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2020年2月23日日曜日

国民の生命は二の次!?中国に媚びを売る媚中派たち “甘すぎる”日本の新型コロナ対応 識者「韓国を歯ぎしりさせた「戦略的放置」を中国にも断行すべき」―【私の論評】安倍政権は、国民の声を聴き、特亜三国に「economic statecraft」を実行せよ(゚д゚)!

国民の生命は二の次!?中国に媚びを売る媚中派たち “甘すぎる”日本の新型コロナ対応 識者「韓国を歯ぎしりさせた「戦略的放置」を中国にも断行すべき」

安倍首相(右)は習主席との距離を置くべきだ

 中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。中国本土では22日朝時点で、感染者は7万6000人以上、死者は計2345人。日本国内でも、北海道と埼玉で子供の感染が発覚して、感染者は計743人(クルーズ船の634人を含む)となった。日本政府の初動対応の遅れが指摘されているが、背景には、恩を仇(あだ)で返す、中国への甘すぎる対応があったとの見方も根強い。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、韓国を歯ぎしりさせた、日本の「戦略的放置」を中国にも断行すべきだと強調した。安倍晋三政権は、国民と旅行者の生命と健康を守るため、中国の入国拒否の対象地域を拡大するとともに、対外発信力の強化を検討している。


 新型肺炎は世界にますます拡大し、日本は初期対応のまずさから「世界第2位の汚染国」のイメージを世界中に植え付けてしまった。媚中派の自民党を含む議員や官僚などが、国民の健康や生命を二の次にして中国に媚びを売ることに懸命になったことが惨劇を招いた。

 国民がマスク不足で右往左往しているときに、マスクだけではなく、防護服まで中国に贈呈した政治家、官僚、役人は、騒ぎが終わった後、厳しく断罪すべきである。しかも、共産党独裁で利権がはびこる中国で、それらの善意の品が本当に必要な人々に届くのかどうかも疑問だ。



 安倍晋三政権の対応のまずさを指摘する声もある。確かにそれは否定できない事実だが、より根本的な問題は「平和ボケ日本」の「有事対応」の欠如にある。

 日本の民主主義、自由主義は素晴らしいが、それはあくまで平時の話だ。日本よりもさらに自由や民主主義を尊重する米国でさえ、「有事に私権の制限」が行われるのは当たり前だ。

 米国では、全ての中国からの入国者を即時に拒否し、米国人のリスクを抱えた帰国者は2週間きっちりと隔離される。日本が世界で2番目の感染国になったのは、事前の法整備も含めた「有事対応」の欠如による「人災」と言ってよい。

 日本政府として中国への今後の有効な対応は「戦略的放置」である。この戦略はストーカーのように付きまとう韓国に対して極めて有効であったことは、その後の「経緯」が証明している。

 韓国に効き目のある「戦略的放置」を、安倍政権が中国になぜ適用しないのか。自民党を含む国会議員の中国利権が韓国利権に比べてはるかに大きいからなのかもしれない。

 しかし、過去の中国の日本に対する態度を振り返れば、「戦略的放置」が急務であるとわかる。

 まず、1972年の日中国交回復(正常化)を米国の頭越しに実行した田中角栄元首相は、激怒した米政府にロッキード事件でつぶされたと噂される。

 しかし、これによって鎖国状態の中国が世界に開かれなければ、いくら●(=登におおざと)小平元国家主席が優秀でも「改革開放」を成功させることができず、中国の繁栄はなかった。改革開放の初期には日本政府や日本企業が全面的に支援した。

 その大恩を、1989年の天安門事件の後、欧米からの非難の矛先をかわすための「あることないこと」をネタにした反日運動で返した。しかも、92年に天皇陛下が訪中されたことにより、天安門の大虐殺の責任を結果的に封印してしまった形だ。

日本中の国民が苦しんだ東日本大震災直後には、ひっきりなしに領空(海)侵犯を激化させた。さらに今、自国の新型肺炎対策に数々の支援を行ってくれている日本への領空(海)侵犯を激化させている。

 日本人の優しさ、思いやりは世界中から称賛されるが、「恩をあだで返す国」にいつまでも「寄り添って」いるのでは、単なるお人よしである。

 共産党独裁によって苦しんでいる中国人民に手を差し伸べたい心優しい日本人は多いと思うが、中国共産党に対する「戦略的放置」こそが、中国人民を救うことになるのだ。


 すでに米下院は、ウイグル、香港、チベットに関する人権法案を次々と可決している。共産主義中国に対し冷戦時代のソ連邦や、第二次世界大戦下のナチスドイツに準じる扱いをしているというわけだ。

 日本は第二次世界大戦でドイツと同盟国になったため、戦後長い間苦しんだ。今回は同じ過ちを繰り返さず、徹底的な「戦略的放置」を粛々と実行すべきである。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】安倍政権は、国民の声を聴き、特亜三国に「economic statecraft」を実行せよ(゚д゚)!

上の記事では、"韓国を歯ぎしりさせた、日本の「戦略的放置」を中国にも断行すべき"とありますが、私がこの「戦略的放置」が始まったころには、とうとう日本も、「economic statecraft(経済的な国策)」をやり始めたと思いました。

「economic statecraft(経済的な国策)」とは、経済的な手段を用いて地政学的な国益を追求する政策です。欧米などでは認識され、政策に応用されていますが、現時点では日本にない概念であり、日本語に直訳するのは難しいです。

これについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本の「安全保障環境」は大丈夫? ロシア“核魚雷”開発、中国膨らむ国防費、韓国は… 軍事ジャーナリスト「中朝だけに目を奪われていては危険」―【私の論評】日本は韓国をeconomic statecraft(経済的な国策)の練習台にせよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、economicstatecraftは、日本にはない概念なので、ほとんど報道されませんが、多くの国々がこれを意図して意識して、適用しつつあります。米国、ロシア、中国などは明らかににこれを意図して意識して実施しています。

韓国は、そのような戦略的な考えはないようですので、戦略的に行うというよりは、散発的にその時々で戦術的な反日のような、economicstatecraftとはいえないようなことを実行しているだけだと思います。

北朝鮮は、経済的にあまりに小さいので、そもそもeconomicstatescraftなどできないのだと思います。北朝鮮が経済的になにかの政策をとっても困る国はないです。だからこそ、核ミサイル開発に踏み切ったのでしょう。

それで、米国と首脳会談にまで持ち込むことができたのですが、最近ではその手が使えず、使えば、孤立したり米国の軍事攻撃を招いてしまいかねないので、結局は使えず、八方ふさがりの状況になっています。

私は、本当は、韓国に対する「戦略的放置」も、economicstatecraftの一環で行われているのではないかと思いますが、日本国内はこれを発動すべき韓国、北朝鮮、中国に対して過度に忖度する勢力が多いので、安倍政権とししては、はっきりeconomicstatecraftであるといえないところがあるのだろうと思います。

これに関しては、日本国内での新型肺炎の感染が深刻になることがあらかじめ、予想されたにもかかわらず、中国からの渡航者を全面的シャットダウンできなかったし、現在でもなおそうしないということから、日本には過度に中国に忖度する勢力が存在することが明らかになったと思います。

おそらく、規模の違いはあっても、日本には特亜3国に忖度する勢力があるのは間違いないです。この勢力は左翼系は無論のことですが、安倍政権の中にも存在します。

安倍政権が結局、習近平を国賓として招くことを未だに中止する動きがないこと、韓国に対しても、さらなる制裁を課すようなことは全く考えていないような態度をとり、結局韓国に対しても、「戦略的放置」にとどまっているのもその証であると思います。

日本は中国にかなり依存しており、中国との関係が悪化すると大変なことになるとか、技術面でも最近の中国は発展したので、日本は中国に技術的にもかなり依存しているなどと思いこむ人も多いようですが、それは事実ではないです。

中国向け輸出は、日本のGDPの3%内外であり、中国向け投資もGDPの1%程度にすぎません。輸入に関してもわずかなものであり、しかも自国での生産や他国からの輸入で代替できるものがすべてです。

最近の事例でいうと、たとえばマスクは日本では中国から輸入が80%を占めるので、最近は日本では全国的に品薄になっています。ただ、いずれユニ・チャームなどの国内メーカーが増産しつつあるので、いずれ是正されるでしょう。中国からの輸入はこのようなものばかりです。

日本からの中国向け輸出に関しては、中国にとって死活的なものが多いです。特に工作機械や精密機器などは中国では製造できず、これがなくなると中国は製造が滞ることになります。

中国の技術はかなり高いと思われていますが、実体は高度な技術は米国や日本などの先進国から盗んだものを組み合わせているにすぎません。驚いたことに、中国では高速鉄道や航空機のネジ・ボルトすら国内で製造できないのです。

このような状況だと、日本が中国との関係を断ったにしても、無論マスクのように一時品薄になるようなことがあっても、いずれ他国からの輸入に切り替えたり、自国で製造するようにすれば、日本としては何も困らないわけです。

であれば、日本は中韓に対してeconomicstatecraftを適用しても、ほとんど困ることはないです。日本は中国や韓国に対してeconomicstatecraftを十分実行し得るのです。

韓国に関しては、最近のあまりの暴虐ぶりに日本国民の中にも、かなり韓国政府に対する批判が高まり、国内親韓派などは、無視して安倍政権は、韓国に対して「戦略的放置」ができるようになりました。

韓国ソウルの延世大学。新型コロナウイルスへの予防を呼びかける垂れ幕の下を歩く学生(2月10日)

であれば、ウイグルやチベット、最近では香港に対して人権を無視した、弾圧を継続しているとか、武漢肺炎の危機がありながらも、尖閣への挑発をやめないとか、習近平が未だ日本への国賓訪問を中止しないなど、中国の最近の暴虐ぶりが国民に周知されれば、安倍政権は中国に対して「戦略的放置」ができるようになる可能性は十分にあります。

それどころか、新型肺炎でこれからも犠牲者が出たり、様々なイベントが中止されたり、実体経済に影響がでれば、安倍政権や親中派に対して怨嗟の声があがるようになるでしょう。

安倍政権としては、政権運営を円滑にするために、二階氏のような親中派に対して党内政治で忖度するのか、それとも国民の声に耳を傾けるのか、選択を迫られる事態になることでしょう。

私としては、安倍政権は、国民の声をきき、特亜三国に関しては「戦略的放置」以上に、「economic statecraft(経済的な国策)」を実行していくべきものと思います。

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2020年1月18日土曜日

トランプ減税2.0では中間層に思いがけない利益も:クドロー【私の論評】安倍政権は、古(いにしえ)の日本に思いを馳せ、まともな経済政策を早めに実行すべき(゚д゚)!


国家経済会議のラリー・クドロー委員長

<引用元:FOXビジネス 2020.1.17

トランプ、2期目ではさらに急速な経済成長を目指す

トランプ政権は中間層の減税という目標を達成する方法を検討し始めている。

給与税の低減はホワイトハウスのリストの上位ではないが、低・中所得者の勤労所得控除を調整することは検討対象となっている、と国家経済会議のラリー・クドロー委員長はFOXビジネスのスチュアート・バーニーに語った。

「我々はこれでさらに急速な経済成長率を目指したい。大統領の2期目に打ち出すものだ」とクドローは語った。

最新のデータが利用可能な期間として、2019年第3四半期の米国の経済成長率は2.1パーセントだった。成長率は2018年の第2四半期に4.2パーセントというトランプ時代のピークに達した。減税・雇用法の可決後のことだ。その法律で最高法人税率は35パーセントから21パーセントに引き下げられ、多くの米国人の個人所得税は削減された。

政権は児童税額控除を継続したいと考えているとクドローは述べた。2018年に2千ドルに倍増されたものだ。また、2017年の税制改革では期限切れを迎える、個人・企業両方の「一部の減税を永続化」することを検討していると述べた。もう1つの選択肢は、即時の経費計上を可能にすることであり、クドローはそれを企業の投資にとっての「とても強力なカンフル剤」と呼んだ。

減税提案は2月に提出されるホワイトハウスの予算の一部となる可能性がある、と事情に詳しい3人の人物がFOXビジネスに語った。だが税法の変更のような大きな法案を可決するのは、選挙の年には通常難しく、特に弾劾の混乱の中ではなおさらのことだ。

「トランプ大統領を再選させれば税率は低くなり、税金の負担は軽くなるだろう」とクドローは語った。

【私の論評】安倍政権は、古(いにしえ)の日本に思いを馳せ、まともな経済政策を早めに実行すべき(゚д゚)!

トランプ氏は、次の再選を目指してまた効果のある減税策で経済成長を目論んています。現在の世界の状況を見れば、このようなことをするのは当然のことと思います。選挙といえば、米国国民が行うものであり、他国の国民は関係ありません。

有権者の多くは、外交や世界情勢などよりまずは国内の暮らしぶりを良くしてもらいたいという願いを持っています。暮らしぶりが安定して、はじめて国家レベルや、国際レベルで物事を考えます。

それは、当然のことです。保守やリベラルと自称する人たちは、まずは国内政治に興味があるのかもしれませんが、日々働いて生活をしている一般国民は最大の関心事は、自らの暮らしぶりと、次に自分が携わっている仕事です。

そのようなことは、日本でも古から知られていることです。日本書紀にある「民の竈」の話など昔から語り継がれています。

仁徳天皇は「民のかまどより煙がたちのぼらないのは、貧しくて炊くものが
ないのではないか。都がこうだから、地方はなおひどいことであろう」と
仰せられ「向こう三年、税を免ず」と詔をされた

左翼や保守を自称する人たちの中には、それがビジネスになっている人たちもいます。そういう人たちが、政治を一番に考えるのも当然のことです。それは、一般の人々が自分の仕事を二番目に考えるのと同じです。

しかし、ビジネスリベラル、ビジネス保守の人たちが、一般の人々が政治への関心が低いことを軽蔑したり、何らかの行動を起こすべきと煽るようなことはすべきではありません。ビジネスで政治に関わるのと、一般人が政治に関わるのとでは、姿勢が違ってくるのは当然のことです。

一般の人々が様々な事業に従事して、各々が限られた範囲の中で専門性や能力等を発揮して、社会の隅々にまで、製品やサービスを提供して利益をあげたり、給料を頂いたりしているからこそ、この社会が成り立っているのです。

多くの人々が、自分の仕事を疎かにして、政治に走れば、社会は成り立ちません。そのようなことを防止するためにこそ、選挙制度があるのです。その選挙制度によって有権者が政治家を選び、多くの人々は政治はその人たちに任せるのです。

政治に関しては、一般の人々はアクション(行動)よりもリアクション(反応)という姿勢でいるのは当然のことなのです。ただし、一般の人々も選挙という制度を通じて、政治にまともに反応すべきであることは、いうまでもありません。

元々は不動産というビジネスをしていたトランプ氏は、このことを良くわきまえているようです。多くの人々の関心は、政治よりも自分たちの暮らしぶりであり、それを政府として改善できるのはまともな経済政策であるということを良く理解しています。

だからこそ、一期目に続いて二期目でも、なるべく効果がありそうな減税政策を実現しようとしているのでしょう。

日本とは異なり、まともな経済政策を実行する米トランプ大統領

昨年10月に消費税を10%にした日本とは全く異なります。いや、米国だけではありません。日本は世界の潮流からかけ離れています。

たとえば、インド財務省は昨年9月20日に法人税を減税すると発表しました。これまでインドの法人税は30%だったのですが、これを22%まで引き下げたのです。しかも2019年4月まで遡って適用したのです。

そうして、今年(2019年)10月1日以降に新規で設立された会社で、2023年3月までに生産を開始する企業の法人税率は、15%に軽減しました。これは、世界でも類をみないほど低いです。

これは合弁企業、つまりインドの国内企業だけではなく、外資系企業も対象になります。重要なのは、税控除を一切しないということです。日本で言うところの租税特別措置、大企業優遇策です。非常にシンプルでわかりやすい法人税制になります。ただ、このインドの減税政策は、米国のトランプ減税をそっくりそのまま真似しているのです。

いまの世界の流れは、他の国もそうですが、いかに税負担を低くするか、景気浮揚を図るかという方向に流れています。この状況で増税したのは日本だけです。

しかも、日本の場合は、増税するだけではなくて、軽減税率が複数あり、ポイント還元もあるので、結局は5通りの税率が存在すると言う事態になりました。これは、税制としては下の下です。シンプルで公平で、わかりやすいことが税制にとって必要なのに、全部が真逆です。軽減税率で線を引くにあたり、そこの裁量で権限が生まれてしまうことになります。

裏読みすると、わざと複雑にして批判をそちらに集め、増税そのものについて議論させないようにしているのではないかとさえ思えてきます。

今回の消費税増税は、特に中小零細企業にとってかなりの負担増です。どちらかと言うと、個人がお金を払う際のことばかり議論されていて、そういうところが置き去りにされています。世界が減税の方向へ向かっているのに、あのタイミングでやるべきことだったのでしょうか。日本だけが取り残されて、沈む可能性が出てきたと思います。

米中の関係も含めて世界経済が減速気味のところを、何とか各国は浮揚させようと頑張っているのにも関わらず、日本だけが増税です。「政府、特に財務省は、空気読めよ、何をやっているんだ」と言われても仕方ないです。

日本増税という税制と比較すると、インドの税制はかなり戦略的で、世界の工場の座を中国から奪うということを目指しています。これは相当大きなインパクトがあります。インドは、確かに社会的に遅れた面はありますが、曲がりなりにも政治体制は自由民主主義体制ですから、中国のように大きな政治的リスクはありません。中国の場合は政治的リスクがかなり大きいです。

そのため、マーケットから聞こえて来るのは、アップルがどうも生産拠点をインドに移す、その検討を開始したという情報です。まだ噂ですが、出ているのも事実です。その根拠として、インドの法人税減税があるのではないでしょうか。

インドモディ首相と安倍総理

法人税減税の話をすると、日本も消費税を上げてつつ、それを原資に法人税を下げているではないか、だから日本も戦略的だと言う人もいます。しかし、それにしては法人税も複雑怪奇すぎます。

しかし、税制はトータルで考えるべきです。何か1つだけ「下げた、上げた」で議論するのではなく、トータルでどうなのか、企業の税負担はどうなのか、なぜあの大企業はこれだけしか税金を納めていないのか、という議論を進めるべきなのです。

たとえば、サービス業はほとんど租税控除の特別措置がなくて、税金を多く払っているにもかかわらず、製造業の大企業は様々な特別措置があります。そのような企業が多く加盟している経団連企業の経営者などは「消費税ばんざい」というようなことを平気で言います。

これは、まったく公平ではありません。日本の場合、税制に関しては公正・シンプルという観点からは、全部真逆を行っているといっても過言ではありません。後々、大きなダメージになるのではないでしょうか。

特に、中小・小規模事業者によるキャッシュレス・ポイント還元事業は、消費税率引上げ後から2020年6月末までと期限があります。来年の秋頃からは、消費が一段と落ち込み、日本経済が確実に沈むと見られます。

そのような状態では、当然の多くの人々の暮らしぶりは以前よりは悪くなります。トランプ政権は一期目でも、公平でシンプルな税制改革で成功し、さらに中間層の減税に向けて準備をしているといいます。

トランプ大統領の弾劾裁判が開廷したため、日本ではトランプ氏の再選は難しいなどと主張する人もいるようですが、このブログでは過去に様々なエビデンスとともに、トランプ氏が再選する可能性が高いと評価してきました。

その中で、トランプ氏の税制への取り組みは最も評価できるところです。なぜなら、多くの人々にとっての再優先順位は自らの暮らしぶりだからです。そうして、ここではっきりさせておきますが、多くの有権者のこのような考え方や行動を軽蔑するような、政治家や保守・リベラルビジネスに携わる方々は、結局滅びの道を歩むことになります。

それは、米国だけではありません。日本も例外ではありません。安倍政権は、発足とともにアベノミクスを発動し、税制では失敗しましたが、発足当時から金融緩和を実行し、最近では引き締め気味ながら、緩和を継続しています。

そのため、雇用はかなり改善され今日に至っています。だからこそ、内閣支持率は今でも高いのです。特に若者からの支持は絶大です。しかし、この空前の雇用も、昨年の10月の増税で帳消しなる可能性が高まってきました。

そうなると、国民の暮らし向きは明らかに悪くことになります。

このことを念頭において、安倍政権には、来年の秋に景気が落ち込む前に、何らかの経済政策を実行して、人々の暮らし向きを改善していただきたいです。

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2019年11月25日月曜日

国際社会で模索すべき香港デモの解決策―【私の論評】安倍政権の財界親中派への配慮は、いつまでも続かない(゚д゚)!

国際社会で模索すべき香港デモの解決策

岡崎研究所
 6カ月以上にわたる香港の抗議運動を巡る情勢は、収まる兆候を見せるどころか、益々激化、暴力も起こり、危険な状態になっている。日本人がそれに巻き込まれ、負傷する事件もあった。現況及び今後の香港情勢は、非常に憂慮される。もともと自由と民主主義を求め、2047年まで保証された「一国二制度」を維持するために平和に始まった抗議運動であり、これが、大きな流血事態を招くようなことを許してはならない。天安門事件のような事態は、中国共産党にとっても回避すべきことは言うまでもない。 

引渡法案に抗議する大勢の人々が参加した6月のデモ

 11月13日付の英フィナンシャル・タイムズ紙の社説は、中国共産党政府が、香港基本法の関連規定の実現となる国家安全法の制定と香港行政長官を選出する普通選挙の導入を抱き合わせで行えないかと提案している。それがデモの平和裏の収束と流血回避の唯一の可能性だと指摘する。ただし、これは、中国共産党にとって、デモへの屈服になってしまい、中国の他の地域への波及の可能性もあり、なかなか実行は難しいだろう。そのことは、フィナンシャル・タイムズ紙の社説も認めている。しかし、国家安全法は、以前にも立法化が試みられたことがあり、内容如何にもよるが、理論的には考えられないことではないように思える。興味深い提案であり、これは、フィナンシャル・タイム紙から中国共産党政権に対するシグナルと考えても良いかもしれない。

普通選挙の実施は、デモ側の五大要求(①逃亡犯条例案の完全撤回、②警察の暴力的制圧の責任追及と独立調査委員会の設置、③デモ「暴動」認定の撤回、④デモ参加者の逮捕・起訴の中止、⑤林鄭月娥行政長官の辞任と民主的選挙の実現)の1つとなっている。兎に角、今や、香港当局がデモ隊側に何らかの譲歩をしない限り、現下の危険な事態は解決されない。それへの代案が中国共産党による軍事介入ということであれば、尚更追求すべき方策かもしれない。北京政府も、民主化を求める住民の意思を無視していては、問題は永遠に解決しないし、武力で問題は解決しないことを認識すべきだろう。

抗議デモの長期化により、香港経済が予想以上に悪化しているという。今年第 3四半期(7~9月)の成長率はマイナス3.2%(前期比)となったという。観光業も不振になっている。

国際社会、特に米国と前の統治国である英国がきちっと中国に話していくことが重要である。米国では、「香港人権・民主主義法案」が下院を通過し、上院も承認すると見られている。日本など他の諸国も、適切な形で平和裏の解決を求めていくべきだろう。

【私の論評】安倍政権の財界親中派への配慮は、いつまでも続かない(゚д゚)!

政府への抗議デモが続く香港で24日、4年に1度の区議会選挙が実施され、投票率は過去最高の71.2%でした。中間集計で民主派が300議席を獲得したのに対し、親中派は40議席に留まり、デモに強硬姿勢で臨む香港政府と中国の習近平指導部に民意が明確にNOを突きつけた形となりました。

親中国政府派の候補者が敗北したことを受けて歓声を上げる民主派の人々

ただし、区議会議員はほとんど決定権がなく、町内の顔役のような役割です。ですからこれで物事が決まるとか、状況が変わることはないですが、民意をキチンと伝えるということはできるようにはなるかもしれません。

香港市民は、現在の林鄭月娥(キャリー・ラム)香港特別行政区行政長官も含めて、行政府に対してはNOを、そうしてその裏にいる中国共産党や中国政府に対しても、NOだという民意が示されたというところも大きいです。

この選挙結果が出る直前に、まだトランプ大統領は署名していませんが、アメリカ議会で香港人権・民主主義法案の可決が行われたということが、大きく背中を押したは間違いないと思います。

米下院は、香港が高度な自治を維持しているかどうか米政府に毎年検証することを求める
「香港人権・民主主義法案」など中国への圧力を強める複数法案を可決。写真は14日に香港

特に香港中文大、理工大でのデモが激しくなって来たあたりで、デモ隊が暴力を振るっていて市民の心が離れているということを、勝手に解説する中国の専門家と称するような方がいましが、結局民意はそうではなかったということです。

むしろ、YouTube等で、警察側の暴力が動画が拡散しています。YouTubeで「香港」というキーワードを入れて検索すると、かなりの動画を見ることができます。大学構内で学生が警察に対して完全に屈している、逮捕されますという姿勢を見せている学生に向けて、硬い靴で顔を思い切り踏みつける、背骨を警棒で殴るという状況も拡散されています。

これはもう完璧に暴力による虐待であり、それに対して市民は強い危機感を持っているし、学生に対するシンパシーを持ち続けているということです。今回の区議会選挙の前段で、あのような強行策を取ったということが、逆の方向に出たしまったのでしょう。民意は行政庁からどんどん離れつつあります。むしろ、40議席を獲ったことが不思議なくらいです。

現地のメディア、或いは記者の人が伝えているネットなどを観るとと、得体の知れない投票箱が運ばれて来て、中身を調べろということになっていました。周りで監視していた市民が、そんな得体の知れないものは受け取れないと揉めていました。また、投票しに行ったら「すでに午前中に君の名前で投票されています」とあったとか、選挙そのものがどうなっているのかということも報道されています。

中国国内においては、建国以来民主的な選挙は行われていません。上は、主席から、下は下級役人まで、どのようなポストも指名によって行われています。中国には、民主的な選挙をどのようにコントロールできるのか、ノウハウがありません。

だから暴力の行使というあからさまなやり方を持ち出したのではないでしょうか。そもそも、中国では建国以来毎年平均2万件程度の暴動があったとされ、2010年あたりからは、毎年平均10万件もの暴動が発生しているといわれています。

これらの暴動を城管、公安警察(日本の警察にあたる)、武装警察、人民解放軍などを用いて、鎮圧してきたわけですから、中国からすれば、デモの鎮圧など簡単で香港のデモなど取るに足らないものと見ていたといのが、大きなミスです。

もう1つのミスは、そういう状況が必ずSNSや動画で拡散、それも瞬時に拡散されてしまうということです。中国サイドは、このあたりを甘く見ていたようです。中国本土ではネットも政府の金盾によるコントロール下にあります。だから香港のネットも簡単にコントロールできるかと思いきや、そうではなかったのです。

さらに、香港には、米国籍、英国籍等外国人が多く存在します。さらに、外見は香港人でありながら、国籍は外国という人も大勢います。これらの人々が、逐一海外に様々な情報を伝えているというところも、大陸中国とは異なるところです。



米国で、香港人権・民主主義法案が成立して、米国の香港に対する最恵国待遇が外されることが確実になって来ました。ブルームバーグが報道したところによると、東京都の担当者が香港の金融機関に対して、東京に戻って来ないかと働きかけているそうです。

東日本大震災以降、東京から避難した香港系金融機関がいくつもあるわけですが、そういう金融機関に対して東京に戻って来ないかと言うだけではなく、拠点を香港から東京に移さないかとアプローチしているそうです。

これに対して、香港在住の金融機関がかなり前向きになって来ているようです。そうなると、香港の金融センターとしての役割も危うくなります。これを中国サイドはどう見るのでしょうか。

現在香港では金融機関の多くの職員が在宅勤務のような形になっているそうですし、長期出張として東京やシンガポールなどで業務をしているところが多いそうです。その長期出張が東京への拠点の移動の1つの布石ではないかと、言われています。

在宅勤務ということは、店舗は閉鎖されていることを意味します。実質的に、金融機能は麻痺状態に陥っているのではないでしょうか。

これを中国はどう見るのでしょう
か。習近平政権は腐敗撲滅運動を実施していて、その大きな拠点が香港であるということは見抜いているようです。ただここを潰してしまうと、本土の赤い官僚貴族たちに対して、広範囲に影響があります。

香港には共産党幹部たちの隠し資産があります。そのような金融機関の動きを見てみると、事実上の内戦状態に陥っているともいえます。つまり戒厳令こそ宣告されていなですが、同じ状況にあるといえます。
米国の香港人権・民主主義法案に関しては、後はトランプ大統領の署名を残すのみですが、仮に署名しなくても、また議会で大多数で可決すれば施行することができます。

たとえ、トランプ大統領が署名を拒否したとしても、採決すれば通ってしまいますから、トランプ大統領としても署名するでしょう。そうなると、問題は日本のスタンスなのです。

来年(2020年)、習近平国家主席が国賓待遇で来日しますが、それをこのまま容認して進めて良いのかということがあります。これは考え直すべきです。

ここに来て、ようやく各政党が非難決議や談話を出し始めましたが、遅きに失した感はく免れません。

現在、各国政府、特に西側先進国はかなり強烈なメッセージを出して、中国との条約の見直し作業に入っている状況です。まさに天安門前夜と同じような状況になっているのは間違いないです。それにも関わらず、日本だけが平時と同じような状況で中国との関係を保っているということは、国際社会のなかで日本が孤立することにもなりかねません。

いままで中国に対して、対話のドアはオープンだと言いながら、言いたいことは言ってきました。どうしてここへ来て変わってしまったのでしょうか。

官邸の方針が変わったということは言えると思います。これまでは少なくとも、安全保障と経済問題はバランスを取って来ました。現在の対中政策は、安全保障問題は後退して、経済一本槍です。安全保障問題に対して消極的姿勢になったようにみえます。

しかし、これは、おそらく中国幻想の妄想から冷めやらない、財界親中派に対する配慮に過ぎないものと考えられます。安倍総理は、総理に就任してから6年間も中国に行きませんでしたが、昨年はじめて中国を訪れています。ところがその翌日に中国から帰った途端、インドのモディ首相を別荘に招待しています。この事実が、安倍外交の何であるかを象徴していると思います。

いずれ財界親中派も、世界の潮流が変わったこと、さらには、中国にはもう先がないことなどを理解することになれば、安倍政権も元の鞘にもどることになると思います。ただし現状でも中国に対する厳しい見方は変わっていないでしょう。

米国をはじめ、世界中の国々が中国に対して厳しい態度をとりつつある現在、安倍政権による財界親中派に対する配慮はいつまでも継続できないでしょう。

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2019年11月13日水曜日

【国家の流儀】韓国と連動して中国、ロシア、北朝鮮による「日本海」争奪戦が始まる…安倍政権はどう対応するか―【私の論評】二正面作戦不能の現在の米軍では、日本を守りきれないという現実にどう向き合うか(゚д゚)!


海自のイージス艦「あたご」

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、数年前から日本の防衛費を上回る軍拡を推進しており、このままだと対馬海峡をめぐって日韓「紛争」が起こることになりかねない。

 もちろん、同盟国・米国は、韓国の「暴走」を必死で押さえ込もうとしている。日韓が紛争を引き起こせば、北朝鮮や中国、ロシアを喜ばせるだけだからだ。

 しかし、残念ながら文政権は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定するなど、米韓同盟を空洞化させる方向に進んでいる。しかも厄介なことに、この文政権の背後には中国共産党政権がいる。

 2017年12月に訪中した文氏は、習近平国家主席から、(1)米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の追加配備はするな(2)米国のミサイル防衛に参加するな(3)日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させるな-の「3つのNO」(三不の誓い)を突き付けられた。この指示通りに、文政権は「離米・反日」を強化しているわけだ。

 この韓国と連動して、今年に入って中国、ロシア、北朝鮮による「日本海」争奪戦が始まった。

 日本海の「大和堆(たい)」という豊かな漁場で違法操業を続けている北朝鮮は、日本の排他的経済水域(EEZ)周辺に連続してミサイルを発射しているが、日本政府は「遺憾の意」を示すだけだ。そうした弱腰に付け込んで、中国やロシアも日本海での活動を活発化させており、7月には中ロ両国の爆撃機が空中集合したうえで、対馬海峡を抜けて東シナ海まで編隊飛行する合同パトロールを実施した。

 東シナ海では、沖縄県・尖閣諸島を含む南西諸島沖に連続で60日以上にわたって、中国海軍の軍艦や海警局の巡視船が出没し、領海「侵入」事件が続いている。中国軍機による挑発行為も深刻で、自衛隊機によるスクランブル発進は過去最多になりそうだ。

 私が知る米軍関係者も「日中両国は、東シナ海で事実上の『戦争状態』にある」と憂慮を隠さない。そうした危機感を背景に、マイク・ペンス米副大統領も10月24日、「米中関係の将来」と題する演説で、東シナ海における「親密な同盟国である日本」に対する中国の軍事的挑発を激しく非難した。

 安倍晋三政権は、海上保安庁第11管区海上保安本部の定員を大幅に増員し、600人を超える「尖閣警備専従部隊」を創設するなど、尖閣を含む東シナ海を必死で守ろうとしているが、劣勢だ。しかも、「紛争」は今年に入って、日本海にも波及しつつあるが、自衛隊と海上保安庁の現有能力で対応できるとはとても思えない。

 南シナ海が奪われ、東シナ海も風前の灯、そして、今度は日本海だ。中国、ロシア、韓国、そして北朝鮮による連携「攻勢」にどう対応するか。大局を見据えた国家戦略の見直しが急務だ。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『天皇家 百五十年の戦い』(ビジネス社)、『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(PHP新書)など多数。

【私の論評】二正面作戦不能の現在の米軍では、日本を守りきれないという現実にどう向き合うか(゚д゚)!

冒頭の記事で、江崎氏が指摘するように、日本海の争奪戦がはじまるかもしれない可能性は確かにありますが、ではすぐにそれが実行されるかといえば、すぐにはないというのが正解だと思います。なぜなら、日本には現在世界で唯一の超大国である、米軍が駐留しているからです。

韓国、中国、ロシア、北朝鮮等が日本海をいずれ我がものしようとしても、米軍が駐留している日本に対しては、挑発くらいしかできません。本格的に奪うことなどできません。

しかし、争奪戦が始まり実際に奪われる可能性も、否定できません。それはどのような場合かといえば、このブログでも以前指摘させていただいたように、中東などで大規模な戦争がはじまり、それに米軍が介入したときなどです。

現在の米軍は、残念ながら世界の警察官として、大規模な二正面、三正面作戦などできません。米国も関与する本格的な戦争が世界で、一箇所にとどまらず二箇所、三箇所と起こってしまえば、米軍は一箇所だけを優先的に選択して戦争するしかなくなります。

米軍の海外配置の状況(グァムは米国領なので含まず)

中東などで米軍が大規模な作戦を遂行しているときに、日本海で同時大規模な作戦を遂行する能力は今の米軍にはありません。

これについては、以前のブログにも掲載したことですが、最近米国のシンクタンクが、これについて研究した結果を発表しています。

中露や中東の軍事的脅威に対応する米軍の能力が「限界」にあるという厳しい評価が下されたのです。これは、米軍事専門シンクタンクによるもので、「現在の姿勢では、米軍は重要な国益を守るとの要求に、わずかしか応えられない」と強調しています。

問題なのは、特に海軍において、この相対的弱体化に即効性のある解決策がないことです。「世界最強」のはずの米軍に何が起こっているのでしょうか。

評価は著名な米保守系シンクタンクのヘリテージ財団によるものです。同財団が10月末に発表した「2020年 米軍の軍事力指標」と題する年次報告書は、米陸海空軍と海兵隊の軍事的対処能力を、非常に強い▽強い▽限界▽弱い▽非常に弱い-の5段階で評価しています。ただ、基準は「2つの主要な戦争を処理する能力」などとしており、2正面作戦を行うにおいての評価であるあたりが超大国米国らしいです。

とはいえ、中東ではイランの核開発、南シナ海では中国の軍事的膨張、さらに北朝鮮の核ミサイル開発と、地域紛争が偶発的に発生しかねない「火薬庫候補」は複数あり、2正面を基準にするのは米国としては当然の条件です。

この5段階で「限界」とは、乱暴な言い方をすれば「戦争になっても勝てるとは言えず、苦い引き分けで終わりかねない」、あるいは「軍事的目標を達成するのは容易ではない」ということです。

同報告書では欧州や中東、アジアの3地域での軍事的環境を分析。例えば中国については「米国が直面する最も包括的な脅威であり、その挑発的な行動は積極的なままであり、軍事的近代化と増強が継続している」などと、それぞれの地域の脅威を明らかにしたうえで、対応する陸海空軍などの米軍の能力を個別評価しています。ところが驚くことに、その内容は、「限界」ばかりなのです。


米陸軍女性兵士

まず陸軍は、昨年に引き続き「限界」のまま。訓練や教育など多大な努力により旅団戦闘団(BCT)の77%が任務に投入できる状態となった点は高く評価されたのですが、兵力を48万人から50万人に増強する過渡期にあり、その準備や訓練に加え、陸軍全体の近代化が課題となっています。

米海軍女性兵士 ネイビー・シールズ隊員

さらに問題なのは海軍です。前年同様「限界」ですが、内容は厳しいです。まず艦艇の数で、「中国海軍300隻と(海軍同様の装備を持つ)175隻の中国沿岸警備隊」(米国海軍協会)に対し米海軍は290隻。トランプ政権は「2030年代までに海軍の保有艦艇を355隻に増やす」との構想を持っています。一部には予算面から、この構想の無謀さを指摘する声があるのですが、本当の問題は355という数字をクリアすることではなく、艦艇の運用面、いわばクリアした後にあるのです。

海軍艦艇は整備と修理や改修、耐用年数延長工事や性能アップのため、定期的にドック入りして「改善」を行う必要があります。一般的に、全艦艇の3分の1はこうした「整備中」にあり、訓練中も含めれば、即時に戦闘行動に投入できるのは半数程度とされます。

ところが米海軍には、大型艦艇に対応するドックが足りないのです。全長300メートルを超える原子力空母ともなれば、ドック入りしなければならないのに他の艦船が入渠(にゅうきょ)しているため、順番待ちが生じている状態なのです。

米国海軍協会などによると、米海軍原子力空母11隻のうち現在、任務として展開しているのはロナルド・レーガン▽ジョン・C・ステニス▽エイブラハム・リンカーン-の3隻のみ。ニミッツをはじめほか8隻はドックで整備や部分故障の対応中といった状態なのです。

しかも空母に限らず米海軍艦艇がドック入りした際の整備の工期は、予定を大幅に超える事態が頻発しているというのです。

過去のオバマ政権時の軍事予算削減が響き、ドックも足りず、整備できる人間の数も足りないのです。このような状況でなお艦艇数を増やしても、整備や修理待ちの列が長くなるだけです。また原子力空母の多くが建造後20年が経つということに代表される、各種艦艇の老朽化、さらには新型艦の不足も海軍を悩ませています。

報告書では「資金不足と利用可能な造船所の一般的な不足により、艦艇のメンテナンスが大幅に滞り、配備可能な船舶と乗組員に追加の負担がかかっている」と指摘されています。

確かに、このような状態で中東と南シナ海、あるいは朝鮮半島で緊迫した事態が発生したらと考えると「限界」の評価はうなずけます。ベトナム戦争の際、米海軍はベトナム近海に常時数隻の空母を展開していたのですが、現状の3隻、訓練中を含めても5~6隻の稼働では「2正面の展開」は困難です。

米空軍女性パイロット

一方で空軍は前年の「弱い」から「限界」にランクアップという、とても素直には喜べない状態です。

戦闘機と攻撃機の数が必要数の8割にとどまっているほか、パイロットの不足などをこの評価の理由にあげています。また海兵隊も「限界」で、近接支援を行う武装ヘリなど海兵隊配備の航空機の維持や保守要員の不足などがマイナスとなりましたた。

報告書は「(米軍は)現在の作戦と準備レベルの維持に人的・物的資源が振り向けられているため、近代化プログラムは苦戦している」としたうえで、「現在の姿勢では、米軍は重要な国益を守るとの要求に、わずかしか応えられない」と結んでいます。

なかでも海軍には「水平線の向こうに警告を示す不吉な雲が見えている」との表現で、“進路”を変えるなら今だとの警鐘を鳴らしていますが、まずはドックから作らねばというのは、「おいしいおにぎりを食べたいから、まず水田を作ろうや」という状態ともとれます。トランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)や日本に軍事的対処能力の向上を求めるのも当然といえば当然なのです。

このようなお寒い状況では、確かに米軍大規模な二正面作戦などできません。中東で米軍が大規模作戦を実行し始めた場合、日本海で大規模な侵略があった場合、米国はこレに十分に対処できない可能性が大です。

かといって、米国ではシェール・オイルの採掘によって、石油は自国で賄えるようになったため、米軍が中東から引き揚げ、現在中国の台頭に悩まされているアジアに主力を置くようにすれば、日本にとっては一見良いようにみえるかもしれません。それで、今まで通り、日本は米国に守ってもらえると安堵するかもしれません。

しかしそれだけでは、日本自体は、安全が確保されるかもしれません。しかし、米軍が引き揚げた中東は不安定化するでしょう。原油の輸入を頼っている日本とししては、これは死活問題です。中東に原油を頼る、他先進国とも協調しつつ、中東に大規模な軍隊を派遣して、中東の安全保障を確保しなくてはならなくなります。

いずれにしても、日本の安全保障は今のままでは、脅威にさらされることになります。まずは、現行の憲法や法律でできることはすべて実行するべきです。防衛予算は、現行のままでも増やすことはできます。無意味な1%枠など捨て去り、少なくとも2%に増額して、同盟国である米国等とも協調しつつ、アジアと中東の安全を確保すべきです。

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2019年7月10日水曜日

【日本の選択】朝日新聞「安倍政権は嘲笑の政治」に違和感 マスメディアの「レベルの低さ」に問題 ―【私の論評】まとめサイトで馬鹿さ加減を日々晒されるマスコミ(゚д゚)!

【日本の選択】朝日新聞「安倍政権は嘲笑の政治」に違和感 マスメディアの「レベルの低さ」に問題

朝日新聞本社

「悪夢のような民主党政権」。安倍晋三首相がしばしば口にする言葉だが、この表現に朝日新聞が噛みついた。7日の朝刊1面に「『嘲笑する政治』続けるのか」というタイトルの政治部次長の記事が掲載されていた。
朝日新聞

 人間関係における笑いは潤滑油だとしながらも、「他人を見下す笑い」を強く非難している。そして、安倍首相が「悪夢のような民主党政権」で沸き起こる笑いは「さげすみの笑い」であり、6年半続く安倍政治とは「嘲笑する政治」ではなかったのかと問いかけるのだ。

 一応、野党に対し、「笑われる野党にも責任がある」というものの、一貫しているのは安倍政権が「嘲笑の政治」を続けているとの批判である。

 私は朝日新聞が、わが国の政治を「嘲笑する政治」と表現することに大いなる違和感を覚えた。結局、いつものごとき「レッテル貼り」ではないか。安倍政権を「独裁政治」と決めつける手法と同じではないか。

 また、新しいレッテルが誕生したのかと思いながら新聞を読み続けると、同朝刊7面には「日本政府は『独裁政権ほうふつ』」という見出しの記事が掲載されていた。

 米紙ニューヨーク・タイムズが、菅義偉官房長官のメディア対応を批判したというのだ。記事いわく、「日本は憲法で報道の自由が記された現代的民主国家だ。それでも日本政府はときに独裁政権をほうふつとさせる振る舞いをしている」と。

 真面目に考えてみれば、日本の民主主義を愚弄し、「嘲笑する」記事だ。これだけ朝日新聞が堂々と批判している日本政府が独裁政権のはずがあるまい。

 米紙が問題視したのは、東京新聞記者に対し、菅氏が「あなたに答える必要はありません」と述べたことだ。

 菅氏と東京新聞記者のバトルについては、ジャーナリスト、安積明子氏の著書『永田町の懲りない人々』(青林堂)に詳しい。読んで驚くのは、東京新聞記者の質問のレベルの低さである。具体的に一例だけあげたい。

 天下り斡旋(あっせん)問題で文科事務次官を辞任した前川喜平氏が新宿の「出会い系バー」に頻繁に訪れていたことに関連し、東京新聞記者は、菅氏がこういうバーに行って、その実態を調査することはないのかと質問したという。

 これに対し、菅氏は「売春や援助交際の温床になりかねないと指摘される店」に、教育行政の責任者がいくことなど「到底考えられない」と応じた。

 東京新聞記者はさらに食い下がり、出会い系バーにおける実態調査の必要性について問い直し、菅氏は「全く必要だとは思っていません」と答えたという。

 なぜ、教育に関する実態調査を出会い系バーで行う必要があるのか? 菅氏が「あなたに答える必要はありません」と応じた質問は別だが、これほどバカバカしい質問に答えたくないと思うのは菅氏だけではあるまい。

 常識の持ち主ならば嘲笑せずにはいられぬレベルの質問を繰り返し、真面目に応答していた菅氏があきれ果て、回答を拒絶すれば、「独裁政権の振る舞い」と非難する。

 問題なのは「嘲笑する政治」ではなく、嘲笑される程度のマスメディアのレベルの低さなのではないか。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員等を経て、現在、大和大学政治経済学部政治行政学科専任講師。専攻は政治哲学。著書に『平和の敵 偽りの立憲主義』(並木書房)、『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)など。

【私の論評】まとめサイトで馬鹿さ加減を日々晒されるマスコミ(゚д゚)!

このブログでは従来からマスコミへの不信感を顕にしてきました。ブログ冒頭の記事は、最近の事例を述べたものですから、以前からマスコミの姿勢には疑念を抱かざるを得ない事例があまりにも多すぎます。

ここ10年で、いわゆる「まとめサイト」は、お馬鹿記者、迷惑取材について、個別に記事にするようになりました。これをみると、日本のマスコミの低能ぶりがよくわかり、こんなもので良く記者がつとまるものだとして多くの人々からマスコミは嘲笑の的になっていたのは、明らかです。

特に、「まとめサイト」はタイトルなどが工夫してあり、興味をかなり引くものが多く、それにつられて読む人もかなり多いです。普通の新聞記事やニュースサイトなど読まない人も、これなら読む人が大勢いるのも理解できます。その「まとめサイト」がマスコミのレベルの低さを日々面白おかしく掲載しています。

そうして、その馬鹿さ加減は、日々「まとめサイト」に掲載され、多くの人々の目に触れ、マスコミ関係者の能力の低さが白日のもとにさらされ続けています。マスコミの馬鹿さ加減、低能さ加減について、知らないのはスマホ、タブレットやPCを使用しない一部の高齢者に限られるようになってきました。

おかげでマスコミ関係者がどの程度の人たちなのか、広く知れわたる時代となりました。以下のその事例を紹介します。

さて、全米オープンで優勝し、凱旋帰国した大阪選手に対し、お馬鹿な質問を繰り返す記者がいるそうです。

―― 参考情報 ――――――――――

帰国した大阪なおみ選手
大坂なおみ選手の帰国会見でバカ丸出しの質問ばかりをするマスゴミ記者がひどすぎると話題に「インスタグラムにどんな写真を載せたい?」「大事にしている日本語なに?」
http://hamusoku.com/archives/9906372.html

大坂なおみ選手に新聞記者が同じ質問を繰り返して司会に排除される 反日的なコメントが欲しかった
http://japannews01.blog.jp/archives/50513843.html
―――――――――――――――――

同じ質問を繰り返す記者といえば、冒頭の記事にもあったように、東京新聞の望月衣朔子が有名です。

望月衣朔子
東京新聞の望月衣朔子が同じ質問で菅官房長官に完全論破される大爆笑の記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=vUHKQFXN-qQ

毎日同じ質問を繰り返す東京新聞・望月氏に、菅官房長官が正論すぎる回答!(※動画あり)
https://snjpn.net/archives/24314

―――――――――――――――――

この方に関しては、私は発達障害を疑ってしまいます。官房長官のそういうタイプの扱いは、心得たものです。この手の人に出会った場合は、菅官房長官のように対応するのが、良いと思います。

同じことを繰り返すという意味では、麻生政権時代に首相の会食場所をぶら下がり取材でしつこく質問した北海道新聞の長谷川綾記者がいました。

―― 参考情報 ――――――――――

北海道新聞 長谷川綾

長谷川綾だけじゃない!社会常識のない「道新」さん


―――――――――――――――――

この記者がいたせいで、内閣記者倶楽部記者というのは、政策ではなく会食場所くらいの取材しかできない、お馬鹿な集団であることが知れ渡ってしまいました。

そのお馬鹿マスコミ史に、被災地で泥にはまったお馬鹿記者が追加されました。

―― 参考情報 ――――――――――

泥にはまった土屋まり

【北海道地震】マスゴミ記者が泥にはまって救出に6時間半もかかる
http://netgeek.biz/archives/126458

―――――――――――――――――

本当に、迷惑な取材行為です。記者として仕事する価値があるのか、と思ってしまいます。

被災地で無断侵入した記者もいました。

―― 参考情報 ――――――――――

被災地住宅に侵入した記者が「取材が仕事だ」と主張するも排除される 管理人の正論が一撃粉砕
http://japannews01.blog.jp/archives/50513730.html

―――――――――――――――――

私が管理人なら、即110番通報、写真撮影し、記者にわび状くらい書かせるでしょう。

さらに、被災地で、嘘をついて通行規制地域に車で出かける、とんでもない行為が確認されているようだ。

―― 参考情報 ――――――――――

北海道被災地でマスコミ車両が通行規制を強行突破 違法駐車やデマ拡散など好き放題
http://japannews01.blog.jp/archives/50513732.html
―――――――――――――――――

この事案、道路交通法ではなく、道路法にて罰金を科されるべき事案です。

―― 参考情報 ――――――――――

車の通行禁止・進入禁止場所の標識一覧と違反した場合の罰金・点数
http://www.kuruma-sateim.com/drive-technique/no-entry/

「通行止めバリケード」を、強行突破したら、どんな罪に問われ罰金はどのくらいでしょうか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14158431044

―――――――――――――――――

この記者は、自身が罰金相当の違法行為をしたという認識があるのでしょうか。こういう事案については、報復措置として、しれっと、、、途中でバリケードで封鎖するのが効果的でしょう。

その上、被災地で食事まで要求するお馬鹿を通り越した、迷惑な記者がいました。

―― 参考情報 ――――――――――

【炎上】「報道陣にご飯ないんですか?」 マスコミの一言に被災者が激怒
http://netgeek.biz/archives/126610

―――――――――――――――――

どのテレビ局の記者でしようか。

マスコミ業界人諸君、こんなお馬鹿・迷惑記者だらけで、日本のマスコミ業界は大丈夫なのか?

頭がおかしいか、お馬鹿だらけでないのか?

気になる方、どこでも良いので、記者会見場等などでマスコミ関係者たちの顔つき、目つきを観察いただきたい。先日、議会傍聴した際、各社の記者をひととおり眺めたが、異常な目つきがすべてを物語っているという印象を持ちました。

彼等ならやりかねない、という雰囲気があるのです!目はすべてを語るのです!

上記まとめサイトを読めば、今や、高校生、大学生たちまで、まとめサイト情報などから、これら問題記者の存在に気づいてしまい、彼らはマスコミ関係者を嘲笑、侮蔑の対象として認識するようになってしまっているようです。

それにしても、マスコミは業種的に、「日本最大の迷惑な業界」という評価になりつつあるように思います。

最後に、最近起きた、不報道と思われる事案の中で、問題記者に関する事案について、以下に紹介させていただきます。

―― 参考情報 ――――――――――

【速報】少女誘拐の疑いでTBS社員の余卿容疑者(30)を現行犯逮捕
http://hosyusokuhou.jp/archives/48822580.html

琉球朝日放送社員、84歳タクシー運転手殴り、支払い免れ図り…容疑で逮捕
https://www.sankei.com/affairs/news/180901/afr1809010016-n1.html

森友学園問題でスクープ(?)を連発したNHK記者、デマと確定して左遷・退職へ
http://netgeek.biz/archives/125885

バスケ日本代表の買春現場を報じた朝日記者はそこで何を?
https://www.news-postseven.com/archives/20180826_747637.html

「ラオスのダム決壊は日本のせい」扶桑社ハーバー・ビジネス・オンラインで志葉玲=増山麗奈の旦那
http://deliciousicecoffee.jp/blog-entry-7192.html

「憲法改正には中韓が反対する」と喚いた記者を安倍首相が一刀両断 反論不能な正論で叩き伏せた
http://u1sokuhou.ldblog.jp/archives/50513222.html

【マスコミ】自民・稲田朋美氏「言ってもいないし、本文でも一切ふれていないことをタイトルにして、言ったことのようにするのはあり得ない」産経新聞iRONNAに訂正申し入れ
http://www.honmotakeshi.com/archives/53975076.html

元毎日新聞記者「河野外相は、北朝鮮外相から『ふざけんなコノヤロー』と怒られた」⇒ 河野外相「なんでこんな嘘を垂れ流すのかな」
http://www.honmotakeshi.com/archives/53966622.html

マスコミのひどさに関しては、このブログでは、以前はかなり掲載してきました。この事実に関してはほとんどの人が知っているだろうと思いここ1〜2年はあまり掲載して来ませんでしたが、それにしてもマスコミの姿勢は今でもかわらず、相変わらず低次元です。

この低次元ぶりは、やはり誰かがというか、大勢の人が警鐘を鳴らし続けなければならないと思います。だからこそ、久しぶりに本日はマスコミに関する記事を掲載しました。

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2019年7月4日木曜日

参院選で自民「40台」衝撃予測! 消費増税で国民の不満が蓄積…残る手は全品目の軽減税率だ―【私の論評】生理用ナプキンが安倍政権を窮地に追い込むのか?

安倍総理

参院選は4日に公示、21日投開票される。年金問題や消費増税問題などの争点が、有権者の投票行動にどう影響するか。

自民党は10月からの消費増税を決めたので、選挙では逆風も強まるだろう。マスコミは「年金問題が自民党にとって逆風要因」と書く。しかし、年金で老後の全てを面倒見ることは不可能だと国民は知っている。年金問題をあおっているのは、軽減税率をほしがり、消費増税を目立たなくしたい一部マスコミのように思える。

ともあれ、マスコミが書かなくても、国民には消費増税の不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。今後は、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがジワリと出てくるだろう。すでにその萌芽(ほうが)は出ていて、6月21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党の支持率は5・1ポイント低下し31・6%になった。これには驚いた。

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。

内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測ができる。

前月の調査結果から、予測される自民党議席数は「53」程度だったが、「48」程度まで落ち込んだ。その後、支持率は少し持ち直したが、消費増税問題が露出すると、獲得議席が落ち込む可能性も否定できない。

参院選の勝敗ラインについて、菅義偉官房長官は、自公両党で非改選を含む全体の過半数の確保といい、二階俊博幹事長は、改選過半数の確保という。

改選124議席の過半数なら63、非改選を含む全体の過半数なら123。自公の改選議席は77のため、菅官房長官のラインは25議席減でもいい。もっとも、二階幹事長のラインは14議席減で、これだと危ない。菅官房長官が勝敗ラインを明確にしたのは危機感の表れだろう。

20カ国・地域(G20)首脳会合で安倍晋三首相のテレビ露出はかなり大きいものだった。ただし、投開票日の7月21日で、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで自民党は持ち堪えられるか。

世界の著名エコノミストがこぞって批判する消費増税である。今からでも、対応可能な手はある。財務省は消費増税、公明党は軽減税率の導入を唱えている。この両者の意見を満たしながら、景気への悪影響を防ぐには、10月から10%への消費増税を行い、同時に全品目を8%の軽減税率の対象にするのだ。これであれば、軽減税率への対応努力も無駄にならないし、基本税率も10%に引き上げられたので増税派も満足だろう。実際の税負担は今と同じなので景気悪化にもならない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】生理用ナプキンが安倍政権を窮地に追い込むのか?

ブログ冒頭の記事で、「全品目を8%の軽減税率の対象にする」という主張は正しいと思います。実際、生活必需品で軽減税率の対象になっていないものがあり、かなりの話題となっています。

特に、生理用品やオムツなどの生活必需品が軽減税率の対象外になっていることに、ツイッター上などで不満が続出しています。

きっかけは、生理用品が対象でないと知ってびっくりしたと、7月3日に投稿されたツイートからです。

この投稿者は、生理用品は生活必需品ではないのかと不満を漏らし、嗜好品や贅沢品の扱いはおかしいと怒りをぶつけました。


さらに、トイレットペーパーや乳児・介護用のオムツも対象外なのを知って愕然としたとし、その一方で、新聞が対象になっているのは理解しがたいと訴えました。

国税庁のサイトにある軽減税率制度の手引きによると、対象品目は、酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される定期購読の新聞だけです。これらを対象にしたのは、低所得者への配慮からと説明されています。

とすると、生活必需品すべてが軽減税率の対象ではなく、先の投稿者は制度への誤解があることになります。投稿者は指摘を受け、後に一連のツイートを削除しています。

とはいえ、軽減税率の内容を理解している人は3割台に過ぎないとの調査結果もあり、投稿者のような誤解はまだ多い可能性があります。また、厚労省の調査で、「生活が苦しい」世帯が約6割と4年ぶりに増加に転じており、こうした背景もあってか、投稿者への共感の声は多かったです。

「なんで新聞ははいってて生活必需品はないんだ」「少子高齢化悪化させたいの?」「政治家の女性比率が少ないからだろうな」「新聞が行う政府批判が信じられなくなる」などです。

生理用品などが軽減税率の対象になっていないことに先の投稿者が驚いたのは、テレビで頻繁に放映しているレジ補助金のCMを見たからの可能性が指摘されています。以下のそのテレビのCMの動画を掲載します。



このCMは、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の直前から流れています。その中で、スーパーのレシートを見せ、たまねぎやじゃがいもなどの飲食料品は対象品目のチェックが付いているものの、紙ナプキンなどにはチェックが付いていませんでした。

投稿者は、このレシート映像を見て、生理用ナプキンなどについても調べたのかもしれないです。そうして、近いうちに生理用品だけでなく、様々な適用除外品に関しても、不まおが鬱積していくと思います。

高橋洋一氏は、

「今後は、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがジワリと出てくるだろう」

としています。そうなると、これからジワジワと国民の消費税造成への反発が高まってくることになります。そうなると、高橋洋一氏が語っているように、参院選は自民党がかなり負けることになることが予想できます。

日本記者クラブが主催して、与野党7党による党首討論会が3日、東京都内で開かれました。安倍晋三首相(自民党総裁)は10月予定の消費税率10%への引き上げ後、さらなる増税について「消費増税を今後10年は、10%から上げる必要はない。社会保障などの財源は高齢者の再雇用による税収増で賄う」としていますが、そうならば8%からの引き上げも同じ理屈で必要がないはずです。

社会保障のため財政健全化をやらないと財政が持たないと、このブロクでは何度も指摘している財務省の大嘘を心の底から信じて、真正面から安倍首相に対し突きつけられるのは麻生氏しかいません。財務省は、麻生財務大臣を通じたことで、各方面に様々な増税キャンペーンを実施しやすかったとみえます。

麻生氏が財務省のトップではなくなったら、今後財務省は10%以上には増税できなくなるでしょう。ということは、安倍総理としては、増税10%後は、麻生切りができるとみているのでしょうか。麻生切とは、無論財務省の力を弱めるということです。


そうして、麻生切ができるということは、麻生氏が政権内にいなくても、安倍総理は十分に政権運営ができるということです。それの裏返しで、今はそれができないということですし、それがために勢いを回復した財務省に対して、増税せざるを得ない状況に追い込まれたということです。

参院選で負けて、その後に麻生切をしたとしたら、後は自民党どうなるのでしょうか。また、どうしなければならないのでしょうか。

今回の増税は10%とかなり切が良く、誰でも計算しやすいので、再び個人消費はかなり冷え込みます。そうなると、経済はまたデフレに舞い戻り、円高になり、雇用情勢も悪化することでしょう。そうして、国民の不満はつのっていきます。

現在の世界経済には不安要素がかなりあります。その不安が現実になり、そのときに日本経済が増税のために落ち込んでいた場合、リーマン・ショックを超えるショックが日本を襲うかもしれません。

そのようなときに、日本がリーマン・ショック時のように、緊縮財政、金融引き締めなどしていては、日本経済は再びどん底に落ち込むと思います。

そのような兆候が少しでもみられた場合、安倍総理はなりふりかまわず、減税と、再び異次元の量的緩和に踏み切るべきです。その時に麻生切ができていれば、それができるでしょう。そうでないと、安倍総理は念願の憲法改正はできずに、政治生命を終えると思います。

女性の恨みは怖いです。ナプキンで安倍総理は本懐を遂げられなかったということにならないようにしていただきたものです。そうして、本来ならばなんとしても最初から10%増税などするべきではありません。全品軽減税率対象などしてしまえば、煩雑な手間が増えるだけです。それにしても、財務省はしぶといです。

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2019年6月22日土曜日

【G20大阪サミット】大阪から世界が動く 米中貿易摩擦で歩み寄り焦点 日本、初の議長国―【私の論評】G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになる(゚д゚)!


G20サミット等開催地

主要国の首脳が一堂に会する20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が28、29日、大阪市で開かれる。貿易摩擦、海洋プラスチックごみ問題など、さまざまな課題で議論が交わされ、初の議長国を務める日本の手腕が注目される。会場となる大阪では2025年大阪・関西万博の開催やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を控えており、G20を契機に世界への魅力発信を目指す。一方、市内は大規模な交通規制が行われ、全国から警察官が集まるなど厳戒態勢を敷き、会議の成功へ万全の態勢を取る。


 ■米中貿易摩擦、歩み寄り焦点 日本、初の議長国

 G20大阪サミットでは、米中貿易摩擦をめぐる議論が注目を集めそうだ。対中貿易赤字を問題視するトランプ米大統領は5月、制裁関税「第4弾」として、中国からのほぼ全ての輸入品に高関税を課す準備を開始。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への輸出禁止措置も決めた。トランプ氏は大阪で中国の習近平国家主席と会談することを表明、摩擦が緩和されるか注目される。

 世界経済の成長持続もテーマ。その一環として日本はデータの自由な流通を促すルール作りを提案する。

 安倍晋三首相は、消費者や産業活動が生むビッグデータなどへの規制を各国でそろえて広く活用できれば、新たな富を生むと説く。根底には、外国企業に対し、顧客データの国外持ち出しに厳しい制約を課す中国に圧力をかける思惑もある。米グーグルなど巨大IT企業に対する「デジタル課税」の統一ルールの方向性も確認する。

 自由貿易の維持に向け、世界貿易機関(WTO)改革も取り上げるが、各国の主張は入り乱れている。WTO上級委員会が韓国による福島県産などの水産物禁輸を容認したことも踏まえ、日本は紛争解決機能の向上を主張。欧州連合(EU)も機能強化を求める一方、中国の不公正貿易に対するWTOの態度が甘いと批判する米国は上級委の人事を拒むなど議論はまとまりを欠く。

 また、世界で年間800万トンに上るとされる海洋プラスチックごみ問題も議論する。政府はプラごみ削減に向けた「プラスチック資源循環戦略」を策定し、安倍首相も「途上国の支援や実態把握に取り組む」と明言。海洋プラスチックごみの流出元の多くは中国やインドネシアなどで、議長国として問題解決に取り組む姿勢をアピールする。


【用語解説】G20

 先進国と新興国の20カ国・地域が入る国際会議の枠組み。源流はアジア通貨危機後の1999年に開かれた財務相・中央銀行総裁会議。リーマン・ショックの起きた2008年に初めて首脳会議が開かれ、定例化した。日米欧の先進7カ国(G7)のほか、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、サウジアラビア、トルコ、欧州連合(EU)で構成している。参加国のGDP合計は世界の8割以上、人口は約6割を占める。

【私の論評】G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになる(゚д゚)!

トランプ米大統領は、28─29日の20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)で中国の習近平国家主席と会談したいとの考えを表明しています。しかし現時点では、万一会談が実現しても貿易摩擦解消に向けた進展があるとの期待は乏しいです。

ワシントンと北京の外交官や政府高官などによると、貿易協議が物別れに終わった先月以来、米中両国の関係がとげとげしさを増す一方となっているため、会談を行うための準備作業すら十分ではないそうです。

逆に会談が不調に終われば、両国の関税合戦は激しさを増し、トランプ氏が中国の通信機器大手華為技術(ファーウェイ)と取引する企業の免許を取り消したり、中国側がレアアースの対米輸出禁止に動く可能性もあります。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は19日、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に先立ち、中国側の対米首席交渉官、劉鶴副首相と会談する見通しを示しました。

ライトハイザー代表は議会で、一両日中に劉鶴副首相と電話で協議した後、G20サミット開催地の大阪でムニューシン財務長官と共に会うと見通しました。


米中通商協議がいつ再開されるかはまだ分からないとしながらも、米国には中国と取り組んでいく明確な意思があると表明。通商合意を得ることは米中両国の国益にかなうとの考えを示しました。

ただし、米中貿易摩擦に関して、G20で何らか解決策が出て、一気に解決するということにはならないのははっきりしています。
米国は昨年夏から秋にかけて、まず対中制裁の第1弾、第2弾として計500億ドル(約5兆5000億円)分の中国産品に25%の追加関税を発動。第3弾として2000億ドル分に10%の追加関税を上乗せし、この2000億ドル分については5月10日、税率を10%から25%に引き上げました。

13日には「第4弾」の対中制裁措置の詳細を発表。対象となるのは3000億ドル分の輸入品で上乗せする税率は最大25%。最短で6月末にも発動可能な状態になる見込みです。

さらに、15日には、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への部品の輸出禁止措置を発動し、関税以外の手段でも締め付けを強化。これに対し、中国は6月1日、米国からの輸入品600億ドル分に対する追加関税率を従来の最大10%から最大25%に引き上げました。

米中互いの対抗措置がエスカレートすれば、短期的には日本企業にもダメージが及びます。

華為の日本企業からの調達額は昨年、66億ドルに達し、今年は80億ドルに増える見通しでした。華為排除の動きが広がる中、同社との取引を停止する日本企業が続出しているほか、第4弾の対中制裁を見据えて中国から生産拠点を移す「脱中国」の動きも出てきた。

「10月時点で海外経済が減速を続けている場合、わが国経済を下押しする影響が大きくなる可能性はある」

日本銀行の桜井真審議委員は5月30日、静岡市での講演で増税の影響をこう分析し、警戒感を示しました。

日本銀行の桜井真審議委員

経済協力開発機構(OECD)は5月21日、世界全体の実質GDP成長率が2018年から縮小し、19年は3.2%、20年は3.4%との経済見通しを発表しました。日本については、19年と20年のGDP成長率をそれぞれ0.7%、0.6%とし、3月の前回予測から0.1ポイントずつ下方修正しました。米中貿易摩擦の影響が大きく、OECDは「持続可能な成長を取り戻すべく、各国政府は共に行動しなければならない」と強調しました。

そのような中、日本が初めて議長国を務めるG20サミットが開かれます。日本は議長国として、機動的な財政政策などを各国に呼びかける可能性が高いです。それにもかかわらず、日本のみが増税すれば、日本発の経済不況が世界を覆うことになる可能性を指摘されることにもなりかねません。

平成28年5月下旬、三重県で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット、G7)で、安倍首相は「リーマン・ショック級」の危機を強調しながら、増税延期の地ならしを進め、直後に延期を正式表明しました。

伊勢志摩サミットで「リーマン・ショック級」の危機を強調した安倍総理

果たして、G20はG7の再来となるのでしょうか。もし今回増税すれば、日本経済は再びデフレスパイラルの底に沈み、内閣支持率がかなり落ちるのは目に見えています。

それでも、増税を実施した場合、安倍政権は憲法改正どころではなくなります。それどころか、野党はもとより与党内からも安倍おろしの嵐が吹き荒れレームダックになりかねません。

まさに、G20前後の安倍総理の意思決定が、安倍政権と国民の運命を左右することになります。

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2019年4月8日月曜日

歴史の法則で浮かんできた、安倍政権「改元後半年で退陣」の可能性―【私の論評】安倍総理の強みは、経済!まともな政策に邁進することで強みが最大限に発揮される(゚д゚)!

歴史の法則で浮かんできた、安倍政権「改元後半年で退陣」の可能性
このまま増税を実施するならば…

大阪の成長は安泰だが、では日本の成長は…?

先週の本コラム「平成は終わるが、大阪の成長を終わらせてはいけない 大阪選挙の論点を11の図表で確認」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63847)では大阪ダブル選挙の情勢について取り上げたが、フタをあけてみれば、大阪ダブル選挙は吉村・松井の維新コンビがそれぞれ府知事・市長に当選した。

これまでの実績が十分にあり、さらに2025年に開催予定の大阪万博と夢洲にIR(統合型リゾート施設)を建設する、という将来への布石も打ってきた維新が負けるはずないと思いながら、選挙は水ものなので、筆者の中にも一抹の不安はあった。

しかし、やはり大阪府・市民は賢明な選択をした。選挙当日、お笑い芸人・ブラックマヨネーズの吉田氏が、ツイッター(https://twitter.com/bmyoshida/status/1114602103056375808)で、

<【大阪】人が必死で考えて、結果まで残して言う意見に対して、「それは違います」と言いきる。背筋を伸ばし首を横に振るだけ。そして、代替案は話し合いが大事だという。いいか?相手の意見を首振って否定する、そんな奴が話し合いで解決できるとか言わないで欲しいんだ。>
とつぶやいたが、これは大阪で維新を支持する一般的な人の、まっとうな感想だろう。
さて、これで2025年万博も夢洲IRも実施に向けて動くことになるので、大阪の成長はひとまず安心である。

一方、日本全体の成長はどうなるか。次の元号が「令和」に決まり、慶賀ムードが高まっているが、「令和」はどのような時代になるのだろうかを予測してみたい。

結論から言えば、それは、今後安倍政権がどこまで続くか、その上でもし安倍政権が続く場合、どのような政策を打つのか、によって大きく異なってくるだろう。

自民党の一部からは、自民党総裁の任期を延長して「安倍四選でいい」という話も出てきているが、これまでの歴史をみると、そう簡単ではないことが分かる。

明治以降、改元があったのは①1912年7月3日(大正元年)、②1926年12月25日(昭和元年)、③1989年1月8日(平成元年)と、今回の④2019年5月1日(令和元年)である。

それぞれ、①は第二次西園寺内閣(1911年8月3日0~1912年12月21日)、②は第一次若槻内閣(1926年1月30日~1927月4月20日)、③は竹下内閣(1987年11月6日~1989年6月3日)の時に起こっている。そして④が第四次安倍内閣(2017年11月1日~)である。

これまでの改元では、改元後半年たらず(ほぼ5カ月後)にその時の内閣が退陣している。①大正後は5カ月18日、②昭和後は4カ月26日、③平成後は4カ月26日で、それぞれ内閣が倒れている。これまでの改元は天皇崩御に伴うもので、今回の譲位はまったく違うものではある。

しかし、それにしても過去3回で改元の5カ月後に内閣が退陣している、というのは不吉な事実である。

改元後、各政権で何が起こったか

①の内閣退陣は、日露戦争後の情勢変化により、当時勢力を強めていた軍部と財政難を理由とする内閣との争いが原因で、1912年12月に、西園寺内閣が総辞職に追い込まれた。

②は、1927年3月の昭和金融恐慌が原因であった。経営危機となった台湾銀行を救済する緊急勅令案発布について、1927月4月に枢密院が否決して若槻内閣が倒れた(枢密院は戦前の天皇の諮問機関であり、戦後は廃止されている)。

③は記憶に新しい。1988年12月24日の消費税導入を柱とする「税制改革法」を竹下内閣は剛腕で成立させた。しかし消費税への反発は強く、そのうえ竹下内閣で不祥事が相次いだこともあり、内閣支持率が低下し、1989年6月に退陣に追い込まれた。

いずれも、今とは時代背景が異なるので、軽々に「歴史は繰り返す」とは断言できない。しかし、若干の示唆もあると筆者は思っている。

①は、国際情勢が大きく変化していたにもかかわらず、それを考慮せずに緊縮財政を言い過ぎた結果といえる。②は、若槻内閣の後を継いだ田中義一内閣の高橋是清蔵相が、モラトリアム(支払猶予令)と大量の日銀券増刷を実施することで昭和金融恐慌がおさまった。裏を返せば、若槻内閣が倒れたのは金融引締政策を行ったためだと解釈できる。③は、いうまでもなく消費税が原因である。

これをあえて、今のマクロ経済政策の財政政策と金融政策に置き直してみると、①と③は財政緊縮政策、②は金融引締政策がそれぞれ原因であると整理できる。

マクロ経済政策という観点から、改元後、半年足らずで安倍内閣退陣が起こりえるのかを考えてみよう。

まず、安倍政権のマクロ経済政策は、アベノミクスの第一の矢である「金融緩和」と第二の矢である「機動的財政」である。2013年からの安倍政権をみると、金融政策では異次元緩和を実施してきたが、2013年から2016年9月までは年80兆円日銀保有国債ペースの金融緩和、2016年9月以降は年20兆円の弱い金融緩和、財政政策では、2013年はまさに積極財政、2014年以降は消費増税を強行した。つまり、「なんちゃって」財政政策というべきもので、これは積極財政とはいいがたい。


こうしたマクロ経済政策の推移をみると、最近の景気動向指数の動きをよく説明できる。
これについては、下図や3月25日付け本コラム<消費増税、予定通り進めれば日本に「リーマン級の危機」到来の可能性>https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63706)を見てもらいたい。

今の状況はどうかというと、安倍政権が実施する金融政策は弱く、財政政策も積極的とはいえない。ということを考えると、実は過去の「改元後退陣内閣」の状況と似ていると言えなくもない。

しかも、今年10月には消費増税を予定している。いくら消費増税を見越して経済対策を行うとはいえ、それが切れたときには消費増税の悪影響をもろに被ることになる。これは、特に③の前例が繰り返されるそれが強い。

参院選、消費増税で敗北すれば…

国際社会からも「このタイミングで消費増税はないだろ…」という常識論がでてきた。3月25日付け本コラムやその他で何度も指摘しているが、中国の経済低迷やイギリスのブレグジットに伴う世界経済の悪化が予想されているが、これらはいわゆる「リーマン・ショック級の出来事」になりうるからだ。

これについて、4月3日のウォール・ストリート・ジャーナルの社説で、日本が今年10月からやろうとしている消費増税は「経済を悪化させるワケのわからない政策だ」と皮肉っている(https://www.wsj.com/articles/land-of-the-rising-unease-11554333457)。

別に米紙にいわれなくても、おかしな政策であることは、例えば、今年6月の大阪G20サミットに参加する中国やオーストラリアが、増税ではなく減税政策をやろうとしていることから、誰でもわかるだろう。G20では世界経済の話も議題として出てくるはずだが、議長国の日本がヘンテコな政策をやろうとしていることが世界に伝われば、恥をさらすことになるだろう。

冒頭の大阪ダブル選挙に戻ると、筆者は大阪の経済を考えれば、維新が勝利してよかったと思っている。このダブル選挙において、反維新勢は自民と公明が中心であった。一方、国政では、維新は今年10月からの消費増税に反対しているが、自民と公明は消費増税を推進している。

官邸はまだ最終的な決断をしていないものの、自民党の大半と公明党はほとんど財務省の追随と言っていいぐらい、増税に傾いている。もし、大阪ダブル選挙で、一つでも反維新が勝利していたら、10月からの消費増税を大阪府市民が望んでいる、という間違ったメッセージを与えかねなかった、と筆者は思っている。

いずれにしても、このまま今年10月からの消費増税を行えば、今年7月の参院選に安倍政権はまともに勝てない可能性がある。そうなると、安倍政権は、四選どころか、即退陣も現実味を帯びてくる。

安倍総裁の四選を、という声が自民党から出てくるのは、安倍総裁下の自民党が選挙に強いからであり、逆に最大の強みである選挙に負ければ退陣を迫られる、ともいえるのだ。実際、第一次安倍政権は2006年9月26日にスタートしたが、2007年7月29日の参院選で自民・公明を合わせて過半数をとれず、9月26日に退陣した。

このときを参考にするなら、参院選で負ければその2カ月後に退陣である。今回の参院選は7月に行われるが、それに負ければ9月に退陣となる。つまり、改元の後、半年ももたずに内閣退陣になり、明治以降の「改元後半年もたたずに内閣退陣」という悲劇が繰り返される可能性があるのだ。

この悪夢を吹っ飛ばすには、「リーマン・ショック級」があり得ることを見越して、今年10月からの消費増税を取りやめにするしかないと筆者は思っている。

【私の論評】安倍総理の強みは、経済!まともな政策に邁進することで強みが最大限に発揮される(゚д゚)!




新元号「令和」に国民の好感が広がっているとみて、安倍政権が安堵(あんど)しています。

内閣支持率も押し上げる結果になり、安倍晋三首相は新時代の象徴として、さらにアピールしていく考えです。過去3回の改元では、立ち会った首相はいずれも半年以内に退陣に追い込まれた。安倍首相がこのジンクスを打ち破れるかも注目です。

「いよいよ令和の時代が始まる」。首相は3日、国家公務員合同初任研修で新人職員約780人を前に訓示。新元号が、万葉集にある梅の花を歌った和歌の序文を引用したことを引き合いに、「それぞれの花を大きく咲かせてほしい」と激励しました。首相は令和時代の政権維持に向け、統一地方選や夏の参院選の勝利に全力を挙げる方針です。

新元号決定をめぐり、首相が心配したのは、事前の情報漏えいに加え、国民の評判でした。首相は1日夜のテレビ番組で「多くの方々が前向きに明るく受け止めていただいて本当にほっとした」と語りました。一部報道機関の世論調査でも令和に好感を持つ人が八割強に上り、内閣支持率も上昇。初めて日本古典を典拠としたことも評価され、政権は自信を深めています。

首相は1日夜、自民党幹部と会食した際、「万葉集がブームになる」と述べるなど上機嫌でした。出席者からは「この勢いで(参院選に合わせた)衆参ダブル選は勘弁してください」との声が上がり、首相は笑って聞いていたといいます。

これまで改元を経験した首相はこの記事の冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるとおり3人。大正(1912年)の西園寺公望首相(当時、以下同)は陸軍2個師団増設問題をめぐる軍部との対立で総辞職。昭和(1926年)の若槻礼次郎首相は金融恐慌によって、平成(1989年)の竹下登首相は消費税への反発とリクルート事件をめぐる疑惑でそれぞれ退陣しました。

ただ、皇位継承に伴う一連の儀式が来春まで続き、国民の祝賀ムードも持続しそうな今回は過去の改元とは状況が違うとの見方が多いです。政府関係者は「当面、自民党は首相を代えられない」と語ったとされています。

今年予定されている儀式

このようなことがあるため、私自身は安倍内閣は仮に消費税増税をしたとしても、参院選で負けることもなく、しばらくは退陣ということにはならないとは思いますが、そのかわり、実質的に増税後は、憲法改正もできずに、レイムダックになり総裁任期の2021年9月までは総理でありつづけるでしょうが、その後の4選の目はでないと思います。

安倍総理が総理大臣になり、他の総理大臣のように劇的に支持率が落下しなかった最大の要因は、やはり経済政策です。その中でも、財政政策は増税により失敗しましたが、金融政策においては、最近は実質上の引き締めに近いところがありますが、それでも過去の政権と比較すれば結果として緩和を実行し続けたことです。

これにより、雇用情勢はかなり良くなっています。これが、安倍内閣の強みの源泉です。これは、理想からいえばは十分とはいえませんが、それにしても、過去の内閣にはない強みです。

さらには、残念ながら自民党の他の幹部や、野党には全くこの金融政策が理解できていません。安倍総理は憲法の改正等その他のことでは、これほどの強みを発揮することはできなかったでしょう。実際、第一次安倍政権はまともなマクロ政策を打ち出すことができず、退陣しました。

やはり、多くの人々は、自分たちや周りの人たちの暮らし向きを最重点に考えるのです。その中でも、雇用は根幹的なものであり、これが確保されなければ、他の経済指標がいくら良くても、政府の経済政策は失敗です。一部の変わり者は別にして、大多数の日々の普通の生活者にとっては、憲法改正など二の次です。まずは、雇用です。

しかし、安倍総理が、10月の消費税増税を実行してしまえば、金融緩和政策の効き目も、完璧に相殺され、安倍総理は強みを失ってしまうことになります。

経営学の大家ドラッカー氏は、強みについて以下のように語っています。
誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、この強みを知る方法を教えています。“フィードバック分析”です。なにかまとまったことを手がけるときは、必ず9ヵ月後の目標を定め、メモしておくのです。9ヵ月後に、その目標とそれまでの成果を比較する。目標以上であれば得意なことであるし、目標以下であれば不得意なことです。
ドラッカーは、こうして2~3年のうちに、自らの強みを知ることができるといいます。自らについて知りうることのうちで、この強みこそが最も重要です。
このフィードバック分析から、いくつかの行なうべきことが明らかになります。行なうべきではないことも明らかになります。
もちろん第1は、その明らかになった強みに集中することです。強みがもたらす成果の大きさには、誰もが驚かされるはずです。
第2は、その強みをさらに伸ばすことです。強みを伸ばすことは、至ってやさしいです。ところが誰もが、弱みを並の水準にするために四苦八苦しています。
第3は、その強みならざる分野に敬意を払うことです。不得意なことを負け惜しみで馬鹿にしてはならないです。自らにとって弱みとなるものに対してこそ、敬意を払わなければならないです。
第4は、強みの発揮に邪魔になることはすべてやめることです。強みを発揮できないほどもったいないことはないです。
第5は、人との関係を大事にすることです。そうして初めて強みも発揮できます。
第6は、強みでないことは引き受けないことです。正直に私は得意ではありませんと言うべきなのです。
第7は、強みでないことに時間を使わないことです。いまさら直そうとしても無理です。時間は、強みを発揮することに使うべきなのです。
これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない。自らが最も貢献できる場所に自らを置き、成長していかなければならない。(『プロフェッショナルの条件』)
安倍総理には、自らの強みを最大限に発揮していただき、増税を見送り、現在日本にとって最も重要なマクロ経済政策に邁進していただきたいです。

そうして、それは必ず大多数の国民に支持されることになります。

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