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2022年11月22日火曜日

ハーバード世論調査:トランプがデサンティスに18ポイント差で勝利、仮定上の2024年共和党予備選挙で―【私の論評】 中間選挙でトランプの共和党内での立場は盤石になり、現状で大統領選の最有力候補に(゚д゚)!

ハーバード世論調査:トランプがデサンティスに18ポイント差で勝利、仮定上の2024年共和党予備選挙で


<引用元:ブライトバート・ニュース 2022.11.18
最新のハーバードCAPS・ハリス世論調査で、共和党の2024年大統領予備選挙を仮定した場合にドナルド・トランプ前大統領がフロリダ州のロン・デサンティス知事に18ポイントリードし、明らかな最有力候補者であることがわかった。

世論調査では、共和党有権者の46パーセントがトランプを支持していることがわかった。一方デサンティスの支持者は28パーセントだった。

2024年に大統領選挙に出馬するとの憶測が多いマイク・ペンス前副大統領は、わずか7パーセントの支持率だった。テッド・クルーズが3パーセントで4位に着け、ニッキー・ヘイリー、マイク・ポンペオ、そしてティム・スコットはいずれも2パーセントだった。

ハーバード世論調査は、先週の中間選挙後、そしてトランプの2024年大統領選挙出馬の発表後に実施された。

「アメリカを再び偉大で輝かしくするために、私は今夜合衆国大統領に立候補することを発表します」とトランプは、15日にマーアラゴの私有地で支持者の聴衆に語った。

また世論調査では、デサンティスならジョー・バイデン大統領と同点となるが、トランプであれば2024年のリターンマッチを仮定した場合にバイデンに勝利することもわかった。

仮定上のリターンマッチでは、有権者の42パーセントがバイデンを支持するのに対し44パーセントはトランプを支持する。調査ではまた、仮定上の選挙でトランプがカマラ・ハリス副大統領を7ポイント差で破ることもわかった。

一方デサンティスとバイデンは調査では43パーセントで同点となった。

調査ではほとんどの有権者がバイデンの精神面の健康状態に疑問を持っており、2期目の出馬を行うべきでないと考えていることもわかった。

ハーバードCAPS・ハリス世論調査は2,212人の登録済み有権者に対して11月16日から17日まで実施された。

【私の論評】 中間選挙でトランプの共和党内での立場は盤石になり、現状で大統領選の最有力候補に(゚д゚)!

上の記事にでてくる、フロリダ州のロン・デサンティス知事、州知事選で、民主党の対立候補に圧勝して知事再選を果たし、2024年の次期大統領選に向けた共和党の「新星一番手」という地位を確保したとみられる人物です。

ロン・デサンティスフロリダ州知事

トランプ前大統領が15日に次期大統領選への再出馬を正式表明すると予測される中で、デサンティス氏は、自らの政治生命を賭けてトランプ氏と共和党大統領候補の座を争う覚悟があるのかどうか決断を求められることになります。

日本では、ほとんどのメディアは中間選挙は、共和党の完璧な敗北であり、その責任の一旦はトランプにあり、トランプの大統領復帰など、あり得ないという論調です。

しかしこれは一方的な見方にすぎないことをこのブログでは、主張しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
暗号資産FTX経営破綻 米で12月に公聴会へ 債権者は100万人超か―【私の論評】トランプの大統領選を有利にする、民主党リベラルの大スポンサーFTXの経営破綻(゚д゚)!
サム・バンクマンフリードFTX前最高経営責任者(CEO)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。
トランプ氏の次期大統領選出馬表明について日米のメディアは強く批判ばかりしています。その最大の根拠は「中間選挙で共和党が惨敗」したという見方です。

しかし上院で今回選挙戦が争われたのは35選挙区です。民主党の改選議席数は14(非改選36)、共和党の改選議席数は21(非改選29)下院は共和217、民主207。これでは、共和党が惨敗とはいえません。むしろ、選挙戦そのものでは共和党のほうが勝っているともいえます。

そうして、トランプが支持した候補は予備選等も含めて235人当選し、敗北は22人です。これもトランプが敗北したとはいえません。

そうでなけば、2024年の大統領選に出馬することを表明したりはできなかったでしょう。

日本のメディアは、米国のリベラルメディアの報道を垂れ流すのみで、以上のようなことを報道しません。
無論、共和党は中間選挙で旋風を起こせなかったのは事実です。ただ、それを全部トランプのせいにするのは、あまりに無責任といわざるをえません。

この記事で主張したように、共和党は「トランプ党」なのか「反トランプ党」なのかを明確にしないまま、選挙戦に突入したのに対して、民主党はインフレなど不利な面があったので、より結束を強めて選挙戦に突入することができました。

そのため、共和党は中間選挙では旋風を起こすことができなかったのです。しかしながら、朝日新聞は以下のように伝えています。
 トランプ氏は選挙後、米FOXニュースに対し、推薦した候補の大半が当選したとして「我々はとてつもない成功を収めた」と語った。米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏は上院で21人、下院で156人の計177人を推薦した。米CNNによると21日時点で、上院では15人、下院では148人が当選を確実にしている。「トランプ派」の推薦候補のうち9割超が当選したことになる。

 ただ、朝日新聞は、続けて、中間選挙の選挙区を「共和党有利」「接戦区」「民主党有利」の三つに分類すると、トランプ氏が推薦した先は「共和党有利」の候補ばかりだとしています。

ただ、トランプ氏がなぜ推薦を行ったかといえば、トランプ派の議員をなるべく増やすためです。この目的を成就するためには、共和党が有利な選挙区で、トランプ派の議員が立候補していれば、その議員を推薦し、反トランプ派の議員が立候補している場合は、刺客を送り、反トランプ派の議員を落選させることが、最も効率的ですし、効果的です。

これは、このブログでも以前述べましたが、ワイオミング州で8月16日、連邦下院選の共和党候補を決める予備選が行われた結果、昨年の連邦議会占拠事件を巡ってトランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れたことをみても明らかです。


トランプ氏の推薦候補は、上下両院の共和党の当選候補のうち7割近くを占めています。今後の米議会でも、トランプ派が共和党内で存在感を保つことは確かです。私自身、今回の中間選挙でトランプ氏の共和党内での立場は強くなったとみています。

確かに共和党の大統領候補指名レースに限れば、トランプ氏はデサンティス氏を含む他のどの政治家に対しても優位に立つとみられます。党の支持層の間では高い人気を維持し、手元にある潤沢な選挙資金はこれからさらに増えていく一方でしょう。

それを見越している人が多いからこそ、最新のハーバードCAPS・ハリス世論調査で、共和党の2024年大統領予備選挙を仮定した場合にドナルド・トランプ前大統領がフロリダ州のロン・デサンティス知事に18ポイントリードし、明らかな最有力候補者であることがわかったのだと考えられます。

トランプ氏が2024年の大統領選挙における有力な候補であることは間違いないです。ただ、一つトランプ氏にとって不安材料があります。それは、今回の中間選挙で共和党が「共和党旋風」を起こせなかった原因となった、共和党が「トランプ党」でいくか、「反トランプ党」でいくかをはっきりさせないことです。

これが、はっきりしなければ、トランプ氏も、共和党も「勝てる選挙」でも勝てなくなってしまう可能性があります。

共和党としては、どちらの道を行くにしても、早い時期に決めて、決まった以上は一致団結して、選挙戦に望み、次の選挙では、共和党旋風を巻き起こすべきと思います。

過去をみると、共和党政権にとっては、日本にとって良いことが多く、民主党政権のときはあまり良くなかったと思います。


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2024年3月22日金曜日

もしトランプ政権になれば その2 NATO離脱ではない―【私の論評】トランプ氏のNATO離脱示唆はメディアの印象操作?アメリカ第一政策研究所の真の見解

もしトランプ政権になれば その2 NATO離脱ではない

古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」

まとめ
  • 民主党側は「トランプ大統領はNATOから離脱する」と警告する。
  • しかし、トランプ氏はNATOからの離脱ではなく、強化の実効策をとっていた。
  • トランプ氏の基本姿勢、「力による平和」と「抑止」は二期目も変わらないであろう。

 トランプ政権時、一部メディアがトランプ大統領がNATO離脱を示唆していると報じた。しかし、それは事実と異なる誇張であった。トランプ氏は確かに、防衛費負担が不十分な加盟国に対し、有事の際は防衛しない可能性を示唆した発言をしていた。しかし、それは単なる交渉の材料であり、真意はNATO全体の強化にあった。

 実際、トランプ政権はNATO堅持を国家安全保障戦略に明記し、NATO加盟国バルト3国に対する対ロシア抑止力強化にも取り組んだ。さらに、防衛費増額に応じないドイツからは一部米軍をポーランドに移駐させるなど、同盟国に公平な負担を求める措置を講じた。しかし、これらはNATO離脱を志向するものではなく、むしろ同盟の強化を目指す動きだった。

 一方で、トランプ政権は中国の脅威、特に軍事拡張への対決姿勢を鮮明にした。歴代政権の対中関与政策の失敗を宣言し、大規模な国防費増額で中国の軍事攻勢を抑えようとした。ロシアや北朝鮮に対しても強硬な姿勢を貫いた。対中戦争への備えとして「想定される対中戦争への準備と勝利できる能力の保持」を掲げ、「力による平和」「抑止」を基本姿勢とした。この軍事重視の姿勢は、バイデン政権の思考とは根本的に異なるものだった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】トランプ氏のNATO離脱示唆はメディアの印象操作?アメリカ第一政策研究所の真の見解

まとめ
  • 一部メディアがトランプ氏の発言を切り取って「NATO離脱」との印象操作を行った。
  • トランプ氏は実際に「NATO強化に向けた交渉の道具」としての発言をしただけであった。
  • アメリカ第一政策研究所(AFPI)は、トランプ政権の政策理念を継承する保守系シンクタンク。
  • AFPIは「アメリカ第一主義」の立場から、同盟よりも米国益を優先する発言をする一方で、NATOの集団防衛の重要性を否定したことはない。
  • トランプ氏が再選されても極端な政策の実施は避けられる可能性が高い。

NATO旗

マスコミはトランプ氏が大統領を退いた後でも、NATO離脱を示唆していると報道しています。

具体的には以下のようなメディアの報道があげられます。
  • 2022年1月にニューヨーク・タイムズは「トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、NATOから離脱する可能性がある」と報じた。
  • 2022年1月、NPR(全米公共放送)は「トランプ氏は欧州諸国が防衛費を増やさなければ、米国はNATOから撤退する可能性がある」と伝えた。
  • これらの報道では、トランプ氏が実際に発言した「防衛費を払わない国はロシアの攻撃を米国が守らないかもしれない」という条件付きの発言を、文脈を無視して「NATO離脱」と誇張した形になっている。
  • トランプ氏自身は後にFOXテレビで「私の発言はNATO強化に向けた交渉の道具にすぎない」と釈明している。
このように、一部メディアはトランプ発言の一部を切り取り、「NATO離脱」との印象操作を行ったと考えられます。

最近の日本のメディアでも、トランプ氏の「NATO離脱」をほのめかす報道がなされています。
  • NHKでは、「トランプ前大統領発言 試されるNATOの結束」という解説記事で、トランプ氏が任期中にNATOの加盟国に対して十分な軍事費を負担しない場合の防衛義務の不履行に言及したことを報じている。(2024年2月13日 )
  • 日本経済新聞では、トランプ氏が再選された場合にNATO離脱を示唆したという内容の記事が掲載されている。(2024年3月11日)
このような印象操作には惑わされないようにすべきです。そうして、このような切り取り等の印象操作に惑わされないようにするには、確かな情報源にあたることをおすすめします。

その一つとして、アメリカ第一政策研究所の発信する情報があります。

アメリカ第一政策研究所(America First Policy Institute)は、2021年に設立された保守系のシンクタンクです。元トランプ政権の高官らが中心となって設立され、トランプ前大統領の「アメリカ第一」の政策理念を継承・推進することを目的としています。

設立当初、AFPI設立に関わった有力者には以下のような人物がいます。

国務大臣時代のポンペオ氏
  • ポンペオ、前国務長官-トランプ政権の国務長官であり、創設者の一人に挙げられる。
  • ドナルド・トランプ・ジュニア - ドナルド・トランプ元大統領の息子。
  • ブルック・ロリンズ - トランプ大統領の元国内政策審議会ディレクター。
  • ラリー・クドロー(Larry Kudlow) - トランプ政権下で国家経済会議の元ディレクター。
  • リック・ペリー - トランプ政権下の元米エネルギー長官。
  • ラス・ヴォート - トランプ政権下の前管理予算局長。
  • ロバート・ライトハイザー - トランプ政権下の元米通商代表。
主な活動は以下のようなものです。
  • トランプ政権時代の政策を分析し、今後の共和党政権に向けた政策提言を行う
  • 移民制限、対中強硬姿勢、保護貿易主義などトランプ路線の政策を支持
  • 中間層への経済支援策や経済ナショナリズムの推進を唱える
  • ワークショップ開催やメディア露出を通じて、保守層への影響力行使を図る
共和党内でトランプ支持層の影響力が根強いことから、同研究所の発言力は大きいと見られています。

アメリカ第一政策研究所(AFPI)は、NATOに対して複雑な見解を持っているようです。彼らのイデオロギーの中核はアメリカの利益を優先することにあり、それが国際的な同盟関係に対する懐疑につながることもあるようです。しかし、NATOの価値を否定するような主張はしていません。

以下は、その姿勢に関する要点です。

アメリカ第一主義:  AFPIは「アメリカ第一主義」の外交政策を推進し、同盟関係よりもアメリカの国益を優先します。そのため、NATOのコミットメントが米国の利益に合致しているかどうかを疑問視する可能性があります。ただ、アメリカ政府が国益を重視するのは当然であり、民主党政権などの政策は、特に移民問題、外交等で必ずしもそうはなっていないことを批判する立場を明確にしているといえます。

同盟強化の支持:「 アメリカ第一」という立場から、AFPIはNATOを支持しています。特に、最近のロシアのウクライナ侵攻を受けて、AFPIに所属する退役中将はフィンランドとスウェーデンのNATO加盟への支持を表明し、強固な同盟関係の重要性を強調しました。

全体として、NATOに対するAFPIのスタンスは進化しているようです。一般的には同盟の費用対効果に疑問を呈するかもしれないですが、ウクライナ戦争のような最近の出来事によって、集団防衛におけるNATOの重要性をさらに認める方向にあるようです。

要するに、柔軟な立場を示しているようです。トランプ氏には、譲れない立場や理想等があるでしょうが、それにしてもそれを実現するために、国際情勢を読み間違えたり、政策の順番を間違えれば、とんでもないことになりかねません。

その危険性については、トランプ氏自身が恐れていることでしょう。だからこそ、AFPIを設立し、様々な政策提言などをさせるようにしているのです。

よってトランプ氏が大統領に再選されたにしても、極端な政策が実施される可能性は少ないでしょう。しかし、そもそもトランプ氏が大統領在任中に極端な政策を実行したでしょうか。

岸田首相とバイデン大統領

たとえば、トランプ氏の移民政策はかなり批判されましたが、大局的に見れば、バイデン政権の移民政策はトランプ政権とさほど変わっていないと言えます。

両政権とも、基本的には不法移民の流入を抑制し、国境管理を厳格化する方針は同じです。法の執行や送還措置においても、大きな方針転換はみられません。

ただ、バイデン政権の動きには共和党から"緩め過ぎ"と批判されていて、実際その弊害もありますが、移民問題における両政権の政策の違いは、細部や具体的な手段の違いにとどまり、全体としては不法移民抑制と国境強化という大本の方針で大きく変わっていないと言えます。

理想や理念を語ることと、実際の政治とはまた別ものです。トランプ政権になれば、とんでもないことになるという見方は間違いだと思います。実際に政権運営をした結果で評価すべきです。

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2020年10月3日土曜日

トランプ氏、コロナ感染は「逆風」か「追い風」か 最先端「抗体カクテル療法」実施、軽症&早期回復なら大逆転再選も―【私の論評】トランプが2週間の隔離プロセスが終了直後の第二回討論会に出られれば、完璧な「オクトーバーサプライズ」になる(゚д゚)!

 トランプ氏、コロナ感染は「逆風」か「追い風」か 最先端「抗体カクテル療法」実施、軽症&早期回復なら大逆転再選も


マスク姿でホワイトハウスを出るトランプ大統領

 米国が非常事態だ。新型コロナウイルスに感染したドナルド・トランプ大統領(74)は米国時間2日、首都ワシントン郊外の軍の医療施設に搬送された。発熱や倦怠(けんたい)感などの症状があり、臨床試験中の人工抗体薬で治療している。米軍の最高司令官でもあるトランプ氏の容体が今後、重症化する事態となれば、世界の安全保障体制に与える影響も大きく、1カ月後の大統領選にも大打撃だ。一方、軽症で回復すれば、大逆転再選の目も出てくる。 

 「これから病院に行く。私は元気だと思うが、念のための措置だ」

 トランプ氏は2日、ツイッターに動画を投稿、健在ぶりを強調した。

 スーツにマスク姿でホワイトハウスの庭に駐機した大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に歩いて乗り込み、ウォルター・リード国立軍事医療センターに入院。予防的措置としており、数日間、同施設内で執務に当たる。

 CNNは、トランプ氏に2日朝から発熱の症状があると報じた。同日昼の電話会合に出席せず、マイク・ペンス副大統領(61)が代わりを務めた。

 ホワイトハウスはトランプ氏の同日午後の状態について「倦怠感がある」とする専属医の記録を公表。米製薬企業リジェネロンが開発し、臨床試験中の人工的な抗体による薬の投与を受けていると明らかにした。

 リジェネロン社は、2つの抗体を組み合わせた「抗体カクテル療法」の臨床試験で、患者のウイルス量が減り、症状が軽減されたとの結果を発表している。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は、「抗体カクテル療法は、2つのモノクローナル抗体を組み合わせて用いる治療法だ。1つの抗体よりも2つを組み合わせた方が治療効果があると見込まれている。米国では最近認められた治療法で、最先端の治療の一つを利用するということだろう」と解説する。

 最大の関心事が1カ月後の大統領選への影響だ。トランプ氏の選対本部は2日、11月の大統領選に向け計画している集会やイベントはオンラインで実施するか延期すると発表した。

 これに対し、9月29日の第1回候補者討論会でトランプ氏と激論を交わした民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)は2日、検査を受けた結果、陰性だったと明らかにした。

 拓殖大海外事情研究所の川上高司教授は、トランプ氏の容体について「重症化や死亡といった万一の事態も想定しうる。その場合、ペンス副大統領が大統領候補になり、副大統領候補を再度選出するため共和党大会が開催されるが、間に合うか分からない」と指摘する。

 トランプ陣営にとって危機的な状況に陥ったことは間違いないが、トランプ氏が軽症で早期に回復した場合は、別のシナリオも浮上する。

 「トランプ氏が体力的に回復して、健康な姿を見せることができれば、国民や共和党員の支持を集めるだろう。バイデン氏がコロナ対策の追撃をためらうようなことがあれば、トランプ氏が有利になることも考えられる」と川上氏は語る。

 バイデン氏は2日、激戦州の一つ、中西部ミシガン州のイベントに参加し、トランプ夫妻の早期回復を祈っていると表明した。バイデン陣営は、トランプ氏を攻撃するネガティブキャンペーンも取りやめた。

 米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、トランプ氏の入院が、かえって存在感を高めるのではないかと強調する。

 「トランプ氏が激戦区を訪れることができないのは確かに痛いが、経済では2日に発表された雇用統計でも、失業率が7・9%と5カ月連続で改善しているという実績もある。民主党やメディアに攻撃され続けてきたトランプ氏だが、今回のコロナ感染によって、『もう4年続けてもらわないと困る』と国民が目を覚ますことになるだろう。メディアの報道もトランプ氏の容体に時間を割いており、バイデン氏が何かを発言したところで国民には響かない」

【私の論評】トランプが2週間の隔離プロセスが終了直後の第二回討論会に出られれば、完璧な「オクトーバーサプライズ」になる(゚д゚)!

米国主要メディアは火曜日の夜に行われた討論会を「史上最悪の討論会」などとトランプ大統領をこき下ろして報道していますが、日本のメディアもそれを鵜呑みにして一緒にこき下ろして報道していて滑稽です。

米メディアがトランプ氏をこき下ろしている理由は次回の討論会までに討論会のルールを変更しようという魂胆があるからです。そうしないとバイデン氏が残り2回も討論会を生き残れないからです。

討論会でのバイデン

そのようなことも理解せずに日本のメディアはそのまま米メディアの翻訳して報道していて本当に情けない限りです。何やら司会者が討論者のマイクの電源を切れるような「サイレント・ボタン」を設置するのはどうか?などといった話も出てきています。

そんな機能が司会者側に設置されれば、機関銃のように喋れるトランプ大統領には不利になります。バイデン氏は討論の途中、やはり単語が出にくい場面がありました。やはり認知症の疑いがあるのではないかと私は感じました。

NBCの人気ドラマ「The Blacklist ブラックリスト」(日本ではNetflixでみられます)に出てきたモサドのエージェントでFBIに潜入したサマルという捜査官が任務中の事故で血管性認知症に冒されて失語症や記憶を失い始めるシーンがありましたが、あのようなな感じでした。

サマル・ナヴァービ役のモズハン・マーノ

ホワイトハウスはフロリダ州での集会など大統領が2日計画していた政治イベントをキャンセルしました。トランプ氏の隔離が続くことから、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ネバダなど重要州への訪問を含む今後数日の予定も中止されるでしょう。

集会に姿を見せ有権者と触れ合うことで、資金を集めるとともに支持者の熱狂をあおるのがトランプ氏のスタイルです。また、選挙戦の最終盤で焦点を新型コロナから移し、最高裁判事指名や景気回復、暴動などに向けたい考えでした。しかし今や、今後数週間の話題はトランプ氏の健康状態に集中するでしょう。

得意の政治集会や、選挙の焦点をずらす作戦が不可能ならば、民主党候補バイデン氏の世論調査でのリードを覆すのは難しくなる公算も大きいです。

ただ、トランプ氏の陽性判定のわずか72時間程度前に討論を行っているバイデン氏も、自主隔離に入るかどうかを決めなければならないでしょう。バイデン氏陣営は今のところトランプ氏の感染についてコメントしていないですが、対立候補の病気を喜んでいるような様子は決して見せずにトランプ氏の新型コロナ対応への批判を続けるという適度な姿勢を保つことが必要になります。

今後の米大統領戦のポイントは以下の2つです。 

(1)症状の重さ 
(2)回復の早さ 

症状が重ければ、現職の大統領としての実務が続けられなくなります。ホワイトハウスというかなり厳重に感染対策が行われているはずの場所で、側近に続いて大統領夫妻が感染したとなれば、ホワイトハウスの統治機能そのものに大きな疑問符がつきます。 

これまでトランプ氏のコロナ政策を批判してきた野党・民主党は、ここぞとばかりに、『自業自得』だと批判の声を高めることが予想され、トランプ支持者から見てもトランプ氏がこれまで主張してきたことの信ぴょう性が崩れることになります。ただ、その一方で重症化すれば同情の声もあがり、病気の人への批判はやりづらくなるという面もあります。 

一方で、症状が治まって比較的回復も早かった場合は、逆にトランプ氏に『有利』に働く可能性もあります。 

支持者らはトランプ氏自身が言っていたように「やはりコロナは大したことなく、大統領は強い人だ」と再認識することになりますし、選挙集会なども予定通り行われれば、トランプにとっては、自分はコロナから回復した「強い指導者」であるとアピールする場となるので、追い風になる可能性もあります。

米国で開催されたコロナパーティー

さらに、トランプ氏の容態が良かろうが、悪かろうが、トランプ支持派にはかなりの危機感が芽生えたと思います。共和党内も、トランプ支持で結束を固めることになるでしょう。米国内の保守派もそうなるでしょう。

そういう意味では、今回の感染判明が一方的にトランプに不利になるわけではありません。今後の最大の注目点はトランプ氏が重症化するか、比較的早く回復するかというところです。

次に予定されている二回目の大統領候補者の討論会は10月15日ですからちょうどトランプ大統領の2週間の隔離プロセスが終了するときです。なんというタイミングなのでしょう。しかも討論会の舞台をトランプ大統領の第2の庭であるフロリダ州に変更したのは6月ごろでした。

このタイミングで、トランプ氏が、二回目の討論会に出ることができれば、トランプ氏にとっては、かなり有利な展開になります。それにしても、まるで最初から図ったようなタイミングです。それにトランプ氏としても、多少体調が悪くても、他者に感染させる可能性がなければ、無理をしてでも出るでしょう。

米国では選挙の直前に驚くべきことが起きて選挙情勢を大きくひっくり返すことを「オクトーバーサプライズ」と言いますが、まさに文字通り、10月に入ったばかりでの感染確認は、最大のオクトーバーサプライズになったと言えるかもしれません。

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2019年10月17日木曜日

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測
Historically Accurate Forecast Predicts Trump Win in 2020 
ニューズ・ウィーク

フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

<1980年の大統領選以来、一度しか予測を外したことのないムーディーズ・アナリティカがトランプ勝利を予測する背景は>

2020年米大統領選挙をめぐる世論調査で、ドナルド・トランプ大統領は現在のところ、民主党の複数の有力候補に遅れをとっている。だが、正確さで定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが大差で勝つと予測している。

同社は、1980年以降すべての大統領選で勝者を的中させてきた。唯一外れたのは、トランプとヒラリー・クリントンが対決した2016年の大統領選だけ。もっともこの時は、他の予測もほとんどがクリントンの勝利を予測した。トランプ勝利を予測できたほうが例外的だ。

赤がトランプ(共和党)が勝つと予想される州、そして青が民主党が勝つと予想される州。
    ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが激戦州を制すると予想

ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ、ダン・ホワイト、バーナード・イェーボスの3人は、「2016年大統領選で予測が初めて失敗した理由の一つは、想定外の人々が投票に出かけたことだった」と書いている。

「我が社のモデルは、候補者がどの政党の支持者かという以外の個人属性を考慮していなかった。つまりトランプとクリントンの得票は、それぞれの所属政党の支持者の動向で決まると思っていたが、そうではなかった」

ムーディーズは、経済面で3つのモデルを使って予測を立てているが、いずれのケースでも、2020年の大統領選でトランプは少なくとも全部で538人の選挙人中289人を獲得する見通しだという。

市場の評価は今一つだが

3つのモデルのうち1つ目の「財布」モデルでは、経済についての3つの変数を重視している。ガソリン価格、住宅価格、個人所得の3つだ。いずれも、価格の変動が財布の中味に直結する。好調な米経済を背景に、トランプがいちばん大差で勝つのはこのモデルで、351人という圧倒的な選挙人を獲得する。

「有権者が主として自分の懐具合に基づいて投票した場合、トランプが圧勝するだろう」とムーディーズ・アナリティクスのリポートは書く。

2つめは「株式市場」モデルで、これがトランプにとっては最も厳しい。ここで重視するのは、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数とそこに組み込まれている優良企業500社の収益動向だ。米企業と株式市場は今、主にトランプの貿易政策をめぐる不透明感から悪影響を受けている。だからトランプに厳しくなるが、それでも、現時点ではまだトランプが勝つという予測になっている。

最後の「失業率」モデルでは、現在の低失業率が来年半ばごろまで続くという見通しを背景に、トランプの楽勝を予測する。

ムーディーズ・アナリティクスは、前回の大統領選では予測を外したものの、同社が2016年にトランプの大統領在任中の経済状況について行った予測は、おおむね現実になっている。

<参考記事>嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
<参考記事>民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレ

2016年、ムーディーズ・アナリティクスはトランプ政権下の経済について以下のように予測した。

「トランプの経済政策は、米国経済の孤立化を深める結果になるだろう。国際貿易と移民は大幅に減少する。貿易と移民の減少に伴い、外国からの直接投資も減少するだろう」

「この分析のもとになった経済モデルや根本的な仮定の正確さに若干の変動があったとしても、トランプの経済政策の影響に関しては、次の4つの基本的な結論が得られる。1) 米国経済の国際性が低下する結果になる。2) 政府の赤字と負債が増加する。3) きわめて高収入の世帯が主に恩恵を受ける。4) 米国経済が弱体化し、雇用が減少して失業率が上昇する」

もっとも、2020年の大統領選についてもまた外れる可能性はあると、ムーディーズ・アナリティカは警告する。トランプの経済政策には「詳細が欠けているため、定量化には複雑さが伴う」という。

「トランプという候補が過去の例からあまりにも逸脱しているために、モデルがうまく機能しない可能性もある」とザンディは述べる。「結局、モデル化できない原動力に結果を左右されていた、ということになるかもしれない」

【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
米国のトランプ大統領は、日米メディアや、日米リベラル左翼からは史上最も人気のない大統領と思われているようです。政権はスタッフの入れ替わりが激しく、主要な政策を進めるのにも苦労しています。それでも、トランプ大統領が2020年に再選される可能性は高そうです。

トランプ大統領

ギャラップが4月17~30日世論調査では、トランプ大統領の支持率は約45%でした。これはオバマ前大統領の同時期の支持率とほとんど変わらず、前大統領は2012年に再選されています。

2011年4月中旬にオバマ前大統領が再選を目指すと発表した直後、その支持率は43%から45%あたりを推移していました —— まさにトランプ大統領のう4月の水準と同じです。

なお、ギャラップによると1995年4月中旬に支持率が46%だったクリントン元大統領も、再選を果たしています。

トランプ大統領には現職大統領として、資金集めの面で有利です。民主党候補には2月から3月にかけて数多くが名乗りを上げていて、立候補者の間で資金が割れてしまっています。

トランプ大統領は2019年の第1四半期に3000万ドルを集め、総額約4000万の現金が手元にあります。一方、民主党内の候補者としては、資金集めでリードしている民主党のバーニー・サンダース上院議員が第1四半期に集めたのは1820万ドル、カマラ・ハリス上院議員は1200万ドルでした。

同時に、有権者はトランプ大統領の経済政策を圧倒的に支持しているようです。これも再選を目指すトランプ大統領にとっては良いサインです。

直近のデータは、4月時点では、アメリカの雇用市場は依然として好調で、賃金も上昇していました。9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が緩やかな伸びを示しました。これは製造業の軟調さが経済全体に広がっている兆しを示している可能性がある一方で、雇用の伸び鈍化は予想の範囲内で基本的には労働市場は健全であることが単に示されただけかもしれないと受け止められています。

消費マインドも4月には不況以来、最も高い水準に近いことを示していました。8月の米小売売上高で、前月比0.4%増と、市場予想の0.2%を上回る大幅な伸びとなりました。これらを見る限り、米中冷戦によね製造業のマインド悪化が雇用や賃金、個人消費など、人々のおサイフや消費行動にまで波及している様子は伺えないです。そうして過去のデータを見ると、経済が好調だと大統領の再選の可能性が高まることも分かっています。ただし、そのつながりは近年、弱まっているようです。

CNNが3月中旬に実施した世論調査で、アメリカ人の71%は経済がうまくいっていると回答。これは2001年以来、最も高い数字です。

同調査では、回答者の過半数(51%)がトランプ大統領の経済政策を支持しています。これは調査会社「リアル・クリア・ポリティクス」が出した各社の世論調査(トランプ大統領の経済政策への支持)の平均値、51.5%とほぼ同じです。

さらに、ジョージタウン・インスティテュート・オブ・ポリティクス・アンド・パブリック・サービス(Georgetown Institute of Politics and Public Service)が3月下旬から4月上旬にかけて実施した「バトルグラウンド・ポール(Battleground Poll)」調査では、2020年の大統領選で投票する「可能性が高い」と見られる登録有権者の58%が、トランプ大統領が経済のためにやってきた仕事を支持すると回答しています。

同調査ではまた、回答者の55%がトランプ大統領を全体として支持しないと答え、57%がアメリカは誤った方向へ向かっていると答えています。しかし、共和党支持者の間でトランプ大統領を支持する有権者は依然として多く、その74%が米国は正しい方向へ進んでいると答えました。

そして、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2月に実施した調査では、米国人にとって最大の課題は経済の強化と考えられていることが分かりました。ただし、調査によってはヘルスケアといった別の課題が経済よりも上位にきています。

再選に向けて、トランプ大統領の経済政策に対するプラスの評価がどれだけのアドバンテージになっているかは分からないが、マイナスになることはないようです。

さらに、今回の、ムーディーズ・アナリティカの分析によっても、トランプ大統領の勝利が予測されています。

さらに、このブログでも解説したように、米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去にも画策して結局失敗した民主党は、相当追い詰められているとみべきです。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!
リチャード・ニクソン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国では民主的手続きで選ばれた大統領を弾劾することについては、党派を問わず反対する人も多いにもかかわらず、民主党は複数回にわたってトランプ大統領を弾劾しようとしており、これは民主党が大統領選ではよほど窮地に立たされている見るべきであるとの結論を下しました。

この予想や、今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。

ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。

はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。

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2022年8月17日水曜日

米共和「反トランプ」急先鋒のチェイニー氏、下院予備選でトランプ氏「刺客」に敗れる―【私の論評】24年の次期大統領選に向け、着実に道筋をつけつつあるトランプ氏(゚д゚)!

米共和「反トランプ」急先鋒のチェイニー氏、下院予備選でトランプ氏「刺客」に敗れる

破れたリズ・チェイニー氏

 米国の中間選挙(11月8日投開票)に向け、ワイオミング州で16日、連邦下院選の共和党候補を決める予備選が行われた。複数の米メディアによると、昨年の連邦議会占拠事件を巡ってトランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れることが確実になった。

 ワイオミング州は保守の牙城で、保守層に対するトランプ氏の影響力が依然として強固なことが示された。チェイニー氏は議会占拠事件を巡るトランプ氏の 弾劾だんがい 訴追決議に賛成した共和党議員10人の1人。事件を巡って下院が設置した特別調査委員会の副委員長としてトランプ氏の責任を追及するなど、党内の「反トランプ」の急 先鋒せんぽう だ。

 トランプ氏はチェイニー氏の対抗馬として弁護士のハリエット・ヘイグマン氏(59)を推薦した。

【私の論評】24年の次期大統領選に向け、着実に道筋をつけつつあるトランプ氏(゚д゚)!

エリザベス・リン・チェイニー(英語: Elizabeth Lynne Cheney, 1966年7月28日 - )は、アメリカ合衆国・ウィスコンシン州出身の政治家、共和党員。愛称のリズ・チェイニーとも称されています。

セカンドレディ・リン・チェイニーとディック・チェイニー副大統領の長女で、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務副次官補(近東担当)などの要職を歴任しました。

2017年からはワイオミング州選出のアメリカ合衆国下院議員を3期務めています。2019年からは下院共和党で3番目に高い地位である共和党会議議長に選出されました。

ネオコンの主導的な政治家の一人であり、他国への介入を避けるトランプ政権のモンロー主義的外交政策には批判的態度を取ってきました。共和党の指導者でありながら、トランプ大統領の弾劾決議に賛成票を投じたため、トランプ支持者や共和党右派によって批判を受けています。2021年5月には党内の内部対立が原因で党会議議長を解任されました。

ハリエット・ヘイグマン氏

今回勝利した、ヘイグマン氏は弁護士で、共和党全国委員会の元メンバーでした。ヘイグマン氏は2018年のワイオミング州知事選に立候補したが敗れていました。13年には上院選に出馬したチェイニー氏のアドバイザーを務めてもいました。

ヘイグマン氏は2021年9月9日の声明で「多くの州民と同様、私は国政を目指したリズ・チェイニー氏を支持した」「しかしその後、チェイニー氏はワイオミング州を裏切り、国を裏切った。そして私をも裏切った」と述べていました。

7月26日、トランプは昨年1月の米大統領退任後、初めて首都ワシントンに戻り、自身を支持する政治団体の会合で演説しました。

「この11月、わが国の破壊を止め、米国の未来を救うために投票しよう」

11月の中間選挙を控え、トランプが矛先を向けるのは与党民主党だけでなく、エスタブリッシュメント(支配層)派と呼ばれる既得権益を持つ共和党内の支配層に近い議員たちです。先日もこのブログに掲載したように、米国の富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%がエスタブリッシュメントです。

このエスタブリッシュメントは、過去においては、大統領は無論のこと、連邦議員や、地方議員などの選挙にも大きな影響力を発揮してきました。この状況から、米国では大統領もエスタブリッシュメントの操り人形だと揶揄されてきたのです。


しかし、トランプは違いました。
実業家のトランプ氏はエスタブリッシュメントの資金ではなく、自ら選挙キャンペーン費用を調達し、大統領になりました。

トランプ氏はエスタブリッシュメント派を「腐敗した組織」と切り捨て、急進的な改革を志向する党内の「草の根派」の支持者らに自身への忠誠を求めました。

ここで言葉を整理しておきます。エスタブリッシュメントとは、先にも示したように、米国の富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%の実質上の米国の支配層のことです。エスタブリッメント派とは、エスタブリッシュメントに親和的な議員、大統領のことです。

トランプ氏は、大統領在任中にも反エスタブリッシュメント色を深めました し、大統領を退いてからは地方選の予備選にも、「刺客」の候補者を次々に送り込み、地方政治に深く関与するエスタブリッシュメントに脅威を与えています。

その象徴となったのは、5月に行われたアイダホ州知事選の共和党予備選でした。トランプの支持を受ける草の根派の現職副知事ジャニス・マクギーチン(59)が、エスタブリッシュメント派と目される現職知事ブラッド・リトル(68)に挑みました。

マクギーチンは副知事在任中、知事のリトルと激しく対立。リトルが出張で州外に出た隙を狙い、知事代理の権限で新型コロナウイルス対策のマスク着用義務やワクチン接種義務を独断で取り消したこともありました。こうした仕事ぶりが災いし、予備選の結果はマクギーチンが得票率で20ポイントも差をつけられる大敗でした。

連邦議会上下両院の予備選ではトランプの推薦が強く作用しますが、有権者の生活に直結する地方政治の代表は実績や好感度で選ぶというところがあります。こうした傾向は各地の地方選予備選で顕著に表れ、ジョージア州でも大物知事として知られる現職ブライアン・ケンプが、トランプの「刺客」候補を大差で破りました。ただ、反トランプ派の勝利はこれくらいのものでした。

そうして、共和党内では草の根派が着実に力をつけています。かつてエスタブリッシュメント派一色だった共和党は、10年の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」で政治に関心のなかった層を取り込み、16年大統領選で当選したトランプがさらに大きなうねりを生み出しました。今やアイダホ州共和党の要職は大半が草の根派です。

中間選挙で与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がるなか、攻勢を強めてきたのが共和党のトランプ前大統領でした。

220人以上の候補者に推薦を出して勢力を広めつつ、共和党内の「反トランプ派」には「刺客候補」をぶつけて再選を阻んできました。近く、2年後の大統領選に向けた出馬宣言をするかどうかも注目されています。

昨年1月の議会襲撃事件を受け、民主党はトランプ氏の弾劾(だんがい)訴追を提案しました。これに共和党から賛成した下院議員が10人。これらの議員が「裏切り者」として狙い撃ちにされているのです。

10人のうち、予備選を勝ち抜いて11月の中間選挙に出馬できる議員は2人にとどまります。3人は予備選で「刺客」に敗れ、4人は不出馬を決めました。

そして最後の1人が、リズ・チェイニー下院議員でした。ブッシュ(子)政権の副大統領だったディック・チェイニー氏を父に持ち、自らも過去3回の選挙で圧勝してきました。

ところがトランプ氏を批判したことで状況は一変しました。16日に投開票されたワイオミング州予備選に向けて、世論調査では「刺客候補」にリードを許す苦しい展開となりました。

米連邦下院選のワイオミング州共和党予備選に向けた集会で、トランプ前大統領(右)の支持を受け、握手するハリエット・ヘイグマン氏=米ワイオミング州キャスパーで2022年5月28日

そうして、今回ワイオミング州では、トランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れることが確実になったのです。

トランプ氏は6日にはテキサス州で開かれた保守系団体の集会で、「バイデン(大統領)をクビにする」と気勢を上げました

中間選挙で完全復権を果たし、24年の次期大統領選に向け道筋をつけるのかの、答えは3カ月後に出ます。ただ、今回リズ・チェイニーがトランプの刺客に敗北したことで、トランプ氏は、この道筋を着実につけつつあるといえます。

トランプ氏は、現在機密文書に関連して家宅捜査を受けたことなどが、報道されていますが、これに対して、私は米民主党はトランプ弾劾に続き、スパイ容疑でトランプ氏を貶めようとしたが、失敗に終わると断言しましたが、その見立ては正しかったと確信を深めました。

もし、これが本当だとすれば、今回のようにチェイニー氏がトランプ氏の刺客に敗北することなど考えられないからです。

日本のANNニュースも、このニュースを取り上げていました。そのニュースは以下のリンクからご覧いただけます。


このニュースでは、米CNNがコマーシャルを中断してまで、リズ・チェイニー氏が敗北したことを伝えていました。

そうして、最後のほうでは、アメリカを分断したトランプが共和党内でも、分断をはかっていると批判していました。

しかし、米国はもともと随分前から分断しており、オバマの頃から分断が激しくなり、それ故にトランプが登場したというのが現実です。実際オバマが大統領時代の米国を調べれば、分断が酷くなっていたことを確認できるはずです。

また、トランプが共和党を刺客を送ることにより、新たに分断したようなことを語っていますが、これも間違いです。

米国で最初の、反エスタブリッシュメントの大統領は、ケネディ大統領です。ですから、この頃から民主党はエスタブリッシュメント派とその反対派で分断していました。その頃から共和党も分断していました。

共和党にも、民主党にもエスタブリッシュメント派と反対派が存在し続けています。米国政治においては、共和党、民主党という党派の別があるとともに、エスタブリッシュメント派とその反対派が存在してきたのです。

その時々で、エスタブリッシュメント派が優勢であるとか、そうてもないときもありましたが、分断していたのは事実です。

ケネディ以後、はっきりと反エスタブリッシュメントを掲げた大統領は、民主党にも共和党にもいませんでしたが、トランプ大統領が反エンタブリュッシュメン派を掲げた大統領として登場したのです。これを理解しないと、メディアのネガティブな報道にも関わらず、トランプ人気がなぜここまで続くのか理解できません。

このあたりの事情も知らないで、トランプ氏が刺客を送ることにより、共和党内での分裂を招いたというのは、あまりにも浅薄な見方です。

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2022年8月14日日曜日

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トランプ前大統領に〝スパイ容疑〟機密文書11件を押収 「捜査は不当」と大激怒 「共和党潰し」の声も 「韓国のようで、異例ずくめ」

マルアラーゴ

 ドナルド・トランプ前米大統領に、スパイ法違反容疑が直撃している。米連邦捜査局(FBI)は、トランプ氏が退任時に重要な国家機密を持ち出した容疑で、フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」の家宅捜索を行い、11件もの機密文書を押収していたという。FBIによる、前大統領への強制捜査は極めて異例で、2024年の次期大統領選への出馬に意欲を示しているトランプ氏は捜査は不当だなどと激怒している。まるで隣国のような騒動だが、一体何が起きているのか。


 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)や、米紙ワシントン・ポスト(同)などの報道によると、FBIは8日、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」の家宅捜索を行い、11点の書類などを押収した。捜索時は、トランプ氏は不在だったという。

 容疑は、国立公文書館(NARA)に引き渡すことが義務付けられている大統領在任中の機密文書を、トランプ氏側が保管しているというもの。フロリダ州の連邦裁判所が、捜索令状や付属文書を公開した。

 約20箱分の押収物品には、米国の最高機密文書にあたる文書も含まれているといい、押収品のリストには、写真がまとめられたバインダー、手書きのメモなどのほか、フランス大統領に関する情報と分類されたものもあった。

 トランプ氏は家宅捜索を受け、「すべて機密解除された文書だ」と反論する声明を発表した。「(マールアラーゴは)現在、包囲され、捜索され、占拠されている」「関連する政府機関と協力しており、この抜き打ちの家宅捜索は必要でも適切でもなかった」と、怒りをぶちまけた。

 ワシントン・ポストは、今回の捜索について、核兵器に関連する機密文書を捜すためだったが、実際に押収したかは不明だと報じている。

 核兵器に関する機微な情報が含まれる文書は、限られた政府関係者しか触れることができない。もし、トランプ氏が外部に持ち出して機密漏洩(ろうえい)があれば、敵対国を利するうえ、他国の不安も招くという指摘がある。

 こうしたなか、メリック・ガーランド司法長官は11日の記者会見で、「捜索令状を申請する決定は、私自身が承認した」と明言した。容疑については明かさなかったが、「前大統領が捜索を公に認めたことや、公益性」を考慮して、捜査状況を公表したと説明した。

 今回の捜索をめぐっては、支持率低下が著しいジョー・バイデン大統領(民主党)の政権側が、11月の中間選挙や次期大統領選を見据えながら、「トランプ潰し」「共和党潰し」を狙ったとの指摘もある。バイデン氏は2020年の大統領選で、共和党候補のトランプ氏を接戦の末、破った。

 共和党の一部や、トランプ支持者は「FBIの政治利用」と猛烈に批判しているが、ガーランド氏は先の会見で、「司法省がこのような決定を軽々しく行うことはない」と強調した。

 トランプ支持者とみられる人物の過激事件も発生した。

 米中西部オハイオ州シンシナティのFBI事務所に11日、武装した男が侵入を試みて逃走、警察との銃撃戦の末、射殺された。男はトランプ氏の熱烈な支持者だったとみられる。

■島田教授「政争の一面」

 トランプ氏は、大統領在任中も過激な言動で注目を集め、熱狂的な支持者らが連邦議会議事堂に乱入する事件も起きている。今回のFBIの捜索への報復を叫ぶ声も一部で強まっており、緊張が高まっている。

 米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「今回の捜査は、政争の一面がある。背景には、バイデン氏の次男、ハンター氏が役員を務めていたウクライナ企業などから得た報酬をめぐる疑惑がある。米議会では、共和党がハンター疑惑を徹底追及する構えで、その前にバイデン氏側が政敵に攻撃を仕掛けたかたちだ。大統領が退任時に文書を持ち出すことは過去にもあり、さまざまな手続きで適正な管理が行われてきた。捜査の是非で米国世論が分断され、党派で激しく対立している。辞めた大統領を捜査する動きは、さながら韓国のようで、異例ずくめだ」と語っている。

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米連邦捜査局(FBI)が8日、ドナルド・トランプ前大統領のフロリダ州パームビーチ「マールアラーゴ」別荘を家宅捜索したのに続き、10日(現地時間)には検察がトランプ氏を呼んで捜査しました。

そもそも、自分が大統領時代の公文書を、退任してからも、一定期間保管しているというのは、トランプ氏だけではなく、自らが関わった外交上の問題などについて曖昧な部分を確認して、何か新たな問題が発生したとき備え等や、将来の回想録などの準備として、歴代の大統領が実施してきたことです。オバマ氏もそうしていました。

今回のこのような暴挙によって246年の米国史上初めて元大統領が刑事起訴される可能性が高まり、マールアラーゴとニューヨークのトランプタワーなどではバイデン大統領の支持者とトランプ氏の支持者がそれぞれ賛否デモを行いました。

FBIによる強制捜査を受けて、トランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」には複数の支持者が集まった。8日

ニューヨークタイムズ(NYT)・CNBCなどによると、トランプ氏はこの日、ニューヨーク州の検察当局で行われた約6時間ほど調査で「自身の証人になることを強要されてはならない」という修正憲法第5条を根拠に黙秘権を行使しました。トランプ氏はすべての質問に「同じ(Same Answer)」という言葉を440回以上繰り返したといいます。

トランプ氏は調査前に立場を表明し「人種差別論者のニューヨーク州司法長官に会うことになった」とし「米国史上最大の魔女狩りの一環」と主張しました。民主党支持者の黒人女性レティシア・ジェームズ・ニューヨーク州司法長官が政治的な理由で自身を標的捜査するという意味です。

ニューヨーク州の検察当局は、トランプ一家が保有不動産の資産価値を脱税のために縮小し、銀行の融資を受ける過程では膨らませたという容疑を過去3年間にわたり捜査してきました。

捜査をめぐり米メディアの意見も分かれました。ワシントンポストのコラムニスト、イシャン・サルア氏は9日、「米国、元指導者を捜査する民主国家に合流」というコラムで「米国に前例がないだけで、健全な民主主義国家が元指導者を調査して有罪で収監するのは正常」とし「誰も法の上に存在しないというのは民主主義国家の基本」と指摘しました。

続いて韓国の李明博(イ・ミョンバク)朴槿恵(パク・クネ)元大統領に対する処罰に言及しながら「韓国は米国のように政治的に二極化したが、元大統領に対する怒りを眠らせ、保守から進歩、また保守への平和で民主的な政権交代を成し遂げた」とし「米国人はこれに注目すべき」と強調しました。ブルームバーグ通信のコッシュ氏は「元国家首班が法の審判台に立つのは民主主義の尺度になる」と評価しました。

李明博元大統領(左)と朴槿恵元大統領

一方、ウォールストリートジャーナル(WSJ)はこの日、[FBIの危険なトランプ捜索」と題した社説で「家宅捜索が11月の中間選挙を約90日後に控えて行われ、政治的な目的が疑われる」とし「ガーランド司法長官が米国を危険な道に導いている」と批判しました。

WSJは「トランプ氏が容疑を晴らすことになれば『殉教者』のイメージで2024年の大統領選挙に出馬し、自身に否定的だった共和党員の支持まで受けることができるだろう」と予想しました。NYTも「トランプ氏が『魔女狩りされた殉教者』イメージを固めるかもしれない」とし「今回の捜査が『弱者』である前大統領に対する政治報復として映り、支持層結集の好材料になる可能性がある」と指摘しました。

今年の米中間選挙は11月8日に行われ、連邦議会の選挙では上院の100議席のうち35議席と下院の435議席すべてが改選される予定で、現在、上下両院ともに主導権を握る与党・民主党が議席を維持できるかが最大の焦点です。

ただ、バイデン大統領の支持率は今月4日時点の各種世論調査の平均で39.6%と、アメリカ国内で続く記録的なインフレなどを背景に低迷しています。


中間選挙は歴史的に政権与党に厳しい結果になることが多く、今回も与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がっています。

米国では物価の高騰が市民生活を直撃し、国民の不満がバイデン政権に向かっていて、特定の支持政党がないいわゆる無党派層や民主党支持層の間でも支持が揺らいでいます。

中間選挙で与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がるなか、攻勢を強めているのが共和党のトランプ前大統領です。

220人以上の候補者に推薦を出して勢力を広めつつ、共和党内の「反トランプ派」には「刺客候補」をぶつけて再選を阻んできました。近く、2年後の大統領選に向けた出馬宣言をするかどうかも注目されています。

 「また1人、弾劾(だんがい)者を倒した」。今月10日、トランプ氏は祝福の言葉をSNSに投稿しました。

ワシントン州における下院議員候補を決める予備選で、7選を狙った共和党のボイトラー下院議員が敗れたためだ。代わって当選したのは、トランプ氏が送り込んだ「刺客候補」でした。

昨年1月の議会襲撃事件を受け、民主党はトランプ氏の弾劾(だんがい)訴追を提案しました。これに共和党から賛成した下院議員が10人。これらの議員が「裏切り者」として狙い撃ちにされているのです。

10人のうち、予備選を勝ち抜いて11月の中間選挙に出馬できる議員は2人にとどまります。3人は予備選で「刺客」に敗れ、4人は不出馬を決めました。

そして最後の1人が、リズ・チェイニー下院議員だ。ブッシュ(子)政権の副大統領だったディック・チェイニー氏を父に持ち、自らも過去3回の選挙で圧勝してきました。

ところがトランプ氏を批判したことで状況は一変しました。16日に投開票されるワイオミング州予備選に向けて、世論調査では「刺客候補」にリードを許す苦しい展開となっています。

リズ・チェイニー氏

中間選挙をめぐり、トランプ氏は刺客候補を含む220人以上(上下院、州知事選など)の候補者たちに推薦を出してきました。

このようなトランプ氏の動きに、脅威をいだき、とにかくトランプ大統領再選絶対阻止の構えのなかで、今回のスパイ法違反容疑の件が浮上してきています。これは、露骨なトランプ叩きの一環と断言しても良いでしょう。

民主党のどのレベルがこのようなことを実行する決定をしたのか、わかりませんか、相当ハイレベルなところでの決定であることは間違いなです。そうでないと、FBIや司法省を動かすことはできません。

しかし、このようなことをしても、トランプ氏をスパイ容疑で逮捕するのは、かなり難しいでしょう。なにしろ、トランプ氏は大統領のときに、スパイなどの取締を強化した張本人です。そのような人物を、スパイ容疑で逮捕するのは至難の業でしょう。

ただ、民主党はそれを認識した上で、そのようなことをした可能性が高いです。このブログでも指摘したように、民主党はそのようなことは不可能と知った上で、トランプ氏を弾劾しようとしました。これは、当然のことながら失敗しました。

そのようなことをなぜしたのかとえば、弾劾できるできないは別にして、トランプ氏にマイナスのイメージを植え付けようとしたのでしょう。とにかく、トランプ氏大統領再選の芽を摘んでおきたいというのが本音でしょう。

民主党は、トランプ氏を本気でスパイ容疑で逮捕させようとしているわけではないのでしょう。本気だとすれば、弾劾の時のように相当いかれていると言わざるを得ません。これも、やはりトランプ氏にマイナスのイメージを植え付ける一環だと考えられます。

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2024年3月2日土曜日

トランプ政権の対日の日本側の錯誤―【私の論評】「反トランプ錯乱症候群」からFOXニュースの変遷まで: 米国政治とメディアの舞台裏

トランプ政権の対日の日本側の錯誤

まとめ
  • 米大統領選予備選で、トランプ支持陣営から「反トランプ錯乱症候群」という言葉が発せられる。
  • トランプ政権下、日本側の一部の同大統領が理不尽で強硬な要求を突きつけるという予測は、錯誤だった。
  • 日本の「識者」がトランプ氏の片言隻句(へんげんせきく)を切り取り、悪い方向への絵図を描く悪習は終わりにすべき。

 アメリカの大統領選予備選で、トランプ支持者から「反トランプ錯乱症候群」と呼ばれる激しい論議が生じている。この言葉は、トランプ氏への嫌悪からくる感情的な悪口が事実に基づかずに拡散している傾向を指し、トランプ支持層からの反撃の一環とされている。特に、日本のメディアでは「もしトラ」現象として、次期トランプ政権が北大西洋条約機構(NATO)からの撤退や日米同盟の破棄の可能性が広がっているという予測が取り上げられている。

 しかしこのような主張を裏付けるためには、トランプ政権が過去4年間にどのような政策を取ってきたかを検証する必要がある。トランプ大統領の在任中においてNATOからの離脱政策が実際に採用されたかどうか、また日本との関係において自動車や為替問題で要求や抗議が行われたかどうかを見るべきである。

 まず、NATOに関しては、トランプ大統領は離脱の方針を取ることはなく、西欧諸国に対しては防衛費の増額を促すなど姿勢を見せた。日本においても、トランプ政権は日米同盟を強化し、安倍首相との関係は緊密で安定していた。日本側の一部識者がトランプ政権に対して無責任かつ的外れな予測を立ており、それが反トランプ錯乱症候群の一端である可能性がある。

 具体的には、自動車や為替問題に関しては、日本の一部メディアが予測した厳しい要求や抗議が実際には行われなかった。トランプ大統領は日本に対して自動車貿易や為替政策についての要求を行わず、逆に在日米軍駐留経費についてはジェームズ・マティス国防長官が日本の負担を称賛する発言を行った。

 以上のようなトランプ政権に対する日本側の対応は無責任かつ錯誤であり、これも反トランプ錯乱症候群の一例といえるだろう。日本の「識者」がトランプ氏の片言隻句を切り取り、悪い方向への絵図を描くという定型だろう。そんな悪習はそろそろ終わりにすべき時期である。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】「反トランプ錯乱症候群」からFOXニュースの変遷まで: 米国政治とメディアの舞台裏

まとめ
  • 「反トランプ錯乱症候群」とは、トランプ批判者が感情的で非合理な攻撃を行う傾向を指す言葉。「人種差別主義者」などの過剰な攻撃が挙げられ、感情に基づく嫌悪が正当な反対意見を超えている。
  • 米国のメディアは大手新聞はすべてリベラル系、大手テレビ局はFOXだけが例外的に保守系だったが、最近これが変質し、バイデン勝利早期宣言が保守派離れを引き起こす可能性が指摘されている。
  • 名物司会者のタッカー・カールソンがFOXを離れ、プーチンインタビューを通じて反ロシア姿勢に反発する一部の保守派の立場を示唆。
  • トランプのロシア観は複雑で変動的。戦略的な視点からロシアを利用しようとする姿勢が見られる。
  • 米国の大手メディアはリベラル系であり、FOXも左傾化が指摘される。日本のメディアは主に米国大手メディアの報道を流し、保守派視点の情報不足が懸念される。
  • 現代ではAIや翻訳技術を駆使して、米国の情報を容易に入手可能であり、米国の保守系メディアにもアクセスすべき

トランプ反対派の抗議活動に耳を塞ぐトランプ支持派

「反トランプ錯乱症候群」とは、英語では"Anti-Trump Derangement Syndrome(ATDS)"であり、ドナルド・トランプ前米大統領に対して誇張されたり非合理的な批判をするある人々の傾向を指す言葉です。

この言葉は、トランプ支持者によって、事実の分析よりもむしろ感情や敵意に駆り立てられたと見なされるトランプに対する言過ぎた攻撃を特徴付けるのに使われます。

「反トランプ錯乱症候群」に関する主なポイントは以下の通りです。

このフレーズは、トランプに非合理的に敵対的な人々を揶揄するものであり、トランプへの嫌悪に目がくらんでいるために、根拠のない暴言を吐く傾向を含意しています。
  • 文章で例示されているのは、「トランプは人種差別主義者だ」、「トランプは民主主義の脅威だ」、「トランプはヒトラーに似ている」、「トランプはナルシストだ」といった主張です。他にも、トランプへの感情的な反発から、彼の全ての言動を否定的に解釈すること。 たとえば「トランプが言ったことはすべて間違っている。」と決めつける。トランプ支持者すべてを「教育程度が低い」などとステレオタイプ化することなど。
  • この症候群は、トランプに対する強い嫌悪感から、正常な判断力を失うほどの強い敵意や拒絶反応が引き起こされることによるものです。
  • これは、トランプの政策や行為への合理的な反対意見というよりは、トランプへの非合理的な「嫌悪」として、トランプ批判を一蹴するのに用いられます。
要約すると、「反トランプ錯乱症候群」は、トランプの批判者が彼を嫌悪するあまり、事実が裏付ける以上の歪められた、根拠のない攻撃をすることを意味しています。

以前このブログでも指摘したように、米国のメディアは大手新聞は、すべてリベラル系であり、大手テレビ局もほとんどがリベラル系です。従来はFOXTVが唯一保守系ともいわれてきましたが、最近ではそうでもないと指摘する人もいます。

FOXニュースに関して、従来の保守的な立場からの変化が指摘される理由には以下のようなものが考えられます。
  • トランプ政権批判のコメンテーターを多く起用するようになった。保守派の論客が減っている。
  • 2020年の大統領選で、FOXは早い段階でバイデンの当選を宣言。トランプ陣営の不正論を批判的に報道。
  • 視聴者からの反発で、保守派の視聴者がFOXから離れているとの指摘がある。
  • 社内での性的暴行告発事件で保守的な社風への批判が高まった。
  • 保守派論客の一部がFOXを「裏切り」と非難し、新保守系メディアに移籍する動きが出ている。
  • FOXの親会社が経営権売却で左派寄りの方針転換を懸念する声がある。
このように、FOXの保守的立場の変質を示唆する動きがあるとされています。保守派からの批判を招く一方、リベラル層への訴求を強める動きが見て取れると指摘されています。

これは、FOX TVを退局した元キャスターであるタッカー・カールソンがプーチン大統領にインタビューしたことでも顕となりました。FOXの保守的立場の変化とこのことには以下のような関係があると考えられます。
  • タッカー・カールソンは2022年12月にFOXを退局し、新保守系メディアのThe Blazeに移籍しました。彼がFOXを去ったのは、FOXの保守的立場の変化に失望したためとされます。
  • タッカー・カールソンは、2023年2月にロシアのプーチン大統領にインタビューを行い、その映像がThe Blazeで放送されました。プーチンインタビューは、FOXの反ロシア的報道姿勢への反発の表れと見られます。
  • 保守系の視聴者の中にはロシア寄りの姿勢を支持するものも多いとみられ、それとのギャップがFOXの変化を示唆しているようです。
  • プーチン氏への同情的インタビューは、FOXの反ロシア姿勢へのアンチテーゼを提示しようとしたものと受け取られています。
  • タッカー・カールソンは保守系メディアへ移籍しており、FOXでの発言の自由が制限されたことへの不満があるようです。
  • FOXの親ロシア派保守派の立場放棄が、元キャスターの行動の背景にあるようです。
このように、元キャスターの行動はFOXの保守的立場の変更と無関係ではないと考えられ、その変化を象徴する出来事の一つと言えそうです。

タッカー・カールソン氏

以下にプーチンに対するタッカー・カールソンのインタビューの概要を掲載します。
  • 2023年2月にロシアのモスクワで行われた。ロシアによるウクライナ侵攻について、プーチンは「特別軍事作戦」の正当性を主張。
  • NATOの東方拡大がロシアを脅かしたとの立場を表明。
  • カールソンはウクライナへの意見介入を避け、プーチンの主張を傾聴する姿勢だった。
  • 西側メディアの対ロシア報道の偏向性を問題視する発言があった。
  • ロシア寄りの保守派の立場を代弁する役割をカールソンが担った。
  • 友好的な雰囲気の中で1時間以上にわたり対談が行われた。
  • カールソンはFOXニュースでの発言の自由を求めて辞めた経緯があり、その意味でも象徴的なインタビューとなった。
保守派のロシア観については以下のように整理できます。
  • 保守派の一部には親ロシア的な人々がいるが、保守派全体が親ロシアとは限らない。リベラル派を敵視することから、ロシアを戦略的な同盟相手と見る向きがある。
  • ロシアの伝統的価値観を重視する保守派が、プーチン体制を評価する場合がある。国粋主義的な保守派にとって、西側諸国よりもロシアの方が味方と見えることがある。
  • 一方で、冷戦時代の反共的姿勢を重視する保守派も依然として多く、親ロシアとは限らない。
  • トランプ派と旧来の共和党保守派とでも見方が異なる。保守派内でも親ロシア派と反ロシア派に分かれることがある。
概して、保守派の一部にロシア寄りの傾向があると言えますが、保守派全体が一様に親ロシアとは言い切れないのが実情だと考えられます。

トランプ氏のロシア観については、親ロシア的というよりは複雑であいまいな面があると言えます。大統領在任中は、対ロ制裁を強化する一方、プーチンとの個人的な関係構築を目指しました。
  • NATOへの批判的な言動があり、ロシアの警戒感を和らげる狙いがあったとされる。ただし、軍事面では対ロシアの警戒姿勢は緩めませんでした。
  • 大統領選に際しては、ロシアによる選挙介入を疑いましたが、後にロシア寄りの言動もありました。
  • ウクライナ侵攻後はプーチンを「天才」と持ち上げるなど、親ロシア的な言動が目立ちました。ただ一方で、ウクライナ支援も訴えており、立場は一貫していません。
  • 戦略的にロシアを利用する意図が強く、イデオロギー的な親ロシアではないとみられます。
このように、トランプのロシア観は状況に応じて変化する側面が大きく、単純な親ロシアとは言い難いです。

私自身は、保守派を自認していますが、ロシアは未だウクライナと交戦中であり、ロシアを支持するにしても、批判するにしても、それは戦後になって情報が十分に集まった段階で行うべきであり、現時点で、それを表明したり、ロシアを支持したりする姿勢をみせれば、それはロシアに利用されるだけだと思います。

ただしFOXニュースの保守的立場の変質を示唆する動きとして、ロシア観以外にも以下の点が挙げられます。
  • トランプ元大統領に批判的なコメンテーターを多く起用するようになったこと
  • 2020年の大統領選で、他の保守系メディアより早い段階でバイデン勝利を宣言したこと
  • 気候変動問題の重要性を訴える番組が増え、保守層の反発を招いており、さらに人種や性的マイノリティー問題でのリベラル寄りの姿勢が目立つようになったこと
  • 視聴者からの批判で、保守派の視聴者が減少傾向にあること
  • 社内の性的少数者への配慮を強化し、保守的な企業文化を改める改革していること
このように報道姿勢や社内運営の面で、FOXの左傾化されつつある兆候がみられ、保守派メディアとしての色合いが薄れていると言えます。


この傾向が強まりつつある現在、大手テレビ局も、大手新聞もほぼすべてがリベラル系ということがいえ、このような状況では、「反トランプ錯乱症候群」が強まることはあっても弱まることはないでしょう。

日本のメディアのトランプ報道は、米国の大手メディアの内容をそのまま垂れ流す傾向があり、それでは、真のトランプ像や、少なくとも米国の人口の半分くらいは存在する保守派の考えなどは、日本のメデイアは報道しないということになります。

それでは、日本では、メディアの報道をみている限りでは、米国の半分しか見ていないことになり、後の半分のことはわからないということになります。

「反トランプ錯乱症候群」になることを防ぐためには、自ら米国の情報を仕入れて判断するしかなさそうです。ただ、従来と比較すれば、生成AIなどで、すぐに翻訳できようになった現在では、その敷居は従来よりはかなり低くなったといえます。

アメリカの保守系メディアは、政治的な視点や思想によって分類されます。以下はいくつかの代表的な保守系メディアです。

  1. The Blaze: 保守派の視点を提供するメディアで、元フォックスニュースのホストであるグレン・ベックが設立しました
  2. The Drudge Report: ウェブベースの保守系ニュースアグリゲーターで、政治的な話題をカバーしています
  3. Newsmax: 保守的な視点を持つニュースサイトで、政治、経済、社会問題などを報じています2

これらのメディアは、保守派の視点を提供する一部の選択肢ですが、アメリカのメディアは多様であり、さまざまな意見や視点を反映しています。

ただ、日本のメディアだけに頼っていては、米国という国を正しく理解することはできません。米国の保守系メディアの情報も参照することをおすすめします。

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2024年2月12日月曜日

「もしトラ」は日本の大チャンス 〝米国第一〟で軍事支援に消極的、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会もたらす―【私の論評】日本の真の独立を促すとみられる、トランプ外交の真実

 長谷川幸洋「ニュースの核心」

「もしトラ」は日本の大チャンス 〝米国第一〟で軍事支援に消極的、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会もたらす


まとめ
  • トランプ前大統領が再選されれば、日本には大きな影響があり、政策逆転の可能性がある。
  • トランプ氏は輸入品に関税をかける考えを示しており、これが日本の自動車産業に打撃を与える可能性がある。
  • 中国との貿易においてもトランプ氏は強硬策を採ると予想され、対中政策では民主党との一致が見られる。
  • 安全保障面では、トランプ氏が米国第一主義を重視し、日本に積極的な軍事的関与を求める可能性が高いとされている。
  • トランプ政権下で日本は自力で国を守る「真の独立国」に向けた大きな機会を得る可能性がある。

 もしドナルド・トランプ前大統領が再び米国の大統領になった場合、日本にはどのような影響があるのか。トランプ氏が大統領選で優位に立っている状況であるため、この「もしトラ」の問題は現実味を帯びてきている。私は、この状況が日本にとって大改革のチャンスとなると考えている。

 政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の平均値によると、2024年2月6日時点でトランプ氏は現職のジョー・バイデン大統領を2.1ポイント引き離している。個別の調査を見ても、最近ではほとんどがトランプ氏が優勢となっている。

 もしトランプ氏が勝利すれば、バイデン政権が進めてきた政策の相当部分が覆されることは避けられない。

 例えば、トランプ氏は「米国への輸入品に一律10%の関税を課す」と公言しています。日本が輸出する自動車に10%の関税が課されれば、自動車メーカーにとっては打撃となるだろう。

 ただし、ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン氏は「それでも米国の貿易赤字は解消しない」と指摘している。高額な輸入品を購入することを強いられる米国の消費者にも不利な影響があるとされており、実際にどのような結果になるかは不透明だ。

 中国との貿易に関しては、ワシントン・ポスト紙が「トランプ氏が60%を超える関税を課す可能性がある」と報じ、トランプ氏自身もFOXの番組で「それ以上になるかもしれない」と述べている。また、「最恵国待遇」という他国との差別しない原則を取り消す可能性も噂されている。

 対中強硬策は、民主党との一致点が少ない中で唯一一致する分野だ。米中経済の切り離し(デカップリング)は、前政権よりも一層進むだろう。

 日本にとって最も重要な問題は安全保障だ。

 中国の習近平政権は、台湾への武力侵攻を選択肢として捨てていない。武力行使に至らなくても、臨検や海上封鎖などの措置を取る可能性がある場合、トランプ氏はどのような行動を取るのだろうか。

 トランプ氏自身は具体的な対応策について明言は避けているが、日本に対しては「積極的な軍事的関与を求める可能性が非常に高い」と考えられている。なぜなら、トランプ氏の最重要課題は「アメリカ・ファースト」だからだ。

 アメリカを最優先する考え方を日本に当てはめると、「台湾を失うことで日本が深刻な打撃を受ける」という結論になります。そのため、「日本が台湾の防衛に全力を尽くすべきだ」という考え方が生まれるのだ。

 これは大きなチャンスだ。

 第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすだろう。バイデン政権の下で防衛費増額に踏み切った岸田文雄政権だが、「トランプ復活」の場合、それだけでは足りないかもしれない。台湾の防衛のために、憲法改正を求める可能性もあるだろう。実際、2016年には日本と韓国の核武装についても言及していた。

 この状況は大きなチャンスだ。第2次トランプ政権が実現すれば、日本は他国に頼らずに自ら国を守る能力を高めることができるだろう。

【私の論評】日本の真の独立を促すとみられる、トランプ外交の真実

まとめ
  • トランプ政権は中国に対する強硬姿勢やイスラエル・アラブ諸国の和平交渉成功、ISISへの迅速な対応、COVID対策の渡航制限などで外交で成果を上げた。
  • バイデン政権は中国に対してソフトな態度を取り、イラン核合意やパリ協定への再参加を模索するが、批判も受けている。
  • トランプ政権はNATOの防衛費増額要求やロシアへの軍事力強化で国際的な安全保障に影響を与えた。
  • バイデン政権は価値観外交を推進し、外交において硬直した姿勢が目立つ。批判もあり、外交政策の一貫性が問われている。
  • 第2次トランプ政権が実現すれば、日本は従属から脱却し、自立国としての機会を得る可能性が高まる。

トランプ氏が大統領になる直前にマスコミは、外交経験のないトランプ氏の外交を危ぶむ声が多かったのですが、現実はそうではありませんでした。トランプ氏の外交を以下にふりかえっておきます。

習近平

 以前もこのブログに掲載したことですが、トランプは中国に対して強硬路線をとり、不公正な貿易慣行に対処させた最初の大統領です。バイデンはすでにトランプの関税の一部を撤回し、中国に対してよりソフトな態度をとっています。

トランプの政策は功を奏し、中国に交渉を迫っていたのですが、バイデンの弱腰は中国を増長させることになるでしょう。

トランプはイスラエルとアラブ諸国との歴史的な和平交渉を仲介しました。バイデンはすでにイスラエルとアラブ諸国関係を緊張させています。トランプは、何十年もの間、他国から遠ざかっていた中東での外交的突破口を開き、懐疑論者が間違っていたことを証明しました。

 トランプは記録的な速さでISISのカリフ制国家を壊滅させました。ISISはオバマ-バイデン政権下で急成長し、トランプはその混乱を一掃しなければなりませんでした。トランプは軍を解き放ち、ISISを迅速に粉砕し、イスラム過激派のテロに対する強さを示しました。

 バイデンは、イラン核合意やパリ協定といった不公正な取引に再び参加しようとしています。トランプは、米国に不利なこれらの取引から当然のごとく脱退しました。

バイデンは、これらの取引に再び参加することで、影響力を失い、見返りも何も得られないでしょう。

トランプはメディアからの批判にもかかわらず、COVIDの蔓延を遅らせる渡航禁止措置をとりました。バイデンはこの禁止措置を「外国人嫌い」と呼びましたが、賢明な措置であることが証明されました。

バイデンの政策がボリティカル・コレクトネスによって推進されているように見えるのに対して、トランプは命を救う可能性の高い厳しい決断を早期に下しました。


バイデンやオバマのより伝統的な政治的アプローチよりも、トランプの堂々とした「アメリカ・ファースト」政策がより良い結果を生んだことは明らかです。それは、米国にとってもその同盟国にとってもそうでした。

メディアはトランプを脅威として描いていますが、彼の政策は世界における米国の地位を強化し、敵対国に責任を負わせ、外交政策で大きな勝利を収めました。トランプの外交は、世界の舞台で米国の影響力を低下させるバイデンの外交よりはるかに優れています。全体として、トランプ氏のリーダーシップのほうが、米国とその同盟国はより安全で安心できる環境をもたらしたといえます。弱い米国は、米国だけではなく、日本含む同盟国にとっても不利益をもたらすのです。

バイデン氏は政治家として外交経験も豊富なので、トランプ政権からバイデン政権に変わったとき、多くの識者は、トランプよりはバイデンのほうがまともな外交をするだろうと、安堵の声を漏らす向きも多かったのですが、現実はどうだったでしょうか。バイデン外交は失敗続きだったといっても過言ではありません。

バイデンが副大統領をつとめたオバマ大統領は外交経験に乏しく、外交の中心はバイデンが担っていました。ところが、オバマ政権で国防長官だったロバート・ゲイツはバイデンについて「過去40年、ほぼ全ての主要な外交、国家安全保障問題で間違っていた」と回顧録で切り捨てています。

「誤り」として挙げられるのはイラク戦争への対応のほか、国連決議に基づいていた1991年の湾岸戦争への反対、2011年のイラク撤退でテロ組織の台頭を許したと批判されていること、アフガニスタンへの増派反対などがあります

米企業公共政策研究所の外交政策専門家コリ・シェイクも、バイデン外交について「軍事力をいつどのように使うかという一貫した哲学に欠けている」と米誌アトランティックへの寄稿で批判しています。

バイデンが大統領になってからは、価値観外交を推進し、それが故に硬直した外交姿勢になっている面は否めません。トランプは元々実業家であり、物事を流動的にとらえ、実利の面からものごとをとらえる傾向があるため、特定の政治信条にとらわれることはありません。

一方、米国は2021年8月の米軍アフガニスタンからの撤退そのものは正しい判断ではありましたがそれにしても、撤退の仕方そのものは失敗でした。、ロシアのウクライナ侵攻の直前には、米軍は直接介入はしないとわざわざ公表し、プーチンに免罪符を与えたものと勘違いされ、結局ロシアを後押ししてしまったといわれても仕方ない状況をうみだしました。

大統領専用機のタラップを降りるバイデン大統領

「もしトラ」が現実になれば、トランプはバイデンとは異なり、現実的で流動的な政策を実行するでしょう。

2018年のトランプ大統領の欧州訪問で北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談に出席したトランプ大統領は、NATOの欧州側加盟国に防衛費の増額を強く要求しました。加盟各国は最低限、GDP(国内総生産)2%の防衛費支出をするという約束を守れ、という要求でした。

トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道されました。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判もおおくありました。

しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていました。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのです。これは国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していました。

また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきました。2017年末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言しています。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認されました。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めたのです。

ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきました。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいませんでした。ロシアへの経済制裁もまったく緩めませんでした。

トランプ政権のロシアへの基本姿勢は、軍事力の強化によっても明らかだったといえます。トランプ大統領は2017年9月の国連演説で「原則に基づく現実主義」という理念を掲げ、国家主権に基づく「力による平和」という政策を語りました。それとともに、潜在敵であるロシアや中国の膨張を抑えるために、軍事力を大幅に強化し始めました。トランプ政権の2018年度の国防予算は、前年度から13%増加し、GDPの4%ほどに達しています。

今日ロシアがウクライナに侵攻したことを考えると、トランプのこうしたNATOへの働きかけは正しかったといえます。

トランプ氏は今月10日、南部サウスカロライナ州での集会で、過去のNATO首脳との会合を振り返ったとみられる中で、「ある大国」の大統領から「われわれが(軍事費を十分に)払わないまま、ロシアの攻撃を受けたら、あなたは守ってくれるか」と尋ねられたと紹介。「いや守らない。むしろしたいようにするよう彼ら(ロシア)に勧める。払わないと駄目だ」と答えたと語ったとされ、現在のホワイトハウスはこれを批判しています。

しかし、「払わないと駄目」という発言からもわかるように、これはNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めた従来の姿勢を崩していないと受け取るのが妥当だと考えられます。



このようなトランプ氏です。もし大統領になった場合、中国に対する不沈空母ともいえる日本を堅持するする姿勢は崩さないでしょうが、日本も応分の対応を求めてくるでしょうし、場合によっては、日本政府の親中・媚中的な姿勢にも苦言を呈するかもしれません。

長谷川氏の主張するように、第2次トランプ政権は、日本が「アメリカの従属国」の立場から脱却し、自力で国を守る「真の独立国」に近づく機会をもたらすことになる可能性は高いです。

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