2023年6月7日水曜日

NEC、太平洋島嶼国を結ぶ光海底ケーブルの供給契約を締結―【私の論評】日米、中国の南太平洋での覇権争いは前からすでに始まっている(゚д゚)!

NEC、太平洋島嶼国を結ぶ光海底ケーブルの供給契約を締結

NECは、ミクロネシア連邦の海底ケーブル運営会社FSM Telecommunications Cable Corporation (FSMTCC)、キリバス共和国の国営通信会社Bwebweriki Net Limited (BNL)、ナウル共和国の国営通信会社Nauru Fibre Cable Corporation (NFCC)と、光海底ケーブル敷設プロジェクト「East Micronesia Cable System (EMCS)」のシステム供給契約を締結しました。EMCSは、総延長距離約2,250kmの光海底ケーブルで、太平洋島嶼国のミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの3か国4島を接続し、キリバス、ナウル及びミクロネシア連邦をつなぐ初の光海底ケーブルとなります。

光海底ケーブルEMCSルート図

本ケーブルは、キリバスのタラワ島から、ナウル島、ミクロネシア連邦のコスラエ島を経由してポンペイ島へと敷設されます。これにより各国で暮らす人々に、高速、高品質、高信頼かつ安全なインターネット通信環境を提供し、同地域のデジタル化と経済発展に寄与します。

本件は、日本・米国・豪州の各政府が連携支援する「東部ミクロネシア海底ケーブル事業」に基づくプロジェクトで、3か国の資金提供のもとで実施されます。

NECは、過去50年以上にわたり海底ケーブルシステム事業を手掛けるトップベンダーです。地球10周分のべ40万kmを超える敷設実績があり、グローバルに事業を展開しています。また、海底ケーブルや海底中継器、陸上に設置する伝送端局装置などの製造、海洋調査とルート設計、据付・敷設工事、訓練から引渡試験まで、全てをシステムインテグレータとして提供しています。なお、海底ケーブルはNECの子会社である株式会社OCC(注1)で、海底中継器はNECプラットフォームズ株式会社(注2)で製造しています。

本件に関する各社のコメントは以下のとおりです。

コスラエ州はミクロネシア連邦で唯一、海底ケーブルに接続していない州です。本プロジェクトにより、ミクロネシア連邦の全4州における平等なデジタル接続環境を実現し、様々な情報や必要なサービスへのアクセス能力を大幅に向上します。プロジェクトパートナーの皆様のご支援とご協力に感謝いたします。

FSMTCC社 CEO 兼 EMCS運営委員会会長 Gordon Segal

キリバスやミクロネシア地域にとって重要な意味を持つ本プロジェクトを嬉しく思います。BNL社は、EMCSのパートナーである日米豪政府、NECおよび太平洋地域の皆様とともに、本プロジェクトを実現できることを楽しみにしています。

BNL社 CEO Ioane Koroivuki

本プロジェクトによってナウルに初めて海底ケーブルが敷設されることになり、将来の通信システムの生命線としてナウルに大きな利益をもたらします。海底ケーブルの製造、供給、敷設において豊富な経験と実績で業界をリードするNECと契約の締結に至ったことを大変嬉しく思います。同様に、日米豪政府並びにミクロネシア連邦及びキリバスの皆様と協働できることをうれしく思います。本プロジェクトの完遂を心待ちにしています。

NFCC社 CEO 兼 ナウル法務国境管理長官 Jay Udit

近年のデジタル化の進展により、インターネットへの接続性やデジタル技術へのアクセスが、その国や地域の経済的及び社会的発展に及ぼす影響はますます大きくなっています。NECグループが長年培ってきた光海底ケーブル通信技術によって、太平洋島嶼国地域の通信インフラを強化し、より快適で安全な暮らしの実現に貢献できることを大変光栄に思います。

NEC 海洋システム事業部門長 桑原淳


以上

【私の論評】日米と中国の南太平洋での覇権争いは前からすでに始まっている(゚д゚)!

この新しい光海底ケープルは、安全保証上でも貢献するに違いありません。

今回のケーブルは、「東ミクロネシアケーブル」システムと呼ばれるもので、ナウル、キリバス、ミクロネシア連邦の各島しょ国における通信環境を改善するために計画されたものです。

海底ケープルのイメージ

ただ、2021年、南太平洋島嶼国を対象とする世界銀行主導の海底通信ケーブル敷設プロジェクトが、中国企業の参加が安全保障上の脅威だとする米国の警告を各島嶼国政府が聞き入れたために頓挫していました。

関係筋によると、上海市場に上場する亨通光電が過半を保有する華海通信技術(HMNテクノロジーズ、旧社名:華為海洋網絡=ファーウェイ・マリン・ネットワークス=)がこの7260万ドル規模のプロジェクトを巡り、競合のフィンランドのノキア傘下のアルカテル・サブマリン・ネットワークス(ASN)や日本のNECよりも20%以上低い価格で入札に参加したとさてれています。

プロジェクトの入札について直接知る立場にあるこの関係筋2人はロイターに対し、華海通信技術の入札参加を巡って島しょ国の間で安全保障上の懸念が強まったため、プロジェクトが行き詰まったと説明。ケーブルは軍事施設のある米領グアムにつながる計画でした。

今回、このブロジェクトをNECが受注したのです。

中国は、その経済力を利用して、ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルに圧力をかけ、北京が戦略的に重要な地域で軍事的足場を築く可能性のある安全保障協定に署名させたり、させようとしていると非難されています。

この協定は公表されていませんが、米国とその同盟国は、中国が太平洋に軍事基地を設置することを可能にする恐れがあると懸念しています。

中国は、太平洋における軍事的プレゼンスを求めていることを否定していますが、この地域との経済的・安全保障的な関係を発展させることを約束するものであると述べています。

以下は、中国に対する具体的な非難です。
  • 中国は、安全保障協定を締結する代わりに、3カ国への経済援助を申し出ている。
  • 中国は、国連における影響力を利用して、3カ国に協定に署名するよう圧力をかけている。
現在、中国と安全保障協定を結んでいる南太平洋の島嶼国は、ソロモン諸島と、キリバスです。

2022年、中国とソロモン諸島は、米国とその同盟国の間で懸念を抱かせる安全保障協定を締結しました。この協定により、中国は社会秩序を維持し、中国の人員や資産を保護するため、ソロモン諸島に警察や軍人を派遣することができます。この協定は、中国が太平洋における軍事的プレゼンスの確立を目指していることの表れであると解釈する向きもあるようです。

2022年、中国とキリバスは安全保障協力に関する覚書に署名した。この覚書には安全保障協定ほどの法的効力はないが、中国が訓練や災害救助の目的でキリバスへ警察や軍人を派遣することを認めている。

米国とその同盟国は、中国が南太平洋の島国と安全保障上の関係を深めていることに懸念を表明しています。中国がこの地域での軍事的プレゼンスを利用して、自分たちの利益を脅かす可能性があると懸念しているのです。中国はそのような意図を否定し、南太平洋島嶼国との安全保障協力は純粋に防衛的な目的であるとしています。

中国と南太平洋島嶼国との安全保障協定が長期的にどのような影響を及ぼすかについては、まだ判断するのは早計です。しかし、これらの協定がこの地域のパワーバランスを大きく変える可能性があることは明らかです。

ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルは、いずれも太平洋に浮かぶ小さな島国です。いずれも米国との自由連合協定(COFA)に加盟しています。COFAの下、米国はこれらの国々に経済援助、防衛支援、米国市場へのアクセスを提供しています。

また、日本は米国の安全保障上の緊密なパートナーです。日米両国は相互防衛条約を結んでおり、定期的に合同軍事演習を実施しています。また、日本はミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの主要な経済パートナーでもあります。

新しい海底ケーブルが人々の暮らしを豊にすることは間違いないですが、それ以外にも安全保障上でも貢献するのは間違いないです。

6月2日ナウルで行われた「東ミクロネシア海底ケーブルプロジェクト」の交換公文の署名式

まずは、サイバー攻撃への耐性が向上することです。ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの現在のインターネットインフラは、サイバー攻撃に対して脆弱です。新しい海底ケーブルは、これらの国々に、より弾力的で安全な通信ネットワークを提供します。これにより、病院や政府機関などの重要なインフラをサイバー攻撃から守ることができるようになります。

新しい海底ケーブルは、災害対応活動において、より信頼性が高く安全な通信ネットワークを提供します。これにより、災害発生時に初動対応者や政府関係者が効果的にコミュニケーションをとることができるようになります。

また、新しいケーブルは、国境を越えてデータを送信するための、より安全な方法を提供します。これにより、国境警備が改善され、麻薬取引や人身売買などの違法行為の蔓延を防ぐことができます。

全体として、新しい海底ケーブルは、ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの治安を大きく向上させることになります。

中国が、なぜこの地域に関心を示すのかといえば、中国にとって北東アジアで有事の際、まずは、日本周辺にいる米軍が対処するでしょうが、それでは十分作戦が行えないとなればグアム、ハワイさらに本土から米軍の来援があるでしょう。

その来援のシーレーンとなるのがこの南太平洋島嶼国が存在するあたりになります。つまり来援を防ぐという意味で大変重要ですし、オーストラリアとアメリカを結ぶラインでもありますので、これを分断する役割もあります。まさにこれは、旧日本軍が(太平洋戦争で)やろうとしたことと同じことを中国が考えている可能性があります。

南太平洋の戦いで雷撃を受けた米空母「ワスプ」

この地域に中国が軍事的拠点を持てば、太平洋のパワーバランスが変わるという、戦略的重要地域であることはわかっていながら、財政上の問題で大使館を閉めるなど、いわば手を引いていた米国は、今になって大使館を復活させたり、クアッドで500億ドルを超える新たな支援・投資を始めたり躍起になっています。コツコツじわじわ積み上げてきた中国とは対照的です。

そうしてさなかに、日本の会社であるNECが、今回太平洋島嶼国を結ぶ光海底ケーブルの供給することになったのは、まことに喜ばしいことですし、この地域の安全保障にも寄与することになります。

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2023年6月6日火曜日

中国軍、台湾海峡と南シナ海で「攻撃性増大」 米がリスク警告―【私の論評】中国軍の攻撃性増大は、少なくとも半年から1年は大規模な軍事行動しないことの証(゚д゚)!

中国軍、台湾海峡と南シナ海で「攻撃性増大」 米がリスク警告

米ミサイル駆逐艦「チャンフーン」

米国のホワイトハウスは、中国の台湾海峡と南シナ海における行動は、中国軍の「攻撃性の増大」を反映しているとし、誰かが傷つくようなエラーのリスクが高まっていると警告した。

米国は増大する攻撃性に対処するための準備を整えており、国際空域と海域で活動を継続するとした。

米海軍は駆逐艦チャンフーンが台湾海峡で中国艦に接近された際の映像を公開。米軍の発表によると、台湾海峡で3日、中国軍の艦艇がカナダ海軍との共同訓練を実施していたチャンフーンに約140メートルまで接近した。

ホワイトハウスのカービー報道官は中国の行動に言及し、判断ミスが起こり誰かが傷つくまでにそれほど時間はかからないだろうと記者団に述べた。

空と海の航行の自由を守るため、米国は引き続き立ち向かうとした。

「中国が行動を正当化するのを聞いてみたいものだ」と述べ「空と海での妨害は常に起きている。われわれもそれを行うが、違いは必要と判断した際にプロフェッショナルに行っていることだ」と指摘した。

要するに、米国は中国の行動を非難し、空と海の航行の自由を守るために引き続き立ち向かう姿勢を示した。

これは元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】中国軍の攻撃性増大は、少なくとも半年から1年は大規模な軍事行動しないことの証(゚д゚)!

以下に今回の駆逐艦チャンフーンが台湾海峡で中国艦に接近された際の映像が掲載されたツイートを掲載します。


中国が台湾海峡や南シナ海で攻撃性を高めているのは、中国海軍の非力さを補うためだという側面もあります。その根拠となる事柄があります。

まず、米国防総省は、中国の軍事に関する議会への年次報告書の中で、台湾海峡と南シナ海における中国の "軍事力の増大と自己主張 "は、地域の平和と安定にリスクをもたらすと述べるとともに、 また、中国の軍事近代化努力は、"パワーを投射し、長距離作戦を行う能力の向上に重点を置いている "が、これらの努力は、"まだ完全に能力のある海洋海軍(Blue water navy)を生み出していない "と指摘しました。

海洋海軍(Blue water navy)

ちなみに、海洋海軍とは、グローバルに活動できる海軍のことで、大海原に力を投射することができます。空母、巡洋艦、駆逐艦など、多数の艦船を保有するのが一般的です。また、母港を離れても長期間活動できるよう、強力な後方支援ネットワークを持っています。

ランド・コーポレーション 非営利の研究機関であるランド研究所による2020年の報告書では、中国の海軍は "外洋で効果的に活動するために必要な能力をまだ開発中である "とされています。また、同報告書は、中国の海軍は "近海域を越えて効果的に力を投射することはまだできない "としました。

戦略国際問題研究センター シンクタンクである戦略国際問題研究所による2021年の報告書では、中国の海軍は "真にグローバルな戦力となるにはまだ距離がある "とされています。また、同報告書は、中国の海軍が "外洋での活動経験の不足、十分な訓練を受けた人材の不足、海上での作戦維持能力の限界など、多くの課題に直面している "と指摘しています。

これらの情報源は、台湾海峡や南シナ海での中国の攻撃性の高まりは、中国が海軍の非力さを補うための一手段であることを示唆しています。攻撃的な行動をとることで、中国は、海軍が外洋で大規模な作戦を実施する能力がまだないにもかかわらず、強さと決意をイメージさせることができるのです。

ただ、台湾海峡や南シナ海における中国の攻撃性の高まりには、他の要因もあることに注意する必要はあります。例えば、中国はこの地域での支配力を主張しようとしているのかもしれないし、台湾をめぐる潜在的な紛争に介入しようとする米国を抑止しようとしているのかもしれないです。しかし、中国の非力な海軍もまた、侵略を強める要因ともなっているのです。

ただし、中国が台湾海峡や南シナ海で攻撃性を高めているのは、中国海軍の非力さを補うためだという主張の根拠となる資料がいくつもある。

米国防総省:米国防総省は、中国の軍事に関する議会への年次報告書の中で、台湾海峡と南シナ海における中国の "軍事力の増大と自己主張 "は、地域の平和と安定にリスクをもたらすと述べた。" また、中国の軍事近代化努力は、"パワーを投射し、長距離作戦を行う能力の向上に重点を置いている "が、これらの努力は、"まだ完全に能力のあるブルーウォーター海軍を生み出していない "と指摘した。

ランド・コーポレーション 非営利の研究機関であるランド研究所による2020年の報告書では、中国の海軍は "外洋で効果的に活動するために必要な能力をまだ開発中である "とされています。また、同報告書は、中国の海軍は "近海域を越えて効果的に力を投射することはまだできない "としました。

戦略国際問題研究センター シンクタンクである戦略国際問題研究所による2021年の報告書では、中国の海軍は "真にグローバルな戦力となるにはまだ距離がある "とされています。また、同報告書は、中国の海軍が "外洋での活動経験の不足、十分な訓練を受けた人材の不足、海上での作戦維持能力の限界など、多くの課題に直面している "と指摘しています。

これらの情報源は、台湾海峡や南シナ海での中国の攻撃性の高まりは、中国が海軍の非力さを補うための一手段であることを示唆しています。攻撃的な行動をとることで、中国は、海軍が外洋で大規模な作戦を実施する能力がまだないにもかかわらず、強さと決意をイメージさせることができるのです。

ただし、台湾海峡や南シナ海における中国の攻撃性の高まりには、他の要因もあることに注意する必要があります。例えば、中国はこの地域での支配力を主張しようとしているのかもしれないし、台湾をめぐる潜在的な紛争に介入しようとする米国を抑止しようとしているのかもしれないです。ただ、中国の非力な海軍もまた、侵略を強める要因となっているのも事実です。

中国は近年、台湾に対する主張を強めており、台湾を支配下に置くために武力を行使すると脅している。しかし、中国が実際に台湾への侵攻を準備しているという証拠はありません。

米国は、中国を監視衛星で監視しており、中国が台湾への侵攻準備をしているなら、必ず何らかの兆候が監視結果から判断できるはずです。しかも、数ヶ月前からそのような兆候が見られるはずです。

ロシアによるウクライナ侵攻の直前にも、ロシア・ウクライナ国境付近にロシア軍が多数集結していることが、報告されていました。私は、従来はロシアのウクライナ侵攻は軍事的にも、経済的にも無理だっと思っていたのですが、この事実を知った後には、ロシアのウクライナ侵攻はあり得ると考えを変えざるを得なくなりました。

2021年の年末にウクライナ国境付近に多数集結していたロシア軍部隊

現在中国にはそのような兆候はありません。

その理由は以下のようなものがあります。侵攻にかかるコストが高い。米国が介入してくる可能性が高い。さらに、国際社会は、侵略を非難するでしょう。台湾への侵攻は国際法違反とみなされ、中国に対する制裁につながる可能性が高いです。それは、南シナ海も同じことです。

侵略には高いコストとリスクが伴うため、中国がすぐ(今年中)に侵略を開始することはないでしょう。しかし、中国が台湾に対して脅威を与え続けていることは、この地域の緊張の源であり、今後も状況を注視していくことが重要です。

ウクライナによる大規模反転攻勢が取り沙汰されてから久しいですが、同国国防省は6月4日、ロシア軍に対する攻勢の公式発表はないことを示唆する35秒のビデオ映像を公開しました。 

映像は、複数のウクライナ軍兵士が唇に人差し指を当てて、「秘密」という意味を込めて「シー」というジェスチャーを繰り返して、「謀は密なるを良しとす。開始の発表はない」というテキストに続いて、ウクライナが供与を切望していた2機のF-16戦闘機が映って終わるという短いものでした。

大規模反転にしても、侵攻にしても、大規模な軍事作戦です。しかも、これは軍事機密です。これを公表してから、戦争を開始することはあり得ないです。そんなことをしてしまえば、相手側は準備を整え、攻める側の被害が増えることが想定されます。

中国が台湾に侵攻するとか、南シナ海で何か事を起こそうというときには、わざわざ公表しないで、黙って準備をしていきなり攻撃を始めるでしょう。ロシアのウクライナ侵攻もそうでした。

中国軍、台湾海峡と南シナ海で「攻撃性増大」しており、しかも中国が大規模な軍事作戦を準備していない現在、中国による台湾侵攻などの軍事行動は、少なくともここ半年から1年くらいはないと見るべきと思います。

ただ、注意しなければならないいのは、中国は確かに台湾に侵攻するためには、数ヶ月間の準備が必要ですし、実際に侵攻すれば中国も被害を受けるのは必定ですが、台湾を破壊するだけであれば、今すぐできるというということです。

運悪く様々な条件が整ってしまえば、中国は台湾を破壊する可能性は捨てきれません。それに防いだり、それに備えるべきことは言うまでもありません。これを認識していない人が、中国が台湾に簡単に侵攻できると思い込むことを否定しているだけです。


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2023年6月5日月曜日

クリントン元大統領の「衝撃告白」…実は「プーチンの野望」を10年以上前から知っていた!―【私の論評】平和条約を締結していても、平和憲法を制定しても、条件が整えば他国は侵攻してくる(゚д゚)!

クリントン元大統領の「衝撃告白」…実は「プーチンの野望」を10年以上前から知っていた!


 米国のビル・クリントン元大統領が5月4日、ニューヨークでの講演で「ロシアによるウクライナ侵攻の可能性」を2011年にロシアのウラジーミル・プーチン大統領から直接、聞いていたことを明らかにした。 

 米国は、なぜ戦争が起きる前にしっかり対応しなかったのか。 

 戦争開始から1年以上も経ったいまになって、こんな話が飛び出すとは、まったく驚きだ。 

 これは、「リベラリズム(理想主義)の失敗」と言ってもいい。 

 5月5日付の英「ガーディアン」によれば、クリントン氏は2011年にスイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラムでプーチン氏と会談した。 

 プーチン氏はそこで、ウクライナとロシア、米国、英国が1994年に結んだ「ブダペスト覚書」の話を持ち出し、自分は合意していないと語ったといいます。

 だが、クリントン氏は、それより3年前の時点で、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を認識していたことになる。

 それによれば、プーチン氏は2008年4月に開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で「クリミア半島は1954年に旧ソ連からウクライナに移譲されました。 

 いま振り返れば、その時点で「ウクライナ侵攻も時間の問題だった」と言って良いです。 クリントン氏は、論文で自己弁護に終始していたのに、いまになって「実は、プーチンが侵攻する可能性は、本人から聞いていたので知っていた」「ウクライナの核放棄は残念だ」などと言うのは、批判されても当然ともいえます。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は是非元記事をご覧になってください。

【私の論評】平和条約を締結していても、平和憲法を制定しても、条件が整えば他国は侵攻してくる(゚д゚)!

2023年5月4日、ビル・クリントン元米大統領は、ニューヨークで開催された「クリントン・グローバル・イニシアチブ年次総会」で講演を行った。その中でクリントン氏は、2011年にロシアのプーチン大統領から "ロシアによるウクライナ侵攻の可能性 "について直接聞いたことがあると明かしました。

クリントン氏は、モスクワでプーチン大統領と会談した際、大統領のほうからウクライナ問題を持ちかけられたといいいます。プーチン氏は、ウクライナは「ロシアの歴史的な一部」であり、同国が西側との結びつきを強めていることを懸念していると述べました。クリントン氏は、ウクライナはロシアにとって脅威ではなく、安定し繁栄するウクライナは両国の利益になるとプーチン氏を安心させようとしたといいいます。

しかし、プーチンは納得していませんでした。ウクライナのNATO加盟を「許さない」、ウクライナが加盟しようとすれば「行動を起こす」と言い出しました。クリントンは、プーチンの発言に「深く悩まされた」とし、「来るべき事態の予兆である」と考えていたといいます。

この情報の出所は、ビル・クリントン自身です。彼は、クリントン・グローバル・イニシアチブ年次総会でのスピーチで、この事実を明らかにした。この主張には、他に独立した裏付けはないです。しかし、プーチンのウクライナに対する見解について我々が知っている他の事柄と一致しています。

上の記事もでてくる「プタペスト合意」について以下に掲載します。

ブダペスト安全保障覚書は、1994年12月5日にハンガリーのブダペストで開催されたOSCE会議において、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナの核兵器不拡散条約(NPT)への加盟に関連して、署名国が安全を保証するために締結した政治協定です。この3つの覚書は、もともとロシア連邦、英国、米国の核保有3カ国によって署名されたものです。中国とフランスは、別の文書でやや弱い個別保証をした。

覚書の条項の下で、3つの核保有国は以下のことに合意しました。

  • ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン(以下3国と記載)の独立と主権、既存の国境線を尊重する。
  • 3国の独立と主権、および既存の国境を尊重する。3カ国の領土保全や政治的独立に対する武力による威嚇や使用を控える。
  • 3国の政治的又は経済的意思決定に影響を与えるために、経済的、政治的又はその他の圧力を行使することを差し控える。
3国のいずれかが武力攻撃またはその安全に対するその他の脅威の犠牲となった場合、相互に協議する。

その見返りとして、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンは以下のことに合意しました。
  • 核兵器問題の解決に向けた国際的な取り組みに、あらゆる側面から貢献する。
  • NPTの下での義務を誠実に履行すること。
  • 核兵器開発のための援助を求めたり受けたりしない。
ブダペスト合意は、あまりにも曖昧で、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンに真の安全保障を提供しないとの批判があります。しかし、これら3カ国の安全保障に特化した唯一の国際協定であることに変わりはない。

ブダペスト合意は、締結後、何度も違反されています。2014年、ロシアはウクライナからクリミア半島を併合しました。2022年、ロシアはウクライナに侵攻しました。いずれの場合も、ロシア政府は、ウクライナは主権国家ではなく、ブダペスト協定の条件を遵守していないため、これらの行動を取ることは正当であると主張してきました。

ブダペスト覚書の将来は不透明です。専門家の中には、ウクライナの現状を考えると、もはや意味がないと考える人もいます。また、まだ重要であり、強化すべきと考える人もいます。米国とその同盟国は、ブダペスト合意書を守ることを約束すると言っていますが、それができるかどうかは未知数です。

プーチンはプダペスト合意を認めていないと発言しており、だからこそ、現在ロシアはウクライナに侵攻しているのです。

ある国が平和条約を結んだり、平和憲法を定めているからといって、侵略されないという保証はありません。平和条約を結んでいるにもかかわらず、侵略された国の例はたくさんあります。

以下はその例です。

古い事例としては、第二次世界大戦末期、日ソ不可侵条約を締結して板にも関わらず、ソ連は当時のソ満国境を超えて、侵攻しました。

ソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻しました。アフガニスタンは1969年のジュネーブ協定に調印しており、この協定ではアフガニスタンからすべての外国軍を撤退させることを求めていました。

ソ連がアフガンに侵攻したときのソ連兵

米国は2003年にイラクに侵攻しました。イラクは安全保障理事会の承認なしに他国に対して武力を行使することを禁止する国連憲章の署名国であったにもかかわらずです。

イラクに侵攻した米軍

さらにすでに述べたように、ロシアは、ウクライナが核兵器の放棄と引き換えにウクライナの安全を保証する1994年のブダペスト覚書に署名していたにもかかわらず、昨年ウクライナに侵攻しました。

いずれのケースでも、侵略国は自国に正当な理由があると主張しました。しかし、これらの侵略が国際法に違反するものであったことに変わりはないです。

平和条約や憲法が、戦争を防ぐために必ずしも有効でないことを忘れてはならないです。政情不安、経済的苦境、ナショナリズムの台頭など、戦争勃発の要因はさまざまです。平和条約を締結していても、平和憲法を制定していても、条件が整えば他国が侵略してくる可能性もあるのです。

結局のところ、いかなる国もまずは自国は自国で守るという気概がなければ、他国から侵略される可能性を否定できなくなってしまうのです。これは、現在のウクライナでも証明されたと思います。

ウクライナにその気概なければ、戦争の初期にキーウをロシア軍に占領され、今頃ウクライナにはロシアの傀儡政権ができていたかもしれません。ゼレンスキー大統領がウクライナにとどまり徹底抗戦をする姿勢を見せたので、そうはならなかったのです。他国からの支援も得られることになったのです。

私たちは、中露北という、3国の独裁国に囲まれた日本こそ、そのような気概が多くの国民になければ、条件が整えば、侵略される危険と隣り合わせであることを認識すべきです。

それにしても、悔やまれるのは、クリントン元大統領が、戦争の可能性を察知したのなら、はやめにそれを公表して、警告を出すべきでした。そうすれば、事態は変わっていたかもしれません。返す返すも悔やまれます。

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2023年6月4日日曜日

NYに天安門記念館が開設 武力弾圧「忘れない」 香港では当局の圧力で閉鎖も…約7000万円の寄付集める―【私の論評】「天安門記念館」を日本を含む多くの国々で開設すべき(゚д゚)!

NYに天安門記念館が開設 武力弾圧「忘れない」 香港では当局の圧力で閉鎖も…約7000万円の寄付集める


 ニューヨークのマンハッタンに、1989年の天安門事件に関連する品々を展示する記念館が開設されました。

 王丹氏など学生リーダーが関与し、中国政府が真実を隠そうとしていることに抗議しました。

 展示されているアイテムには、学生が使用した旗や暴力によって血に染まったシャツ、香港の新聞などが含まれています。

 香港にあった記念館は2021年に閉鎖され、米国での開設に向けて約50万ドルの寄付が集まりました。

 開館式が行われ、一般公開は6月後半を予定しています。王氏は民主化運動の重要性を強調し、在米中国人だけでなく、アメリカ人にも訪れてほしいと述べました。

【私の論評】「天安門記念館」を日本を含む多くの国々で開設すべき(゚д゚)!

中国共産党(CCP)は、六・四事件とも呼ばれる天安門事件を中国国民に隠そうとしていると非難されています。この事件は、1989年6月4日、中国共産党が軍に命じて、北京の天安門広場に集まっていた民主化運動家を取り締まったものです。この弾圧により、数百人、あるいは数千人が死亡した。あるいは、もっと犠牲者が多いとするメディアもあります。

中国共産党は、この弾圧で死亡した人数を公式には認めておらず、中国メディアでもこの事件に関する議論は一切検閲されています。中国共産党は、この事件を論じるウェブサイトやその他の資料へのアクセスもブロックしています。

中共が天安門事件を隠すこと揶揄して作成されSNSで拡散された画像

中国共産党が天安門事件を中国国民から隠そうとしていることを示唆する証拠が増えつつあります。例えば、2014年、中国共産党は天安門広場から弾圧の犠牲者を悼むプレートを撤去しました。また、中国共産党は、事件を記録した写真やその他の資料を破棄したと非難されています。

中国共産党が天安門事件を隠蔽しようとするのは、情報の自由に対する権利の侵害と言わざるを得ません。中国共産党には、中国国民に事件を知らせ、人々が自由に議論できるようにする責任があります。中国共産党の事件に対する検閲は、自由で開かれた社会と相容れない思想統制です。

中国共産党が天安門事件を隠そうとした証拠を示す資料をいくつか紹介します。

アンドリュー・J・ネイサンとペリー・リンクによる "The Tiananmen Papers "は、弾圧に至るまで、そして弾圧を含む出来事を詳細に説明する文書集です。

"天安門事件 James D. Seymour著 "The History and Legacy of China's 1989 Crackdown "は、この事件の包括的な歴史書です。

"The Gate of Heavenly Peace: ジョナサン・D・スペンス著「天安門:中国とその革命、1895-1989」はピューリッツァー賞を受賞した本で、天安門事件を理解するためのより広い文脈を提供しています。

これらは、中国共産党が天安門事件を隠そうとしていることを示唆する証拠のほんの一例に過ぎません。中国共産党による事件の検閲は重大な人権侵害であり、この問題に対する認識を高め続けることが重要です。

タンクマン」の写真の全体像がわかる写真ですクリックすると拡大します

ニューヨークの天安門記念館の開館は、いくつかの点で意義深いものです。

まず、1989年6月4日、中国軍が天安門広場で民主化デモ隊に発砲し、数百人、数千人が死亡した事件に特化した世界で唯一の常設展示であることです。この博物館は、中国政府によってしばしば抑圧されたり無視されたりするこの重要な出来事について、人々が学び、記憶するための空間を提供するものです。

第二に、この博物館は、言論の自由と民主主義を重視する国である米国に位置しています。米国に博物館があることで、1989年6月4日の中国政府の行動は間違っており、世界はこの悲劇の犠牲者を忘れないというメッセージを送ることができます。

第三に、この博物館は、中国人が多く住むグローバル都市であるニューヨークに位置しています。博物館の開設は、中国系アメリカ人にとって、自分たちの歴史におけるこの重要な出来事について学び、記憶する機会を提供するものです。また、世界中の人々が1989年6月4日の出来事について学び、この悲劇の犠牲者と連帯する機会にもなります。

天安門記念館の開館は、1989年6月4日の記憶を風化させないための重要な出来事です。それは、自由と民主主義のための戦いは決して終わらないということ、そして、私たちは皆、自分の信じるもののために立ち上がらなければならないということを思い出させるものです。

2021年6月2日に閉鎖された香港の天安門記念館

私は、天安門記念館を日本を含む他国でも開設すべきと思います。この博物館は、天安門事件について学ぶための貴重な資料であり、この重要な出来事に対する認識を高めるのに役立ちます。

日本には中国人が多く、多くの日本人が中国の歴史や文化についてもっと知りたいと考えています。このような人々にとって、博物館は貴重な資料となり、また日中間の理解を促進することにもつながるでしょう。

天安門事件は、決して忘れてはならない恐ろしい出来事です。博物館は、虐殺の犠牲者を追悼し、このような悲劇が二度と起こらないようにするための方法です。また、全体主義の危険性、自由と民主主義の重要性を人々に伝える手段でもあります。

私は、この博物館が日本を含む他の国でも開かれることを望んでいます。世界をより良い場所にするための貴重な資料となるのですから。

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2023年6月3日土曜日

「フィンランド1.32、ノルウェー 1.41…」北欧の出生率激減 「高福祉」で「ジェンダー平等」なのになぜ? 日本が教科書にすべきはイスラエル?―【私の論評】岸田政権は、ハイリターンの子どもへの投資は継続しつつ、AIとロボット化で少子化の弊害を取り除くべき(゚д゚)!

 「フィンランド1.32、ノルウェー 1.41…」北欧の出生率激減 「高福祉」で「ジェンダー平等」なのになぜ? 日本が教科書にすべきはイスラエル?

 欧で進む少子化の現状について、南デンマーク大学教授に話。社会保障が充実している北欧でも、近年は出生率が大きく低下している。

 北欧は、福祉が手厚く子どもが育てやすいと言われている。北欧では2010年ごろから、急激な少子化が始まった。

 社会・経済的地位の低い人口集団で無子の人たちが増えている。ノルウェーとイタリアを比較した研究がある。出生意欲が下がり、2カ国を比較するとイタリアよりも経済状況が良いノルウェーの方が大きく低下。

 日本政府が進める男性の育休取得などのジェンダー平等は、出生率には影響がない。北欧では「U字型論」という考え方がある。一旦は出生率が下がるが、平等度合いが上がってくるに従い出生率も上がるというもの。

 しかし今の北欧にはその理論が当てはまらなくなり、期待できなくなっている。北欧の少子化問題を見てきた竹下隆一郎氏が、日本の「異次元の少子化対策」について語っている。

 子育て世帯への支援だけでは、根本的な解決は難しい。「経済状況をどんどん上げていくのは短期的には難しい」。

 イスラエルの合計特殊出生率は3.00と高く、子どもが多い。宗教的な理由や国の歴史的背景の中で、国を存続することに対する思いが強い。

 朝日新聞記者は「文句を言い合える社会だから」と分析していた。子どもや大人が自由に文句を言って対等に付き合える社会。何かに困ったら打ち明け、支えてくれる。子育てにはインフラや経済的支援が大事だが、それとは別に社会的な制度がある。

この記事は元記事の要約です。詳細は、是非元記事を御覧ください。

【私の論評】岸田政権は、ハイリターンの子どもへの投資は継続しつつ、AIとロボット化で少子化の弊害を取り除くべき(゚д゚)!

北欧を絶賛してきた人たちの話とは裏腹に、フィンランドの合計特殊出生率ですが、既に2018年には日本に逆転されてます。2019年はもっと落ち込み、急落して1.36になった日本よりさらに低い1.35です。これは、子育て支援をすれば出生率があがるという理屈は必ずしも当てはまらないことを示していると思います。多かれ少なかれ、少子化している国では、いずれの国でも何かしらの施策はしているとは思うのですが、それでも少子化は進んでいるようです。

イスラエルのタウブ社会政策研究センターの2017年の調査によると、イスラエルが3.00という高い合計特殊出生率である理由はいくつかあります。


まずは、上の記事にもあるように宗教的・文化的要因です。 イスラエルのユダヤ人の多くは、子どもを持つことは宗教的な義務だと考えています。さらに、イスラエル政府は子どものいる家庭に経済的な優遇措置を講じており、これも高い出生率の一因となっていると考えられます。

さらに、イスラエルは比較的若い国で、年齢の中央値は30歳です。これは、出産適齢期の人が多いことを意味します。また、イスラエル経済は好調で、子育てに必要な資源を家族に提供しています。

最後に、イスラエル人の中には、大家族を持つことがユダヤ民族の存続につながると考える人もいます。その背景には、同国が近隣諸国と対立してきた歴史があります。

ただし、イスラエルの出生率も低下しつつあることには注目する必要があります。2017年の出生率は3.00でしたが、2035年には2.4まで下がると予想されています。これは、少子化を選択するイスラエル人女性が増えていることなど、さまざまな要因によるものです。

フランスは少子化対策に成功したと日本ではもてはやされていましたが、近年では合計特殊出生率は下がりつつあります。


結局、政府が良かれと思って実施したことが、必ずしも功を奏しているとは限らないということです。少子化している多くの国で、その原因ははつきりとはわかっていません。

しかし、多くの国では、子どもに対する支援を実施しています。なぜでしょうか、それはハイリターンであることが知られているからです。

確かに、政府の子どもへの投資はハイリターンであるという主張を裏付ける資料をいくつか紹介します:

ユニセフによる「Achieving the greatest impact for children」によれば、幼児期への投資が、健康、教育、経済的な幸福の向上など、子どもたちにとって多くの良い結果をもたらすことを明らかにしています。

アメリカ進歩センターによる「幼児期への投資が子ども、家族、そして国の経済に与える強力な影響を検証する」では、幼児期への投資が、子どもたちの収入の増加、犯罪の減少、健康状態の改善につながることを明らかにしました。

全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)による「低所得の子供に対する政府プログラムからの高い利益」(High Returns from Government Programs for Low-Income Children)にれば、 この研究では、低所得の子どもたちに幼児教育と支援を提供する政府プログラムは、所得の増加や犯罪の減少など、大きな経済的利益につながることを示しました。

Center for High Impact Philanthropyによる「Early Childhood: High Return on Investment」: このツールキットは、幼児期への投資の利点と、その投資を最大限に活用する方法についての情報を提供しています。

これらは、政府の子どもへの投資がハイリターンであるという主張を支持する多くの情報源のほんの一例に過ぎません。政府が幼児期に投資することは、その社会の未来に投資することになります。質の高い幼児教育と支援を提供することで、政府はすべての子どもたちがその可能性を最大限に発揮する機会を確保することができるのです。

大学や、大学院などの高等教育に対する政府の支援策も、ハイリターンであることが知られています。

であれば、岸田政権は「異次元の少子化対策」というよりは、「ハイリターンの子どもへの投資」をするということで良いのではないかと思えてきます。

そもそも、少子化の原因がはっきりしないのですから、少子化対策というより、子育てを含む、様々な子どもに対する支援をすべきです。さらに、奨学金という名の下で、実際には教育ローンである今の奨学金制度を抜本的に帰るなどの、高等教育への支援もすべきです。

これらの投資はハイリターンであることが知られているのですから、これらを実施するのに増税する必要などまったくありません。国債を用いるべきです。

そうして、少子化の弊害の対策は、少子化の弊害への対策として、産業界でロボット化を推進し、AIを活用すべきだと考えます。

これは、経済学でいうところの"装置化"、過去にも"装置化"は社会に弊害をもたらすとも考えられた時期がありました。

たとえば、ラッダイト運動または機械うちこわし運動が、1811年から1817年頃、イギリス中・北部の織物工業地帯に起こりました。この機械破壊運動は、産業革命に伴う児童労働や低賃金などの労働問題や、粗悪品の量産への抗議のパフォーマンスとして、工場の機械を破壊したのです。

ラッダイト運動

このようなことがあったにしても、19世紀から12世紀における、多くの「装置化」は功を奏して、雇用が破壊されるどころか、新たな雇用を生み出し、経済は拡大し現在に至っています。

AIやロボティクスは、さまざまな産業において生産性を向上させる可能性を秘めています。繰り返し作業や肉体的に負担のかかる作業を人間よりも効率的に行うことができ、生産量の増加や経済的競争力の強化につながります。これは、少子化に伴う労働力人口の減少の悪影響を緩和することにつながるでしょう。

少子化の悪影響は、経済的な側面だけではありません。医療や年金など、高齢化によって影響を受ける可能性のある社会福祉制度の維持にも関わってきます。AIやロボットなどのテクノロジーを活用し、効率化やコスト削減を図ることで、これらの制度を支える資源をより適切に配分し、長期的な持続性を確保することができます。

AIおよびロボティクスの活用により、人類は過去に産業革命を経たような大きな変化を迎えることになるでしょう。そういう時代には、少子化そのものはさほど大きな問題ではないかもしれません。それよりも、AIやロボットには不得手な、人間の創造性をいかに高めていくのかが、大きな課題になっているかもしれません。そうして、これらに対する政府の投資もかなりハイリターンになるでしょう。

増税の必要性など全くありません。増税は、増税するべきとき、経済が加熱して超インフレになりそうなときに、これを防ぐという本来の目的のためにすべきでしょう。


こうした未来への新展開の最前線に、まずは岸田総理からどうぞ足を踏み入れて下さい。

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2023年6月2日金曜日

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高橋洋一「日本の解き方」

岸田総理(左)と祥太朗秘書官(右)

 岸田文雄政権は広島G7サミットの成功によって追い風を受けていましたが、長男の公邸写真流出や公明党との選挙協力問題、少子化対策での負担増などで逆風が強まっています。

 これにより、衆院解散戦略に影響が出る可能性もあります。岸田内閣の支持率は世論調査によって異なりますが、一般的には下がっている傾向があります。

 サミット後の世論調査では、政党支持率も下がっており、サミット効果は失われたと考えられます。岸田政権はいくつかの問題に直面しており、これからの状況を見ながら国会対応を行うことになるでしょう。

 長男の公邸写真流出は大きな打撃となりましたが、政府は迅速に対応しました。

 選挙協力に関しては、公明党の支援が少なくなる可能性があり、これによって自民党議員にも影響が出るかもしれません。

 保守系支持者の中には、公明党との関係を見直すべきだという意見もあります。公明党との対立が解消されるまで、解散が難しくなるとの見方もあります。岸田首相と吉村洋文大阪府知事の面会は、政治的に公明党に対して牽制するタイミングとなりました。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、要約をご覧下さい。

【私の論評】自民は、強い経済を作り出し政権を安定させる方向に進むべき(゚д゚)!

祥太朗問題とは別に、自民党と公明党の間で「10増10減」を巡る対立が続いていることが岸田首相を悩ませているようです。


公明党は次回の衆院選で東京の選挙区が増えることに対し、東京28区に公明候補を立てるよう要求していたのですが、自民党は認めませんでした。公明党は28区の擁立を断念し、一方で自民党の東京都内の候補を推薦しない方針を伝えました。ただ、この対立の影響は限定的とされ、選挙では両党の間で水面下での協力が行われる可能性があります。

夏に総選挙が行われる可能性もあり、首相はサプライズが好きであり、自公の混乱や翔太郎氏の問題を解決し、解散に向けた動きを悟られないようにしながら、6月に解散し、7月に総選挙を行う可能性があるとされています。

一方、野党第一党の立憲民主党ではあきらめムードや党の分裂の危機感が漂っており、次の衆院選で150議席を確保しなければ代表が辞任する考えが明言されています。しかし、立憲民主党の支持率は低く、党内では衆院選後に代表の引責辞任が予定されています。

与野党ともに衆院選に向けて浮足立っており、国民の課題に対する取り組みが後退している状況が指摘されています。

昨日は、岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」の裏付けとなる具体的な財源確保策の結論を年末に先送りしたようです。昨年末の防衛増税論議に続く持ち越しで、国民の負担増に対する与党の根強い反発を考慮したとみられます。衆院解散・総選挙の時期に注目が集まる中、自民党内では選挙で争点になることを避けたのではとの見方も出ています。

首相は昨年末、防衛力の抜本的強化に要する財源に関し、税目と税率、増税時期を一体的に決定する方針でした。ところが、与党から反対論が相次ぎ、増税時期を曖昧にして一応の決着を図った経緯があります。

岸田首相は、増税すると自民党内からも、国民からも反発を受けると認識しているようです。であれば、増税などしばらく止めてしまえば良いのではと思ってしまいます。

自民党は過去60年の大半を政権を担ってきたため、自民党の政治家の多くは、経済の状態に関係なく選挙に勝てると考えており、自己満足に陥っているのかもしれません。

しかし、経済が弱いと、政権は弱体化することを多くの政治家が間近にみてきたはずです。

2001年から民主党の野田首相まで、日本の首相は極めて頻繁に交代しました。特に、小泉純一郎首相が退陣した2006年以来、ほぼ1年に1人のペースで首相が入れ替わってきました。

もともと自由民主党政権時代から、ほぼ2年で交代することが多かったのですが、当時は自民党政権は永久政権と考えられていたため、政権交代のないままで定期的に首相を交代させる必要があったからかもしれません。一種、「派閥間の暗黙の合意に基づくたらい回し」の面があったともいえます。

しかし、1990年代に入って自民党の盤石と思われた体制が崩れ始め、小泉首相を最後に、その後すべての政権が1年くらいで、自民も、民主も崩壊を繰り返す事になりました。

1990年代というと、1993年の東京サミットは、7月7~9日の3日間で予定されていましたが、宮沢喜一首相は、内閣不信任決議が可決されたことを受け、サミット直前の6月18日に解散。サミット直後の7月18日に投票された結果、自民党は223議席で過半数を割り込みました。

そうして、非自民8党派による連立政権(細川護熙内閣)が発足し、自民党は初めて下野することとなったのです。ちなみに1993年にはいわゆるバブル崩壊の年にあたっています。

自民・公明が連立政権を組む前の年である、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥りました。

 こうした需要の低迷を背景に物価も弱含みとなり、物価の下落が企業経営の悪化や雇用の減少を招き、それがさらに景気を悪くする「デフレ・スパイラル」に陥る可能性さえ考えられ状態になり、実際その後日本はそうなりました。

日本経済が、このような状態になったのは、バブル期に確かに株価や地下はうなぎ登りでしたが、一般物価の上昇はさほどでもなかったのに、日銀官僚の誤謬によって、すべきでなかった金融引締に転じ、政府も緊縮財政に舵を切るなど、マクロ経済政策が間違ってしまったせいです。

経済の悪化は自民にも相当影を落とし、支持率が低迷し連立しないと過半数を取れないような状況になってしまったのです。

選挙は水物と言われます。何が起きるかは分からないです。1998年の参院選は予想とは異なる展開になりました。

96年に村山富市氏の後を継いで首相に就いた橋本龍太郎首相は改革志向を鮮明にしました。行政改革、財政構造改革、金融制度改革、経済構造改革、社会保障制度改革、教育改革を「6大改革」としました。国民の人気がなかったわけではありません。

橋本龍太郎氏

参院選で自民党は事前に60議席前後を確保すると予測されていましたが、ふたを開けると44議席にとどまり大敗しました。金融不安に加え「恒久減税」をめぐる橋本首相の発言のぶれが有権者の離反を招いたとされ、橋本首相は退陣しました。

選挙直前に結党した民主党は27議席と躍進。自民の対抗勢力として地歩を固めていくことになりました。

橋本首相が選挙で勝てなかったのは、1998年度に日本経済は、主要な需要項目が前年を下回り、大部分の業種が減収減益に見舞われる「日本列島総不況」に陥ったことが影を落としていたのは間違いないです。そうして、自民党が単独で過半数を取ることさえ難しくなったため、自公連立をすることになったのです。

結局何かの改革をしようが、憲法改正を声高に叫ぼうが、景気が悪ければ、政権の維持は難しいのです。なぜかこのことに、多くの政治家が気づいていないようです。

以前このブログに示したように、強い経済は政権の維持をするのにかなり重要なファクターであることは間違いないです。景気が良ければ、あるいは景気は循環しますから、景気が悪くなることがあっても、それがさほど悪くなく、すぐに回復するということであれば、多くの国民は安定を一番に考えますから、与党を支持するのです。

現実に、安倍首相は第一次安倍政権のときには、経済が回復せず、短期政権で終わっています。安倍氏は、第一次政権の失敗は、経済であると見抜いたのでしょう。第二次安倍政権ではアベノミックスを打ち出し、積極財政、金融緩和を行い、経済を上向きにさせることに成功しました。

積極財政は、結局二度にわたる消費税増税でうまくはいきませんでしたが、金融緩和は今にいたるまで継続され、第二次安倍政権では、雇用が劇的に改善しました。これもあって、安倍政権は憲政史上最長の政権になったのでしょう。

ちなみに、経済対策は雇用が良ければ、合格だといえます。他の指標が良くても、雇用がよくならなければ、合格とはいえません。安倍政権は経済対策では、合格点だったのです。

強い経済と安定した政権との間には相関関係があることを示す証拠は数多く存在します。

例えば、ピュー・リサーチ・センターの研究によると、"国内の物事の進め方に対する国民の満足度は、経済の状態と密接に関連している "という結果が得られています。また、この研究では、"経済がうまくいっているとき、人々は大統領の仕事を承認する可能性が高い "ということもわかっています。

ブルッキングス研究所による別の研究では、"経済成長と政治的安定の間には強い関係がある "とされています。この研究では、"経済成長率が高い国は、政治的な不安定さを経験する可能性が低い "とされています。

強い経済は、政府に必要な資金を提供し、インフラを維持することを可能にします。強い経済は、人々に雇用と機会を創出し、社会不安を軽減するのに役立ちます。

強い経済は、政府に正当性を与え、反対派が政府の権威に挑戦することをより困難にします。

岸田首相は、このことを理解すべきです。政権を維持し安定化させるためには、自公連携を強化したり、増税をなるべき先送りにしたり、効果が上がることが期待できそうもない「新しい資本主義」、「異次元の少子化対策」を提唱するような、姑息なことをしても無駄です。

王道は、安倍総理のように、経済を良くすることです。安倍総理は雇用を劇的に改善しましたが、岸田首相はこれは、継承し、安倍総理ができなかった、本格的な積極財政を実行すべきです。

先日も述べたように、現状では、大きなリターンが予想される、子どもへの投資や、防衛防衛費増を増税で賄うのではなく、大量の国債を発行しそれで、投資をすることです。これは、将来のリターンだけではなく、現状の20兆円近くの需給ギャップを埋めることになり、すぐに効果があらわれます。

これをしただけでも、政権はかなり安定するでしょう。

そうして、その後も果敢に、積極財政、金融緩和政策を継続し、日本経済を強くすべきです。その過程で、日本の経済対策の非効率さや利権を生み出している、ほとんどの対策を補助金で行うという方式から、欧米などで主流になっている減税策を多用する方式に転換すべきです。

その他諸々の不合理や非効率を廃し、それを背景に外交では安倍路線を継承し、さらに発展させ、憲法改正を成し遂げるなどのことも実行すべきです。

経済が強いことは、他にも副産物があります。たとえば、日本が高度成長した後には、当時のソ連の影響力はほとんどなくなりました。これはソ連の工作員に扇動され、反政府行動をしたり、その他の活動をするよりも、普通にまともに働いて生活したほうが、より幸せになれると多くの人々が判断したからでしょう。

日本でも他国のように、20 〜30年もすれば、同じ職場で同じ職位で働いていても、賃金が倍増することが期待できれば、考え方が全く変わってくるでしょう。人生設計も夢のあるものに変わってくるはずです。そうなれば、少子化問題など何もしなくても、自動的に解決するかもしれません。

現在日本の経済が再び強くなれば、中国からの影響も受けにくくなります。インバウンドなど誰もあてにしなくなります。いまもそうなのですが、日本人の観光客のほうが、観光地で消費をしますが、それがかなり増えるでしょう。観光地を訪れる頻度も増えるでしょう。地価や株価が再びあがりはじめ、得体のしれない中国系企業などに土地を売るくらいなら、自分でもっていて値上がりすれば、自分で売ろうと考えるようなるでしょう。

本格的に強い経済を作り出せば、岸田政権は安定し、憲法改正はもとより、懸案になっているいくつもの案件を成就することもできるでしょう。

しかし、いくら目先で増税を先送りしても、いずれ増税ということになれば、岸田政権は確実に不安定化します。そんなことより、強い経済に目を向けるべきてす。そうして、それは、長あいだ財務省や日銀がマクロ経済政策を間違え続けてきた日本では十分可能です。

岸田首相は、「増税は経済が過熱するまでやめます。金融緩和も、経済が過熱するまで継続します。子どもや若者に対する投資や防衛費増や公共工事などでもリターンの大きい投資に関しては、国債を用いてどんどん投資します。日本を希望に満ちた明るい国につくりかえていきます」と公言し、それを実行していけば、その過程で、岸田政権に対する支持率はうなぎのぼりで上がっていくことでしょう。

もちろん選挙でも公明や維新や国民などと連立しなくても勝つことができるようになるでしょう。連立などしなくても、単独で過半数以上をとれるなら、しないほうが良いに決まっています。

自民党の中でも、積極財政派の方々もいらしゃいますが、その方々ももっと「強い経済が、政権を安定させる」ことを強調し、岸田政権が安定し、長期政権になるために自分たちは動いているということを首相に理解していただくようにすべきと思います。

一番恐れなければならないのは、岸田政権が終わった後、小石河政権が続き、その後さらに林、茂木政権等が成立しても、どの政権も1年前後で終わってしまい、政権が弱体化し、また多数の政党による連立政権ができあがるような事態です。

総理大臣がコロコ変わるだけで、外交で安倍元総理が築き上げてきた、アベノレガシーは崩れるでしょう。政権が弱体化し、憲法改正はできなくなります。

挙句の果てに、上記のポスト岸田の面々は、経済に疎いので、今後何十年も日本人の賃金はあがらないかもしれません。財政でも緊縮に緊縮を重ねて、とんでもないことになるかもしれません。有能な若者は、前途を悲観して、海外に移住するようになるかもしれません。そんな事態だけは避けていただきたいものです。そのためにも、強い経済を築くべきなのです。

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2023年6月1日木曜日

日本の対外純資産が過去最高 31年連続で世界一も現状は「成熟債権国」の段階、今後「債権取り崩し国」になる―【私の論評】経済指標は、単純に「赤字駄目」、「黒字良し」で判断すべきものではない(゚д゚)!


 財務省は、2021年末時点で日本の対外純資産が過去最高の411兆1841億円であり、これは31年連続で世界一の記録であることを発表した。ドイツが2位で315兆7207億円、香港が3位で242兆7482億円であった。一方、米国は世界最大の純債務国であり、対外純債務残高は2067兆3330億円であった。

 経済学的には、対外純資産の大きさが国の発展段階を示すものであり、経常収支黒字が望ましいという通念は誤りである。経常収支黒字は対外資産の増加源であるが、実際には経常収支と経済成長率の相関はほとんどなく、経常収支黒字が必ずしも好ましいわけではない。

 国際収支の発展段階説によれば、国の発展初期段階では経常収支は赤字となり、対外純資産はマイナスとなる。しかし、貿易収支が黒字化し経常収支が黒字になると対外純資産はプラスになり、さらに所得収支も黒字になると対外純資産は大きなプラスとなる。しかし、経済が成熟すると貿易収支が赤字化し、経常収支の黒字は縮小して対外純資産の増加も鈍化する。最終的には貿易収支と経常収支が赤字に転じ、対外純資産は縮小する。

【私の論評】経済指標は、単純に「赤字駄目」、「黒字良し」で判断すべきものではない(゚д゚)!

上の記事では、対外純資産としていますが、正確にいうと対外純金融資産です。日本の政府や企業、個人が外国に保有する金融資産から負債を差し引いたもの。金融資産は政府の外貨準備高、銀行の対外融資、企業の対外投資といった額を合計。負債としては海外勢の対日投資などがあります。土地、建物などの試算は含みません。金融資産のみです。

上の記事にもあるように、日本の直近の対外金融資産純額は、2021年末時点で411兆円でした。

この情報のソースは、財務省の国際投資ポジション(IIP)報告書です。IIP報告書は、日本の対外金融資産と負債の詳細な内訳を提供しています。

2021年の日本の対外金融資産純額の増加は、以下のような多くの要因によってもたらされました。
  • 2021年に15.5兆円に達した好調な経常収支の黒字。
  • 日本円の価値が下がり、日本の資産が海外投資家にとってより魅力的になったこと。
  • 海外からの直接投資が増加し、2021年には1.8兆円に達したこと。
日本は、国際収支発展段階説の4つの段階を経た国であるといえます。


20世紀初頭の日本庭園

 日本は20世紀初頭、新興債務国でした。第二次世界大戦後の経済再建のため、アメリカやヨーロッパから大量の資本財や技術を輸入しました。

 日本は20世紀後半に成熟した債務国になり、輸入よりも輸出の方が多くなり、主要な新興債権国になりました。

21世紀初頭、日本は主要な債権国になりました。黒字を他国に投資し、その国の発展のための資金を調達するようになりました。

日本は現在、成熟した債権国になりました。世界有数の経済大国であり、豊富な対外資産を持つに至っています。

さて、次の段位で高橋洋一氏は、日本はいずれ「債権取り崩し国」になると語っていますが、これを誤解する人もいるかもしれないので、念のため、言っておきますが、債権取り崩し国になったからといって、すぐに財政危機に陥るわけでもありません。実際巨大債務国の米国は破綻していないわけですから、日本と単純比較はできないものの、少なくとも債権を取り崩す事自体が、すぐに財政破綻につながるわけではないことはいえます。

日本が債権取り崩し国になること事態がすぐに財政破綻につながるものではない

さらに、この国際収支発展段階説の6段階はかならずしも順を追って発展していくわけではなく、実証分析においては逆進がしばしば観測されています。

実際、先進国で高齢化が進んだ成熟国であっても、北欧諸国やスイスでは経常収支は黒字であり、貯蓄を取り崩しているとは限らないです。

国際収支の発展段階説では貿易収支とサービス収支がつねに同じ方向に動くものと仮定しているが、実際には米国のようにサービス収支の一部である特許等使用料収支は非常に安定的な黒字を維持している国も存在します。

さらに、米・ドルは基軸通貨としての役割があり、国際経済環境の変化に伴って米国以外の国が外貨準備としてドルを保有する行動も存在することから、経済発展に伴う国際収支の変化だけでは説明がつかない状況も観測されています。

ただ、世界最大の純債務国であり、対外純債務残高は2067兆3330億円もある米国の財政が破綻していないのですから、対外純債務がないどころか、対外純債権が411兆円もあり、それを取り崩してもいない日本が、いますぐに財政破綻の危機にあるとはいえないと思います。

ただ、これを論拠に日本が財政破綻しないというのは、そもそも論点が異なるのだと思います。財政に関しては、高橋洋一氏が語っているように、政府の債務だけではなく債権も考慮に入れること、そうしてEUでは加入国の財政をみる場合の標準になっている、中央銀行と政府を統合した統合政府ベースでみて判断すべきであり、その点からみれば、日本が財政破綻するなどとは全く考えられません。

統合政府ベースでみることに反対する不可思議な人もいますが、そういう人はなぜ大企業が連結決算を義務付けられているのかも理解できないないのかもしれません。

財務省は、財政を語るときには、巨額の財政赤字のみを強調し、債権は無視して、一般会計再出と税収だけを比較してワニの口などと称して不安を煽っています。

財務省が強調する歳出と歳入の差(ワニの口)

対外純資産や貿易黒字赤字などは必ずしも、それが経済にとって良いこと悪いこととはいえないのと同じく、債務を赤字とみて、これが大きいこと自体を問題にするのは明らかに間違いです。財政においては政府の債務だけをみて、債権をみないということになれば、正確な財政状況など把握できません。

上のグラフは、そもそも全く意味がありません。債権や債務を全く無視して、税収と、歳出だけを並べてみても、何の意味もありません。さらに、そこに国債の発行残高を併記しても、無意味です。

企業経営でも、債権、債務を無視して、支出と収入だけみて、そこに社債発行額を並べてみても、全く何も見えません。ただ、混乱するだけです。これで、企業運営をすることなどできません。財政も同じことです。このようなグラフで、何かを論じようとする財務官僚にはビジネスセンスはゼロと言わざるを得ません。といより、意図的なのかもしれません。

貿易収支の赤字・黒字、経常収支の赤字・黒字、対外純試算の赤字・黒字自体は、さほど意味はなく、その時々の状況で判断していくべきものです。政府の債務と債権は、まずはそのバランスを見ていくことが重要です。

これらについては、その数字の意味を認識した上で、判断すべきで、赤字であれば駄目、黒字であれば良いという単純な見方では何も見えてこなくなります。数字の意味を知った上で理解すべきです。さらに、何かの数字が赤字というと、マスコミなどはそこで頭の回転が止まってしまい、他の複数の数字を見ることせず、赤字という単体の数字だけで、論評しようとするのも大きな間違いです。

数字そのものは、嘘はつきませんが、他の数字とのかねあいや、時間軸も考慮にいれなければなりません。株価のような先行指標や、失業率のような遅行指標など時間軸を考慮に入れないければならない場合もあります。

以前テレビで典型的な駄目サラリーマンが「賃金の上昇はどの程度であれば、実感できますか」と問われて「数ヶ月で倍」とか「数ヶ月で数十パーセント」と答えていました。企業の業績立て直しでも、大企業であれば、数年はかかります。それが賃金に目に見えて反映されるのはさらにその数年後ということもあります。

こういう人は駄目サラリーマンに限らず、政治家や財界人、官僚などにも多いです。金融緩和をして賃金があがるにしても、倍になるのに20年〜30年かかり、年率ではほんの数%くらいであり、1〜2年では生活実感からすれば、誤差くらいにしか見えないことが理解できていないのだと思います。このようなことは、日本以外の過去30年間で賃金が倍になった他国の賃金上昇率などみても、わかることです。

こういう人たちは、数字の意味を理解しないで、ただ赤字とか、黒字という言葉に幻惑されるので、財務官僚の簡単なトリックに引っかかり、増税しないと大変なことになる、国債を大量に発行すると将来世代につけになる等と単純に思い込むのでしょう。そうして、円高になれば、「円高で大変だー」、円安なれば「円安で大変だー、悪い円安で大変だー」と大騒ぎするのでしょう。これは、中途半端な知ったかぶりに過ぎず、本当に困ったものだと思います。経済に疎い人が、「私は経済に疎いので」と正直に言う人のほうが、まだましです。

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2023年5月31日水曜日

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日本の先端半導体「輸出規制」、中国はどう見るのか、材料は対象に含まれず短期的な影響は軽微との見方も


 日本政府は、5月23日に先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の対象に追加した。追加された品目のほとんどは半導体の製造装置と部品であり、洗浄や薄膜形成、回路焼き付け、エッチング、検査などの工程に関連している。背景として、経済産業省は国際的な安全保障環境の厳しさや軍事転用の防止を目的として、最新の輸出管理動向などを総合的に勘案し、特定の貨物と技術を輸出管理の対象に追加したと説明している。

 中国商務省は、日本政府の決定を輸出管理の乱用として批判し、自由貿易や国際的な貿易ルールから逸脱していると述べた。

 専門家や投資業界関係者の意見によると、日本政府の規制強化は中国の半導体産業にどの程度の影響を及ぼすかは不明ですが、規制対象は回路線幅14nm以下の先端半導体の製造装置に限られており、材料などは含まれていないため、影響は小さい可能性がある。ただし、規制の運用次第で規制が成熟プロセスにまで拡大する可能性もあると指摘されている。

 また、中国の半導体メーカーは規制強化を見越して予備の装置や材料を大量に買い付けており、短期的には影響は大きくないとされているが、長期的には中国の半導体産業は国産の製造装置を開発し、輸入装置の代替能力が問われることになるかもしれない。

これは、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】最近の国内半導体製造業の旺盛な投資性向は、リターンが見込めるから。岸田首相もこれを見習え(゚д゚)!

日本の措置は昨年の米国の輸出規制より中国をさらに不安にさせるでしょう。細部条項を検討してみると日本が米国よりも一歩踏み込んで中国の半導体生産を防ぐ措置を出したとみられているからです。

米国が18ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)DRAM、14ナノメートル以下のシステム半導体など先端半導体の輸出だけ規制するのに対し、日本は45ナノメートル級汎用半導体製造に使われる露光装備などまで輸出規制に含むとみられるためです。もし汎用半導体製造にまで支障が出るならば中国企業は洗濯機などの家電製品から自動車に至るまで多様な製品生産に打撃を受けるほかありません。

半導体露光装置

また、こうした日本政府の動きがオランダと米国の今後の歩みに影響を与える可能性もありまう。オランダは7月に関連規制を出す予定です。

このため中国半導体産業協会は先月、「日本が制限する輸出装備の範囲がとても広範囲で、成熟した半導体技術供給網に影響を及ぼしかねない。日本が日中半導体産業間の協力的な関係を破壊しようとするならば中国政府が断固とした対応措置を取ってほしい」という内容の声明を出しました。

中国商務部も23日、「日本政府の措置は輸出管理措置の乱用であり自由貿易と国際経済・貿易規則に深刻に反するもので、これに対し断固として反対する」として即時是正を要求しました。これと関連し日経新聞は、中国が米国の半導体輸出規制に対して世界貿易機関(WTO)に提訴したように日本にも同様の行動を取る可能性があると予想しています。

一方、人工知能(AI)用先端半導体分野で世界1位の米エヌビディアのジェンスン・フアン(台湾系米国人)最高経営責任者(CEO)は24日に報道されたフィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「米国と中国間の半導体戦争が米国のテック産業に途轍もない被害を与える恐れがある」と話しました。

ファンCEOは「バイデン政権が中国の半導体産業牽制に向け実施した輸出統制でシリコンバレーの企業は後ろ手に縛られた状態。米国のテック業界で3分の1を占める中国市場を失えばわれわれは米国にこれ以上半導体工場を作る必要がない」と話しました。バイデン政権が自国内に半導体工場を作らせるためにCHIPS法を通じた大々的な支援を施行中ですが、対中輸出制裁でこの政策が無用の物になりかねないという警告です。

ただ、私はそのようなことにはならないと思います。AIの進歩が半導体の需要をさらに高めることが予想されるからです。

まずAIは、新しい製品やサービスの開発に活用されています。AIは、医療、金融、交通、製造など幅広い業界で、新しい製品やサービスの開発に利用されています。これらの新しい製品やサービスには、それを支える半導体が必要です。

例えば、自動運転車の開発にはAIが使われていますが、センサーからのデータを処理し、リアルタイムで意思決定を行うためには、多くのコンピューティングパワーが必要です。

さらに、既存の製品やサービスを改善するためにAIが活用されています。例えば、医療診断の精度向上、金融取引アルゴリズムの効率化、交通システムの安全性向上などに、AIが活用されています。こうした改善には、より強力な半導体が必要です。

さらに、AIはより広く普及しています。企業や消費者がAIを搭載した製品やサービスの利点を実感していることから、AIはより広まりつつあります。AIがより普及するにつれて、半導体の需要はさらに増加し続けることでしょう。

この主張の出典は、半導体産業協会(SIA)の報告書です。SIAは、世界の半導体業界を代表する業界団体です。「2022年の半導体産業」と題されたこの報告書は、2022年の世界の半導体市場が10.3%成長すると予測しています。同レポートは、この成長の要因として、AIを活用した製品やサービスの継続的な導入など、さまざまな要因を挙げています。

結論として、AIの進歩は半導体の需要をさらに促進すると予想されます。これは、AIが新しい製品やサービスの創出、既存の製品やサービスの改善、普及に活用されているためです。その結果、半導体の需要は今後も伸び続けると予想されます。

今後、AIの進歩はさらに半導体の需要を増していくことになるでしょう。たとえ米国のテック業界で3分の1を占める中国市場を失えば、米国にこれ以上半導体工場を作る必要がないという予想は間違いではないかと思います。

米国は世界の半導体産業における主要なプレーヤーです。米国には、インテル、クアルコム、Nvidiaなど、世界有数の半導体企業があります。これらの企業は、スマートフォン、コンピュータ、自動車など、さまざまな製品に使用される半導体を設計・製造しています。

米国政府は、半導体サプライチェーンの安全性に懸念を抱いています。米国政府は、米国が半導体を中国などの外国に依存しすぎていることを懸念しています。この懸念は、中国が半導体へのアクセスを利用して米国企業から知的財産を盗んでいると非難されている事実によって高まっています。

バイデン政権は、CHIPS法の一環として、半導体産業への520億ドルの投資を提案しています。この投資は、米国内でより多くの半導体工場を建設し、半導体産業での雇用を創出するのに役立つことでしょう。

AIの進歩が半導体需要を喚起している具体例をいくつか紹介します。

たとえば、自動運転車です。センサーからのデータを処理し、リアルタイムで意思決定を行うには、多くのコンピューティング・パワーが必要です。このコンピューティングパワーを提供するのが半導体です。

バーチャルアシスタント Amazon AlexaやGoogle Assistantに代表される仮想アシスタントの普及はますます進んでいます。これらのバーチャルアシスタントは、自然言語を処理し、応答を生成するために強力な半導体を必要とします。

ロボティクスもまた、AIが大きな影響を及ぼしている分野です。製造業、医療、物流など、幅広い産業でロボットの活用が進んでいます。これらのロボットを動かすには、半導体が必要です。

AI技術の発展が進むにつれ、半導体の需要はさらに高まると予想されます。なぜなら、AIは新しい製品やサービスの創造、既存の製品やサービスの改善、そして普及に活用されるからです。そのため、米国のハイテク産業は、需要の拡大に対応するために、米国内に多くの半導体工場を建設する必要があります。中国が製造できないというなら、なおさら必要になります。

そうして、これは米国だけではなく、日本も同じことです。

日本における半導体工場設立の近況を紹介します。

2022年12月、株式会社ラピダスは北海道千歳市に半導体新工場を建設すると発表した。工場の建設費は1兆円(約86億ドル)で、2ナノメートル(nm)チップの製造に使用される予定です。工場は2025年に生産を開始する予定で、3,000人以上の雇用を創出する予定です。


千歳市が工場に選ばれた理由は、インフラが整っており、東北新幹線の高速鉄道路線に近いことです。また、同市には熟練した労働力があり、政府も協力的です。

千歳市での半導体工場の設立は、日本の半導体産業にとって大きな後押しとなる。この工場は、多くの産業に不可欠な半導体の安定供給を確保するのに役立ちます。また、この工場は雇用を創出し、日本経済を活性化させるでしょう。

サムスンは、日本に新しいチップ開発施設を建設する予定です。この施設は横浜市に建設され、1,000人以上の雇用を創出する予定です。サムスンはこのプロジェクトにいくら投資するかはまだ発表していません。

東京エレクトロンは、日本に新しいチップ装置工場を建設します。この工場は大分市に建設され、200人以上の雇用が創出される見込みです。東京エレクトロンは、このプロジェクトへの投資額をまだ発表していません。

ジャパン・アドバンスト・セミコンダクター・マニュファクチャリング(JASM)は、日本で新しいチップ製造工場を建設しています。この工場は熊本市に建設され、1,700人以上の雇用が創出される予定です。JASMは、台湾のチップメーカーTSMCと日本のソニー、デンソーの合弁会社です。この工場は2024年に生産を開始する予定です。

TSMCの熊本新工場

これらは、日本における半導体工場設立の最近の動きのほんの一部です。日本政府は、国内生産を促進し、輸入への依存度を下げるために、半導体メーカーに補助金を支給しています。また、政府は、半導体産業への外国投資の誘致にも取り組んでいます。

世界の半導体市場は、今後数年間で大きく成長すると予想されます。この成長は、スマートフォン、コンピューター、自動車、産業機器など幅広い製品における半導体の需要の高まりによってもたらされています。日本は強力な製造基盤と熟練した労働力を有しているため、この成長の恩恵を受けるのに有利な立場にあります。

日本に新しい半導体工場が設立されることは、日本が半導体を安定的に供給できるようにすることにつながります。半導体は多くの産業にとって不可欠なものであるため、これは日本の経済的安全保障にとって重要です。また、新しい工場は雇用を創出し、日本経済を活性化させるでしょう。

日本の半導体企業は、中国が半導体製造ができなくなることを見込んでいることと、これから反動大重要はますます旺盛になることを見込んで、大型投資をどんどん実施しようとしています。

私は、最近の株価がバブル後の最高値が続いている、背景にはもちろんこうした事があるからだと思います。これに関しては、政府の動きは全く関係ないと思います。というより、政府の動きはマイナスに作用するだけだと思います。

先日もこのブログに述べたように、現状では、子どもへの投資、防衛費増は、明らかに日本ではリターンがかなり高く、であれば、財源は増税や保険料の値上げなどではなく、国債を発行して賄うべきなのですが、政府は何かというと「増税」ばかりしようと考えているようです。

半導体製造業の今回の工場新設には、無論銀行などからお金を借りるなどの手段を講じて行うのでしょう。多額の借金をしたとしても、十分リターンがあるし、意義のある事業であるからこそそのような挑戦をするのです。政府のように少子化対策や防衛費増額の、財源を税金で賄うということは、企業でいえば、大事業を内部資金だけで賄うようなものです。

確実にリターンが期待できる投資に、内部資金だけで行うのは全くばかけています。政府も半導体製造業と同じく、リターンが期待できる投資には、財源として国債をあてるべきです。

リターンが期待できる投資は、お金を借りて実行するというというのは、社会常識です。金融機関からお金が借りられるということは、企業の信用もありますが、投資が大きなリターンを生むと金融機関も理解するから、貸すのです。

岸田首相や、財務省や多くの政治家は、これを理解していないようです。彼らには、満足に企業経営もできないでしょう。満足に企業経営もできない人が、政府を運営するのは難しいです。ビジネスセンスのない人には、任せられないです。

岸田首相は、今回の半導体製造業の矢継ぎ早の投資の意味を良く考えて、そろそろ、財源に税金ばかりを用いるのは、間違いであることを理解していただきたいものです。

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