であり、この野党の意見は橋にも棒にもかかりません。

実際にどのような内容だったのか、以下に一部を紹介します。


NHKの「日曜討論」で、「森友学園」への国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると一部で報じられたことについて、野党側は政府に事実関係を明らかにするよう求め、事実であれば安倍内閣は総辞職すべきだという考えを示しました。 
・これについて、立憲民主党の福山幹事長は「公文書を事後に書き換えることは普通はありえない。別の物が出てきたということになれば大問題で、状況によっては罪に問われる問題になってくる」と指摘しました。 
・そして、野党側は政府に対し事実関係をすみやかに明らかにするよう求めるとともに、文書の書き換えが事実であれば安倍内閣は総辞職すべきだという考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180304/k10011351221000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_006
相変わらず、無茶苦茶な論理です。極端なことをいうと、犯罪者が一人出たら、その責任は警視庁にあるから、警視庁にあるから、警視総監をはじめ、警視庁全体が辞任せよと言っているのと何も変わりありません。

そこまでいかなくても、企業組織で、財務部の部員が何か間違いをしでかしたら、取締役会で、取締役がその問題をとりあげ、社長と財務部担当の役員と財務部長は無条件で辞めよと言っているようなものです。

無論、これらの人々が、大きな不正に直接関わっているというのなら話は別になるのでしょうが、無条件で辞めろなどと、取締役あたりが、発言すれば、それこそその取締役が解任されるかもしれません。

それに、本当に安倍内閣が辞職したとすれば、また選挙ということになります。そうなると野党はボロ負けすることになります。最初は、一見野党が有利なようにみえても、選挙期間中に事実が有権者に理解されるようになり、それこそ、希望の党があっと言う間に勢いを失ったような状態になることでしょう。

野党は、昨年の「もりとも」問題追求から一歩も進歩していないようです。

それにしても、ブログ冒頭の記事の高橋氏が主張するように、財務省解体か朝日新聞の解体かということになれば、どちらに転んでも、安倍政権は無論のこと、国民にとっても良いことになります。

財務省が解体になれば、10%増税は確実に見送られることになると思います。これによって、市場が好感し、株価もあがり、個人消費も伸びることが期待できます。朝日新聞が、解体ということになれば、朝日新聞が、朝鮮人女性を「強制連行」し、「従軍慰安婦」にしたとの吉田清治の虚偽証言報道を2014年まで30年以上にわたって放置、訂正することがなかったことなどに象徴される、朝日のフェイク暴動に煽られるような人が減ることになります。

本当は、両方とも(ついでにNHKも)解体されるのが、一番なのですが、諺に「二兎を追う者は一兎をも得ず」というのがある通りで、今回はどちらか一方が解体されることを期待したいものです。

これから、どうなっていくのか、まずは6日が楽しみです。

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