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2018年7月25日水曜日

米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ―【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!

米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ

「命運が尽きた」と言われながらも支持層は盤石

ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、
北大西洋理事会の会合の会場に到着したドナルド・トランプ米大統領(2018年7月11日)

 西欧訪問やロシアのプーチン大統領との会談を終えた米国のドナルド・トランプ大統領が米国主要メディアから酷評を浴びている。政界でも民主党側はもちろん共和党の一部からも批判が起きた。

 だが、その一方で米国民一般のトランプ大統領支持は5割に近い水準を保ち、共和党支持者の間では一段と高くなっている。激しく糾弾されるトランプ大統領と、支持層を堅く保つトランプ大統領と、まるで2人の人物が存在するかのようだ。

根拠が薄弱な米国メディアのトランプ評

 欧州を訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談したトランプ大統領の言動に対して、米国のメディアや民主党系識者たちからは以下のような非難がぶつけられた。

「トランプ大統領は西欧との同盟を破壊する」

「敵であるはずのロシアと手を結ぼうとする」

「トランプ氏は無知で衝動的であり、政策がない」

 トランプ批判の先頭に立つニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの記事は、このような非難に満ちていた。その筆致はまるでトランプ大統領の命運が尽きたと断じているようでもあった。

 このようにトランプ大統領を切り捨てる論評は、そのほとんどがトランプ大統領のメディアとのやりとりや、トランプ氏自身のツイッターでの発信が根拠となっている。トランプ大統領が正式に発表した政策や決定を基にしているのではなく、記者が個人的な感想を述べるという次元の記事が多いのが実状だ。

 確かにトランプ氏の言動は既成の政治リーダーとは、まったく異なる。単純明快だが、粗雑である。ごく平均的な米国人たちが日ごろ口にするような言葉で、難しい国際問題や国内問題を平易に説明しようとする。そうした言葉遣いは、政治やメディアの世界のエリートとされる層をいらだたせ、怒らせ、反発させる。

 日本でのトランプ評も、米側のそんな傾向に依拠するところが多い。実際に、いまだに以下のようなトランプ評が見受けられる。

「トランプ氏は不動産業出身だから大統領職はまともには務まらない」

「大統領としての行政や統治も、みな損得のディールなのだ」

「トランプ氏の最近の言動はみな中間選挙目当てである」

 だが、こうしたトランプ評は根拠が薄弱であり、明らかに事実と異なる部分もある。まず「不動産業だから」という批判は、不動産業への差別意識だともいえる。かつて1981年に共和党のロナルド・レーガン大統領が登場したとき、民主党側の政治家やメディアは「しょせん彼は映画俳優だったから」と見下す言葉を浴びせた。映画俳優という職業への偏見だった。しかし、現実にはレーガン大統領は米国の政治史でも最高レベルの国民の人気を得る国家指導者として名を残した。

 トランプ大統領は政策や理念ではなく金銭上の損得だけを考えて「ディール」している、中間選挙で共和党の勝利を得るために目先の人気取りだけで動いている──といった批判も、裏付けとなる事実があるわけではない。

国民の支持を得ているトランプ大統領の政策

 米国メディアは、以上のようにトランプ大統領を徹底的に「浅薄、無知、無思慮、無政策、無思想な人物」として描き、「ドン・キホーテのように孤立して奇矯な人物」というレッテルを貼ろうとしている。

 だが現実のトランプ大統領は、決してそうではない。

 私は、2015年6月にトランプ氏が大統領選への立候補を宣言したときから大統領選キャンペーン中の彼の言動を追い、トランプ氏が大統領に就任してからも、その政策や演説を取材してきた。また、トランプ大統領の支持層にも接してきた。その体験を踏まえて彼を眺めると、どうしても異なるトランプ像がみえてくる。

 今、話題になっているトランプ大統領の欧州への防衛政策やロシアへの態度に焦点を当てて説明しよう。

 今回の欧州訪問で北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談に出席したトランプ大統領は、NATOの欧州側加盟国に防衛費の増額を強く要求した。加盟各国は最低限、GDP(国内総生産)2%の防衛費支出をするという約束を守れ、という要求だった。

 トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道された。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判も多かった。

 しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていた。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのだ。国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していた。

 また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきた。昨年(2017年)末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言している。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認された。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めているのだ。

 ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきた。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいない。ロシアへの経済制裁もまったく緩めていないのだ。

 トランプ政権のロシアへの基本姿勢は、軍事力の強化によっても明らかだといえる。トランプ大統領は2017年9月の国連演説で「原則に基づく現実主義」という理念を掲げ、国家主権に基づく「力による平和」という政策を語った。それとともに、潜在敵であるロシアや中国の膨張を抑えるために、軍事力を大幅に強化し始めた。トランプ政権の2018年度の国防予算は、前年度から13%増加し、GDPの4%ほどに達している。

トランプ大統領はもう1人いる?

 だが、反トランプのメディアはそうした政策をほとんど取り上げない。その代わりにトランプ大統領の自由奔放な発言、放言、失言を引き出して、集中砲火を浴びせる。 

 それでも、米国一般のトランプ支持は揺らがない。大手世論調査機関で唯一、毎日、大統領支持率の調査を実施するラスムセン社の発表では、トランプ大統領への一般米国民の支持率は45%以上であり、ときには50%近くにもなる。この支持率はこの数カ月間、上昇傾向にある。

 さらにトランプ大統領への支持の特色は、本来の支持層の支持がきわめて堅固であり、しかも増加の動きをみせている点である。ごく最近でもその支持率は85%以上の高い水準にある。「命運が尽きた大統領」というイメージとはほど遠いといってよい。

 7月24日の報道でも、トランプ・プーチン会談の最中と直後の7月中旬に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙とNBCテレビが共同で実施した全米世論調査では、トランプ大統領への支持率が前回の44%から45%に上昇したという。ネット・メディアの「ザ・ヒル」の同時期の世論調査では共和党支持層のトランプ大統領への支持率は88%という記録破りの数字を出したという。

 こうした諸点をみてくると、米側の反トランプメディアや日本側のいわゆる識者の多くが描くのとは異なる「もう1人のトランプ大統領」を、私はどうしても実感させられるのである。

【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもでている、米国の調査会社ラスムッセン社が毎日行っている世論調査で、今年2月27日にはトランプ大統領の業績を支持する者が50%となりこの内35%が「強く支持」していました。一方不支持率は48%で「強く不満を持つ」は39%でした。

トランプ大統領の支持率が50%になるのは昨年6月中旬以来のことです。その後30%台にまで転落していたのですが昨年暮れ以降上昇機運にありました。

この50%という支持率が高いのかどうかですが、オバマ前大統領の第一期目の同時期の支持率が43%であったのと比較すると、かなり良い数字だと考えざるを得ません。

その原因ですが、時期的に見るとトランプ大統領に大きな影響力を持っていた超保守派のスティーブ・バノン前主席戦略官が暴露本「炎と怒り」に、大統領の娘イバンカさんや娘婿クシュナー氏を批判する発言を引用されて、ホワイトハウスから完全に放逐されたことと重なります。

暴露本「炎と怒り」

その後トランプ大統領の口から「アメリカ・ファースト」という言葉も出なくなり、政策的にも移民に同情的だったり、今年3 月のフロリダの高校での銃乱射事件でも銃規制強化を提案したり柔軟な姿勢が見えるようになったことが支持を拡大した可能性が大きいです。

ただ、同時期に発表されたCNNの世論調査ではトランプ大統領への支持は35%で過去最低と並んだとされました。片やラスムッセン社がトランプ大統領は「評価されている」としたのに対して「最低水準」という結果はどうして生まれたのでしょうか。

トランプ大統領の支持率を伝えるCNNの画面

同じ疑問を米国でも持ったようで、ワシントンの保守系のニュースサイト「デイリー・コーラー」が分析を試みていました。

同サイトはまず回答者について調べた結果、CNNの場合「民主党支持者」33%「共和党支持者」23%「その他」44%となっていることに着目した。通常米国国民の内共和党を支持する者は37%とされているので、14%ほど民主党寄りの回答者が多かったのではないかと指摘しました。

次に、回答者の選び方もCNNが「18歳以上の成年男女」としたのに対してラスムッセンは「投票すると回答した有権者」だった。大統領選挙の投票率は通常50%前後なので、世論調査の対象としては「投票する」とした有権者の方が正確を期せるといいます。

さらに、CNNの調査は調査員が電話で尋ねる方法をとりますが、この場合回答者が調査員の意向をしんしゃくする場合があるのでラスムッセンのように録音メッセージで機械的に行う方が好ましく「CNNは調査のデータをねじ曲げ(skewing)た」と「デイリー・コーラー」は断じています。

CNNが「ねじ曲げた」かどうかはともかく、ラスムッセン社の世論調査は一昨年の大統領選の際にトランプ候補とクリントン候補の得票差をほぼ正確にとらえていたことで評価されており、いまトランプ大統領が上り調子であるという調査結果は素直に受け入れても良いと認識すべきと思います。

実際、ブログ冒頭の記事にも「大手世論調査機関で唯一、毎日、大統領支持率の調査を実施するラスムセン社の発表では、トランプ大統領への一般米国民の支持率は45%以上であり、ときには50%近くにもなっている」とあります。そうして、この支持率はこの数カ月間、上昇傾向にあります。

CNNといえば、昨年ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問がロシア疑惑で連邦議会の調査を受けているという記事を米CNNが撤回し、CNNは26日、関わった記者3人の辞職を発表していました。

CNNを辞職したのは、記事を担当したトマス・フランク記者、調査報道部門編集者でピュリツァー賞受賞経験もあるエリック・リクトブラウ氏、調査報道部門の責任者のレックス・ハリス氏。

米国のCNNや他の報道機関の報道でも、トランプ大統領に関する報道は偏向しているとみるべきでしょう。やはり、ラスムッセン社の世論調査などを参照すべきです。

日米マスコミのトランプ報道は鵜呑みにできない

そもそも、このブログでも過去に何度か述べているように、米国のマスコミはリベラル派が牛耳っています。新聞はすべてが、リベラル派です。テレビ局では唯一フォックスTVだけが、保守派で他はリベラルです。

報道する時の視点はすべてリベラル派の視点からによるものです。米国のマスコミの報道だけを見ていると、それは米国の半分だけみていることになり、もう半分の保守派についてはスルーすることになります。

日本のメディアの安倍総理報道も鵜呑みにできない

それは、日本の安倍総理の報道も、産経新聞などを見ることなく、朝日新聞やテレビ報道を真に受けていれば、とんでもないことになると同じことです。

日米双方とも、マスコミの大部分は偏向しているとみなすべきです。そもそも、両方ともトランプ大統領の登場を予測できませんでした。そんなマスコミを単純に信じ込むことはできません。

【関連記事】

米ロ首脳会談 − 「ロシアからヒラリーに4億ドル寄付」プーチン大統領が発言―【私の論評】トランプ氏を馬鹿であると報道し続ける日米のマスコミは、自身が馬鹿であると気づいていない?

2022年11月22日火曜日

ハーバード世論調査:トランプがデサンティスに18ポイント差で勝利、仮定上の2024年共和党予備選挙で―【私の論評】 中間選挙でトランプの共和党内での立場は盤石になり、現状で大統領選の最有力候補に(゚д゚)!

ハーバード世論調査:トランプがデサンティスに18ポイント差で勝利、仮定上の2024年共和党予備選挙で


<引用元:ブライトバート・ニュース 2022.11.18
最新のハーバードCAPS・ハリス世論調査で、共和党の2024年大統領予備選挙を仮定した場合にドナルド・トランプ前大統領がフロリダ州のロン・デサンティス知事に18ポイントリードし、明らかな最有力候補者であることがわかった。

世論調査では、共和党有権者の46パーセントがトランプを支持していることがわかった。一方デサンティスの支持者は28パーセントだった。

2024年に大統領選挙に出馬するとの憶測が多いマイク・ペンス前副大統領は、わずか7パーセントの支持率だった。テッド・クルーズが3パーセントで4位に着け、ニッキー・ヘイリー、マイク・ポンペオ、そしてティム・スコットはいずれも2パーセントだった。

ハーバード世論調査は、先週の中間選挙後、そしてトランプの2024年大統領選挙出馬の発表後に実施された。

「アメリカを再び偉大で輝かしくするために、私は今夜合衆国大統領に立候補することを発表します」とトランプは、15日にマーアラゴの私有地で支持者の聴衆に語った。

また世論調査では、デサンティスならジョー・バイデン大統領と同点となるが、トランプであれば2024年のリターンマッチを仮定した場合にバイデンに勝利することもわかった。

仮定上のリターンマッチでは、有権者の42パーセントがバイデンを支持するのに対し44パーセントはトランプを支持する。調査ではまた、仮定上の選挙でトランプがカマラ・ハリス副大統領を7ポイント差で破ることもわかった。

一方デサンティスとバイデンは調査では43パーセントで同点となった。

調査ではほとんどの有権者がバイデンの精神面の健康状態に疑問を持っており、2期目の出馬を行うべきでないと考えていることもわかった。

ハーバードCAPS・ハリス世論調査は2,212人の登録済み有権者に対して11月16日から17日まで実施された。

【私の論評】 中間選挙でトランプの共和党内での立場は盤石になり、現状で大統領選の最有力候補に(゚д゚)!

上の記事にでてくる、フロリダ州のロン・デサンティス知事、州知事選で、民主党の対立候補に圧勝して知事再選を果たし、2024年の次期大統領選に向けた共和党の「新星一番手」という地位を確保したとみられる人物です。

ロン・デサンティスフロリダ州知事

トランプ前大統領が15日に次期大統領選への再出馬を正式表明すると予測される中で、デサンティス氏は、自らの政治生命を賭けてトランプ氏と共和党大統領候補の座を争う覚悟があるのかどうか決断を求められることになります。

日本では、ほとんどのメディアは中間選挙は、共和党の完璧な敗北であり、その責任の一旦はトランプにあり、トランプの大統領復帰など、あり得ないという論調です。

しかしこれは一方的な見方にすぎないことをこのブログでは、主張しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
暗号資産FTX経営破綻 米で12月に公聴会へ 債権者は100万人超か―【私の論評】トランプの大統領選を有利にする、民主党リベラルの大スポンサーFTXの経営破綻(゚д゚)!
サム・バンクマンフリードFTX前最高経営責任者(CEO)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。
トランプ氏の次期大統領選出馬表明について日米のメディアは強く批判ばかりしています。その最大の根拠は「中間選挙で共和党が惨敗」したという見方です。

しかし上院で今回選挙戦が争われたのは35選挙区です。民主党の改選議席数は14(非改選36)、共和党の改選議席数は21(非改選29)下院は共和217、民主207。これでは、共和党が惨敗とはいえません。むしろ、選挙戦そのものでは共和党のほうが勝っているともいえます。

そうして、トランプが支持した候補は予備選等も含めて235人当選し、敗北は22人です。これもトランプが敗北したとはいえません。

そうでなけば、2024年の大統領選に出馬することを表明したりはできなかったでしょう。

日本のメディアは、米国のリベラルメディアの報道を垂れ流すのみで、以上のようなことを報道しません。
無論、共和党は中間選挙で旋風を起こせなかったのは事実です。ただ、それを全部トランプのせいにするのは、あまりに無責任といわざるをえません。

この記事で主張したように、共和党は「トランプ党」なのか「反トランプ党」なのかを明確にしないまま、選挙戦に突入したのに対して、民主党はインフレなど不利な面があったので、より結束を強めて選挙戦に突入することができました。

そのため、共和党は中間選挙では旋風を起こすことができなかったのです。しかしながら、朝日新聞は以下のように伝えています。
 トランプ氏は選挙後、米FOXニュースに対し、推薦した候補の大半が当選したとして「我々はとてつもない成功を収めた」と語った。米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏は上院で21人、下院で156人の計177人を推薦した。米CNNによると21日時点で、上院では15人、下院では148人が当選を確実にしている。「トランプ派」の推薦候補のうち9割超が当選したことになる。

 ただ、朝日新聞は、続けて、中間選挙の選挙区を「共和党有利」「接戦区」「民主党有利」の三つに分類すると、トランプ氏が推薦した先は「共和党有利」の候補ばかりだとしています。

ただ、トランプ氏がなぜ推薦を行ったかといえば、トランプ派の議員をなるべく増やすためです。この目的を成就するためには、共和党が有利な選挙区で、トランプ派の議員が立候補していれば、その議員を推薦し、反トランプ派の議員が立候補している場合は、刺客を送り、反トランプ派の議員を落選させることが、最も効率的ですし、効果的です。

これは、このブログでも以前述べましたが、ワイオミング州で8月16日、連邦下院選の共和党候補を決める予備選が行われた結果、昨年の連邦議会占拠事件を巡ってトランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れたことをみても明らかです。


トランプ氏の推薦候補は、上下両院の共和党の当選候補のうち7割近くを占めています。今後の米議会でも、トランプ派が共和党内で存在感を保つことは確かです。私自身、今回の中間選挙でトランプ氏の共和党内での立場は強くなったとみています。

確かに共和党の大統領候補指名レースに限れば、トランプ氏はデサンティス氏を含む他のどの政治家に対しても優位に立つとみられます。党の支持層の間では高い人気を維持し、手元にある潤沢な選挙資金はこれからさらに増えていく一方でしょう。

それを見越している人が多いからこそ、最新のハーバードCAPS・ハリス世論調査で、共和党の2024年大統領予備選挙を仮定した場合にドナルド・トランプ前大統領がフロリダ州のロン・デサンティス知事に18ポイントリードし、明らかな最有力候補者であることがわかったのだと考えられます。

トランプ氏が2024年の大統領選挙における有力な候補であることは間違いないです。ただ、一つトランプ氏にとって不安材料があります。それは、今回の中間選挙で共和党が「共和党旋風」を起こせなかった原因となった、共和党が「トランプ党」でいくか、「反トランプ党」でいくかをはっきりさせないことです。

これが、はっきりしなければ、トランプ氏も、共和党も「勝てる選挙」でも勝てなくなってしまう可能性があります。

共和党としては、どちらの道を行くにしても、早い時期に決めて、決まった以上は一致団結して、選挙戦に望み、次の選挙では、共和党旋風を巻き起こすべきと思います。

過去をみると、共和党政権にとっては、日本にとって良いことが多く、民主党政権のときはあまり良くなかったと思います。


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2020年10月3日土曜日

トランプ氏、コロナ感染は「逆風」か「追い風」か 最先端「抗体カクテル療法」実施、軽症&早期回復なら大逆転再選も―【私の論評】トランプが2週間の隔離プロセスが終了直後の第二回討論会に出られれば、完璧な「オクトーバーサプライズ」になる(゚д゚)!

 トランプ氏、コロナ感染は「逆風」か「追い風」か 最先端「抗体カクテル療法」実施、軽症&早期回復なら大逆転再選も


マスク姿でホワイトハウスを出るトランプ大統領

 米国が非常事態だ。新型コロナウイルスに感染したドナルド・トランプ大統領(74)は米国時間2日、首都ワシントン郊外の軍の医療施設に搬送された。発熱や倦怠(けんたい)感などの症状があり、臨床試験中の人工抗体薬で治療している。米軍の最高司令官でもあるトランプ氏の容体が今後、重症化する事態となれば、世界の安全保障体制に与える影響も大きく、1カ月後の大統領選にも大打撃だ。一方、軽症で回復すれば、大逆転再選の目も出てくる。 

 「これから病院に行く。私は元気だと思うが、念のための措置だ」

 トランプ氏は2日、ツイッターに動画を投稿、健在ぶりを強調した。

 スーツにマスク姿でホワイトハウスの庭に駐機した大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に歩いて乗り込み、ウォルター・リード国立軍事医療センターに入院。予防的措置としており、数日間、同施設内で執務に当たる。

 CNNは、トランプ氏に2日朝から発熱の症状があると報じた。同日昼の電話会合に出席せず、マイク・ペンス副大統領(61)が代わりを務めた。

 ホワイトハウスはトランプ氏の同日午後の状態について「倦怠感がある」とする専属医の記録を公表。米製薬企業リジェネロンが開発し、臨床試験中の人工的な抗体による薬の投与を受けていると明らかにした。

 リジェネロン社は、2つの抗体を組み合わせた「抗体カクテル療法」の臨床試験で、患者のウイルス量が減り、症状が軽減されたとの結果を発表している。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は、「抗体カクテル療法は、2つのモノクローナル抗体を組み合わせて用いる治療法だ。1つの抗体よりも2つを組み合わせた方が治療効果があると見込まれている。米国では最近認められた治療法で、最先端の治療の一つを利用するということだろう」と解説する。

 最大の関心事が1カ月後の大統領選への影響だ。トランプ氏の選対本部は2日、11月の大統領選に向け計画している集会やイベントはオンラインで実施するか延期すると発表した。

 これに対し、9月29日の第1回候補者討論会でトランプ氏と激論を交わした民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)は2日、検査を受けた結果、陰性だったと明らかにした。

 拓殖大海外事情研究所の川上高司教授は、トランプ氏の容体について「重症化や死亡といった万一の事態も想定しうる。その場合、ペンス副大統領が大統領候補になり、副大統領候補を再度選出するため共和党大会が開催されるが、間に合うか分からない」と指摘する。

 トランプ陣営にとって危機的な状況に陥ったことは間違いないが、トランプ氏が軽症で早期に回復した場合は、別のシナリオも浮上する。

 「トランプ氏が体力的に回復して、健康な姿を見せることができれば、国民や共和党員の支持を集めるだろう。バイデン氏がコロナ対策の追撃をためらうようなことがあれば、トランプ氏が有利になることも考えられる」と川上氏は語る。

 バイデン氏は2日、激戦州の一つ、中西部ミシガン州のイベントに参加し、トランプ夫妻の早期回復を祈っていると表明した。バイデン陣営は、トランプ氏を攻撃するネガティブキャンペーンも取りやめた。

 米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、トランプ氏の入院が、かえって存在感を高めるのではないかと強調する。

 「トランプ氏が激戦区を訪れることができないのは確かに痛いが、経済では2日に発表された雇用統計でも、失業率が7・9%と5カ月連続で改善しているという実績もある。民主党やメディアに攻撃され続けてきたトランプ氏だが、今回のコロナ感染によって、『もう4年続けてもらわないと困る』と国民が目を覚ますことになるだろう。メディアの報道もトランプ氏の容体に時間を割いており、バイデン氏が何かを発言したところで国民には響かない」

【私の論評】トランプが2週間の隔離プロセスが終了直後の第二回討論会に出られれば、完璧な「オクトーバーサプライズ」になる(゚д゚)!

米国主要メディアは火曜日の夜に行われた討論会を「史上最悪の討論会」などとトランプ大統領をこき下ろして報道していますが、日本のメディアもそれを鵜呑みにして一緒にこき下ろして報道していて滑稽です。

米メディアがトランプ氏をこき下ろしている理由は次回の討論会までに討論会のルールを変更しようという魂胆があるからです。そうしないとバイデン氏が残り2回も討論会を生き残れないからです。

討論会でのバイデン

そのようなことも理解せずに日本のメディアはそのまま米メディアの翻訳して報道していて本当に情けない限りです。何やら司会者が討論者のマイクの電源を切れるような「サイレント・ボタン」を設置するのはどうか?などといった話も出てきています。

そんな機能が司会者側に設置されれば、機関銃のように喋れるトランプ大統領には不利になります。バイデン氏は討論の途中、やはり単語が出にくい場面がありました。やはり認知症の疑いがあるのではないかと私は感じました。

NBCの人気ドラマ「The Blacklist ブラックリスト」(日本ではNetflixでみられます)に出てきたモサドのエージェントでFBIに潜入したサマルという捜査官が任務中の事故で血管性認知症に冒されて失語症や記憶を失い始めるシーンがありましたが、あのようなな感じでした。

サマル・ナヴァービ役のモズハン・マーノ

ホワイトハウスはフロリダ州での集会など大統領が2日計画していた政治イベントをキャンセルしました。トランプ氏の隔離が続くことから、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ネバダなど重要州への訪問を含む今後数日の予定も中止されるでしょう。

集会に姿を見せ有権者と触れ合うことで、資金を集めるとともに支持者の熱狂をあおるのがトランプ氏のスタイルです。また、選挙戦の最終盤で焦点を新型コロナから移し、最高裁判事指名や景気回復、暴動などに向けたい考えでした。しかし今や、今後数週間の話題はトランプ氏の健康状態に集中するでしょう。

得意の政治集会や、選挙の焦点をずらす作戦が不可能ならば、民主党候補バイデン氏の世論調査でのリードを覆すのは難しくなる公算も大きいです。

ただ、トランプ氏の陽性判定のわずか72時間程度前に討論を行っているバイデン氏も、自主隔離に入るかどうかを決めなければならないでしょう。バイデン氏陣営は今のところトランプ氏の感染についてコメントしていないですが、対立候補の病気を喜んでいるような様子は決して見せずにトランプ氏の新型コロナ対応への批判を続けるという適度な姿勢を保つことが必要になります。

今後の米大統領戦のポイントは以下の2つです。 

(1)症状の重さ 
(2)回復の早さ 

症状が重ければ、現職の大統領としての実務が続けられなくなります。ホワイトハウスというかなり厳重に感染対策が行われているはずの場所で、側近に続いて大統領夫妻が感染したとなれば、ホワイトハウスの統治機能そのものに大きな疑問符がつきます。 

これまでトランプ氏のコロナ政策を批判してきた野党・民主党は、ここぞとばかりに、『自業自得』だと批判の声を高めることが予想され、トランプ支持者から見てもトランプ氏がこれまで主張してきたことの信ぴょう性が崩れることになります。ただ、その一方で重症化すれば同情の声もあがり、病気の人への批判はやりづらくなるという面もあります。 

一方で、症状が治まって比較的回復も早かった場合は、逆にトランプ氏に『有利』に働く可能性もあります。 

支持者らはトランプ氏自身が言っていたように「やはりコロナは大したことなく、大統領は強い人だ」と再認識することになりますし、選挙集会なども予定通り行われれば、トランプにとっては、自分はコロナから回復した「強い指導者」であるとアピールする場となるので、追い風になる可能性もあります。

米国で開催されたコロナパーティー

さらに、トランプ氏の容態が良かろうが、悪かろうが、トランプ支持派にはかなりの危機感が芽生えたと思います。共和党内も、トランプ支持で結束を固めることになるでしょう。米国内の保守派もそうなるでしょう。

そういう意味では、今回の感染判明が一方的にトランプに不利になるわけではありません。今後の最大の注目点はトランプ氏が重症化するか、比較的早く回復するかというところです。

次に予定されている二回目の大統領候補者の討論会は10月15日ですからちょうどトランプ大統領の2週間の隔離プロセスが終了するときです。なんというタイミングなのでしょう。しかも討論会の舞台をトランプ大統領の第2の庭であるフロリダ州に変更したのは6月ごろでした。

このタイミングで、トランプ氏が、二回目の討論会に出ることができれば、トランプ氏にとっては、かなり有利な展開になります。それにしても、まるで最初から図ったようなタイミングです。それにトランプ氏としても、多少体調が悪くても、他者に感染させる可能性がなければ、無理をしてでも出るでしょう。

米国では選挙の直前に驚くべきことが起きて選挙情勢を大きくひっくり返すことを「オクトーバーサプライズ」と言いますが、まさに文字通り、10月に入ったばかりでの感染確認は、最大のオクトーバーサプライズになったと言えるかもしれません。

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2019年10月17日木曜日

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測
Historically Accurate Forecast Predicts Trump Win in 2020 
ニューズ・ウィーク

フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

<1980年の大統領選以来、一度しか予測を外したことのないムーディーズ・アナリティカがトランプ勝利を予測する背景は>

2020年米大統領選挙をめぐる世論調査で、ドナルド・トランプ大統領は現在のところ、民主党の複数の有力候補に遅れをとっている。だが、正確さで定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが大差で勝つと予測している。

同社は、1980年以降すべての大統領選で勝者を的中させてきた。唯一外れたのは、トランプとヒラリー・クリントンが対決した2016年の大統領選だけ。もっともこの時は、他の予測もほとんどがクリントンの勝利を予測した。トランプ勝利を予測できたほうが例外的だ。

赤がトランプ(共和党)が勝つと予想される州、そして青が民主党が勝つと予想される州。
    ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが激戦州を制すると予想

ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ、ダン・ホワイト、バーナード・イェーボスの3人は、「2016年大統領選で予測が初めて失敗した理由の一つは、想定外の人々が投票に出かけたことだった」と書いている。

「我が社のモデルは、候補者がどの政党の支持者かという以外の個人属性を考慮していなかった。つまりトランプとクリントンの得票は、それぞれの所属政党の支持者の動向で決まると思っていたが、そうではなかった」

ムーディーズは、経済面で3つのモデルを使って予測を立てているが、いずれのケースでも、2020年の大統領選でトランプは少なくとも全部で538人の選挙人中289人を獲得する見通しだという。

市場の評価は今一つだが

3つのモデルのうち1つ目の「財布」モデルでは、経済についての3つの変数を重視している。ガソリン価格、住宅価格、個人所得の3つだ。いずれも、価格の変動が財布の中味に直結する。好調な米経済を背景に、トランプがいちばん大差で勝つのはこのモデルで、351人という圧倒的な選挙人を獲得する。

「有権者が主として自分の懐具合に基づいて投票した場合、トランプが圧勝するだろう」とムーディーズ・アナリティクスのリポートは書く。

2つめは「株式市場」モデルで、これがトランプにとっては最も厳しい。ここで重視するのは、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数とそこに組み込まれている優良企業500社の収益動向だ。米企業と株式市場は今、主にトランプの貿易政策をめぐる不透明感から悪影響を受けている。だからトランプに厳しくなるが、それでも、現時点ではまだトランプが勝つという予測になっている。

最後の「失業率」モデルでは、現在の低失業率が来年半ばごろまで続くという見通しを背景に、トランプの楽勝を予測する。

ムーディーズ・アナリティクスは、前回の大統領選では予測を外したものの、同社が2016年にトランプの大統領在任中の経済状況について行った予測は、おおむね現実になっている。

<参考記事>嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
<参考記事>民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレ

2016年、ムーディーズ・アナリティクスはトランプ政権下の経済について以下のように予測した。

「トランプの経済政策は、米国経済の孤立化を深める結果になるだろう。国際貿易と移民は大幅に減少する。貿易と移民の減少に伴い、外国からの直接投資も減少するだろう」

「この分析のもとになった経済モデルや根本的な仮定の正確さに若干の変動があったとしても、トランプの経済政策の影響に関しては、次の4つの基本的な結論が得られる。1) 米国経済の国際性が低下する結果になる。2) 政府の赤字と負債が増加する。3) きわめて高収入の世帯が主に恩恵を受ける。4) 米国経済が弱体化し、雇用が減少して失業率が上昇する」

もっとも、2020年の大統領選についてもまた外れる可能性はあると、ムーディーズ・アナリティカは警告する。トランプの経済政策には「詳細が欠けているため、定量化には複雑さが伴う」という。

「トランプという候補が過去の例からあまりにも逸脱しているために、モデルがうまく機能しない可能性もある」とザンディは述べる。「結局、モデル化できない原動力に結果を左右されていた、ということになるかもしれない」

【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
米国のトランプ大統領は、日米メディアや、日米リベラル左翼からは史上最も人気のない大統領と思われているようです。政権はスタッフの入れ替わりが激しく、主要な政策を進めるのにも苦労しています。それでも、トランプ大統領が2020年に再選される可能性は高そうです。

トランプ大統領

ギャラップが4月17~30日世論調査では、トランプ大統領の支持率は約45%でした。これはオバマ前大統領の同時期の支持率とほとんど変わらず、前大統領は2012年に再選されています。

2011年4月中旬にオバマ前大統領が再選を目指すと発表した直後、その支持率は43%から45%あたりを推移していました —— まさにトランプ大統領のう4月の水準と同じです。

なお、ギャラップによると1995年4月中旬に支持率が46%だったクリントン元大統領も、再選を果たしています。

トランプ大統領には現職大統領として、資金集めの面で有利です。民主党候補には2月から3月にかけて数多くが名乗りを上げていて、立候補者の間で資金が割れてしまっています。

トランプ大統領は2019年の第1四半期に3000万ドルを集め、総額約4000万の現金が手元にあります。一方、民主党内の候補者としては、資金集めでリードしている民主党のバーニー・サンダース上院議員が第1四半期に集めたのは1820万ドル、カマラ・ハリス上院議員は1200万ドルでした。

同時に、有権者はトランプ大統領の経済政策を圧倒的に支持しているようです。これも再選を目指すトランプ大統領にとっては良いサインです。

直近のデータは、4月時点では、アメリカの雇用市場は依然として好調で、賃金も上昇していました。9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が緩やかな伸びを示しました。これは製造業の軟調さが経済全体に広がっている兆しを示している可能性がある一方で、雇用の伸び鈍化は予想の範囲内で基本的には労働市場は健全であることが単に示されただけかもしれないと受け止められています。

消費マインドも4月には不況以来、最も高い水準に近いことを示していました。8月の米小売売上高で、前月比0.4%増と、市場予想の0.2%を上回る大幅な伸びとなりました。これらを見る限り、米中冷戦によね製造業のマインド悪化が雇用や賃金、個人消費など、人々のおサイフや消費行動にまで波及している様子は伺えないです。そうして過去のデータを見ると、経済が好調だと大統領の再選の可能性が高まることも分かっています。ただし、そのつながりは近年、弱まっているようです。

CNNが3月中旬に実施した世論調査で、アメリカ人の71%は経済がうまくいっていると回答。これは2001年以来、最も高い数字です。

同調査では、回答者の過半数(51%)がトランプ大統領の経済政策を支持しています。これは調査会社「リアル・クリア・ポリティクス」が出した各社の世論調査(トランプ大統領の経済政策への支持)の平均値、51.5%とほぼ同じです。

さらに、ジョージタウン・インスティテュート・オブ・ポリティクス・アンド・パブリック・サービス(Georgetown Institute of Politics and Public Service)が3月下旬から4月上旬にかけて実施した「バトルグラウンド・ポール(Battleground Poll)」調査では、2020年の大統領選で投票する「可能性が高い」と見られる登録有権者の58%が、トランプ大統領が経済のためにやってきた仕事を支持すると回答しています。

同調査ではまた、回答者の55%がトランプ大統領を全体として支持しないと答え、57%がアメリカは誤った方向へ向かっていると答えています。しかし、共和党支持者の間でトランプ大統領を支持する有権者は依然として多く、その74%が米国は正しい方向へ進んでいると答えました。

そして、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2月に実施した調査では、米国人にとって最大の課題は経済の強化と考えられていることが分かりました。ただし、調査によってはヘルスケアといった別の課題が経済よりも上位にきています。

再選に向けて、トランプ大統領の経済政策に対するプラスの評価がどれだけのアドバンテージになっているかは分からないが、マイナスになることはないようです。

さらに、今回の、ムーディーズ・アナリティカの分析によっても、トランプ大統領の勝利が予測されています。

さらに、このブログでも解説したように、米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去にも画策して結局失敗した民主党は、相当追い詰められているとみべきです。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!
リチャード・ニクソン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国では民主的手続きで選ばれた大統領を弾劾することについては、党派を問わず反対する人も多いにもかかわらず、民主党は複数回にわたってトランプ大統領を弾劾しようとしており、これは民主党が大統領選ではよほど窮地に立たされている見るべきであるとの結論を下しました。

この予想や、今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。

ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。

はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。

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2022年8月17日水曜日

米共和「反トランプ」急先鋒のチェイニー氏、下院予備選でトランプ氏「刺客」に敗れる―【私の論評】24年の次期大統領選に向け、着実に道筋をつけつつあるトランプ氏(゚д゚)!

米共和「反トランプ」急先鋒のチェイニー氏、下院予備選でトランプ氏「刺客」に敗れる

破れたリズ・チェイニー氏

 米国の中間選挙(11月8日投開票)に向け、ワイオミング州で16日、連邦下院選の共和党候補を決める予備選が行われた。複数の米メディアによると、昨年の連邦議会占拠事件を巡ってトランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れることが確実になった。

 ワイオミング州は保守の牙城で、保守層に対するトランプ氏の影響力が依然として強固なことが示された。チェイニー氏は議会占拠事件を巡るトランプ氏の 弾劾だんがい 訴追決議に賛成した共和党議員10人の1人。事件を巡って下院が設置した特別調査委員会の副委員長としてトランプ氏の責任を追及するなど、党内の「反トランプ」の急 先鋒せんぽう だ。

 トランプ氏はチェイニー氏の対抗馬として弁護士のハリエット・ヘイグマン氏(59)を推薦した。

【私の論評】24年の次期大統領選に向け、着実に道筋をつけつつあるトランプ氏(゚д゚)!

エリザベス・リン・チェイニー(英語: Elizabeth Lynne Cheney, 1966年7月28日 - )は、アメリカ合衆国・ウィスコンシン州出身の政治家、共和党員。愛称のリズ・チェイニーとも称されています。

セカンドレディ・リン・チェイニーとディック・チェイニー副大統領の長女で、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務副次官補(近東担当)などの要職を歴任しました。

2017年からはワイオミング州選出のアメリカ合衆国下院議員を3期務めています。2019年からは下院共和党で3番目に高い地位である共和党会議議長に選出されました。

ネオコンの主導的な政治家の一人であり、他国への介入を避けるトランプ政権のモンロー主義的外交政策には批判的態度を取ってきました。共和党の指導者でありながら、トランプ大統領の弾劾決議に賛成票を投じたため、トランプ支持者や共和党右派によって批判を受けています。2021年5月には党内の内部対立が原因で党会議議長を解任されました。

ハリエット・ヘイグマン氏

今回勝利した、ヘイグマン氏は弁護士で、共和党全国委員会の元メンバーでした。ヘイグマン氏は2018年のワイオミング州知事選に立候補したが敗れていました。13年には上院選に出馬したチェイニー氏のアドバイザーを務めてもいました。

ヘイグマン氏は2021年9月9日の声明で「多くの州民と同様、私は国政を目指したリズ・チェイニー氏を支持した」「しかしその後、チェイニー氏はワイオミング州を裏切り、国を裏切った。そして私をも裏切った」と述べていました。

7月26日、トランプは昨年1月の米大統領退任後、初めて首都ワシントンに戻り、自身を支持する政治団体の会合で演説しました。

「この11月、わが国の破壊を止め、米国の未来を救うために投票しよう」

11月の中間選挙を控え、トランプが矛先を向けるのは与党民主党だけでなく、エスタブリッシュメント(支配層)派と呼ばれる既得権益を持つ共和党内の支配層に近い議員たちです。先日もこのブログに掲載したように、米国の富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%がエスタブリッシュメントです。

このエスタブリッシュメントは、過去においては、大統領は無論のこと、連邦議員や、地方議員などの選挙にも大きな影響力を発揮してきました。この状況から、米国では大統領もエスタブリッシュメントの操り人形だと揶揄されてきたのです。


しかし、トランプは違いました。
実業家のトランプ氏はエスタブリッシュメントの資金ではなく、自ら選挙キャンペーン費用を調達し、大統領になりました。

トランプ氏はエスタブリッシュメント派を「腐敗した組織」と切り捨て、急進的な改革を志向する党内の「草の根派」の支持者らに自身への忠誠を求めました。

ここで言葉を整理しておきます。エスタブリッシュメントとは、先にも示したように、米国の富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%の実質上の米国の支配層のことです。エスタブリッメント派とは、エスタブリッシュメントに親和的な議員、大統領のことです。

トランプ氏は、大統領在任中にも反エスタブリッシュメント色を深めました し、大統領を退いてからは地方選の予備選にも、「刺客」の候補者を次々に送り込み、地方政治に深く関与するエスタブリッシュメントに脅威を与えています。

その象徴となったのは、5月に行われたアイダホ州知事選の共和党予備選でした。トランプの支持を受ける草の根派の現職副知事ジャニス・マクギーチン(59)が、エスタブリッシュメント派と目される現職知事ブラッド・リトル(68)に挑みました。

マクギーチンは副知事在任中、知事のリトルと激しく対立。リトルが出張で州外に出た隙を狙い、知事代理の権限で新型コロナウイルス対策のマスク着用義務やワクチン接種義務を独断で取り消したこともありました。こうした仕事ぶりが災いし、予備選の結果はマクギーチンが得票率で20ポイントも差をつけられる大敗でした。

連邦議会上下両院の予備選ではトランプの推薦が強く作用しますが、有権者の生活に直結する地方政治の代表は実績や好感度で選ぶというところがあります。こうした傾向は各地の地方選予備選で顕著に表れ、ジョージア州でも大物知事として知られる現職ブライアン・ケンプが、トランプの「刺客」候補を大差で破りました。ただ、反トランプ派の勝利はこれくらいのものでした。

そうして、共和党内では草の根派が着実に力をつけています。かつてエスタブリッシュメント派一色だった共和党は、10年の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」で政治に関心のなかった層を取り込み、16年大統領選で当選したトランプがさらに大きなうねりを生み出しました。今やアイダホ州共和党の要職は大半が草の根派です。

中間選挙で与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がるなか、攻勢を強めてきたのが共和党のトランプ前大統領でした。

220人以上の候補者に推薦を出して勢力を広めつつ、共和党内の「反トランプ派」には「刺客候補」をぶつけて再選を阻んできました。近く、2年後の大統領選に向けた出馬宣言をするかどうかも注目されています。

昨年1月の議会襲撃事件を受け、民主党はトランプ氏の弾劾(だんがい)訴追を提案しました。これに共和党から賛成した下院議員が10人。これらの議員が「裏切り者」として狙い撃ちにされているのです。

10人のうち、予備選を勝ち抜いて11月の中間選挙に出馬できる議員は2人にとどまります。3人は予備選で「刺客」に敗れ、4人は不出馬を決めました。

そして最後の1人が、リズ・チェイニー下院議員でした。ブッシュ(子)政権の副大統領だったディック・チェイニー氏を父に持ち、自らも過去3回の選挙で圧勝してきました。

ところがトランプ氏を批判したことで状況は一変しました。16日に投開票されたワイオミング州予備選に向けて、世論調査では「刺客候補」にリードを許す苦しい展開となりました。

米連邦下院選のワイオミング州共和党予備選に向けた集会で、トランプ前大統領(右)の支持を受け、握手するハリエット・ヘイグマン氏=米ワイオミング州キャスパーで2022年5月28日

そうして、今回ワイオミング州では、トランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れることが確実になったのです。

トランプ氏は6日にはテキサス州で開かれた保守系団体の集会で、「バイデン(大統領)をクビにする」と気勢を上げました

中間選挙で完全復権を果たし、24年の次期大統領選に向け道筋をつけるのかの、答えは3カ月後に出ます。ただ、今回リズ・チェイニーがトランプの刺客に敗北したことで、トランプ氏は、この道筋を着実につけつつあるといえます。

トランプ氏は、現在機密文書に関連して家宅捜査を受けたことなどが、報道されていますが、これに対して、私は米民主党はトランプ弾劾に続き、スパイ容疑でトランプ氏を貶めようとしたが、失敗に終わると断言しましたが、その見立ては正しかったと確信を深めました。

もし、これが本当だとすれば、今回のようにチェイニー氏がトランプ氏の刺客に敗北することなど考えられないからです。

日本のANNニュースも、このニュースを取り上げていました。そのニュースは以下のリンクからご覧いただけます。


このニュースでは、米CNNがコマーシャルを中断してまで、リズ・チェイニー氏が敗北したことを伝えていました。

そうして、最後のほうでは、アメリカを分断したトランプが共和党内でも、分断をはかっていると批判していました。

しかし、米国はもともと随分前から分断しており、オバマの頃から分断が激しくなり、それ故にトランプが登場したというのが現実です。実際オバマが大統領時代の米国を調べれば、分断が酷くなっていたことを確認できるはずです。

また、トランプが共和党を刺客を送ることにより、新たに分断したようなことを語っていますが、これも間違いです。

米国で最初の、反エスタブリッシュメントの大統領は、ケネディ大統領です。ですから、この頃から民主党はエスタブリッシュメント派とその反対派で分断していました。その頃から共和党も分断していました。

共和党にも、民主党にもエスタブリッシュメント派と反対派が存在し続けています。米国政治においては、共和党、民主党という党派の別があるとともに、エスタブリッシュメント派とその反対派が存在してきたのです。

その時々で、エスタブリッシュメント派が優勢であるとか、そうてもないときもありましたが、分断していたのは事実です。

ケネディ以後、はっきりと反エスタブリッシュメントを掲げた大統領は、民主党にも共和党にもいませんでしたが、トランプ大統領が反エンタブリュッシュメン派を掲げた大統領として登場したのです。これを理解しないと、メディアのネガティブな報道にも関わらず、トランプ人気がなぜここまで続くのか理解できません。

このあたりの事情も知らないで、トランプ氏が刺客を送ることにより、共和党内での分裂を招いたというのは、あまりにも浅薄な見方です。

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2022年8月14日日曜日

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マルアラーゴ

 ドナルド・トランプ前米大統領に、スパイ法違反容疑が直撃している。米連邦捜査局(FBI)は、トランプ氏が退任時に重要な国家機密を持ち出した容疑で、フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」の家宅捜索を行い、11件もの機密文書を押収していたという。FBIによる、前大統領への強制捜査は極めて異例で、2024年の次期大統領選への出馬に意欲を示しているトランプ氏は捜査は不当だなどと激怒している。まるで隣国のような騒動だが、一体何が起きているのか。


 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)や、米紙ワシントン・ポスト(同)などの報道によると、FBIは8日、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」の家宅捜索を行い、11点の書類などを押収した。捜索時は、トランプ氏は不在だったという。

 容疑は、国立公文書館(NARA)に引き渡すことが義務付けられている大統領在任中の機密文書を、トランプ氏側が保管しているというもの。フロリダ州の連邦裁判所が、捜索令状や付属文書を公開した。

 約20箱分の押収物品には、米国の最高機密文書にあたる文書も含まれているといい、押収品のリストには、写真がまとめられたバインダー、手書きのメモなどのほか、フランス大統領に関する情報と分類されたものもあった。

 トランプ氏は家宅捜索を受け、「すべて機密解除された文書だ」と反論する声明を発表した。「(マールアラーゴは)現在、包囲され、捜索され、占拠されている」「関連する政府機関と協力しており、この抜き打ちの家宅捜索は必要でも適切でもなかった」と、怒りをぶちまけた。

 ワシントン・ポストは、今回の捜索について、核兵器に関連する機密文書を捜すためだったが、実際に押収したかは不明だと報じている。

 核兵器に関する機微な情報が含まれる文書は、限られた政府関係者しか触れることができない。もし、トランプ氏が外部に持ち出して機密漏洩(ろうえい)があれば、敵対国を利するうえ、他国の不安も招くという指摘がある。

 こうしたなか、メリック・ガーランド司法長官は11日の記者会見で、「捜索令状を申請する決定は、私自身が承認した」と明言した。容疑については明かさなかったが、「前大統領が捜索を公に認めたことや、公益性」を考慮して、捜査状況を公表したと説明した。

 今回の捜索をめぐっては、支持率低下が著しいジョー・バイデン大統領(民主党)の政権側が、11月の中間選挙や次期大統領選を見据えながら、「トランプ潰し」「共和党潰し」を狙ったとの指摘もある。バイデン氏は2020年の大統領選で、共和党候補のトランプ氏を接戦の末、破った。

 共和党の一部や、トランプ支持者は「FBIの政治利用」と猛烈に批判しているが、ガーランド氏は先の会見で、「司法省がこのような決定を軽々しく行うことはない」と強調した。

 トランプ支持者とみられる人物の過激事件も発生した。

 米中西部オハイオ州シンシナティのFBI事務所に11日、武装した男が侵入を試みて逃走、警察との銃撃戦の末、射殺された。男はトランプ氏の熱烈な支持者だったとみられる。

■島田教授「政争の一面」

 トランプ氏は、大統領在任中も過激な言動で注目を集め、熱狂的な支持者らが連邦議会議事堂に乱入する事件も起きている。今回のFBIの捜索への報復を叫ぶ声も一部で強まっており、緊張が高まっている。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「今回の捜査は、政争の一面がある。背景には、バイデン氏の次男、ハンター氏が役員を務めていたウクライナ企業などから得た報酬をめぐる疑惑がある。米議会では、共和党がハンター疑惑を徹底追及する構えで、その前にバイデン氏側が政敵に攻撃を仕掛けたかたちだ。大統領が退任時に文書を持ち出すことは過去にもあり、さまざまな手続きで適正な管理が行われてきた。捜査の是非で米国世論が分断され、党派で激しく対立している。辞めた大統領を捜査する動きは、さながら韓国のようで、異例ずくめだ」と語っている。

【私の論評】米民主党はトランプ弾劾に続き、スパイ容疑でトランプ氏を貶めようとしたが、失敗に終わる(゚д゚)!


米連邦捜査局(FBI)が8日、ドナルド・トランプ前大統領のフロリダ州パームビーチ「マールアラーゴ」別荘を家宅捜索したのに続き、10日(現地時間)には検察がトランプ氏を呼んで捜査しました。

そもそも、自分が大統領時代の公文書を、退任してからも、一定期間保管しているというのは、トランプ氏だけではなく、自らが関わった外交上の問題などについて曖昧な部分を確認して、何か新たな問題が発生したとき備え等や、将来の回想録などの準備として、歴代の大統領が実施してきたことです。オバマ氏もそうしていました。

今回のこのような暴挙によって246年の米国史上初めて元大統領が刑事起訴される可能性が高まり、マールアラーゴとニューヨークのトランプタワーなどではバイデン大統領の支持者とトランプ氏の支持者がそれぞれ賛否デモを行いました。

FBIによる強制捜査を受けて、トランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」には複数の支持者が集まった。8日

ニューヨークタイムズ(NYT)・CNBCなどによると、トランプ氏はこの日、ニューヨーク州の検察当局で行われた約6時間ほど調査で「自身の証人になることを強要されてはならない」という修正憲法第5条を根拠に黙秘権を行使しました。トランプ氏はすべての質問に「同じ(Same Answer)」という言葉を440回以上繰り返したといいます。

トランプ氏は調査前に立場を表明し「人種差別論者のニューヨーク州司法長官に会うことになった」とし「米国史上最大の魔女狩りの一環」と主張しました。民主党支持者の黒人女性レティシア・ジェームズ・ニューヨーク州司法長官が政治的な理由で自身を標的捜査するという意味です。

ニューヨーク州の検察当局は、トランプ一家が保有不動産の資産価値を脱税のために縮小し、銀行の融資を受ける過程では膨らませたという容疑を過去3年間にわたり捜査してきました。

捜査をめぐり米メディアの意見も分かれました。ワシントンポストのコラムニスト、イシャン・サルア氏は9日、「米国、元指導者を捜査する民主国家に合流」というコラムで「米国に前例がないだけで、健全な民主主義国家が元指導者を調査して有罪で収監するのは正常」とし「誰も法の上に存在しないというのは民主主義国家の基本」と指摘しました。

続いて韓国の李明博(イ・ミョンバク)朴槿恵(パク・クネ)元大統領に対する処罰に言及しながら「韓国は米国のように政治的に二極化したが、元大統領に対する怒りを眠らせ、保守から進歩、また保守への平和で民主的な政権交代を成し遂げた」とし「米国人はこれに注目すべき」と強調しました。ブルームバーグ通信のコッシュ氏は「元国家首班が法の審判台に立つのは民主主義の尺度になる」と評価しました。

李明博元大統領(左)と朴槿恵元大統領

一方、ウォールストリートジャーナル(WSJ)はこの日、[FBIの危険なトランプ捜索」と題した社説で「家宅捜索が11月の中間選挙を約90日後に控えて行われ、政治的な目的が疑われる」とし「ガーランド司法長官が米国を危険な道に導いている」と批判しました。

WSJは「トランプ氏が容疑を晴らすことになれば『殉教者』のイメージで2024年の大統領選挙に出馬し、自身に否定的だった共和党員の支持まで受けることができるだろう」と予想しました。NYTも「トランプ氏が『魔女狩りされた殉教者』イメージを固めるかもしれない」とし「今回の捜査が『弱者』である前大統領に対する政治報復として映り、支持層結集の好材料になる可能性がある」と指摘しました。

今年の米中間選挙は11月8日に行われ、連邦議会の選挙では上院の100議席のうち35議席と下院の435議席すべてが改選される予定で、現在、上下両院ともに主導権を握る与党・民主党が議席を維持できるかが最大の焦点です。

ただ、バイデン大統領の支持率は今月4日時点の各種世論調査の平均で39.6%と、アメリカ国内で続く記録的なインフレなどを背景に低迷しています。


中間選挙は歴史的に政権与党に厳しい結果になることが多く、今回も与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がっています。

米国では物価の高騰が市民生活を直撃し、国民の不満がバイデン政権に向かっていて、特定の支持政党がないいわゆる無党派層や民主党支持層の間でも支持が揺らいでいます。

中間選挙で与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がるなか、攻勢を強めているのが共和党のトランプ前大統領です。

220人以上の候補者に推薦を出して勢力を広めつつ、共和党内の「反トランプ派」には「刺客候補」をぶつけて再選を阻んできました。近く、2年後の大統領選に向けた出馬宣言をするかどうかも注目されています。

 「また1人、弾劾(だんがい)者を倒した」。今月10日、トランプ氏は祝福の言葉をSNSに投稿しました。

ワシントン州における下院議員候補を決める予備選で、7選を狙った共和党のボイトラー下院議員が敗れたためだ。代わって当選したのは、トランプ氏が送り込んだ「刺客候補」でした。

昨年1月の議会襲撃事件を受け、民主党はトランプ氏の弾劾(だんがい)訴追を提案しました。これに共和党から賛成した下院議員が10人。これらの議員が「裏切り者」として狙い撃ちにされているのです。

10人のうち、予備選を勝ち抜いて11月の中間選挙に出馬できる議員は2人にとどまります。3人は予備選で「刺客」に敗れ、4人は不出馬を決めました。

そして最後の1人が、リズ・チェイニー下院議員だ。ブッシュ(子)政権の副大統領だったディック・チェイニー氏を父に持ち、自らも過去3回の選挙で圧勝してきました。

ところがトランプ氏を批判したことで状況は一変しました。16日に投開票されるワイオミング州予備選に向けて、世論調査では「刺客候補」にリードを許す苦しい展開となっています。

リズ・チェイニー氏

中間選挙をめぐり、トランプ氏は刺客候補を含む220人以上(上下院、州知事選など)の候補者たちに推薦を出してきました。

このようなトランプ氏の動きに、脅威をいだき、とにかくトランプ大統領再選絶対阻止の構えのなかで、今回のスパイ法違反容疑の件が浮上してきています。これは、露骨なトランプ叩きの一環と断言しても良いでしょう。

民主党のどのレベルがこのようなことを実行する決定をしたのか、わかりませんか、相当ハイレベルなところでの決定であることは間違いなです。そうでないと、FBIや司法省を動かすことはできません。

しかし、このようなことをしても、トランプ氏をスパイ容疑で逮捕するのは、かなり難しいでしょう。なにしろ、トランプ氏は大統領のときに、スパイなどの取締を強化した張本人です。そのような人物を、スパイ容疑で逮捕するのは至難の業でしょう。

ただ、民主党はそれを認識した上で、そのようなことをした可能性が高いです。このブログでも指摘したように、民主党はそのようなことは不可能と知った上で、トランプ氏を弾劾しようとしました。これは、当然のことながら失敗しました。

そのようなことをなぜしたのかとえば、弾劾できるできないは別にして、トランプ氏にマイナスのイメージを植え付けようとしたのでしょう。とにかく、トランプ氏大統領再選の芽を摘んでおきたいというのが本音でしょう。

民主党は、トランプ氏を本気でスパイ容疑で逮捕させようとしているわけではないのでしょう。本気だとすれば、弾劾の時のように相当いかれていると言わざるを得ません。これも、やはりトランプ氏にマイナスのイメージを植え付ける一環だと考えられます。

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2021年10月22日金曜日

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トランプ氏が独自SNS立ち上げ、合併相手のSPAC350%超急騰


トランプ前米大統領が自身の新会社と特別買収目的会社(SPAC)の合併を活用して独自ソーシャルメディアを立ち上げると発表したことを受け、合併対象のSPAC、デジタル・ワールド・アクイジション・コープがナスダック市場で350%超値上がりした。

新会社のトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は来月にソーシャルメディア「TRUTH Social」のベータ版の試験運用を始め、2022年第1・四半期から一般の利用を開始する計画を明らかにした。

デジタル・ワールドは一時、上昇幅を400%超に拡大。終値は356.8%高の45.50ドルで、時価総額は14億7000万ドルと、20日の3億2100万ドルから急増した。ナスダックの売買高トップとなった。

トランプ氏は今年1月6日の支持者らによる議会議事堂占拠事件を受け、交流サイト(SNS)大手のツイッターとフェイスブックのアカウントが停止された。トランプ氏は議会占拠の前に支持者らに、昨年の大統領選で不正があったと改めて訴える扇動的な演説をしていた。

トランプ氏はソーシャルメディア立ち上げに関する発表文で「間もなく私の考えを共有し、巨大テックに対抗できることに興奮している」と表明した。

【私の論評】2024年に、大統領に返り咲くこともあり得るトランプ氏(゚д゚)!

トランプ氏は、ネットワーク発表の声明で以下のように述べました。

「私はビッグテックの独裁に抵抗するためにTRUTH SocialとTMTGを設立しました。我々が暮らす世界では、タリバンがツイッターで大きな存在感を持つ一方で、みなさんの好きな米国大統領が沈黙させられています。これは容認できません。私は間もなくTRUTH Socialで自分の最初のTRUTHを発信できることに興奮しています」

新メディアグループは、「Deal or No Deal」「America’s Got Talent」といった人気番組のエグゼクティブ・プロデューサーで、1,000時間以上のネットワークとケーブルテレビをプロデュースしてきたスコット・St・ジョンをトップに選びました。

スコット・St・ジョン氏

ソーシャルメディアGETTRのCEOでありトランプ氏の最側近とみられているジェイソン・ミラーは、トランプ氏が新たな取り組みに着手したことを支持しました。

「トランプ大統領、ソーシャルメディアの口論への復帰おめでとうございます!これでフェイスブックとツイッターはさらに市場占有率を失うでしょう。トランプ大統領は常に偉大な取引交渉者でしたが、我々は取引に折り合いをつけることができませんでした」とミラーは声明で述べました。

ジェイソン・ミラー氏

ネットワークは「全ての人に発言権を与える」という目的で作られている、とトランプは述べました。

第45代大統領は、サブスクリプション形式のニュース・エンターテインメント・プラットフォームも立ち上げると述べました。

バイデン米大統領の支持率が低迷する中、2024年の大統領選への再出馬を示唆するトランプ前大統領が勢いを示しています。

「バイデン政権下のたった9カ月で、不法移民や麻薬密売業者が国境を支配し、インフレが経済を襲い、中国には雇用を奪われ、アフガニスタンはタリバンが支配した」。トランプ氏は9日のアイオワ州での集会で、バイデン氏の一連の政策を批判しました。

24年に共和党の候補指名争いの初戦が行われる同州での演説は、トランプ氏が次期大統領選に出馬するとの観測により一層現実味を与えました。

トランプ氏は出馬について明言はしていないですが、保守系メディアとのインタビューで、「医師による悪い診断か何か」だけが、トランプ氏の出馬を妨げるものだとし、その意思を強く示唆。また、同氏と頻繁に会話を交わしているという元補佐官ジェイソン・ミラー氏は米メディアとのインタビューで、出馬の可能性は「99~100%の間」だと述べ、ほぼ間違いないとの見方を示しました。

トランプ氏が勢いづく背景には、バイデン氏の支持率低迷があります。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の最新世論調査の平均値(18日時点)によると、支持率が43・7%に対し、不支持率が52・1%。就任当初は、支持が不支持を20ポイント近く上回っていたが、大きく逆転した。アフガンからの米軍撤退の不手際やインフレ懸念、メキシコ国境における不法移民の急増が打撃となっている。

これに対して、トランプ氏は各種世論調査で支持を高めている。デモイン・レジスター紙などが先月中旬にアイオワ州で実施した世論調査によると、過去最高となる53%がトランプ氏に対して「好意的」だとし、45%が「好意的でない」と回答しました。

また、ラスムセン社が先月下旬に実施した世論調査によると、仮に今、大統領選が行われた場合、トランプ氏に投票するとした人が51%だったのに対し、バイデン氏は41%。民主党支持者の約5人に1人がトランプ氏に投票するとしました。


世論調査専門家のジョン・ゾグビー氏は、10ポイント差という結果は実態よりも「少し大きい」との見解を示しつつも、「就任からわずか9カ月で、(バイデン氏への)投票に後悔している人が多くいる」と指摘しています。

日本のマスコミは、トランプ氏を、まるで狂ったピエロのように報道しますが、それは米国のメディアの受け売りにすぎないです。このブログでは何度か掲載ましたが、米国メディアは大手新聞は全部リベラル派で湿られています。テレビはFOXTVのみが保守系で、あとはすべてリベラル派です。リベラル派メディアはトランプ氏のことを悪く言うのは当然です。

米国のメディアを鵜呑みにしたり、米国メディアの垂れ流しをする日本のメディアの報道をみて、トランプ氏を狂ったピエロのように考えるのは間違いです。

トランプ氏のことを、批判は聞かず、自分の主張だけをまくし立てると考える人も多いです。しかし大手メディアは、トランプの主張をとりあげないどころかネガティブな報道ばかりします。そのためトランプがSNSで主張すると、今度はSNSがトランプ氏のアカウント停止するという有様です。

これだけ、自分の主張を述べることを制限されれば、主張できる機会があれば、自分の主張をまくしたてるというのもうなずけます。誰もが、自分の主張する機会を制限されれば、そうなるのではないでしょうか。

「TRUTH Social」が稼働して、トランプ氏が自分の主張を存分に語ることができるようになれは、トランプ氏が自分の主張をまくしたてるということはなくなるのではないかと思います。トランプ氏のいままで一般にはあまり知られていなかった一面が明らかになるかもしれません。

2024年に、トランプ氏が大統領に返り咲くことも十分あり得るとみておくべきです。

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2022年2月2日水曜日

トランプのPACが2021年下半期に5100万ドルを集める―【私の論評】トランプは2024年大統領選挙の有力な候補者である(゚д゚)!

トランプのPACが2021年下半期に5100万ドルを集める

<引用元:FOXニュース 2022.1.31-2.1
トランプのPACは1億2200万ドル以上の現金を手中に
29日にテキサス州コンロ―の集会で話しをするトランプ前大統領
トランプのセーブアメリカ政治活動委員会(PAC)による1月31日の発表によると、トランプ前大統領のPACは2021年下半期に5100万ドルの資金を集めており、PACは1億2200万ドル以上の現金を手にしている。

「トランプ前大統領が前代未聞のペースで資金集めを継続していることから、2022年以降の共和党の未来は、おそらく米国の歴史上で引き続き最強となることがわかる―MAGA運動は浸透している!」と発表には書かれていた。

さらにセーブアメリカPACは、集めた全資金には、トランプのプラットフォームに向けたり、トランプの似顔絵や推薦を使用したりして他のキャンペーンで集めた数億ドルは含まれていないと指摘した。

「ドナルド・J・トランプ大統領は、継続して共和党の未来を獲得し明確にする政治団体を作り上げた」とトランプの広報担当部長テイラー・ブドビックは声明で述べた。

「トランプ大統領は、彼の指導力の必要性がかつてないほどに重要になる中で11月以降を見据えて非常に良い位置にある」とブドビックは続けた。

だがトランプが2021年下半期に集めた5100万ドルは、前大統領が同年の上半期に集めた8200万ドルから著しく減少した。

トランプは2024年の大統領選再出馬をほのめかしているが、今のところ正式な発表は控えている。先週はトランプが「45代及び47代」の米国大統領となるだろうと述べた動画が浮上した。先週土曜日のテキサス州コンロ―でのセーブアメリカ大会で、トランプはもし自身が再度大統領となったら2021年1月6日の議事堂暴動に参加して収監された人々に恩赦を与えると示唆した。

「もし私が出馬して勝ったら、あの1月6日の人々を公平に扱うだろう」とトランプは、多くがワシントンDCに収監されている暴動参加者について述べた。

「そしてもし恩赦が必要なら、恩赦を与えるだろう。なぜなら非常に不公平な扱いを受けているからだ」とトランプは続けた。
【私の論評】トランプは2024年大統領選挙の有力な候補者である(゚д゚)!

日本では、ほとんど報道されませんが、ドナルド・トランプ前大統領は29日にテキサス州コンロ―の集会で1万人を超える参加者に話し、バイデン政権の外交政策と「不正な」2020年選挙を批判しました。


以下に要旨のみを掲載します。
毎日、バイデンの無能さが米国を危機にさらしている。みなさんご存知の通り、私が大統領だったら、プーチンとロシアがウクライナにやっていることは決して起こらず、可能性すらなかった。
とトランプは、ウクライナ国境で高まるロシアの侵攻に言及しました。

トランプはジョー・バイデン大統領のアフガニスタン撤退も批判し、米国は850億ドル相当の軍装備品をタリバンに与えたと指摘しました。トランプは、バイデンの政策は「本物の第三次世界大戦の危険」を作り出していると主張しました。

また前大統領は、バイデンのCOVID-19パンデミック対応について話し、
米国人が全てのCOVID関連の義務化から独立を宣言する時だ。
と主張しました。

トランプはさらに、「不正な」2020年選挙と民主党が今月初めに提案して失敗に終わった選挙権法案を批判しました。
我々の国を真に取り戻すためには、あらゆる問題の中で最も重要な事を解決しなければならない。自由で、公平で、正直な選挙を守ることだ。2020年選挙は不正操作されたのであり、誰もがそれを知っている。他の誰よりもそれを知っているのは誰か分かるだろうか?民主党だ。 
ちょうど昨日、素晴らしいペンシルベニア州で我々は大勝利した。全州の裁判所は、盗まれた選挙の直前に民主党によって導入された弁解なき郵便投票行為は、違法であり著しく憲法に違反していると判決を下した。それゆえに我々が州で勝利していたのだと確信している。
トランプはこう続けました。
我々はウィスコンシン州でも大きな訴訟に勝利した。本当に不正が盛んで、裁判官はドロップ・ボックス、彼らは鍵付きボックスと呼ぶが我々は鍵なしボックスと呼んでいるのだが、それが違法だと判決を下した。それらは違法だった。何万票も。それが違法だという判決が出た。
トランプはまた2022年と2024年の「レッド・ウェーブ」を呼びかけました。

2024年の大統領選挙には、トランプ前大統領が共和党の候補として出馬する可能性が高いですし、そうでなくてもトランプ氏寄りの人が出てくる可能性は否定できないです。

最近、有力候補としてメディアで名前が上がり始めたのは、フロリダ州のデサンティス知事です。彼はもともと、トランプ氏の支持を得てフロリダ州の知事になっています。ただし、大統領選挙に名乗りを上げるかは定かではないし、彼自身は現在、トランプ氏とは微妙な距離を保っているようです。

フロリダ州 ディサンティス知事

仮にトランプ氏が出馬するならば、彼に勝てる人はいないてしょう。しかし、仮に出ない場合、昨年11月のバージニア州知事選挙が参考になります。

バージニア州知事選では、トランプ氏が支持を表明した共和党の実業家グレン・ヤンキン氏が勝利しました。いまやトランプの支持を得ることは、共和党の中で勝ち残るためには有効な手段なっているのです。

たとえば、トランプ支持者が納得するような候補者を立て、予備選の段階ではトランプの支持を全面に出しておき、選挙本戦ではトランプを隠して、トランプ色を薄めるような戦略も考えられます。そうすれば、トランプが嫌いな人や無党派層の票も取り込めるので、選挙で勝てるのです。

グレン・ヤンキン氏

では、バイデンはどうなのかといえば、年齢から言っても懐疑的にならざるをえないです。

トランプ前大統領は70歳で大統領に就任し最年長でしたが、その後、78歳で就任したバイデン大統領がその記録を塗り替えています。バイデン大統領は現在79歳で、現役大統領として最高齢記録を更新しました。2024年に仮に選挙に勝利したとすると、2期目の就任時には、82歳になります。

それにバイデン大統領のスピーチ能力にも心配がある。彼がアドリブで話す時には、ファクトの間違いが多いと指摘されているいます。たとえば彼は、自分が10代の頃、公民権運動に関連して逮捕されたということをしばしばスピーチの中で披露していのですが、彼が逮捕されたという記録は確認できない上、逮捕されたとされる場所も曖昧で、当時の年齢についても13歳という時もあれば15歳と発言する時もあるのです。

また、カマラ・ハリス副大統領のことを過去何度も、「ハリス大統領」と言い間違えていることでも有名です。1月中旬に、1月6日の議会占拠1周年を記念した式で演説をした時にも、「先週、ハリス大統領と私は……」と述べ、訂正もしませんでした。

これらは、大きなミスではないかもしれないですが、1度や2度ならず複数回も間違えるとなれば、一国の大統領としての資質を問われても仕方がないです。

バイデン大統領(左)とカマラ・ハリス副大統領(右)

一方、ハリス副大統領の大統領候補の可能性ですが、残念ながら1年目の彼女の功績はほとんどない上、担当した移民問題でも、昨年6月の中南米訪問で「(移民はアメリカとの)国境に来ないで」と発言してしまいました。彼女の支持率は低いです。

他にもピート・ブティジェッジ運輸長官、テキサス出身のベト・オルーク元下院議員などの名前が出ることもありますが、まだまだ民主党の候補の方は不透明です。

NBCテレビによりますと、トランプ氏がこれまでに支持を表明している候補者は現職を含めおよそ90人いて、今年の中間選挙でこうした候補者たちが当選するかどうかが、トランプ氏の影響力を測る試金石になるとして注目されています。現時点では、トランプ氏は次期大統領選挙での有力な候補者と言って間違いないです。

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2019年11月17日日曜日

弾劾世論調査:トランプ支持率が50%に回復―【私の論評】日本の腑抜け野党によく似てきた米民主党だが、それでも日本の野党よりはましだ(゚д゚)!

弾劾世論調査:トランプ支持率が50%に回復

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2019.11.15

ラスムセンレポートによる毎日の大統領追跡調査によると、トランプ大統領の支持率が弾劾で上昇している。

大統領に対する毎日の評価は、下院弾劾公聴会の初日の13日以降、4ポイント上昇した。



ラスムセンの調査分析によると、「大統領の総合支持率は、下院弾劾公聴会初日の13日以降上昇をたどっている。13日朝は46パーセントだったが翌日には48パーセントに上がり、現在50パーセントとなっている。現在の調査の3晩分のうち2晩分は大々的に報道された公聴会後のものである」。

バラク・オバマ大統領は1期目のこの時点で49パーセントの支持率だった。

調査結果ではトランプの仕事ぶりに49パーセントが不支持を示している。

※なお、RealClearPoliticsによる各世論調査平均でも同様の傾向が見られる。



【私の論評】日本の腑抜け野党によく似てきた米民主党だが、それでも日本の野党よりはましだ(゚д゚)!

米民主党が問題視しているトランプ大統領の言動とは、「ウクライナが必要とする武器の供与を餌に、バイデン候補が副大統領当時に同氏の息子がウクライナ企業から多額の報酬を受け取っていたかどうかを調べることを強要した」というものです。

この話の最大の弱点は、トランプ大統領がウクライナの要求する武器の供与を、ウクライナからの調査結果を受け取っていないにもかかわらず既に実行していたことです。

次に、内部告発にあった7月25日の電話会議を始点として考えると、武器の供与が9月下旬で2カ月のタイムラグがあります。

つまり、ゼレンスキー大統領が合理的人間で、トランプ大統領が明確に要求していたとするならば、ゼレンスキー大統領が2カ月間も調査を放置していたにもかかわらず、ということは、トランプ大統領の要求を無視したにもかかわらず、武器が供与されたことになります。

ここで重要なのは、米国の外交官やCIA職員、大使などが大統領の意思をどう忖度(そんたく)したか、また彼らがトランプ大統領の意思としてゼレンスキー大統領に調査を求めようとしていたと感じていたか、ということではありません。トランプ大統領が実際に調査依頼を自分で考え、具体的に指示したかです。頭で考えていたかもしれない、ということではありません。

トランプ大統領が民主党の申し立て通りに調査報告を交換条件としていたとするならば、その条件が満たされないうちに武器を供与したことの理由づけが難しいです。いまのところこの点で、トランプ大統領に不利となるような証言が出てはいるものの、決定的な証拠は出てきていません。

トランプ大統領に「フェイク・ニュースを流すフェイク・メディア」とばかにされてきた大方の米メディアはトランプ大統領について、自分の利益を最優先し、何でも自分で一度に実現できると考え、しかも自分の意見を頻繁に変える気まぐれ屋と批判してきました。また、衝動的で自分の希望が通らなければ取引を中止する傲慢さを持っているとも批判しています。

トランプ大統領(下端)と支持者ら

ティラーソン前国務長官を筆頭に、トランプ政権を去った人々の多くは大統領の頭は小学生レベルで、アイデアを彼らに語っても次の瞬間にはそれを覆して別のことを言う、またはなかったことにするいい加減な人間だと批判しました。

一方、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏によれば、トランプ大統領は就任から現在までに300回、ウクライナ疑惑の内部告発がなされてからの1カ月ほどで45回、「魔女狩りだ」と連呼したとのことです。同時に彼は人々はことの真偽にかかわらず、メッセージの反復発信で信用するという研究結果も付け加えています。トランプ陣営からすれば、トランプの「魔女狩り」ツイートこそがリスク回避戦術なのです。 

一般に伝えられているトランプ大統領の性格を考えれば、民主党が主張しているような思惑を持ち、それを周囲に漏らした可能性はあります。ただ、しばらくしてその考えを変えて、指示はせず、行動にも移さなかったのかもしれないです。

また、ゼレンスキー大統領に調査の見返りという条件を提示していたならば、多くの米国メディアが報道するように、トランプ大統領が偏執的な性格というのが本当であれば、から2カ月も黙って待っていることはできないでしょうし、要求を無視されてプライドを傷つけられた大統領がウクライナに武器を売る判断をすることはあり得ないでしょう。

結局のところ、現段階でトランプ大統領の弾劾が成功すると考えるのは、かなり困難だという結論に落ち着きます。

さらに、以前このブログでも掲載したように、米国では大統領の弾劾そのものがもともと難しいのです。その記事のリンクを以下に掲載します。

民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!

ニクソン大統領
詳細は、この記事をご覧いただく
民主的な選挙で選ばれた大統領を政治的な動機で糾弾し解任しようとする弾劾措置への反発は、米国民の間で従来から根強いものがありました。だからこそ民主党のペロシ議員は、昨年11月の中間選挙前も、「ロシア疑惑」が高まったそれ以前の時期でも、弾劾への動きには一貫して反対してきたのです。
さらに、この記事では、かつてニクソン大統領が弾劾されそうになって辞任したときのことも掲載しています。
ニクソン大統領のウォーターゲート事件がありましたが、あのときニクソン氏は、弾劾されそうになったため自ら辞任しました。 
なぜ弾劾されそうになったかと言うと、当時の共和党の議員が彼を見捨てたからです。そこで、これはもう万事休すだということで辞任したのです。
現状のトランプ大統領は、とてもそのようなことにはなりそうもありません。

これは、過去にもこのブログで述べたことですが、トランプ大統領を、ロシア疑惑と、ウクライナ疑惑の二回にわたって、弾劾しようとした米民主党は、相当追い詰められているるとみるべきです。

そうして、最近の米民主党は日本の野党に良く似てきたと思います。

トランプ政権の経済差政策は、特に雇用政策がうまくいっているし他の経済指標も悪くはありません。この点で、民主党はトランプ政権を批判できることはあまりありません。

さらに、安全保障に関しても同様です。 むしろ、オバマ政権では軍縮してきたため、米軍に負の遺産を残したのですが、トランプ政権がそれを立て直しつつある状況です。この点でも、民主党は共和党を批判できません。

さらには、中国への対峙は超党派で行われていることなので、民主党はこれを批判できません。

要するに、現状では米民主党は、あまり米共和党を批判することができないです。だから、トランプ氏個人の資質を問題としているのです。

米民主党ならびに米リベラルメディアは、トランプ氏は政治家としての資質がないことを喧伝してきましたが、彼らの忘れていることがあります。

それは、多くの米国民はオバマやクリントンなどの、既存の政治家には失望したからこそ、生粋の政治家ではない実業家のトランプ氏を選んだのです。

生粋の実業家であれば、既存の政治家や、政治家とは反りが合わないのは当然のことです。実業家では、いわゆる朝令暮改は当たり前のことです。朝に正しいと考えていたことを、夕方には改めることは良くあることです。そうでなければ、企業は厳しい環境を生き抜いていけません。既存の政治家や、官僚にはできない芸当です。

このような資質は、ティラーソン前国務長官を筆頭に、トランプ政権を去った人々の多くには、いい加減な人間だと写ったのかもしれません。さらに、このような資質は、民主党や米リベラル・メディアにとっても、格好の攻撃材料だったに違いありません。

しかし、いくらトランプ氏の資質を煽ったところで、トランプ氏は一向に動じる気配がないため、米民主党はとうとう禁じ手ともいえる、大統領弾劾に動き出したのです。それも、二度もです。

この動きは、日本の野党にも似たところがあります。日本の野党は、「もりかけ」問題に拘泥しましたが、これは最初から、倒閣に結びつけようというのは、無理筋というものでした。

現在は、「桜を見る会」をやり玉にあげていますが、これも無理筋でしょう。しかし、日本のリベラル・メディアはここぞとばかり、安倍政権を批判していますが、これも倒閣には結びつけようもありません。「桜を見る会」を野党とメディアが糾弾しはじめてから、安倍政権の支持率があがるという始末です。



これは、米民主党が、トランプ氏への弾劾の動きを強めた途端にトランプ大統領の支持率が上がったことと、良く似ています。

それでも、米民主党のほうが、まだましかもしれません。なぜなら、安倍政権は、トランプ政権と比較すると、増税するなど経済政策はトランプ政権の逆をやっており、安全保障、外交でも習近平を国賓として招くというような米国と比べると信じがたいことをしています。

言ってみれば、現在の安倍政権は、残念ながらつつきどころは満載です。もし、米民主党が日本の野党だとしたら、勢いづき、安倍政権を批判するだけでなく、様々な政策論争を展開してるでしょう。特に、米国と比較するとまるで、一大政治集団のように振る舞う財務省を徹底的に批判することでしょう。

しかし、日本の野党はそのようなことはせずに、「桜を見る会」をやり玉にあげています。これでは、万年野党の地位を打開することなど、永遠にできないでしょう。情けない限りです。

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