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2011年3月31日木曜日

「中国はならずもの国家になってしまったのか」=コロンビア大学で討論会―【私の論評】中国は建国の時から、ならずもの国家であり日本の危機は地震だけではない!! それを報道しないマスコミはどうなっているのか?

「中国はならずもの国家になってしまったのか」=コロンビア大学で討論会


【大紀元日本3月30日】豪シドニーモーニングヘラルド紙の駐中国記者ジョン・ガーノ(John Garnaut)氏がこのほど、コロンビア大学東アジア研究所において、「中国はならずもの国家になってしまったのか」をテーマとする討論会を開き、教師や学生と中国社会の現状について話し合った。ラジオ自由アジア(RFA)が伝えた。

ガーノ氏は自ら取材した事例を挙げ、討論会参加者全員に「ならずもの国家」という言葉を用いるのが適切かどうか判断してもらった。たとえば、退役軍人である于成武氏は退役後、黒龍江省富錦の土地を手に入れ、大豆の栽培をしている。80年代、現地政府は韓国資本を導入し、合弁会社を始めるという理由で農民から土地を収用した。結局、韓国人は来ず、プロジェクトも存在しなくなったが、政府は土地を持って行ったまま。そして徐々にその土地は職員やその家族の手中に落ちて行った。そして、その土地が農民に貸し出される。これはつまり、新たに形成された中国共産党幹部による封建制度である。もちろんこの制度は行政上の強制により保証されている。20年来、農民は土地のために抗争・陳情し、一方、幹部らはその陳情を阻止し、人を雇って農民を殺害する事件までも起こしている。

ガーノ氏によると、自分と話をした農民は捕まり、自身もしばらく拘束されたという。同氏は北京の記者会で富錦の状況について質問し、これに対し中央政府は関与するとの意思を示した。当時ガーノ氏はまだ中国滞在歴が短かったため、自分の報道が注目されたと喜んでいた。しかし2年後には、もともと乗用車が送られていた北京への賄賂が今は大型トラックに変わっていた。富錦は変わらなかったが、北京はさらに金持ちになった。

豪州の林さんという華僑が遼寧省で始めた500万元のダム建設プロジェクトに対し、運営開始後、現地水利局長が利益を図り、合資を提案した。しかし林さんがこれに同意しなかったため、局長はこのダムを爆破すると言ったという。結局、林さんはこのダムを局長に売るしかなかったが、保証金を渡されただけで、あとの支払金は郵送中と言われた。

ガーノ氏によると、この局長の兄弟は会社を設立しており、現地の建設会社にむりやり市場の2、3倍の価格で砂を販売している。殺人や刑務所へ送ることもいとわない。同氏が事の真偽を局長に尋ねたところ、兄弟と何の関係があるのかと言われたという。

重慶市の薄熈来市長は市内のやくざを一掃する運動をやっており、3千人を捕まえたと言われる。重慶市に3千人いるなら、全国では何人いるのだろうか。ガーノさんは、このことは、「共産党自身がならずもので、中国政府はならずものの集団によって掌握されている」ことを意味すると指摘した。薄市長は下級のやくざを捕まえただけで、政府内とコネのある、勢力の大きいやくざには手を出せるわけもない。

中国の政治体制は変わらないため、経済発展は中国共産党を世界で最も経済実力のある独裁者にした。幹部らは権利や地位に執着し、その地位がもたらす利益をなんとしても守ろうとしている。これにより驚くべき治安体制が作られている。中国の安定維持予算はすでに軍事費を超えている。「安定」は、当局が最も注目する問題から、唯一の関心事に変わり、全ての政策を捻じ曲げた。

中国共産党は利益を維持するため、海外では親共産党団体を育成し、彼らに忠誠心を誓うことを求めている。その見返りとして、彼らに中国大陸にあるビジネスチャンスを提供するのだ。そして、ナスダックのインサイダー取引により中国と関係のある投資と株式市場をコントロールする。

ガーノ氏は、中国人は3年前は仕方なく現状を受け入れていたが、今は次第に権利意識が高くなってきたと指摘した。中東のジャスミン革命は共産党の最後のベールを引き剥がし、人々はこの革命から中国との共通点を見出し、中国を公平な社会にするある種の力を望んでいる、とガーノ氏は述べた。

【私の論評】中国は建国の時から、ならずもの国家であり日本の危機は地震だけではない!!それを報道しないマスコミはどうなっているのか?
最近は、日本の震災で、昨年の尖閣問題もどこへ行ったかという雰囲気です。テレビなどでも、地震の放送ばかりで、中国に関する放送はしません。せっかく、尖閣問題によって、多くの国民が中国の異質性について理解したにもかかわらず、この現状です。まるで、チベットも、新疆ウイグル自治区での、弾圧はなかったかのごときです。私は、中国の異質性は、相変わらずであり、日本にとって脅威となる危険性は去ったわけではないので、本日は、上記の記事をみかけたので、敢えて掲載しました。


上の記事では、「中国はならず者国家になってしまったのか」などという、寝ぼけたようなことを掲載していますが、中国は、建国時から「ならず者国家」であり、今の体制が変わらない限り、「ならず者国家」であり続けます。それは、建国以来中国では、毎年平均で、2万件もの暴動が発生していることをみても明らかです。それに、大躍進や、文化革命時においては、膨大な人命が失われていることからも明らかです。

しかし、まずは、最近の事例をあげておきます。下の新唐人のニュースの動画が、最も解りやすいと思いましたので、掲載します。

【新唐人2010年12月1日付ニュース】11月23日、イギリスの"経済平和研究所"は今年度の世界平和指数ランキングを発表。中国は2007年の60位から、今年は8­0位に転落。腐敗が中国の平和のイメージを損ねているといいます。 
2007年より、経済平和研究所は毎年"世界平和指数"を発表。中国は今年20位も後退しました。研究所のマッコナギー理事はボイス・オブ・アメリカの取材に対し、腐敗は­平和指数を計算するための指標ではないので、ランキングに影響しないが、その国が平和になれるのかにつながると発言。中国のイメージアップには、先(ま)ず腐敗問題の解決­がポイントだと述べました。 
中国の腐敗は、経済改革の過程で生まれたものではなく、権力で庶民の財産を奪う体制の腐敗だといわれます。 
雑誌"北京の春"編集長・胡平氏「中国の改革は政治の民主化のない前提での、経済改革なので、私有化を行うと、おのずと権力が私有化されます。今の権力者は他でもなく、"共産党"なのです。革命の名の下 人の財産を国有化し、民衆の私有財産を国有化し、また それを私有化する、これ自体 高度な腐敗です」 
経済平和研究所は、世界で最も影響力のある機関などが提供。国内外の安全指数に基づき、各国の平和指数を計算します。その国の1年間に発生した凶悪犯罪、服役者の割合、人­権侵害の程度、軍事費など、23項目を評価し、ランク付けします。 
暴力で政権を樹立した共産党は、国民を弾圧する宿命を持つともいわれます。例えば、新疆やチベット。北朝鮮やイランなどのならず者国家も支援。
政治経済評論家 林保華氏「中国は国民への弾圧で台頭し、対外的にも暴力化しています。何よりも中国は世界中のならず者国家の味方です。核兵器で世界を脅し、地域の平和安全が脅かしています。最も­顕著なのが北朝鮮とイランに対する支援です」 
中国国務院の元法律秘書、俞氏は、中国の政権安定のための費用はすでに軍事費なみで、5000億元に達すると指摘。 
中国国務院元秘書・俞梅蓀氏「近年国内の陳情者 、社会の不公平、司法の無力さ、強制立ち退きや土地収用問題など、問題が増える一方です。それで"政権安定"が必要になるものの、政府は問題を解決せず、逆に抑えつけます­。必ずさらに深刻な矛盾を招きます」 
温家宝首相は今年の初め、汚職腐敗は社会の安定に危険を及ぼすと発言。8月にも、中国の最大の危険は腐敗であると再度強調しました。 
http://ntdtv.com/xtr/b5/2010/11/29/a461983.html#video上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語が見られます。
このブロクでは、過去にも、中国に関しては、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がされていないことを再三にわたって掲載してきました。さらに、中国には、普通の国でいうところの、軍隊も存在せず、人民解放軍は、共産党の私兵、しかも、それぞれの地域の共産党の私兵であり、これらが、核兵器や海軍なども持っているという、いびつな、暴力装置であることも掲載してきました。

さらに、ソ連崩壊によって、東欧は変わったにもかかわらず、残念ながら、アジアでは、中国と北朝鮮が全くてつかずで残ってしまい。冷戦崩壊前の体制が温存されてしまったことも掲載してきました。

現在の中国や、北朝鮮は、絶対に今のままの体制で温存されては、アジアの安定は保障されません。歴史の流れからいって、必ず変えなければいけない性質のものです。

これに関しては、私は、過去にこのブログにおいて、何回もこのことについて掲載してきました。そのため、私の主張に関しては、それをご覧いただくこととして、本日は、大紀元が、2004年に中国共産党について大々的な批判の内容を掲載しています。それを、下にそのまま掲載します。

【大紀元11月19日報道】旧ソ連と東ヨーロッパ諸国の共産党政権が崩壊して10数年経つ今日、世界の共産主義運動は早くに全世界から唾棄されており、中国共産党が墳墓に入るのも時間の問題である。 
しかし、中国共産党は、完全に崩壊する前に、5千年の文明の歴史を有する中国を道連れにしようとしており、これは正に中華民族の大きな不幸と言える。共産党を如何に評価し、共産党のない社会に如何に移行し、中華民族の薪と炎を如何に後世に伝えていくか、これらはすでに、中国人民が直面する問題となっている。 
一世紀余りにわたって世の中に災いを招いてきた国際共産主義運動、特に中国共産党に対して評価を下すために、大紀元は今日から『九評』(共産党に対する九つの論評)と題する一連の特別社説を発表する。 
80年余りの中国共産党の歴史を振り返ると、いたるところで常に、うそ、戦乱、飢饉、独裁、殺戮、恐怖が付きまとい、伝統的な信仰と価値観は共産党によって完全に破壊され、本来の倫理観念と社会体系は強制的に解体させられ、人と人の間の思いやりや調和が闘争と憎しみに捻じ曲げられ、天地自然に対する畏敬や慈しみが「大自然と闘う」などという尊大な思い上がりに変えられてしまった。その結果もたらされた社会道徳体系と生態体系の完全な崩壊が、中華民族、更には全人類を深刻な危機に引き込もうとしている。これら全ての災難は、共産党の綿密な画策、組織、コントロールの下に行われたことなのである。 
「如何ともしがたく、花散り行く。」今日余命幾ばくもない共産政権はすでに日暮れて道窮まり、その崩壊は間近に迫っている。それが完全に滅ぶ前に、私たちは、この古今東西の全ての邪悪を集めたような最大の邪教組織である中国共産党について振り返って考え直し、その悪行を暴きだす必要がある。そうすることによって、依然として共産政権に騙され続けている人々に、極悪非道な共産党の本質をはっきり認識させ、心の奥深くにまで入り込んだ共産党の毒をきれいに取り除かせ、共産党の邪悪な魂にコントロールされた心理状態から抜け出させ、恐怖の束縛から跳び出させ、共産党に対する全ての幻想を捨て去らせることができるのだ。 
中国共産党による統治は、中国の歴史上最も暗く、最もでたらめな一頁である。そして、江沢民が発動した「真・善・忍」に対する弾圧は最も邪悪なものであり、この運動によって、中国共産党の棺に最後の一本の釘が打たれることとなった。この歴史を今振り返って考え直すのは、このような悲劇を二度と繰り返させないためである。同時に私たちは一人一人、これを機に自らの心を内省すべきである。多くの起こるべきではなかった悲劇は、私たちが惰弱であり妥協したがためにそれを引き起こさせてしまったのではなかろうか。  
『九評』シリーズのタイトル:
第一評:共産党とは一体何物か 
第二評:中国共産党はどのようにでき上がったか 
第三評:中国共産党の暴政 
第四評:共産党が宇宙に反する 
第五評:法輪功への迫害における江沢民と中国共産党の相互利用
第六評:中国共産党による民族文化の破壊
第七評:中国共産党による殺人の歴史 
第八評:中国共産党の邪教的本質
第九評:中国共産党の無頼の本性
なお、大紀元の元のサイトには、中国語のもののリンクも掲載されていましたが、そのリンクは辿ることができないようになっています。

上の記事や、その下のリンク記事、さらに、以下に私が過去に掲載した記事など読んでいただければ、豪シドニーモーニングヘラルド紙の駐中国記者ジョン・ガーノ(John Garnaut)氏が「中国はならずもの国家になってしまったのか」などというテーマは、全く的はずれであることがおわかりになるとと思います。

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2022年6月28日火曜日

ウクライナ戦争の「ロシア敗北」が対中戦略となる―【私の論評】「ウクライナGDPロシア凌駕計画」を実行すれば、極めて効果的な対中戦略になる(゚д゚)!

ウクライナ戦争の「ロシア敗北」が対中戦略となる

岡崎研究所

 6月9日付のワシントン・ポスト紙(WP)に、同紙コラムニストのファリード・ザカリアが、「最善の対中戦略? ロシアを敗北させろ」と題する論説を寄せ、ウクライナ戦争でのロシアの敗北が中国に与える影響を論じている。


 ザカリアは、論説の冒頭で、バイデン大統領の次の言葉を引用した。「もしロシアにその行動に重い対価を払わせないならば、それは他の侵略国に彼らも領土を取得し、他国を従属させられるとのメッセージを送るだろう。それは他の平和的民主国の生き残りを危険にさらす。そしてそれは規則に基づく国際秩序の終りを意味し、世界全体に破局的結果をもたらす侵略行為に扉を開く」。

 その上で、論説の最後の方で、今、最善の対中戦略はロシアをウクライナで敗北させることであるとした。それは、ロシアを強く支持した習近平にとって、同盟国ロシアが敗北することは、自らの痛手ともなるからである。逆に、プーチンが生き残れば、習近平も、西側諸国は規則に基づく国際秩序を十分に守れなくなっていると思い、攻撃に出る危険も増すと述べる。

 ザカリアの論説は、良く考えられた的を射た論説である。

 ロシアのウクライナ戦争を失敗に終わらせること、ロシアがこの戦争で弱い国になってしまうことを確保することは、今後の世界情勢がどういうように発展していくかを決めると思われる。

 中国は、米国を主敵と考え、対米関係で対抗的姿勢をとっており、ロシアのウクライナ戦争を非難していない。経済制裁によるロシアの苦境を和らげるように、欧州が輸入することをやめようとしている石油を買っている。

 中国は、ロシアへの武器供与はしていないようであるが、それ以外には総じてロシアと協力的関係を維持している。習近平が個人的にもプーチンを支持しているからであろう。

 ロシアの侵攻前、2月4日、北京五輪開会式の日に行われた習近平とプーチン会談で、プーチンがウクライナ侵攻計画を習近平に話したかどうかについては、断言できない。在ウクライナ・中国大使館は侵攻まで、首都から退避する措置を何らとらなかったからである。

求められる日本の不退転の姿勢

 今はウクライナでのロシアの敗北は、中国に大きな影響を与える。

 ザカリアがロシアのウクライナでの敗北を確実にすることが対中戦略上も決定的重要性を持つというのはその通りであろう。ロシアは衰退しているが、衰退する大国は危険でもあることを第一次世界大戦のオーストリア・ハンガリー帝国を例に指摘しているのもその通りだろう。

 日本は、南を中国、北はロシアと国境を接している。かつて安倍晋三政権時代、日本は、対中戦略において、ロシアと接近することも必要だとした。

 それは、冷戦時代に米国が対ソビエト戦略において中国と接近したのと似ている。しかし、ウクライナへのロシアの侵攻や北朝鮮のミサイル発射に対する中露の協力的姿勢を目の前にした今日、もはや、そのやり方は通用しないことがわかった。

 日本にとっては、より厳しい国際環境にあるが、自国の国防力を強化するとともに、日米同盟の緊密化、さらに価値観を共有する友好国と共に、より協力して行動することが必要だろう。

【私の論評】「ウクライナGDPロシア凌駕計画」を実行すれば、極めて効果的な対中戦略になる(゚д゚)!

ファリード・ザカリアが、「最善の対中戦略? ロシアを敗北させろ」 という主張には、賛成できる面もありますが、賛成できない面もあります。まずは、どの程度の敗北を想定しているのかはっきりしていない点があります。

無論私自信も、ロシアは敗北させるのは当然のこととは思っています。ただ、どこまで敗北させられるかは未知数の部分もあります。そもそも、ロシアはウクライナに攻め込んでいますが、ロシア自体はウクライナに攻め込まれているわけではありません。また、ウクライナが攻め込むつもりもないでしょう。


また、NATO諸国もロシアがNATO諸国のいずれかの国が侵攻されない限り、ロシアを直接攻撃したり、ロシア領に侵攻することはしないでしょう。

そうなると、ロシアが戦争に負けても、最悪ウクライナから引き上げるだけということになるでしょう。ロシアのモスクワを含む一部の地域にでもNATO等が侵攻していれば、それこそ、第一次世界大戦のドイツに対するような過酷な制裁を課することができるかもしれません。

しかし、ウクライナ戦争の戦後は、そのようなことはできません。ロシアを敗北させるには、限界があるということです。

であれば、敗北させたり、制裁を課したりするだけではなく、他の手立てを考えるべきだと思います。

それは、人口4400万人のウクライナの一人あたりのGDP(4,828ドル、ロシアは約1万ドル) を引き上げ、人口1億4千万人のロシアよりGDPを遥かに大きくすることです。現在ロシアのGDPは韓国を若干下回る程度です。

韓国の人口は、5178万ですから、一人あたりのGDPで韓国を多少上回ることで、ウクライナのGDPはロシアを上回ることになります。

そうして、その条件は揃いつつあると思います。まずは、戦争が終了した場合、西側諸国の支援のもとに復興がはじまります。ロシアは戦争に負けても、ウクライナに賠償金支払うつもりは全くないでしょうが、西側諸国が凍結したロシアの私産をすべてウクライナ復興にあてることになるでしょう。

あれだけ国土が痛めつけられたわけですから、これを復興するということになれば、それだけで経済活動はかなり盛んになるはずです。日本も第二次世界大戦では甚大な被害を受けましたが、凄まじい速度で復興しました。インフラが破壊されたということは、別の面からみると、効率が良く、費用対効果が高いインフラに取り替えることができるということです。

さらに、ウクライナはITなども進んでいますから、爆発的な成長が期待できます。軍需産業も存在しますから、軍需と民間の両方で経済を牽引することができるでしょう。

ただ、戦後復興が終了した後に、さらに経済を大きくしようとすれば、西欧諸国なみの民主化は避けて通れないでしょう。実際このブログで過去に紹介したように、経済発展と民主化は不可分です。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中「新冷戦」が始まった…孤立した中国が「やがて没落する」と言える理由―【私の論評】中国政府の発表する昨年のGDP2.3%成長はファンタジー、絶対に信じてはならない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
G20の状況をまとめると、高所得国はもともとG7諸国とオーストラリアであった。それに1万ドルの壁を破った韓国、サウジ。残りは中所得国で、1万ドルの壁に跳ね返されたアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ロシア、南アフリカ、トルコの6ヶ国、まだそれに至らないインドとインドネシア。それに1万ドルになったと思われる中国だ。

さらに、世界銀行のデータにより2000年以降20年間の一人当たりGDPの平均を算出し、上の民主主義指数を組み合わせてみると、面白い。中所得国の罠がきちんとデータにでている。
民主主義指数が6程度以下の国・地域は、一人当たりGDPは1万ドルにほとんど達しない。ただし、その例外が10ヶ国ある。その内訳は、カタール、UAEなどの産油国8ヶ国と、シンガポールと香港だ。

ここでシンガポールと香港の民主主義指数はそれぞれ、6.03と5.57だ。民主主義指数6というのは、メキシコなどと同じ程度で、民主主義国としてはギリギリだ。

もっとも、民主主義指数6を超えると、一人当たりGDPは民主主義度に応じて伸びる。一人当たりGDPが1万ドル超の国で、一人当たりGDPと民主主義指数の相関係数は0.71と高い。

さて、中国の一人当たりGDPはようやく1万ドル程度になったので、これからどうなるか。中国の民主主義指数は2.27なので、6にはほど遠く、今の程度のGDPを20年間も維持できる確率はかなり低い。
現状のロシアの一人あたりのGDPは、中国と同程度の1万ドル前後です。中国の人口は14億人で丁度ロシアの人口の十倍なので、国単位では中国のGDPはロシアの十倍になっていますが、両国とも、バルト三国や台湾よりも一人あたりのGDPは低いのです。

どうして民主化が経済発展に結びつくのかに関してはの論考は、ここで述べると長くなってしまうので、下の記事を参考にしてください。
【日本の解き方】中国共産党100年の功罪と今後 経済世界2位に成長させたが…一党独裁では長期的に停滞へ―【私の論評】中国も、他の発展途上国と同じく中所得国の罠から抜け出せないワケ(゚д゚)!
戦後復興後にウクライナが民主化に取り組み西側諸国のようになれば、 一人あたりのGDPがロシアをはるかに上回るのは、さほど難しいことではないでしょう。

それに、最近ウクライナが本格的に民主化する可能性が高まってきました。それは、ウクライナのEU加盟の可能性です。


ウクライナにとり欧州連合(EU)加盟は念願である一方、EU基準に程遠い制度や体質が改善されず実現は夢のまた夢でした。候補国として一歩を踏み出せた意義は大きいです。ロシアの侵略に対する欧米の「支援疲れ」も叫ばれる中、勇気づけられたことでしょう。

ロシアとの関係を断ち切りたいウクライナにとって、EU加盟で域内諸国との人、物、金の移動が自由になればメリットは大きいです。各国との通商がより活発になり、企業誘致やEUからの助成金も見込めます。外交上もロシアに対抗する後ろ盾ができ、国力の底上げにつながります。

ただ、今回の動きがロシアの侵略で大勢の命が失われた結果であることも忘れてはならないです。EU加盟には法の支配や人権など多くの項目でEU基準をクリアする必要があります。ウクライナは加盟に向けて国内法や規制を変更してきたが、それでも候補国になれていなかったのが実情です。

新興財閥(オリガルヒ)が政権と癒着する、裁判官や検察官の試験に賄賂で合格する、大学教授が授業の単位を金で売るなど、ウクライナは有数の汚職国家といわれてきました。

親露派政権が倒れてクリミア半島が占領された2014年以降、国家汚職対策局を設置するなど汚職排除に努めたましたが、いまだになくならないです。基準があいまいな汚職対策をEUがどう評価するかが、加盟に向けたポイントになります。

EU加盟は社会が変わるということです。汚職や腐敗体質が浸透しているウクライナは、急激な変化が生む負の側面も想定しておかなくてはならないです。

通常、加盟手続きには10年前後かかります。EUも1カ国を特別扱いするわけにいかず、他の候補国よりも先に加盟することはないです。道のりは長いですが、西側諸国の全面的支援もあります。焦らずに課題を着実に解決すれば加盟が早まる可能性もゼロではないです。

そうして、ウクライナがEU諸国並に民主化できれば、さらに経済発展する可能性が高いです。過去の汚職や腐敗にまみれてきた、ウクライナが社会を変えることは難しいかもしれませんが、それでも、民主化してロシアのGDPをはるかに凌駕することを目指すべきです。

そうして、日本のかつての池田内閣の「所得倍増計画」のように、「ウクライナGDPロシア凌駕計画」などと公言したうえで、実際にそれを達成すれば、より効果的でしょう。

また、ウクライナならそれも可能です。すでに一人あたりのGDPがロシアのそれを上回っているバルト三国の人口は、三国合わせても619万人です。これでは、バルト三国全体をあわせても、ロシアのGDPを上回るのは至難の技です。

台湾も一人あたりのGDPでは、中国を上回っていますが、台湾の人口は、2357万人であり、バルト三国などよりは大きいですが、台湾が中国のGDPを上回るのは到底不可能です。

ウクライナは戦争前のロシアのGDPを上回る可能性が十分あります。そうして、もしそうなったとすれば、これはとてつもないことになります。ウクライナは軍事にも力をいれるでしょうから、軍事費でも、経済的にもロシアを上回る大国が東ヨーロッパのロシアのすぐ隣にできあがることになります。

その頃には、ロシアの経済は疲弊して、ウクライナのほうが存在感を増すことになるでしょう。そうして、ロシアのウクライナに対する影響力はほとんどなくなるでしょうしょう。実際、日本でも1960年代の高度経済成長の頃から、当時のソ連の影響は日本国内ではほとんどなくなりました。これを見る中国は、武力侵攻は割に合わないどころか、経済的にも軍事的にも疲弊しとんでもないことになることを思い知るでしょう。

それどころか、ロシアの国民は繁栄する一方のウクライナに比較して没落する一方のロシアの現状に不満を抱くようになるでしょう。ロシア人以外の民族で構成さているロシア連邦国内の共和国などでは独立運動が再燃するかもしれません。

実際、ウクライナが大国になれば、多くの国がウクライナと交易してともに従来より栄えるようになるでしょう。ロシアの経済の停滞を補う以上のことが期待できます。ウクライナがNATO入る入らないは別にして、安全保証ではロシアの前にウクライナが控えているという事実が安心感を与えることになるでしょう。

また、ウクライナ戦争中に西欧諸国から支援を受けたウクライナは、その期待に答えようとするでしょう。

もし大国になったウクライナがNATOに加盟すれば、ロシアはパニック状態になるでしょう。それは、中国も驚愕させることになるでしょう。

日本としては、戦災・震災の復興の経験を生かし、ウクライナに対して資金援助だけではなく、様々なノウハウを提供すべきでしょう。さらには、ロシアに侵攻される直前のウクライナは日本にも似た状況にあったことから、復興し経済成長したウクライナのあり方は、日本にとっても非常に参考になります。

日本は、自らも学ぶという姿勢でウクライナに支援すべきでしょう。

ただし、先程も述べたように、ウクライナが西洋諸国なみの民主化を実現しなければ、これは絵に描いた餅で終わることになります。

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2019年7月3日水曜日

中国との競争に欠かせない米欧日協力―【私の論評】米国ができるのは、日欧と協力して中国経済の弱体化を早めること(゚д゚)!

中国との競争に欠かせない米欧日協力

米中2国間取引には限界がある

岡崎研究所

米中貿易戦争は、米中両国の報復関税のかけ合いとなっている。その影響は、米中両国のみならず、少なからず国際情勢に影響を及ぼしている。


 トランプ大統領は、貿易に関しては、中国のみならず、同盟国を含む他諸国にも関税をかけているか、かけようと脅している。鉄鋼・アルミニウムに関しては、日欧も例外ではなかったし、移民問題では、メキシコからの輸入に関税をかけるとした。

 そんな中、米国でも、トランプ政権は、中国と対峙して勝ちたいならば、欧州を味方に付けなければならないという論調が出て来た。例えば、6月12日付のニューヨーク・タイムズ紙に掲載された、バイデン元米国副大統領の補佐官を務めたジュリアンヌ・スミスの論説がそうである。筆者は、中国との競争に当たって、米国は同盟国と協調して対処すべきで、米欧の足並みを揃え、日本等に連携を拡大すべきだ等と主張している。米欧が結束して中国に当たるべきとの指摘は正にその通りだ。

 トランプ大統領は、中国と二国間で貿易取引しようとしているが、それには限界がある。欧州や日本などを含め有志連合を作って中国と交渉するほうが余程効果的だと思う。中国には頼るべき友好関係は余りない。圧力も集団の方が大きくなる。但し、今のような関税乱用のアプローチでは、なかなか連合も容易でないかもしれない。

 最近、欧州が経済、政治など中国のリスクに覚醒してきたことは、やや遅い感はあるが、歓迎すべきことである。2015年3月、英国が突如アジア・インフラ投資銀行(AIIB)の構想にG7で初めて参加を決定し、直ちに、ドイツ、フランス及びイタリアがこれに追随したことは大きな驚きだった。英国のオズボーン財務相の決定は理解に苦しんだし、英国など欧州諸国の説得をしていた米国は当然不満を露わにした。すなわち、トランプ政権以前から、欧米の対中政策ギャップは存在していた。米国からの働きかけにもかかわらず、欧州は聴く耳を持たなかったと言うことである。日米両国とカナダは不参加を貫き、AIIBの外から、透明性の確保やプロジェクトの審査基準などについて、種々中国へ働きかけた。

 「一帯一路」構想についても、日米両国は慎重に対処し、受け入れ国の債務負担や環境の重視などを指摘した。その後、中国は若干変化したようにも見える。今年4月に開催された北京の会議で、習近平は、財政の持続性などを確保する、国際基準に則って進める、入札や資材調達の手法を見直すなどと言及した。

 米欧などの連携による対中政策について問題となるのは、依然として欧州である。欧州は英国のEU離脱問題やポピュリズムの台頭などで結束を欠いている。独仏などの中国観は現実的になってきたが、南欧や東欧のEU加盟国の対中姿勢は未だ問題である。例えば、イタリアは、今年、G7諸国の中で、初めて「一帯一路」プロジェクトの受け入れに署名した国となった。また、EU加盟国以外も含んだ東欧諸国と中国が「17+1会議」を開催している。今の欧州の状況は、依然注意を要する。

 中国に対する政策に関しては、日米欧の継続的な対話が重要である。中国に限らず、共通の関心事項について、議論する三極の首脳会議を考えても良いかもしれない。幸い日米関係は旨く運営されているが、日欧関係の強化にも努めていくことが重要である。

【私の論評】米国ができるのは、日欧と協力して中国経済を弱体化を早めること(゚д゚)!

トランプ政権は、覇権国として中国が米国を抜くことを甘受するつもりはありません。あらゆる手立てを講じて中国の台頭を遅らせ、中国に抜かれないようにし、中国に対抗し、中国を抑え込む意思を固めています。そうして、これはもうトランプ政権の姿勢ではなく、米国の意思になっています。

トランプ政権はもとより、議会も超党派で中国に対抗しようとしています。なぜここまで、対抗心を顕にするかといえば、まずは中国の台頭はかつてのソ連がそうだったように、技術の窃盗によるものだからです。ファーウエイの技術は確かに進んでいますが、5Gを含めて、通信技術などは元々米国が主導で開発されてきました。

そもそも、インターネットは米国が開発し、自由の象徴のようなインフラでした。ところが、中国は「サイバー主権」なる主張をして、インターネットを国家が人民を監視するものとしてつくりかえようとしています。そうして、ファーウェイは5Gを道具として、その尖兵の役割を果たそうとしていたのです。

河南省鄭州市で容疑者を顔認識で見分けられるサングラスをかけ、行き交う人々を見つめる警察官。
雲南省昆明市では同じ機能を持つ透明な眼鏡が採用されている

5G等の技術は、米国等が基礎を開発し、まさに時間と金をかけて、実用段階にもっていく直前に中国はこれを盗み、膨大な政府の補助金を投下して、世界に先駆けて実用化させようとしていたのです。中国のいわゆる最新テクノロジーとはほとんどがこのようなものです。これは米国としてはとても許容できないわけです。

さらに、中国と米国などの先進国の社会は全く異なるものです。一般には、全体主義と民主主義などということがいわれていますが、もつと詳しくいえば、中国は先進国とは異なり、民主化されておらず、政治と経済が分離されていないどころか、政府と経済はまさに表裏一体です。さらには、法治国家化もされていません。

中国と日米欧の価値観は全く異なるのです。もともと、人権などは欧米では白人だけのものとされてきましたが、日本が第二次世界大戦を戦ったことにより、世界中で植民地が独立して、人権などの観念は、白人だけのものではなくなりました。



現在の先進国と、中国とでは全く価値観が異なるのです。その中国が台頭すれれば、その価値観は世界に敷衍されていくことになります。新たな邪悪な世界秩序が出来上がりかねません。これも、米国とはじめとする先進国には耐え難いことです。

一方、中国は2050年に米国を抜いて世界一になる目論見を抱き、そのため技術大国を目指し、軍事力の増強しています。今のところ、この方向性に修正を加えている気配はありません。つまり米中関係の基本構図は、対立と緊張にあります。

しかし米中ともに世論ないし国内の雰囲気に強い影響を受けます。トランプ大統領にとり、次の大統領選挙への影響が最大の関心事であるように、習近平国家主席にとっても国内の安定が政権維持の前提条件です。特に、共産党内の覇権・派閥争いには、常に勝利をおさめ続けなければなりません。

中国には、選挙という民主的手続きがないため、中国共産党も、幹部自身も常に統治の正当性を主張し、それを確かなものにしなければなりません。そうでないと、正当性を失いすぐに滅びることになります。

米国政治には景気動向が世論に大きな影響を及ぼしますが、中国政治では経済動向に加え統治の正当性が影響力を持ちます。一方で、統治の正当性に気を遣いながら米国に毅然とした姿勢をとる必要があり、他方で経済にマイナスの影響が出ないように米国との妥協を考えなければならないのです。

統治の正当性を無視すれば政権基盤はすぐに弱体化し、経済がうまくいかなければ社会はすぐに不安定化します。

米中は、いやおうなしの現在の世界経済に完全に組み込まれてしまっており、しかも第1位と第2位の経済大国といわれています。簡単にぶつかり合って、それで終わりということにはなりません。現状では、貿易戦争の形をとっていますが、これは将来確実にかつての米ソ冷戦と同じように、米中冷戦の次元にまで高まります。

しかし、力関係は米国に有利です。交渉が米国優位に進むことも不可避です。現在の米中交渉は、中国がこれまでやってきた発展パターンの不可逆的修正を米国が求め、それに中国が抵抗する構図となっています。

しかし、昨年7月以来の制裁関税合戦は状況の変化を生み始めています。つまり当初、米国の制裁発動がどの程度の影響を及ぼすか確信が持てなかった中国当局は、その影響が現状では許容範囲にあることを見定めつつあるようです。

今回も民営企業の投資心理の冷え込みに気を配りつつ、政府の刺激策で乗り切ろうとするでしょう。そして農業、半導体、車といった分野で米国がさらに嫌がる対抗措置をとるでしょう。

トランプ大統領は、最後は中国からの輸入全てに関税をかけると脅しています。中国もそれに屈するわけにはいきません。いわゆるチキンゲームが続くということです。結局、それぞれの経済が受ける打撃の程度を判断しながら、どこかで落としどころを見つけることになるでしょう。

それには中国も譲歩するでしょうが、米国も譲歩せざるを得ないです。米国に不満が残ることになります。米国は再び新たな材料を見つけ出して中国たたきを続けることでしょう。次の段階では、金融制裁も発動するでしょう。米国は基軸通貨国であり、さらに世界の金融を支配しています。これには中国も対抗するのは不可能でしょう。

この米中の対立は経済・金融だけでは済まないでしょう。軍事安全保障面での対立はさらに強まり、グローバルガバナンス、つまり国際秩序の遵守、運営管理の問題にも及ぶでしょう。米中対立の構図は長期間続きます。ただし、この対立の構図は、米国が対中認識に修正を加え、中国が方向性を変えることによって、かなり穏やかなものになる可能性があります。

米国はそれを狙っているのかもしれません。米国は、中国がグローバルガバナンスの問題で、本当に実行するかどうかは別にして、現行の国際秩序を護持すると明言し、すでに修正し始めている点を正確に認識すべきなのかもしれません。米国が日欧と共同戦線を張ることさえできれば、基本はわれわれの望む国際秩序となると目論んでいるかもしれません。

米国側からみて、中国が方向性を修正すべきは、1つは経済であり、中国市場をより自由で公正なものとする方向で軌道修正することです。2つ目は、中国軍の問題です。今のままで軍拡を続ければ米国だけではなく近隣諸国とも衝突します。中国の安全保障戦略の方向性の修正が必要です。

ただし、これは言うは易し、行うは難しの典型のようなものです。おそらく、米国はこれを単独で中国に実行させることは不可能でしょうし、中国共産党もこれを受け入れるのは困難でしょう。

なぜなら、中国市場をより自由で公正なものとするのは、かなり困難だからです。これを実行するには、公共工事のように中国政府が人民に掛け声をかけ、大量の投資をすればできるというような生易しいことではないです。

かつての先進国が、長い時間をかけてときには流血もともなった革命や改革によってなしとげてきた、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を成し遂げなければならないからです。これができなければ、中国の市場だけが、米国などの他の先進国の都合の良いようにある日突然、自由で公正なものになるわけではありません。

実際これが非常に困難であることから、多くの国が中所得国の罠から逃れることができないのです。中所得国の罠には、無論例外もあることはありません。それは、日本とアルゼンチンです。


日本は、現在開発途上国から先進国になった唯一の国です。アルゼンチンは、現在先進国から開発途上国になった唯一の国です。日本は中所得国の罠から逃れ先進国になりました。アルゼンチンは、高所得の先進国から、中所得以下の発展途上国になりました。

他の発展途上の国々や、新興市場の国々はどうかというと、経済が従来よりも急速に発展しても、中所得国の罠から逃れられず、そこから一歩もあげれないか、元に戻ってしまっているのです。なぜ、そのようなことになるかといえば、やはり先進国を先進国にならしめている、民主化、政治と経済の分離、法治国家が困難だからです。

このような社会になっていなければ、中間層が自由に社会経済活動を行い、結果として富をを築くということはできないのです。

これを考えると、米国も中国に対して、中国市場を自由で公正なものにさせることは困難でしょう。そもそも、中国共産党自体がそれを実行しないでしょう。そのようなことをすれば、中国共産党自体が統治の正当性を失い崩壊することになります。中共として何が何でも、現在の体制を崩すことはないでしょう。

そうなると、トランプ政権ができるのは、中国経済を弱体化させて、経済的にも軍事的にも、無意味な存在にすることです。それは、米国単体でもできるかもしれませんが、やはり米欧日が協力したほうが、はやく実現することでしよう。

それにこの体制を築いておけば、他の先進国が中国にすり寄ることでもあれば、米国が厳しく制裁する措置をとることなどで、抜け道を塞ぐことができます。先進国のすり寄りがなければ、中共の体制崩壊もはやまります。中共崩壊後には、新生民主中国があらたに歩みだすときに、良いスタートを切ることができます。日本としては、米国等が過去に日本に対して実施したような一方的な軍事裁判や占領政策など明らかな国際法違反を未然に防ぐことができます。

目標としては、現在のロシアの次元にまで経済力を弱体化させることで良いでしょう。現在のロシアのGDPは韓国を若干下回る程度(韓国は東京都と同程度)です。無論ロシアは、ソ連の核と軍事技術を継承しており、侮ることはできませんが、それにしても世界に対する影響力には限界があります。米国に対抗して何かを実行するなどということはできません。ましてや、世界秩序をつくりかえることなどできません。これを本気実行すれば、米国に潰されるだけです。

ただし、経済の弱体化により、中共が崩壊した場合には、米欧日は新生民主中国の建国に協力すべきです。

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2022年8月2日火曜日

台湾と香港の「心をつかめ」、習近平氏が中国共産党に要求―【私の論評】米中の真の戦争は「地政学的戦争」、表のドタバタに惑わされるな(゚д゚)!

台湾と香港の「心をつかめ」、習近平氏が中国共産党に要求

中国共産党中央統一戦線工作部についての会合で演説する習近平氏(中央)

 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は2日までに、中国共産党に対して香港、マカオ、台湾の人々の「心をつかむ」ことを強く求めた。それこそが「国家を再生する」取り組みの一環だとの認識を示した。

 習氏の要求は、週末にかけて開かれた高位の当局者が集まる会合でのもの。中国共産党中央統一戦線工作部(統戦部)に向けて提示された多くの重要任務の一つだった。この組織は中国内外で影響力を獲得する任務を担う。

 国営新華社通信によると、習氏は北京での会合で統戦部について、中共が敵を打ち破るための重要な保証になると指摘。国の統治と再生のほか、国内外の全中国人を結集させ、国家再生を実感させることも請け合う組織だと強調した。

 具体的な取り組みとしては、国内において「共通性と多様性の適切なバランスを取り」「香港、マカオ、台湾、さらに海外の中国人の心をつかむ」ことを含むべきだとの見方を示した。

 香港は民主化を求める大規模な抗議行動を受けて習氏による弾圧の対象となり、現在は中国政府が統治する半自治区として運営されている。マカオでも同様の体制が敷かれる。台湾では民主主義に基づく自治が行われているが、中国共産党はこれを自国の領土とし、「再統一」を目指すと公言している。中国が台湾を統治したことは過去に一度もない。

 「複数の取り組みを通じて海外の愛国者らを強化するほか、より多くの外国人にも理解を促し、中国に対して友好的になるようにするべきだ」(習氏)

 海外に暮らす中国人向けの業務も統括する統戦部の動きについては、近年国際社会が否定的な目を向けていた。背景には、世界的な影響力の増進を図る中国に対する懸念がある。

 他方、統戦部の国内での活動を巡っては、共産党に反発する可能性のある人々を鎮圧する手段と長く目されてきたが、ここにも国際社会からは否定的な見方が出ている。その権限によって特定の宗教や民族に属する集団を弾圧していると考えられているためだ。

 習氏は統戦部の任務として、「民族問題」において「中華民族への強い共同体意識を育てる」ことに言及。また各宗教に関しては「中国的な背景の中で」発展させていく考えを示した。人権擁護の活動家などからは、このような認識の一環として最近特定の宗教や民族に対する弾圧が行われていると非難する声が上がっている。

 習氏はさらに「中華民族の全ての息子たち、娘たちを1つにする」必要性も強調。専門家によるとこの言葉は共産党の構想を指しており、中華民族であればたとえ中国籍を持っていなくても全員を結び付けるというのがその主旨だという。

 この構想に対しては反発する中国系住民もいる。とりわけ物議をかもしているのは、一部の西側諸国で中国系の人々が不当な取り締まりの標的にされているとの見方が出ている点だ。これらの国々では、中国によるものとみられるスパイ行為の封じ込めに取り組んでいる。

【私の論評】米中の真の戦争は「地政学的戦争」、表のドタバタに惑わされるな(゚д゚)!

現在、中国はペロシ氏が実際に訪台すれば軍事的な対応をすると警告を出しています。対応の内容は特定していないものの、2大経済大国の間の危機の引き金になりかねないなどと報道されています。


中国の習近平国家主席は先週の首脳会談でバイデン米大統領に対し、台湾問題で「中国の国家主権と領土の一体性を断固として守る」とし、「火遊びをする者はやけどを負う」と語ったとされています。

中国が全面的な台湾侵攻を計画している兆候はほとんどないですが、外国の当局者による過去の台湾訪問の際、台湾の防空識別圏(ADIZ)に中国軍機の大規模侵入があるなどしました。

台湾のテレビ局TVBSは、多数の中国軍機が1日午前に台湾海峡の中間線に接近したと伝えるとともに、台湾の複数の軍艦も通常任務を展開していると付け加えました。

台湾の複数のメディアによると、中国海軍の空母「遼寧」と「山東」を中心とする2つの艦隊が2日までに、母港のある青島と海南島を離れたという。台湾海峡に向かっているのかどうかは不明だが、ペロシ下院議長の動向に合わせた動きとみられます。

空母「山東」
また、2日午前に台湾の桃園国際空港に対し「ペロシ氏の台湾訪問を阻止するため3つの爆発物を設置した」との脅迫メールが届いたという。これまでのところ爆発物が見つかったという発表はないが、警察が警備を強化しメールの発信元を調べている。
米海軍は2日、台湾東方のフィリピン海に空母を含む艦艇4隻を配備していることを明らかにした。「通常の」配備と説明している。

配備されているのは、空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「アンティータム」、駆逐艦「ヒギンズ」、強襲揚陸艦「トリポリ」。

海軍関係者はロイターに対し匿名を条件に「万一の事態に対応できるが、通常の配備だ」とし、正確な場所についてはコメントできないと述べたそうです。

以上、ペロシ訪台を巡ってのドタバタを掲載しましたが。これは、本当にドタバタです。なぜなら、ペロシが訪台するかもしれないと公表されている最中、習近平(シーチンピン)国家主席は中国共産党に対して香港、マカオ、台湾の人々の「心をつかむ」ことを強く求めているのです。

習近平が、もし本気でペロシが訪台すれば、軍事的報復に打って出ると考えていれば、いずれの会議においても台湾の人々の「心をつかめ」などと言う必要性など全くありません。

習近平として、恫喝は恫喝、本心は本心と使い分けているのかもしれませんが、これは本当に不自然です。それに、中国外務省の華春瑩報道官は2日、予想されるペロシ米下院議長の台湾訪問について、米国と連絡を取り合っていると述べました。

これは、結局米国のペロシ訪問を受けて、中国はこれに対して反対したり恫喝したりするものの、恫喝は恫喝であり、中国も本気ではないし、米国もそれを重々承知しているとみるのが妥当だと思います。

このうよな事実を見聞きしても、私自身はあまり不思議には感じませんが、これを不思議に感じる人も多いかもしれません。そうい人には、ある情報が欠けているのかもしれません。それは、中国は当然のことながら、米国でもあまり報道されませんので、仕方ないことなのかもしれません。

それは一体どのような情報であるかといえば、それはこのブログにもいくつか掲載したことがあります。その代表的なものの記事のリンクを以下に掲載します。
ペロシ米下院議長、アジア歴訪を発表も訪台は明示せず 割れる賛否―【私の論評】ペロシの台湾訪問は米国による対中国「サラミスライス戦術」の一環(゚д゚)!
米オハイオ級攻撃型原潜
中国はASW(Anti Submarine Warfarea:対潜戦)においては日米に著しく劣る中国海軍には、これに対抗する術はほとんどありません。中国軍は、米攻撃型原潜が台湾沖に恒常的に潜むことになり、米軍がそれを公表する事態になれば、第三次台湾海峡危機(1995年-1996年)において、米軍の空母に対応できず、軍事恫喝を継続することができなかったときのように、再度米国の攻撃型原潜に屈服することになります。

これについては、米国の著名な戦略家、ルトワックも台湾有事には米軍は攻撃型原潜を2、3隻攻撃型原潜を台湾沖に派遣(ブログ管理人注:年中休みなしに24時間体制するなら、2〜3隻は必要という意味と考えられる)すれば、十分防衛できると主張しています。台湾有事に、わざわざ空母打撃群などを最初に派遣して、中国軍に大きな標的を与える必要性など全くありません。

一部の米評論家は、この事実を見ようともせず、米国がやっていることはまだ十分ではない、米国は台湾に軍隊を駐留させるか、あるいは習近平氏により明確な公開警告を発するべきと信じているようです。

しかし、米軍の海戦能力が中国を遥かに凌駕している現在、「曖昧戦略」は取り消しても良いかもしれませんが、それ以上は必要があるとは到底思えません。無論、サラミスライス戦術が功を奏して、台湾に米国が軍隊を駐留させても良いとか、習近平にはっきりと警告を出しても良い時期が来た場合には、すべきとは思います。

米軍に中国に比較すると、圧倒的に強い対潜水艦戦能力を有しているので、海戦ということになれば、未だに中国は米国の敵ではありません。

実際に、米中が台湾を巡って武力衝突したとすると、米国は台湾近海に派遣した攻撃型原潜から大量にミサイル、魚雷を発射し、瞬時に台湾海峡に存在する中国艦隊、航空機のほとんどは壊滅、それだけではなく、 中国軍の台湾侵攻に用いる、防空施設、監視衛星要施設を破壊します。

これで、事実上中国の台湾攻撃部隊は、ほとんど壊滅しますが、それでも足りなければ、米軍は、二次攻撃、三次攻撃もするでしょう。これで、中国海軍と関連施設は崩壊するでしょう。

そのようなことになるのは目に見えているので、中国が台湾に武力侵攻できる見込みはほとんどありません。

ただ、米中が台湾を巡って軍事的に対立した場合、米軍によって中国の台湾侵攻を阻止することはできるものの、中国は台湾に向けてミサイルを多数発射するかもしれません。場合によっては、核ということも考えられます。

それどころか、日本や韓国も攻撃するかもしれません。そうなるとかなりやっかいです。ですから、米国としてもできれば、中国とは直接武力衝突をしたくないと考えているでしょう。

このブログでも何度も述べきたように、米国と中国の真の戦場は、経済とテクノロジーの領域にあります。なぜなら、軍事的には中国はいまだ米国に対抗できる力がなく、外交戦略においては、中国に対峙しているのは、米国一国ではなく、すでにより広範な反中国同盟だからです。

さらに、米国も中国を武力で追い詰めれば、中国の核兵器の使用を誘発し、中国が核を使えば米国もそれに報復することになり、エスカレートして終末戦争になることは避けたいと考えているからです。

地経学的な戦いとは、兵士によって他国を侵略する代わりに、投資を通じて相手国の産業を征服するというものです。経済を武器として使用するやり方は、過去においてもしばしば行われてきました。

ところが中国が特殊なのはそれを公式に宣言していることです。その典型が「中国製造2025」です。これは単なる産業育成ではなく、たとえばAIの分野に国家が莫大な投資を行うことで、他国の企業を打倒すること、そして、それによって中国政府の影響力を強めることが真の狙いなのです。

その意味で、中国は国営企業、民間企業を問わず、「地経学的戦争における国家の尖兵(せんぺい)」なのです。たとえば過去に英国がアジアを侵略する際の東インド会社のような存在なのです。

トランプ政権になって、米国がそうした行為を厳しく咎め、制裁を行うようになったのも、それを正しく「地経学的戦争」だと認識したからであり、だからこそ政権が交代しても、対中政策は変わらなかったのです。

そうして、習近平が、"香港、マカオ、台湾の人々の「心をつかむ」"と語ったことも、これと密接に関係しています。要するにこれらの地域の、漢人はもとより、中国に親和的な人々の心をつかみ、「地政学的な戦い」の強化を図れということなのです。

上の記事の結論部分は、
 習氏はさらに「中華民族の全ての息子たち、娘たちを1つにする」必要性も強調。専門家によるとこの言葉は共産党の構想を指しており、中華民族であればたとえ中国籍を持っていなくても全員を結び付けるというのがその主旨だという。

 この構想に対しては反発する中国系住民もいる。とりわけ物議をかもしているのは、一部の西側諸国で中国系の人々が不当な取り締まりの標的にされているとの見方が出ている点だ。これらの国々では、中国によるものとみられるスパイ行為の封じ込めに取り組んでいる。

と締めくくられていますが、なぜこのようなことになってしまうかとえば、2010年7月1日に施行された『国防動員法』は、「満18歳から満60歳までの男性公民及び満18歳から満55歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」「必要な予備役要員を確保する」「公民及び組織は、平時には、法により国防動員準備業務を完遂しなければならない」と規定しており、外国在住の中国人も免除対象ではなく国防勤務の対象者なのですです。

有事の際には、外国の国内の中国資本企業や中国人が所有する土地や建物が中国の国防拠点になる可能性も十分にあるのです。

さらには、中国には厄介な『国家情報法』があります。これは、2017年6月28日に施行されました。

国家の安全・利益の擁護を目的として、「国家情報工作」に関して法的根拠を与え、工作機関や工作員の権限、一般の組織や市民に対する工作活動への協力についても定めています。

『国家情報法』でも、外国国内において中国資本企業や中国人が諜報活動を行うことを、国家が保護するようにも読めます。

これについては、高市早苗氏のコラムに詳しく掲載されています。です。興味のある方は是非読んでみてください。

米中の真の戦いのフィールドは「地政学的戦争」、表のドタバタに惑わされるべきではないのです。ただし、米中双方とも、軍事的な対立が有利とみれば、そちらがわに舵を切ることも十分にありえるので、軍事衝突の可能性も捨てきることはできないですし、中国が台湾を武力で侵攻できる力をつければ、威嚇も何もせずに、速やかに武力で侵攻するでしょう。その後は尖閣でしょう。しかし、現状ではあまりにも武力ばかりが強調されすぎるきらいがあります。

いずれにしても日本を含めた自由主義陣営の国々は、「地経学的戦争」にも本気で備えるべきなのです。特に、日本では台湾有事、尖閣有事ばかりが大きく取り扱われ、「地政学的戦争」は、あまり報道されておらず、無防備、無関心な人や組織が多いことが気がかりです。

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2010年12月5日日曜日

日米演習 中国外務省、中国けん制への言及回避 専門家「冷戦前の情勢」―【私の論評】未だにビデオを公開しないし、弱腰中国に強い姿勢を見せられない菅内閣にアメリカも業を煮やした?!

日米演習 中国外務省、中国けん制への言及回避 専門家「冷戦前の情勢」

軍事演習「キンソード
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【大紀元日本12月5日】日本の自衛隊と米軍は12月3日から、共同軍事演習「キーンソード(鋭い剣)」を実施した。日本の防衛省によると、自衛隊員3万4千人と米軍兵士1万人余りが参加。米韓共同軍事演習を先日終えたばかりの米原子力空母「ジョージ・ワシントン」を含め、艦艇60隻、航空機400機が投入される。演習は日本各地の自衛隊基地や周辺海域で行われ、その規模は先日の米韓共同軍事演習の6倍で、戦後最大となる。

これまで日米共同軍事演習への参加を避けてきた韓国も、オブサーバーとして参加している。朝鮮半島の情勢を意識して、日米韓の連携を強化する狙いがあるとみられる。

8日間の日程で沖縄東方や四国南方、九州西方の海域などで展開する同演習は、北朝鮮の脅威の抑止に加えて、海洋権益を強硬に主張し、東シナ海や南シナ海で軍事活動を活発化させる中国をけん制する狙いがあると日本国内のメディアが報道している。

一方、今回の日米共同演習に対し、中国外務省は従来のような強硬な態度を見せていない。中国国営の新華社の報道によると、中国外務省による2日の定例記者会見で、記者から日米演習に尖閣諸島周辺の海域も含まれていることについての感想を聞かれた姜瑜・報道官は、「朝鮮半島問題の唯一の解決方法は対話であり、武力の誇示は問題解決にならない」と述べて、今回の日米演習の標的は朝鮮半島問題であるような発言をした。また姜報道官は「釣魚島(尖閣諸島)の問題において、我々の立場は明確で一貫している。関連国間の軍事同盟は、中国を含む第三国の利益を損なってはならない」と述べるに止め、中国国内では数カ月前からすでに同軍事演習は尖閣諸島を標的としたもので中国を仮想敵国としていると報道されていたものの、同会見では中国けん制狙いに対する言及を避けた形となった。

更に、中国外務省のホームページに掲載されている同記者会見についての発表では、質問や答えに入っていた「釣魚島」の文字は削除されている。

新華社も、今回の演習に関する報道では、「特定の国を対象としていない」という日本の北沢俊美防衛相のコメントを強調し、日本メディアに報道された「中国けん制狙い」などについては全く報道していない。演習がおこなわれる海域について、尖閣諸島に関する言及も避けている。

一方、中国共産党機関紙「人民日報」系列の「環球網」は、今回の演習は「中国を仮想敵」とし、「釣魚島を標的」にしていると明確に報道。3日には「独善的な米国、手当たり次第に中国を懲らしめる」と題する記事を掲載して、「(米国は)いらいらしている母親のように、毎日どうやって中国を懲らしめるかをばかり考えている」と米の対中政策を批判した。

中国の政府系メディアの論調に温度差が見られるほか、ネットユーザーの反応にも9月の中国漁船衝突事件の際に見られたような激しい反日感情は表れておらず、むしろ、政府の弱腰外交に対する批判の言葉が多くなっている。

今回の日米共同軍事演習に対する中国政府の姿勢に、中国の
ネットユーザーは弱腰外交と批判。人気掲示板MOPには、「米
国が侵略してきたら門を開け、米兵を案内してあげよう」などと皮
肉った発言が多く見られるとともに、「CCP(中国共産党の略称)
を打倒して人民が国の主人公となる」といった共産党批判の発言
も見られる(ネットスクリーンショット)。クリックすると拡大します。
中国国内の人気掲示板MOPに掲載された今回の軍事演習の報道に対して、「米国が侵略してきたら門を開け、米兵を案内してあげよう」「八カ国連合軍が北京に迫ってきたら、私はようこそ北京へと歓迎の歌を歌ってあげる」などと皮肉った発言が多く見られる一方、「CCP(中国共産党の略称)を打倒して人民が国の主人公となる」と中国共産党批判の発言さえ見られる。

一方、中国国内の国際情勢専門家は、今回の日米共同軍事演習に韓国のオブザーバーが参加している点に注目。領土問題による摩擦で今まで軍事面において手を結ぶことのなかった日韓両国だが、今回の両国関係の接近により、東アジアの情勢は自由主義と共産主義が対峙した冷戦時代に戻ったようだ、と見ている。中国国際関係学院の楊伯江教授は、「日米韓の関係が強化されつつあるこの情勢を憂慮すべきだ」と国内メディアのインタビューで述べた。

【私の論評】未だにビデオを公開しないし、弱腰中国に強い姿勢を見せられない菅内閣にアメリカも業を煮やした?!

大紀元では、上記の記事掲載前に、以下のような記事も掲載しています。非常に興味深い記事なので、これもそのままコピペします。
 【大紀元日本11月25日】北朝鮮による韓国の延坪島(ヨンピョンド)への砲撃事件で、民間人が死傷するなど両国間の緊張が一気に高まった。朝鮮戦争休戦後初めての砲撃事件で、無謀ともいえる今回の挑発行為がなぜこの時期に起きたのか。北朝鮮の次期後継者である金正恩(キム・ジョンウン)が軍での権力を強化させるために出た行動との分析が大半を占める中、最大支援国である中国が外交上や国内危機の苦境から逃れるための一手であるとの見解も示されている。
 事件後、米ホワイトハウスは北朝鮮を「強く非難」し、「好戦的な行動」の停止と朝鮮戦争休戦協定の順守を要求した。イギリス、EU、ドイツも相次いで北朝鮮の挑発行為を非難するコメントを発表し、国連安保理も近々、北朝鮮への制裁案を検討すると伝えられた。一方、北朝鮮に大きな影響力を持つ中国は、砲撃事件が伝えられた直後、韓国と北朝鮮双方に冷静な対応を呼び掛け、北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議の再開が不可欠との認識を示した。
 朝鮮半島の緊張により、東京の訪問を終えて中国に向かったボスワース米政府特別代表(北朝鮮担当)の中国訪問への関心が高まった。北朝鮮が遠心分離機の存在を明らかにした後、急きょアジアに派遣された同代表は22日、ソウルでの記者会見で、米朝直接対話の可能性について、「北朝鮮が誠意を持って対話や討論の方向に転換しているという態度を示さなければならない」とした上で、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議再開問題について、「それを再びよみがえらせることを希望する」と語った。
 今回の砲撃事件で、関連各国は6カ国協議再開における中国の仲介役への期待が一層高まる。それをカードとして中国側が米国に対して人民元切り上げへの圧力を緩和させ、国際問題での中国の影響力を高めようとする中国の意図がうかがえるとの専門家の見解が伝えられている。
 中国問題専門家で、元・北京師範大学の孫延軍教授は、インタビューで今回の砲撃事件について、「北朝鮮が単独で軍事行動に出た可能性は低い」とし、「中国と北朝鮮は現在、いずれも国内外の厳しい危機に直面している。何らかの問題を引き起こすことによって、国際社会から最大限の譲歩を引き出すための行動ではないか」との見方を示している。
 同氏の分析では、中国国内では、社会格差やインフレ問題など当局はさまざまな難題を抱えており、まさに一触即発の状態。国外では、米国による人民元切り上げへの圧力が高まる一方である。尖閣諸島問題後、中国の強硬な外交姿勢に周辺国は警戒感を示し、日本との関係が急速に悪化し、日米同盟が強化されるなど国内外においての八方ふさがり状態に中国当局は焦燥感を募らせている。
 局面打開のため、毎年多額の援助を行ってきた北朝鮮は中国にとって格好の道具となった。「北朝鮮が事件を起こせば、米国は国際社会の秩序を守るため、中国に北朝鮮を説得するよう要請するだろうと中国は見込んでいる。その見返りとして、人民元切り上げを要求しないよう米政府に注文をつけ、それによって国内の経済危機を乗り切ろうと計算している」と同氏は見ている。
 一方、北朝鮮が最近遠心分離機を擁する大型ウラン濃縮施設を公開した件についても、中国の支援なしに最新設備を持つ核施設の建設は不可能との見解で、各国の専門家は一致している。
上記では、「北朝鮮の次期後継者である金正恩(キム・ジョンウン)が軍での権力を強化させるために出た行動との分析が大半を占める中」としていますが、まさしく、私も砲撃の直後ではそのような見解をブログに掲載しました。

北朝鮮と関係が深い中国は、以前米韓が黄海で合同軍事演習をした際には、米空母の参加に「断固反対」を表明した。眼前の海域では、米軍に自由な行動は取らせない、という意思表示をしました。

今回の黄海での米韓軍事演習も26日夜、外務省副報道局長が「中国の排他的経済水域(EEZ)では、どの国であれ、許可なく軍事行動をとることに反対する」と、反発しました。

中国は、圧力をかけて北朝鮮に核廃棄を迫ろうとする日米韓には同調せず、むしろ経済支援の強化によって3代世襲体制を支える立場です。隣国の北朝鮮で体制が崩壊すれば、中国の安定も損なわれるという計算があるのでしょう。

しかし、地域の平和と安定を脅かしているのは、北朝鮮です。中国が甘やかしてきたことが、ここまで増長させたのではありませんか。

北朝鮮の現状を黙認するなら、地域情勢は不安定さを増すばかりです。時限爆弾を抱える現実を、中国は認識しなければならないはずです。

もし、今回の砲撃事件が、大紀元日本11月25日の記事にあるように、中国が背後にいるとすれば、これは大問題です。その可能性は十分にあります。中国の北朝鮮に対する煮え切らない態度をみていれば、この記事のように直接中国が関与しなかったとしても、この事件を何らかの取引の材料に使うことなどは考えたかもしれません。

しかし、その目論見は完全に読み間違えにしかすぎなかったことが明らかになったと思います。その結果、ここしばらくなかった、日米韓の合同による今回の大規模な軍事演習である「キン・ソード」です。

今回の、「キン・ソード」に対する中国の各メディアの報道は、本日の大紀元の報道にもみられるように、いろいろあるようですが、及び腰の論調が多いようで、それに対してネットユーザーが怒りをぶちまけているというところです。

それから、上の記事で、『中国国内の国際情勢専門家は、今回の演習によって、「東アジアの情勢は自由主義と共産主義が対峙した冷戦時代に戻ったようだ」と見ている。中国国際関係学院の楊伯江教授は、「日米韓の関係が強化されつつあるこの情勢を憂慮すべきだ」と国内メディアのインタビューで述べた』としていますが、この見方は完全に偏っていて、一方的です。

現実は、ソ連崩壊によって、冷戦構造はなくなり、ロシアや東欧諸国は、まがりなりにも、形だけでも民主的になりましたが、残念ながら、アジア、特に中国と北朝鮮は、冷戦前の構造がそのまま残ってしまい、いまでも世界の安定に脅威をもたらしています。さらには、そもそも最初から不可能であるにもかかわらず、アメリカが一極支配を目論んでいるため、さらに世界は不安定な構造となっています。

これに対して、結局日本も何もしてこなかったというのが実体であり、本来これに対しても何かすべきものだったものをまだ、多数の積み残しがあるというのが実体です。上記のような見方しかできない中国国内の国際情勢専門家は、能力が著しく低いし、だからこそ、今回の中国の読み間違いも発生したものと推測します。

この、大規模な軍事共同訓練に関しては、おそらく菅内閣、民主党など完全に蚊帳の外だったのだと思います。第一、尖閣での中国漁船体当たり事件の処理の仕方をみていても、どうしようもないくらいに、及び腰ですし、事前に軍事演習に関して、アメリカ側から申し入れがあっても、特に断る理由もないし、それに判断すらできないですから、黙っていた、その結果、申し入れに従って、制服組などが、演習の準備をして実現したというところが、関の山でしょう。

民主党の中の左翼連中も、この軍事演習を断るだけの判断材料をあげることも、その勇気もなかったのだと思います。菅さんも、北沢も、岡崎トミ子も、中国さまのご機嫌を損ねることには反対すべきその他の閣僚も出来なかったのだと思います。

中国が今回の演習に対して特に目立った抗議もしない、というよりできないのは、もともと、中国は、ベトナムやフィリピンのような、大国の後ろ盾もないとか、後ろ盾の弱い国に対しては強い態度にでるのですが、アメリカや、ロシアなどの軍事大国に対しては、昔から一環して弱腰だったからです。

特に、中国がロシアに対して昔から一環して弱腰外交であったことは、以前のブログにも述べたことです。

日本は大国であるのは間違いないのですが、なにしろ、政権が左翼の甘露煮頭です。今回の、尖閣の問題は、こうした甘露煮頭の弱体政権に対して、どこまでやれるか試しにやってみたところ、あのアメリカを怒らせて、今回のような軍事演習をさせてしまったということで、全くの失敗に終わったわけです。愚かなリ中国というところです!!完全に、各国の意図を読み誤っています。

アメリカは、本来は弱腰外交の中国に、オバマ大統領が一時、融和的態度でのぞんだことから、中国を増長させてしまったのだと思います。その意味では、まだ、アンチ知性派のブッシュ政権のほうが、中国に対する正しい対応をしていたといえるかもしれません。オバマ氏としては、今回の中間選挙でも負けていますから、この機会に国民に対して、中国に対しても強い意思表示をする必要があったものと思います。生来の外交べたの中国は、今回はすっかりいろいろなシナリオを読み違えたのだと思います。

アメリカと中国の間には、共通点もありますが、はっきりと利害が相反するところもあります。共通点に関しては、両方とも日本の弱体化を狙っているということです。アメリカは、日本を韓国のようにアメリカの経済植民地にすることを望んでいます。これは、半分成功しかけていますが、日本は意外としぶとくて、まだまだ程遠い状況にあります。利害が相反するところとは、日本が中国の覇権の中に取り込まれることを中国は無論、大賛成ですが、アメリカは絶対に許容しないということです。

さて、民主党政権は今回の一連の出来事から何を学んだことでしょうか?おそらく、ほとんど学んでいないと思います。ただ、流されるまま漂流していたというのが実体でしょう。もう、漂流政権、漂流政党に国政を任せておくことはできないということを、大多数の国民が学んだことでしょう。

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2023年3月17日金曜日

バイドゥの「中国版ChatGPT」は期待外れ、株価10%急落―【私の論評】社会変革は二の次で、技術革新を追いかける中国は、今後経済成長できない(゚д゚)!

 バイドゥの「中国版ChatGPT」は期待外れ、株価10%急落

ロビン・リー(李彦宏)、2018年5月26日

中国のビリオネアであるロビン・リー(李彦宏)が率いる検索大手バイドゥは3月16日、ChatGPTの競合となることを目指す、独自のチャットボットの「Ernie Bot(アーニーボット)」を公開した。

バイドゥの北京本社で開催されたイベントで、54歳のリーはErnie Botの機能を説明した。しかし、この発表はライブデモではなく、あらかじめ用意されたさまざまなタスクをこなすボットの映像が流されただけだった。

そのため、参加者がその場でErnie Botと対話する機会はなかったが、バイドゥはこのサービスを16日から一部のユーザー向けに提供すると述べている。投資家はこの発表に感銘を受けなかった模様で、バイドゥの香港上場株は午後の取引で10%急落した後、6.4%安で日中の取引を終えた。

「当社のボットはまだ完璧とはいえないが、市場の需要を見た結果、リリースを決定した」とリーは語った。

香港のEverbright Securitiesの証券ストラテジストのKenny Ngによると、バイドゥがChatGPTを意識したプロダクトに取り組んでいることが最初に報じられたときに、市場の期待は非常に高く株価も上昇したという。2月のアナリスト向け電話会議でリーは、Ernie Botが検索エンジンだけでなく、動画サービスのiQiyi(愛奇芸)など、バイドゥのさまざまなサービスに徐々に統合されていくと述べていた。

近年は市場の影響力においてライバルに遅れをとっているバイドゥは、人工知能(AI)領域に注力して事業の多様化を図り、活力を取り戻そうとしている。同社の昨年第4四半期の売上高は予想を上回る48億ドル(約6400億円)を記録したが、売上の半分以上はオンラインマーケティングによるものだった。中国の経済成長が鈍化するなか、テンセントやTikTokの親会社のバイトダンスは、ブランドを自社のプラットフォームに誘致しようとしており、この分野の競争は激化している。

中国のチャットボットの限界

バイドゥはプレスリリースで、Ernie Botがビジネス文書や中国語の理解などの分野で優れていると述べている。同社のボットは、OpenAIが初期モデルのChatGPTをさらに進化させたChatGPT-4を発表したわずか2日後に発表された。マイクロソフトの支援を受けたOpenAIは、最新版のボットの安全性を高め、誤解を招いたり不適切と判断されるような回答をしないようにトレーニングしたと述べている。

しかし、中国ではChatGPTが利用できず、バイドゥやテンセント、アリババなどの大手がこぞってChatGPTを模倣したプロダクトを開発している。

リーは、Ernie Botのサービスの法的側面には触れなかったが、中国発のチャットボットは、デリケートな話題を避け、厳しい国内ルールに準拠することが求められる。ウォール・ストリート・ジャーナルが最近実施した調査によると、中国のチャットボットの多くは、すでに中国の指導者についての質問に答えることを拒否している。

【私の論評】社会変革は二の次で、技術革新のみを追いかける中国は、今後経済成長できない(゚д゚)!

このブログでは、以前ChatGPTの話題も掲載したことがあります。そうして、その中で中国のAIには限界があることを指摘しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国ソーシャルメディアがChatGPTをブロック、プロパガンダ拡散を警戒―【私の論評】技術革新だけで社会変革にAIを使えない中国社会はますます時代遅れとなり、経済発展もしない(゚д゚)!

中国ChatGPTに類似のChatYuanの画面 クリックすると拡大します

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事より一部を引用します。
会話型AIが人間の友達になるか、うっとおしいセールスマンになるか、支配のツールになるか、全てはこれから決まっていくでしょう。ただ、西側諸国においては、これらのことは、一定の基準が設けられ、極端なことにはならないような仕組みが構築されるでしょう

ただ、中国のような国では、AIを監視システムに用いたりするという先例もありますから、技術的なもの等には利用していくかもしれませんが、社会に関するものには利用しないでしょう。

なぜなら、現在の中国は中国は遅れた社会のままであり、これを改革するためには、まずは何をさておいても、中国の現体制を変えなれければならないからです。それは、中国共産党の終焉を意味し、中共は絶対にそのようなことをしないでしょうから、中国社会は遅れたままになるでしょう。そうなると今後経済発展も期待できません。

以上、chatGPTは中国にとって、諸刃の剣であることを述べてきました。しかし、chatGPTだけが、中国にとって諸刃の剣というわけではありません。実はAIそのものが、諸刃の剣になり得ます。

たとえば、中国では監視カメラをAIで運用して、特定の個人を特定するシステムなども大々的に構築され、運用されていますが、これも諸刃の剣です。ただchatGPTのように、すぐに自分たちに危険が及ぶ可能性を認知しにくいだけです。

たとえば、このAI監視システムが反乱分子に乗っ取られたらどうなるでしょう。そこまでいかなくても、AI監視システムを運用できる人物が、その情報を反乱分子に伝えるようなことがあったらどうなるでしょうか。

この記事でも述べましたが、経営学の大家ドラッカー氏は、イノベーションとは技術革新ではなく、社会を変えるものでなければならない、社会を変えるものでなけば、それはイノベーションとは呼べないとしています。

その意味では、中国のいわゆるイノベーションと呼ばれているものは、すべてが、技術革新ということができるでしょう。

そうして、その技術革新の目的は、社会などどうでもよく、中国共産党の幹部とその走狗が、経済的に豊になることと、中国の全体主義体制を維持することです。中国社会などどうでも良いのです。


2021年、米国のGDPは23兆ドル、中国は17.7兆ドルでした。 1人当たりGDPは米国が6.94万ドル、中国が1.25万ドルで、総額でも米国が中国を上回り、1人当たりでも米国が中国の6倍近くになっています。

ただ、中国政府の出すGDP等の統計は、ほとんど出鱈目だといわれており、本当はもっと低いとも言われています。

それは、無視して、この数字が正しいものとしても、中国の一人あたりのGDPは米国の1/6程度に過ぎないのです。

なぜこのようなことになるかといえば、米国においては様々な社会問題があることは事実ですが、それにしても、真の意味でのイノベーションが実行され、社会が少しずつであっても良くってきたし、これからも良くなり続けるからでしょう。

米国においては、中国と比較すれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化などが進んでおり、それが多数の中間層を生み出し、それが活発に社会経済活動を行い、イノベーションを実施し、その結果として経済も発展してきたのです。

米国においては、あらゆる地域、あらゆる階層においてイノベーションがなされた結果、今日のような繁栄をみるようになったのです。無論、問題も多々ありますが、それでも多くの人は社会を良くすること、良くなるを前提として、日々生活しています。

これが時には行き過ぎて、社会に分断を招いたりしていますが、それでも中国と比較すれば、社会は日々進歩しています。これは、多かれ少なかれ、我が国の含めた自由主義陣営の国々に当てはまることです。だからこそ、米国に限らず、一人あたりのGDPでは多くの先進国が中国よりも、高いのです。ちなみに、中東欧諸国や台湾や韓国も中国よりは一人あたりのGDPは高いです。

ちなみに、日本は過去には金融政策を、過去も現在も財政政策を間違い続けており、そのため過去ほとんどGDPが伸びず、賃金も30年間も伸びませんでしたが、それでも一人あたりGDPでは中国よりは遥かに上です。

一方中国では、先程の述べたように、イノベーションはなされず、技術革新のみが行われ、一部の人間を経済的に豊にすることだけに注力し、社会はなおざりされたままです。中国の技術革新は、中共が掛け声をかけ、資金を投じて、一部の人間を経済的に豊にするだけで、社会はそのままです。そのため、中国では信じられないような拝金主義が横行しています。

それは、日本などの先進国でもある程度はありますが、程度問題であり、中国ほど酷くはありません。

ChatGPTのようなAIは、イノベーションによって社会変革をする環境が整っている、国や地域で、利用されて初めて真価を発揮するものと思います。中国のような、技術革新だけしようというところでは、真価は発揮し得ないでしょう。

中国のネット上では、「中国のAIは米国のAIよりも賢いに違いない。なぜなら私たちはAIに、話す方法だけでなく、話さない方法も教えなければならないからだ」と皮肉を言う人もいます。

確かに、言論の自由のない社会で、賢く、対話に長けたAIが生まれるとは想像がつかないです。

科学技術の発展によって、独裁国家の政治制度、少なくとも言論が自由を獲得する日が来る、と考えている人はいるかもしれないです。しかし、過去の中国はそうではありませんでした。


長い間、科学技術は誰にとっても公平で中立であると考えられてきました。確かに民主主義国家も、独裁国家も、技術があればミサイルやコンピューターなどを同じように生産できます。

しかし、科学技術が社会を良くすることに使われるのか、そうではないかで社会は随分違ってきたのです。科学技術でイノベーションを実現するか、そうではないかで、社会は随分異なるものになります。特に、イノベーションは二の次で、技術革新のみを追いかける中国は、過去には経済成長できましたが、今後は成長できないでしょう。

チャットGPTのような自由な対話形式のAIが普及し始めたことで、この当たり前のことがも多くの人認識されるようになるでしょう。

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2021年12月18日土曜日

対中非難決議また見送り…「外交的ボイコット」対応決まらず 茂木氏、採択に難色 門田隆将氏「親中対応続けば、自民は厳しい」―【私の論評】日本は、新冷戦で戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際にある(゚д゚)!

対中非難決議また見送り…「外交的ボイコット」対応決まらず 茂木氏、採択に難色 門田隆将氏「親中対応続けば、自民は厳しい」

高市早苗政調会長

 中国当局の新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を非難する国会決議案が、先の通常国会に続き、21日に閉幕する今国会でも採択が見送られることになった。自民党の高市早苗政調会長らが採択に向けて動いたが、茂木敏充幹事長が、北京冬季五輪に政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」をめぐる岸田文雄政権の対応が決まらないなかでの採択に難色を示したという。岸田自民党は大丈夫なのか。

 「臨時国会こそは、と思って公明党との文言の調整も含めてやってきた。茂木氏の署名がないと国会に出せない。大変悔しい。本当は今のタイミングだ」

 高市氏は17日、党本部で茂木氏に面会後、記者団にこう語った。

 この日、高市氏は党内有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の古屋圭司会長や、「日本チベット国会議員連連盟」の下村博文会長らと、茂木氏に今国会での採択を申し入れた。

 だが、古屋氏によると、茂木氏は「決議案の内容はいいが、タイミングの問題だ。五輪に政府関係者を派遣するかの問題に今一番、世論が注目するなか、今はタイミングが良くない」と受け入れなかったという。

 同様の決議案は先の通常国会でも、他党との文面づくりを終えていながら、当時の党執行部の「承認」が得られず、提出されなかった。

 今回の党執行部の対応について、党内保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」幹事長の山田宏参院議員は18日朝、「国会決議を先にすれば、岸田政権も、政府代表派遣をめぐる判断をやりやすいはず。茂木氏のいう『タイミング』は意味不明だ。順番が違う」と語った。

 岸田政権はいつまで、「対中」で煮え切らない姿勢をとり続けるのか。

 作家でジャーナリストの門田隆将氏は「欧米諸国が、中国の暴走を食い止めようと非難決議や制裁を発動するなか、日本は何周も遅れている。『人権を重視する国際社会の輪から離脱しようとしている』とみられても仕方がない。世界に恥ずかしくないのか。こんな『親中』対応が続けば、自民党は来年夏の参院選は、かなり厳しくなる」と語っている。

【私の論評】日本は、新冷戦で戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際にある(゚д゚)!

わずか半年前にも、似たようなことがありました。当時の二階幹事長らが、対中非難決議文案への「承認」サインを求めた自民党の下村博文政調会長と古屋圭司元国家公安委員長らと、同党の二階俊博幹事長と林幹雄幹事長代理による応酬があり、結局都議選での公明党との連携を見据えて、二階氏のサインを制止したのは林氏だとされました。

これについては、このブログでも掲載しました。以下に当該記事のリンクを掲載します。
「自民党の風当たり強くなる」有本香氏のコラム「以読制毒」詳報で波紋 対中非難決議見送り 本紙ツイッターには「日本人として申し訳ない気持ちだ」―【私の論評】中国共産党と似ている自民媚中"三人組"(゚д゚)!

17日発行の夕刊フジに掲載された有本香氏のコラム「以読制毒」の紙面

これは今年6月18日の記事です。ちょうど半年前の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より長くなってしまいますが一部を引用します。
本当に情けないです。自民には、親中的な公明が採択に及び腰だったことが見送りの原因との声がある一方、公明は閉会間近まで自民から正式な交渉の呼びかけがなかったとして、「根回し不足」(幹部)を指摘しています。

「根回し不足」どころか、林幹事長代理が、これを意識して止めたというのですから、問題外です。無論、止められる二階氏にも大きな問題があります。
二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、森山裕国対委員長
この三人、中国共産党に非常に似てきたと思います。まずは、一党独裁ということで、中国は多くの人民の意向など完璧に無視します。その不満のマグマがたまって、自らに跳ね返りそうになれば、城管、警察それで事足りなければ、人民解放軍で人民を弾圧して黙らせます。

日本は、民主主義体制ですから、さすがにそこまではできませんが、それにしても長期政権が続き、国民の声を聴くということをしなくなってきたという点では似ています。この三人と、中国共産党の違いは、民主主義体制と全体主義という政治体制によるものだけかもしれません。

この三人は、昨年の米ピュー・リサーチ・センターの世論調査では、日本人の86%もが、中国に対して否定的な考えを持っていることが明らかになっていることなど気にもしていないのかもしれません。この三人も、自民党や公明党も、国民に顔を向けた政治をすべきです。

今回の決議案は、野党は全部賛成していたというのですから、この三人の態度は国民をないがしろにしていると言わざるを得ません。このようなことを平気でできるということは、中国共産党の人間と親しく交わっているうちに、知らず知らずに彼らの影響を受けているのではないでしょうか。

さらに、海外よりも、自国内を優先するということでも似ています。中国ではこのブログでも以前示したように、元々外交があまり重視されず、対外関係も自国内の都合や中国共産党の都合で動く度合いがかなり強いです。そのため、中国の外交政策は、ほとんどが失敗ばかりです。いっとき中国外交を「したたかな外交」と褒めそやす向きもありましたが、私自身は、昔から中国は外交ベタというか、外交劣等生だと思います。結局この三人も、党内事情などで、中国との対応を決めるなど、中国共産党と似た動きをしています。

また、中国共産党が内部で派閥闘争にあけくれるということでも、この三人は似ていると思います。彼らも、多くの議員を籠絡して味方につけたり、場合によっては恫喝してみせたりと、党内政治に明け暮れているようです。そのためでしょうか、中国共産党は夢のようなことを言うのですが、結局何をやりたいのかさっぱりわかりません。

戦略などなく、ただその時々で派閥抗争に勝利するために行動するというのが、中国共産党の本質です。その実自分たちは、「孫氏の兵法」の継承者であると悦にいっているところがあります。古代の戦略が現代に通用すると思っているところが、共産党の最大の弱点だと思います。この三人も腹黒く様々な姦計をめぐらして、権力を手中におさめていると悦にいっているところがあると思います。この点でも、中国共産党と似たり寄ったりのようです。
9月に総裁選があり、岸田総裁が誕生し、二階氏が幹事長を退き、新たなに甘利幹事長が誕生して、金輪際無用な中国忖度はなくなると思っていたところ、衆院選で甘利氏が小選挙区で落選し、比例で復活はしたものの、辞任してしまいました。

その後、岸田総理は新幹事長は茂木氏、外務大臣は林氏という、重要なポストに中国と距離の近い人物を選んでしまいました。

いくら中国に近いとはいっても、まさか茂木幹事長が、北京五輪の「外交的ボイコット」を受け入れない等の事態が発生するとは思いも寄りませんでした。

林外務大臣と茂木幹事長

ただ、なぜ、岸田首相は中国に対して煮えきらないのかを考えると、納得できるところもあります。

最大の理由は、岸田派=宏池会に染み込んだ「親中DNA」でしょう。同派の生みの親である池田勇人元首相は「日中友好」を唱え、日中貿易を推進しました。大平正芳元首相も、田中角栄内閣で外相として、「日中国交回復」に尽力しました。

宮沢喜一元首相に至っては、官房長官時代に歴史教科書検定をめぐって、中国の批判に応える談話を発表し、天安門事件の後には「天皇訪中を実現」して、中国の国際社会復帰に道筋を付ける役割を果たしました。

こうした「親中DNA」を受け継いだ岸田首相が、中国に腰が引けた振る舞いをするのは、ごく自然なことなのかもしれません。

ただ、現状の中国は一昔前の中国とは違います。一昔前の中国は、経済的にも軍事的にもとるに足りない存在でした。現在の中国は一人あたりのGDPでは世界で72位と100ドルを切るレベルで、現在でもとるに足りない存在ですが、人口が14臆人であり、全体では米国に次ぐ第二位となっており、近年は軍事力を強化し続けています。

そうして、何よりも南シナ海の環礁を埋め立て軍事基地化するなど、海洋進出に地道を上げています。経済発展の原動力の一つともなった、WTOのルールも無視しています。

そのような中国は、習近平が世界秩序を変えるとはっきりと宣言しています。それに対抗するため、米国は中国に経済制裁を課し、それにEUなども同調し、今や世界は中国対世界という対立軸で新たな冷戦状態になっています。

民主国家であり、米国と同盟国でもあり冷戦戦勝国日本は、中国共産党と対峙する以外に道はありません。

ロシア、中国、北朝鮮、東欧諸国などは、冷戦敗戦国であり、冷戦敗戦の直後には、中国や北朝鮮は経済的にも軍事的にもとるに足りない存在だったので、失うものはあまりありませんでしたが、ロシアや東欧諸国は失うものが大きく、経済的にもかなり疲弊しました。


冷戦戦勝国である日本は、経済的にも国際的な地位ということでも、戦勝で大きな恩恵を受けてきたのは間違いありません。安倍氏が総理大臣のときに、「自由で開かれたインド太平洋戦略構想」を提唱したり、QUAD構想を提唱したりできたのは、そのような背景があったからに他なりません。

その日本が、米国でさえも、中国に対峙する道を選んだにかかわらず、親中的な態度を継続していれば、冷戦戦勝国からすれば、裏切り以外のなにものでもありません。

冷戦のさらなる進展により、日本は中国とともに沈み、今度は新冷戦敗戦国になるかもしれません。このような厳しい現実に対応することもなく、「親中DNA」をそのまま引き継ぎ親中的な行動をし続ければ、そうなります。


安倍氏は、岸田首相が中国に対して毅然とした姿勢に改まるまで、圧力をかける続けるでしょう。それでも、首相が動かなければ、自民党内の保守派を本格的に動員して、党内世論を主導することになるでしょう。

高市氏は党内有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の古屋圭司会長や、「日本チベット国会議員連連盟」の下村博文会長らが、14日、岸田首相に北京冬季五輪の外交的ボイコットを求めたのは、その手始めでしょう。

この、3つの国会議員連盟の代表は、17日茂木氏に今国会での「人権弾圧非難決議案」の採択を申し入れました。 ところが、古屋氏によると、茂木氏は「決議案の内容はいいが、タイミングの問題だ。五輪に政府関係者を派遣するかの問題に今一番、世論が注目するなか、今はタイミングが良くない」と受け入れなかったといいます。

岸田政権が行動を改めない限り、今後このようなことが頻発し、岸田政権では参院選を戦えない、ねじれ国会だけは避けたいという声がまきおこり、政局に発展する可能性が大です。

これを機会に、既存政党の枠組みを超えて、親中派と反中派が完璧に分かれる大規模なガラガラぽんが起これば良いと思います。そうなれば、親中派は少数派ですから、必ず反中派が優位になります。

今まさに日本は、新冷戦戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際です。このくらいの政局の波乱が置きても不思議ではありません。親中派は、いままでやってきたことを繰り返しているだけだし、純粋な党内派閥抗争くらいに思っているでしょうから、あまり危機感はないでしょうが、反中派はかなりの危機感を感じていることでしょう。

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