2024年2月12日月曜日

「もしトラ」は日本の大チャンス 〝米国第一〟で軍事支援に消極的、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会もたらす―【私の論評】日本の真の独立を促すとみられる、トランプ外交の真実

 長谷川幸洋「ニュースの核心」

「もしトラ」は日本の大チャンス 〝米国第一〟で軍事支援に消極的、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会もたらす


まとめ
  • トランプ前大統領が再選されれば、日本には大きな影響があり、政策逆転の可能性がある。
  • トランプ氏は輸入品に関税をかける考えを示しており、これが日本の自動車産業に打撃を与える可能性がある。
  • 中国との貿易においてもトランプ氏は強硬策を採ると予想され、対中政策では民主党との一致が見られる。
  • 安全保障面では、トランプ氏が米国第一主義を重視し、日本に積極的な軍事的関与を求める可能性が高いとされている。
  • トランプ政権下で日本は自力で国を守る「真の独立国」に向けた大きな機会を得る可能性がある。

 もしドナルド・トランプ前大統領が再び米国の大統領になった場合、日本にはどのような影響があるのか。トランプ氏が大統領選で優位に立っている状況であるため、この「もしトラ」の問題は現実味を帯びてきている。私は、この状況が日本にとって大改革のチャンスとなると考えている。

 政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の平均値によると、2024年2月6日時点でトランプ氏は現職のジョー・バイデン大統領を2.1ポイント引き離している。個別の調査を見ても、最近ではほとんどがトランプ氏が優勢となっている。

 もしトランプ氏が勝利すれば、バイデン政権が進めてきた政策の相当部分が覆されることは避けられない。

 例えば、トランプ氏は「米国への輸入品に一律10%の関税を課す」と公言しています。日本が輸出する自動車に10%の関税が課されれば、自動車メーカーにとっては打撃となるだろう。

 ただし、ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏は「それでも米国の貿易赤字は解消しない」と指摘している。高額な輸入品を購入することを強いられる米国の消費者にも不利な影響があるとされており、実際にどのような結果になるかは不透明だ。

 中国との貿易に関しては、ワシントン・ポスト紙が「トランプ氏が60%を超える関税を課す可能性がある」と報じ、トランプ氏自身もFOXの番組で「それ以上になるかもしれない」と述べている。また、「最恵国待遇」という他国との差別しない原則を取り消す可能性も噂されている。

 対中強硬策は、民主党との一致点が少ない中で唯一一致する分野だ。米中経済の切り離し(デカップリング)は、前政権よりも一層進むだろう。

 日本にとって最も重要な問題は安全保障だ。

 中国の習近平政権は、台湾への武力侵攻を選択肢として捨てていない。武力行使に至らなくても、臨検や海上封鎖などの措置を取る可能性がある場合、トランプ氏はどのような行動を取るのだろうか。

 トランプ氏自身は具体的な対応策について明言は避けているが、日本に対しては「積極的な軍事的関与を求める可能性が非常に高い」と考えられている。なぜなら、トランプ氏の最重要課題は「アメリカ・ファースト」だからだ。

 アメリカを最優先する考え方を日本に当てはめると、「台湾を失うことで日本が深刻な打撃を受ける」という結論になります。そのため、「日本が台湾の防衛に全力を尽くすべきだ」という考え方が生まれるのだ。

 これは大きなチャンスだ。

 第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすだろう。バイデン政権の下で防衛費増額に踏み切った岸田文雄政権だが、「トランプ復活」の場合、それだけでは足りないかもしれない。台湾の防衛のために、憲法改正を求める可能性もあるだろう。実際、2016年には日本と韓国の核武装についても言及していた。

 この状況は大きなチャンスだ。第2次トランプ政権が実現すれば、日本は他国に頼らずに自ら国を守る能力を高めることができるだろう。

【私の論評】日本の真の独立を促すとみられる、トランプ外交の真実

まとめ
  • トランプ政権は中国に対する強硬姿勢やイスラエル・アラブ諸国の和平交渉成功、ISISへの迅速な対応、COVID対策の渡航制限などで外交で成果を上げた。
  • バイデン政権は中国に対してソフトな態度を取り、イラン核合意やパリ協定への再参加を模索するが、批判も受けている。
  • トランプ政権はNATOの防衛費増額要求やロシアへの軍事力強化で国際的な安全保障に影響を与えた。
  • バイデン政権は価値観外交を推進し、外交において硬直した姿勢が目立つ。批判もあり、外交政策の一貫性が問われている。
  • 第2次トランプ政権が実現すれば、日本は従属から脱却し、自立国としての機会を得る可能性が高まる。

トランプ氏が大統領になる直前にマスコミは、外交経験のないトランプ氏の外交を危ぶむ声が多かったのですが、現実はそうではありませんでした。トランプ氏の外交を以下にふりかえっておきます。

習近平

 以前もこのブログに掲載したことですが、トランプは中国に対して強硬路線をとり、不公正な貿易慣行に対処させた最初の大統領です。バイデンはすでにトランプの関税の一部を撤回し、中国に対してよりソフトな態度をとっています。

トランプの政策は功を奏し、中国に交渉を迫っていたのですが、バイデンの弱腰は中国を増長させることになるでしょう。

トランプはイスラエルとアラブ諸国との歴史的な和平交渉を仲介しました。バイデンはすでにイスラエルとアラブ諸国関係を緊張させています。トランプは、何十年もの間、他国から遠ざかっていた中東での外交的突破口を開き、懐疑論者が間違っていたことを証明しました。

 トランプは記録的な速さでISISのカリフ制国家を壊滅させました。ISISはオバマ-バイデン政権下で急成長し、トランプはその混乱を一掃しなければなりませんでした。トランプは軍を解き放ち、ISISを迅速に粉砕し、イスラム過激派のテロに対する強さを示しました。

 バイデンは、イラン核合意やパリ協定といった不公正な取引に再び参加しようとしています。トランプは、米国に不利なこれらの取引から当然のごとく脱退しました。

バイデンは、これらの取引に再び参加することで、影響力を失い、見返りも何も得られないでしょう。

トランプはメディアからの批判にもかかわらず、COVIDの蔓延を遅らせる渡航禁止措置をとりました。バイデンはこの禁止措置を「外国人嫌い」と呼びましたが、賢明な措置であることが証明されました。

バイデンの政策がボリティカル・コレクトネスによって推進されているように見えるのに対して、トランプは命を救う可能性の高い厳しい決断を早期に下しました。


バイデンやオバマのより伝統的な政治的アプローチよりも、トランプの堂々とした「アメリカ・ファースト」政策がより良い結果を生んだことは明らかです。それは、米国にとってもその同盟国にとってもそうでした。

メディアはトランプを脅威として描いていますが、彼の政策は世界における米国の地位を強化し、敵対国に責任を負わせ、外交政策で大きな勝利を収めました。トランプの外交は、世界の舞台で米国の影響力を低下させるバイデンの外交よりはるかに優れています。全体として、トランプ氏のリーダーシップのほうが、米国とその同盟国はより安全で安心できる環境をもたらしたといえます。弱い米国は、米国だけではなく、日本含む同盟国にとっても不利益をもたらすのです。

バイデン氏は政治家として外交経験も豊富なので、トランプ政権からバイデン政権に変わったとき、多くの識者は、トランプよりはバイデンのほうがまともな外交をするだろうと、安堵の声を漏らす向きも多かったのですが、現実はどうだったでしょうか。バイデン外交は失敗続きだったといっても過言ではありません。

バイデンが副大統領をつとめたオバマ大統領は外交経験に乏しく、外交の中心はバイデンが担っていました。ところが、オバマ政権で国防長官だったロバート・ゲイツはバイデンについて「過去40年、ほぼ全ての主要な外交、国家安全保障問題で間違っていた」と回顧録で切り捨てています。

「誤り」として挙げられるのはイラク戦争への対応のほか、国連決議に基づいていた1991年の湾岸戦争への反対、2011年のイラク撤退でテロ組織の台頭を許したと批判されていること、アフガニスタンへの増派反対などがあります

米企業公共政策研究所の外交政策専門家コリ・シェイクも、バイデン外交について「軍事力をいつどのように使うかという一貫した哲学に欠けている」と米誌アトランティックへの寄稿で批判しています。

バイデンが大統領になってからは、価値観外交を推進し、それが故に硬直した外交姿勢になっている面は否めません。トランプは元々実業家であり、物事を流動的にとらえ、実利の面からものごとをとらえる傾向があるため、特定の政治信条にとらわれることはありません。

一方、米国は2021年8月の米軍アフガニスタンからの撤退そのものは正しい判断ではありましたがそれにしても、撤退の仕方そのものは失敗でした。、ロシアのウクライナ侵攻の直前には、米軍は直接介入はしないとわざわざ公表し、プーチンに免罪符を与えたものと勘違いされ、結局ロシアを後押ししてしまったといわれても仕方ない状況をうみだしました。

大統領専用機のタラップを降りるバイデン大統領

「もしトラ」が現実になれば、トランプはバイデンとは異なり、現実的で流動的な政策を実行するでしょう。

2018年のトランプ大統領の欧州訪問で北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談に出席したトランプ大統領は、NATOの欧州側加盟国に防衛費の増額を強く要求しました。加盟各国は最低限、GDP(国内総生産)2%の防衛費支出をするという約束を守れ、という要求でした。

トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道されました。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判もおおくありました。

しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていました。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのです。これは国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していました。

また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきました。2017年末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言しています。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認されました。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めたのです。

ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきました。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいませんでした。ロシアへの経済制裁もまったく緩めませんでした。

トランプ政権のロシアへの基本姿勢は、軍事力の強化によっても明らかだったといえます。トランプ大統領は2017年9月の国連演説で「原則に基づく現実主義」という理念を掲げ、国家主権に基づく「力による平和」という政策を語りました。それとともに、潜在敵であるロシアや中国の膨張を抑えるために、軍事力を大幅に強化し始めました。トランプ政権の2018年度の国防予算は、前年度から13%増加し、GDPの4%ほどに達しています。

今日ロシアがウクライナに侵攻したことを考えると、トランプのこうしたNATOへの働きかけは正しかったといえます。

トランプ氏は今月10日、南部サウスカロライナ州での集会で、過去のNATO首脳との会合を振り返ったとみられる中で、「ある大国」の大統領から「われわれが(軍事費を十分に)払わないまま、ロシアの攻撃を受けたら、あなたは守ってくれるか」と尋ねられたと紹介。「いや守らない。むしろしたいようにするよう彼ら(ロシア)に勧める。払わないと駄目だ」と答えたと語ったとされ、現在のホワイトハウスはこれを批判しています。

しかし、「払わないと駄目」という発言からもわかるように、これはNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めた従来の姿勢を崩していないと受け取るのが妥当だと考えられます。



このようなトランプ氏です。もし大統領になった場合、中国に対する不沈空母ともいえる日本を堅持するする姿勢は崩さないでしょうが、日本も応分の対応を求めてくるでしょうし、場合によっては、日本政府の親中・媚中的な姿勢にも苦言を呈するかもしれません。

長谷川氏の主張するように、第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすことになる可能性は高いです。

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2024年2月11日日曜日

「巨悪に挑む正義のヒーロー」と思ってはいけない…日本の特捜検察が冤罪を生んでしまうワケ―【私の論評】汚職事件との違いが際立つ自民党派閥パーティー券事件の本質

「巨悪に挑む正義のヒーロー」と思ってはいけない…日本の特捜検察が冤罪を生んでしまうワケ

まとめ
  • 政治資金パーティー券事件で、検察による大物政治家の立件が見送られたが、検察の政治介入の疑惑が浮上している。
  • 事件自体がそれほど悪質ではなく、立件も難しかったことから、検察の意図が問われている。
  • 日本の司法制度・運用には深刻な問題があり、国際的にも評判が悪化している。人質司法などが代表例。
  • 検察の介入で新しいビジネスが萎縮し、推定無罪の原則もないなど法治国家として異常な状況。
  • 巨悪への対処は立法を優先し、情報公開で犯罪防止を。抜本的な司法改革が喫緊の課題。
東京地方検察庁特別捜査部が設置されている 九段合同庁舎

 自民党派閥の政治資金パーティー券事件で、東京地検特捜部が派閥幹部らの立件を見送ったことについて、評論家の八幡和郎氏は辛辣だが的確な指摘を展開している。

 まず八幡氏は、事件自体が過去の大規模汚職事件ほど悪質ではなく、立件自体が困難だったことを指摘。その上で、検察が大物逮捕を示唆する情報を流し、事実上の政治介入を行った可能性を問題視する。

 加えて、検察が本丸の森喜朗元首相には手出しできず、側近の池田議員を逮捕したことから、政権との対立が意趣返しの意図につながったのではないかと疑問を呈する。

 さらに日本司法の抱える根深い問題にも言及。国際的に評判の悪いゴーン元会長への扱いや、逮捕が刑罰以上のダメージを与える「人質司法」がその象徴であると批判する。

 検察による新ビジネスへの介入が成長を阻害している点や、推定無罪の原則がないことの異常さも指摘。日本司法の前近代性を痛烈に批判している。

 その上で、巨悪への対処は立法を優先し、情報公開で犯罪を未然に防ぐことが先決であると主張。今回の検察のやり方は到底容認できず、抜本的な司法改革が必要不可欠だと訴える。

 共同親権制度の不存在や子の連れ去り問題など、国際常識から乖離した法制度の改正も喫緊の課題であるが、法務省の妨害が指摘されているという。

八幡 和郎(やわた・かずお) 
徳島文理大学教授、評論家

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】汚職事件との違いが際立つ自民党派閥パーティー券事件の本質

まとめ
  • 八幡氏が指摘する「大規模汚職事件」には、ロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件が含まれる
  • これらの事件は、政治家への大規模な金銭授受が明らかになった汚職事件
  • 一方、今回のパーティー券事件は会費名目での政治資金不正に留まり、金銭授受自体は違法とはいえない
  • 検察による大物逮捕示唆のリークなど、逮捕前の「犯人扱い」が問題
  • 事件の影響力が一様ではなく、事態の鎮静化もあり得る。慎重な見極めが必要

八幡氏が指摘している「過去の大規模汚職事件」とは、具体的にはロッキード事件やリクルート事件、東京佐川急便事件を指していると考えられます。

ロッキード事件を伝える当時の新聞

その根本的な違いは次の通りです。
  • ロッキード事件は、航空機購入の代金の一部を賄賂として政治家に渡した巨大汚職事件。
  • リクルート事件は、リクルートコスモスが自社の未公開株を政治家に割り当て、影響力の見返りを得た事件。
  • 東京佐川急便事件とは、佐川急便グループが政治家秘書らに対して現金を渡していたという汚職事件です。見返りとして佐川急便の利益につながるよう国会質問の内容調整などをしていた。政治家秘書らに対し、数千万円から1億円規模の現金を渡していた 。
これらの事件は、企業から政治家への大規模な金銭のやり取りが明らかになった汚職事件でした。

一方で今回の自民党派閥のパーティー券事件は、政治資金パーティーの会費名目で政治資金を集める際に、収支報告書への虚偽記載があったというもの。金銭の受領自体は違法ではないという点で性格が異なります。

したがって、今回の事件ほど企業と政治家の癒着という観点では重大性が低く、立件も難しいというのが八幡氏の指摘するところです。

ちなみに、ロッキード事件とリクルート事件における金銭の総額は以下の通りとされています。
  • ロッキード事件 総額:約6億2,000万円 内訳:田中角栄元首相への賄賂が約4億2,000万円など
  • リクルート事件 総額:約57億円 内訳:未公開株計130万株が政治家などに割り当てられ、1株当たり最高で約44万円のプレミアムがついたとされる
  • 佐川急便事件では、朝日新聞の調べでは、少なくとも1億2千万円以上 、日本維新の会の馬場伸幸前代表(事件当時は秘書)への授受だけで約1億円 、自民党の衆議院議員秘書に対する授受が複数あったとされ、政治家秘書らへの総額は少なく見積もっても数億円規模に上ると考えられる。
このように、ロッキード事件で数億円規模、リクルート事件では50億円、佐川急便事件では数億円を超える莫大な金額が動いていたと言われています。

リクルート事件を伝える当時の新聞

一方、今回の自民党派閥のパーティー券事件では、総額こそ明らかになっていませんが、会費名目で1人数万円程度を徴収していたとされており、規模の違いは歴然としているといえます。

八幡氏は元記事で、「逮捕される前からの犯人扱い」にしていることが問題だとも指摘しています。該当する事例として、以下のような検察による情報リークが考えられます。
  • 今回の自民党派閥パーティー券事件で、検察が大物政治家の逮捕を示唆するようなリークを行い、マスコミで大々的に報じられた
  • 東京佐川急便事件でも、大物議員秘書の逮捕直前に氏名が報道されるなど、検察からの情報リークが指摘された
  • 別の汚職事件でも、逮捕前からマスコミが「汚職議員」などと報じるケースがしばしば見受けられた
こうした報道が出回ることで、世間からの批判を受けるなど、事実上の「犯人扱い」となることが問題視されているといえます。憶測報道を避けるべきである、との八幡氏の主張は妥当なものです。

検察による捜査情報のリークは法律に違反する可能性が高い行為です。

具体的には、刑事訴訟法の「捜査の秘密」(第100条)に違反するおそれがあります。

この条文では、捜査に関与する検察官、司法警察員等に対し、職務上知り得た捜査の秘密を漏らしてはならない、と定められています。

今回のパーティー券事件での大物政治家逮捕の示唆などは、まさにこの「捜査の秘密」に関わる情報のリークに該当すると考えられます。

仮に捜査情報をリークした検察官が特定されれば、刑事訴訟法違反で処罰の対象となり得るでしょう。

したがって、八幡氏の指摘するように、検察による逮捕前の情報リークは法律上も問題がある行為だと言えます。

今回の事件が過去の「政治とカネ」の問題に端を発した政界再編の動きに似ている面はあります。

ただし、過去の事例から見ても、事件の影響力は必ずしも一様ではなく、収束していく可能性も必ずしも否定できません。

理由としては、まず今回の事件そのものが過去ほどの重大性がないことがあげられます。金額や事実関係の調査の粗っぽさから、世論の怒りを買い続けづらい側面があります。今後野党やマスコミも批判を続けるでしょうが、かといってそれによって何かが変わる可能性は低いです。そうなると、一般の関心は薄れていくことでしょう。

また、捜査当局である検察の偏向ぶりが明らかになれば、むしろ世論の反発を招きやすいところでしょう。過剰なマスコミ報道も視聴者からの反発が生じています。

自民党内でも、今回の事態が過熱することへの牽制が働くと考えられ、一定の歯止めとなり得るでしょう。

こうした動向次第では、徐々に事態が鎮静化し、大きな政界再編には至らない線も十分に描けるでしょう。今後の動向に注意が必要ですが、決して悲観的なシナリオしかないわけではないです。

私は、今回の検察のリークに端を発した事件により、大きな政界再編成がおこってしまえば、検察やマスコミを一層奢り高ぶらせ、また政治に介入してくる端緒を与えかねないと懸念しています。このような懸念を自民党幹部が抱く可能性は高いです。

岸田首相

その意味では、私自身は、岸田政権には不満であるものの、岸田政権には少なくともう一期くらいは、続けさせ政治を安定化させ、マスコミや検察などの倒閣運動など通用しないことをはっきりさせた上で、次の展開を考えたほうが良いと思います。それは、自民党に野党にもいえることだと思います。

そうでないと政局はとんでもない方向に動いていき、せっかく安倍政権・菅政権で築きつつあった、官僚主導でない政治主導の政治が根底から覆され、それこそ官僚主導、その中でも最強の官庁である財務省主導の政治がより一層色濃く展開されることになりかねません。

今のままだと、岸田政権は打倒したものの、その後継政権は岸田政権以下という事になりかねません。しかも、官僚たちが一斉に蠢き出し、財務省は緊縮財政に走り、日銀は金融引き締めに走り、経済は落ち込み、中国や韓国は、これによって一息つき、さらに日本への干渉を強めるでしょう。

LGBT理解促進法案が促進され、巷で大混乱になり、移民が大勢日本にやってきたり、ポリティカル・コレクトネスがより一層日本でも促進され、混乱の極みになる可能性は否定しきれません。混乱するだけならまだ良いのですが、多くの国民が実際にその実害を被るという事態になりかねません。

無論岸田政権であっても、これは懸念されるのですが、政権が不安定になれば、一層これを進めやすくなります。岸田政権が崩壊したということになれば、官僚やマスコミ、反日勢力などが大きく勢いづくことになります。それを防止するためにも、岸田首相には、国民にもっと寄り添い、官僚機構と闘う政治家に変身していただきたいのです。

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2024年2月10日土曜日

米海軍の「悪夢」を現実にしたウクライナ無人艇群の軍艦撃沈―【私の論評】潜水艦とドローン:日本の海洋戦略と未来の海軍力

米海軍の「悪夢」を現実にしたウクライナ無人艇群の軍艦撃沈

まとめ

  • ウクライナ軍は、水上ドローンを用いてコルベット艦「イワノベツ」を撃沈、これらによりウクライナ南部の港へのロシア軍接近を阻止
  • ウクライナ軍の攻撃が世界各国海軍に警鐘、米海軍はレーザーやマイクロ波など対ドローン技術を開発
  • 中国による台湾侵攻抑止にも活用検討、ドローン攻撃への対策強化と攻撃型ドローン開発の両面強化
  • 現代ではドローンが海戦において重要な役割を果たし、各国海軍はドローン対策と攻撃型ドローン開発に力を入れつつある
  • 米海軍のドローン認識を高め、対策加速し、ドローン攻撃への対策強化と攻撃型ドローン開発加速

ウクライナ軍の水上ドローン

 ウクライナ軍はクリミア西部で水上ドローンを用いてロシア海軍のコルベット艦「イワノベツ」を撃沈したと主張し、動画を公開した。この戦果は、ウクライナが黒海艦隊の艦艇を次々に撃破し、ウクライナ南部の港への接近を阻止することに一定の成功を収めていることを示している。

 攻撃には最大6隻の水上ドローンが使用されたと推定されており、イワノベツは移動不能となるほどの損害を受けた。ロシアは約89億~100億円の損害を被ったと見られる。

 この攻撃は、米海軍を含む世界各国海軍にとって、ドローンによる攻撃の脅威と、対ドローン防衛の重要性を浮き彫りにした。

 米海軍は、レーザーや高出力マイクロ波など、ドローンに対抗する様々な技術を開発・運用している。しかし、ウクライナ軍の攻撃は、これらの技術が十分ではないことを示している。

 一方、米海軍は攻撃型無人艇の開発も進めており、中国による台湾侵攻の抑止にも活用することを検討している。

 ウクライナ軍による水上ドローンの使用は、米海軍のドローンに対する認識を高め、ドローン攻撃への対策を加速させる可能性がある。

 現代の海戦において、ドローンは重要な役割を果たすようになってきている。今後、各国海軍はドローン攻撃への対策を強化すると同時に、攻撃型ドローンの開発にも力を入れていくことが予想される。

この記事は元記事の要約です、詳細は元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】潜水艦とドローン:日本の海洋戦略と未来の海軍力

まとめ
  • 飛行するドローンや水上ドローンは既存の哨戒システムでは発見しにくく、防御も難しい。
  • 現代海戦の主役は海上艦艇ではなく、潜水艦であり、潜水艦の発見や破壊は非常に難しい。
  • 日本の潜水艦は静寂性が高く、攻撃後の速やかな離脱により発見が難しい。
  • 日本は静寂性の優れた潜航型ドローンの開発により海軍力をさらに強化できる可能性がある。
  • 米国と日本が潜水艦をトレードすることで、両国は世界最高水準の海軍力を維持できるだろう。
ロシア海軍のコルベット艦「イワノベツ」

飛行するドローンや水上ドローンは、従来の哨戒システムでは捕捉が難しい場合があります。水上ドローンは、波や海流に紛れて、目視で発見することも難しい場合があります。

また、仮に発見できた場合でも、多数の水上ドローンの攻撃を受けた場合、これを防御するのは難しくなります。

一方水中を航行する、水中ドローンはレーダー波が減衰するため、水中を航行するドローンを検知することは困難です。

上の記事では、潜水艦に関しては述べられていません。このブログでも何度か指摘してきたとおり、現代海戦の主役は海上艦艇ではなく、潜水艦です。海上艦艇は、空母を含めて、ミサイルの標的でしかなく、ミサイルによって撃沈されてしまいます。

ウクライナ軍によるコルベット艦攻撃は、今日では、水上艦はミサイルと安価なドローンによる標的になってしまったことを象徴しています。飛行するドローンと水上ドローンの飽和攻撃を受ければ、仮に強力な防空システムや哨戒システムがあっても撃沈される可能性は高いです。特に安価なドローンは、高価なミサイルとは異なり、一度の攻撃にかなりの数を用いることができます。

現在では、ますます、水上艦艇はミサイルやドローンの標的にすぎなくなったのです。

ロシアのヤーセン型原潜

しかし、潜水艦はこの限りではありません。潜水艦を発見できれば、ドローンでもこれを破壊することは可能だと思いますが、特に潜水艦が駆動装置を止めた状態で潮流にのって移動してい場合これを発見するのは、ほとんど不可能です。

ただ、対戦哨戒能力が高い日米であれば、これを発見できる可能性はあります。特に原潜であれば、発見できる可能性もあります。

原子炉は、熱エネルギーを動力に変換するために冷却水を循環させています。この冷却水ポンプが大きな騒音を発生します。これには、様々な対策を講じていますが、いまのところは完璧ではありません。

しかし、通常型の潜水艦の場合は、原子炉を冷やす冷却水ポンプなどはないので、かなり騒音をセーブできます。この場合、発見するのはかなり難しいです。それでも、魚雷やミサイルを発射した場合には、騒音を発するので、発見されやすくなります。その後は静寂性が勝負になります。

ミサイルなどを発射した後には、敵の攻撃を避けるため、そこからすぐに離脱しますが、静寂性が低いと、発見されやすくなります。

日本の潜水艦は、潜航中ですら無音に近いとされていますから、潮流にのらなくても、発見さするのは難しいです。そのような静寂性に優れた潜水艦であっても、魚雷やミサイルを発射したときには、騒音が発生するため、発見される可能性は高いです。

ただ、発射後にすぐにその場から離脱しますから、離脱後にはかなり発見が難しくなります。特に、対潜哨戒能力が未だ日米にはるかに及ばない中国とロシアはこれを発見することは難しいです。

大砲・ミサイル・魚雷であろうと、ドローン、レールガン、レーザーガンであろうと、今後開発されるであろう想像もつかないような兵器であろうと、発見できない敵に対しては無効なのです。これは、プロパガンダや時代や倫理問題等や政治理念や超えた、単純明快な真理だと思います。

以上のことを考えると、日本の場合少なくとも、海上自衛隊に関しては、ドローン対策はすである程度できているといえます。現状では海軍としては、自国を守るという意味では、最も有利な地位にあると言っても過言ではないと思います。

日本の最新型潜水艦「たいげい」

日本としては、静寂性の優れた潜水艦が建造できるわけですから、静寂性の優れた水中ドローンを開発して、多数・多種類を実用化すれば、さらに海軍力を強化できるでしょう。

米国が製造する潜水艦は核を搭載する戦略原潜も、核を搭載しない攻撃型原潜もすべて原潜です。そのため、米国は最早最新型の通常型潜水艦を製造することはできません。無論これから、開発する能力は十分ありますが、もう数十年も製造していないのですから、これから開発するとなるとかなりの時間と労力を必要とします。運用にも時間がかかるでしょう。日本は、これを製造・運用できるわけですから、米国もこれを欲しがるかもしれません。

日本には、原潜はありません。日本にはこれを製造する技術はありますが、それでも実際に製造、さらには原潜の運用ということになれば、多くの年月を要するでしょう。

米軍と、日本とが互いに潜水艦をトレードするようになれば、日米ともに世界最高水準の海軍の座を維持し続けることになるでしょう。

日本としては、いずれトレードした米原潜に核兵器を搭載することも検討すべきでしょう。これを、中露北が最も恐れていることでしょう。たとえ、実際には搭載しなかったにしても、中露北にとっては、その潜在的な脅威があるので、かなりの牽制になるのは間違いないです。

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2024年2月9日金曜日

中国に外務省公電漏洩疑惑の衝撃 林官房長官の説明、簡単には信用できない「日本版CIA」「スパイ防止法」の制定を―【私の論評】日本の国家安全保障強化のための5つの提言

まとめ
  • 外務省システムが中国からのサイバー攻撃を受け、外交公電が漏洩
  • 米政府は2020年夏に日本政府に警告
  • 情報漏洩は国家存亡に関わる危機
  • 日本は「インテリジェンス最貧国」にならないよう、諜報活動やスパイ行為の取り締まりを強化
  • 政府は情報管理体制の強化、米国など同盟国との連携、諜報活動やスパイ行為の取り締まり強化、「日本版CIA」の創設、「スパイ防止法」の制定など、抜本的な対策を講じる必要がある

 日本の情報管理体制に深刻な問題が露呈した。機密情報を含む外交公電をやりとりする外務省のシステムが中国からのサイバー攻撃を受け、大規模な情報漏洩が発生していたのだ。

 この衝撃的な事実を報じたのは読売新聞。米政府が2020年夏に日本政府に警告していたという情報も明らかになった。

 情報漏洩の内容や、攻撃を受けた経緯はまだ明らかになっていない。しかし、北京の日本大使館と外務省本省間で交わされた公電が中国当局に読み取られていた可能性は極めて高い。

 林芳正官房長官は漏洩を否定しているが、過去の情報漏洩事件を踏まえると、楽観視は許されない。

 日本は過去にも、米紙ワシントン・ポストによって、中国人民解放軍のハッカーが日本の防衛関連ネットワークに侵入していたことが報じられている。

 外交問題においては、国家間の懸案を「外交的解決」で解決したいと考える人が多い。しかし、相手国に機密情報が筒抜けになっている状況では、外交交渉において不利な立場に立たされることは避けられない。

 情報漏洩は国家存亡に関わる危機であり、日本政府の対応は極めて不十分と言わざるを得ない。

 情報漏洩は今回が初めてではない。第二次世界大戦中にも公電が傍受された例がある。現在ではSNSの普及により、情報の重要性はかつてないほど高まっている。

 著者は2021年出版の著書「いまそこにある中国の日本侵食」において、中国の宣伝工作や情報工作について警鐘を鳴らしてきた。中国共産党傘下の対外工作機関「中央統一戦線工作部」や、中国人民解放軍傘下のサイバー部隊の存在も指摘している。

 中国の脅威が高まる中、日本にとって米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」への参加は重要である。しかし、情報管理体制が脆弱な現状では、同盟・友好国の信頼を得ることはできない。

 日本は「インテリジェンス最貧国」にならないよう、諜報活動やスパイ行為の取り締まりを強化する必要がある。

 政府は2022年12月に国家安全保障戦略など安保3文書を閣議決定したが、情報分野における対策は不十分だ。

 情報漏洩は一朝一夕に解決できる問題ではない。しかし、何か事が起きてからでは取り返しがつかない。政府は一刻も早く抜本的な対策を講じる必要がある。

 この記事は元記事の要約です、詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】日本の国家安全保障強化のための5つの提言

まとめ
  • 情報漏洩は国家の存立に関わる重大な問題である
  • 政府は国民の安全を守るため、安全保障体制を抜本的に強化する必要がある
  • 情報セキュリティ対策、同盟国との連携、諜報能力の強化が必要
  • 「日本版CIA」の新設、「スパイ防止法」の整備が必要
  • 財政面や法整備の障壁はあるが、国家の存立に関わる問題なので実行が必要
日本国家の存亡に関わる重大な局面で、国民が一丸となって立ち向かう様子 AI生成画像

情報漏洩は国家存亡に関わる重大な問題です。政府は国民の安全を守るために、迅速かつ抜本的な対策を講じる必要があります。具体的には、以下の方策を早急に実行すべきです。

近年、中国やロシア、北朝鮮をはじめとする国々によるサイバー攻撃やスパイ活動、情報戦といった国家安全保障に対する脅威が高まっています。日本も例外ではなく、政府機関や重要インフラ、防衛産業に対するサイバー攻撃が確認されるなど、情報セキュリティ体制の脆弱性が問題視されています。

このような情勢を踏まえ、日本は国家安全保障体制を抜本的に強化し、サイバー空間を含むあらゆる領域における安全保障能力を高める必要があります。具体的には以下の5点を柱とする安全保障強化策を実行することが急務です。

1. 情報セキュリティ対策の強化

政府機関や重要インフラの情報セキュリティ対策を大幅に強化し、サイバー攻撃や内部情報漏洩への防御力を高める必要があります。

具体的には、最新のセキュリティ設備の導入、職員への継続的な情報セキュリティ教育の実施、情報管理規程の見直しによるセキュリティルールの厳格化などを行うべきです。

さらに、サイバーセキュリティ担当機関の体制を拡充し、高度なサイバー攻撃に対応できる技術力と人材を育成していくことも重要です。これにより、政府機関や重要インフラの情報システムを隙間なく守り抜く体制を確立することができます。

2. 米国等との安全保障協力の拡大

米国や英国、豪州、NATO等の同盟国・友好国との安全保障協力を大幅に拡大する必要があります。具体的には、サイバー空間を含む安全保障分野における定期的な政策協議の実施、共同訓練・演習の拡充、装備・技術協力の推進などを行うべきです。

中でも米国とは、日米安全保障条約に基づく強固な二国間協力体制をさらに発展させ、サイバー攻撃に対する共同対処能力や先端技術開発での連携を深めることが重要です。こうした同盟国との緊密な連携により、日本の安全保障力は大きく強化できます。

3. 諜報機関の抜本的強化

外務省、防衛省、公安調査庁等の諜報機関の人員と予算を大幅に拡充し、情報収集・分析機能を抜本的に強化する必要があります。具体的には、情報機関職員の増員、語学力と専門性を兼ね備えた人材の育成、最新の情報収集装備の導入などを進めるべきです。

また、収集した情報を政府横断的に共有・活用するための仕組み作りも重要です。これにより、外国の軍事動向や意図、サイバー攻撃等の諜報活動を的確に探知し、対処する能力が強化できます。 

4. 「日本版CIA」の新設

外交、防衛、公安の情報機関を統合した、強力な中央情報機関を新設する必要があります。米中央情報局(CIA)や英秘密情報部(MI6)のような「日本版CIA」を設立し、政府全体の諜報活動を一元的に指揮・運用することが重要です。これにより、複雑化・専門化する諜報作戦に機動的に対応し、収集情報を政策立案に迅速かつ効果的に反映できる体制を構築できます。

日本版CIAの女性エージェント AI生成画像

5. 「スパイ防止法」の整備

外国スパイによる諜報活動を違法化し、厳しく取り締まるための「スパイ防止法」を整備する必要があります。米国の「エコノミック・エスピオナージ法」のように、外国のための情報収集活動や秘密漏洩を禁止する法整備は遅れているため、早急に実現するべきです。これにより、外国工作員によるサイバー攻撃や政府機密の窃取を抑止し、安全保障を確保できます。

以上の5点は、日本の安全保障強化における最重要課題です。財政面や法整備の障壁はあるものの、国家の存立に関わる問題であるため、政府は国民の理解を得つつ、着実に実行する必要があります。日本の安全保障能力を高め、変化する国際情勢に主体的に対応していくには、こうした安全保障体制の抜本強化が不可欠です。


日本の軍備 AI生成画像

政府は国民の英知を結集し、安保強化に向けた国家的合意形成に全力を尽くすべきです。同時に、自主独立の平和国家を目指す我が国の立場を世界に強力に発信し、国際社会の理解を得る外交努力も欠かせません。

ゆるぎない日米同盟関係のもと、積極的平和主義の旗を高く掲げ、進化する安全保障環境に適応すべく、防衛力の抜本的増強を実現することが必要不可欠です。これは決して他国を脅かすための措置ではなく、自国および同盟国の自由と繁栄を堅守するための正義の処置なのです。

今こそ、国難に立ち向かうため、国民は一丸となって、安全保障体制の抜本強化を断行すべき歴史的使命があるのです。これが、変動する国際情勢において日本が生き残り、尊厳を守る唯一の道なのです。

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2024年2月8日木曜日

中国が15年ぶり首位転落=米輸入、対立激化背景に―23年―【私の論評】日本より酷い中国バブル崩壊に対応するため日本企業、特に中小は輸出入の多様化を

中国が15年ぶり首位転落=米輸入、対立激化背景に―23年

まとめ
  • 15年ぶりに、米中対立で中国輸入20%減し、15年ぶりに中国の首位陥落、メキシコにぬかれる。工業製品から消費者向け製品まで幅広い品目で減少している。
  • サプライチェーン再編がお骨ている。メキシコ、カナダ、ベトナムなどが存在感を増し、中国依存度低下、多様化が進んだ。
  • 今後の貿易動向と新たな貿易秩序形成に注目。

米国の港で、船から積み下ろされる中国からのコンテナ AI生成画像

 米商務省が7日発表した2023年の貿易統計では、米中対立の激化を背景に中国からのモノの輸入が大幅に減少した。国別ではメキシコに抜かれ、2008年以来15年ぶりに首位から転落。米国が進めるサプライチェーン(供給網)再編により、モノの流れに変化が生じている現状を示した。

 23年の中国からの輸入額は前年比20%減の4272億ドル(約63兆円)。輸入額全体に占める比率も約14%と、20%を超えていた5年前から大きく低下した。工業製品から消費者向け製品まで幅広い品目が減少。輸出入を合わせた米中間の貿易額も縮小した。

 一方で、米国と貿易協定を結ぶメキシコやカナダ、米国が中国の代替地として期待するベトナムは、輸入額全体に占める比率が上昇傾向を示しており、存在感を増している。

【私の論評】日本より酷い中国バブル崩壊に対応するため日本企業特に中小は輸入の多様化を
 
まとめ
  • 中国経済はバブル崩壊状態にあり、給与の低下、不動産市場の崩壊、消費の落ち込みなど、様々な問題が深刻化している。
  • 中国経済の低迷は日本にもデフレ圧力をもたらす可能性がある。
  • 中国政府は経済対策を講じているが、その効果は限定的とみられる。
  • 中国経済の低迷は長期化する可能性が高く、その低迷は、世界経済に大きな影響を与える可能性がある。
  • 日本企業は、中国市場への依存度を下げ、新たな市場を開拓していくことが重要になる。

上の記事にもあるよう、米商務省が2月7日に発表した2023年の貿易統計によると、米国の輸入相手で中国が15年ぶりに首位から外れました。また、日本や韓国、ヨーロッパなどでも中国への貿易依存度が下がっており、2023年までの5年間で中国貿易に占める各国の比率は0.1~2.5ポイントほど下落しています。

このような状況は身近にもあります、先日私はセブンイレブンで、プレミアムピーナツチョコレートを購入したのですが、以前は落花生の輸入先は何度か購入したことがありますが、その度に「中国」と記されいたのですが、先週購入したものには、「アメリカ、ブラジル」と書かれていました。このようなことは初めてでした。セブンイレブンにこれを卸している生産者は、輸入先を変えたか、多様化したのでしょう。

中国経済はバブル崩壊状態にあり、日本のバブル崩壊よりも酷い状況である可能性が高いです。実際、給与の低下、不動産市場の崩壊、消費の落ち込みなど、様々な問題が深刻化しています。

中国李強氏は、ダボス会議で中国投資を呼び掛けましたが、政治的リスク懸念から冷遇されました。中国経済の低迷は日本にもデフレ圧力をもたらす可能性があり、今後、中国の動きを注視する必要があります。

中国の寝そべり族

現状の中国は、不動産市場が崩壊し、家計資産の約8割が失われたとされています。公務員の給料は25~50%下がり、給料の未払もめづらくありません。そのため、多くの中国人は経済的な困窮に陥っており、消費が急速に落ち込んでいます。そのせいもあってか、中国からの訪日客も減少しています。

中国政府は経済対策を講じているが、その効果は限定的とみられます。中国経済の低迷は長期化する可能性が高く、その低迷は、世界経済に大きな影響を与える可能性があります。日本企業は、中国市場への依存度を下げ、新たな市場を開拓していくことが重要になるでしょう。

以下に、2021年1-7月に比べた2023年同期の対中貿易の変化率の表をあげます。


中国からの輸入は減ったものの、米国と比較すば、現状の日本のサプライチェーンは中国にまだ大きく依存しており、中国からの輸入が途絶えると日本経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、中国依存を減らすための動きが日本企業の中で見られますが、これが必ずしも好ましい方向に進んでいません。

中国との貿易構造では、輸出と輸入の両方に問題があります。特に、安全保障に関わる半導体関連品目の輸出減少率が全体の輸出減少率よりも小さいこと、また、サプライチェーンの強靭性に関わる電気・電子機器の輸入が減少していません。

これらの問題に対処するためには、経済的利益と安全保障上のリスクをバランスさせることが必要であり、そのためには中国依存をどの程度下げるべきかが重要な課題となります。

政府には、安全保障上のリスクおよび今後の対中輸出規制の拡大の方向性に関する情報を、民間企業に届ける、特に中小企業にも届くように、一層の努力をすべきでしょう。

日本の中小企業 AI生成画像

中小企業は、情報収集やリスク対策に十分なリソースを割くことが難しい場合があります。政府は、これらの企業への個別支援を充実させ、情報格差を解消することが重要です。

また、民間団体や国際機関との連携により、より効果的な取り組みを進めることができます。

政府が積極的に取り組むことで、中国との経済関係を適切なレベルに保ち、日本の安全保障と経済発展を守ることができると考えられます。

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2024年2月7日水曜日

TSMCが熊本第二工場建設を発表、6nmプロセス導入 27年末の操業開始へ―【私の論評】日本の半導体自給力強化と対中牽制の地政学的意味

TSMCが熊本第二工場建設を発表、6nmプロセス導入 27年末の操業開始へ

まとめ
  • TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー、トヨタ自動車は、TSMCの子会社JASMの熊本第二工場の建設を発表し、2027年の稼働を目指す。また、トヨタが少数株主として参画する。
  • 両工場の設備投資額は200億米ドル以上で、月産10万枚以上の生産能力を持つ予定です。製造は40nm、22/28nm、12/16nm、6/7nmのプロセス技術を使用し、熊本地域では3400人以上の高度技術専門職を雇用する予定。
  • TSMCはJASMへの最大52億6200万米ドルの増資を決定し、TSMCが86.5%、ソニーセミコンダクタソリューションズが6.0%、デンソーが5.5%、トヨタが2.0%のJASM株式を保有する。
台中の中部サイエンスパークにあるTSMCの工場

TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)、デンソー、トヨタ自動車は2024年2月6日に、TSMCの子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の熊本第二工場の建設を発表した。工場は2024年末までに着工し、2027年の稼働を目指す。また、トヨタが少数株主として参画する。

既に建設中の第一工場と合わせて、設備投資額は200億米ドル以上になる予定。これは日本政府強力な支援を受ける前提で計画されている。工場は月産10万枚(12インチウエハー換算)以上の生産能力を持つ予定で、自動車、産業、民生、HPC関連アプリケーション向けに40nm、22/28nm、12/16nm、6/7nmのプロセス技術による製造を行いる。これにより、熊本地域では3400人以上の高度技術専門職の雇用が見込まれている。

TSMCはJASMへの最大52億6200万米ドルの増資を決定た。これにより、TSMCは86.5%、SSSは6.0%、デンソーは5.5%、トヨタは2.0%のJASM株式を保有することになる。

【私の論評】日本の半導体自給力強化と対中牽制の地政学的意味

まとめ
  • TSMCは台湾の半導体ファウンドリ大手で、世界の半導体サプライチェーンを支える
  • 熊本に新工場を建設することで、日本の半導体供給の弾力性が強化される
  • 日本の技術的独立性が高まり、半導体の国内生産能力が強化される
  • 中国と台湾の緊張回避に寄与し、TSMCのリスク分散にもなる
  • 日本を先端ロジックチップ生産の重要国に位置づけることになる
  • 半導体製造装置の対中輸出規制等とあいまって、日本は中国を牽制している
TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は、台湾に本社を置く世界最大の半導体製造専業企業です。1987年に設立され、現在ではグローバルに多数の製造拠点を持つなど、半導体産業のリーダーとして広く認知されています。

TSMCは、ICデザイン企業や大手エレクトロニクスメーカーなどからの設計データを元に、半導体の製造を受託するファウンドリ業務を主に行っています。最先端のプロセス技術を持ち、小型で高性能な半導体の製造を可能にしています。

また、TSMCはスマートフォンやパソコン、データセンターなどの分野で使用される高性能プロセッサから、IoTデバイスや自動車などの分野で使用される低電力チップまで、幅広い用途の半導体を製造しています。

建設中の第1工場

今回のTSMCの熊本第2工場の建設に関しては、地政学的にも大きな意味があります。

日本にとっては、日本の半導体サプライチェーンの弾力性を強化し、台湾や韓国への依存度を下げることになります。国内の最先端チップ製造施設を持つことは、日本の技術的独立性を高めることになります。

先端半導体の戦略的重要性と、特に防衛、電気通信、自動車などの重要産業における国内生産能力の価値を強化することになります。

TSMCの日本での拡大は、中国と台湾の間の地政学的緊張の高まりと重なります。台湾以外にもう1つ大規模な工場を建設することで、TSMCの経営リスクを分散することができます。


新工場は、日本を最先端のロジックチップ生産における重要なプレーヤーとなることを意味し、これにより、日本への半導体サプライチェーン投資がさらに拡大する可能性があります。

日本、台湾、中国の関係にも潜在的な影響があります。TSMCの新工場は、政府間の外交的関与や技術提携に影響を与える可能性があります。

まとめると、TSMCの新施設は日本の半導体サプライチェーンを強化し、産業競争力を高め、台湾への依存度を下げ、地域の地政学的ダイナミクスと相互作用する。この拡張は、先端チップの戦略的価値と、より現地生産化する傾向を浮き彫りにしています。

日本は、半導体を軸に中国への制裁を強化してきました。

2023年1月27日、日本、米国、オランダの3ヶ国は、中国への半導体製造装置の輸出制限で合意しました。これは、中国の軍事力増強に繋がる恐れがあるとして、先端半導体製造装置の輸出を制限する措置です。

対象となる装置は、露光装置やエッチング装置など、半導体製造に不可欠な装置です。これらの装置は、中国の軍事開発にも使用される可能性があるため、輸出を厳格に管理することで、中国の軍事力を抑制することを目的としています。

なお、日米は、今回の措置は中国への輸出を全面的に禁止するものではなく、経済安全保障を確保するための必要な措置であると説明しています。

また、中国企業との取引を完全に停止するのではなく、安全保障上の懸念がない取引は継続していくとしています。

また、2023年7月23日、日本政府は、中国の軍事転用を懸念し、半導体製造装置23品目について、キャッチオール規制を強化しました。輸出を厳格に管理することで、中国の軍事力を抑制することを目的としています。

中国の半導体産業 AI生成画像 なぜか防塵服の頭部がウサギ耳に・・・

この措置は、米国が中国に対して同様の措置を実施していることに呼応したものであり、日米同盟の強化にもつながります。

以上のように、日本が中国に対して半導体製造装置や工作機械の輸出制限を行うことは、地政学的に有利に働き、世界の安定にも寄与する可能性があります。また、経済的な利益も期待できます。

日本の半導体関連輸出制限やTSMCの新工場の設置は、世界全体に様々な影響を与える可能性を秘めた重要な政策です。

日本が、地政学的にさら有利になるとともに、それが世界からの投資を惹きつけ経済的も利益をもたらすという相乗効果を生み出す重要な戦略と位置づけることができます。

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2024年2月6日火曜日

令和5年実質賃金、2年連続減 物価高、2・5%マイナス 給与増も追い付かず―【私の論評】岸田首相は、官僚機構と闘う政治家に変貌し続投すべき

令和5年実質賃金、2年連続減 物価高、2・5%マイナス 給与増も追い付かず

まとめ
  • 実質賃金は2年連続でマイナスとなり、消費税率8%への引き上げ時以来の大幅な減少
  • 名目賃金は増加したものの、物価上昇に追いついておらず実質的購買力は低下
  • 所定内給与は増加したが、所定外給与の伸びは鈍く、物価上昇に対応できず
厚生労働省

 厚生労働省の発表によると、2024年の実質賃金は前年比2.5%減で2年連続のマイナスとなった。名目賃金は1.2%増だったものの、物価高騰の影響で実質的な購買力は低下した。
 
所定内給与は春闘の効果で27年ぶりに増加した一方、残業代や賞与を含む所定外給与の伸びは鈍く、物価上昇に追いついていない。

 一般労働者とパート労働者の給与総額ともに増加したが、実質的な所得水準は低下している。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】岸田首相は、官僚機構と闘う政治家に変貌し続投すべき

まとめ
  • 消費税率8%引き上げ時賃金低下したこと踏まえ、消費税率10%から5%への引き下げるべき
  • 財源は国債発行と日銀による引き受けでもできる、これはコロナ対策で成功した先例がある
  • 経済成長により中長期的な減税の財源確保は可能
  • 財務省の抵抗が消費税減税の障害となっている
  • 岸田政権には財務省と対峙する政治姿勢を貫き、できれば続投すべき
実質賃金と購買力低下で苦しむ人々 AI生成画像

実質賃金と購買力低下への対応として、即効性のある消費税減税が最も有効と考えられます。

消費税10%を5%に引き下げ、生活必需品の税率を更に引き下げることが考えられます。これにより、低中所得者の負担を直ちに軽減できます。

消費税率を8%に引き上げ時に、実質賃金の低下が生じた経験があることから、消費税税率を8%よりも下げるべきです。

財源に関しては、いわゆる特別会計の埋蔵金をもちいるとか、政府が国債を発行して、日銀がそれを引き受ける等の方法があります。現在の日本なら、十分に可能であり、何の心配もありません。

政府が国債を発行して、日銀がそれを引き受けるという方式は、安倍元総理がいう「日銀政府連合軍」という方式です。これによって、安倍・菅両政権合計で100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実施しました。

そのため、日本は他の先進国等が、一時的に失業率がかなり上昇したにもかかわらず、日本ではそのようなことはありませんでした。また、この時に対策を行ったことにより、岸田政権初期には、経済的にはかなり良いスタートを切ることができました。この方式は現在でも適用できます。

そうして、注目すべきは、100兆円の国債発行による副作用などなかったことです。もし、それがあれば、財務省はこれを盛んに喧伝したはずですが、そのようなことはありませんてした。財務省の立場にたてば、喧伝すれば良いようにもみえますが、これをすれば、様々な矛盾が露呈することを財務省は恐れているいるのかもしれません。

菅氏(左)と安倍氏(右)

そうして、中長期的には、経済成長により財源を確保し、消費税率引き上げを回避できます。これは、財務省には全くない視点です。本当に困ったものです。

ただし、経済が加熱して、物価上昇率が4%を超えるような状態になれは、消費税率を再びあげることも検討すべきです。問題の本質は、消費税が実体経済を無視して、税率が一方的にあがつてきたことです。

本来は、その時々の実体経済にあわせて、上げたり下げたりすべき筋のものです。上がりっぱなし、下がりっぱなしということは、マクロ経済政策的にあり得ないことです。財務省は上げることだけに執着しているようです。

以上は、経済政策の王道です。しかし、なぜかこのようなことは、実現されそうにもありません。それは、いわずとしれた経済政策の理論などとはかけ離れた緊縮命、増税命の、財務省の抵抗があるからです。

「財務省のポチ」とも揶揄される岸田総理ですが、彼の本心はどうなのでしょうか?財務省と対峙する政治家としての真価が問われる時が来たようです。

国会で、経済対策で「税収増還元」を訴えた岸田総理に対し、鈴木財務大臣は「国債償還」を理由にあっさり却下しました。トリガー条項発動にも難色を示し、国民の苦境を無視する姿勢を露呈しました。これは、あるまじきことです。

財務省を中心とする官僚機構は、日本の権力中枢に君臨し、増税を是とするマスコミや学者は官僚と結託し、国民不在の政治が行われています。

近代化や高度経済成長を支えた官僚制は、バブル崩壊後(本当は日銀の誤謬による金融引き締めが原因)の経済停滞に無策でした。政治主導への転換がなされず、過去30年給料は上がらず、国民の可処分所得は減少しつづけました。財務省は予算の見直しをせず、国民から税を搾り取るだけです。

財務省こそ本当の国民の敵です。岸田総理は「減税」を主張するも、鈴木大臣は「財源がない」と抵抗。本来、総理の指示に従うべき大臣が財務省に逆らえない構造になっています。

岸田総理は人事権を行使し、鈴木大臣や財務省幹部を更迭できます。しかし、麻生太郎氏ら財務省と繋がる政治家への圧力は、総理の座を脅かしつつあります。最近の政治資金不記載問題も、財務省が裏で糸を引いているという可能性が大です。

しかし、財務省は国家の財布を握り、情報力も圧倒的です。財務省に逆らうと、税務調査や不祥事の暴露など報復を受ける可能性があります。

ただ、SNSや動画配信の普及により、多くの国民は情報に敏感になり、財務省批判が強まっています。マスコミも財務省への疑問を呈し始め、世論は変化しつつあります。

財務省

岸田総理は見当違いのところもありますが、異次元の少子化対策、所得税減税、トリガー条項発動検討など、国民のために本気で改革しようとしているのかもしれないです。無論、一方で、LGBT法案を成立させたり、移民を推進しようとしている姿勢は許しがたいです。

安倍元総理は、官僚人事への積極的な介入で知られていますが、財務省には手出しできませんでした。在任中に2度延期したものの、結局2度の消費税増税をせざるを得なくなり、アベノミクスは、積極財政という面では成果をあげられませんでした。

岸田首相は、財務省に反旗を翻し、国民のために戦う時が来たといえます。真に戦う姿勢をみせて、財務省に一矢を報いることができれば、続投も可能になるかもしれません。退陣となっても、歴史に名は残ります。岸田総理は、今こそ真のリーダーシップを発揮すべきです。

ここで、財務省に屈服せず、国民のために戦う岸田総理となって、安倍元総理と並ぶ政治家として歴史に名を残していただきたいものです。

私は、個人的には岸田文雄氏は、好きなタイプではありません。繰り返しいいますが、特にLGBT法案の拙速な成立、移民に対し寛容的なことなどは、断じて許すことはできません。しかし、現状では、政治や経済の安定を考えれば、続投できるなら、続投したほうが良いと思います。

安定した体制のもとで、次の展開を考えられる状況を作り出し、変革に結びつけていくべきと思うのです。経済的に安定した状況を作り出し、その上で改革を模索すべきです。そうして、その改革には無論、政権交代もありえます。ザル法の政治資金規正法の改正、LGBT理解促進法案の廃案などもすべきと思います。私は、その際には自民党が下野し保守政党が政権の座についても良いと思っています。

しかし、経済が未だ安定しない現在、政権が変われば変わるほど混乱することになりかねないと思います。それは、村山政権以降や麻生政権以降の政治等をみていれば、明らかです。私は、仮に菅政権が現在も続いていれば、今よりは安定していた可能性が高いと思います。今後次に総理が誰になろうとも、政治は混乱するでしょう。そうして、短期で交代を繰り返せば、繰り返すほどどんどん混乱の極みに至ると思います。


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2024年2月5日月曜日

米英軍がフーシ派の標的36カ所を攻撃 米、親イラン勢力へ攻撃の手を緩めず―【私の論評】バイデン政権はイランの核開発と過激派支援に強硬対処すべき

米英軍がフーシ派の標的36カ所を攻撃 米、親イラン勢力へ攻撃の手を緩めず

まとめ
  • 米英軍は、ヨルダンでの米兵殺害事件への報復として、イエメンのフーシ派標的を攻撃。
  • 攻撃対象は武器貯蔵施設など36カ所。
  • フーシ派は死傷者数を発表していないが、抗議デモを実施。
  • イランは関与を否定しているが、情勢悪化の恐れ。
  • 米英軍とフーシ派の衝突継続、中東の緊張高まる可能性。
サリバン米大統領補佐官

米英軍は2月3日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の標的36カ所に対し攻撃を実施した。これは、前日にヨルダンで米兵3人が死亡した攻撃への報復措置とみられる。国家安全保障問題担当のサリバン米大統領補佐官は4日、米NBCに対しさらなる攻撃を示唆しており、中東の緊張が高まる恐れが出ている。

攻撃対象となったのは、フーシ派の武器貯蔵施設やミサイルシステム、発射装置など。フーシ派は紅海で船舶を攻撃したり、イスラエルへの攻撃を行ったりするなど、近年活動を活発化させている。

フーシ派は今回の攻撃による死傷者数を発表していないが、支持者らは4日、首都サヌアで軍事パレードを実施し、ガザ地区への連帯を示すとともに、米英の空爆に対する抗議を行った。

イランはこれまで、フーシ派のようなグループを支援する一方、紛争に直接関与することは避けてきた。米国防総省は「イランとの戦争を望んでいないし、イランもまたそのような考えはないと思う」とコメントしている。

しかし、今回の米英軍の攻撃を受けて、イランがフーシ派への支援を強化する可能性もあり、中東の情勢はさらに悪化する可能性が出ている。

フーシ派の広報担当者は、「米英のさらなる攻撃は、ガザへの支持を示すイエメンの決断に影響を与えない」と述べている。

今後、米英軍とフーシ派の衝突がさらに激化する可能性もあり、中東の緊張が高まることが懸念される。

この記事は元記事の要約です、詳細を知りたいかたは元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】バイデン政権はイランの核開発と過激派支援に強硬対処すべき

まとめ
  • バイデン政権は、アフガン撤退やウクライナ問題で弱腰な対応をしており、イラン問題でも同様の誤りを犯す可能性がある。
  • イランは過激派支援を続けており、その影響力排除には長期的な取り組みが必要。
  • 米国はイランに対し、制裁強化、軍事攻撃、核開発阻止などの強硬策を取るべきだが、バイデン政権がそれを行うか疑問。
  • イラン問題は長期化する可能性が高く、流れを変えるには米国の強い決意と行動が必要だが、バイデン政権にそれがあるか不明。
  • バイデン政権はイランの核・過激派問題に対し、制裁強化、同盟強化、体制転覆支援などで強硬姿勢を取るべき。

バイデン大統領

バイデン政権は、「抵抗の枢軸」(中東各地でイランが支援する武装組織のネットワークを指す言葉)に対して厳しい措置をすべきと以前このブログで述べました。その記事のリンクを以下に掲載します。
バイデン大統領に高まる圧力、米兵死亡でイランとの対決求める動き―【私の論評】イランの脅威に立ち向かうため、岸田首相は4月の訪米時にバイデン大統領に強硬策を訴えよ

米軍基地への無人機攻撃で亡くなった3人の米兵

この記事では、バイデン政権に対する危惧の念をのべました。これに関して、以下にこの記事から引用した内容を要約したものを以下に掲載します。
バイデン政権は、アフガンからの撤退を大きく誤った上、ウクライナ侵攻前にロシアへの軍事介入を事前表明しないという弱腰な姿勢を見せた。これはロシアに対する事実上の「侵攻許可」となってしまった。これらの対応は、過去の米国の伝統的な政策と大きく異なるものである。

こうした経緯から、バイデン政権がイランの脅威に対しても誤った判断を下す可能性がある。イランは過激派組織への支援を続けており、その影響力を排除するには長期的な取り組みが必要だ。

米国はイランの軍事施設への精密空爆、経済制裁の強化、同盟国の支持獲得、イランの核開発阻止のための作戦実行など、強硬な姿勢で対応すべきだ。しかし、バイデン政権がそうした厳しい措置を取るとは考えにくい。

イランとの対立は長期化する可能性が高い。イランの過激派体制が続き、侵略的姿勢を維持する限り、米国と同盟国は断固とした態度で対抗していく必要がある。流れを変えるには、強力な決意と行動が求められるが、バイデン政権にそれがあるか疑問である。

バイデン政権は、イランの核開発阻止と過激派支援の封じ込めを目指し、以下の点で強硬策を取るべきです。


第一に、イランの核関連施設やミサイル基地に対する精密空爆に踏み切る。第二に、制裁強化と資金源遮断でイラン経済を窒息させる。第三に、サウジアラビアなど同盟国の軍事力強化を支援し、イラン包囲網を固める。第四に、イラン体制転覆を狙う反体制組織に援助を行う。

また、イラン革命防衛隊のテロ指定や、より厳しい新核合意の再交渉も重要政策です。

これらの強硬手段により、イランの核兵器保有と過激派支援を防ぎ、中東におけるアメリカの指導力を取り戻すべきだ。イランとの妥協はもはや許されないです。

バイデン政権がイランに対して強硬な姿勢を示さない場合、この紛争は数年にわたって長期化する可能性が非常に高いと言えます。

その 最大の理由は、イランの過激派指導部が弱みを見せる平国を利用して、核開発と対外行動のエスカレーションを図るためです。過去の経緯から、イランは圧力に屈することはほとんどない国家です。制裁緩和などの融和策は、むしろイランの自信を高め、より侵攻的な行動の後押しとなりかねません。

イランの最高指導者アリー・ハーメネイー

もしイランの行動が放置されれば、彼らは過激派組織の支援を拡大し、中東における影響力を強めるでしょう。そうなれば、後になってイランを封じ込めようとしても、はるかに困難となります。過激派の蔓延をこの時点で防がないと、将来の代償は大きくつきます。

加えて、米国の弱腰ぶりが顕著になれば、サウジアラビアなどの同盟国もイランに対抗するため、核保有に動きかねません。それが核拡散を招き、中東の緊張を一層高めることは避けられないでしょう。

米国が対話重視の姿勢に出れば、逆に米国の交渉力と地域における威信が低下する結果を招くことも否定できません。イランはそれを米国の弱さの証と捉え、米国に譲歩する動機を失うかもしれません。

このように、強硬策を取らないことのリスクは計り知れません。バイデン政権はイランの核問題を放置すべきではありません。過去の過ちを繰り返さないためにも、米国は対イラン強硬姿勢への回帰が必要不可欠です。慎重かつ断固たる措置を講じることが、この紛争を収束へ導く最善の道だと言えるでしょう。

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