2022年11月9日水曜日

自民党議員が警視庁マークの「中国人女性」に溺れて首相に紹介 夫婦関係は危機に、情報漏洩リスクも―【私の論評】岸田政権は、日本の警察拠点と指摘された施設にを徹底的に調べるべき(゚д゚)!

自民党議員が警視庁マークの「中国人女性」に溺れて首相に紹介 夫婦関係は危機に、情報漏洩リスクも

中国文化センター開所式で挨拶する松下新平自民参議院議員

中国の「海外警察」が日本にも

 英国の公共放送BBCが先ごろ〈中国、警察の出先機関を外国で設置か〉と報じたが、なんとこの「違法拠点」は日本にも設置されている。さらに、自民党の松下新平参院議員(56)は、登記されている問題の団体の常務理事である40代の中国人女性と“密接”な関係にある上、この団体の「高級顧問」という役職に就任していたというのだ。

 すでにオランダやアイルランドなどは、中国の「海外警察」に対し、違法拠点として閉鎖を命じているというが、中国の公安局が中国国内向けに公開した海外拠点のリストには東京都千代田区の住所が記されている。その住所には「一般社団法人日本福州十邑(じゅうおう)社団聯合総会」(以下、福州十邑聯合)という団体が登記されており、中国の公安局が福州十邑聯合を隠れみのに「海外警察」の活動を行っている懸念があるのだ。

警視庁がマークする人物を秘書として雇用

 今回、問題の核心にいるのが、福州十邑聯合の常務理事に就いている「呉麗香(仮名)」という40代の中国人女性。表向きは日本でナマコの貿易商を生業にしている。だが実は、松下議員と密接な関係にあるとして、警視庁にマークされてきたという。

 かつて総務副大臣をつとめ、党政調副会長や外交部会長なども歴任してきた参院4回生の松下議員は、呉氏を「外交顧問兼外交秘書」として雇い、名刺を持たせ、参院議員会館に自由に立ち入りできる「通行証」まで取得させていた。

 「警視庁公安部はかねて呉氏との関係から松下議員を監視対象にしてきました」

 とは警察庁関係者。

 「何しろ松下事務所の“外交顧問”として議員と行動を共にし、議員が外務省や経産省の役人を呼びつけて行わせるレクチャーにも同席するなどしている。行政府の機密情報や立法府の重要事項が漏洩している危険性を懸念せざるを得ません」

 「通行証」の写真に見えるごとく美貌の呉氏。松下議員は数年前から自身の夫婦関係を危うくするほど彼女に入れあげていた。2020年10月には、首相官邸で開かれたパンケーキの試食会にも呉氏を帯同しており、当時の菅義偉総理に引き合わせている。

 さらに、他ならぬ松下議員自身も福州十邑聯合の“高級顧問”に収まっていたというから、異常事態である。

「娘は再三再四、注意していた」

 また、松下議員は、呉氏の登場により自身の夫婦関係を崩壊させようとしていた。

議員の選挙区である宮崎県内に暮らす妻の母親は、こう憤る。

「3、4年前まで娘はひとり宮崎に残って地元のあいさつ回りをしていたのですが、急に松下から“もうお前は一切、仕事に出るな”と言われるようになったそうです。その頃に、呉と懇意になったんでしょう。松下から“お前がいるから大臣になれない”なんて言われたと娘からは聞いています」

 妻は3人の娘を育て上げ、地元・串間市の元市長と血縁であることから議員本人に成り代わって選挙を戦ってもきた。現在、夫婦は離婚調停中だという。

 「あとは松下が判を押してくれればいいだけなのに押してくれない。自分の体裁を守るためなんでしょう。娘は、得体の知れない中国人の呉が政治家である松下の近くにいることについて再三再四、注意していた。でも、彼は全くその言葉を聞き入れず、いつも呉の言うがまま。事務所で彼女の気に食わない人がいれば、松下がその意を受けて辞めさせるなんてこともあったそうです」(同)

一連の問題について松下議員を質すと、以下の回答が。

 「お尋ねの女性と議員には男女関係はありません。また、現在、当事務所において(参院議員会館の)通行証を交付している人物に上記女性はおりません」

 11月10日発売の「週刊新潮」では、国際的に問題となっている中国の「海外警察」問題と、日本拠点の実態について詳報する。

「週刊新潮」2022年11月17日号 掲載

新潮社

【私の論評】岸田政権は、日本の警察拠点と指摘された施設にを徹底的に調べるべき(゚д゚)!

下の写真は、宮崎県選出の松下新平議員。その左側に居るのが日本国内にある中国警察のトップである女性です。松下氏は先の選挙で当選してしまったのですが、宮崎県民には他に選択肢が無い状況でした。宮崎の自民党は早急に後継者を準備すべきです。よろしくお願いします。


「呉麗香(仮名)」とされる方の写真を以下に掲載します。

呉麗香とされる写真

話題の怪しい中国女性、中国国内向けの記事だと大々的に写真と名前を出してて驚いてしまいます。 彼女本人による記事で 女性の肩書について「日本参議院議員松下新平事務所外交顧問兼外交秘書、日中福清工商会副会長何麗紅」 と誇らしげに書いてあります。全く隠す気がなく大したもんだと思います。sohu.com/a/424705897_28

以下の写真からすると、松下議員が女性を紹介した首相とは、菅総理のようです。

前列向かって一番右が何麗紅

この件で、中国共産党の悪どさがまた1つ、明らかになったといえます。国際法や他国の主権を無視して、米国や欧州、アフリカ、南米、日本などに「海外警察サービスセンター」と呼ばれる独自の警察拠点を築いていたというのですから、驚きです。犯罪者だけでなく、反体制派の摘発が狙いであるのは確実です。

この問題は、スペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・デフェンダーズ」が9月12日、中国の海外警察サービスセンターの活動を詳細に調査した報告書を公表して、明るみに出ました。 

オランダのメディアが10月25日、最初に報じ、その後、英BBCなども追随して、世界に波紋を広げました。オランダ外務省の報道官は「中国警察の非公式出先機関が存在するのは違法」と語り、当局が調査に乗り出しました。

中国側は「海外在住の中国人のための行政サービス・ステーション」と否定しています。 「110 overseas(海外の110番)~常軌を逸した中国の国境を超えた取り締まり」と題された報告書によりますと、中国福州市と青田市の2つの公安当局が、5大陸21カ国で計54の警察拠点を築いていたというのです。

アイルランドのダブリン、オランダのロッテルダムとアムステルダム、英国のロンドンとグラスゴー、スペインはバレンシアとマドリードに3カ所、米国、カナダ、ナイジェリアといった具合です。

なかには、日本の拠点もあります。報告書には「東京都千代田区神田和泉町〇〇」と所番地まで記され、電話番号も付記されていました。ちなみに、この番地を検索すると、中国福州市の関連団体と思われる一般社団法人がヒットしました。

ただし、この団体と警察拠点の関係は不明です。 

いったい、この警察拠点はどんな活動をしているのでしょうか。 

報告書によれば、最初は公安当局が海外で不法な活動をしたり、逃亡した詐欺犯などを摘発する活動が発端でした。やがて直接、海外に拠点を設けて、容疑者に接触し、中国に帰国するよう「説得」する活動に発展しまし。説得といっても、実態は脅迫に近いようです。 

たとえば「中国に帰らなければ、両親や親族が大変な目に遭うぞ」と脅します。応じなければ、実家に「ここは詐欺の巣窟だ」などと記した看板を立てられ、警察の捜査対象であることを付近の住人に知らせる、あるいは子供を学校に行かせない、といった手段が使われたそうです。 

親族は警察に協力する義務を負っており、協力しなければ、彼ら自身が処罰の対象になります。親族が住む家の電力や水道が遮断される場合もあります。犯罪に関連する不動産や資産は当然のように、没収されたといいます。 

その結果、中国当局によれば、2021年4月から22年7月までの間に23万人の中国人が「自発的に帰国」し、司法処分を受けたといいます。 

中国は「中国人が居住してはならない9カ国」を指定しています。トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、ミャンマー、タイ、マレーシア、ラオス、カンボジア、フィリピン、インドネシアです。

実際には、これらの国にも中国人はいるのですが、彼らは「特別な理由」で例外扱いされているようです。

問題の海外警察サービスセンターは、カンボジアを除く8カ国以外の取り締まりに従事しています。センターは福州市や青田市の警察だけでなく、中国共産党中央統一戦線工作部(United Front Work)とも連携しています。 

中央統一戦線工作部は、中国共産党と党外のざまざまな組織の連携を司る党中央委員会の直属組織です。たとえば、新型コロナの発生直後、華僑などを通じて、世界中のマスクや防護服を買い占める作戦の司令塔を担っていたのも、この組織です。 

この1点を見ても、警察拠点が単なる犯罪者の摘発や行政サービスを担う組織ではない、とわかります。汚職官僚や反体制活動家の摘発にも関与しているのです。 

統一戦線工作部はそれぞれの国の協力者を通じて、情報収集したり、捜査摘発活動の便宜を図ってもらう一方、協力者には党幹部との会合設営や表彰などの形で報奨を与えていました。

 政治犯や詐欺、横領などをして海外に逃亡した容疑者の摘発活動は「フォックス・ハント(狐狩り)作戦」と呼ばれています。

人民公安ニュースという中国メディアは2019年3月23日、次のような記事を掲載しています。 
海外サービスセンターの創設によって、青田市警察は海外に逃げた逃亡犯の確保にめざましい突破口を開いた。2018年以来、警察は海外在住の中国人に関係した6件の犯罪を摘発し、解決した。指名手配された逃亡者は逮捕され、2人の容疑者は海外センターの協力を受けて説得され、投降した。
これで明らかなように、海外センターは警察活動の一翼を担っているのです。彼らがターゲットにする狐のなかには、単なる犯罪者や汚職官僚だけでなく、政治犯もいたはずです。 

最大の問題は、こうした活動が当該国の同意や合意なしに、一方的な中国の裁量によって実行されている点です。主権侵害や当該国の法律に違反しているのは明らかです。その一端は、中国が2022年9月2日、全国人民代表大会常務委員会で可決した「反テレコム・オンライン詐欺法」にうかがえます。

同法の第3条は、次のように定めている。 
この法律は、中国領土におけるテレコム・オンライン詐欺に適用されるとともに、海外で実行された中国市民によるテレコム・オンライン詐欺にも適用される。また、中国領土の人々に対するテレコム・オンライン詐欺に関わった海外の組織、個人も責任を負う。
つまり、中国は、自国の法律を海外の組織や個人に対して適用するのです。たとえば、日本人が日本にいながら、いつなんどき、中国の法律を適用されて、罪に問われるか分からない、ということになります。法の域外適用が国際的に許されないのは、当然のことです。 

こうした中国のデタラメさには、実は前例があります。2020年に香港に導入した国家安全法だ。同法38条は「香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が香港特別行政区外で香港特別行政区に対し、本法に規定する犯罪を実施した場合は、本法を適用する」と定めていました。

香港で施行されて國家安全法

 自分が勝手に作った法律を、外国にいる外国人にも適用する。正当な弁護を受ける権利も保証されません。あたかも、中国は「世界はオレの言うことを聞け」と言わんばかりなのです。これでは、友好協力もへったくれもない。こんなことを許すべきではありません。 

岸田文雄政権は、日本の警察拠点と指摘された施設について、そこで何が行われているのか、徹底的に調べるべきです。それとも、親中派で固めた政権に、それを要求するのは無理な話なのでしょうか。この問題への対応は、岸田政権の地金を試す試金石となるでしょう。

皆さんも、お気をつけください。美しい女性が、特段の理由もなく、あなたの周りをうろつくようなことがあれば、まずは、中国のハニートラップを疑うべきです。

軽い気持ちで接していれば、取り返しのつかないことになりかねません。

私の偏見かもしれないですが、ハニトラに簡単に引っかかる男は、若い頃にモテなかった人だと思います。 若い時に女にモテなかった人が年を取り、ある程度の資産を築くと、情けないくらい女に弱くなります。ハニトラではないですが、私自身そのような男性を何人か知っています。そういう人は本当に、びっくりするような行動をします。

 ちなみに私は若い時も今も全然モテないので、ハニトラにはめちゃくちゃ弱いと思います。ただ、それを自覚しているかしていないが、運命の分かれ道になると思います。

残念なことに、現在日本には、中国のマネートラップやハニートラップにかかった政治家、学者、官僚、マスコミ関係の人々が相当数存在するでしょう。 ただ、その事実は本人や中国が表に出さない限り明らかにならないです。そのため、松下新平議員の例は、珍しいといえるかもしれません。

しかし、その見分け方は難しくないです。異様なほど中国寄りの行動と発言を取る人のことは、疑うべきです。それからすると、松下氏を知る多くの人が、今回の暴露について、驚きもしなかったかもしれません。ただし、松下議員が、重要な情報を中国に漏らしていたとすれば、これは厳しく断罪すべきです。

日本が生き残るためには、国内の中国スパイを一掃しなければならないでしょう。もしできなければ、日本は中国側の一員と見做され、世界から厳しい目でみられることになります。米国などからは、セカンダリー・サンクションの標的になるでしょう。最悪は、中国の属国となり、50年後は国そのものが消えているかもしれません。

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2022年11月8日火曜日

ウクライナ戦争は外交も追求すべき時が来ている―【私の論評】中間選挙で共和党が大勝利すれば、米議会は包括パッケージを用意し、ウクライナ戦争をやめさせるかもしれない(゚д゚)!

ウクライナ戦争は外交も追求すべき時が来ている

岡崎研究所

 フィナンシャルタイムズ紙の外交問題コメンテーター、ギデオン・ラックマンが、10月17日付けの論説‘Diplomacy should not be a dirty word in the Ukraine war’で、ウクライナ戦争につき、外交とウクライナに対する軍事的支援のこれら二つのアプローチは並行して進めるべきであり、互いに補完するものだ、外交が必要だ、と述べている。主要点は次の通り。


・ロシアは益々必死になっている。ロシアの弾薬は枯渇してきており、プーチンは、残る唯一の道具として核の使用を脅かし、ウクライナや西側の国を譲歩させようとしている。

・62年のキューバ危機に見られたような秘密交渉を伴うような外交がウクライナ戦争には欠落している。

・外交を強力な軍事的支援に代わるものと考えることは間違いであり、外交は戦闘と同時に進んでいる必要がある。

・米国とロシアのチャネルはほとんどない、第三者の外交はもう少し成果が出るかもしれない(例えば、トルコやインド)。

・幅広いパラメーター(交渉要素)の中には、ロシアの2月24日以前のラインまでの撤退、ウクライナの海へのアクセス、空域支配、安全保障など生存可能な国家の保証等があるがクリミアは最大の難問である。創造的解決のための外交がもっと必要だ。

*   *   *    *   *   *

 上記のラックマンの主張は思慮深い。外交交渉には良いタイミングが必要だとは良く言われることだが、2月のロシアの侵略から既に半年が経過、ウクライナの国土やインフラは激しい被害を受け、人命も多くが犠牲になり、今や冬季の到来を控え、ロシアの攻撃により電力供給が激減している。

 他方、ロシアも多くの軍人が犠牲になり(米国は死傷者数7万、8万とも推計)、弾薬やミサイル等の武器の供給能力にも問題があり、政府に近い者を含め国内の反対も根強いと言われる。経済については思いの他に強靭だとの見方もあるが、制裁は相当効いているに違いない。時間が経てば、更に効くだろう。そう考えると、双方にとり外交を追求すべき時期に入っているはずである。

 双方とも出来るだけ戦場で勝って、強い立場から交渉したいと考えるだろう。ラックマンは、外交と戦争は同時並行で進むべきだと言う。外交と戦闘を二者択一に考えるべきでないというのは、正しい(特に現段階に至っては)。

解決点をどこに見出すのか

 もう一つ難しい問題は交渉のパラメーターである。ウクライナ戦争は、この点が特に難しいように見える。外交交渉での取引の均衡が非常に難しい。何故ならこの戦争は余りに酷いロシアの侵略であり、半々のバランスではロシアを利することになる可能性が高い。

 ラックマンはクリミアが最大の難問だと言う。しかし、賠償の支払い、戦争犯罪の追及等の問題もありうる。対露制裁を一挙に解除することもできないだろう。

 ウクライナ対ロシアの取引が難しければ欧州に係る要素や米露関係の要素を入れてパッケージを大きくすることが考えられるが、それも容易ではない。しかし、外交はもう進めるべきであろう。

 仲介者についても、ラックマンの示唆する通り、トルコ、インドの可能性がある。国連も自力ではともかく、何らかの形で関与させるのが有益かもしれない。中国の役割を期待する向きがあるかもしれないが、側面援助はともかく仲介者にするには信用が足りない。

 つくづくプーチンは理屈のない、無思慮な戦争を無謀に始めたものだ。戦争は最低でももっと合理的で、規律のあるべきものだ。

【私の論評】中間選挙で共和党が大勝利すれば、米議会は包括パッケージを用意し、ウクライナ戦争をやめさせるかもしれない(゚д゚)!

米当局者幹部がここ数週間、ウクライナに対して、ロシアとの外交協議に前向きであることを示すよう求めていることがわかっています。情報筋が明らかにしました。紛争の終結が見えず、両国とも和平交渉に熱心ではないため、戦争への関与に対する米国内の支持が弱まることが危惧されています。

こうした協議はウクライナに対して、今交渉を行うよう促すものではありません。米国は、ウクライナ政府が、戦争に対する解決策を見いだすことを希望しており、道徳的にも優位な立場にあることをより明確に示すことを望んでいます。

ゼレンスキー(左)とプーチン

ウクライナのゼレンスキー大統領は10月、ロシアのプーチン大統領との交渉の可能性を正式に否定する法令に署名しました。ロシアがウクライナの4つの州を違法に「併合」したことへの対抗措置でした。

ゼレンスキー氏は法令に署名する前の9月に、「ロシアは、ウクライナの領土を占領していると認める用意ができていない。これは、実質的な会話が行えないことを意味する」と述べていました。

ゼレンスキー大統領がこの法令に署名して以降、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、こうした発言を変えるよう、より圧力を加えるようになりました。

ゼレンスキー氏は10月、「我々は、ロシアと交渉する用意がある。しかし、ロシアの別の大統領とだ」と述べていました。

情報筋によれば、サリバン氏は先週ウクライナを訪問した際、ゼレンスキー氏とこの問題について直接話し合いを行いました。サリバン氏は米国の見方を説明し、プーチン氏とのあらゆる協議を行わないということは、ウクライナが話し合いを拒絶しているというロシア側の物語を補強することになりプーチン氏の思うつぼだと伝えたといいます。

一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は7日、ロシアはウクライナとの交渉に前向きではあるものの、現在はそのタイミングではないと述べました。

ペスコフ氏は記者団に対し、「我々は、ロシア側が交渉を通じて、その目標を達成することに前向きだと繰り返し述べている」と語りました。ただ、ロシアは現時点ではそのような機会を目にしていないとし、理由として、ウクライナ側による、あらゆる交渉を継続しないとの法令を挙げました。

ロシアのプーチン大統領の戦争目的は何なのか、未だにはっきりしません。当初は、ウクライナに電撃戦で侵攻し、キーフ等を手中に収め、ゼレンスキー政権を国外逃亡させて、ウクライナに傀儡政権を樹立し、これをもってウクライナをNATO諸国との間の緩衝地帯にしようと目論んだと考えられます。

しかし、当初の目論見は、ロシア側の予想をはるかに上回る頑強な抵抗にあい、完全に失敗しました。今後、これが成就する見込みは、ほとんどなくなったと言って良い状況になりました。

その後も、ウクライナ領土内での戦争が続いていますが、プーチン大統領は結局何をしたいのか、はっきりしません。無論、相手に手の内を読まれたくないので、そうしているという面もあるのでしょうが、それにしても、戦争目的が全くはっきりしません。そのためか、出口戦略も全く見えてきません。

一方、米国のバイデン政権も似たりよったりのところがあります。米国に戦争の「出口戦略」がないことは、以前から識者が懸念していました。外交問題評議会のリチャード・ ハース会長は、「奇妙なことに、ウクライナでの西欧の目標は初めから明確とは言い難い。ほぼ全ての議論が手段に集中している。何が戦争を終わらせるかにほとんど言及がない。どう戦争を終了すべきかに答えることは、ロシアとの闘争が重大局面をむかえる中、大規模な戦闘の気配がするので、死活的に重要だ」と早くから指摘していました。

西側は戦争終結の出口戦略とウクライナ支援をパッケージにすべきです。ロシア軍の完全な敗北を目指すと核の惨劇のリスクは高まり、そうならなくても人道被害は甚大になるので、西側は武器支援をキーウが受け入れ可能な紛争解決に関連づけ、もうそろそろ「必要であれば(ウクライナへの)軍事支援の栓を閉めることも厭わないと示す」べき時が近づいているのかもしれません。

プーチン大統領は、ウクライナがEUに加盟することには、反対していません。このブログにも以前述べたように、ウクライナが支援パッケージで経済支援を受けた上に、NATOに加盟できた場合、かなりの経済発展をする可能性があります。前世紀には世界中でみられたものの、今世紀に入ってからはあまりみられなかった、かなりの経済発展がウクライナでみられるようになるかもしれません。

それだけ、ウクライナには潜在可能性があります。ロシアから干渉、国内のあまりに酷すぎた腐敗などが一層されれば、人口も比較的多く、宇宙産業、航空産業、IT産業などの基盤が整っているウクライナは大躍進する可能性があります。

ただ、いまのままでは、ウクライナ戦争はいつまで続くかわかりません。今までは、リアルな解決法を模索することは、ロシアのプロパガンダに利用されるだけといえたかもしれません。そのことを恐れたからこそ、2月24日以前の領土を取り戻すことができれば「ウクライナにとっての勝利とみなす」というキッシンジャー氏の発言にゼレンスキー大統領は、激怒したのでしょう。

しかし、戦争が始まってから、9ヶ月近くになっています。もうそのような状況ではなくなりつつあります。この状態が続けば、ロシアは経済的にも軍事的にも疲弊し、ウクライナは自国領土が主戦場ということでかなり疲弊します。両方とも、先が見えないことに対してかなりの不安を感じているでしょう。

もうそろそろロシアもウクライナも理想論や原理原則ばかりを語ってはおられなくなり、現実的な「出口」戦略を模索することになるでしょう。

まさに「戦争にチャンスを与えよ」で米国の戦略家ルトワック氏が語っていたことが現実になるのです。ルトワック氏は、平和な時代には人々は戦略問題を軽視し、近隣諸国の不穏な動きにも敏感に反応せず、日常の道徳観や習慣の方を戦略課題よりも優先してしまう。このために戦争のリスクが一気に高まるといいます。

これは、まさに2014年当時のウクライナであり、現在の日本の状況でもあるかもしれません。


また、戦争が始まると男達は戦争に野心やロマンを見出し、嬉々としてこれに参加しようとします。しかし、戦争が一旦始まり、膨大な量の血と物資の消耗が始まると、最初の野心は疲弊と倦怠感に取って代わり、戦う気力はどんどんと失われていきます。

ウクライナもロシアもこの状況になったか、そうなりつつあるのは間違いないです。

人々は遺恨や憎しみよりも平和を希求するようになるといいます。あるいは抗争中のどちらかの勢力が圧倒的な勝利を収めた際も戦争は終結します。破れた側に闘う力が残されていないためです。戦争を本当の意味で終結させるのは膨大な犠牲を待たねばならないのです。つまり戦争が平和を生むのです。現在、ウクライナ戦争はこの方向に向けて動き始めているといえるでしょう。

この考え方は、リベラルの立場の人たちには、到底許容できない考え方であり、絶対善のウクライナは、絶対悪のロシアに完全勝利しなければならないと考えることでしょう。

しかし、ウクライナはすべきではない妥協はしないまでも、できる妥協はすべきでしょう。これは、ロシアも同じです。

妥協には2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモン王の裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基きます。前者では半分は必要条件を満足させます。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となります。半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

現在、米国では中間選挙が行われています。もし、この選挙で共和党が圧倒的に勝利すれば、米国はウクライナ戦争への政策を変える可能性があります。

現状では、バイデン政権は、ウクライナに対して、ロシアとの外交協議に前向きであることを示すよう求めている状況ですが、共和党が圧倒的な勝利をすれば、米国議会は、出口戦略とウクライナ支援をまとめた包括パッケージを用意し、ウクライナ、ロシア双方に対して妥協点を見出して、戦争をやめるか、休止するようにせまるかもしれません。

この動きに対して、安倍元総理が存命であれば、日本もロシアとウクライナの仲介をし、日本も「包括パッケージ」を用意して、戦争の集結に尽力できた可能性が高いです。それだけではなく、北方領土交渉もかなり進めることができたかもしれません。

ただ、現状の岸田総理と、林外務大臣には、それを望むべくもないでしょう。米国の動きに追従するだけに終わるでしょう。残念至極です。

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2022年11月7日月曜日

このまま財務省の言いなりで終わるのか?岸田首相、最後の手は「埋蔵金」の活用しかない―【私の論評】終戦直後、軍が物資を隠匿しなければ、国民は飢えずにすんだ。今も変わらぬ役人の習性(゚д゚)!

このまま財務省の言いなりで終わるのか?岸田首相、最後の手は「埋蔵金」の活用しかない


旧統一教会の野党法案は評価できるが…


 10月3日に臨時国会が召集されて1ヵ月が経った。既に69日間の会期の半分近くが過ぎたことになる。

 この国会は旧統一教会への対策法案が一つの山場だ。政府・与党は、消費者契約法改正を打ち出し、野党の立民・維新からは救済法案が出されている。

 不安を煽って高額な壺などを買わせる霊感商法の契約を取り消せる現行の消費者契約法について、政府・与党の改正法ではその要件緩和が柱となっている。

旧統一教会の集団結婚式

 一方、立民・維新の救済法案は、寄付金の上限だけでなく被害者の家族による返金要求や罰則の導入などが盛り込まれている。

 元役人の感覚から言えば、野党案はなかなか野心的なもので、興味深い。被害者の家族による返金要求では、家庭裁判所が認定すれば返金が可能になるなど、行政だけでコトを進めないのもいい。

 野党案はやや乱暴なところもあるが、国会で修正すればいいものとなる可能性もある。ただし、与党の公明党は大変だろう。なにしろバックにいる創価学会への飛び火の可能性もあるからだ。その意味で与党が今ひとつ乗り気でないので、成立の可能性は少ないだろう。

 次は物価対策の補正予算だ。一般会計では29兆円程度の規模であるが、その財源は、23兆円程度の国債発行によることになった。

 岸田政権はこれまでも経済対策を打ってきたが、本コラムに書いたように補助金系ばかりで、その執行は必ずしもうまくいっていない。正確な数字は決算まで分からないが、筆者の直感などでは20兆円程度の使い残しがあるように見える。

「埋蔵金」と「消費増税」

 今回、一般会計で29兆円の補正予算となり、その財源は23兆円程度が国債発行になると報道されている。この補正はこれまでの未消化分でかなりの程度予算を組めると思っていたら、さすがに未消化を前面に打ち出すのは不味いので、国債発行で対応するようだ。

 ということは、未消化分はまた「埋蔵金」になる可能性があるということだ。

 このように埋蔵金は、その時々の財政運営や経済環境によって変わりうる。財務省によるフローの一般会計における各種の会計操作は、結局特別会計のストックによって調整せざるを得ない。この点が筆者が特別会計の「埋蔵金」に着目する所以だ。

 本コラムで指摘した外為特会(外国為替資金特別会計)の埋蔵金の存在については、相当な反響があった。11月1日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」に出演してくれと言う依頼があり、VTR取材があった。そのためか、与野党の議員からも様々な連絡があった。彼らには、国会で議論してほしいと答えている。

 いわゆる「霞が関埋蔵金」について、民主党は政策の財源として掲げていたが、政権交代後は十分に出すことができなかった。

 筆者は、埋蔵金について「民主党政権関係者は埋蔵金が出せず、あると騙されたという人もいるが、民主党はZによる事業仕分けやZによる消費税増税したくらいだからZの言いなりだっただけ。ちなみにオレは事業仕分けに参加せず消費税増税反対だったけど」とツイートした。ここでのZとは財務省の意味だ。

 すると意外なことに、立憲民主党の原口一博氏が「確かに、反省している。あるはずの埋蔵金を出せずに、見当違いのところを掘り続けたからだ。後の方は、Zの言いなりの政治家が自爆装置のスイッチを押した。」と返した。

 やはりだ。それにしても、民主党内で消費増税で内部分裂していたのは知っていたが、原口氏の言うとおりの「自爆」で、民主党は政権を失った。筆者は「今国会での論議を期待しています」と返事した。

安倍元首相に失礼だと思わないのか

 埋蔵金というのは、筆者は特別会計における資産負債差額で、使っても特別会計運営に支障の出ないものとしている。筆者が小泉政権時代に着目したのは、財政融資資金特別会計、外国為替資金特別会計などだった。もちろんすべての特別会計をみていたので、少額なものを含めれば他にもたくさんあった。

 民主党政権時代にも埋蔵金はなかったわけではない。国債整理基金特別会計にも10兆円程度弱あったので、当時の野党議員が質問したが民主党政権はやらなかったので、第二次安倍政権になったとき、最初の景気対策で使った。安倍・菅政権の時には、労働保険特別会計にもメスを入れて、景気対策に活用した。

 それにしても、財務省の補正予算のやり方は酷い。標準的な手法なら、使い残しを集めてきて、できるだけ国債発行を抑えるのだが、そうなっていない。

 そのことは、政府税調の消費税増税論議が報道されていたから、筆者にとっては想定内だった。政府税調では「未来永劫10%では日本の財政もたない」などの声が委員から出たと報じられている。国債発行は増税への地ならしなのだ。

 何しろ故安倍元総理は、民主政権の負の遺産である二度の消費増税をやらざるを得なかった。不本意ながらそれを果たした後、「後10年は増税不要」と言ったわけだ。故人に失礼なことを言ってるのが分からないのが、「ザイム真理教」こと財務省だ。

 岸田首相は1年前の自民党総裁選において、安倍首相と同じフレーズを使っていた。それなのに、財務省から増税主張が出てくるというのは、財務省はもはや岸田政権を見限っているのでは、と邪推してしまうほどだ。

 財務省の言いなりのままでは、岸田首相の支持率も低下し、そのうちポイ捨てされてしまうだろう。ここは、外為特会などの埋蔵金50兆円を活用し、新規国債発行なしで補正予算を組み、来年度予算の防衛費なども賄う必要がある。

髙橋 洋一(経済学者)

【私の論評】終戦直後、軍が物資を隠匿しなければ、国民は飢えずにすんだ。今も変わらぬ役人の習性(゚д゚)!

上の記事にもあるように、埋蔵金を活用すれば、新規国債発行なしで補正予算を十分に組むことができます。にもかかわらず、新規国債発行するのは、高橋洋一氏も指摘するように、一重に財務省が埋蔵金を埋蔵させたままにしたいからです。

2008年当時の埋蔵金

それは、以下からも明らかです。

政府は今後の防衛費増額に充てる財源の一つとして、厚生労働省所管の2つの医療系独立行政法人に対し、積立金(利益剰余金)の国庫返納を前倒しで求める方向で調整に入りました。

独法は関連法で業務運営計画である中期目標期間の終了時に保有する積立金を国庫に納めることが定められていますが、期間途中での返納は異例です。防衛費増額の財源は年末の国家安全保障戦略など「安保3文書」改定に合わせて決める必要があり、早期返納はこれに道筋を付ける狙いもあるとされています。

返納を求めるのは、全国有数の公的医療機関グループである国立病院機構(NHO、楠岡英雄理事長)と地域医療機能推進機構(JCHO、山本修一理事長)の2法人。令和3年度の積立金はNHOが819億円、JCHOが675億円となっています。

両法人は、政府が新型コロナウイルス流行時の病床確保に向けた補助金を支給し始めた2年度以降、収益が急速に改善しました。計87ある独法の中でも積立金が突出して増えたことから、早期の国庫返納を求めるとされています。

JCHOは、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が今年3月末まで理事長を務めていました。コロナ病床だと申告し、補助金を受け取りながら患者を受け入れない「幽霊病床」の存在も指摘されていました。

両法人の中期目標期間はともに5年度までの5年間で、積立金の返納は通常ならば6年度となります

政府は防衛費増額の財源確保策の一つとして両法人の積立金を計上するため、今月に入り、両法人に早期の国庫返納を求める方向で検討に入りました。独法の関連法には国庫に前倒しで返納する規定がないため、新たな立法措置も検討するとしています。

独法による早期の国庫納付を巡っては、東日本大震災の復興財源にあてるため、平成23年度に特例法によって鉄道建設・運輸施設整備支援機構が積立金1・2兆円を納付した例があります。

財務省は自分のところの巨額な埋蔵金(50兆円)を温存するために、他省の小粒な埋蔵金(0.1兆円程度)に話をそらしているとみえます。

そもそも、財務省は本当に矛盾しています。日本政府が財政破綻するというのなら、本来ならば真っ先に埋蔵金を取り崩して、経済対策などを行うべきです。

埋蔵金を使わずに、新規国債を発行して、経済対策をするというのですから、やはり埋蔵金をなるべく温存しからでしょう。

岸田政権が埋蔵金の有効活用ができないようでは、やはり財務省の言いなりであり、しかも、財務省からはすでに見限られているとみるのが妥当だと思います。

日本の終戦直後には、官僚による物資隠匿が日本国民に悪影響を及ぼしたことがあります。とにかく、日本の役人は昔から物資などを隠匿する習性があるようです。それについては、このブログも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【田村秀男のお金は知っている】「新型ウイルス、経済への衝撃」にだまされるな! 災厄自体は一過性、騒ぎが収まると個人消費は上昇に転じる―【私の論評】今のままだと、新型肺炎が日本で終息しても、個人消費は落ち込み続ける(゚д゚)!
日本は確かに、原爆を2発も落とされ、主要都市はことごとく爆撃され、とんでもない状態になりましたが、それでも統計上は終戦直後には、国富の70%が残り、そこからスタートしたのであり、良くいわれているように戦後のやけのヶ原でのゼロからのスタートではなかったのです。

大都市や中核都市は焼け野原になっていても、地方での農産物や、製造の基盤は残っており、そこからのスタートであり、決してゼロではなかったのです。そのような物資や基盤を求めて、終戦後しばらくの間は北海道への他地区からの移入が続きました。

しかし、日本の場合は他の先進国では見られなかった特殊な現象がありました。それは、軍部による様々な物資の莫大な隠匿でした。それは、金塊から、米、小麦粉、砂糖、塩、医療品、衣服など様々な膨大な隠匿物資があったことです。
NHKスペシャル「東京ブラックホール」で紹介された、旧日本軍による隠匿物資
これらは、戦争中は戦争継続という意味合いで、まだ理解できますが、戦争が終わっても隠匿していたのは理解できないところです。これは、はっきり言うと犯罪です。

このように、様々な物資が隠匿されたため、終戦直後の多くの国民の生活はかなり貧しいものでしたが、それら隠匿物資も、米軍に摘発されたり、闇市で売られるようになったり、その闇市が日本の警察によって摘発されるなどして、市場に出回るようになりました。そうして、ご存知のように日本は驚異の高度成長を遂げることになるのです。

日本の軍人というか、陸軍省等実体は役人ですから、何やら日本の役人には、物資を隠匿するような習性が元々あったようです。そのような習性は、現在の財務省の官僚や、日銀の官僚などに今でも色濃く受け継がれているようです。

主戦直後の食糧不足については、親や祖父母からも聞いたことがあります。ただ、こちらは、北海道札幌市ですから、まだ本州と比較すれば、さほど酷いとは言えなかったようですが、それでもひどかったようです。

多くの人が飢えに苦しまされたといわれています。闇市などもありましたが、法外な値段で売られておりなかなか多くの人が入手することはできませんでした。

闇市というと、闇市で捕まった人たち裁判で裁く裁判官が、一切闇市のものは口にしなかったので、餓死してしまったという悲惨なこともありました。

終戦直後は、軍(とはいえその本質は役人)は、米や小麦粉、金塊などを隠匿しました、それは現在の価値に直すと、数兆円に及ぶといわれています。信じがたいことです。そのため実際に多くの人がなくったり、栄養失調になったりしたのです。

そんなことをすれば、自分の家族や親戚や、知り合いだって、とんでもないことになるかもしれないことなどは、お構いなしでそのようなことをしたのです。

現在の財務官僚も同じです。埋蔵金をため込み、それを放出しようとしないのですから、隠匿物は異なるものの、その本質は変わりません。

結局どの時代にも役人なるものは、その機会があれば、物資でもお金でも、溜め込む習性があるのです。

この役人の習性はどこかで必ず打破しなければなりません。岸田総理が経済対策のために、埋蔵金を利用することを決心すれば、その一歩となるはずです。

それを実行すれば、岸田総理は名宰相として歴史に名をとどめるでしょう。財務省にいわれるまま、増税などしてしまえば、国民から離反され、財務省からはいいように使われ、捨て石にされるだけになります。

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2022年11月6日日曜日

岸田首相、日本の税収「過去最高68兆円超」でも増税目指す…SNSでは怒りの声「なんで還元しない?」「国民の敵としか思えない」―【私の論評】 岸田総理は、増税して未来永劫「財務省の操り人形」と謗られるか、大宰相となるのか、その瀬戸際に(゚д゚)!

岸田首相、日本の税収「過去最高68兆円超」でも増税目指す…SNSでは怒りの声「なんで還元しない?」「国民の敵としか思えない」


 11月4日、2022年度の一般会計税収が「68兆3500億円余り」と、過去最高額となる見通しだとロイター通信が報じた。所得税、法人税などが堅調に推移しているという。

 国の税収は、増加の一途をたどっている。2020年度には60兆8216億円、2021年度は67兆378億円と、連続で最高額を更新。2022年度の税収が報道どおりなら、3年連続で最高額の更新となる。

 一方、相次ぐ物価高により、国民の生活は苦しい。食料や日用品だけでなく、電気・ガス代の負担も上がり、10月からは雇用保険料も値上げされた。

 それでも、岸田文雄首相はあくまで「増税」を目指しているようだ。経済記者がこう語る。

 「ここ最近、国民の負担増につながる政策が次々と提案されています。まず、10月末の政府税制調査会では、複数委員から『消費税率アップの議論をすべき』『10%のままで日本の財政がもつとは思えない』などの意見が出ていると報じられました。

 ほかにも、社会保障審議会の部会で、国民年金保険料の納付期間を5年間延長する議論がなされています。2023年度から保険料の年間上限額を2万円引き上げ、年間104万円とする方針も了承されました。

 また、政府は車の走行・重量・環境に応じて課税する『道路利用税』、株式の譲渡益や配当から得られた所得に対する『金融所得課税』の見直しについても検討しています。列挙すればキリがありません」

 “超重税国家” を目指すかのような政府の動きに、SNSでは怒りの声が殺到している。

 《なんで増税するの?国民は貧窮してるのになんで減税しないの?余ってるなら還元してくれよ》

 《多くの国民の生活が逼迫していく中、反比例して政府にお金が集まっている。国民の「敵」としか思えない》

 《ただでさえ末端にお金が行き渡っていない日本社会において『日本社会から68兆円分のお金を消失させて国民を更に貧しくすることに成功しました!』ってドヤ顔されても困るぜよ…》

 《『国の税収はコロナ禍でも伸び続け…』それ自体がおかしいでしょ!?なんで還元しないの!?鬼ですか!?》

 岸田首相は、どこまで国民からむしり取ろうとするのだろうか。

【私の論評】 岸田総理は、増税して未来永劫「財務省の操り人形」と謗られるか、大宰相となるのか、その瀬戸際に(゚д゚)!

上の記事は、雑誌FLASHのものですが、さすがに現状で増税論議ということについては、マクロ経済に疎いマスコミの記者でも、やはりおかしいと感じるのでしょう。

安倍元総理大臣は、政治家の中ではマクロ経済を一番理解していましたから、現状での増税に関しては大反対であり、その理由や、増税しないで国債を発行すべきではないことを主張していました。さらには、国債を発行しても、それは将来世代へのつけにはならないことの理由も説明していました。

ただ、安倍元総理のこうした主張については、マクロ経済の知識を持っている人なら、理解もしたでしょうが、そうではない人は必ずしも理解していたとはいえないかもしれません。

ただ、安倍元総理が存命のときには、安倍元総理は与党自民党内でも力のある政治家であり、財務省も警戒して、増税したくてしたくて、たまらない気持ちを表には出さず、たとえば防衛費を上げるにしても、海保の予算も組み入れるなどのことで、防衛費を嵩上げして実際にはさほどあげないようするなどの、目立たないようにしようとする姿勢等がみえました。

ただ、安倍元総理が亡くなった途端に、財務省が急にせり出してきて、自らは直接増税を言わないようにしながも、税調を財務省の走狗のメンバーで固め、そのメンバーなどに増税論をどんどん言わせるように仕向けたようです。

そうして、税調のメンバーも財務省の洗脳により増税正義と信じている人々の集まりで、これまた、安倍元総理が亡くなってタガが外れたためか、堰を切ったように「増税、増税」と叫ぶようになったようです。

ただ、あまりにも増税色が強くなったため、多くの国民から反発を買う結果になってしまったようです。

上の記事には示されてはいなかったものの、10月26日、政府の税制調査会は、自動車税制の見直しに着手していて、そのなかで「走行距離課税」が浮上したことが報道されかなりの反発を招いています。


ハイブリッド車の普及などで、ガソリン税・軽油引取税などの燃料課税は減収が続いています。2022年度は3.2兆円で、2007年度から約1兆円減る見込みです。ガソリン税・軽油引取税は「道路特定財源」として、道路の維持や整備に使われており、その代替となる財源を確保する狙いだとされています。

ただし、道路などの財源などは、そもそも税金で賄おうとするのが間違いであり、本来は建設国債などで賄うべき筋のものです。これは、マクロ経済的にはごく当たり前の考え方です。

ただ、マクロ経済に疎い人は、財務省や財務省からレクを受けた政治家などから、燃料課税は減収が続いているから、などと真顔でいわれると「そうなのかな?」などと思いこんでしまうのかもしれませんが、ただ、上の記事にもある通り、22年度(21年)の税収は過去最大であることが報道されており、これを知れば、「なぜ増税?」と考えるようになるのは当然のことだと思います。

これは、やはり税調が強力な「増税路線」に走ったことが原因だと思われます。2018年度の国の一般会計の税収が60・4兆円となり、バブル期末期の1990年度を28年ぶりに上回って過去最高額を更新しました。世界経済の好調で株式の配当収入が増え、所得税収を押し上げたためです。


2018年度(2017年)といえば、コロナ以前であり、安倍総理も存命中であり、税調も増税一辺倒でありながらも、現在のように「増税」「増税」と叫ぶようなことはありませんでした。

そのためもあってか、当時は税収がバブル期を超えたからといって、「還元しろ」とか「国民の敵としか思えない」など反発の声は、起こってはいませんでした。

やはり、税調が「増税」「増税」の声をあからさまに上げたため、税収が過去最高でも、増税するという異様な姿勢が浮かび上がったものと考えられます。

ただ、政治に関心のある人は別にして、それ以外の人は、税調のバックには財務省がいて、財務省が何が何でも増税したいと考えているとは思っていません。

税調はあくまで「岸田政権」下の組織であり、岸田総理自身が、増税したいと考えていると捉えます。上の記事もまさにその論調です。


このまま、財務省の増税路線に乗ったまま、増税を続ければ、国民からは離反され、支持率が低下して、党内政局が岸田政権を終わらせる方向で動き出すかもしれません。一方、そのような動きが出ても、財務省は岸田総理をかばうようなことはしません。彼らにとって、時の首相など捨て石にすぎません。

岸田総理は国民から見放され、財務真理教団にはカモにされるために、総裁選に出たのではないはずです。 増税して未来永劫「財務省の操り人形の木偶の坊」と謗られて石を投げつけられるか、それとも国難に際して「大型補正予算」で国民を救った大宰相となるか。今岸田総理はその瀬戸際に立たされています。

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2022年11月5日土曜日

北朝鮮が黄海へ短距離弾道ミサイル4発、米軍は戦略爆撃機を展開―【私の論評】北が黄海にミサイルを発射したのは、朝鮮半島浸透を狙う中国を牽制するため(゚д゚)!

北朝鮮が黄海へ短距離弾道ミサイル4発、米軍は戦略爆撃機を展開

4月15日、平壌の金日成広場で行われた市民パレードに登場した巨大な北朝鮮国旗

 韓国軍合同参謀本部は5日、北朝鮮が同日午前11時32分~同59分ごろ(日本時間同)、北西部の東林(トンリム)付近から朝鮮半島西側の黄海に向けて短距離弾道ミサイル4発を発射したと発表した。北朝鮮は米韓の軍事訓練に反発し、前例のない頻度で連日、弾道ミサイル発射や砲射撃といった軍事的挑発を繰り返している。

 韓国軍はまた、5日まで米軍と韓国周辺で実施中の合同航空訓練「ビジラント・ストーム」に米空軍の戦略爆撃機B1Bを2機投入したことも明らかにした。B1Bを朝鮮半島周辺に展開させるのは2017年12月以来、約5年ぶり。

 北朝鮮はこれまでも米戦略兵器の展開に強く反発してきており、今回の発射は戦略爆撃機の投入を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

【私の論評】北が黄海にミサイルを発射したのは、朝鮮半島浸透を狙う中国を牽制するため(゚д゚)!

黄海とは具体的にどこなのか、以下に地図を示します。


北朝鮮にとって、黄海の対岸は中国です。黄海に向けて、ミサイルを打つということは中国に向けてミサイルを打つということです。

韓国軍は、北朝鮮が2日午前、東部から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射し、このうち1発が分断後初めて国連軍が設定した海上の境界線を越えて落下したと発表しました。

北朝鮮は、この3発を含めさまざまな種類のミサイル合わせて10発以上を日本海と朝鮮半島西側の黄海に向けて発射しています。何発なのかはわかりませんが、北朝鮮はこの日も黄海に向けてミサイルを発射しているのです。

北朝鮮はロシアに向けてもミサイルを発射したことがあります。今回は、発射はしていないようです。

黄海に向けて、北朝鮮がミサイルを発射することの意味は何なのかということは以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮、SLBM発射兆候も確認“核実験へ向け軍事的挑発の段階高める”との見方も―【私の論評】これから発射されるかもしれない北朝鮮のSLBMのほうが、日本にとってはるかに現実的な脅威に(゚д゚)!

2014年金正恩第1書記が、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)のロメオ級潜水艦を視察

この記事は、10月4日のものです。この記事より一部を引用します。 

北朝鮮の核はSLBMも含めて、北京など中国も標的にしているということです。北朝鮮に核が存在することと、北朝鮮が朝鮮半島に存在するということ自体が、中国が朝鮮半島に浸透することを防いできたという面は否めません。金王朝は明らかに、朝鮮半島が中国に浸透されることを嫌がってきました。中国に近かった金正男氏の暗殺は如実にそれを示しています。

北朝鮮が存在しなければ、中国はずっと以前に、朝鮮半島を中国に併合し、中国の朝鮮省か、自治区にしたことでしょう。少なくとも半島全体に深く浸透していたことでしょう。朝鮮半島に中国傀儡政権が誕生していたかもしれません。

中国は常に北朝鮮の核を「暗黙の了解」で庇ってきました。しかし、庇ってきた背景には、北の核に対する脅威もあったものと考えられます。米国は北核放棄の条件付で韓国、日本、台湾の「核容認外交カード」を対中国外交カードとして交渉するのが望ましい選択肢ではないでしょうか。中国にとって一番怖いのは日本の核武装だからです。
米国は北核放棄の条件付で韓国、日本、台湾の「核容認外交カード」を対中国外交カードとして交渉するのは確かに理想的ではあります。北が核を放棄したとしても、韓国、日本、台湾が核武装すれば、それは中国を牽制し、中国が朝鮮半島に浸透することを牽制できます。

ただ、北朝鮮は簡単には核を放棄しないでしょう。北が民主化すれば、米国は北を守るでしょうが、そうでなければ、守らない可能性のほうが大きいです。だとすれば、金王朝を守ることを使命としている金正恩は、中国の浸透をおそれ、やはり核ミサイル開発を放棄しないでしょう。

国連安全保障理事会は4日、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射を受け、緊急の公開会合を開きました。中国とロシアを除く13カ国が非難や懸念を表明したましたが、中ロは北朝鮮擁護の姿勢を堅持。声明発出など安保理は一致した行動を取れませんでした。

ロシアは、現状ではウクライナで手がいっぱいです。中国も米国との対立や国内の経済の悪化などで、手がいっぱいという状況です。

そのため、北がミサイルの発射をすることを養護していますが、ロシアは軍事的にも経済的にも落ちていく一方ですが、中国はまだ余力があります。

北が核ミサイルを放棄するようなことでもあれば、すぐに北朝鮮への浸透を開始するでしょう。

米国は北は核ミサイルを放棄することはないとみているでしょう。それを承知の上で、空母や攻撃型原潜や死の白鳥とも呼ばれるB1Bを派遣して、北朝鮮を牽制しています。

米国としては、北朝鮮を牽制しているとみせて、中国に対する牽制もしているとみるべきでしょう。

それは、台湾有事もありますが、朝鮮半島への中国の浸透への牽制という意味もあるでしょう。

多くの人は、台湾有事を差し迫ったものと考えているかもしれませんが、私としては、朝鮮半島有事もそれと劣らずあり得る危機だと思います。

米国は、北が核ミサイルをすぐに放棄するようなことがあれば、それこそウクライナにロシアに侵攻したように、北朝鮮も中国に侵攻される可能性があると考えているでしょう。

そうなると、ロシアがウクライナに侵攻して苦戦しているようなことにはならず、中国はすぐにも北を打ち負かすことになるでしょう。そうなれば、朝鮮半島はすぐに中国の手に落ちることになります。

米国は、北に核ミサイルを放棄させるにしても、それによって中国に浸透されないようにするため、ある程度時間が必要だと考えているでしょう。

だとすれば、日本は北の脅威に対して自らも対処できる体制を整えるべきです。すぐに核武装とはいかないまでも、少なくとも長距離ミサイルを配備し、北の脅威に備えるべきです。そうして、それは中国に対する牽制にもなります。

日本は長距離ミサイルを開発する能力はあります。実際に、現行の中距離ミサイルを改良し長距離ミサイル(12式改ミサイル)を開発し実戦配備する計画があります。

10月19日、井野防衛副大臣 は三菱重工業㈱小牧北工場を視察し、12式地対艦誘導弾(12SSM)能力向上型をはじめとする誘導弾の開発・製造の状況を確認しました。

 スタンド・オフ防衛能力や総合ミサイル防空能力の構築・強化に向けて、開発・製造態勢の強化を進めていくことは重要です。


ただこの12式改ミサイルを実践配備するまでには、数年間を要します。そこで、そのブランクを埋めるために米国からトマホークミサイルを輸入しようと考えているようです。

これには、バイデン政権も大賛成のようです。なるべく早く実施すべきです。そうして、いずは自前で長距離ミサイルを配備するようにし、国内の防衛産業を育成していくべきです。

ただ、現在検討されている12式改ミサイルは、威力は十分でないという意見もあります。最初はそうであっても、とにかく開発して、その後さらに改良したり、別のものを開発して、北朝鮮とともに中国も牽制できるものにすべきです。

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2022年11月4日金曜日

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」―【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」

ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官

 ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官が4日までに、首都キーウ(キエフ)市内で産経新聞の単独インタビューに応じた。ニコレンコ氏は日本のウクライナ支援に「心から感謝する」と表明し、両国がともにロシアに不当に領土を占拠されているとして、北方領土問題の解決に向けて2国間の協力強化を呼び掛けた。露軍がウクライナの民間施設への攻撃を強めている現状については、「ウクライナ人に対するジェノサイド(集団殺害)」だと糾弾した。

 ニコレンコ氏は、日本が「技術、人道両面でウクライナを支援し、対露制裁にも積極的に取り組んでいる」と述べ、「心から感謝している」と表明した。

 またゼレンスキー大統領が10月7日に「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と表明したことに関して、「日本をめぐる状況は(ロシアに)領土を占領された現在のウクライナと酷似している」と指摘。北方領土問題も、「国際法が侵害された事例であり、解決が必要だ」と主張した。

 ウクライナは現在、2014年にロシアに併合された南部クリミア半島の奪還に向けた国際会合「クリミア・プラットフォーム」を主導しているが、同会議で得た知見を「北方領土問題の解決にも活用できるのではないか」と述べ、両国間の協力強化を呼び掛けた。 一方、日本政府がロシア極東の石油・天然ガス開発事業に出資を継続する意向を示していることに関しては、「ロシアビジネスに関する一般論」だと前置きしつつ、「ロシアは原油や天然ガスを国際市場で売った資金で、ウクライナ人を殺している。われわれは、ロシアと商売をすることは間違っていると考えている」と述べた。

 10月10日以降、露軍がキーウを含むウクライナ全土の電力インフラなどへの攻撃を激化させている現状については「人々が生き延びるために必要なすべを奪おうとしている」と断じ、「ウクライナ人に対するジェノサイドに行きつく行為だ」と非難した。

 プーチン露大統領については、「戦場でウクライナ軍に勝利できないから、軍事とは関係がない施設を攻撃(して戦果を主張)することで、国民の目から自国の損失を隠そうとしている」と批判。「モスクワ(ロシア政府)が他の旧ソ連諸国の国民に指示できるという病的な考え」をプーチン氏が持ち続けており、「そのために、われわれが巨大な損失を被っている」と語った。(キーウ 黒川信雄)

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上の記事に出てくる、クリミアプラットフォーム(ウクライナ語: Кримська платформа, 英語: Crimea Platform, クリミア・タタール語: Qırım platforması)は、ウクライナとその大統領、ウォロディミル・ゼレンスキーの外交イニシアチブです。

クリミアプラットフォーの事務局開設

2021年8月23日の会議で始動され包括的なアプローチを強く求めている国際的枠組です。ロシアによって2014年に併合された南部クリミア半島の奪還を求める国際プラットフォームです。

 大統領は、ドンバスの平和とクリミアの脱占領は、重要な優先課題だと強調し、「残念ながら、ノルマンディ・フォーマットの議題にはクリミア問題はなかった。

しかし、クリミア問題は、これまでも今も今後も、私たちの議題であり続ける。クリミアが占領され、ウクライナ人やクリミア・タタール人が恒常的な迫害を受け続けている限り、世界はクリミアを忘れてはならない」と強調しました。

その上で大統領は、ブダペスト覚書の安全保証について話すだけでは領土は帰ってこないとし、「私たちは、(返還のための)新しい効果的手段を模索している。クリミア問題を国際議題に押し戻すためだ。私たちは、『クリミア・プラットフォーム』というフォーマットを作っている。同プラットフォームは、クリミア住民の人権と半島脱占領のための国際的努力を調整するものだ。私は、すでに欧州連合(EU)、英国、カナダ、トルコ、その他のパートナーとこのイニシアティブについて協議した。その内の多くが、積極的に参加する準備がある」と伝えましたた。

ちなみに、ノルマンディー・フォーマットは、ノルマンディーコンタクトグループとも呼ばれ、ドンバス戦争とより広範なロシアウクライナ戦争を解決するために集まった国々のグループです。グループを構成する4か国、ドイツ、ロシア、ウクライナ、フランスは、フランスのノルマンディーでのD-Day祝賀会の70周年の際に最初に非公式に会合を開催しています。設立は、2014年6月6日です。

ノルマンディ・フォーマット4国(独仏宇露)首脳会議。12月9日のパリ。

岸田総理大臣は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合へオンラインにより、出席しています。

8月23日、ウクライナ政府は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合をオンラインで開催し、ウクライナからヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(H.E. Mr. Volodymyr ZELENSKYY, President of Ukraine)及び関係閣僚、並びに関係国政府・国際機関の首脳等が出席しました。

同首脳会合に際し、岸田文雄内閣総理大臣が、概要以下のビデオ・メッセージを送る形で参加しました。

メッセージの内容の概要は以下です。
(1)ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。日本は、クリミアを含めたウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持し、一方的な現状変更の試みには断じて反対します。
(2)日本は、強力な対露制裁を講じるとともに、人道支援、財政支援、装備品等の提供、物資輸送支援等のウクライナ支援を実施してきました。今後も、先般のG7エルマウ・サミットにおいて発表した追加支援を含め、総額約11億ドルの支援を実施していきます。
(3)ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、国際社会が結束して対応することが重要です。今週末のTICAD8の機会を捉えたアフリカ諸国への働き掛けなど、これからも、我が国独自の取組を全力で進めていきます。
(4)日本は明年、G7の議長国を務めますが、ウクライナにおける一刻も早い平和の回復及び復興の実現に向け、国際社会と緊密に連携しつつ、また日本の経験を活かし、最大限の努力、積極的な貢献を続けていきます。
以下にビデオ・メッセージの動画を掲載します。


先日辞任したばかりの英国のトラス首相が外相のときの4月に、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきと発言していました。この発言は、プーチンにとってはかなりショッキングなものだったようです。

日本もロシアに対しては、英国なみの対応をすべきでしょう。特に日本はG7では唯一ロシアとの間に領土問題を抱えている国です。しかも、ロシアにより不当に占拠されているのです。

日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

これは、夢物語とか仮の話ということではなく、十分にありえることです。今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、ロシアは北方領土どころでなくなる可能性が高いです。

そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い、人口の約4割を占める)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。

2014年北方領土で集会を開くウクライナ出身者ら

日本が人道支援名目で北方領土に介入し経済支援すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、ロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

ウクライナの報道官が語るように、現在は日本にとっても北方領土を取り戻す絶好の機会といえます。クリミアプラットフォームのやり方は、日本にも大いに参考になるに違いありません。

そうして、これを日本がやり遂げれば、日本の世界での存在感は高まるのは、間違いありませんし、世界の多くの国が軍事的に現状変更をすれば、必ずそれに対する報いを受けなければならないときがくることを知ることになります。

北方領土に関しては、GDPが韓国なみの貧乏国ロシアは、ロシアとしては超破格の数千億の支援をしていました。数千億と聞くと、かなりの支援と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では普通の都道府県等に対する支援に相当する程度すぎないのですが、人口二万人の北方領土に対する支援は、将来も見越してのことだったと思われます。これらも無意味になるのです。

日本ならば、これをはるかに上回る支援ができます。生活環境が整備され、産業の振興も行われということになれば、北方領土のロシア人やウクライナ人はこれを歓迎するでしょう。

これは、中国のような国に現状変更をすることは、結局高い代償を払わなければならないことになることを思い知らせることになります。

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2022年11月3日木曜日

バイデンの国家安全保障戦略が示す米国と世界の課題―【私の論評】現状の日本の安保は、財源をどうするかに焦点が移ってきた(゚д゚)!


 10月12日付のニューヨーク・タイムズ紙(NYT)で、同紙のデイヴィッド・サンガーが、バイデン政権が発表した国家安全保障戦略について、示された課題や目標に対して手段や施策が伴っていないとの批判がある旨論じている。


 バイデン大統領は、10月12日に発表した国家安全保障戦略において、今後数年間の米国の課題は、「自国の傷ついた民主主義の回復に注力しつつ」「中国に対抗し」「ロシアを抑制すること」であると宣言し、長期的には、「修正主義の外交政策で権威主義の統治を重ねようとする」と中国の動きをより懸念していることを明らかにした。

 同文書で、ロシアは、国際システムに対する差し迫った脅威ではあるが、中国は、国際秩序を再構築する意図と、その目的を推進するための増大する経済力、外交力、軍事力及び技術力を併せ持つ唯一の国であると記している。

 ただ、「米国は、ロシアやいかなる国にも、核兵器の使用やその威嚇により目的を達成することを許さない」とあるが、「許さない」の意味や、プーチンがウクライナで戦術核兵器を使った場合の米国や北大西洋条約機構(NATO)の対応ついての説明はない。

 サリバン補佐官は、第一に、国際秩序の将来を形成するための大国間の競争、そして、第二に、気候変動、感染症、テロ、エネルギー、インフレなどの国境を越えた課題への対処という二つの戦略的課題を強調した。しかし、既にそれらの難しさに直面している。

 バイデンは、夏に訪問し原油の増産に同意したサウジアラビアが、石油輸出国機構(OPEC)の減産する動きを主導したことで足をすくわれた。中国の気候問題への協力はほぼ停止状態になり、ロシアとの核兵器の制限に関する「戦略的安定」交渉も終わった。

 戦略文書の軍事計画の多くは、宇宙、サイバー、海上で中国に対抗するためのものである。サイバーセキュリティを強化し、米国は同盟国や民間部門と協力して、中国の対米投資を制限し、中国への主要技術の輸出を規制することを促している。

 ただ、この戦略にはスピード感が不足しているとの批判もある。中国の台湾併合を抑止するのに、軍の近代化が間に会わない等の声もある。

* * * * * *

 ロシアのウクライナ侵略で発表が延期されていたバイデン政権の国家安全保障戦略が 10月12日に公表された。内容的には、既に同政権が種々の機会に表明して来た国際情勢認識に基づく安全保障政策を取りまとめたもので、新しい要素がある訳ではないが、改めてバイデン政権の情勢認識や外交目標、特に安全保障上の優先順位を確認し、その問題点を把握する上で有益な資料と云える。

 米国の目標は、人権が保護され自由で開放的で繁栄し安全な国際秩序の実現であり、そのために⑴米国の力と影響力の源泉と手段への投資、⑵課題に対応するためのできるだけ強力な連合の形成、⑶軍事力の近代化と強化の3つの面で努力する。その努力には外交、開発協力、産業政策、経済政策、防衛面の要素を含む。

 ザンガーの論説は、特に注目すべき点として、ロシアは当面の国際秩序に対する脅威であり封じ込める必要はあるとしても、長期的には、台頭する中国との競争が最重要課題である点を明確にしたこと、内政と外交を一体としてとらえ、米国の力の源泉は民主主義であるとして当面の問題を「独裁国家対民主国家の闘争」と位置付けるバイデンの持論を再確認し国内においても民主主義のルールを守るべきことを強調したこと、中国と対抗する上で半導体等を始めとする先端産業への国内投資の促進を図ること等を挙げている。

スピード感ある具体策がカギ

 戦略文書で、突出しているのは、軍事面、技術面での中国への対応であり、宇宙、サイバー、及び海上戦力での対抗を強調すると共に、先端技術に関する貿易・投資面での中国への規制によって技術的優位を確保しようとする。これについては、現在のバイデン政権の予算や施策では、中国の勢力拡大のペースに追いつけないとの批判がなされている。

 この戦略文書は、課題を的確に指摘し理想的な目標を掲げているが、そのための対応や具体的な施策に説得力を欠くとの印象を与える。日本との関係では、今回の国家安全保障戦略で台湾海峡の一方的な現状変更を許さないことや、初めて尖閣諸島が日米安全保障条約の対象となることが明記されたことは良いが、前述の通り海軍力で既に米国は中国に劣勢であるとの見方がある。

 また、論説が指摘するように、米国内に計画された半導体生産の新工場が稼働しても、これは米国が必要とするごく一部を供給することに過ぎない。NATO、日米豪印による枠組み「QUAD(クアッド)、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」など民主主義国との協力関係は強化されているが、東南アジア諸国連合(ASEAN)は分裂気味であり、中南米における米国の影響力の低下は顕著である。

 重要なのは、バイデン政権がこの戦略を実行する具体策をスピード感をもって進めることであり、バイデン自身がこの戦略に従った行動をとることであろう。

【私の論評】現状の日本の安保は、財源をどうするかに焦点が移ってきた(゚д゚)!

バイデン政権の「国家安全保障戦略」における中国政策について、一部メディアは代わり映えしないと評したましが、1年半前の「暫定国家安全保障戦略指針」に比べると表現がかなり強まっており、中国との「戦略的競争」のレベルが上がったことを反映しています。



バイデン米政権は27日、外交・安全保障政策の指針「国家安全保障戦略(NSS)」を具体化した戦略3文書を発表しました。3文書のうち「国家防衛戦略(NDS)」は、国際システムを作り替えようとする中国の試みを「米国の安全保障に対する最も深刻な挑戦」と位置づけ、同盟国と連携して対中抑止力を強化する方針を打ち出しました。

オースティン国防長官はNDSについて「鍵となるテーマは中国に対する抑止力強化だ」と同日の記者会見で強調した。NDSには、中国による台湾侵攻を念頭に「新たな作戦概念と戦闘能力を開発する」と明記されました。

NDSは中国について、人民解放軍や経済力を使って近隣地域を威圧し、「台湾海峡の安定を脅かしている」と指摘。「(中国は)通常戦力の拡大に加え、宇宙やサイバー、情報戦などの能力を急速に進歩させている」と警戒感を示しました。

中国が米空母などを寄せ付けないことを目指して進める「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略に対抗し、攻撃能力を確保することをNDSは掲げました。同盟国や友好国と連携し、戦闘領域や地域を越えて抑止力を強化する「統合抑止」の重視も鮮明にしました。

NDSは中国のほか、ロシアによる欧州地域での侵略にも備えるとしました。中露の侵略阻止に向け、米軍の探知に関する速度や精度を向上させます。北朝鮮対応については、NDSと同時に発表された文書「ミサイル防衛の見直し(MDR)」で、「次世代迎撃ミサイルの開発」を掲げました。

バイデン政権は上の記事にもあるように、12日にNSSを発表しました。NDSはその下部文書にあたります。今回、NDSにMDRと「核態勢の見直し(NPR)」を組み込む形で一体的に見直しました。

バイデン政権の国家安保戦略は、日本を含む同盟国に強い口調で防衛力の強化を促しました。「われわれは軍事力近代化と国内の民主主義強化に取り組む。同盟国もその種の能力に投資することや、抑止力を高めるのに必要な計画の立案に着手することなどによって、同じく行動するよう求める」と異例の強い呼び掛けを行いました。

同文書はまた「インド太平洋の同盟国には、欧州の同盟国と協力して望ましい(国際)秩序の形成および中国との競争に関わってほしい」とも書いています。

日本政府も今年末までに自前の「国家安全保障戦略」を含む戦略3文書を改定します。戦略3文書とは、「国家安全保障戦略(国家安保戦略)」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」を指します。


いずれも国家安全保障会議(NSC)・閣議決定文書です。3文書に基づく防衛力の抜本的強化へ向けて、米国の今回の戦略文書は大きな援軍になります。一方で、この戦略文書を見る限り、米国が日本の防衛力強化への期待を今後さらに強めることは確実であり、岸田文雄政権の本気度が試されることになります。

自民、公明両党は18日、政府の外交・安全保障の長期指針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を巡り、両党の幹部をメンバーとする協議会の初会合を開催しました。具体的な論点については別途設置した両党のワーキングチームが19日から議論します。与党内で意見の隔たりの大きな問題については、協議会がまとめる体制を取ります。

協議会は、自民は麻生太郎副総裁、公明は北側一雄副代表がそれぞれトップを務めます。自民から茂木敏充幹事長や萩生田光一政調会長氏ら、公明からは石井啓一幹事長、西田実仁参院会長、高木陽介政調会長らが参加しました。

会合後、自民の萩生田政調会長は、国家安保に関する議論は「政府全体に関わるので、ワーキングチームをサポートして必要があればわれわれ与党協議会でさらなる議論をする体制をつくった」と説明。ワーキングチームでの議論は、「財政の課題も出てくるし、サイバーや経済安保、防衛省で所管をしない他省庁にまたがる課題もしっかり議論を深めることを確認した」と述べました。

公明の高木政調会長は「さまざまな大きな課題については、その節目節目で協議会を開く」と話しました。

初会合では茂木・石井両幹事長が挨拶したが、麻生副総裁から発言はなかったといいます。

ワーキングチームには、自民の小野寺五典・安保調査会長、公明の佐藤茂樹・外交安保調査会長らが参加します。

3文書の改定では、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や、防衛費の増額、中国をめぐる認識などで自公に温度差があり、論点次第では自民内にも異論があり、今後の議論が焦点となっています。

防衛費の増額については、自民内では、国内総生産(GDP)比の2%以上も念頭に国債発行による財源確保を求める意見もある一方、自公ともに恒久財源の確保を重視する声があるそうですが、防衛増税ということにでもなれば、とんでもないことになります。

恒久財源確保とは、これは財務真理教用語で、「増税」を意味します。防衛費の増額を増税で賄うなど聴いたことがありません。戦時においても、戦費は主に国債で賄うのが普通です。


自民党の安倍晋三元首相は5月14日の安倍派(清和政策研究会)の会合で、防衛費確保のための国債を発行する必要性を訴えました。財政法では道路や橋など公共事業に使途を限定する形で、通常の国債とは別に建設国債の発行が認められていることを例に「防衛予算は次の世代に祖国を残していく予算だ。私たちが今求められているのは予算において国家意思を示していくことだ」と述べました。

また、安倍氏は「北大西洋条約機構(NATO)加盟国並みの国内総生産(GDP)比2%という目標をしっかりと示し、検討してもらいたい」とも語っていました。防衛費は令和3年度補正予算と4年度当初予算を合わせてもGDP比1・09%(約6兆円)にとどまっています。

安倍元首相のこの指摘は正しいです。安倍元総理の遺志を活かすためにも、防衛国債を発行すべきです。増税をするということは、現世代のすべての人々に対して現在と将来の防衛費の負担をさせることになります。国債を発行すれば、負担は国債を購入した現世代の人や機関の負担ということになります。

実際、国債を購入した人や機関は、そのお金があれば、他の事業に投資したり、他の目的で使えるはずですが、国債を持っていればそれはできません。

よく国債は、将来世代への付けということがいわれますが、それは全くの嘘です。これが可能になるのは、将来世代が過去に向けて、戦闘機、艦艇、大砲や弾丸などをタイムマシンで送ることができる場合のみに可能となります。

国債は同世代間による、富の移転に過ぎません。ただ、いえるのは国債であれば、購入してくれる人や機関がいる限り、富が余っている機関や人から、政府にお金が集まることになりますが、税金はそのようなことは関係なく広く浅く、日本国民全部や日本の法人全部からお金を集めることになるのです。

租税の徴収と国債の償還が一国内で完結している場合には、それは単に国内での所得移転にすぎないのです。

一方増税とはすべからく、課税対象の現世代全員が負担するものであることを忘れるべきではありません。財務省の国債は将来世代への負担という考えは、全くの間違いです。小難しい理論などわからなくても、このようなことは常識で判断できます。

財務省のように、とにかくなんでも「増税」などといって、現世代だけが負担していれば、国や国民がますます貧しくなり、将来世代に窮乏国家を引き継ぐことになるだけです。

現状の日本の安全保証の問題点は、安全保証そのものというよりは、その財源をどうするかということに焦点が移ってきたようです。防衛費を増税で賄うということにすれば、日本が防衛力を増せば増すほどに、増税で現世代の負担が増えていくことになります。そんな馬鹿な話はありえません。

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2022年11月2日水曜日

米原子力潜水艦が釜山到着 米戦略資産の韓半島展開相次ぐ―【私の論評】米戦略資産の朝鮮半島展開で恐怖におののく北朝鮮(゚д゚)!

米原子力潜水艦が釜山到着 米戦略資産の韓半島展開相次ぐ


アメリカ海兵隊の最新ステルス戦闘機「F-35B」が初めて韓国に着陸したのに続き、原子力潜水艦「キーウエスト」が釜山に到着しました。

アメリカ国防総省は、原子力潜水艦キーウエストが先月21日、インド太平洋地域への配置計画に従って釜山港に到着したと明らかにし、その様子を写した写真を公開しました。

キーウエストについてアメリカ国防総省は、世界で最も優れたステルス性能を有する潜水艦の一つであり、潜水艦に対する攻撃や、監視・偵察などの任務を遂行できると紹介しました。

1987年に就役したキーウエストは、潜航時の水中排水量が6900トンあまりで、射程距離が2500キロメートルに達する巡航ミサイル「トマホーク」などを搭載できます。

アメリカが、最新ステルス戦闘機に続いて、高度な隠密性が要となる潜水艦を公開したのは異例のことです。

アメリカの空中・海上戦略資産の相次ぐ韓半島展開が公開されたことで、韓米首脳が合意した「戦略資産の適時展開」を実現するとともに、核実験の可能性を示唆している北韓に強力な警告のメッセージを発信したものとみられます。

これに先立ち、アメリカ海兵隊の「F-35B」4機も、先月31日から5日間実施される韓米合同演習「ビジラント・ストーム」に参加するため、韓国の群山(グンサン)基地に初めて展開されました。

これを受け北韓は、分断後初めて南北の軍事境界線にあたるNLL=北方限界線の南側に短距離弾道ミサイルを発射し、強く反発しています。

【私の論評】米戦略資産の朝鮮半島展開で恐怖におののく北朝鮮(゚д゚)!

韓米が大規模な連合空中訓練を始めた先月31日、米国の戦略資産である原子力潜水艦が釜山(プサン)に入港しました。米国防総省は1日、こうした事実を伝えながら異例にも入港場面の写真まで公開しました。最近になって北朝鮮が連合訓練期間にも弾道ミサイルを発射するなど各種挑発を継続していることに対する強い警告という解釈が出ています。

この日、米国防総省はロサンゼルス(LA)級攻撃型原子力潜水艦「キーウエスト」(SSN722)が前日午前、海軍釜山作戦基地に入港したと伝え、関連写真5枚を公開しました。写真には「キーウエスト」が基地に入る中、両側に並んだ海軍将兵が歓迎プラカードを持つ姿などがありました。

ロサンゼルス型攻撃原潜

ロサンゼルス級原子力潜水艦は、1976(昭和51)年から1996(平成8)年までの20年間で62隻就役しており、2020年4月現在も半数の約30隻が現役運用されています。世界で最も多く建造された原潜です。

韓国軍の関係者は「今回の原子力潜水艦の入港は連合訓練などを目的に入ってきたのではない」とし「原子力潜水艦のような米国の戦略資産移動については米側との協議なく我々が別に公開することはない」と述べました。

これに先立ち米第7艦隊所属の原子力空母「ロナルド・レーガン」(CVN76)など空母打撃群が、日本海公海上で韓米連合訓練と韓日米対潜水艦前訓練をするため9月23日に釜山に入港しました。

米原子力空母「レーガン」

当時の訓練には「キーウエスト」と同じLA級原子力潜水艦「アナポリス」(SSN760)も参加しました。軍情報筋は「アナポリスは訓練前に入港しなかったが、訓練を終えた後に釜山にしばらく留まった」と話しました。1カ月余りの間に米海軍の原子力潜水艦2隻が相次いで韓国に入ったということです。

原子力潜水艦は隠密に動く戦略資産であり、移動経路を露出しないのが一般的です。それでも米国防総省が公開したことをめぐり「強力な対北朝鮮警告」という分析が出ています。「アナポリス」と「キーウエスト」はトマホーク巡航ミサイルを発射できる12門の垂直発射管(VLS)を備えていますが、朝鮮半島周辺海域からは北朝鮮全域が射程圏に入ります。

特に「キーウエスト」の今回の入港について軍内外では「行事や連合訓練が予定されていない状況で国内に入ってきたのは特別な任務を帯びているはず」という見方が出ています。

峨山政策研究院のヤン・ウク副研究委員は「米国の攻撃型原子力潜水艦は有事の際トマホークミサイルで地上攻撃をするのはもちろん、敵陣に潜入して情報を収集し、特殊作戦などにも投入される」とし「グアムに前進配備された原子力潜水艦を韓半島(朝鮮半島)に送ってこれを公開したのは、米国が北を引き続き監視していることを強調するため」と話しました。

一方、在韓米第7空軍司令部は韓米連合空中訓練「ビジラントストーム」(Vigilant Storm)に参加するため、先月31日に在日米海兵隊のF-35Bステルス戦闘機4機が群山(クンサン)基地に入ったと明らかにしました。

F-35Bが国内基地に来たのは今回が初めてです。今回の訓練にはF-35Bをはじめとする米国の軍用機100機と空軍F-35Aステルス戦闘機など韓国軍軍用機140機など計240余機が動員されます。

F35B

これに対し北朝鮮は外務省の談話と対外宣伝メディアを通じて「北侵略戦争演習がいつよりも発狂的に行われている」と激しく非難しました。

韓米軍当局は今回の訓練期間中、北朝鮮が新しい挑発をする可能性があるとみて注視しています。米国が原子力潜水艦の入港を公開したのはこうした北朝鮮の挑発を事前抑止するためという分析もあります。

ウクライナ戦争後、北朝鮮は完全に孤立している状態です。戦力的には、ミサイル以外の通常兵器は、第2次世界大戦末期のものですし、防空施設は1960年代のものですから、米国と戦えば5日で完敗します。

それをわかっているので、米韓の演習に大反発するのです。米国のB35が北朝鮮の付近を飛ぶだけでもかなり脅威を感じているはずです。この戦闘機に搭載されているミサイルは、北朝鮮のどこにでも届くからです。空母打撃群による演習もにもかなり神経を尖らせていることでしょう。

これにさらに、潜水艦の行動は隠密にするという通例を破り、攻撃型原潜「キーウエスト」まで、はっきりと北朝鮮にわかるように、わざわざ写真まで公開しているのですから、北朝鮮としては、気が気でないというのが正直なところでしょう。

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2022年11月1日火曜日

この時期に消費増税論 財務省に影響「ザイム真理教」は経済カルトか 国民生活の立て直しが最優先も―【私の論評】7つの嘘で政府・国民・マスコミを欺き続けるカルト集団財務真理教団(゚д゚)!

この時期に消費増税論 財務省に影響「ザイム真理教」は経済カルトか 国民生活の立て直しが最優先も


 政府税制調査会で、消費税を将来的にアップすべし、という発言が委員の中で相次いだという報道があった。日本経済の先行きが不透明の中で、増税の方針だけは一歩も譲らないという政府税調の異様な執着がわかる発言だ。

 「ザイム真理教」という財務省の増税主義を表現する言葉があるが、まさに適切だ。日本経済の先行きが不透明な中で、増税よりも国民生活の立て直しが何よりも最優先するのは常識でもわかる。経済を低迷させる増税議論をする暇はない。税金の無駄なので、増税議論をしたい政府税調メンバーは、即刻退場願いたいところだ。

 多くの国民は、「将来世代に負担を負わせない」「国民1人当たりの借金は1000万円以上」という財務省の宣伝を真剣に取っているかもしれない。しかし、これらの財務省の主張はすべて疑わしい。

 政府の国債発行残高は、国と地方合わせると約1200兆円である。この数字だけみて「借金すごい!」と危機感を抱くのが、ザイム真理教に影響された人たちだろう。

 確かに、国際比較ではこの額は突出している。だが、この数字はほとんど意味をなさない。単に経済規模(国内総生産=GDP)が大きくなるに従い、それに応じて社会的に必要な支出を行った結果にしかすぎない。

 教育、医療、防衛、防災など必要な投資は、経済を長期的にまわす重要な支出だ。これを惜しむと国民経済の運営に支障が出るのは常識でもわかる。例えば、財務省とその影響を受けた政治家が、教育費を削った結果、若い世代は多額の借金(奨学金)の返済で苦しんでいる。また緊縮政策で不況になれば、就職活動もうまくいかない。まさに「将来世代」に緊縮政策は負担を負わせ続けている。

 最近の国際的な財政政策の議論では、単純な国債発行残高だけを重視する議論はまれだ。そもそも日本国債のほとんどを国民が「資産」として保有している。「政府の借金を減らすべきだ」として、国債発行残高を減らす目標に傾斜すれば、日本国民の資産を急減させることになりかねない。

 また、日本銀行などを含めて「政府」の範囲を考えるべきだ。広義の政府では、借金から資産を引いた純債務残高とGDPの比率はほとんど問題にならない水準だ。また国債の純利払いをみると、その経済規模との比率は、先進7カ国(G7)の中では米英などより格段に低い。

 そもそも現在の経済危機を積極的な財政政策で乗り切らなければ、未来はない。そんな単純な常識もザイム真理教は否定する。まさに経済カルトである。 (上武大学教授・田中秀臣)

【私の論評】7つの嘘で政府・国民・マスコミを欺き続けるカルト集団財務真理教団(゚д゚)!

以下に財務真理教が国民を欺くために、とんでもない嘘を突き通してきたのか、このブログには何度も掲載してきましたが、それを全部言い尽くし、さらにそれ以上に詳しく述べている記事を発見しました。網羅性と、理解のしやすさでこれを上回るような記事は、私が知る限りおいてはありません。

それは、下のタイトルの記事です。月刊建設に掲載されたものです。  このタイトルは記事にリンクされています。是非ご覧になってください。


なお、この記事の作者は、一般社団法人 全日本建設技術協会 会長 大石 久和氏です。

大石久和氏

財政破綻論は、財務真理教のウソで塗り固められて います。すべての メディアが財務真理教の嘘を垂れ流していますから、人々 もすっかり騙されています。

このブログを日頃から読まれている人は、その必要はないと思いますが、そうでない人は 一度リセットボタンを押して読んでいただきたいです。

財務真理教の 塗り固められた嘘は以下の7つに分類することができます。 

 ①「財政を家計にたとえると」の嘘
 ②「国の借金」の嘘
 ③「借金1000兆円」の嘘
 ④「国債は後世へのつけ回し」の嘘
 ⑤「消費増税しかない」の嘘
 ⑥「健全財政が正しい」の嘘
⑦「このままでは財政は破綻する」の嘘

 並べてみると、財務真理教団の財政に関す説明は嘘だらけです。これが 単に「ウソ物語」の話で終わるだけなら良いのですが、この認識の下に、教育 費や公共事業費などを削り、経済成長が阻止 され、結果として国民が貧困化してきている ことが問題です。


財政問題を解決できるのは経済成長だけです。 財政に問題があるとして歳出削減や増税を実施すれば、それは必ず国民の購買力を低下させ、 需要不足によってデフレを促進し、国民の貧 困化を必然的に引き起こしてしまいます。

財務真理教団が間抜けな政治家やマスコミに対して「個人にもわかりやすく説明する」のは「個人や家計の話にすり替えて騙す」ためなのです。

実は財務真理教団は会計学を知らない、素人の集まりです。そうして、増税・緊縮をしないと、出世できない異様なカルト集団です。

財務真理教団長

日本国の赤字は国民の黒字です。米国債だけでも168兆円所有しており、他の金融債などの含み益は500兆円を超えます。日本がギリシャの様に債務超過に陥る倒産確率(クレジット・デフォルト・スワップ)は1%で、世界でも稀な優秀な国。

そんな国の政府の一下部組織にすぎない、財務省が財政破綻を叫び回って歩いている姿は、完全に常軌を逸していとしかいいようがありません。

日本がどんどん貧しくなるのはひとえに財務真理教という「財政破綻カルト」のせいです。まだ気づいてない人は早く気づいて欲しいです。

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