2023年9月30日土曜日

米国務省「中国が宣言なき情報戦争」 工作活動を非難―【私の論評】日本は果敢な反撃で、中国の偽善と情報工作に対抗せよ(゚д゚)!

米国務省「中国が宣言なき情報戦争」 工作活動を非難

まとめ
  • 米国務省が中国の情報工作に関する報告書を公表。
  • 報告書は中国の情報抑圧を批判し、情報戦争の警鐘を鳴らす。
  • 中国とロシアがウクライナ侵攻において情報分野で協力し、相互に支援していると報告。
  • TikTokやWeChatなどの中国のデジタルプラットフォームも非難される。
  • 中国は新興国で情報制御の重要な役割を果たす可能性があり、AIを活用して経済や安保の決定に影響を与えるリスクがあると報告。

ブリンケン米国務長官

 米国務省が中国の情報工作活動に関する報告書を公表した。報告書は、中国が台湾、南シナ海、人権に関する情報を抑圧し、国際的な情報環境に影響を及ぼそうとしていると指摘し、宣言のない情報戦争が進行中であると警告した。

 報告書は、中国の情報工作が幅広い手法を駆使しており、各国が中国に従属する可能性があると警告している。また、中国とロシアがウクライナ侵攻について情報分野で協力しており、中国国営メディアがロシアの主張を拡散し、見返りにロシアが台湾など中国の宣伝活動を支援していると報告した。

 報告書は、中国の動画共有アプリ「TikTok」も非難し、中国政府がバイトダンスを通じて特定の個人を制限・阻止するよう指示していたことを指摘した。また、対話アプリ「微信」が中国系の人々に広く使われており、中国の主張を広め、批判する人々を沈黙させていると主張した。

 報告書は、中国が新興国で情報を制御する重要な役割を果たす可能性があり、人工知能(AI)の発展を活用して経済や安保の決定に影響を与えるリスクに触れている。しかし、中国の宣伝活動と検閲はまだ十分な成果を上げていないとも指摘し、中国が民主主義国を標的にすると地元メディアや市民社会から反発を受ける可能性があると述べている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】日本は果敢な反撃で、中国の偽善と情報工作に対抗せよ(゚д゚)!

まとめ
  • 日本が福島の処理水を放出した際の中国の批判には、中国自体の環境汚染や偽善との矛盾が多数存在している。
  • 中国の批判は経済的・政治的な目的を追求する情報工作の一環であり、日本は科学的根拠を持って対抗するべきだ。
  • 中国の環境問題や経済的不正行為に対する日本への攻撃は、国際社会での日本の存在感を高める絶好の機会であり、正義と正直さを貫く姿勢が重要であると強調。

報告書は中国の宣伝活動や検閲はまだ完全には成功していないと指摘しているそうですが。これは、以下のような多くの要因によるものと思われます。

西側民主主義諸国が、偽情報の探知と対策において洗練されてきており、一般市民の間で、中国の情報操作に対する認識が高まっています。

民主的手続きによって選挙が行われている国(青)2006年

一部の西側民主主義諸国において、中国の情報工作が地元メディアや市民社会からの反発に直面していることなどがあげられます。

日本では、現在進行形で、いわゆる「処理水」を中国が批判しています。しかし、日本が福島の処理水を放出したことに対する中国の批判には、以下のような矛盾があります。 

 中国は日本近海でサンマなどの漁を続け、国内で販売する際には「中国産」と偽っています。これは、放流水が環境や海洋生物に害を及ぼすという彼らの主張と矛盾します。

中国は多くの石炭火力発電所を運営しており、大気中や水中に水銀やヒ素などの汚染物質を排出し、福島の処理水よりもはるかに大きな被害をもたらしています。これは、日本が無責任に海を汚染しているという彼らの姿勢と矛盾します。

中国の石炭火力発電所

 中国は何十年もの間、未処理の廃棄物や汚水を川や海に捨て、自国の水路を汚染してきました。このことは、日本が福島の汚染水を浄化して海に放出したことが「汚染物質を海に投棄している」という彼らの主張と矛盾します。

 中国は日本よりも深刻で、制御不能な水質汚染と大気汚染を抱えています。日本に対する彼らの攻撃は空虚に聞こえますが、中国の環境汚染は深刻な事実です。これは中国の偽善を露呈しています。

 中国は南シナ海の島々や人工島の軍事化を続けており、環礁を破壊し、福島よりもはるかに大きな環境破壊を引き起こしています。しかし中国は、自国の破壊的行為については沈黙を守っています。

 中国は地下水を汚染する石炭採掘を続け、多くの国民に安全な飲料水を提供していません。それなのに、日本の汚染水放出は「公衆衛生」を脅かしていると主張しています。これは偽善の極みです。

中国の多くの工業地帯では、規制が緩く、環境保護に関する法令が不十分なため、大気中、水中、土壌中の放射線レベルが高いです。つまり、中国は自国の実績が乏しい以上、放射線リスクに対する恐怖を他国に輸出する立場にありません。

中国には、化学物質の流出から鉱山事故、汚染された食品や医薬品に至るまで、環境や公衆衛生の災害を隠蔽してきた長い歴史があります。そのため、中国は日本が福島原発について『秘密主義』だと主張するのは信憑性に欠けます。

中国が猛烈なペースで石炭火力発電所を建設し続けている一方で、日本は石炭火力発電所を段階的に廃止しています。稼働している火力発電所も、汚染物質の排出は、中国の発電所に比較してかなり低いです。火力発電所の汚染物質の排出は「処理水」よりもはるかに有害です。

 中国の3大河川である黄河、長江、真珠川は、中国の産業廃棄物によって世界で最も汚染された河川といえます。しかし中国は、福島の処理水が海洋生物を脅かしていると主張しています。これは明らかな虚偽です。

中国の不公正な貿易慣行と知的財産の窃盗は、長年にわたって日本経済を蝕んできました。中国の日本批判は、実際の環境問題よりも経済的優位を得ることを目的としているように見えます。

中国はCOVID-19の最初の発生を何週間も隠蔽し、世界の公衆衛生を脅かしました。このようなことを平気でする彼らに、日本の「処理水」放出を批判する資格があるのでしょうか。

さらに、中国は乾燥地帯で米や綿のような水を大量に使う作物を栽培し、地下水を枯渇させています。中国は自国の水資源を誤って管理しているにもかかわらず、福島原発における日本の水処理に関する専門知識を主張しているのです。

 日本に対する従来からの中国の積極的な軍拡、スパイ活動、サイバーハッキング等をみれば、彼らの意図は環境問題ではなく、他の意図があるとしか思えません。

 中国のチベット弾圧は結果として南アジアの河川を汚染しているのみならず、草原の砂漠化により、東アジア全域に砂塵汚染を広げています。しかし、中国は自ら引き起こしている深刻な環境汚染を無視しています。

中国のレアアース採掘は、放射能、汚染、健康問題を引き起こしています。しかし中国は、科学的に監視され、健康への影響が証明されていない日本による「処理水」放水に対して、道徳的に優位な立場にあると主張しています。矛盾と偽善は明らかです。以上の事実は、様々な公式資料が知り得る事実です。

中国の批判は、明らかに環境を配慮したものではなく、経済的・政治的に日本にダメージを与えることを意図しているように見えます。あるいは、国内の不満を日本を標的にしてこれに、逸らす目論見があるとみられます。これは、明らかに中国の情報工作活動といえます。

科学的根拠が乏しい内容で、日本を批判する中国に対して、日本は毅然と対処すべきですが、単に中国に科学的に正しい論拠をあげた上で厳しいことを言うだけではなく、二倍返し、三倍返しくらいすべきです。

中国が、普通の人なら誰にでもわかるような幼稚な根拠で日本を批判している現在こそ、日本が情報線で圧倒的に勝利を収める絶好の機会であるともいえます。

特に現状では、アジア太平洋地域の国々から中国に対する批判が高まっています。地図は中国自然資源省が8月28日に公表した「2023年版標準地図」。南シナ海のほぼ全域の領有を主張しており、九段線を台湾東部に拡大した十段線が記されています。また、ヒマラヤ地域では、中国が「南チベット」として領有権を主張するインド北東部のアルナチャルプラデシュ州も中国領として記載されました。

地図を巡ってフィリピンは31日の声明で「中国の主権を正当化しようとする試みで、何の根拠もない」と反発。南シナ海での中国の主権主張を退けた16年の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)裁定の順守を求めました。

ベトナムも31日に「ベトナムの海域に対する主権、管轄権を侵害している」との声明を発表し、台湾の外交部(外務省に相当)報道官は「(台湾は)絶対に中国の一部ではない」と批判しました。

マレーシアもボルネオ島(カリマンタン島)沖の自国の排他的経済水域(EEZ)と重なる水域を中国領にしていると非難し、インドは「国境問題の解決を複雑にするだけだ」と中国の姿勢に反発しました。

9月上旬にはインドネシアで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が、インドで20カ国・地域(G20)首脳会議が開催される。中国とASEANは南シナ海での紛争防止を目指す「行動規範」策定作業を進めているが、今回の領有権の主張は協議に影響を与えそうだ。

インドはG20議長国であり、会議直前の地図公開は円滑な議事進行の妨げとの受け止めが広がっている。印紙ヒンドゥスタン・タイムズ(電子版)は「インドを敵対国として扱い、圧力をかける狙いは明確だ」と批判しました。

我が国が困難な局面に立たされた際、日本が堂々と立ち向かい、二倍返し、三倍返しの対応を取れば、その影響は計り知れません。国際社会において、中国が根拠の薄弱な領土主張を行う国々は、日本の勇敢な姿勢を称賛することでしょう。

それに加え、米国が中国の「宣言なき情報戦争」を非難し、日本を支持する姿勢を見せることは確実です。他国も好意的な評価を示し、中国共産党は自国が日本を攻撃しても、大きな反発はないと高をくくっていたことを後悔することでしょう。

日本の行動は中国国内でも大きな反響を呼び、中共に対する不満が高まり、状況は予測不可能なものに発展するかもしれません。しかし、二倍返し、三倍返しの過程において、国際社会からの支持が高まり、国内でも政府への共感と評価が増すことでしょう。そして、国内では憲法改正の機運も高まるでしょう。

朝日新聞でさえも、中国が東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に反対していることを報じています。中国は処理水を「核汚染水」と非難し、放出中止と周辺国との協議を主張しています。このような状況において、政府は批判的な声明だけでなく、科学的根拠に基づいた反論を積極的に行い、広告やオンラインで情報を広めるべきです。

このために十分な予算を確保することは、日本の国際的な存在感を高め、経済的にも有益な投資となるでしょう。我々は、正義と正直さを貫き通す姿勢が、国際社会での日本の尊重と発展に繋がると信じます。

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2023年9月29日金曜日

台湾が初の自主建造潜水艦を披露 対中防衛を強化―【私の論評】台湾の技術力、潜水艦計画の光輝なる未来(゚д゚)!

台湾が初の自主建造潜水艦を披露 対中防衛を強化

まとめ
  • 台湾が初となる国産潜水艦を進水させた。
  • 台湾の潜水艦建造は、中国の軍事的圧力に対抗するための取り組みの一環である。
  • 台湾は、この潜水艦を中国の軍事作戦を妨害し、台湾の独立を守るための抑止力として活用する考えだ。
  • 中国は台湾の潜水艦建造を非難し、台湾海峡での軍事演習を繰り返して圧力を強めている。

台湾は2023年9月28日、初となる国産潜水艦「海鯤」を進水させた。これは、中国の軍事的圧力に対抗し、台湾の防衛力を強化するための取り組みの一環である。

「海鯤」は、台湾が自ら設計・建造した電気式ディーゼル潜水艦である。建造費は15億4000万ドル(約2300億円)で、2024年末に海軍に引き渡される予定。

台湾は、この潜水艦を中国の軍事作戦を妨害し、台湾の独立を守るための抑止力として活用する考えだ。

しかし、中国は台湾の潜水艦建造を「白昼夢」と非難しており、台湾海峡での軍事演習を繰り返して圧力を強めている。

台湾の潜水艦建造は、台湾と中国の緊張をさらに高める可能性がある。中国は、台湾の潜水艦が台湾海峡の制海権を脅かす可能性があると懸念している。

台湾は、潜水艦を保有することで、中国の軍事侵攻に対する抑止力を高めることができると考えている。しかし、中国の軍事力は台湾を圧倒しており、台湾の潜水艦が中国の侵攻を阻止できるかどうかは不確実である。

【私の論評】台湾の技術力、潜水艦計画の光輝なる未来(゚д゚)!

まとめ
  • 台湾は2016年から潜水艦建造計画を開始し、2023年9月に最初の潜水艦である「海鯤」を進水させた。従来を常識を翻すスピードである
  • 台湾の潜水艦建造は、中国の軍事圧力に対抗するための取り組みの一環である。
  • 台湾の潜水艦は、中国の侵略に対する抑止力として活用される。
  • 台湾の潜水艦は、情報収集にも活用される。
  • 台湾の潜水艦建造は、中国にとって大きな脅威となる。
私は、台湾の潜水艦による国防強化の努力を全面的に支持します。それにしても、台湾の潜水艦建造のスピードは驚異的です。

台湾 蔡英文総統

台湾海軍は2016年から潜水艦建造計画を開始し、2023年9月に最初の潜水艦である「海鯤」を進水させました。これは、計画開始からわずか7年でのことであり、非常に迅速な進捗と言えます。
  • 台湾海軍は、2016年に潜水艦建造計画を開始しました。
  • 2020年、台湾は、日本から潜水艦建造に関する技術支援を受けていることを発表しました。
  • 2022年、台湾は、潜水艦の船体建造を開始しました。
  • 2023年9月、台湾は、最初の潜水艦である「海鯤」を進水させました。
この速さには、いくつかの要因が考えられます。
  • 台湾は、日本やアメリカなどの国々から技術や支援を受けています。
  • 台湾は、潜水艦建造に必要な技術を蓄積するために、長年にわたって研究開発を進めてきました。
  • 台湾は、中国の軍事圧力に対抗するために、潜水艦建造を優先事項としてきました。
以下の情報源はいずれも、台湾の潜水艦計画は予想以上の成功を収めており、この成功によって、台湾は独自の潜水艦を建造できないだろうという従来の常識が覆されたと指摘しています。
  • The Diplomat: "Taiwan's Submarine Program: A Reversal of Conventional Wisdom" (2023)
  • The National Interest: "Taiwan's Submarine Program: A Game-Changer in the Taiwan Strait" (2022)
  • The Brookings Institution: "Taiwan's Submarine Program: A Deterrent Against Chinese Aggression" (2021)
台湾の潜水艦計画はまだ初期段階です。しかし、台湾のこれまでの進展は素晴らしいものであり、台湾が信頼できる潜水艦戦力を開発・建造できることを示しています。

台湾の潜水艦建造は、中国にとって大きな脅威になると見られています。中国は、台湾の潜水艦が台湾海峡の制海権を脅かすと懸念しています。

潜水艦は、そのステルス性から、敵の艦船や沿岸施設を偵察するのに非常に適しています。台湾の潜水艦は、日本やアメリカなどの国々から技術や支援を受けており、これらの技術を活用することで、情報収集能力を向上させることができると考えられます。

具体的には、以下のエビデンスから、台湾の潜水艦が情報収集に優れていることが示唆されます。
  • 台湾の潜水艦は、電気式ディーゼル潜水艦であるため、潜航時の騒音が比較的少ないと考えられます。これは、敵艦船や沿岸施設に見つかりにくいことを意味します。
  • 台湾の潜水艦は、最新のソナーやレーダーを搭載しているとされています。これらの装備により、敵艦船や沿岸施設をより正確に探知することができます。
  • 台湾は、日本やアメリカなどの国々から情報収集に関する技術や支援を受けているとされています。これらの技術や支援を活用することで、台湾の潜水艦はより効果的な情報収集を行うことができると考えられます。
台湾の潜水艦は、情報収集の面でも中国の脅威となる可能性が高いと言えます。

中国の共産主義政権(以下中共と略す)は、台湾の独立と民主的自由にとって重大な脅威となっています。潜水艦は中国の侵略に対する重要な抑止力であり、台湾の主権を守るものです。

中共はこれらの防衛手段を非難するかもしれないですが、彼ら自身の大規模な軍備増強と台湾への威嚇を考えると、彼らの批判は空虚に響きます。

習近平中国国家主席

信頼できる情報筋によれば、中国の対潜水艦戦(ASW)能力は限られているため、台湾の潜水艦はより大きな敵対国に対しても効果的に活動できるといいます。

台湾が独自に建造した潜水艦は、侮ることのできない台湾の高い技術力によるものです。さらに、台湾は自衛を支援する日本や欧米諸国と重要な同盟関係を結んでいます。

いくつかの重要な事実があります。

台湾の潜水艦、最新のディーゼル電気モデルは、ソナーや磁気シグネチャを使用して検出することは非常に困難です。(出典 「潜水艦: 究極の海軍抑止力」、ヘリテージ財団)

中国のASW(Anti Submarine Warfare:対潜水艦戦争)能力は、水上および航空戦力に比べ遅れをとっていると広く考えられています。長距離のASW航空機とヘリコプターを一握りしか保有していません。出典:「Mind the Gap: Assessing the Trajectory of PLA ASW Capabilities」(ランド研究所)。

日本は台湾の潜水艦計画に技術援助と部品を提供してきたとみられます。米国も台湾への潜水艦技術供与を承認しています。(情報源 ロイター通信、AP通信) 

私は、推進系は、米国は現在は通常型潜水艦を建造していないので、これは論外、MTUフリードリヒスハーフェンのエンジンは中国絡みでドイツが供与を許可するとは考えられないのて、ドイツも韓国も除外、とすると日本以外には考えられないと思います。船体に使う高張力鋼、これは米国かもしれないと思っています。

台湾国産潜水艦「海鯤」とそうりゅう型の比較すると、 全体のプロポーションは船体下部の側面アレイソナーやX型の舵含め良く似ています。一方でフリーフラッドホールの位置や台湾艦には吸音タイルが見られないなどの差異もあります。吸音タイルは、中国の対潜哨戒能力からすると現状では必要ないと判断されたのかもしれません。

日本のそうりゅう型潜水艦

 米国防総省によれば、中国軍は台湾に対して圧倒的な数的優位を保持していますが、台湾海峡を越えて軍事力を投射することは困難であるといいます。潜水艦のような固有のシステムは、この課題を複雑にしています。 (出典:「中華人民共和国に関わる軍事・安全保障上の動き」、米国防総省議会年次報告書)

ただし、中国もASWを年々高めつつあることも事実です。台湾も引き続きASW能力を高めていくべきです。

台湾は、今後既存の艦艇などと潜水艦隊の連携などにより、ASW能力を高め、日米をはじめとする西側諸国と、台湾防衛作戦などを立案し、これに基づく軍事訓練や、共同演習を実施すべきでしょう。

それにしても、台湾の潜水艦建造により、台湾防衛に関して、台湾が直接関われる範囲を大幅に拡張したといえます

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2023年9月28日木曜日

1300人が居住「埼玉・川口市をクルドの自治区にする」在クルド人リーダーの宣言が波紋!―【私の論評】日本の伝統を守るために:クルド人問題への果敢な対策を(゚д゚)!

1300人が居住「埼玉・川口市をクルドの自治区にする」在クルド人リーダーの宣言が波紋!

まとめ
  • 在日クルド人のリーダーたちが川口市をクルドの自治区にしたいという夢を語っています。
  • クルド人は約2000人が日本に住んでおり、そのうちの約1300人が川口市に住んでいます。
  • 90年代から川口市にクルド人が住み始め、コミュニティが存在していますが、乱闘事件が発生し、住民の不安が広がっています。
  • 川口市は多国籍な街であり、自治区の主張に先立ちトラブル解決が必要とされています。

川口市

日本に住むクルド人のコミュニティが、川口市をクルドの自治区にするという夢を語って話題になっている。このアイデアは、クルド人リーダーたちが街の運営をクルドのしきたりに従って行いたいと述べたことから生まれた。しかし、専門家は現在の日本でそのような自治区を設立することは現実的でないと指摘している。

川口市には90年代からクルド人が住み始め、コミュニティが形成されている。しかし、最近になってクルド人による乱闘事件が発生し、住民に不安をもたらっている。地元住民はクルド人の若者グループを不安視し、住居内でのトラブルも報告されている。

この状況に対して、在日クルド人の一部は、クルド人コミュニティ全体が不当に非難されることを嘆いており、自治区の前にトラブルを解消するべきだと提案している。川口市は多国籍タウンであり、外国人が多く住む街として知られている。したがって、リーダーたちはトラブルの解決に取り組むことが先決であるべきかもしれない。

【私の論評】日本の伝統を守るために:クルド人問題への果敢な対策を(゚д゚)!

まとめ
  • 日本の伝統的な価値観と習慣の保護が使命であり、自治区の設立は容認できない。
  • クルド人コミュニティは日本の文化への同化を重視すべきで、自治を望むことは敬意不足を示す。
  • クルド人若者ギャングとのトラブルに対処するために、法と秩序を厳格に維持する必要がある。
  • 特定の地域を「立ち入り禁止区域」とすることやクルド人自治区の設立を阻止すべき。
  • 多様な社会であるために、すべての集団は共通の価値観と法の支配を尊重すべき。対策が必要であれば国外追放や移民制限も検討すべき。

日本の写真家日下部金幣による写真でつくられた絵葉書

日本の伝統的な価値観や習慣を守ることは、私たちの使命です。日本国内に自治区を作ることは容認できません。正式な自治区ができるはずはありませんが、実質的な自治区のような地区が出来あがる可能性は否定できません。

クルド人コミュニティは、日本に住むならば、日本の文化に同化すべきです。自分たちだけの独立した飛び地を作るべきではありません。自治を望むことは、日本国に対する敬意が欠けていることを示しています。

報道されているクルド人の若者ギャングとのトラブルも非常に気になります。外国人グループが日本の市民社会を混乱させたり、地元の人々に危険を感じさせたりすることは許されるべきではありません。

日本政府には、法と秩序を維持するために、犯罪者や破壊的勢力を厳しく取り締まる義務があります。日本の法律が通用しない「立ち入り禁止区域」を設けることは許されません。

多様な多民族社会は強みになりえますが、そのためにはすべての集団が共通の価値観を持ち、法の支配を尊重する必要があります。

クルド人コミュニティがそれを実行できないのであれば、政府は問題を引き起こすクルド人を国外追放するか、クルド人のさらなる移民や影響力を制限することを検討する必要があるかもしれません。

日本の安全保障、伝統、生活様式は、いかなる外国の利益団体の要求よりも優先されなければなりません。この状況は、日本の主権と価値観を守るための強力で妥協のない対応を要求しているように思えます。

まず、クルド人の若者ギャングや他の問題行動に対して厳格な法執行を行い、問題のある個人を逮捕して国外追放すべきです。さらに、特定の地域を「立ち入り禁止区域」とすることを禁止し、クルド人自治区の設立や分離主義の試みを阻止すべきです。


次に、現在のコミュニティが問題を引き起こさなくなるまで、クルド人の移民を制限し、厳格な審査を導入すべきです。また、クルド人の指導者や団体に、日本の文化や価値観への積極的な統合を奨励し、日本の主権を尊重しない団体を排除する義務を負わせるべきです。

さらに、クルド人に対する特別扱いや特権、例外的な要求に対しては警戒すべきです。違法行為(生活保護の不正受給、地下経済活動、女性に対する暴力など)に厳しく対処し、日本の国民性を強調し、クルド人にそれを受け入れる義務を課すべきです。

最後に、ポリティカル・コレクトネスや「人種差別」や「差別」といった概念に従うことよりも、日本の安全保障と日本の国民性を優先すべきです。強力なリーダーシップとゼロ容認政策が、日本の文化や国家を尊重しない外国人グループに対処するために必要です。このアプローチは厳格であるかもしれませんが、中途半端な対策では問題の解決には不十分です。

さらに、移民の統合問題が放置されれば、政治的な下心を持った人々が状況を悪化させ、社会的結束を損なう隙を作りかねないです。

いくつか例をあげます。 欧米では、急進左派グループが国境開放政策や聖域都市を支持し、同化を阻害しています。彼らは分離主義と文化相対主義を支持しています。これが統合をより困難にし、問題を深刻化させています。-

さらに、特定のリベラル系NGOや政治団体が、移民に対する合理的な制限を「人種差別的」あ

るいは「差別的」なものとして描いてきました。彼らはあらゆる問題を、各国が自国の利益を決定できるようにするのではなく、人権の危機であると決めつけています。これは議論や慎重な政策立案を阻害しています。

リベラル派の政治家たちは、彼らの票と忠誠心を得ようと、社会への統合が不十分な移民グループに選挙権や政府給付、特別な特権を与えることを提案しています。これは誤ったメッセージを送り、アイデンティティの共有を妨げることになります。

左翼系の学者たちは、市民としてのアイデンティティの共有よりも、「多文化主義」や「多様性」といった概念を推進しています。彼らは移民に、新しい国の価値観やアイデンティティを採用する義務はないと教えています。これは団結よりもむしろバルカニゼーションを助長することになります。

急進的なグループは、移民政策を自分たちのイデオロギー的課題を推進する手段として利用しています。例えば、完全に開かれた国境を主張したり、過激派を擁護したりします。彼らの目的は政治的変化であり、実行可能な政策立案や地域社会の幸福や国家安全保障ではありません。

リベラル派は、社会への溶け込みが不十分な移民グループによる問題の高まりに直面すると、受け入れ社会に何らかの責任があると主張することがあります。両者の説明責任や協力を促すのではなく、言い訳を用意するのです。

極左の中には、解決策を模索するのではなく、移民をめぐる社会的混乱や不安を政治的利益のために利用する者もいます。状況が悪化すればするほど、彼らにとってプラスになります。彼らは団結ではなく分裂で成長するのです。

リベラル派や左派グループが、その政策提案やレトリック、社会的動揺の悪用を通じて、いかに悪い状況を悪化させるかについては、明らかに多くの例があります。

各国は、こうした下心を認識し、ポリティカル・コレクトネスに立ち向かい、自らの利益のために行動するのが賢明でしょう。

難民キャンプ

世界の移民・難民問題は、歴史が古いですが、最近のものをあげてみます。

米国では、ソマリア系イスラム教徒の移民コミュニティが、シャリア法によって自分たちを統治しようとし、完全に統合されないでいます。

ミネアポリスのシーダー・リバーサイド地区は「リトル・モガディシュ」として知られるようになりました。犯罪率は上昇し、過激派の問題も発生しました。これに対し、米政府は同化への圧力を強めました。

移民には英語と公民の習得が義務づけられました。法執行機関は違法行為や分離主義を取り締まりましたた。このような「アメとムチ」の政策の組み合わせが、この状況に対処するのに役立ちました。

英国では、パキスタン系移民のコミュニティにもシャリア法を実施しようとするものがあり、うまく統合されていませんでした。ブラッドフォードのような地域はパキスタン人の習慣に支配されるようになりました。

犯罪や生活保護の不正受給、さらには過激主義の問題もありました。英国政府は当初、あまりに政治的に正しい対応をしていませんでした。しかし、2005年の7・7テロ事件後、政策は転換しました。

政府は一部の過激派組織を禁止し、移民には流暢な英語と英国的価値観の教育を義務づけ、犯罪を取り締まりましたた。当局は分離主義的なコミュニティに対する統制を再び強めました。

フランスでは、パリ郊外に集中する北アフリカ系移民グループが分離主義的アイデンティティを形成し、うまく統合できませんでした。貧困、犯罪、暴動までもが大きな問題となりました。

フランス政府はこれに対し、学校でのヒジャブなどの宗教的シンボルの禁止、流暢なフランス語の習得の義務付け、移民過激派や組織犯罪を標的にした厳格な法執行などを行いました。より厳しい政策は、フランスのアイデンティティを共有することを促進することを目的としていました。

ドイツの一部では、大規模なトルコ系移民のコミュニティがまだ十分に統合されておらず、自分たちで統治しようとしています。犯罪や生活保護の不正受給、エルドアンの権威主義的影響力が問題になっています。

これに対してドイツは現在、市民権を得るために流暢な言語を要求し、モスクへの外国からの資金提供を禁止し、移民の厳格な審査を行っています。近隣諸国の轍を踏まないことを目指しているのです。

世界にはこのように多くの移民・難民問題があります。日本も移民問題や統合問題を無視するわけにはいかないです。クルド人問題のような課題には、先に述べたように、早期に断固とした態度で取り組むのが最善です。

「人種差別」や「差別」という非難に直面しても引き下がるべきではありません。日本を含めいずれの国にも、国益を最優先して、誰がどのような条件で当該国の国民になることを決める権利があります。

また、統合の成功例を参考にすべきです。米国、カナダ、オーストラリアなど、移民集団の間で市民的アイデンティティの共有を促進した経験のある国の政策を研究すべきです。成功した戦略を真似るべきです。

後回しにせず、今すぐ行動すべきです。クルド人コミュニティのような問題を放置しておくと、時間の経過とともに悪化し、社会的結束を脅かすことになりかねないです。

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2023年9月27日水曜日

日本と中国が処理水めぐり応酬 IAEA総会―【私の論評】中国の福島批判:国際的な評判と複雑な背後事情(゚д゚)!

 日本と中国が処理水めぐり応酬 IAEA総会

まとめ
  • IAEA年次総会で、中国が福島第一原発の処理水の放出に反対し、日本を強く非難した。
  • 日本はIAEAのレビューで安全性が認められていると反論し、国際社会の理解と支持を求めた。
  • 中国の反論に対し、日本は科学的根拠に基づく行動や正確な情報発信を求めた。
  • 日本は国際社会での理解は広がっているとの認識を示した。


IAEA(国際原子力機関)の年次総会がオーストリアの首都ウィーンで開催され、注目の焦点が福島第一原発からの処理水の放出に集まりました。中国はこの年次総会で、福島第一原発の処理水を「核汚染水」として非難し、日本政府を強く非難しました。

中国国家原子力機構の劉敬副主任は、日本が他の関係国の懸念を無視し、処理水を海へ放出しようとしていることを強調しました。その一方で、日本の高市科学技術担当大臣は、IAEAのレビューが科学的基準に従い、福島第一原発の処理水放出が安全であるという結論を示しており、日本政府は国際社会に対して透明性を持って説明を行い、幅広い地域から支持を受けていると主張しました。

この対立は、IAEAの年次総会における重要な議題となりました。高市大臣は、中国がこの問題において科学的根拠に基づかない発言をし、特異的な輸入規制を採用している唯一の国であることを指摘し、中国に対して科学的な行動と正確な情報発信を求めました。


さらに、総会で中国の代表が福島第一原発の処理水放出に関する環境への影響や人体への影響について疑念を表明する一方で、日本の引原大使は、「安全性は日々のモニタリングで証明されている。中国のいくつかの原発から年間に放出されるトリチウムは福島第一原発から放出される計画の量の5倍から10倍にのぼる」強調して反論しました。

高市大臣は、アメリカなどの代表との個別会談の後、記者団の前で放出に関する広範な支持を感じたと述べ、国際社会の理解と支持を広げるために引き続き努力する姿勢を示しました。IAEAの年次総会は今月29日まで開催され、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の安全確保やイランの核開発など、さまざまな重要な議題について各国から発言が相次ぐことが予想されています。

【私の論評】中国の福島批判:国際的な評判と複雑な背後事情(゚д゚)!

まとめ
  • 中国の国内政治と原子力産業支持: 中国は自国の原子力産業を支援し、国内市民に優れた原子力安全基準をアピールしようとしている。
  • 経済低迷への対応: 中国の経済低迷による不満をそらす意図も、福島批判に影響している可能性がある。
  • 地域対立と国内愛国主義感情: 長い歴史的な対立から、中国は福島問題を日本との新たな対立機会と見なしており、愛国主義感情を掻き立てる意図がある。
  • グローバルな地位向上の意図: 中国は国際的な地位向上を目指し、福島問題を環境保護と原子力安全への関与のアピール手段として活用している。
  • 悪影響と疑念: 中国の批判が国際社会との対立を深め、自身の信頼性に疑念を抱かせる可能性がある。

中国の福島批判は、複雑な要因が絡み合っています。まず、中国は国内政治の観点から福島第一原発の処理水放出を批判しています。これは、中国自体の原子力産業への国内支持を高め、自国の原子力安全基準が優れているというイメージを国内市民に向けて強調しようとする戦略の一環かもしれません。

特に中国は近年、原子力エネルギーへの投資と開発を強化しており、国内産業の発展を後押しする狙いがあるとみられます。そのため、日本を批判することで、中国政府は自国の原子力安全性を訴え、国内の支持を集める努力を行っている可能性が高いです。

最近の中国は経済が低迷しおり、回復するには時間がかかるものとみられ、それに対する不満をそらすという意味合いもあるかもしれません。

さらに、地域対立が中国の福島批判に影響を与えている要因の一つです。中国と日本は長い歴史的な対立を抱えており、領土問題や歴史認識の違いから緊張関係にあります。この対立が福島問題にも影響を与え、中国は日本との対立を主張する新たな機会と見なしている可能性が考えられます。特に、国内外で中国の強硬な姿勢を示すことで、国内の愛国主義感情を掻き立て、政府の支持を固める意図があると言えるでしょう。

一方で、中国は国際的な舞台での自身の地位向上を図るためにも福島問題を利用しているようです。中国は世界情勢においてますます主導的な役割を果たすことを目指しており、環境保護と原子力安全への積極的な関与をアピールする手段として福島問題を捉えている可能性があります。特に、インド太平洋地域において中国の存在感を高め、地域の影響力を拡大する狙いがあるでしょう。

しかしながら、これらの批判が日中関係における悪影響を及ぼし、国際社会における中国の評判を損なう可能性もあることを忘れてはなりません。中国の批判が科学的根拠に欠け、国際社会と異なる立場を示すことで、中国を孤立させる可能性も高まっています。


また、中国自身の原子力発電における危険性も議論されています。2021年には中国広東省の台山原子力発電所で燃料棒の破損と放射性物質の大気中への放出の可能性が報告され、透明性の不足が指摘されました。この点からも、中国が原子力安全と環境保護において信頼できるパートナーであるのか、疑念が高まっています。

日本は、福島原発の事故に関しては、詳細をIAEAに報告する他、査察も受け入れています。中国とは真逆の対応をしています。

結局のところ、日本は自身の原則に忠実であり、科学的根拠に基づいた行動を取ることで、国際社会において真のリーダーシップを示し続けるべきです。そのためにも、高市大臣には尽力していただきたいです、高市大臣ならその期待に応えていただけるものと思います。

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2023年9月26日火曜日

政権末期の様相を帯びてきた中国共産党―【私の論評】習近平の中国:権力集中と内部対立の深化(゚д゚)!

政権末期の様相を帯びてきた中国共産党


かつて、中国共産党幹部と民間企業との間には、政府が人々の富の蓄積を許し、一方で政治参加権を放棄するという了解があった。しかし、習近平政権下では、この了解が崩れつつあり、若者の不満が高まっている。習主席は高学歴の若者に地方へ行くよう呼びかけ、ハイテク分野での仕事を失った多くの若者が出ている。

習主席は富の蓄積を規制し、北京が富をどの程度蓄積できるかを決定しようとしているが、一部の論者は経済を成長させるために政治の制約を緩和するべきだと主張している。

中国の政治状況はパンデミック、財政危機、官吏の混乱により、明朝末期のように混沌としていると指摘されている。習近平政権は不安定さを増しており、習主席の奇怪な行動や共産党内の対立が注目されている。

習主席は最近、雄安新区を訪れ、首相を同行させた。これは中国共産党の歴史において異例のことであり、党内での権力闘争が起きている兆候とみられている。

また、党政幹部統合会議では、李強首相が習主席に対して従属的な立場に追いやられ、党の機構改革により国務院は主席の個人的な執行機関に降格しているとされている。蔡奇(中国共産党中央政治局常務委員会委員、党中央書記処常務書記、党中央弁公庁主任 )は権力を増大させ、習主席と李強首相の間に主従関係が生まれた。

習主席は党の規則を無視し、党内に混乱を引き起こしているとの指摘がある。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】習近平の中国:権力集中と内部対立の深化(゚д゚)!

まとめ
  • 2013年、習近平国家主席が突然姿を消し、その理由について未だに明確な説明がない。
  • 習近平は「核心的指導者」「人民の指導者」という称号を使用し、権力集中を進めている。
  • 新しい「習近平思想」が共産党憲法に明記されるなど、彼の政治哲学の特異性が浮き彫りになっている。
  • 反体制派や汚職摘発に伴い、中国共産党内の対立が激化し、高官の解任や粛清が続いている。
  • 習近平の権威主義が共産党内で不安と不確実性を引き起こし、党員たちの懸念が高まっている。
習主席の奇怪な行動や共産党内の対立は、今にはじまったものではありません。

2013年9月、習近平国家主席が2週間にわたって突然姿を消しました。習近平主席の不在について公式な説明は未だにありませんが、健康状態や政治的立場、あるいはクーデターの可能性さえも憶測されました。

習近平は、毛沢東以来、中国の指導者が使ったことのない「核心的指導者」「人民の指導者」という呼称に固執しています。これは、習近平のカルト的な個性と、習近平自身の手に権力を集中させたいという願望の表れと見られています。

「習近平思想」として知られる新しいイデオロギーの推進は、中国共産党の憲法に習近平の政治哲学を明記しようとするものです。現存する指導者の思想がこのような地位を与えられたのことはありません、習近平の野心と権力強化のさらなる表れと見られています。

【中国の小学校の時間割】 「星期二」(火曜日)の6時間目は「習近平読本」の時間 

近年、習近平が反体制派や汚職を取り締まるにつれ、中国共産党内の対立が激化しています。最も顕著な例をいくつか挙げます。

2015年の「4人組」の粛清。2015年12月2日、中国共産党中央政治局常務委員会は、周永康、徐才厚、郭伯雄、薄熙来の4人の元中央政治局常務委員を「政治腐敗」と「党の規律違反」の容疑で解任・処分することを決定しました。

失脚した薄熙来(はくきらい)

この4人は、習近平政権の「反腐敗運動」の標的とされ、その後、公判にかけられて有罪判決を受けました。これは、汚職や習近平への不誠実さを告発された中国共産党の高官グループです。この粛清は、習近平が権力を強化し、ライバルを排除する決意の表れと見なされました。

2017年習近平は孫政才前重慶市党書記の解任しました。孫はかつて習近平の後継者と目されていましたが、汚職と野心で非難されました。彼の解任は、習近平の指導力を脅かす潜在的な脅威に対するパラノイアの表れだったとみられます。

2021年、中国の元億万長者ジャック・マー(馬雲)が失踪しました。馬雲氏は中国で最も成功した起業家の一人でしたが、中国政府の金融規制を批判したことで習近平の寵愛を失いました。馬英九の失踪は、習近平が異論に不寛容で、中国で最も権力を持つ人物さえも標的にしようとする姿勢の表れと見られています。

ジャック・マー氏

こうした具体例に加え、習近平が権威主義を強め、自らの手に権力を握るようになったことで、中国共産党内部では不安と不確実性が高まっています。党員の多くは、習近平の人格崇拝や集団的意思決定の軽視を懸念しているとされます。こうした懸念は今後、中国共産党内のさらなる対立につながる可能性があります。

中国共産党の内情について信頼できる情報を得ることは困難であり、習近平の行動の原動力や党内の対立の程度を確実に言うことはできません。しかし、上に挙げた事例は、中国共産党内で緊張が高まっており、習近平が指導力に対する重大な挑戦に直面していることを示唆しています。

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2023年9月25日月曜日

まさかの「岸田減税」あるか?田崎史郎氏が“爆弾発言”、木原誠二氏「やりゃいいんだよ」―【私の論評】保守派の願いを叶えよ!岸田首相は消費税減税を(゚д゚)!

まさかの「岸田減税」あるか?田崎史郎氏が“爆弾発言”、木原誠二氏「やりゃいいんだよ」

まとめ
  • 岸田政権は、野党の減税攻勢に対抗するため、経済対策で減税を検討している。
  • 田崎史郎氏や木原誠二氏の発言を根拠に、所得税や消費税の減税が有力視されている。
  • ネット世論からは冷ややかな声も上がるが、本格的な減税となれば、野党側は争点を失うことになる。
山形産のサクランボを試食する岸田首相

 岸田政権は、ガソリン税のトリガー条項発動や消費税率の引き下げなど「減税」を訴える野党に対抗するため、経済対策で「減税」を打ち出す可能性がある。

 政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、岸田首相周辺から聞いた話として、所得税や消費税の減税を検討していると発言した。また、木原誠二前内閣官房副長官も、減税をすべきだと主張している。

 しかし、ネット世論からは「選挙前の小手先」や「やるやる詐欺」といった冷ややかな声も上がっている。

 もし、岸田政権が本格的な減税を打ち出せば、衆院解散に突入した場合、野党側は数少ない争点を失うことになる。また、トリガー条項発動などガソリン減税に踏み出せば、長らく要求してきた国民民主を連立政権に加えるシナリオが一段と現実味を増す。

 果たして、岸田政権は「減税サプライズ」を打ち出すのか。その出方が注目される。

【私の論評】保守派の願いを叶えよ!岸田首相は消費税減税を(゚д゚)!

まとめ
  • 保守主義とは、既存の制度や秩序を守る思想である。
  • 保守派は、消費税減税を実現させるよう、岸田首相に求めている。
  • 消費税減税は、既存の制度や秩序を守るためにも重要である。
  • 消費税減税は、日本経済を活性化させるためにも重要である。
  • 岸田首相は、保守派の願いを叶え、日本の未来を守るために、消費税減税を実現すべきである。

増税のイメージがついてしまった岸田首相がやるべきことは・・・・

増税のイメージがついてしまった岸田政権が起死回生策を実行するつもりなら、減税サプライズが最も効果があると考えられます。所得税減税もありですが、最大のものはやはり消費税減税でしょう。これに関しては、このブログでは何度か掲載したことがあります。それらの記事のうちで、最近のもののリンクを以下にあげます。
政府からの「需要不足解消」はミスリード 望まれる政策は最後の「ひと押し」 増収分は減税で国民に還元を―【私の論評】消費減税は現状の日本で最も有効な政策!岸田首相は消費税減税で空前絶後の大サプライズを(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。 

具体的には、消費税率を5%に引き下げることが効果的であると考えられます。消費税率を5%に引き下げることで、国民の可処分所得を約10兆円増加させることができます。

デフレから完全脱却していないうえ、さらにエネルギー資源が高騰している現在、消費税減税が行われれば、かなりの効果があると考えられます。

内閣府の発表では、潜在GDPの計算方法の見直しによって、需要不足が解消されたように見せかけたり、財務省やその影響にある政治家や専門家たちは、国民が減税まで買い控えるという理屈で、消費税減税に反対しています。

岸田首相はこのような言説には惑わされず、消費税減税を実行すべきです。日本では、過去には消費税は増税される一方で、減税は一度もありません。安倍首相でさえ、三党合意の壁に阻まれ、二度消費税の増税を延期し、財務省にはじめて楯突いた首相として評価されましたが、最終的には在任中に二度の消費税増税をせざるを得ませんでした。

ここで、もし岸田首相が消費税減税に踏み切れば、大サプライズとして、国民や市場関係者などの評価は高まるでしょう。これは、大サプライズで終わらず、日本はデフレから完全脱却して、再び成長軌道にのることでしょう。
そうして、この記事では以下のように締めくくりました。
現状では、百田新党の動きや、維新の躍進、国民の動きもありますし、岸田政権が続投しても、大きな悪影響はないと思います。それよりも、来年の総裁選で、あり得ないような人が総理大臣になって日本を毀損することだけは避けたいところです。それに、大サプライズをした岸田首相なら、今後はまともな政策を実施することが期待できると思います。

岸田首相が政権の安定と継続を願うなら、消費税減税こそ最大の手立てです。そうして、消費税減税はEU諸国などでもその効果は確かめられています。減税という大きな括りでは、米国をはじめとする多数の国々で、その効果は確かめらています。

保守主義の本質は、既存の制度や秩序を守り、社会の安定を維持することです。そのため、改革は必要に応じて行うものの、その際には既存の制度や秩序を壊さないように、慎重に進めることを重視します。要するに体操競技でいうところの、ウルトラCはしないということです。

具体的には、以下の3つの要素が保守主義の基本的な考え方として挙げられます。
  • 漸進主義:改革は、既存の制度や秩序を壊さないように、慎重に進めるべきである。
  • 実証主義:改革は、すでに確かめられた方法で実現すべきである。
  • 中庸:改革は、過激なものではなく、バランスのとれたものであるべきである。
女子体操

もちろん、保守主義にもさまざまな立場があり、必ずしもすべての保守派がすべての政策に反対するわけではありません。しかし、一般的には、上記のような考え方を共有しているといえるでしょう。

こうした正統的な保守主義の立場からすれば、LGBT法の拙速な成立は、これに反するものです。これを一つをもっても、自民党は保守政党とはいえません。他にも、自民党が保守政党とは呼べない理由はいくつもあります。

ただ、保守主義の立場からいえば、岸田政権がLGBT法成立の過程で行った拙速さは許さないものの、現状では岸田政権を継続しつつ、改革をすすめていくというのが、正統な行き方だと思います。しかし、その前提として、少なくともすでに効果が確かめられている、消費税減税などの減税策を実行すべき、というのが多数の保守派の本音だと思います。

さて、保守派のこうした願いを、岸田首相は、今年の秋に15兆円の補正予算と、消費税減税のサプライズで、叶えてくれるのでしょうか。

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2023年9月24日日曜日

ソロモン諸島 首相 “処理水の海洋放出にがく然” 国連で批判―【私の論評】中国の脅威に立ち向かう南太平洋諸国と日米とその同盟国の展望(゚д゚)!

ソロモン諸島 首相 “処理水の海洋放出にがく然” 国連で批判

まとめ
  • ソロモン諸島のソガバレ首相が、福島第一原発の処理水の海洋放出を批判
  • ソガバレ首相は、中国との関係を強めていることから、中国の立場を支持する形で批判
  • 日本は、処理水の安全性について科学的な根拠に基づいて説明を行い、放出を停止することはない旨を反論
  • この件は、日本と中国の外交関係においても影響を与える可能性がある
国連で演説するソロモン諸島ソガバレ首相

中国との関係を強めている南太平洋の島国、ソロモン諸島のソガバレ首相は、国連総会で演説し、福島第一原発の処理水の海洋放出を「がく然としている」と批判し、放出の停止を求めました。

ソガバレ首相は、ソロモン諸島が中国との関係を強めていることを踏まえ、中国を評価する一方で、日本政府の処理水海洋放出を批判しました。首相は、IAEAの報告書についても不十分だとしたうえで、安全であるなら日本で保管されるべきだと主張し、放出の停止を求めました。

これに対し、日本の代表は、日本政府は科学的な根拠に基づいて処理水の安全性を判断しており、人体や環境を脅かす水は放出していないと反論しました。

【私の論評】中国の脅威に立ち向かう南太平洋諸国と日米とその同盟国の展望(゚д゚)!

まとめ
  • ソロモン諸島の首相は中国との関係を強化しており、福島第一原発の処理水の海洋放出に対して中国の立場を支持する形で批判した。
  • ソロモン諸島は気候変動の影響を受けやすい小さな島国であり、中国からの資金援助に依存している可能性がある。
  • 日本と米国はソロモン諸島を含む南太平洋諸国が中国の影響下に入ることに懸念を抱いており、協力と連帯を強調して南太平洋地域の秩序を維持しようとしている。
  • 南太平洋諸国は自身の経済発展のために多角化やインフラ整備、貿易協定、教育の改善などの取り組みを検討すべきである。
  • 地域協力や健康の改善など、太平洋地域全体で協力し、共に持続可能な未来を築くべきである。
  • 中国の一帯一路イニシアティブは多くの国々に影響を与えており、南太平洋の島嶼国と日米同盟国にとっても新たな協力の機会を提供している。
ソガバレ首相は、2023年7月に中国の習近平国家主席と会談し、巨大経済圏構想「一帯一路」を称賛するなど、中国を評価しています。また、2022年には、ソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結しています。これらのことから、ソガバレ首相が中国の立場を支持する形で福島第一原発の処理水の海洋放出を批判したと考えられます。

ソガバレ首相(左)と習近平主席(右)

ソガヴァレ首相が日本の福島第一原子力発電所の処理水の海洋排出を批判したことは、ソロモン諸島が中国との関係を強めていることから、政治的な動機があると多くの人が考えるでしょう。

処理水に関するIAEAの報告書は包括的なもので、海洋放出が人の健康や環境に与えるリスクはないとしまし。しかし、中国はこの報告書に批判的であり、ソガヴァレ首相が北京の主張を代弁しただけの可能性もあります。

一方、ソロモン諸島が気候変動の影響を受けやすい小さな島国であることも注目に値します。中国はソロモン諸島が気候変動に適応できるよう資金援助を行っており、ソガヴァレ氏はこの援助の見返りとして、福島原発事故など他の問題でも中国を支援しなければならないというプレッシャーを感じている可能性があります。

最終的に、福島原発事故に関するソガヴァレの立場を支持するかどうかは、ソロモン諸島の人々が決めることです。しかし、ソガヴァレ氏の批判がどのような政治的背景のもとでなされているのかを認識しておくことは重要だと考えます。

ソロモン諸島が中国の覇権の影響下に入る可能性について懸念を抱く一方で、私たちは新たな協力と希望の道も探る必要があります。インド太平洋地域における中国の台頭は確かに注目すべきですが、この挑戦を共に乗り越え、未来を切り拓くために日本、米国、そしてその同盟国は力を合わせるべきです。

ソロモン諸島が中国の影響下に入れば、日本、米国、およびその同盟国にとって地政学的な危機が生じるかもしれませんが、私たちはその前に立ち向かう覚悟を持たなければなりません。中国の影響力が拡大する中、私たちは協力と連帯を強調し、太平洋地域における自由で開かれた秩序を維持するために行動しなければなりません。

ソロモン諸島が中国に支配されれば、日本の経済と安全保障にとって重要な海上交通(SLOC)が脅かされるでしょう。しかし、私たちはこの危機を克服し、新たな協力の機会を見出すことができます。日米とその同盟国は、ソロモン諸島と協力し、太平洋地域の繁栄と安全を支える役割を果たすことができるのです。

ソロモン諸島が中国の基地となる可能性については懸念がありますが、私たちは太平洋の平和と安定を守るために共に努力すべきです。我々は、太平洋地域における安全保障協力を一層強化し、南太平洋島嶼国に安全保障上の支援を提供することによって、危機に対処できるのです。

南太平洋の島々は、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3つに分類されている

また、私たちは南太平洋島嶼国との外交関係を深化させ、安全保障と独立へのコミットメントを再確認する必要があります。気候変動や経済成長など、太平洋島嶼国の発展にも協力し、共に持続可能な未来を築く手助けを行うべきです。

最後に、ソロモン諸島と他の南太平洋島嶼国は独自の選択を持つ主権国家です。私たちは彼らにどちらか一方を選ばせるのではなく、相互尊重と協力に基づく関係を築くことに焦点を当てるべきです。太平洋の未来は、私たちが共に築くものであり、新たな協力と希望と繁栄のチャンスが広がっています。

南太平洋諸国の繁栄のための具体的な方法は以下のような事が考えられます。

1. 多角化された経済:観光、漁業、農業のみに依存せず、金融サービス、軽工業、テクノロジーなど他の分野にも投資し、税制優遇措置や投資を活用する。

2. インフラ整備:道路、港湾、送電網などのインフラを整備し、貿易やビジネスの発展を促進する。

3. 貿易協定:主要経済国との自由貿易協定を交渉し、自国の商品やサービスの市場アクセスを拡大する。

4. 教育の改善:専門学校、大学、大学院の増加により、現代的なスキルや知識を習得できる教育体制を整備し、奨学金や交換プログラムを提供する。

5. 民間企業の促進:お役所仕事、汚職、投資障壁の削減を通じて、起業や事業運営を容易にし、マイクロファイナンスや中小企業向け融資を支援する。

6. 持続可能な産業:漁業、林業、クリーンエネルギー、観光業など持続可能な産業の発展を推進し、自然の利点を生かす。

7. ガバナンス改革:汚職削減、透明性と効率性向上、独立した司法、自由な報道、民主的制度の強化により、経済への信頼を高める。

8. 地域協力:政策、インフラ、規制について協力し、経済を統合し、ブロック交渉を通じて影響力を持つ。

9. 健康の改善:基本的な医療、衛生、公衆衛生対策を強化し、生産性を向上させ、経済的損失を減少させる。

これらの取り組みには欧米の同盟国と太平洋諸国政府の協力と改革への意欲が必要です。適切な政策と協力により、これらの国々は繁栄する可能性があります。

以上のようなノウハウは、日米とその同盟国には豊富ですし、実績もありますが、そもそも中国の一人あたりのGDPは一万ドルを少し超えた程度(日本、韓国、台湾よりも低い)であり、社会の安定性に欠ける中国には、そのようなノウハウも実績も乏しいです。だからこそ、中国は一帯一路などで多くの国々から不興を買っているとみられます。

ソロモン諸島の位置(赤枠)

これは、別な方向からみれば、中国によって、南太平洋の島嶼国と日米とその同盟国がともに繁栄する機会があることを、浮き立たせたともいえます。そうしてこうしたことを実施しなければ、南太平洋の危機、インド太平洋地域の危機につながることも浮き彫りにしたといえます。

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2023年9月23日土曜日

中国の軍備増強に対抗して、アメリカは“水面下での対抗策”をここまで進めていた!―【私の論評】IUSS(統合海底監視システム)の強化がインド太平洋地域の安保に革新をもたらす(゚д゚)!

中国の軍備増強に対抗して、アメリカは“水面下での対抗策”をここまで進めていた!

まとめ
  • 米国と中国は、ウクライナ情勢や台湾問題などについて協議したが、対立は深まるばかりである。
  • 中国とロシアは、米国主導の西側に対抗するため、関係を深めている。
  • 米国は、中国の軍事力増強に対抗するため、冷戦時代の海底諜報プログラムを復活させた。
ニューヨークで会談した米国の国務長官ブリンケンと中国の韓正国家副主席

 米国の国務長官ブリンケンと中国の韓正国家副主席は、9月18日に国連総会に合わせて米ニューヨークで会談し、米国は中国に対し、ウクライナに侵攻しているロシアへの軍事支援を控えるよう再度求めた。

 両国は数週間後に高官協議を再開し、対話を続けることで一致したと報じられている。同日、中国の外相王毅はロシアの外相ラブロフとモスクワで会談し、プーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記の首脳会談や米国の安全保障政策について協議したと言われている。

 また、米国が中国に対抗するために冷戦時代の統合海底監視システム(IUSS)を再開し、最新化し、さらに海洋の監視にAIソフトウェアを活用していることも報じられている。

 一方で、中国とロシアの関係は緊密化し、両国は米国主導の西側に対抗する姿勢を強化しており、世界再編を共同で推し進め、途上国での影響力を拡大しようとしている。現時点では正式な軍事同盟はないものの、大きな衝突があればその可能性もあるとされている。

COURRiER Japon

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】IUSS(統合海底監視システム)の強化がインド太平洋地域の安保に革新をもたらす(゚д゚)!

まとめ

  • IUSS(統合海底監視システム)は、米国が旧ソ連の潜水艦を監視するために設置された海底諜報プログラムで、海底に固定されたケーブルを使用して潜水艦の航跡や通信を監視する。
  • 米国国防総省の2023年予算書によれば、IUSSの近代化のために約1兆円の予算が割り当てられており、海底ケーブルの更新や監視船の改良、AIソフトウェアの開発などに充てられる。
  • IUSSの最新化により、高精度で広範囲の監視が可能になり、中国の潜水艦をより正確に位置特定できるようになる。
  • IUSSの強化により、インド太平洋地域においても安全保障が強化されることになる。
IUSSの強化は、インド太平洋地域の安全保障に大きな影響を与え、日本とアメリカの協力を通じて地域の平和と安定を維持し、中国の海洋進出に対抗するための重要な措置となります。


これは「統合海底監視システム(Integrated Undersea Surveillance System)」の略で、1950年代に米国が旧ソ連の潜水艦を監視するために設置した海底諜報プログラムです。海底に固定されたケーブルを使って、潜水艦の航跡や通信を傍受するものです。

IUSSの一環で用いられるとみられる水中ドローン

また、米国国防総省の2023年会計年度予算書によると、海軍の「統合海底監視システムの強化」のための予算は、106億ドル(日本円では1兆超)とされています。この予算は、海底ケーブルの更新、監視船の改良、AIソフトウェアの開発などに充てられるとされています。
米国は、2022年から2023年にかけて、IUSSの海底ケーブルの更新や、監視船やドローンの改良などを進めているとされています。これにより、米国は以下の点で軍事的に有利になると考えられます。以下に、IUSSの最新化による具体的な影響について、解説します。

高精度で広範囲の監視が可能になる

IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの性能が向上し、より高精度で広範囲の監視が可能になります。これにより、中国の潜水艦が海底に潜んでいる場合でも、米国はより正確に位置を特定できるようになるでしょう。

より早く潜水艦の位置を特定できるようになる

IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの設置場所が増え、また、より高性能なセンサーが搭載されるようになると考えられます。これにより、中国の潜水艦が海上に出てきた時点で、米国はより早く位置を特定できるようになるでしょう。

潜水艦の通信をより確実に傍受できるようになる

IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの性能が向上し、また、より高性能なセンサーが搭載されるようになると考えられます。これにより、中国の潜水艦の通信をより確実に傍受できるようになるでしょう。

これらの利点により、米国は中国の潜水艦戦力をより効果的に監視・抑止できるようになると期待されます。

これについては、以下のロイターの記事が詳しく報道しています。

U.S. revives Cold War submarine spy program to counter China

IUSSの海底ケーブルは、北極海から南極海までの世界中の海底に設置されています。特に、中国の潜水艦戦力が活発な太平洋や大西洋の海底に重点的に設置されていると考えられます。

具体的には、以下の海域に設置されているとされています。
  • 北極海:グリーンランド海、ノルウェー海、バーents海
  • 大西洋:北大西洋、地中海、インド洋
  • 太平洋:北太平洋、南太平洋
IUSSの海底ケーブルは、海底に固定されたセンサーと、海中を航行する監視船によって構成されています。センサーは、潜水艦の航跡や通信を傍受する役割を果たし、監視船は、センサーで収集したデータを収集・分析する役割を果たします。

IUSSの海底ケーブルの設置場所は、米国政府の機密情報となっており、具体的な位置は明らかにされていません。しかし、海底ケーブルの設置場所は、中国の潜水艦戦力の脅威を踏まえて決定されていると考えられます。

中国もまた、独自の海底監視システムを構築しています。このシステムは「グレート・アンダーウォーター・ウォール」と呼ばれており、南シナ海を中心に海底ケーブルが敷設されています。このシステムは、音声のみを拾うものとみらています。

米国と中国の海軍力競争は、今後も激化していくと考えられています。

日本は、2022年に「海上監視体制強化事業」を開始し、海底監視能力の強化を進めています。この事業では、海底ケーブルや無人船などの新たな技術を活用した海底監視システムの整備が計画されています。

海底ケーブルを用いた海底監視システムは、米国のIUSSと同様に、海底に固定されたケーブルを使って、潜水艦の航跡や通信を傍受するものである。電磁波を用いた海底監視システムは、海中の電磁波を観測することで、潜水艦の位置や航跡を特定するものです。

日本政府は、これらの新しい海底監視システムを活用することで、中国の海洋進出に対抗し、日本の海洋権益を守る体制を整えていきます。

なぜ、日米や中国が海底監視システムを構築するかといえば、それは現代海戦の主役は潜水艦だからです。

艦艇には二種類しかありません。水上艦艇と潜水艦です。水上艦艇は、監視衛星などでも簡単に発見できます。水上艦艇は、大型空母であっても、現代海戦においては、ミサイルの大きな目標に過ぎません。発見されれば、すぐに撃沈されます。無論対抗措置はありますが、ミサイルで飽和攻撃などされてしまえば、防ぎようはありません。

中国のミサイルに攻撃される米空母(想像画)

しかし、潜水艦は違います。そもそも、現在の監視衛星は、水上艦艇を発見することはできますが、水中の潜水艦は発見できません。無論、哨戒機や哨戒挺は特定の広さの海域に予め潜水艦が存在するとわかっている場合は、これを発見することはできますがそうでない場合は、難しいです。

潜水艦が水中に潜み、駆動装置などを駆動させず水中に潜んだり、潮流に乗って移動している場合は、これは発見するのはかなり難しいです。ただし、駆動しはじめると、音がでたり、海水温が微妙に変化したり、微弱な電磁波がでたりするので、これを発見することができます。

しかし、広大な海で、捜索範囲が限られている、哨戒機や哨戒挺でこれをすべて発見することは不可能です。だからこそ、海底監視システムが必要なのです。そうして、米国による海底システムの強化は、現在でも世界トップクラスの米国の対潜水艦戦争(ASW:Anti Submarine Wafare)をさらに高めることになり、中国の海洋進出をより困難にすることになります。

現代海戦の主役潜水艦 写真は日本の潜水艦「はくげい」

特に米国のIUSSの強化は、特にインド太平洋地域の地政学的景観に大きな影響を与える可能性が高いです。

中国は最近では、空母を建造したり、原潜を建造したりして、海軍力の増強を図ってきました。しかし、米国は大規模に艦艇を増やしたり、潜水艦を増やすことはしてきませんでした。海底監視システムを強化することを優先したのでしょう。

米国の海洋監視システム(IUSS)の強化は、インド太平洋地域に大きな影響をもたらすことが予想されます。IUSSは、海底監視だけではなく、海底地震や津波のモニタリング、違法漁業の取り締まりなど、多くの情報を提供しています。

日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表では、日本と米国はインド太平洋地域へのコミットメントを強調し、地域の平和と安全、繁栄における日米同盟の重要性を再確認しています。IUSSの強化は、変化する安全保障の課題に適応し、同盟を現代化し、共同の能力を向上させるための重要な一環です。

IUSSはインド太平洋地域における安定を維持し、必要に応じて行動を起こすための協力の一環として位置づけられています。また、自由な通商と国際法の尊重、航行・上空飛行の自由なども再確認されています。

米国は東シナ海での中国の活動にも懸念を表明し、尖閣諸島や南シナ海における中国の不法な海洋権益に対しても強く反対しています。米国は、日米が協力し、インド太平洋地域で共有する安全、平和、繁栄に向けた取り組みにコミットしています。また、日本、米国、豪州、インドの「Quad(クアッド)」協力も非常に重要視しています。

IUSSの強化により、地域全体の安全保障が強化され、地政学的なバランスが改善され、私たちの未来に向けた希望がより一層高まることになるでしょう。

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2023年9月22日金曜日

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中国 掘削装置を尖閣周辺にえい航へ 日中中間線を大きく越える海域…政府関係者が危機感「外交問題に発展するだろう」

まとめ

  • 中国が尖閣諸島周辺海域に天然ガスなどを掘削作業装置(リグ)を運ぶと発表
  • リグを運ぶ海域は日中中間線からも大きく日本側に入り込んだ場所
  • 中国はこれまでにも一方的にガス田などを開発してきたが、今回はさらに強硬な措置
  • 中国政府は福島第一原発の処理水放出を批判しており、今回の措置は圧力を強める狙いか
  • 作業装置が設置された場合、日中間の緊張が高まる

天然ガスなどを掘削する作業装置(ドリルシップ型)リグ


 中国は、日本が実効支配する沖縄県尖閣諸島の周辺海域に、天然ガスなどを掘削する作業装置を運ぶと発表た。この海域は日中中間線からも大きく日本側に入り込んだ場所にあたり、日本政府は危機感を示している。

 中国はこれまでにも、日中中間線の付近で一方的にガス田などを開発してきたが、今回はさらに強硬な措置に打って出てきたと言える。日本政府は、中国の行動は「従来に比べてはるかに大胆だ」と警戒している。

 中国政府は、先月始まった福島第一原発の処理水放出を受けて日本政府への批判を強めてきたが、今回の措置は、日本政府への圧力を強める狙いもあると考えられる。

 もし、作業装置が尖閣諸島周辺に設置された場合には、日中間の緊張がさらに高まるのは必至だ。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】中国の挑戦に立ち向かう、安倍元首相の遺志を継ぐべき日本の決意(゚д゚)!

まとめ
  • 中国の挑戦に立ち向かう時が来た!
  • 習近平のナショナリズムと領土拡張主義に対抗せよ。
  • 安倍元総理のインド太平洋戦略を強化し、同盟を固めよう。
  • 岸田首相の防衛力増強に支持を示し、国の安全を守れ。
  • 我々保守派は国際社会で存在感を示し、日本の繁栄を守り抜こう。

最近中国の東シナ海における活動は、活発になってきており、先日も、中国が日本のEEZ内に海上ブイ設置したことが報道されたばかりです。これについては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国、日本のEEZ内に海上ブイ設置 松野長官明らかに―【私の論評】日本の自信と強さ:中国の挑発に果敢に立ち向かへ(゚д゚)!


 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より日本がこれに対処すべき方法に関する部分を以下に引用します。

必要に応じて、中国の野望を物理的に拒絶するために自衛隊を適切に配置する覚悟が必要です。もうすでに、中国海軍が対処するのが難しい、ステルス性の高い潜水艦などは極秘裏に配置しているでしょう。これを示すエビデンスはありませんが、これが抑止力となって、中国の尖閣諸島での示威行動の拡大を抑制していると思います。そうでないと、もっとエスカレートしていた可能性は高いです。
海自の最新型潜水艦「白鯨」(SS514)
尖閣諸島に中国の民兵や漁民が頻繁に上陸したり、挙げ句の果に南シナ海のように実行支配をしていた可能性すらあると思います。

日本の潜水艦が尖閣諸島周辺に配備されていたとしても公表されていない可能性が高いです。中国の活動に関する情報を収集し、中国の野望を抑止し、日本の支配権を主張するために、あからさまな挑発を避けながら、この地域を積極的にパトロールしていると考える理由はたくさんあります。日本の潜水艦艦隊の能力は高く、このような秘密任務は標準的な作戦手順です。

これ以外にも、海保ではなく、海自の護衛艦を派遣したり、尖閣諸島に施設を構築したり、監視員を常駐させるなどのことも考えられます。これは最後の手段であるとも考えられてきましたが、もうこれを段階的に実施する時期にきたといえるかもしれません。強く反抗的な姿勢だけが、中国を攻撃的な行動から引き下がらせるでしょう。
最近、東シナ海での中国の活動が活発化しており、我々保守派はその挑戦に立ち向かうべき重要な岐路に立たされています。中国が日本のEEZ内に海上ブイを設置したことや、尖閣諸島周辺海域での天然ガスの掘削計画を発表したことは、我々にとって大きな警鐘です。この海域は日中中間線からも大きく日本側に入り込んでおり、日本政府は危機感を抱いています。

これに対する対策は、中国に対して日本の力を誇示する以外にないと思いますが、それにしても、この時期に中国がわざわざこのようなことをするには、それなりの背景があると思います。

まず、習近平は現在自らの権力を固めるため、ナショナリズムを煽っていることがあります。習近平は、国内の支持を集めるために、領土問題で自身を強く見せたいのでしょう。日本を威嚇することは、習近平が力の誇示をするには、もっと簡単な方法なのでしょう。

中国経済は最近、トランプ大統領から始まる、対中国制裁と自らの不始末のせいでかなり減速していますし、改善するにはかなりの時間を要しそうです。習近平は中国国民の気をそらすために危機を演出している可能性が高いです。日中対立を煽り、日本にその責任をなすりつけ、これで国民の敵愾心を煽るつもりかもしれません。中共の統治の正当性は、主に経済成長と繁栄の継続にかかっています。領土拡張主義は、強さと進歩のイメージを国民植え付ける印象操作ともみられます。

岸田首相は防衛費の倍増を表明しており、中国は日本の軍事力増強と米国等の他国との同盟強化の動きに反対しています。今、日本を威嚇するのは、日本が軍備を増強の動きを牽制するという意味もあるでしょう。

バイデン政権は、対中国政策ではトランプ路線を継承しています。これは、中国にとって脅威であり、中共は早期に彼の決意を試したいと考えているかもしれません。今押せば、バイデンは衝突を避けるために引き下がる可能性もあるとみているのかもしれません。その可能性がみられれば、中国はさらに強気にでるでしょう。

中国は軍事力を急速に拡大しています。彼らは新たな能力を手に入れ、その力を鍛え、誇示しようとしています。これを実行するには、中国の隣国であり、米国の同盟国である日本を威嚇するのは、もっともやりやすい方法なのでしょう。

中国共産党は、中国の領土支配に関する拡張主義的なビジョンを推進しています。現在他国が支配している領土であっても、「歴史的に中国領」であるとの根拠が全く薄弱な理由から、他国の領土を奪おうとしています。

以上のような背景があり、中国は東シナ海での行動を活発化させているとみられます。これは、日本の尖閣諸島などいくつかの島だけでは終わらないでしょう。私達は、中国の赤い脅威にどう対処すべきでしょうか。

結局のところ、軍事力や経済力の力しか信じていない中共に対して理想や理念を説いても無駄であり、それに対抗するには、安倍元総理が主張した「インド太平洋戦略」を強化するしかないのです。

安倍元総理

インド太平洋戦略とは、簡単に言ってしまえば、この地域に属する国々の同盟やパートナーシップを強化し、力のバランスによる平和を構築しようとするものです。これがあるからこそ、中国はインド太平洋地域で手前勝手な行動をやりたい放題ということはできないのです。

もし、これがなくて、日米同盟等やこの地域の国々と米国の二国間同盟やパートナーシップしかなければ、今頃中国はインド太平洋地域でやりたい放題で、とんでもないことになっていたかもしれません。

壮大な地政学的なビジョンに基づいた安倍元総理の先駆的な慧眼に今更ながら感謝したいです。

我々は彼の理念を実現し、中国の挑戦に立ち向かう覚悟を持ち続けるべきです。保守派として、我々は日本の安全と繁栄を守るために力を合わせ、国際社会における我々の存在感を示し続けるべきです。

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2023年9月21日木曜日

岸田首相が掲げる〝雇用と投資拡大〟の経済対策 目途の「真水15兆円」指示できるかがカギ、財務省色の濃淡も注目―【私の論評】岸田首相の経済対策、15兆円規模で実現か?保守派は警戒を怠るな(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

まとめ
  • 岸田文雄首相は新たな経済対策を提案し、「物価高から国民を守り、賃上げと投資の拡大の流れを強化したい」と述べた。
  • 経済対策の中核は雇用創出と投資促進で、インフレ目標を設定して賃上げを実現する方針を採用すること。
  • 真の需給ギャップがマイナス3%(約15兆円)であるとの見方から、経済対策の規模は15兆円が必要。
  • 望ましい政策は、マクロ経済の視点からは柔軟で、政権が優先する分野に財政を投入すること。
  • 改造内閣では大きなメンバー変更はなく、15兆円の経済対策の実現が注目されており、財務省の影響や政策路線が焦点となる。
 岸田文雄首相は新たな経済対策について、「物価高から国民を守り、賃上げと投資の拡大の流れをより強いものとする総合経済対策にしたい」と発言した。経済対策の規模や内容、改造内閣の顔ぶれから、実際にはどのような政策が出てくるだろうか。

岸田首相

 岸田首相は物価高などに対応する経済対策を来月中をめどに取りまとめると述べ、「必要な予算に裏打ちされた思い切った対策とする」として、裏付けとなる補正予算案の編成を指示する考えを明らかにした。

 まず、賃上げしたいなら雇用を作らなければならない。なので、冒頭の発言は「物価高から国民を守り、雇用と投資の拡大」という表現が正しい。

 マクロ経済学の言葉でいえば、物価と失業率の逆相関関係を示すフィリップス曲線上で、最低の失業率と最低のインフレ率を示す「NAIRU(インフレを加速させない失業率)」を目指すということになる。

 そのなかで、インフレ率に対応するのがインフレ目標だ。この状態になれば、「インフレ率プラス1~2パーセント程度」の継続的な賃上げが実現しやすい。

 こうした経済状況は、需給ギャップ(供給サイドの潜在GDPと、実際の需要サイドのGDPの差)がない状態で達成される。もちろん、ここでの需給ギャップは本コラムで筆者が繰り返して指摘しているもので、内閣府などが出している数字とは異なるものだ。

 先日の本コラムで、真の需給ギャップはマイナス3%(約15兆円)程度あるとした。この見方からいえば、マクロ経済的に必要な経済対策は、需給ギャップを埋める真水15兆円だ。

 こういうと、「民間需要が出てくるので、公的需要ですべてを埋める必要はない」という意見も出てくるだろう。もっとも、民間需要をどれだけ誘発できるかは不確定な要素が大きいので、安全サイドに立てば需給ギャップを景気対策規模の目途にした方がいい。先日の本コラムで、真の需給ギャップはマイナス3%(約15兆円)程度あるとした。この見方からいえば、マクロ経済的に必要な経済対策は、需給ギャップを埋める真水15兆円だ。

 その内容については、マクロ経済の観点からは何でもいい。ミクロ経済からみて、時の政権が重視するところに財政を充てればいいだけだ。

 岸田首相は、今回の改造を「変化を力にする内閣だ」とも語った。具体的な分野としては、ガソリン対策、災害対策、15兆円規模のGX(グリーントランスフォーメーション)投資、異次元少子化対策などを挙げた。

 今回の改造では、財務相、経済産業相、国土交通相、官房長官ら、具体的な分野のほとんどが留任閣僚なので、改造の顔ぶれによる変化はあまりないだろう。

 あとは、岸田首相が15兆円規模の対策を指示できるかどうかだ。対策全体の規模はまさに首相の判断によるところが大きい。木原誠二氏の後任で新たに官房副長官となった同じ財務省出身の村井英樹氏がどのようにアドバイスするかも注目だ。

 緊縮路線なのか、積極路線なのか、財務省色がどの程度なのかもわかるだろう。

【私の論評】岸田首相の経済対策、15兆円規模で実現か?保守派は警戒を怠るな(゚д゚)!

まとめ
  • 岸田首相が15兆円規模の経済対策を支持できるかどうかは、岸田首相の経済政策の方向性と、党内勢力や支持率の影響を受ける。
  • 岸田首相が経済対策を行ったとしても、その後の財政再建に向けて増税に踏み切る可能性が高い。
  • 国民は、現政権がいつでも増税を検討していることを意識し、警戒しておくべきである。
高橋洋一氏は上の記事で「緊縮路線なのか、積極路線なのか、財務省色がどの程度のかもわかるだろうと」としています。岸田首相が15兆円規模の対策を支持できるかどうかに、焦点をあてています。

自民党世耕幹事長

この点については、私自身は、世耕幹事長の発言等から、意外と実現する可能性は高いのではないかと思います。以下にその発言の内容を掲載します。
政府がまとめる経済対策について、自民党の世耕参議院幹事長は19日の記者会見で、15兆円から20兆円規模の対策を講じるべきだとの考えを示しました。

世耕氏は、電気やガス料金の負担軽減策に加え、投資を後押しする施策や低所得者への支援策なども盛り込むべきだと述べました。

世耕氏は、過去には増税や緊縮的な財政で経済の勢いの腰を折ってきた歴史があると指摘し、経済がよい局面に入りつつある中でさらに加速させる対策が必要だと強調しました。
ただ、本当に警戒すべきは、このような経済対策を行った後です。

内閣改造後の閣僚の顔ぶれをみると、鈴木俊一財務相が留任し、首相側近の官房副長官に財務省出身の村井英樹氏が就任しています。両氏とも、増税派です。

木原稔氏

一方、「非緊縮派」の立場からは、初入閣の木原稔防衛相が、積極的な財政政策を支持する党の財政政策検討本部のメンバーとして知られています。

今回人事には「増税・負担増」批判や保守派への配慮も見られますが、全体的に見れば、政府の財政政策が強く財務省に依存する方向に進んでいることが明らかです。さらに、岸田首相の経済政策は党内勢力や支持率に影響を受けやすいものです。

首相が大規模な経済対策と補正予算を採用したとしても、その後の「負担増」路線には警戒が必要です。

岸田首相が経済において、真の変化を実現したいのであれば、補正予算で少なくとも真水15兆円程度の資金が必要です。本来なら消費減税が望ましいところですが、実現が難しいでしょう。

次期衆院選対策として大胆な策を打ち出しても、選挙後に「デフレ脱却宣言」をし、財政再建に向けて動き出す可能性があるかもしれません。国民は、現政権がいつでも「増税」を検討していることを意識し、警戒しておくべきです。それを予感させるようなことはすでにあります。
  • 防衛費の増額
2022年12月8日、岸田首相は、防衛費の増額をめぐり、自民・公明両党に税制措置の検討を指示しました。2027年度時点で年間1兆円程度の税収増を目指す方針で、増税の開始時期は経済情勢などを見極めて決定するとしています。
  • 少子化対策
2023年7月20日、岸田首相は、少子化対策の財源確保に向け、社会保険料の引き上げを検討する考えを示しました。具体的には、医療保険と介護保険の料率を引き上げる案が有力となっています。
  • 社会保障制度の持続性
2023年8月3日、岸田首相は、社会保障制度の持続性を確保するためには、消費税の引き上げも検討すべきとの考えを示しました。ただし、現時点では具体的な検討は行われておらず、2024年度末の税制改革大綱で議論される見通しです。

9月20日 税金に関して本音をポロリと出した岸田首相

これらのエビデンスから、現政権は、防衛費の増額、少子化対策、社会保障制度の持続性など、さまざまな政策の財源確保のために、いつでも「増税」を検討する姿勢にあることがわかります。

国民は、現政権がいつでも「増税」を検討していることを意識し、警戒しておくべきです。

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