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2024年3月8日金曜日

TikTok禁止法案可決 米下院委「共産党の管理下にあり、深刻な脅威」―【私の論評】中国アプリの危険性:個人情報、国家安全保障、そして代替案

TikTok禁止法案可決 米下院委「共産党の管理下にあり、深刻な脅威」

中国共産党に関する下院特別委員会のギャラガー委員長

 米下院エネルギー・商業委員会は7日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用を禁止する法案を賛成多数で可決した。法案は本会議で審議される。

 中国共産党に関する下院特別委員会のギャラガー委員長(共和党)ら超党派の議員団が5日、法案を発表。運営企業の親会社、北京字節跳動科技(バイトダンス)が「共産党の管理下にあり、米国の安全保障にとって深刻な脅威だ」と指摘していた。

 法案はTikTokの米国事業について、非中国企業により運営されれば適用されないとし、バイトダンスに売却を求めた。TikTokは中国への情報流出が懸念されており、米政府は政府の機器での利用を禁じている。

【私の論評】中国アプリの危険性:個人情報、国家安全保障、そして代替案

まとめ
  • 米国でTikTok禁止法案が提出、下院エネルギー・商業委員会で全会一致で承認。
  • 高橋洋一氏など識者が中国製アプリのプライバシー侵害、検閲、サイバー攻撃などのリスクを指摘、中国の「国家情報法」に基づき、中国当局はアプリのデータにアクセス可能。
  • 中国”系”アプリは、中国製であることを確認するのが難しい場合もあり、有名なメーカー以外のアプリは、サイトなどで確認してから使うべき。
  • 日本で広く用いられているLINEも、中国子会社への業務委託や国内利用者のデータが中国で閲覧可能、経済安全保障への対応が不十分等の問題がある。
  • 中国が絡んでいるアプリは危険性が高いことを、個人はもとより企業、自治体、NPO、NGOなどの組織は認識しておくべき
米国国会議事堂

法案の主なポイントは以下の通りです。

1. 強制的な事業売却または禁止: 法案は、TikTokの親会社であるByteDanceに対し、およそ6ヶ月以内にアプリを売却しなければならず、さもなければ米国内で禁止処分を受けることしています。この動きは、TikTokの中国人所有に関連する「国家安全保障上の懸念」によって推進されています。

2. 国家安全保障上の懸念: 議員らは、ByteDanceは中国共産党とつながりがあり、このアプリが米国の安全保障に与える潜在的な影響について懸念があると主張しています。ByteDanceとTikTokはこれらの疑惑を否定していますが、法案は特にByteDanceをターゲットにしており、TikTokを販売するか、米国内のモバイルアプリストアから削除されるリスクを負うかのいずれかを強制しています。

3. 委員会承認: 法案はエネルギー・商業委員会で50-0の投票により全会一致で承認されました。しかし、法律となるにはまだ上院の承認が必要です。

4. 言論の自由と中小企業: TikTokは、提案された法案が言論の自由とアプリに依存している中小企業に害を及ぼす可能性があることに懸念を表明している。同社はユーザーに対し、国会議員に連絡して法案への反対を表明するよう促しています。

5. TikTokの反応: TikTokはこの法案を「全面禁止」と表現し、何百万人ものアメリカ人や中小企業に影響を与えると強調しました。同社は、法案が憲法修正第1条の権利を侵害し、経済成長と雇用創出を妨げる可能性があるとしています。

情報源 2024/3/8

(1) TikTok禁止: 下院法案に怒りの電話殺到 ... https://www.usatoday.com/story/money/2024/03/07/tiktok-ban-congress-biden/72886191007/
(2)米議員、バイトダンスにTikTokの売却か禁止を要求する法案を提出 https://www.msn.com/en-xl/news/other/us-lawmakers-introduce-bill-demanding-bytedance-to-divest-tiktok-or-face-ban/ar-BB1jpXX6
(3) TikTokは、アプリを禁止しようとする動きについて、ユーザーに代表者に電話するよう呼びかけている。https://www.yahoo.com/tech/tiktok-is-encouraging-its-users-to-call-their-representatives-about-attempts-to-ban-the-app-202056111.html
(4) 米議員、ByteDanceにTikTokの売却か禁止を求める法案を提出https://www.msn.com/en-ph/news/other/us-lawmakers-push-for-bytedance-to-divest-tiktok-or-face-ban/ar-BB1jpC8w

TikTokは、中国の動画共有アプリで世界的に人気が高まっていますが、その一方で米国をはじめとする諸外国からは安全保障上の懸念が強まっています。

TikTokは、中国の企業バイトダンスが運営しており、ユーザーの個人データが中国当局に渡される可能性があると指摘されています。特にアプリが収集する広範なユーザー情報の取り扱いが問題視されており、それらのデータが中国政府によって米国の世論操作に悪用される恐れがあるとみなされています。

こうした懸念を受けて、米国ではTikTokに対する規制が次第に強化されつつあります。バイデン政権はTikTokの連邦政府機関での使用を原則禁止する方針を示しました。また、世論調査では59%の米国民がTikTokを国家安全保障上の脅威と認識していることが分かっています。

TikTokの親会社であるバイトダンスは、アプリのシステムから中国当局のアクセスを遮断する対策を講じていますが、コンテンツ自体が公開されている以上、その効果には疑問視する声もあります。TikTokのプラットフォーム自体から中国の影響力を完全に排除するには技術的な課題が残されているとの指摘があり、今後の対応が注目されます。

中国とのデータの行き来、アルゴリズムの透明性の問題など、TikTokが抱える安全保障リスクへの懸念は簡単には払拭できません。ユーザープライバシーの保護と表現の自由とのバランスをどう取るかが問われており、米国をはじめ各国でTikTok規制をめぐる議論が続いていくことが予想されます。

高橋洋一氏などの、識者もプライバシー侵害、検閲、サイバー攻撃、データ搾取、技術流出など、様々な安全保障上のリスクが根拠として中華アプリは使うなと警告しています。

2017年6月に施行された中国の「国家情報法」によれば、「いかなる組織及び個人も、法に基づき国の情報活動に協力し、国の情報活動に関する秘密を有し、国は、情報活動に協力した組織及び個人を保護する」となっています。日本から中国のアプリを利用している場合でも、通信の内容は中国当局に共有されている可能性が高いと思った方が良いでしょう。


TikTokのようなサービスは現在では、現在ではYouTube、Facebookなどにもあります。そちらを使用されることをおすすめします。上の写真はFacebookのリール動画です。

TikTokなどは、中国がからんだアプリということが周知されていますが、そうではないアプリも多く存在します。以下は中華アプリです。

放置少女、マフィア・-シティー(極道風雲)、荒野行動、原神、アーチャー伝説、IdentityV 第五人格、BeaytyPlus、CapCut、DiDi、Zoom

会議用ソフトZoomは日本でも最近良く用いられているようです。高橋洋一氏もこれを用いているそうですが、それは中国の学生などに教えたりするときに用いているそうですが、Zoomを用いる端末は、それ以外に使わないようするなどの安全対策をした上で、用いているそうです。

そうはいっても、中華アプリは表面上は他のアプリと見分けがつかないことが多いです。それに対する対処は、結構難しいです。

中国の会社法では社名に必ず所在地の地名を使用することが義務付けられているので、販売元の正式名称に中国の地名が含まれている企業から配信されているものは中国”産”アプリだと比較的簡単に判別できます。

一方で、中国”系”アプリは、中国国外の現地法人からリリースしているので、販売元の社名から判別するのは難しいのです。

有名なメーカー以外のアプリは、サイトなどで確認してから使うことをおすすめします。

日本では、TikTok以外にもLINEが問題になっています。


LINEは日本で非常に広く使われているコミュニケーションアプリですが、安全保障上の問題が指摘されています。以下にまとめます。

国内利用者のデータが中国で閲覧可能: LINEについては、国内利用者のデータが中国の業務委託先で閲覧できる状態にあったことが報告されています。経済安全保障への配慮が不足していたとも指摘されています [res_idx]

経済安全保障への対応の不備: 経済安全保障とは、経済分野において国家安全保障を考慮して行動することを意味します。LINEに関しては、経済安全保障への対応が不十分だったという最終報告書が提出されました [res_idx]

中国子会社への業務委託: LINEには、中国子会社に業務を委託する過程で想定されるリスクについて検討しなかったという問題がありました。また、中国で国家情報法が施行された後も、体制を見直す議論が起こらなかったとされています [res_idx]

このように、LINEにはユーザーデータの取り扱いや経済安全保障の観点からいくつかの問題点が浮かび上がっています。これらの問題によって、ユーザーのプライバシーや情報セキュリティに影響が出ることは非常に重要な懸念事項といえます。

私は、LINEは使用していませんが、大企業や地方自治体などで連絡用に用いている場合もあり、これについてはLINE以外の別の方法を使うよう、社員や地方自治体の住民が説得していくしかないでしょう。この説得には、「責任論」を主張すると良いでしょう。もし、問題が起こったら誰が責任をとるかという論法です。これには、企業のお偉方や、お役人は弱いです。

いずれにせよ、中国が絡んでいるアプリは危険性が高いということだけは、個人でも企業、自治体、NPO、NGOなどの組織でも、認識しておくべきです。そうして、中国アプリ等使わなくても、代替のアプリがあることを認識すべきです。

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2023年12月7日木曜日

「悪質ホスト対策法」は必要か 立憲民主の〝人畜無害〟案では「公金チューチュー」招く恐れ 既存の制度で対応できるはず―【私の論評】公金チューチュースキームの正体とは?利権の温床となる問題の構造

高橋洋一「日本の解き方」


 立憲民主党は、悪質ホストクラブによる女性客の被害を防ぐため、相談体制の整備や啓発推進を政府に求める法案を衆院に提出した。

 この法案は、被害の実態調査や、被害に遭った女性の社会復帰支援、関係機関との連携強化の必要性を明記したもので、禁止規定や罰則を設けない理念法としている。

 悪質ホストクラブをめぐっては、警察庁も捜査を強化する方針を打ち出しているが、問題視されている高額の「売り掛け」を解決する方法はあるのだろうか。

 現状としては、女性客のホストクラブに対する売り掛けを巡り、さまざまなトラブルがあるようだ。こうしたトラブルについては、基本的に現行法で対応できる。

 消費者契約法のデート商法に引っかかるものもあるし、払えないような売り掛けは公序良俗違反になるなどだ。もし客が売り掛けに本当に困っているのであれば、自己破産という手もある。

 ホストクラブの原価率はあまり高くないので、売掛債権が回収できなくてもあまり大きな実害はないという事情も勘案し、客には自己破産を勧めるのがいいだろう。

 立憲民主党の案は、相談体制の整備や啓発推進など、一見すると人畜無害な法律に見えるが、そうした法律が成立すると、必ずそれを担当する役所組織が作られることになる。

 組織ができると官僚組織の常として予算を獲得し、結果としてNPOなどの外郭団体に事務委任する仕組みができることになる。いわゆる「公金チューチュー」のスキームの出来上がりとなる。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方、元記事をご覧になってください。

【私の論評】公金チューチュースキームの正体とは?利権の温床となる問題の構造

まとめ
  • 多額の売掛金で困っている客がいる場合、自己破産という既存の法律や制度を利用すれば、大きな社会問題になることなく解決できる。
  • にもかかわらず、一見人畜無害の法律をつくるのは、公金チューチュースキームを作ろうとする意図があると考えられる。
  • 公金チューチューとは、NPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等が補助金や助成金等の公金を巧妙に獲得している状態、またはそのような仕組みのこと。
  • このような状態が発生すると、不透明な金の流れが発生して利権の温床となる。
  • このような問題は、昔からあり、最近ではアクターが変わっただけで、基本は変わらない。
多額の売掛金で客が本当に困っているというのであれば、自己破産というのが当然の流れです。

ホストクラブの広告

自己破産は、借金を返済することができない場合に、裁判所に申し立てて借金を免除してもらう手続きです。自己破産には、デメリットがあるのは事実ですが、借金の性格からいって、これくらいのデメリットは甘受すべきでしょう。

このような既存の法律や制度を利用すれば、この問題は、大きな社会問題になることなく解決できます。

にもかかわらず、このような問題に関して、一見人畜無害の法律をつくるのは上の記事で髙橋洋一が指摘する通り「公金チューチュー」スキームを作ろうとの目論見があるものと考えられます。

この「公金チューチュー」スキームは、最近は暇空茜さんが指摘したことによるcolabo問題で話題となりました。しかし、これは日本では昔からあることです。ただ、最近ではスキームのアクターが変わっただけで、基本は変わりありません。

「公金チューチュー」とは、主にNPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等が補助金や助成金等の公金を巧妙に獲得していると思われる状態、またはそのような仕組みのことです。

このような状態が発生すると、不透明な金の流れが発生して利権の温床となります。しかし、このような問題は昔からありました。それは、鉄の三角形(鉄のトライアングル)と呼ばれてきました。
鉄の三角形

これは、政治家、官僚、財界が互いに利用し合い、助け合うという関係にあることを表現した言葉です。政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について影響力を行使し、財界から政治献金を集め、官僚への限定的指揮権を持ちます。

財界とは、企業経営者の集団ということですが、今日では大企業をおもな構成員とする日本経団連や、大企業の役員をおもな構成員とする経済同友会などの大企業の団体を中心に財界とよぶことが一般的です。 日本経団連は昨年、政策要求を打ち出す経団連と、労務対策をおこなう日経連が合体してできました。

ただ、ここでいう財界とは、無論日本経団連を含みますが、企業経営者の集団の意味です。その中には、様々企業経営者がいますが、有力企業が多いです。

ただ、農協や医師会など、企業以外の組織も、鉄のトライアングルを構築しています。

官僚は所轄業界をまとめ、その利益代表として動き、政治家・財界を許認可権限・公共事業・補助金振り分けで影響力を持ちます。財界等の業界団体や圧力団体が政治献金で族議員に代表されるような政治家を支援し、財界に影響力のある官僚を天下りで懐柔することで、政官財が一体の行動を取ることにより、国益・国民益より省益・企業益・私益が優先されることになります。

最近の新たな鉄のトライアングルにおいては、アクターがかなり変わってきており、政治家、官僚までは同じなのですが、財界の部分が、NPO法人や一般社団法人、その他の組織、個人等に変わってきています。要するに、従来の財界から比較すると、小規模であったり、非力であるといえます。

従来の鉄の三角形は、財界がスキームの主要アクターの一つであり、比較的大きな財界の利益を代表するという大義名分もありましたが、最近のスキームでは、より政治家、官僚の力が増したものに変わっているということがいえると思います。

また、最近のスキームは単体では小規模なので、あまりメリットがないためか、多数のスキーム実行主体がつくられるようになっています。それは、男女共同参画事業などをみればわかります。以下はある自治体のイベンのリストです。


これらの事業は、「男女共同参画社会基本法(平成十一年六月二十三日法律第七十八号)」に基づいて行われているものです。

このようなスキームを成り立たせるのが、補助金・助成金です。減税などは、減税対象者が直接メリットを受けることができます。補助金・助成金だと、対象者にメリットが及ぶ以前にNPOなどの中間組織に利益が及ぶことになります。

NPOは、財界のように政治家に対して献金したりパーティー券購入などは法律で禁じられていてできません。ただ、政治家には自らの政治信条などをNPOを通じて実現できるというメリットがありますし、有権者や支援者にいかにも仕事をしているように演出するという意味あいもあるでしょう。

特にNPOを運営している、あるいはこれから運営しようとする支援者に補助金であれ、なんであれ、お金が転がりこみ、それに政治家が尽力してくれたということになれば、大喜びするのは当然です。

官僚はNPOに天下りする例もありますし、NPOや財界にかかわらず、補助金・助成金の差配が拡大すればするほど、より大きな影響力を持つことができます。

この点が、直接巨額の利権となる従来のトライアングルとは若干異なりますが、それにしても基本は同じです。財界などが、NPO などに置き換わっただけです。

野党や自民党でも、一見人畜無害の法律を立案するのは、こうした背景があります。

このようなことから、政治家、官僚の中には、経済対策や支援事業で、減税よりは、補助金を好む人も多いようです。これが日本の政治を駄目にする一因になっています。

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2023年3月3日金曜日

イェール大名誉教授が警鐘「防衛"増税"より、コロナ禍からの回復や経済成長を優先せよ」―【私の論評】防衛力強化だけでは日本を守れない、経済・外交・技術力・情報力も合わせた総合力で日本を守り抜け(゚д゚)!

イェール大名誉教授が警鐘「防衛"増税"より、コロナ禍からの回復や経済成長を優先せよ」

■日本人が知らない安倍外交のウラ側とは

 地球全体がますますきな臭くなりつつあるなか、世界における日本のプレゼンスは安倍晋三元首相の外交で高まった。太平洋戦争の発祥地であるハワイの真珠湾に安倍元首相が訪れ、そして人類初の原爆投下が行われた広島にオバマ元大統領が訪れたことは、戦争被害者を悼み、将来の戦争がないように祈る記念的な出来事であった。当時、外務大臣だった岸田首相には、これらを実現させた大きな功労がある。2023年5月に広島で開催されるG7サミット(主要国首脳会議)では、その経験を生かしてほしい。首脳外交には、首脳たちの人柄や個性が反映される。岸田首相の持ち味が生かせるような、各国首脳との新しい関係が築かれることを望みたい。

2015年4月29日、米国連邦上下両院合同会議で演説する安倍晋三首相。地球儀を俯瞰しつつ現実に目を向け、防衛力を高めた。

 安倍元首相の外交面で発揮された個性は、並外れたコミュニケーション能力だった。特に2015年4月29日に行われた米国連邦上下両院合同会議での演説は、今も記憶に残る。一部に「安倍は歴史修正主義者ではないのか」と警戒する議員もいたが、演説を終えると全議員が総立ちの拍手で元首相を称えた。

 そして安倍元首相は、日本の敵となりかねない核保有国の中国、ロシア、北朝鮮に囲まれている現実を直視し、それに対抗できるような防衛力の増強に努力してきた。ウクライナへの侵攻で、台湾への中国の軍事介入が心配されると、米国に対して、戦略的に曖昧な外交姿勢を取らずに台湾防衛の意思を表明するように、元首相は有力者の論評を配信する国際的なNPO「プロジェクト・シンジケート」での論考で強調した。

 さらに、集団的自衛権を行使して自衛隊が海外で活動できるようにしたし、かつては防衛費を増強し、防衛庁を防衛省に昇格させた。これらは、自国の防衛力を高めることによって、相手が報復を恐れて日本への攻撃を思いとどまらせようとする抑止力強化の手段である。安倍元首相の努力で、日本はわずかではあるが、より安全になったといえよう。

 安倍元首相の防衛努力は、なにも国内の防衛力増強だけ、従米一辺倒だけだったわけではない。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げて在任中に元首相が訪問した国・地域は80を数え、飛行距離は約158万キロメートル(地球約40周分)にも及んでいる。

 貿易に関しては、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉を、米国離脱後に日本が中心となってまとめた。「自由で開かれたインド太平洋戦略」ではASEAN(東南アジア諸国連合)・南アジア・アフリカ東海岸の国々との結びつきを強め、米豪印とは「QUAD(クアッド)(日米豪印戦略対話)」の枠組みで、影響力を増す中国を牽制した。

■防衛問題に対して急速に国民の関心が高まっている

 いま、ロシアがウクライナに非条理に侵攻し、中国の習近平国家主席が台湾を統一する意思を示して以来、防衛問題に対して急速に国民の関心が高まっている。日本が不戦の誓いを立てていても、攻め込んでくる国は容赦してくれない。

 確かに、安倍元首相もはっきりいわれたように、日本は世界全体の核兵器廃絶を目指す運動を止めてはいけない。壮絶で悲惨な体験をした、唯一の被爆国である日本は絶対にそうしてはいけない。

 一方、唯一の被爆国として核を持たない、作らない、持ち込ませないとの心情は日本人にはもっともだが、それで他国からの侵略のリスクはなくならない。残念ながら、日本国憲法の前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義」という条件が満たされない世界に我々は住んでいる。

 官邸での安倍元首相との懇談の際は基本的に経済について議論する時間しかなかったが、あるときふと「飛来するミサイルを撃墜する技術も進歩はしているが、精度と費用の面で課題が大きい。相手国に撃ち返せるといいのだが」と言われたことがある。また「トランプ大統領(当時)は日本を守ってあげると言うが、本当かわからないトリッキーなところがある」と漏らされたこともあった。

 この言葉の真意をもっと詳しく聞いておけばよかったと悔やんでいるが、日本が守ってもらう形の日米安全保障体制の下では、日本の歴代首相は、米国と付き合うたびに、同じような悩みを抱くのかもしれない。

■コロナ禍からの回復や経済成長を優先せよ

 核兵器でお互いに抑止し合っている状況のなかで、日本だけが核兵器を持たないと、核兵器を持たないウクライナのように相手に見くびられてしまう可能性もある。安倍元首相は22年2月27日のテレビ番組でその対処として、日本は核兵器の単一所有国にならずとも、その共有を行えばよいとの提案を行った。後で考えると、これは元首相の遺言のようなものだったと思う。

 たとえば、米国と核兵器を共有すると、日本の独自な判断では核を使用できないが、米国の同意が得られれば使用できることとなり、その結果日本の抑止力は大幅に高まる。実際にドイツとイタリアは、米国と核兵器を共有している。

 これに対しては意見が大きく分かれるだろうが、熟慮に値するものではないか。アベノミクスで雇用が増えて大きな恩恵を受けた日本の若者は、戦争体験や被爆体験はないため、核アレルギーを強く持っていない。核共有を実現させることで日本に抑止力を付け、将来世代の安全性を増そうとするのは、安倍元首相から若者への意味のある「プレゼント」であるともいえる。

 リベラルの人々やジャーナリズムから「軍国主義だ」と批判されながらも、安倍元首相は将来世代の安全・自由・繁栄を真剣に考えていたのである。いま、岸田政権が防衛費をGDP(国内総生産)比2%に引き上げる方針を掲げたのも、安倍政権時代から進められてきた防衛重視の流れからの継続である。

 最後に、防衛財源をどう賄(まかな)うのが適当かについて述べよう。中国の軍事的脅威が2~3年で解消するとは思えない。長期間にわたって防衛費が日本国民の重荷になるなか、それを国債負担で行おうとすると、いずれは市中のお金の目減りでインフレになるか、経常収支が悪化して対外資産の取り崩しにつながり、国民につけが回ってくる。国を守るのは現在、将来各世代の責務と考えれば、中期的には国防費は国債でなく、税収で賄うのが基本原則だろう。

 だが、日本経済はコロナ禍からの回復が始まったところである。経済成長や技術革新などの回復の兆しを、あまりに早く抑制してはならない。

 クレディ・アグリコル証券のエコノミスト会田卓司氏の言うように、直ちに財政バランスを達成しようとすると、不完全なままの雇用均衡のもとに、日本経済は足止めになる。同様に考えると、本格的な長期回復に向かう前に、防衛増強のためと称してすぐ増税を実施すると、消費増税によって景気の芽を摘んだ今までの失政を繰り返すだろう。

 せっかくのコロナ禍からの回復に水を差さないようにしながら、長期的に税収確保をしながら国民の全体世代で国を守る姿勢を確保していくという難題が、経済政策全体に課せられている。

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浜田 宏一(はまだ・こういち)

浜田宏一氏

イェール大学名誉教授
1936年、東京都生まれ。東京大学法学部入学後、同大学経済学部に学士入学。イェール大学でPh.D.を取得。81年東京大学経済学部教授。86年イェール大学経済学部教授。専門は国際金融論、ゲーム理論。2012~20年内閣官房参与。現在、アメリカ・コネチカット州在住。近著に『21世紀の経済政策』(講談社)。

【私の論評】防衛力強化だけでは日本を守れない、経済・外交・技術力・情報力も合わせた総合力で日本を守り抜け(゚д゚)!

浜田宏一氏が指摘するように、安倍元首相の外交面で発揮された個性は、並外れたコミュニケーション能力でした。特に2015年4月29日に行われた米国連邦上下両院合同会議での演説は、私も記憶に残っています。これは、動画が残っているので、以下にその動画をを掲載します。


現在大統領のバイデン氏は、当時は副大統領でした。スピーチをする安倍総理の背後の高い席の向かって左側に着席されています。その隣が、議長の方で、名前は失念しましたが、安倍首相の演説に感動して涙を流し、それをハンカチで拭っておられました。残念ながら、上の動画に、それは写っていませんが、私は、はっきりと記憶しています。

夕刊フジのサイト版のコラム「国家の流儀」に、江崎道朗氏が以下のような記事を掲載しています。
一国平和主義から集団自衛体制へ 防衛力強化だけで守ることは難しい 第2次安倍政権以来〝5つの力〟使って味方を増やしてきた日本

 

江崎道朗氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に安倍政権が味方を増やした「5つの力」に関する部分のみを引用します。 

日本の防衛力強化だけで日本を守ることは難しい。

では、どうするか。今回の国家安全保障戦略の特徴は、防衛力強化以外の方策も明確に打ち出していることだ。

日本を守る力は防衛力だけでない。次の5つだと同戦略は指摘している。

第1に外交力。ロシアによるウクライナ侵略でも明らかなように、友好国、同志国をどれだけ持っているかが戦争の動向を左右する。よって日本も、「大幅に強化される外交の実施体制の下、今後も、多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動」を展開している。

第2に防衛力。それも防衛力に裏打ちされてこそ外交力は高まるとして「抜本的に強化される防衛力は、わが国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための外交の地歩を固めるものとなる」として、外交と防衛の連動を強めてきた。

第3に経済力。「経済力は、平和で安定した安全保障環境を実現するための政策の土台となる」。経済力があってこそ軍事力も強化できる。

第4に技術力。この「官民の高い技術力を、従来の考え方にとらわれず、安全保障分野に積極的に活用していく」。科学技術の軍事利用に反対する一部勢力には屈しない、ということだ。
第5に情報力。「急速かつ複雑に変化する安全保障環境において、政府が的確な意思決定を行うには、質が高く時宜に適った情報収集・分析が不可欠である」。
この5つの力を使って第2次安倍晋三政権以来、日本は必死に米国以外の国とも防衛協力関係を強化してきた。その結果、いまや以下の国・組織が、日本の「味方」になりつつある。
安倍元首相は、この5つの力を使って、仲間の国を増やしてきたからこそ、第二次安倍政権以前よりは、日本は確実に安全になったのです。

そうして、この5つの力のうち、第3の経済力ついて、述べたのが上の浜田氏の記事です。私自身は、経済力は、日本を守る上で他の要素を伸ばすための土台になるものだと思います。

十分な経済力がなければ、他の要素を伸ばそうにも伸ばしようがないからです。どの要素も、ある程度の経済力があって、初めて伸ばすことができるからです。

安倍首相の外交安保における成果は、戦後の長期政権だった佐藤榮作の沖縄返還や、戦前の桂太郎の日露戦争などとは、比べられるようなものではありません。


しかし、中国の経済的・軍事的膨張と、強圧的な対外政策を前に、日本に根深い原理主義的な平和主義を考えたとき、相当の成果を挙げたと言えます。

同盟国の米国では、オバマ政権からトランプ政権へと大きな転換がありました。その中で安倍首相は先にもあげたワシントンの連邦議会で演説(2015年4月)し、オバマ大統領の広島訪問(2016年5月)を実現させ、さらに真珠湾を訪問(2016年12月)し、かつ、トランプ大統領との間で信頼関係を築きました。

そうして、これらの成果の他に、中国などに対抗すべく米国以外同志国を増やしました。「一国平和主義」から「集団自衛体制」へ、第2次安倍政権以来、日本は戦略的に動くようになっなりました。日本の味方が増えたことも大きな成果です。

これを考えると、今回林外相がG20に参加できなかったことは残念でなりません。ただ、 岸田文雄首相は今月中~下旬にインドを訪問する方向で調整に入りました。19~21日を軸としているそうです。関係者が3日、明らかにしました。

岸田首相は、モディ首相によくお詫びしてきて欲しいものです。そうして、日印関係をしっかりと結び直していただきたいです。

防衛力強化だけで日本を守ることは難しいです。経済・外交・技術力・情報力も合わせた総合力がなければ、日本を守り抜くことは難しいです。その観点からも、現在は防衛増税などの的外れな経済政策をしている時ではありません。

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2023年1月30日月曜日

岸田政権、韓国に「反省表明」の懸念 「元徴用工」訴訟めぐる賠償肩代わり「存在しない『責任』に『謝罪』するのは日本人の悪癖」藤岡信勝氏―【私の論評】日米ともに、戦時中の「徴用工」募集は、戦後の女性の社会進出を促した!この事実を歪める韓国に謝る必要なし(゚д゚)!

岸田政権、韓国に「反省表明」の懸念 「元徴用工」訴訟めぐる賠償肩代わり「存在しない『責任』に『謝罪』するのは日本人の悪癖」藤岡信勝氏

昨年8月24日リモート・ワークの「ぶら下がり」でモニター画面に映し出された岸田首相

対韓外交に新たな〝暗雲〟が浮上した。いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐり、韓国の原告側が求める日本企業の賠償を韓国財団が肩代わりする解決案を韓国政府が正式決定すれば、日本政府は過去の政府談話を継承する立場を改めて説明して「痛切な反省」や「おわびの気持ち」を示す方向で検討に入ったというのだ。共同通信が28日、「独自ダネ」として報じた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権への後押しが狙いというが、原則を軽視した妥協には懸念が深まりそうだ。

【写真】無関係写真が「徴用工」写真と掲載された韓国の小6教科書

「政府『おわび』継承説明へ」「韓国肩代わり案後押し」

共同通信は、このような見出しで記事を配信した。

日韓政府は30日、韓国・ソウルで外務省局長協議を開き双方の取り組み状況を話し合う予定。韓国側は日本の「誠意ある呼応」を求め、岸田首相は、「韓国政府と緊密に意思疎通していく」としている。

冒頭の妥協案は、政府関係者が28日、明らかにしたという。

だが、日韓間の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」している。日本政府は当時、無償・有償を合わせて計5億ドルを韓国政府に提供した。元徴用工に資金が渡らなかったのは、一方的に韓国政府の問題であり、「肩代わり」という言葉自体が不適切だ。

さらに、韓国側の「肩代わり」を受け、有志の日本企業が財団への「寄付」を容認する案も浮上しているというが、「二重賠償」「迂回(うかい)賠償」と批判されても仕方ない。

そもそも、徴用は、戦時下の労働力不足に対処するため、1939年に制定された「国民徴用令」に基づき、日本国民すべてを対象とした義務だった。給与も法律で決められていた。

新しい歴史教科書をつくる会の藤岡信勝副会長は「存在しない『責任』に『謝罪』するのは日本人の悪癖だ。相手国が自国と同じ思考との前提で外交交渉するのは誤っている。近年、韓国を『戦略的に放置』する日本の方針は成功してきた。韓国が『反日』を繰り返してきた経緯を踏まえれば、原則を外した外交は得策ではない」と強調した。

【私の論評】日米ともに、戦時中の「徴用工」募集は、戦後の女性の社会進出を促した!この事実を歪める韓国に謝る必要なし(゚д゚)!

日本に限らず、世界中の国々で戦争の時、特に総力戦の最中には、労働力が不足し、徴用工を募集することは珍しくありません。無免、賃金は支払われます。日本でも徴用工には、賃金を支払っていました。下の写真は、徴用工に支払うための賃金台帳の表紙の写真です。


歴史の古い会社などでは、こうした賃金台帳などが、倉庫の隅に資料として保続されているのが、発見されることがあります。

日本が大東亜戦争時に、当時は日本の領土であった、朝鮮で徴用工を募集することは、当然ありえることで、それ自体は犯罪でも何でもありません。

44年11月に徴用され、東洋工業(現マツダ)で働いた鄭忠海(チョン・チュンへ)氏が著した『朝鮮人徴用工の手記』(河合出版)には、手厚い待遇の様子が描かれています。

徴用工は清潔な寮で、絹のような布団で寝起きし、食事も十分だった。当時では破格の月収140円という給料をもらい、終戦後には日本人と別れを惜しんだといいます。

危険が伴う職場では、さらに待遇は良かったそうです。九州の炭鉱では月収で150~180円、勤務成績の良い徴用工には200~300円が支払われました。屈強な朝鮮人の給与が、体力に劣る日本人を上回ったとされます。

高賃金にあこがれ、多くの朝鮮人青壮年が、内地に密航したことも分かっています。徴用工が「強制連行」でないことは、数々の資料や証言から判明している「歴史的事実」です。

無論、日本でも当時も裏社会があり、いまでいうところ、反社勢力も存在しており、そういう反社勢力の人間が、朝鮮人を非合法に雇い、強制労働をさせたということは、あったかもしれません。それは、あくまで非合法であり、犯罪であり、厳しく追求されるべきです。

ただ、それは、少数事例であり、そのようなことは、今でもみられることです。米国等でもありますが、それはあくまで犯罪です。

ただ、上の記事にもある通り、このような事例も含めて、日韓間の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」しています。このことで、韓国にいまさら、言いがかりをつけらるようなこと等ありません。

米国でも、第2次世界大戦中には、徴用工を募集しました。労働力が不足していたので、男女問わずに募集しました。下の写真は、鉄工所で働く、米国の女性徴用工です。


当時は、女性が様々な分野で徴用され、航空機づくりや、原子爆弾製造ブロジェクトにも女性が動員されていました。下の写真は航空機製造に徴用された女性の写真です。


米国では、こうした多数の女性の徴用により女性が男性と同じく様々な分野で労働力となりえることが示され、女性たちも自信をつけ、戦後の女性の社会進出を促したといわれています。

日本でも同じようなことが起こりました。

戦後、男性が復員してくると、女性は「家庭への復帰」を呼びかけられます。1945年(昭和20年)12月、厚生大臣の芦田均は、女性や高齢・若年者は速やかに男性に職を譲るようにと述べましたが、すでに戦争で一家の稼ぎ手を失った女性も多く存在しました。

その後、復興の中、軍需工場の民需転換や繊維産業の復活で女性の雇用は再び広がり始めました。

また、戦争中の女性の働きぶりから、性別による能力の差がないことがわかると、男女間の賃金格差が当然ではなくなりました。

そうして、1947(昭和22)年に制定された労働基準法第4条では「使用者は労働者が女子であることを理由として、賃金について男子と差別的取扱をしてはならない」と規定し、世界で最も早い男女同一賃金法が誕生しました。

一方、「女子保護規定」により生理休暇も世界に先駆けて認められましたが、この規定は、「弱い女性を保護する」という意味で、過酷な労働から女性を守ることができた反面、男女の平等雇用の点では問題がありました。

この解決には1985年の男女雇用機会均等法の制定を待つことになります。

現在、「女子保護規定」は、育児や介護に男女平等の負担が求められていく中、1999年に改定されました。

このようなことを考えると、戦時中の「徴用工」の募集は、米国においても日本においても、男女平等や雇用機会の均等化、女性の自立など、戦後の社会に変革をもたらしたといえます。

この変革は、現在の男女参画事業や、最近問題になっていcolaboのようなNPOの事業より、余程現実的であり、実効的であり、日米ともにこの歴史を誇っても良いと思います。戦争自体は、悲惨なものでしたが、それを遂行するために女性を活用したことが、後々の社会変革にもつながっていったのです。もし、このことがなければ、日米ともに女性の地位の向上が図られるには、かなり時間がかかったかもしれません。

現在韓国内で、行われている「元徴用工」訴訟など、以上のことを無視した暴挙以外の何ものでもありません。これは姑息な歴史修正以外の何ものでもありません。

韓国のやっていることは、米国の戦時中の女性徴用工の募集は、男女差別だと批判しているようなものであり、全く意味のない馬鹿げたことであり、このようなことを平気でする人たちの資質を疑わざるをえません。

日本政府としては、「徴用工問題」では韓国政府のいうことなど無視すべきです。岸田総理は、間違っても「痛切な反省」や「おわびの気持ち」を示すような愚かな真似はやめるべきです。

もしそのようなことをすれば、自民党の保守岩盤支持層が離れていき、統一地方選は自民の惨敗になるでしょう。

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2023年1月28日土曜日

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岸田首相「再調査踏まえ必要な対応」 Colabo不正会計問題

岸田首相

   岸田文雄首相は27日の参院本会議の代表質問で、東京都監査事務局が都の若年被害女性等支援事業を受託している一般社団法人「Colabo(コラボ)」の経費精算に一部不当な点があるとして都に再調査を指示していることについて、「再調査結果などを踏まえて必要な対応を行いたい」と述べた。同事業は国が経費の一部を負担している。

【私の論評】colabo問題を追っていくと、財務省の「財政民主主義」にまでたどり着く(゚д゚)!

岸田首相のColabo不正会計問題に対する発言は、悪くはないですが、それにしても具体的にどうすべきかは見えてきません。colaboというミクロの現象をどうやって政府がマクロ的に捕らえ、政府として具体的にどのように行動していくのが見えてきません。まさに「検討師」的な発言です。発言するなら、マクロ的な観点からある程度発言してほしかったです。

Colabo問題が未だはっきりしていないのに、厚生労働省は、困難に直面する女性への対応を手厚くするため「女性支援室」を4月に新設します。ドメスティックバイオレンス(DV)や性被害、貧困など女性を取り巻く問題は複雑化している実態を踏まえ、問題の解決や自立の促進につながる体制を目指すそうです。 

厚労省は従来から女性支援に前のめりだが・・・・・

現在は、厚労省の子ども家庭局に所属する職員3人が中心となり、生活困窮に苦しむ母子家庭の女性の問題などに対応しています。一方、アダルトビデオ出演の強要といった性的搾取に遭う若い人も増えてきました。 

このため、社会福祉を担う社会・援護局に女性支援室を4月に設け、問題に総合的に対処。専任の担当を10人確保するそうです。

こうした組織、結局またおかしげなことに活用されかねないと思います。女性支援という趣旨は結構だとは、思いますが都道府県などで実際に政策へ下ろしていくときは、このブログでも以前述べたようにいろいろな補助金を出します。その補助金が正しく使われているかどうかを、確認するのは至難の技です。その記事のリンクを以下に掲載します。
ネットで大騒ぎ「Colabo問題」めぐる税金の不適切な使われ方 国は〝弱者ビジネス〟助長させる「困難女性支援法」を見直せ―【私の論評】Colabo問題の本質は、日本の経済・支援政策のほとんどが減税ではなく、補助金で実行されること(゚д゚)!
結局、日本の経済政策や支援政策などの多くが、減税ではなく、補助金等で実行されることが、Colabo問題のような数々の問題を助長しているのです。

補助金等にばかり頼っていれば、補助金等のための審査は際限なく増え必然的に甘くなるというか、事実上できなくなり、Colabo問題のような問題を生み出し、さらに執行漏れが多数出るのは最初から判りきったことで、余った大量の補助金等は財務省が特別会計等として溜め込み、「死に金」となるのです。

このような不合理なことは、一刻もはやくやめて、日本でも減税を多用すべきです。減税であれば、補助金等と異なり、税金をとらないだけですから、簡単に実施できますし、それに不正の温床となることもあまりありません。それでいて、確実にしかも素早く効果があります。

このような、政策転換をしない限り、Colaboのような問題は防ぐことは難しいでしょう。

colaboのようなNPOでも、女性を助けるためには、様々な物品を購入するはずです、そのときに消費税が減免されれば、かなりの補助になるはずです。

しかし、支援のほとんどが税金ではなく、補助金や助成金ということなれば、それを実行するのは最寄りの地方自治体ですし、補助金は女性支援だけではなく、コロナから、失業対策から、から子供支援などもあり、地方自治体の事務量は莫大なものになります。 

そうなると、補助金・助成金の審査は十分にはできず、形式的なものになってしまいます。様々な書類などが型どおりに揃っていれば、それでOKという事にならざるを得なくなります。また、あまりにも数が多いので、監査もおざなりにならざるを得ないです。

このことが白日のもとに晒されたのは、まさに一般社団法人「Colabo(コラボ)」の件であるともいえます。

補助金などの使い道に関する、住民監査請求権がありますが、とにかく補助金には様々なものがあり、地方自治体もそれに関わる余裕がなく、住民監査請求は95%が門前払いで、「こんなものは請求に値しない」ということで終わってしまうのが、通例です。

ところが、Colaboに対する住民監査請求は2月末までの再調査になっています。とても珍しい例です。

今回のColaboの件については、以下の監査結果で、請求内容も見られます。
東京都若年被害女性等支援事業について 当 該 事 業 の 受 託 者 の 会 計 報 告 に 不 正 が あ る として、当該報告について監査を求める 住 民 監 査 請 求 監 査 結 果
この結果では、監査請求の内容もみることができますが、不正会計とみられる内容があまりに酷いのです。これは、本来補助金を出す時に、東京都の福祉保健局が十分対応すべきだったと思われますが、先にも述べたように、おそらくコロナの影響などでコロナ関係補助金や補助金が山積しており、十分に審査できなかったのでしょう。

岸田政権の経済対策や、事業支援対策など、ほぼすべてが、補助金によるものなので、地方自治体や政府なども実質上モニタリングできないような状態になるでしょう。

そのため、Colabo問題を住民監査請求に委ねるとしても、第三者が見るのにも限界があるでしょう。だから補助金などを配るにしても、方法を変えるべきです。

行政が手間をかけて審査や、監査を徹底するという考え方は事実上パンクしているのですから、全体の仕組みを変えるべきです。

まずは、政府の経済対策や事業支援対策などは、補助金・助成金主体から、減税主体とするのです。これで随分地方自治体の手間が減り、補助金の審査や監査がかなりやりやすくなります。

それともう一つの方法としては、補助金を配るのではなく、寄付したい人が、直接NPO法人などに寄付してもらう形式にするのです。補助金は税金を吸い上げて役所が配る仕組みです。それであれば、直接NPOなどに寄付してもらうようにするのです。

直接寄付してもらい寄付金額に応じて、税金を控除する方式にするのです。税収はその分減るのですが、効果は一緒です。それに税金を控除すれば、それが寄付へのインセンティブにもなります。

これが、欧米などで行われている方式であり、欧米では寄付金文化が根付いています。日本で、こうした寄付金文化が根付いていなかったのは、こうした仕組みがなかったことが大きな原因です。

このブログでもかつては、良く掲載していたことなのですが、日本ではNPOというと、奇特な人たちが手弁当で集まり、実施する奇特な事業ということで、あまり期待される存在ではありませんでした。

一方米国では、たとえば、低所得者住宅提供を、就業支援プログラムなどを含む、包括的パッケージとして提供する事業などがあります。それを実行するNPOに建設会社、銀行なども加わり大々的な事業を展開したりしています。こんなことを言うと、日本ではなんのことやら、わからないという人もいるかもしれません。

そのため、NPOは米国では立派な事業と考えられており、大学院を卒業した将来を嘱望されるような優秀若者が、就職先に選ぶということも普通のことです。また、民間営利企業でやり手だった企業経営者が、営利企業に嫌気をさして、非営利企業のNPOの経営者に転身して、大事業をやり遂げるということも珍しくはありません。

かつてドラッカーも評していたのですが、米国の優秀な非営利事業のNPOにおける、マネジメントは利益という指標がないからこそかなり厳しく、徹底的に使命(ミッション)やそれに関わる目的や目標を追求しているとされ、民間営利企業はこれを見習うべきと述べています。

米国のように、寄付したい人が、NPO法人などに寄付すれば、寄付した人が自分が寄付したお金がきちんと使われているかどうか監査することになります。この方法なら、寄付した人はより関心がありますから、よりきちんと監査することになるでしょう。

そういうこともあってか、米国では毎年、星の数程のNPOが生まれる一方、星の数程のNPOが消えていきます。

米国では、税金では自分の寄付したお金がどう使われているかをよく見ることができなので、なるべく税金を支払わないようにして、NPOになるべく多く寄付するという人もいます。

日本では、colaboの資金源は補助金の他どこからお金が拠出されているかを調べると、いろいろな名前が上がった中に、「赤い羽根共同募金」もありました。

colaboに寄付できますの間違いか・・・・・・

日本では、NPOへの寄付が根付いておらず、寄付金は少額なのが通例です。しかし、米国式に大きな金額の寄付も受け付けられるようにして、寄付した人達自身が監視するという方式にすべきです。無論、NPO側も、インターネット上で財務内容を公表するのが前提です。そうした方が、政府や自治体が監視するよりも監視は効くと考えられます。

ただ、こうしたことを推進する上でネックになるのが財務省です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお資金でNPOが社会事業を推進することは、「財政民主主義」に反するとみているようです。

日本では社会事業に関しては、全部税金という形で一旦国庫に入れて、それを国が分配するという形をとります。財務省は、これを「財政民主主義」と主張しています。しかし、もし先にあげたように、税金を控除されるしくみがあれば、国民は今より多く民間のNPOに寄付をすることになるでしょう。

そうすれば、国の財政として国民に選ばれた国会議員が何にいくら使うということを決めないで、民間のNPOが社会事業を実施することになります。財務省は、これだと財政について民主主義が崩れると考えているようです。

しかし、この「財政民主主義」という考え方によれば、社会事業に関する財政は、全部公務員が進めていくことになります。この考え方だと、減税や寄付よりは補助金・助成金のほうがより民主的ということになります。これらは、単なる手段であり、どのような手段を取ろうと、場合によって効率的、非効率等の違いはありますが、民主・非民主的の指標とはなりえません。


この論理はおかしいです。現状のNPOは業務に関して官庁や地方自治体の認可を受けかつ官庁等に詳細な報告義務を持つはずですが、先にも述べたように、すべての社会事業を官庁や地方自治体が事前審査し、事後監査することなど不可能です。

こうした財務省による「財政民主主義」の間隙をぬって、これを活用して、社会事業を餌に、公金をチューチュー吸い上げよういう人達も多数でてくるのでしょう。

無論、ミクロ的に見れば、様々な個人や組織が結びついたり、ついたりで、さながらアメーバのようにして、その時々で、最も公金を吸い上げやすいように変幻自在に形を変えているものとみられます。

そうして、官僚は補助金によって自ら差配をしたがります。このような仕組みをつくろうとする人はたくさんいます。官僚でも助成に限らず、NPO関係の補助金の仕組みをつくろうとする人は多いです。

今後も女性支援を強化していくなら、きめ細やかな対応が必要なことから、NPOの数が増えると思います。

これを全部行政が対応するとなると、先の述べたようにマンパワーも何もかも足りないです。そこで専門性のあるNPO法人に委託するにしても、監査を全部行政がやるのは非効率です。

東京都であれば、女性支援を担当している部署は福祉保健局になりますので、まさにコロナと正面で向き合っているところです。マンパワーも予算もそちらに割かれることになります。

先にも述べたように、厚労省で別の組織をつくるということですが、「女性支援室」の10人では、いくら何でも全国の話をそこでチェックするのは無理です。政策は良いにしても、公金を使うときには何らかの仕組みを考えなければなりません。

日本でも、NPOの基盤を強くし、今回のcolabo問題のような問題をなくすためには、官庁や自治体、NPOの自助努力だけでは限界があります。まずは寄付文化が根付くように、今後の税制改正も実現すべきです。

そうして、寄付金を元に、まともなNPOが活動しやすくするとともに、大口寄付者等がNPOの審査や、監査ができる体制も整えるべきです。財務省や他省庁の官僚たちも、すべての社会事業を自分たちが差配できるなどという幻想は捨てるべきです。

そうでないと、colaboのような問題はモグラ叩きのようになって、いつまでたってもなくならないでしょう。

このような問題については、随分前には、このブログに掲載していたのですが、最近はほとんど掲載していませんでした。それは、ブログに掲載しても、多くの人に関心を持ってもらえなかったからです。

しかし、今回Colabo問題が起こったことにより、日本の寄付金文化の問題やNPOの問題は従来よりは、はるからに多くの人に理解してもらえるきっかけになると思います。まさに、暇空茜さんの功績は大きなものです。

さらに、もし安倍元総理がご存命であれば、この問題の全容を岸田総理のようにミクロ的な見方しかしないのではなく、マクロ的な観点から理解し、暇空茜さんの功績を、行政に活かす試みがスムーズにできたと思います。それを思うと、残念でなりません。

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2023年1月13日金曜日

バイデン氏の自宅からも機密文書 米司法省が特別検察官を任命―【私の論評】機密文書とペンシルベニア大学に対する中国の巨額寄付との関連性が実証されれば、バイデンにとって大打撃(゚д゚)!

バイデン氏の自宅からも機密文書 米司法省が特別検察官を任命

特別検察官に任命されたロバート・ハー氏。トランプ政権時代にはメリーランド州の連邦検事を務めた

ジョー・バイデン米大統領の私的オフィスなどから副大統領時代の機密文書が見つかった問題で、メリック・ガーランド米司法長官は12日、ドナルド・トランプ前政権で連邦検事を務めたロバート・ハー氏を特別検察官に任命し、捜査を進めると発表した。

ガーランド司法長官によると、2セット目となる機密文書が昨年12月20日、デラウェア州ウィルミントンにあるバイデン氏の自宅でも見つかっていた。さらに今月12日朝、バイデン氏の弁護士から捜査当局に電話があり、同氏の自宅で別の文書が見つかったと知らされたという。

バイデン氏の関係先で最初に機密扱いの可能性がある文書が見つかったのは、昨年11月2日とされる。バイデン氏側によると、首都ワシントンのシンクタンク「ペン・バイデン・センター」にあった事務所の鍵のかかった戸棚から、同氏がバラク・オバマ政権で副大統領だった時期の文書を10点ほど発見。書類は米国立公文書館に移したという。

イリノイ州北部地区連邦検事のジョン・ラウシュ氏が最初の調査を行った後、ガーランド司法長官は「異例の事態」を理由に、バイデン氏の文書の取り扱いを調べるための特別検察官が必要だと判断した。

「この任命は、とりわけセンシティブな問題において独立性と説明責任の両方を確保し、事実と法律のみに導かれた議論の余地のない決定を下すという、当省の責任を一般市民にはっきり示すものだ」と、ガーランド氏は述べた。

特別検察官に任命されたハー氏は、「公正、公平かつ冷静な判断で」この問題を調査していくと述べた。同氏はトランプ政権時代にメリーランド州の連邦検事を務めた。

ホワイトハウスは、捜査にバイデン氏は全面的に協力するとしている。

バイデン氏は司法省の調査に全面的に協力していると、同氏の特別顧問は説明した

バイデン氏の特別顧問を務めるリチャード・サウバー氏は、バイデン氏は司法省の調査に全面的に協力しており、今後もそうするつもりだとした。

「我々は徹底的な調査で、不注意によりこれらの文書の置き場所を誤ったこと、そして大統領とその弁護士がこの間違いを発見したときに迅速に行動したことが示されると確信している」

この件に詳しい情報筋は、BBCがアメリカで提携するCBSに対し、いまのところ調査には、機密文書がどのように扱われていたかを知っている可能性のある人物への聴き取りが含まれていると語った。

「真剣に受け止めている」

バイデン氏は12日朝、記者団に対し、自身の弁護士が見つかった文書について当局に知らせたことや、自身がこの問題を真剣に受け止めていることを改めて強調した。

さらに、新たに見つかった文書は鍵のかかったガレージの中で、愛車の1960年代製シボレーコルベットの隣に置いてあったとし、「道端に置かれていたわけではない」と付け加えた。

バイデン氏の特別顧問サウバー氏は、バイデン氏の自宅ガレージで追加調査を行ったところ、「私的な書類や政治関連の書類が見つかり、その中に機密扱いの表示があるオバマ政権時代の記録が少量含まれていた」と説明した。

弁護士らはデラウェア州リホボスビーチにあるバイデン氏の別荘も調べたが、新たな文書は見つからなかったという。

【私の論評】機密文書とペンシルベニア大学に対する中国の巨額寄付との関連性が実証されれば、バイデンにとって大打撃(゚д゚)!

トランプ前大領領は、バイデン大統領が副大統領を務めた後に使用していた事務所に、機密の可能性のある文書を置いていたことが9日に明らかになったことについて、全力でやり返していいます。

トランプは、フロリダに移転した際にホワイトハウスの機密文書を持ち出したかどうかについて、連邦捜査の対象となっていますが、ソーシャルメディアで疑問を呈しました。「なぜ『司法』省は、(2020年)選挙前に事務所で見つかった極秘文書を発表しなかったのか?」

公表していれば共和党は上下両院選挙で圧勝したはずだと言いたいのでしょう。事実そうなった可能性は十分あります。

バイデンの弁護士は2022年11月2日―11月の中間選挙の6日前―に、事務所内で機密マークのある政府文書を発見していたことを政府弁護士に告知しました。

文書はワシントンD.C.のシンクタンク、ペン・バイデン・センター内にありました。

ペン・バイデン・センター

センターの運営者であるペンシルベニア大学は、2020年当時過去2年、中国から6100万ドルという巨額な献金を得ているとされていました。 倫理を監視するNPO団体・国家法律政策センター(National Legal and Policy Center、NLPC)は2020年5月21日、教育省へ文書を提出したと発表しました。NLPCは、バイデン・センターが過去3年間で「中国から受け取っている7000万ドル以上の資金のうち、2200万ドルは匿名」であり、情報の開示と全面的な調査を要求しています。

米高等教育法によると、米国の大学は外国から25万ドルを超える寄付金を受け取った場合、政府に報告することが義務付けられています。NLPCの文書は司法省に照会し、大学がこの義務を果たしているかどうか調査を求めています。

米トランプ政権は当時、中国から寄付を受け取る国内大学や教授に厳しく対処していました。中国共産党は、米国の技術および知的財産を入手するため、厚遇で研究者を招き入れていました。

当時、米国教育省は、外国からの寄付の報告を怠ったとして、ハーバード大学とイェール大学の調査を開始した。ハーバード大学の化学およびケミカルバイオロジー学部のチャールズ・リーバー学部長は、中国の「千人計画」に参加していたことを報告しなかったとして、逮捕されました。

チャールズ・リーバー

同センター発足時の事務局長、アントニー・ブリンケン氏は現在の国務長官。 

その後事務局長になったスティーブ・リチェッティ氏は大統領顧問、マイケル・カーペンター氏は欧州安全保障協力機構(OSCE)米国代表にそれぞれなり、上級研究員だったコリン・カール氏は国防副長官、ジェフリー・プレスコット氏は国連次席大使にそれぞれ就任しています。 

まさにバイデン政権における外交安全保障担当高官になる人材の巣窟といったところです。 

さらに母体であるペンシルべニア大学からは学長のエイミー・ガットマン氏が駐ドイツ大使に抜擢されています。 

米司法省はこのところ米主要大学で活発になっている中国人学者や学生によるスパイ活動監視を強化しており、ペンシルベニア大学も調査対象になっています。 

今回ペン・バイデン・センターのバイデン事務所に保管されていた機密文書とペンシルベニア大学に対する中国の巨額の寄付との間に全く関連性がないとは言い切れないです。議会も司法府もこの際、同センターの実態を徹底的に調査すべきです。

トランプ、また他の共和党員などは長年にわたり、バイデン家の海外商取引とその結果が米国民に及ぼす重大な結果について懸念を提起していました。

バイデン大統領孫のナオミ・バイデンの結婚式をホワイトハウスで挙行したバイデン家

またトランプは自信のSNSである、Truth Socialにこう書いています。「うわぁ、バイデンのシンクタンクは中国の資金提供を受けている!!!バイデン・シンクが中国から受け取った額は5400万ドルだった。それは大金だ。機密文書も見つかっている」

バイデンは昨年CBSの「60ミニッツ」のインタビューで、FBIが機密の可能性のある文書を取り戻すために、トランプのフロリダ州のマーアラゴ住居を家宅捜索した後、前大統領の行動は「全く無責任」だと述べ、「一体どうしてそんなことが起こり得るのか?」と疑問を呈していました。

バイデン政権のホワイトハウスは、トランプの機密文書問題でも関わりのあった国立公文書館の要求で、司法省の捜査に協力していることを認めています。

機密文書自体に関しては、トランプがそうであったように、バイデンにとってはさほどのダメージならないかもしれませんが、機密文書とペンシルベニア大学に対する中国の巨額の寄付との間に全く関連性がないとは言い切れないです。もし、関連性が明らかにされれば、バイデンにとっても民主党にとっても大ダメージになる可能性はあります。

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2022年8月27日土曜日

日テレ「24時間テレビ」に旧統一教会信徒が募金、ボランティア 連日追求『ミヤネ屋』MCの宮根誠司は〝反省〟「われわれも自己点検していかなければいけない」―【私の論評】現在の宗教問題の本質は、宗教法人は寄附金控除の対象ではなく、寄附金額の縛りもないこと(゚д゚)!

日テレ「24時間テレビ」に旧統一教会信徒が募金、ボランティア 連日追求『ミヤネ屋』MCの宮根誠司は〝反省〟「われわれも自己点検していかなければいけない」


 今年も27、28日に放送される日本テレビ系の名物番組「24時間テレビ」をめぐり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、教団のサイト上で、「信徒がボランティアスタッフとして7年間参加していた」と発表。変更前の正式名称「世界基督教統一神霊協会」の名前が番組のテロップに映っているとしたテレビ画面の画像も掲示した。日本テレビは、画像は系列局のものだとしたうえで、「ボランティアの思想・信条は確認しない」とした。

■きょうから放送

 教団は25日、24時間テレビで女性信徒がボランティアスタッフとして7年間、番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活躍していたと公表。「七尾市/世界基督教統一神霊協会能登教会」とテロップに映し出された2014年の放送分とされるテレビ画面の画像も添付した。


 教団広報部は「能登教会の名義で24時間テレビに募金させていただいている経緯があって、個人の信者様もボランティアスタッフとして貢献したいという旨で参加していた」と説明。女性信徒については「長年やっておられて、番組側としても信頼がおけるからこういった役割を任せられるようになっていた」と話した。

 21日には「過熱報道」によって被害を受けているとして、各報道機関との関わりを調査し、公表すると発表していた。

 日本テレビは26日、リリースを公表、教団名のテロップについて《この画像は、弊社系列のテレビ金沢が2014年7月27日にローカルエリアで放送したものと、テレビ金沢から報告を受けています。2014年の弊社「24時間テレビ」の中で放送されたものではなく、全国放送はされていません》とした。

 《「24時間テレビ」では、番組の趣旨に賛同していただける方にボランティアとして参加していただいております。一般的に、参加される方の個人的な思想・信条について確認することはいたしません》ともしている。

■CM一部で10回

 テレビ金沢は、テロップはボランティア団体の紹介ではなくCMの一部で、14年7月26日から31日に計10回放送したと明らかにした。

 旧統一教会問題を連日報じている日テレ系情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」の26日の放送で、MCの宮根誠司(59)が、個人の考えと前置きし、「われわれも関係がひょっとしたら分からないうちに、あったのかなかったのか」「政治家の方ばかり責め立てるのではなく、われわれも自己点検をしていかなければいけないなとは思いますね」と語った。

【私の論評】現在の日本の宗教問題の本質は、宗教法人に対する寄付は控除の対象ではなく、寄付金額の縛りすらもないこと(゚д゚)!

日テレが、24時間テレビを放映すること自体には特に問題はないと思います。先日もこのブログで示したように、そもそも日本国憲法では、憲法 20 条で「信教の自由」は認められています。ただ、一方で日テレが統一教会問題で自民党や議員を批判する報道をするのは、二重基準といわれても致し方ないとも思います。

以前このブログでも述べたように、伝統的な法学の世界で使われる「政教分離」という用語は、英語では「Separation of Church and State」と表現され、文字どおり「教会と国家の分離」を意味します。「政」は「政治」や「政党」ではなく「国家」なのです。国家が国教などを定めることや、国家が特定の宗教を支持したり、保護したりすることを禁じるものです。

国家に対して〝宗教への国家の中立性〟を求めるものであって、国民に対して〝宗教者の政治参加〟を禁じたものではありません。詳細は当該記事をご覧いただものとして、結果として、創価学会のような、宗教団体が政治に関与することも、ましてや、旧統一教会のような宗教団体が選挙運動の応援をすることも違憲ではありません。

国およびその機関が宗教に介入・関与するのがいけないのであって、政治家が宗教と関係を持つことまで禁止していないのです。

違憲ではないのですから、無論それを取り締まる法律など存在しませんし、存在すれば大変なことです。なぜなら、特定の宗教の信者を、信者であるからという理由だけで、排除すれば、それは明確な憲法違反になるからです。

とはいうものの、その関係性について、懸念を持たれることは政治家として避けたほうが良いでしょう。ただし、選挙運動員を募集するときに、「統一教会」などの所属するかを聞くわけもいかないわけですから、これは仕方ないとしか言いようがありません。

これは、政治の世界だけではなく、民間企業などの民間組織でも同じことです。特定の宗教の信者だからといって、面接等でこれを排除すれば、これは人権侵害であって、違憲です。

とはいいながら、なにやら上記のことだけでは、もやもや感が拭い去ることはできません。なぜなのでしょう。やはり、この問題の本質が見えないからでしょう。

以下をご覧になれば、もやもや感は幾分なりとも解消すると思います。ぜひ最後までご覧になってください。

最近テレヒなどで報道される旧統一教会は、50年以上昔のことですが、旧統一教会系の政治団体「国際勝共連合」が創設され、反共産主義団体として知られていました。

その後、1980年代には旧統一教会の霊感商法が社会問題化した、むしろ問題はこれでした。

ただ、霊感商法に関してはここ数年でかなりの前進がありました。安倍政権だった頃の、2016年10月から、いわゆる「消費者裁判手続特例法」が施行されました。それまで、消費者が企業(事業者)から何らかの財産的被害を受けた場合、自らその被害回復を図るためには、自力で事業者を相手に交渉するか、訴訟を提起する必要がありました。

しかし、消費者契約に関する共通の原因により相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を図ることを目的として、本法が制定されました。いわゆる日本版クラスアクションです。これには、霊感商法の被害も含まれます。

さらに、19年6月から、消費者契約法改正が施行されました。その結果、霊感等による知見を用いた告知により締結された消費者契約の取り消しができるようになったのです。

このような消費者被害の救済について、それまでは公序良俗違反による無効(民法90条)や不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)といった一般的な規定に委ねられていたのですが、これらの規定は要件が抽象的でしたので、どのような場合に適用されるかが、消費者にとって必ずしも明確ではない部分がありました。

消費者契約法改正により、霊感商法は取り消せるとなったので、かなり対応は楽になりました。消費者裁判手続特例法も消費者契約法改正もともに第2次安倍晋三政権での成果です。消費者契約法を厳格に適用すれば、霊感商法は成り立たなくなります。

今や残る問題は霊感商法ではなく、宗教団体が受け入れる多額の寄付金だといえます。

寄付金には様々な課題があります。

宗教団体の中には「宗教法人」として法人格をもつものがあります。宗教法人が受け取ったお布施やお賽銭には税金がかかりません。

宗教法人とは、宗教法人法により法人となった宗教団体をいいます。宗教団体のすべてが法人格をもつわけではありません。宗教活動自体は、個人でも可能です。ただし、同じ信仰を持つ個人があつまり、集団が形成されると個人の物とは区別された共有財産が発生し、管理・運営しなくてはならなくなります。そこで、個人とは別個の法人格が必要となります。この維持管理を目的としたのが宗教法人です。

そうして、宗教法人というと、どのくらいの数があるかということも知っておくべきです。

すごい数です。これでは、政治家が敵に回したくない相手であることも良く理解できます。信者数も日本の総人口を上回っています(図表2)。

個人のより集まりに過ぎない宗教団体が受け取ったお布施などについては、宗教法人法の適用がないのて、税法的には、PTAや同窓会と同じく「人格のない社団等」として、株式会社や合同会社といった普通法人と同様の存在とみなされ、お布施などの寄附についても「受贈益」として法人税が課税されます。

ただし、宗教法人を設立する場合、以下の要件をクリアしなくてはならないのです。
1.礼拝の施設その他の財産を有していること
2.布教活動をしていること
3.日頃から儀式行事を行っていること
4.信者を教化育成すること
一見単純ですが、各要件の現実的な運用は厳格です。1.は自宅でやっていればいいというものではなく、境内建物などのように公開性を有していなくてはならなりません。2から4については、宗教法人の実態の証明が必要です。

そのため、設立申請時には、設立以前からの活動実績報告(3年が目安)や所轄庁認証された規則、信者名簿などといった、宗教法人の健全な実態を証する書類を提出しなくてはならなのです。そうして認可そのものは実際3年程度かかることが多いです。宗教法人になるためには、このようなハードルを乗り越えなければならないのです。

設立・維持に関する義務への労力がクリアし、税金は免れたとしても、日常の維持管理費は避けらません。つまり、宗教法人であれ、支出がある以上、収入は不可欠です。

しかし宗教法人は、普通法人よりもお金を稼ぐための活動が制限されます。普通法人は営利活動、つまり稼ぐ行為それ自体が目的ですが、宗教法人はあくまで宗教が目的だからです。

そのため、宗教法人が収益事業を行えば、その部分には課税されます。収益事業とは以下の業種です。


そのため、宗教法人の主な収入は檀家や氏子からのお布施や寄附など、多くが他人依存的なものに限定されます。今の宗教法人の大変さのひとつは、この限定的な本来事業による収入が年々減少してきていることです。理由は、檀家や氏子といった支援組織の衰退・解散にあります。

この大変さは、「世界基督教統一神霊協会」も例外ではありません。このことが、宗教法人が高額の寄付金を信者に求める原因の一つなっていることは否めないです。霊感商法も、現在では根拠法ができ、取締が厳しくなってきたので、できなくなりましたが、根拠法がなかったときに横行していた背景にはこのようなことがあったと考えられます。

この問題を解決するには、まずは寄付金控除を宗教法人にも適用すべきです。現在の日本では、寄付金控除という制度はあるものの、それはNPO 法人などに寄付した場合寄付者に適用されるものです。残念ながら宗教法人には適用されていません。

お寺などの宗教法人への寄付の場合、その寄付が財務大臣の指定を受けたものであり、「特定寄付金」に該当する場合は、寄付金控除の対象になりますが、それ以外の場合は寄付金控除の対象となりません。ですから、ほとんどの宗教法人に寄付したとしても控除の対象にはならないのです。

この制度が宗教法人にも適用されれば、お金持ちなど自発的に、寄付する人が増えるでしょう。寄付といえば、私の叔父は住職と友人関係にあった寺に多額の寄付をしていました。寺の改修を賄えるくらいの金額だったと記憶しています。当時は税制上の優遇措置もあまりなかったと記憶しています。

なぜそのようなことをしたのか、子供の頃は理解できませんでしたが、いまになって思えば、叔父はいわゆる町の名士と呼ばれるような人で、かなり裕福でしたので、きっと町や町民に利益を還元するという意味合いで多額の寄付をしたのだと思います。もし、税制上の優遇措置があれば、叔父以外にももっと多くの人が寄付していたと思います。

宗教法人に寄付して、税制上の優遇措置があれば、今よりも自発的に寄付する人も増えると思います。米国では、慈善行為を尊重する歴史的、文化的な背景により、拭き金に対する税控除の範囲が広く設定され、控除限度額も日本より高いです。公益目的の寄付金は、法人の種類によって所得の30%もしくは50%を限度として認められます。

米国では古くから寄付金文化が根付いてきたこともあって、寄付に関しても様々なブログラムがあります。

米国における寄付の相当部分は個人(87%)により賄われており、寄付金の配分先としては宗教団体が31%で最も多く、次が教育機関(15.5%)、社会福祉団体(12.4%)、財団(10.6%)の順でした。

米国の寄付文化の特徴としては、計画寄付(planned giving)が普遍的に実施されていることや多様な寄付プログラムが存在していることが挙げられます。

計画寄付には、寄付者助言基金、遺贈、寄付年金、合同所得基金、慈善残余信託、慈善先行信託、個人財団などのプログラムがあります。

寄付年金は、寄付者が現金や資産を社会団体などに寄付すると、寄付した現金や資産の所有権は社会団体や財団に移転されるのですが、寄付された社会団体や財団から、寄付者あるいは寄付者が指定した受給者に対して、生存中は一定額の年金が受け取れます。寄付と引きかえに終身年金を受け取る権利が得られる仕組みです。

以上については、以下のリンクに詳細が記されています。興味のある方は、こちらを参照願います。
米国における501(C)(3)団体に係る寄付金税制の概要
公益法人制度の国際比較概略
アメリカにおける寄付や寄付年金の現状―どうしてアメリカ人は巨額の寄付をするのか?―

このような仕組みがあれば、資産を持っていても、収入が少ないとかか年金以外の収入がない寄付者が多額の寄付をしたとしても、寄付後にも生活などが成り立つわけです。

日本でもすみやかにこのような制度をとりいれるべきです。無論寄付金文化が根付いていない日本で、これをすべてすぐに実行するのは無理だとは思いますが、それにしても、宗教法人に寄付をすれば、寄付者が税金の控除されるとか、あるいは計画年金ブログラムが根付くまでの間の経過措置として、寄付金額の上限を年収の 10%以内にするなどの措置はすぐにできると思います。

こうすれば、資産は持っているものの、収入のない宗教法人の信者が法外な寄付金を寄付するというようなことを防ぐことができると思います。

私は、これを実行するのに最大の障害となっているのはおそらく財務省だと思います。

日本の場合欧米に比較すると、NPOをはじめとする、公共政策はお粗末です。そもそも、日本には寄付金の文化がなく、それを阻止しているのは、財政民主主義を建前とする財務省でしょう。

財政民主主義の立場から、なぜか宗教法人への寄付に税制上の優遇措置を設けず、さらに寄付金の縛りもつけないがために、ブラック宗教法人が信者に法外な寄付金を収めさせることを放置しているとすれば、これは全く本末転倒と言わざるを得ません。

彼らは、大勢の金持ちが多額の寄付をすることは、財政民主主義の立場からすれば良くないと考えているようで。宗教法人に対する寄付を解禁すれば、宗教法人の数の多さから、税収が減ることを嫌がっているのかもしれません。

ただ、宗教法人とはいっても大きい法人の数はわずかであり、他のほとんどは小規模な法人です。しかも、そこに寄付金額の縛りのある個人が寄付したからといって、いくら寄付者が多くなったとしても、国の財政を脅かすような深刻な事態になることにはなりません。

それに、日本の法人税法上、実は昭和25(1950)年まで公益法人( 税制上の分類では宗教法人も含まれる)はまったく非課税だったのです。その中心的理由としてよくいわれてきたのが、①公益法人は専ら公益を目的として設立され、営利を目的としないというその公益性と、②たとえ収益事業を行ったとしても、それから生じる利益は特定の個人に帰属する性格のものでない、ということでした。

①は、換言すると、公益法人が本来国や自治体が行うべき教育や福祉などの公益的活動を行い、そのことによって国等は本来支出すべき歳出を軽減できる、ということです。公益法人の活動によって、国や自治体が十分にまかなえない公益サービスが提供され、本来国等が負担すべき財政支出が軽減されるのなら、そのような団体に課税せずに、むしろ公益的活動の増進と歳出の軽減を図る方がいい、ということです。

 特に、地域に密着した公益法人は、国や地方自治体にはにはできない地域に密着した公益サービスができます。実際、欧米ではNPOや宗教法人などが、様々な社会貢献活動を行っています。ここでは、詳細は説明しませんが、日本ではとうてい考えられはないような巨大なブロジェクト、たとえば低所得者層の住宅と雇用のための包括プログラムを実行したりしています。

そうして、このような仕組みが古くから根付いている欧米では、優秀な大学や大学院を卒業した将来有望な学生が、宗教法人を含む公益法人に就職することは珍しいことではありません。あるいは、優秀な民間営利企業の経営者が、公益法人の経営者に転身することも珍しくはありません。日本では、考えられないことです。

日本では、宗教法人の衰退に象徴されるように、公益法人が社会に貢献する力は大きくありません。江戸時代には、寺子屋などが、大きな役割を担ってきたことをもう一度思い起こすべきです。それに、道徳とか公共の利益に関わることなど、宗教法人を含む公益法人のほうが、国や地方自治体よりはるかにやりやすいはずです。

私など、子どもの頃お寺で、「地獄図絵」を見せられ、悪いことするとこういうところに堕ちると言われたことは今でも鮮明に覚えています。なぜか、ミッション系の幼稚園に入学し、そこで聴いた、イエス・キリストの自己犠牲の極地ともいえるシスターの話も鮮明に覚えています。

今の日本社会では、勉強して良い大学にいき、良い会社に行くことばかりが強調され、このような道徳心などの教育がおざなりにされ過ぎていると思います。また、政府や自治体の支援など、帯に短し襷に長しであり、公益法人の活動があまり活発ではないため、放置されている社会問題も数多く存在します。そのためでしょうか、なにやら社会が殺伐とした雰囲気になっているところはあることは否めないと思います。

しかし、現在の日本では、良い傾向もみられます。最近ではクラウドファンディングなどで、寄付金文化が根付きつつあります。

一部の富裕層が寄付するだけではなく、多くの人が寄付するようになれば、まともな公益法人には寄付金が集まりやすくなり、より社会貢献がしやすくなり、ブラックな法人には寄付金が集まらず、それでも無理をして寄付金を集めようとすれば、法律違反となりいずれ淘汰されることになります。

宗教法人の扱いは、微妙なところがあります。特定の宗教を排除するということになれば、明らかな憲法違反です。以上のようなやり方で、社会に貢献する宗教法人は栄え、ブラックな公益法人は衰退し淘汰されるというような方法が最善だと思います。

宗教の問題ということになると、日本では上記のようなことが議論されず、全く不毛な論議で時間が無駄になるばかりです。政治家も、マスコミもそうして私達もまともな論議をすべきです。そのためには、少なくとも上記のような知識が必要不可欠です。

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2021年7月22日木曜日

被災中に抗日ドラマ 中国の水害、当局対応に批判相次ぐ―【私の論評】中国は全体主義体制をやめない限り、あらゆる矛盾、非合理・非効率なことが多数発生し徐々に衰退する(゚д゚)!

被災中に抗日ドラマ 中国の水害、当局対応に批判相次ぐ



中国河南省鄭州市で21日、排水作業を行う消防隊員=新華社

 中国河南省の豪雨による水害で、省政府は22日、計33人が死亡、8人が行方不明になっていると発表した。被災者は約300万人にのぼるという。中国のネット上では、地元当局やメディアの注意喚起や情報公開の遅れが被害を拡大させたとする批判が出始めている。

  20日夜に浸水した地下鉄で逃げ遅れた12人が死亡した鄭州市。気象台が前日には最高レベルの警報を出していたのにもかかわらず、市政府が出勤停止など具体的な注意喚起をしなかったことに、SNSで疑問の声が出た。

  市内の地下鉄に雨水が流れ込み始めたのは20日午後6時ごろで、被災した乗客には帰宅を急ぐ人びとも。地下鉄の運転停止の判断の遅れを指摘する意見も書き込まれた。さらに、市内のダムが20日午前には放水を始めていたのに、翌日未明になってようやく市がSNSで公表したことにも「情報隠しだ」という声が上がっている。 

 メディアも問われた。被害が出ていた20日夜、省政府系の地元テレビ局は「抗日ドラマ」を放送を続けていた。これに対し、「少しでも人間性があるなら、災害対策情報を放送すべきだ」などと投稿された。

  共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は17日、すでに100人超が犠牲になっていたドイツの洪水について「西側諸国の統治レベルに対する信頼感が揺らぐ」などとSNSに投稿。一方、河南省の水害に対しては「極端な天気で水害は避けようがない」と当局をかばうような発信をした。 

 こうした発言に「憎まれ口をはやめろ」などと批判が殺到。胡氏は21日、「犠牲が避けられるはずだったという疑問は理解できる」とSNSで弁解した。(北京=高田正幸)

【私の論評】中国は全体主義体制をやめない限り、あらゆる矛盾、非合理・非効率に見舞われ徐々に衰退する(゚д゚)!

中国の水害では、他にも奇妙な出来事がありました。それを伝えるツイートを以下に掲載します。


本当に異様な風景です。これは、全体主義の象徴です。なお、この散水車は、普段から評判が悪いです。あまりに水圧が高すぎて、確かに道路の清掃はしやすいのでしょうが、バイクをなぎ倒したりします。これもかなり異様です。



では、全体主義ではどうしてこのような不可思議なことが起こってしまうのでしょうか。

ドラッカー氏は、政府の役割について、以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないと喝破しました。「統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い」というのです。

しかし、ここで企業の経験が役に立ちます。企業は、これまでほぼ半世紀にわたって、統治と実行の両立に取り組んできました。その結果、両者は分離しなければならないということを知りました。現在の上場企業等は、両者が分離されているのが普通です。たとえば、財務部と経理部は分離されているのが普通です。

企業において、統治と実行の分離は、トップマネジメントの弱体化を意味するものではありませんでした。その意図は、トップマネジメントを強化することにありました。

実行は現場ごとの目的の下にそれぞれの現場に任せ、トップが決定と方向付けに専念できるようにします。この企業で得られた原則を国に適用するなら、実行の任に当たる者は、政府以外の組織でなければならないことになります。

政府の仕事について、これほど簡単な原則はありません。しかし、これは、これまでの政治理論の下に政府が行ってきた仕事とは大いに異なります。

これまでの理論では、政府は唯一無二の絶対の存在でした。しかも、社会の外の存在でした。ところが、この原則の下においては、政府は社会の中の存在とならなければならないのです。ただし、中心的な存在とならなければならないのです。

おまけに今日では、不得手な実行を政府に任せられるほどの財政的な余裕はありません。時間の余裕も人手の余裕もありません。それは、日本も同じことです。
この300年間、政治理論と社会理論は分離されてきた。しかしここで、この半世紀に組織について学んだことを、政府と社会に適用することになれば、この二つの理論が再び合体する。一方において、企業、大学、病院など非政府の組織が、成果を上げるための機関となる。他方において、政府が、社会の諸目的を決定するための機関となる。そして多様な組織の指揮者となる。(『断絶の時代』)
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことなのですから、日本でいえば、最終的には各省庁の仕事は政府の外に置かなければならないのです。

これは、現代の民主国家に対してドラッカー氏が述べていることです。残念ながら、日本をはじめとする多くの先進国がドラッカー氏の主張するような構造にはなっていません。

ただし、欧米諸国では、日本よりは政府の仕事がはるかに政府外に出されています。特に、社会福祉や社会事業に関する実務は、NPOなどが行っている度合いがかなり高いです。

日本では、NPOなどというと、一般の人たちには、今でも奇特な人たちが、手弁当で集まって行う高邁な事業のように認識されていますが、西欧ではそのような考え方はありません。有名大学や有名大学院を卒業した優秀な人が、NPOに就職することも珍しくありません。欧米では、NPOは立派な就職先であり、有力NPOに就職することは名誉なことでもあります。

なぜ、そのようなことになるかといえば、欧米では寄付金制度が充実しているからです。日本は、財務省のいう似非財政民主主義とも呼べるような屁理屈で、寄付金制度が充実していません。このあたりは、このブログを書き始めた10年前ほどには良くこのブロクでもとりあげたのですが、本日はこれを述べると、長くなってしまい本題からずれてしまうので、ここには述べません。

ただ、寄付金制度が進んだ欧米では、NPOは決して奇特な人たちが行う手弁当の事業ではなく、本格的なビジネスになっています。米国では各地の多くのNPOに、銀行や建築業者等も入っていて、大掛かりに貧困者向け住宅の提供だけではなく、貧困者が自立して生活できるようにする包括的ブログラムを実行したりしています。このあたりは、NPOが貧弱な日本でも考えも及ばないかもしれません。

9万ヶ所の公園を生み出す!公園から地域づくりを目指す米国NPO法人『カブーム!』

ただし、寄付金制度が遅れたままで、NPOが未だ貧弱な日本でも、中国と比較すれば、はるかに多くの事業が政府の外に出されています。各省庁にも外郭団体などがあったり、最近では、様々なIT企業などに、関係省庁が仕事を依頼していることは、皆さんもご存知だと思います。さらに、各省庁は正職員だけではなく、臨時のスタッフも多いです。

しかし、現状では、日本をはじめとする先進国の政府が行う事業は、あまり評判が良いとはいえません。政府が直接・間接にでも、現場の仕事に関わると、非効率、非能率が常となるのです。やはり、本来はドラッカーの言う通り、政府がすべきは、統治であり、それ以外は政府の外に出すべきなのです。

先進国でも、このあたりは中途半端なのですが、中国においては中国共産党政府があらゆることに直接関わっています。そのためもあって、中国では民主化はおろか、政治と経済の分離、法治国家化もできていません。中国共産党は、そもそも最初から統治と実行を両立させようしているので、統治の能力が完全に麻痺してしまうのです。

この状態は現在の体制が続く限り改善されることはありません。全体主義体制をやめない限りこれからも、ありとあらゆる矛盾や非合理・非効率なことが多数発生し、徐々に衰退していく以外ないのです。

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