中国で都市封鎖により閉鎖された市場(11日、吉林省長春市) |
国家衛生健康委員会の13日発表によると、香港・マカオを除く中国本土の新規感染者(無症状・海外からの訪問者を含む)は12日、合計3393人となった。データを遡れる2020年3月末以降、1日の感染者数として最も多い。
東北部にある長春市の防疫当局は11日、全地域で不要不急の外出を禁止したと発表した。スーパーや薬局などを除く店舗や学校は休みとなる。バスやタクシー、地下鉄の運行も止まった。
重要企業などを除き、すべての企業活動を停止する。住友商事の長春事務所は「政府の指導に従って原則的に在宅勤務にする」(広報部)とした。
トヨタ自動車は合弁会社を通じて長春で乗用車の工場を運営し、多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」を生産している。広報担当者は12日に「工場は稼働している。政府の指示に従って対応する」とコメントした。
上海市政府は12日、必要な場合を除いて上海から出ないよう市民に呼びかけた。同市を離れたり訪れたりする人には48時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の持参を義務付けた。上海市は12日から、市内の小中学校と幼稚園、塾などで対面式の授業を止め、オンラインに切り替えると発表した。
東北部の吉林市、東部の青島市、南部の深圳市や東莞市、天津市や北京市など広範囲で感染が広がった。感染者が増えた地域では大規模なPCR検査や移動制限を展開している。吉林省政府は12日、感染拡大の責任を問い、吉林市長の解任を発表した。
国務院(政府)は感染対策を強化している。11日、従来のPCR検査に加え、抗原検査を試験的に併用するよう各地方政府に通知したと発表した。陽性患者などを「早期に見つけ出す能力を高める」狙いという。
吉林省吉林市では大学で集団感染が起きたそうです。香港メディアによれば、所属する学生の告発から、大学当局が発熱した学生に解熱剤を与え、新規感染の情報を 隠蔽しようとしたとの疑惑も出ています。当局は12日、市長の免職を発表しました。感染拡大を許した責任を厳しく問い、全国の防疫担当者の引き締めを図る狙いとみられます。
中国本土の市中感染者は6日連続で500人を超え、11日の新規感染者は31の省・直轄市・自治区のうち20に及んでいます。
上海日本人学校の虹橋校は13日、原則全児童を対象にした異例のPCR検査を実施。学校前は日曜日にもかかわらず送迎の保護者らであふれた。(共同)中国政府は北京冬季五輪・パラリンピックの開催などに向け、感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ政策」を進めてきましたが、ほころびが出た形です。
世界「10大リスク」1位は中国の「ゼロコロナ政策」失敗…各国の政情不安定化も―【私の論評】今年最大の地政学的リスクは、中国の対外関係ではなく国内問題(゚д゚)!
米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日、2022年の世界の「10大リスク」を発表した。1位に「No zero Covid」(ゼロコロナ政策の失敗)を挙げた。中国が新型コロナウイルスの変異型を完全に封じ込められず、経済の混乱が世界に広がる可能性を指摘した。
国際政治学者のイアン・ブレマー氏(ユーラシア・グループ社長)は2月24日、ロイターのインタビューに応じ、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は地政学的に極めて重要な出来事であり「第2次冷戦」の幕開けであると述べました。報告書は冒頭で、米中という2つの大国がそれぞれの内政事情から内向き志向を一段と強めると予測。戦争の可能性は低下する一方で、世界の課題対処への指導力や協調の欠如につながると指摘した。
国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる同社は年頭に政治や経済に大きな影響を与えそうな事象を予測している。21年の首位にはバイデン米大統領を意味する「第46代」を選び、米国民の半数が大統領選の結果を非合法とみなす状況に警鐘を鳴らした。予測公表の2日後、トランプ前大統領の支持者らが選挙結果を覆そうと米連邦議会議事堂に乱入した。
22年のトップリスクには新型コロナとの戦いを挙げた。先進国はワクチン接種や治療薬の普及でパンデミック(感染大流行)の終わりが見えてくる一方、中国はそこに到達できないと予想する。中国政府は「ゼロコロナ」政策を志向するが、感染力の強い変異型に対して、効果の低い国産ワクチンでは太刀打ちできないとみる。ロックダウン(都市封鎖)によって経済の混乱が世界に広がりかねないと指摘する。先進国はワクチンの追加接種(ブースター接種)を進めている。ブースター需要が世界的なワクチンの普及を妨げ、格差を生み出す。ユーラシア・グループは「発展途上国が最も大きな打撃を受け、現職の政治家が国民の怒りの矛先を向けられる」と指摘し、貧困国はさらなる負債を抱えると警告する。
イアン・ブレマー氏 |
世界のほとんどの国ではこの2年間コロナの猛威にさらされ耐えてきました。「ウイズコロナ」政策の元、多くの感染者を出し、多くの国、特に先進国では国民の8割程度がワクチンを2回以上接種しました。発症していない感染者も相当数いるでしょう。ユーラシア・グループ イアン・ブレマー社長 私たちはこのことについて一生語り続けることになる。これはベルリンの壁崩壊やソ連が崩壊して以来、地政学的に最も重要な出来事だ。世界的に見れば、これは世界秩序における重大な転換点であり、新しい冷戦の誕生だ。グローバリゼーションのあり方を大きく変えるものであり、とても大きな大きなインパクトがある。米国と同盟国、そしてロシアとの間の第2次冷戦の始まりだ。ある意味で、この新しい冷戦はかつての冷戦ほど深刻ではない。なぜなら、ロシアの経済規模はテキサスよりも小さく、現在のロシアは中南米やアジア、アフリカとは無関係だからだ。ソ連との冷戦は世界的なものだった。しかし、ある意味では第1次冷戦よりも危険だ。なぜなら、意図しない緊張激化を防ぐための『ガードレール』を構築するための制度的な仕組みがあまり整っていないからだ。またロシアは、特にサイバー攻撃や偽情報戦など、ある意味で実際の戦争を誘発しかねない手段を持っているからだ。第3次世界大戦になるとは言わないが、米国、NATO(北大西洋条約機構)、ロシアが直接対立することになり、その対立は大変危険なものになる可能性がある。われわれはそれを理解しなければならない。<プーチン氏の狙いは何か> (侵攻によって)何万人ものウクライナ人が命を落とすだろう。ウクライナ政府は亡命を余儀なくされるか、逮捕あるいは処刑されるだろう。それこそが、いまここで私たちが話していることなのだ。プーチン氏は自分の意思を強制するために権力を使い、欧州における既存の安全保障体制を打破するために無理やり勢力圏を作ろうとしている。それこそが、彼がやろうとしていることだ。つまり、彼がついたウソは驚くべきものでバイデン米大統領に直接、シュルツ独首相に直接、マクロン仏大統領に直接、侵攻の意図はなく部隊は撤収しているとウソをつきまくったのだ。だが、この1カ月間で私たちが見た唯一の「緊張緩和」とは、ロシア大統領がついたウソだけだった。彼らがやってきたことはすべてこの侵攻に向かっていた。完全に罪のない、ロシアと敵対したり、脅威となることは何一つしていないウクライナ政府を侵略するためだ。<中国はどう動く?> 中国は冷戦を望んではいない。中国は、欧州が中国とビジネスをしなくなるような、米国人が中国に投資するのがさらに難しくなるような戦いに巻き込まれることを望んでいない。中国にとってバランスを取るのは難しいだろう。だが現実には、中国は米国が自分たちをアジアに封じ込めようとしていると見ている。ロシアも、米国が自分たちを欧州に閉じ込めようとしていると見ており、結果的にそれが中ロ両国の距離を縮めている。<経済への影響は> おそらく先進工業国は今年のGDPが約1%ほど低下するだろう。ただそれは、さらなる大規模な情勢悪化がないと仮定した場合だ。この侵攻によって明らかに原油やガス価格は上昇している。サプライチェーンの面で大きな問題が発生するのは明らかだ。とりわけ黒海の港の混乱と、欧米が科すであろう制裁の影響だ。