2025年3月30日日曜日

「トランプ誕生で、世界は捕食者と喰われる者に二分割される」アメリカの知性が語るヤバすぎる未来―【私の論評】Gゼロ時代を生き抜け!ルトワックが日本に突きつけた冷徹戦略と安倍路線の真価


まとめ
  • 世界秩序の崩壊と「弱肉強食」の台頭: トランプ再選後、アメリカが国際秩序維持を放棄し、「Gゼロの世界」が到来。世界は「弱肉強食の掟」が支配するジャングルとなり、アメリカが他国を「捕食」する構図が生まれた。
  • アメリカの捕食行為: トランプ氏はグリーンランド、カナダ、パナマ運河などを狙い、反発されてもディールで利益を強要。ロシアはウクライナを、中国は技術で他国を取り込む動きを見せる。
  • 中国と台湾情勢: 中国は経済低迷で台湾侵攻はすぐにはないが、再生可能エネルギー技術等を武器に影響力を拡大し、米中対立の受益者となる可能性がある。
  • テック企業の台頭: 秩序崩壊でテック企業が国家を超える力を持ち、AI開発などで世界を形成する未来が予想される。
  • 日本の選択: 日本はアメリカと中国の間で自主防衛力強化(核保有含む)か国際支援で味方を増やすかの選択を迫られ、危機感を持って対応する必要がある。

イアン・ブレマー氏

トランプ大統領の再選以降、世界は強者が弱者を飲み込む「捕食の世界」に変貌し、日本人だけがその危機に気づいていない可能性があると、'69年生まれ。ユーラシア・グループ代表。毎年発表する「世界の10大リスク」も注目を集める国際政治学者のイアン・ブレマー氏は警告する。以下は週刊現代の大野和基氏が、ブレマー氏に取材した内容を要約したものである。
トランプの派手な言動は2年後の中間選挙を意識した一時的なものではなく、第二次トランプ政権の誕生によって世界秩序は完全に崩壊し、もう元には戻らないと彼は断言する。
米コンサルティング会社ユーラシア・グループの代表であるブレマー氏は、15年前から「国際秩序を維持する意志や能力を持つ国家が不在の世界」=「Gゼロの世界」の到来を予見し、警鐘を鳴らしてきた。
昨年11月のトランプ再選後、アメリカがNATOのあり方の見直しを表明し、国際支援を次々と打ち切ることで、世界の秩序維持を放棄した結果、ブレマー氏の予言したGゼロが現実化したと分析する。
これにより、世界は「弱肉強食の掟」が支配するジャングルのような状態となり、食物連鎖のピラミッドの頂点にトランプ大統領率いるアメリカが立ち、それ以外の国々はすべてアメリカに「喰われる」敗者となる危険な構図が生まれた。
トランプ氏は就任早々、「グリーンランドを買いたい」「カナダを51番目の州にする」「パナマ運河を奪う」などの発言を行い、これらは単なる挑発ではなく、捕食の試みとして実行されている。
カナダやデンマークから反発があっても、「奪うのをやめる代わりに何をくれる?」とディールを提案し、アメリカの欲しいものを強要する形で搾取を進めている。
ロシアはこれに気づき、ウクライナを飲み込もうとしており、現在進む停戦協議でウクライナが領土を放棄すれば、第二次大戦後アメリカが築いた「武力による領土拡大を禁じる国際ルール」が消滅し、力を持つ国々が弱い国を捕食する動きが加速するだろう。
一方、台湾をめぐる情勢は複雑で、中国は経済低迷によりすぐには動かないが、再生可能エネルギー分野での技術優位を活かし、「中国に従えば技術を提供する」と他国を取り込む戦略を進める可能性がある。
これにより、米中対立が激化する中、逆説的に中国が受益者となる未来も考えられる。
また、秩序崩壊後、AI開発を進めるテック企業が国家に代わって世界を変革する力を持ち、倫理やモラルを無視した活動が加速し、国家を超える存在となる可能性もある。
日本は、アメリカの傍若無人な意向と中国の脅威に挟まれ、自主防衛力を強化するか(核保有の選択肢も含む)、アメリカが手を引いた国際支援を引き受けて味方を増やすかの二択を迫られる。
ブレマーは、日本人がこの「トランプ後の世界」のジャングルの掟にすぐ認識を改め、どの国よりも強い危機感を持って生き残り策を真剣に考えるべきだと強調する。
この記事は、2つの元記事を統合して、要約したものです。以下に元記事のURLをあげます。詳細を知りたい方は、これらの記事をご覧になって下さい。
「トランプ誕生で、世界は捕食者と喰われる者に二分割される」アメリカの知性が語るヤバすぎる未来
「台湾有事はすぐには起こらない。しかし中国は……」アメリカの頭脳が読み解くヤバすぎるトランプ後の世界
【私の論評】Gゼロ時代を生き抜け!ルトワックが日本に突きつけた冷徹戦略と安倍路線の真価
  • 「Gゼロの世界」の予見: アメリカが「世界の警察官」をやめるとの発言(ニクソン、オバマ、トランプなど)から、無秩序な「Gゼロ」の到来は予想されていた。歴史的反省と時代の流れが背景にある。
  • ルトワックの現実主義: エドワード・ルトワックは、Gゼロを生き抜くため「戦略的抑制」「地経学」「同盟強化」「情報収集」「内政安定」を提唱。日本には技術力と現実的な戦略を提言。
  • 具体例と助言: ベトナム戦争の失敗や米中貿易戦争を例に、日本に中国との対決回避、高い技術力の活用、クアッド強化、情報機関設立を助言。安倍政権のロシア外交を評価。
  • 安倍路線の継承: Gゼロ時代を生き抜くには、技術力、外交、情報、内政を組み合わせ、核シェアリングを含む安倍路線を強力に推進すべき。
  • 支持の理由: ルトワック流の見方は理想や理念を排し、現実と闘志で国を生き残らせると筆者が支持。冷徹な戦略が混沌の時代に必要だ。
アメリカは随分前から世界の警察官を自認しなくなっていた 画像はAI生成画像

イアン・ブレマー氏が叫ぶ「Gゼロの世界」なんて、ぶっちゃけ新鮮味はない。アメリカが「世界の警察官」をやめると言い出した瞬間から、こんな時代が来るのは目に見えていたのだ。誰が最初にその旗を振ったのか、はっきりした名前を挙げるのは難しい。だが、歴史をひも解けば、第二次大戦後のアメリカが超大国として君臨したことに嫌気がさした反省から、この考えは生まれた。

具体的なターニングポイントは、リチャード・ニクソンが1969年7月25日にぶち上げた「ニクソン・ドクトリン」だ。彼はグアムで演説し、ベトナム戦争のドロ沼に疲れ果てたアメリカが、もう直接首を突っ込むのはやめて、同盟国に自分で身を守れと突き放した。これが「警察官」役を縮める最初の火種だ。時は流れ、バラク・オバマは2010年代にその流れをはっきり口に出す。2016年、The Atlanticのインタビューで彼は言い切った。「アメリカはすべての争いに飛び込めないし、飛び込むべきでもない」。軍事でなんでも解決するなんて馬鹿げていると、慎重な顔を見せたのだ。

オバマはシリアで「米国は世界の警察官であってはならないと」発言

さらにドナルド・トランプが2018年12月、イラクで吠えた。「俺たちは世界の警察官じゃない」。彼は「アメリカ第一主義」を、国際的な責任なんて知ったこっちゃないとばかりに突き進めた。だが、こんな話は冷戦時代からチラホラあった。過剰な介入にうんざりした声は、ずっとくすぶっていたのだ。要するに、「誰が最初か」なんて詮索より、時代のうねりが複数の指導者に同じことを言わせてきたと見るべきだ。

「Gゼロ」の足音は、冷戦後のアメリカ一極支配が崩れ、多極化の波が押し寄せる中で、みんなが薄々感じていた転換点だ。こんな無秩序な世の中を、アメリカの戦略家エドワード・ルトワックは冷徹に見つめる。軍事戦略や地経学の達人として、『戦略:戦争と平和の論理』で彼は喝破する。混沌を生き抜く知恵を、国家に叩き込もうとしたのだ。

ルトワックはまず、無駄な動きをせず資源を賢く使う「戦略的抑制」を掲げる。ベトナム戦争でアメリカが突っ込みすぎて大損した失敗を引き合いに出し、Gゼロでは大事なものだけ守れと迫る。日本には、中国と正面切ってぶつかるな、技術力と同盟で抑え込めと助言する。軍事より経済がものを言う「地経学」も彼の肝だ。2018年の米中貿易戦争で、アメリカがファーウェイを締め上げたのを褒めちぎり、日本には高い技術力を武器に世界と渡り合えと焚きつける。

同盟の絆も欠かせない。安倍政権がロシアと腹を割って話したのを「賢い」と褒め、インドやオーストラリアとのクアッドを固めろと後押しする。情報だって命綱だ。湾岸戦争の勝ちとベトナムの負けを比べ、日本にはもっと現場の耳目を磨けと迫る。そして、内政がぐらついたら終わりだ。コロナ禍でEUがバラバラになったのを笑いものにし、日本にはグローバル化の夢を捨て、自国第一で団結しろと喝を入れる。防衛力と経済の足腰を鍛えろと、尻を叩くのだ。

エドワード・ルトワック

ルトワックはGゼロをただの混乱とは見ない。戦略を立て直すチャンスだと肯定的に捉える。歴史の教訓と今の動きを絡め、彼は日本に道を示す。技術力、柔軟な外交、情報収集、内政の強さ。この四つを勢いで組み上げろと叫ぶ。もっともだ。

そして外交と安保では、安倍路線をガッチリ継承しろ。核シェアリングも視野に入れ、揺るぎない国を守る覚悟を決めろ。それが、この荒々しい時代を生き抜く唯一の道だ。このルトワック流の見方は、甘っちょろい理想や理念をぶっ飛ばし、現実を直視する力強さがある。私はこれを支持する。なぜなら、国を生き残らせるには、綺麗事より冷たい頭脳と熱い闘志が必要だからだ。

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2025年3月29日土曜日

石破政権延命に手を貸す立民 国民民主と好対照で支持率伸び悩み 左派色強く 減税打ち出せず―【私の論評】石破政権崩壊カウントダウン!財務省の犬か、玉木政権への道か?

石破政権延命に手を貸す立民 国民民主と好対照で支持率伸び悩み 左派色強く 減税打ち出せず

まとめ
  • 石破政権の商品券問題と支持率急落: 石破首相が新人議員に10万円の商品券を配布し、予算成立後の政策ミス(高額療養費凍結表明)で支持率が急落。立憲民主党の野田代表は説明を求めるが、退陣要求は慎重。
  • 立民の対応と政権延命への関与: 立民は予算成立に協力し、石破政権の延命を助けていると批判され、国民民主の対決姿勢とは対照的。野田代表の財務省寄り姿勢も影響。
  • 立民の支持率伸び悩みの要因: 左派色の強い政策(選択的夫婦別姓、ジェンダー平等)や増税路線が現実的でなく、支持率向上につながらない。
国民民主党代表玉木氏

 立憲民主党の野田佳彦代表は16日、石破首相が自民党新人議員との会食で10万円の商品券を配った問題について、「徹底して説明を求めるが、内閣不信任決議案提出や退陣要求は簡単にしない」と述べ、対応と支持率低迷の要因を考えたいとした。

 石破政権は2月25日の自民・公明・維新の3党合意で2025年度予算を修正した時期が絶頂期だったが、3月3日、首相公邸で新人15人に商品券を配り、翌4日に予算が衆院通過。おそらく少数与党でも通過できた高揚感と油断があったのだろう。林芳正官房長官も同席し「前夜祭」ムードだったが、3月7日に高額療養費引き上げ凍結を表明し、参院での予算再修正が不可避に。

 17日の世論調査で商品券問題が響き支持率急落。立民は予算成立に協力し、石破政権延命に手を貸していると見られ、財務省寄りとの評価も。対照的に、国民民主は年収の壁問題で妥協せず支持率上昇。立民は選択的夫婦別姓やジェンダー平等など左派色が強く、野田代表や小川幹事長の増税路線が現実的でなく、支持率が伸び悩む一因に。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】石破政権崩壊カウントダウン!財務省の犬か、玉木政権への道か?

まとめ
  • 石破政権の支持率急落と失策: 支持率が共同通信(3月27日)で27%、日本経済新聞(3月24日)で35%と低迷。「10万円商品券問題」や高額療養費見送り(3月7日)が国民の信頼を失わせ、矢田稚子補佐官クビ(3月31日)で政権がグチャグチャだ。
  • 財務省の影響と減税回避: 石破が財務省に操られ、減税をケチり2万円時限措置に留まる。玉木の「10万円減税」提案(3月16日)とは対照的で、国民の怒りとXでの「財務省の犬」批判を招く。
  • ダブル選挙の可能性: 石破が「予算否決なら解散も」(日本経済新聞、2024年12月28日)と発言。産経新聞(3月27日)は4月に「石破おろし」が加速と予測。自公過半数割れで自民が弱体化し、2009年の麻生政権崩壊の再現が囁かれる。
  • 国民民主党と玉木の台頭: 若者支持率トップ(産経新聞、3月29日)、地方選挙勝利(熊本県知事選、2024年11月)。玉木は「自民の腐った体質」(FNN、3月24日)と批判し、現実的政策で支持拡大。東洋経済(3月24日)は「玉木首相が現実味」と分析。
  • 政権交代への期待: 石破の失態と財務省支配で国民が離反。Xで「自民終わり」(3月29日)、「玉木なら救う」(3月28日)と声が上がり、野党連合の首相指名で玉木が浮上。4月以降が勝負だ。
商品券問題では当初は記者に逆質問をするなど強気の石破総理だったが・・・・・
石破政権はスタートから支持率がガタ落ちだ。共同通信(3月27日)では27%、日本経済新聞(3月24日)では35%と低空飛行だ。原因はバレバレだ。「10万円商品券問題」や物価高対策のグダグダさだ。減税を避ける姿勢が国民をブチ切れさせてる。財務省がガッチリ首根っこを押さえ、「減税なんて許さん」と石破を締め上げている。例えば、玉木は3月16日の「日曜報道THEPRIME」で「10万円減税で物価高をぶっ潰せ」と吠えた。
だが石破は2万円のショボい時限措置で済ませ、財務省に尻尾を振る。Xでは「石破は財務省の犬」と罵声が飛び交う。さらに3月7日、高額療養費の負担上限引き上げを見送り、参院で予算を無理やり修正だ。毎日新聞(3月8日)は「国民に何も説明できず、信頼をぶち壊した」とぶった切った。追い打ちで、読売新聞(3月28日)は国民民主党出身の矢田稚子補佐官を3月31日でクビにすると報じた。自民と国民民主の絆がズタズタだ。
昔、野田佳彦が2012年に消費増税で国民を裏切り、支持を失った。あの時と同じだ。財務省は今も「増税以外認めねえ」と石破を操り、減税をケチらして延命に走らせてる。石破が追い詰められてダブル選挙に突っ走る可能性は大きい。2024年12月28日の日本経済新聞で「予算や法案がコケたら解散も同日選もあり」と言い放った。産経新聞(3月27日)は予算成立後の4月初旬に「石破おろし」が火を噴くと睨んでる。
2012年消費税増税法案に向けての決意を語る野田首相
プレジデントオンライン(1月10日)は「衆参同日選なんて言ってるのは自信過剰か、政治センスゼロか」と石破をコケにした。財務省は裏で「予算を通せば石破を延命させられる」と画策し、朝日新聞(3月16日)は「財務省前で抗議デモが拡大」と報じた。大平正芳は1980年にダブル選挙で自民を勝たせたが、今の石破は少数与党だ。自公で衆院過半数すら割ってる。朝日新聞(3月15日)は「派閥再編も失敗、石破派すらバラバラ」と突き離した。

Xでは3月29日に「石破でダブル選挙なら自民は終わり」と叫び声が響く。「高市早苗が後継でも勝てねえ」と悲鳴もある。2009年、麻生太郎が衆院選でボロ負けして民主党に政権を渡した。あの再現だ。高額療養費のグダグダ、矢田のクビ、財務省の鉄拳で石破の足元はグラグラだ。
国民民主党は若者(18~40代)で支持率トップだ(産経新聞、3月29日)。地方選挙でもバンバン勝っている。玉木は3月24日のFNN取材で「商品券問題は自民の腐った体質そのもの」とぶちかまし、石破に政治倫理審査会での説明を突きつけた。減税と物価高対策をズバッと掲げ、石破との差を見せつけた。3月13日の衆院予算委では、石破が「高額療養費のミス」と頭下げたが、玉木は「国民の生活が第一だ」と喝を入れ、支持をガッチリ掴んだ。
東洋経済(3月24日)は「玉木首相が現実味を帯びてきた」とぶち上げた。石破政権がボロボロで、野党連合に期待が集まる。2024年11月の熊本県知事選じゃ、国民民主の推した候補が勝ち抜き、玉木の地方での力が証明された。Xでは3月28日に「玉木なら現実的な政策で日本を救う」と声が上がる。自民がダブル選挙でコケたら、野党が首相を指名する。立憲の野田が大連立を蹴った(1月4日、毎日新聞)中、国民民主が主導権を握る可能性が高い。
時事通信(3月20日)は「国民民主が野党の現実派の要」と持ち上げた。財務省の締め付けに縛られず、玉木の現実的な政策と若者人気は野党の柱になる力だ。FNN世論調査(3月24日)で石破支持率は30.4%まで落ちた。朝日新聞(3月17日)は「商品券問題で国民がキレてる」と突き放した。一方、国民民主は40代以下でトップを走り、玉木への期待は、大きい。

新川浩嗣財務次官


石破が新人15人に10万円商品券をバラまいた(読売新聞、3月14日)ことは「石破、お前もか」と国民を呆れさせた。自民内部でも批判が爆発だ。玉木は「国民のための政治」で対抗し、支持を掴む。毎日新聞(3月16日)は「自民の倫理観がボロクソ」と斬った。3月7日の高額療養費見送りで参院予算修正、矢田の3月31日クビは政権のグチャグチャを象徴する。財務省は「財政健全化」と称して国民を締め上げ、Xでは「財務省解体」とハッシュタグが飛び交う。
2024年10月の党大会で玉木は「国民目線の経済政策」をぶち上げ、支持率を跳ね上げた。東洋経済(3月24日)は「石破の弱さが玉木総理を呼ぶ」と分析だ。4月に党内抗争や不信任案でダブル選挙が火を噴く可能性が高い。2009年の民主党政権誕生は、自民の失態と野党の結束が鍵だった。今も同じだ。Xでは2024年10月30日に「自民が玉木を担ぐ裏技も」と囁かれた。玉木が野党の現実派リーダーとして立つシナリオがガチで現実味を帯びる。
石破が減税をケチり、財務省の言いなりで高額療養費見送りや矢田クビに走った。ダブル選挙に突っ込めば、自民はボロ負けだ。国民民主党の支持率急上昇と玉木の政策が、野党連合の首相候補として飛び出す可能性が大きい。商品券の失態、予算の混乱、連立の崩壊、若者支持、地方の実績が「玉木政権」を現実にする。財務省の暗い影が石破を縛る中、玉木が国民の声でぶち破る。だが、野党の結束や自民の逆襲が勝負を分ける。4月以降の動きに注目だ。かつて民主党は政権交代したが、長持ちしなかった理由は経済だ。玉木政権が経済を好転させれば、長続きするであろう。

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2025年3月28日金曜日

日本の所得水準、50年後は世界45位に後退 日経センター―【私の論評】外国人流入は日本を救うどころか滅ぼす!日銀の金融緩和こそ賃金アップの鍵

日本の所得水準、50年後は世界45位に後退 日経センター

まとめ
  • 日本経済研究センターの50年予測によると、日本の1人当たり実質GDPは2024年の29位から2075年には45位に低下し、世界の中位群に後退。成長にはAI活用や雇用改革が必要。
  • 日本全体の実質GDPは24年の4位(3.5兆ドル)から75年に11位(4.4兆ドル)に下がり、平均成長率は71〜75年で0.3%にとどまる。米国と中国はAIで生産性を上げ、1位と2位を維持。
  • 人口減少が成長を抑制し、日本の合計特殊出生率は75年まで1.1に低下。純移民数は年23万〜24万人で、75年の総人口は約9700万人、外国人1600万人に。成長維持には外国人流入が不可欠。
  • 1人当たりGDPは75年に4万5800ドル(約690万円)でG7最下位となり、韓国(21位)や中東欧諸国などに抜かれる。
  • 世界成長率は21〜30年の3.3%から71〜75年の1.3%に鈍化。新興国の影響力が増し、BRICS合計GDPは75年に米国の1.4倍に拡大。
日本経済研究センター 代表理事・会長 喜多 恒雄氏

日本経済研究センターは今後50年の長期経済予測を発表。1人当たり実質GDPで日本は2024年の29位から2075年には45位に低下し、世界の中位群に後退。成長にはAIなどデジタル技術の活用や雇用改革が必要とした。日本の実質GDPは24年の4位から75年には11位に下がり、成長率は0.3%に低迷。米国と中国はAI活用で生産性が上がり、GDP1位と2位を維持。日本はAI効果が弱く、G7最下位が続く。

人口動態では、日本の合計特殊出生率は75年に1.1に低下、総人口は9700万人に減少。移民純流入は年23万〜24万人で、世界5位の受け入れ国となるが、成長維持には外国人流入が不可欠。韓国の1人当たりGDPは日本を上回り、中東欧諸国などにも抜かれる。

世界全体の成長率はAIで21〜30年は3.3%だが、71〜75年には1.3%に鈍化。東アジアの人口は6億人以上減少し、アフリカが40年代半ばに上回る。新興国の影響力拡大で、75年のGDPはインド3位、インドネシア5位、BRICS合計は米国の1.4倍に。米国はG7連携やCPTPP・EU統合で対抗が必要と指摘した。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】外国人流入は日本を救うどころか滅ぼす!日銀の金融緩和こそ賃金アップの鍵

まとめ
  • 「外国人流入が成長に不可欠」は誤り。全体GDPは増えても、1人当たりGDPは労働力増加だけでは上がらず、資本希薄化で下がる。BorjasやOttavianoらの研究で、低スキル移民が賃金と生産性を下げる実証がある。
  • 賃金上昇には日銀の金融緩和が有効。総需要を刺激し、労働市場を逼迫させることで賃金が上がる。世界標準のマクロ経済学の原則にもとづけば積極的緩和を支持。
  • 日本の賃金30年停滞は日銀の失策が原因。デフレ放置と緩和不足で需要が低迷。OECDデータで他国が20〜30%賃上げの中、日本は横ばい。
  • アベノミクス初期の緩和で賃金上昇が見られたが、消費税増税と日銀の躊躇で失速。対照的にFRBは大胆な緩和で賃金を伸ばした。
  • 日経センターレポートは経済学を無視した暴論。外国人頼みは1人当たりGDPを下げ、日本を貧しくする。日銀の緩和こそ解決策なのに、それを否定するレポートは日本を滅ぼす毒だ。
成長維持には外国人流入が不可欠????

「成長維持には外国人流入が不可欠」という記述は、1人当たりGDP(≒一人あたりの所得)を考慮すると明らかな間違いだ。全体のGDPは労働力が増えれば上昇する可能性がある。しかし、1人当たりGDPは労働力増加だけでは上がらない。資本が希薄化すれば逆に下がるのがマクロ経済学の基本だ。

Borjasの研究では、米国の移民流入が全体GDPを増やす一方、1人当たりGDPは移民のスキル次第で低下することが実証されている。労働供給が増えると賃金が下がり、生産性も落ちる場合がある。OttavianoとPeriの分析でも、低スキル移民が既存労働者の賃金を圧迫し、1人当たりGDPを下げるケースが確認されている。

資本ストックが労働力増加に追いつかない場合、1人当たりGDPは停滞する。Acemogluらの研究がこの点を明確に示している。移民の質が生産性向上につながらなければ意味はない。

Docquierの国際比較では、高スキル移民がなければ1人当たりGDPの上昇は期待できない。日本のような経済でも、スキル選抜がなければ効果は薄い。外国人流入が成長の最低条件という主張は誤りだ。生産性向上や資本蓄積が成長の鍵であり、労働力の量だけでは不十分である。全体GDPと1人当たりGDPを混同した明らかな過ちである。

ここで、賃金を上げるための施策は、外国人流入ではなく、日銀による金融緩和策を継続することであることを、世界標準のマクロ経済学の観点と、日本の他国にはない特殊事情観点からさらに解説する。特に、日本の賃金が過去30年以上も上がらなかったのは、日銀の金融政策が間違え続けたためである点に焦点を当てる。

世界標準のマクロ経済学では、賃金上昇は労働需要の増加に依存する。ケインズ経済学やニューケインジアンモデルに基づけば、総需要が不足すると企業は雇用を増やさず、賃金も上がらない。金融緩和はマネーサプライを増やし、総需要を刺激する。これにより失業率が下がり、労働市場が逼迫して賃金が上昇する。リフレ派の経済学者クルーグマンは、デフレ下では積極的な金融政策で需要を喚起すべきだと主張する。日本でも主流派経済学者といわれる人々の論点は話しにならいが、世界標準のマクロ経済学に準拠する高橋洋一や田中秀臣が同様の見解を示し、日銀の消極的な政策を批判してきた。

日本銀行

日本の賃金停滞の原因は、日銀がデフレを放置し、金融緩和を十分に行わなかったことだ。1990年代以降、日本はゼロ金利政策を導入したが、マネタリーベースの拡大が不十分で、デフレ期待が根付いた。フィリップス曲線の観点から見れば、インフレ率が低すぎると賃金上昇圧力が生まれない。

実際、1997年の消費税増税や2000年代の量的緩和打ち切りは、景気回復を阻害し、企業に賃上げの余力を与えなかった。OECDデータによれば、日本の名目賃金は1997年から2020年までほぼ横ばいであり、米国やドイツでは20〜30%上昇したのと対照的だ。

アベノミクスの初期(2013〜2015年)には、日銀が量的・質的金融緩和(QQE)を始め、インフレ率が一時1%を超えた時期には、実質賃金がプラスに転じた企業もあった。しかし、2014年の消費税増税で景気が失速し、日銀が追加緩和を躊躇した結果、賃金上昇は止まった。対照的に、米国のFRBは2008年危機後に大胆な量的緩和を続け、失業率低下と賃金上昇を実現した。世界標準のマクロ経済学者の岩田規久男(元日銀副総裁)は「日銀がインフレ目標2%を本気で追わなかったことが賃金停滞の元凶」と指摘する。

外国人流入に頼るより、金融緩和で需要を喚起する方が賃金上昇に直結する。他国と日本の違いは、日銀の金融政策のみと言っても過言ではない。賃金停滞の核心は、日銀がデフレを放置し、積極的な緩和を怠ったことだ。

OECDデータや他国との比較、理論的裏付けからも、日銀の失策が決定的な差を生んだ。労働市場や生産性の問題も、その根底には金融政策の失敗があり、他国が同様の問題を抱えつつ賃金を伸ばした事実がこれを証明する。微細な例外(財政政策の影響など)はあるが、主要因として日銀の金融政策の特異性を超えるものはない。


日本は現在インフレ気味ではあるが、これは主にコストプッシュ型(エネルギーや輸入価格の上昇)であり、需要牽引型ではない。ニューケインジアンモデルでは、持続的な賃金上昇には総需要の拡大が必要だ。日銀が金融緩和を継続し、インフレ期待を高めれば、企業は投資を増やし、労働需要が上がる。これが現状でも原理が当てはまる証拠だ。米国の2021〜2022年のインフレ期(CPI6〜9%)でも、FRBの緩和策が需要を支え、賃金が年5%上昇した例がある。日本も同様に、エネルギー・資源価格高騰の対策を行いつつ緩和を維持すればインフレを賃金上昇に変えられる。外国人流入に頼る必要はない。

日本経済研究センターのレポートの主張はマクロ経済学の初歩すら理解していない。1人当たりGDPと全体GDPの区別もできず、「労働力が増えれば成長する」と安直に結論づけるのは、データも理論も無視したど素人レベルの戯言だ。日本の資本ストックが追いつかない中、外国人流入を増やせば、1人当たりGDPは下がり、デフレがさらに悪化する。無論賃金も下がる。

こんな政策を「最低条件」と持ち上げるのは、経済を数字で読めない無能の証明だ。日銀が金融緩和で需要を喚起すれば、外国人頼みなど不要なのに、それを無視して移民にすがるのは、日本の未来を貧しくするだけだ。アベノミクスでさえ緩和不足で失敗したのに、このレポートは30年の教訓をまるで学んでいない。

国力を削ぐような愚策を「成長」と呼ぶなら、そんな成長はゴミ箱に叩き込め! 日銀がまともな金融緩和を続ければ、日本は自力で立ち直れる。それを否定するこのレポートは、日本を亡国の淵に突き落とす毒だ。こんなものを信じる奴は、日本の敵だ!

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2025年3月27日木曜日

ガザ再建計画の最大の障害はイラン、第1期トランプ政権が残した遺恨は原油相場を刺激―【私の論評】トランプのイラン強硬策とイスラエルの攻撃計画:中東危機と中国対決の行方

ガザ再建計画の最大の障害はイラン、第1期トランプ政権が残した遺恨は原油相場を刺激

まとめ
  • フーシ派の攻撃と中東緊迫: フーシ派がイスラエルにミサイル攻撃と紅海妨害、ガザ停戦が崩壊。米空母が増派され、イランに核開発停止を2カ月猶予で要求、緊張が高まる。
  • ガザのパレスチナ人排除計画米国がエジプトにガザのパレスチナ人受け入れを要求、拒否なら援助削減と警告。トランプ政権が支持しガザ再建急ぐが、任期内に時間切れの恐れ。
  • イランとの対立と対話断絶イランがハマスやフーシ派を支援、米国は制裁で資金を抑え込む。トランプ氏は対話を避け、イランは戦争準備を表明し、衝突時の解決策が見えない。

イスラエル南部アシュケロンで14日、稼働するミサイル迎撃システム

イエメン西部を支配するフーシ派は、ガザへの人道支援や電力を止めたイスラエルに対し、紅海での妨害やミサイル攻撃を再開した。トランプ米大統領は、これをイランの影響下にある攻撃とみなし警告したが、フーシ派は意に介さず攻撃を続け、イスラエルでは防空システムが作動しサイレンが鳴り響いている。

イスラエル軍もガザへの空爆と地上作戦を再び開始し、ガザ停戦合意は完全に崩壊した形だ。一方、米軍は空母ハリー・S・トルーマンでフーシ派拠点を攻撃していたが戦力不足で、空母カール・ビンソンが紅海に到着。さらに空母ジェラルド・R・フォードが中東に向かう可能性もあり、中東の緊張が高まっている。米国はイラン最高指導者に核開発停止を求める書簡を送り、2カ月の猶予を与えたが、イランとの対話は難しく、戦争へのカウントダウンが始まった可能性もある。

ガザのパレスチナ人排除の動きも進んでいる。UAE経由で米国がエジプトに「ガザのパレスチナ人を受け入れなければ援助を減らす」と警告。エジプトのシシ大統領は50万人をシナイ半島北部に一時的に受け入れる案を示したが、エジプト国営放送は否定。トランプ政権はこれを支持し、ガザ再建を急ぐが時間は限られている。

イランとの関係では、ハマスやヒズボラ、フーシ派を支援するイランが障害となり、米国は制裁でイランの資金を減らそうとしている。しかし、トランプ氏は任期4年内で解決を目指すためイランとの対話を避け、イラン核合意を破棄した経緯から交渉は困難。イラン外相は戦争準備を表明し、衝突が起きれば解決策が見えない状況だ。

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【私の論評】トランプのイラン強硬策とイスラエルの攻撃計画:中東危機と中国対決の行方

まとめ
  • トランプの強硬策とイスラエルの準備: トランプはイランに「核武装は許さない」と警告、制裁強化。2025年2月のワシントン・ポストによれば、イスラエルが2025年前半にイラン核施設を攻撃予定。2024年10月の漏洩(ニューヨーク・タイムズ)ではミサイル準備が発覚。
  • イスラエルの動きと支援: 2025年初頭、トランプ政権がイスラエルにバンカーバスターを売却。2025年2月、ネタニヤフが「今がチャンス」と支援要請(ワシントン・ポスト)。イランの防空網は2024年10月に壊滅、攻撃可能性高い。
  • イラン核武装の影響: イランが核を持つと、サウジやトルコが核開発へ(2025年3月ブルッキングス)。2024年11月の国際危機グループは全面戦争と経済崩壊を警告。
  • トランプの中国優先: トランプは中東を避けたい。2025年3月のフォーリン・ポリシー誌で「アジア重視」、イスラエルに任せる。2025年2月のブルームバーグでイラン石油締め上げを計画。
  • 中国支援封じとリスク: 2025年1月のロイターで、サウジやUAEに圧力、中国のイラン支援を潰す。イスラエルの暴走で中国戦略が狂うリスクあり。

国際社会を巻き込んだ緊張が続くアメリカとイラン

トランプ大統領は就任前からイランに牙をむき、「核武装したらタダじゃ済まねえぞ」と凄みを利かせ、制裁をガンガン強化しつつも外交で解決しろと吠えてきた。2025年2月のワシントン・ポストが報じたところ、米国の情報屋どもはイスラエルが2025年前半にイランの核施設、フォルドーやナタンズを破壊する気だと睨んでる。トランプもその動きをチラ見しながら動いてるようだ。

今、イランは2024年10月のイスラエルからの一撃で防空網がボロボロだ。弱り切ったイランならトランプの「話せば分かるだろ」に乗ってくる可能性はなくはない。だが、ここでイスラエルが黙ってはいない。イランのイスラム革命体制を根こそぎぶち壊す気満々だ。2025年2月のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がすっぱ抜いた記事では、イスラエルはトランプのバックアップを当てにして核施設に大規模攻撃を仕掛ける算段らしい。もしイスラエルが動けば、米・イラン間の話し合いはぶち壊しだ。外交なんて夢のまた夢になる。

証拠なら山ほどある。2024年10月、ニューヨーク・タイムズが暴いた米国の機密漏洩では、イスラエルが空中給油訓練や長距離ミサイル「ロックス」を準備してたことがバレた。これはイランのミサイル攻撃への仕返しとピッタリ重なる。2025年1月の米国防情報局(DIA)の報告でも、イスラエルが核施設を遠くからミサイルで叩くか、バンカーバスターでぶち抜くかの二択を練っていて、2025年上半期に実行する気だと読んでる。

BLU-109バンカーバスターを搭載したイスラエルの戦闘機

さらにトランプ政権は2025年初⁰初頭にBLU-109バンカーバスターのガイダンスキットをイスラエルに売り渡し、攻撃力をグンと上げてやった。2025年2月、ネタニヤフ首相がトランプと会った時(ワシントン・ポスト報道)、ネタニヤフは「今がイランを叩くチャンスだ」と息巻いてた。シリアやヒズボラがヘロヘロなのを理由に支援をせがんだらしい。2018年のイラン核合意破棄でもネタニヤフの影がチラついてたが、今回も同じパターンだ。

イランが核を手に入れたら、中東は一気に火薬庫になる。イランの核が現実になれば、サウジやトルコが「俺らも核持つぞ」と動き出し、中東の軍事バランスが崩れる。2025年3月のブルッキングス研究所の分析では、サウジは米国やパキスタンから核技術をせびり、トルコはNATOの枠外で勝手に核を作り出すと見ている。

核が次々広がれば、ちょっとしたミスでドンパチが始まり、テロリストに技術が漏れる危険も跳ね上がる。2024年11月の国際危機グループの報告は、イランが核を盾にヒズボラやフーシ派をガンガン支援し、イスラエルや米国の仲間を叩きまくると警告している。「中東で全面戦争が始まる引き金だ」とまで言われ、イスラエルは先制攻撃に大義名分を得る。石油が止まって経済もズタボロだ。

米国の頭のいい連中は、イスラエルの攻撃が米国をイランとの戦争に引きずり込むとビビってる。2025年3月のアトランティック・カウンシル分析では、核施設を叩けばイランの仕返しが米軍基地や仲間国に飛んでくると警告してる。WSJやワシントン・ポストが「半年以内に攻撃あり得る」と騒ぎ、トランプがやたら対話を叫ぶのも、イスラエルの動きを止めたいからかもしれない。

だが、イランの防空網は2024年10月のS-300破壊でボコボコだ。米国の支援もあるイスラエルは「勝てる」と確信してる。その可能性はかなり高い。イランが核に近づけば、イスラエルのやる気はさらに燃え上がり、トランプの外交はイスラエルの我が道で潰される危険がある。

中国との対決に専念したいトランプだが・・・・・

中国との対決を優先したいトランプはどう動くか。中東でドロドロになるのはゴメンだ。イラン問題をサクッと片付ける手が必要だ。第一に、イスラエルに「好きにやれ」と任せつつ、巻き込まれない作戦だ。2025年3月のフォーリン・ポリシー誌が報じたが、トランプ政権は「中東の軍事負担は減らし、アジアに全力投球する」と息巻いてる。米軍は動かさず、イスラエルに武器と情報を渡して代わりに戦わせる気だ。2019年、中国との関税戦争に集中するためシリアから手を引いた前例もある。

第二に、イランに経済で首を絞め、核を諦めさせる「超強力圧力2.0」だ。2025年2月のブルームバーグ報道では、トランプ政権がイランの石油輸出をゼロ近くまで締め上げる新制裁を用意しているとされている。中国への牽制に力を使う気満々だ。

第三に、中国がイランを助ける道を閉じる外交だ。2025年1月のロイター報道では、トランプがサウジやUAEに「イランと取引するな」と圧力をかけ、中国の裏支援(2024年のイラン・中国25年協定)を潰す動きが見える。中東をイスラエルに丸投げし、中国との貿易・技術戦争に全力をぶち込むつもりだ。だが、イスラエルの攻撃が大きくなりすぎれば、トランプの対中国戦略は中東のドタバタで大きな影響うけるかもしれない。

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2025年3月26日水曜日

中国が海底ケーブル切断装置開発 深海で作業可 香港紙「重要なネットワーク混乱させる」―【私の論評】中国の海底ケーブル戦略と西側の対潜戦力:隠された意図を暴く

中国が海底ケーブル切断装置開発 深海で作業可 香港紙「重要なネットワーク混乱させる」

まとめ
  • 中国船舶科学研究センター(CSSRC)が深さ4000mで海底ケーブルを切断できる小型装置を開発し、中国の最新潜水艇と統合可能。
  • 香港紙が初公開と報道、台湾やバルト海でのケーブル損傷事案が続き、グレーゾーン攻撃や通信不安定化の懸念が浮上。
  • CSSRCは海洋資源開発目的と主張するが、戦略拠点付近での切断は地政学的危機を引き起こす可能性がある。
AI生成画像

中国船舶科学研究センター(CSSRC)が世界最強の海底ケーブル切断装置を開発したと発表。深さ4000mで動作し、鋼鉄、ゴム、ポリマーで覆われた装甲ケーブルを切断でき、中国の最新有人・無人深海潜水艇と統合可能。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが初公開と報道。ダイヤモンドでコーティングされた直径15cmの研削砥石刃が毎分1600回転し、ロボットアームで操作される。

台湾やバルト海で海底ケーブル損傷事案が続き、グレーゾーン攻撃の懸念が浮上。米国グアムなど西太平洋の戦略拠点付近でケーブルが切断されれば通信が不安定化する恐れがあるが、CSSRCは海洋資源開発への貢献を目的と主張している。

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【私の論評】中国の海底ケーブル戦略と西側の対潜戦力:隠された意図を暴く

まとめ
  • 中国の海底ケーブル陸揚げ地点は上海、広東省(広州・深圳)、青島に集中し、通信インフラの要所だ。米国はこれを監視対象と認識している。
  • 通信途絶を狙うなら、深海より陸上拠点をミサイルで攻撃する方が効果的だが、中国は深海ケーブル切断技術を公表し、技術力と抑止力を誇示する。
  • 中国の潜水艦技術は沈没事故(例: 周級核潜水艦)で課題が露呈し、ASW能力も発展途上。この弱点を補う非対称戦術としてケーブル切断が浮上。
  • 西側のASW能力は強化中(例: 米国監視網改修、AUKUS、英ドレッドノート潜水艦)。これが中国の焦りを誘い、ケーブル切断を戦略的選択肢に。
  • 米海軍大学のライル・ゴールドスタインは、中国が西側のASW優位性に対抗し、非対称戦術で影響力を拡大する可能性を指摘。ケーブル切断がその一例だ。
海底ケーブルマップ

日本で海底ケーブルの陸上接続点は、東京湾周辺や千葉、神奈川に集中している。東京が経済と通信の中心だからだ。APCN-2やTGN-Pacificがここに繋がる。地理的な利便性とインフラ集積が背景にある。地震対策で大阪や九州にも一部あるが、東京近郊が主力だ。詳細は非公開だが、通信戦略の要である。この地上施設が破壊されれば、通信が途絶える。

中国もかなり集中しており、特に沿岸の主要都市に集中している。上海だ。中国最大の経済都市で、アジア太平洋を結ぶケーブルがここに集まる。APCN-2やEAC-C2Cがその例だ。上海市内の通信事業者のデータセンターがその拠点と考えられている。次に広東省だ。広州と深圳が特に重要だ。深圳はテクノロジーの中心地で、香港に近い利点を活かし、TGN-IAなどが陸揚げされている。広州も通信の要として欠かせない。

そして青島だ。山東省にあって、北東アジア向けのケーブル、例えばJCNやNCPがここに接続される。これらの場所は、中国の通信インフラの心臓部だ。海底ケーブルが陸上ネットワークと結ばれる戦略的な要所である。ただし、具体的な施設名や位置はベールに包まれている。通信事業者や政府が厳しく管理し、詳細は公開されない。だから正確な場所をピンポイントで特定するのは至難の業だ。セキュリティのため、こうした拠点は厳重に守られ、場合によっては分散もされている。

米国の情報当局は、この事実をしっかり握っているだろう。上海、広州、深圳、青島。これらは単なる都市ではない。国際データ伝送のハブであり、地政学と経済の要衝だ。米国は中国の海底ケーブル網やその技術の動きを目を離さず見ている。中国船舶科学研究センター(CSSRC)が開発したケーブル切断装置や、中国企業がケーブル運用に関わる動きを、危険なシグナルと捉えている。


例えば、ファーウェイ・マリンが絡むプロジェクトには、監視や情報収集のリスクがあるとして、米国は真っ向から反対してきた。報道や公開情報によれば、米国は中国の海洋活動やインフラ展開を監視するプログラムを進めている。当然、中国の陸揚げ地点もそのターゲットだ。具体的にどこまで掴んでいるかは機密だから明らかではない。だが、米国の関心と技術力を考えれば、これらの地点が見逃されているはずがない。可能性は極めて高い。

もし通信をぶった切るなら、深海のケーブルを切るより、陸上の拠点をミサイルで叩く方が断然効果的だ。深海での作業は技術的に難しく、時間もかかる。だが、陸上の接続点は手が届きやすい。一撃で複数のケーブルを潰せる。なのに中国はなぜ深海ケーブル切断技術を大々的に公表するのか。その答えは、技術の誇示と抑止力だ。深さ4000mで動く装置は、中国の海洋工学の凄さを示す象徴だ。

深海での隠密作戦は責任を追及されにくい。陸上攻撃のような直接的な火種を避け、柔軟に動ける戦略を手にしている。海洋資源開発を口実にすれば、国際的な批判もかわしやすい。中国では最新潜水艦の沈没事故が話題だ。2024年の周級核潜水艦沈没疑惑や、2003年の明級潜水艦事故がある。潜水艦技術に穴があるのは明らかだ。静粛性や推進技術で、米国やロシアに後れを取っている。対潜戦(ASW)技術もまだまだだ。この弱点を埋めるため、ケーブル切断能力を非対称戦術として打ち出している可能性がある。

中国人民解放軍海軍(PLAN)は潜水艦の近代化を急ぐが、事故や限界が次々と露呈している。周級潜水艦の沈没疑惑は、設計や運用のミスを疑わせる。訓練不足や品質管理の甘さが原因かもしれない。ASW能力を高めようと、海底センサー網や無人潜水艇(UUV)を開発しているが、米国のソナーやP-8ポセイドン哨戒機には及ばない。この差が、ケーブル切断を頼りにする理由かもしれない。

しかも、西側のASW能力はどんどん伸びている。これが中国を焦らせている可能性は大きい。米国は2023年に海底監視網を強化し、AUKUS協定でオーストラリアに核潜水艦技術を渡した。2025年のSea Dragon演習では日本やインドと手を組む。イギリスのBAEシステムズは、2025年3月20日、ドレッドノート原子力潜水艦の1番艦「ドレッドノート」のキールをバロー・イン・ファーネス造船所に据え付けたと発表した。英国海軍史上最大の潜水艦だ。西側のASWが強まる中、中国は潜水艦の弱さを補うため、ケーブル切断を前面に出して劣勢をカバーしようとしているのだろう。

海底ケーブルには軍事情報も流れているし、さらに潜水艦探査センサーなどに繋がれていることにも留意が必要だ。これを破壊されれば、当然のことながら、ASW能力はある程度削がれることになる。

ドレッドノートは、イギリス海軍が2030年代初頭からの配備に向けて建造中の原子力弾道ミサイル潜水艦の艦級

この見方を裏付ける専門家がいる。米海軍大学のライル・ゴールドスタインだ。彼は中国の潜水艦技術が西側に遅れていると断言する。だが、非対称戦術としてのケーブル切断が戦略の鍵だと見ている。西側のASW優位性に対抗するため、直接ぶつからず影響力を広げる手段として、中国がこれを使う可能性を指摘する。ゴールドスタインの分析は、中国の海洋戦略が弱点を逆手に取った柔軟さを持つと強調する。

彼の『The National Interest』(2015年8月17日)の記事「A Frightening Thought: China Erodes America's Submarine Advantage」から引用しよう。「中国海軍は、これまで弱点だった対潜戦(ASW)能力を大きく改善している。この動きは、西側の潜水艦優位性を脅かす。とくに中国が非対称戦術を使えば、従来の海軍力のバランスを崩す戦略を取る可能性がある。」この言葉は、ケーブル切断が潜水艦技術の遅れを補う現実的な選択肢であることを示唆する。結論だ。中国がの意図や戦略にもよるが、ASWの遅れを補う意図がケーブル切断装置開発公表の裏にある可能性は高い。

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2025年3月25日火曜日

「デフレ克服していない」 加藤財務相、英紙に表明―【私の論評】日本がデフレ脱却できない衝撃の理由!物価・賃金・日銀の失策を暴く

「デフレ克服していない」 加藤財務相、英紙に表明

まとめ
  • 加藤勝信財務相は、日本がデフレを克服していないと認識し、物価や賃金上昇があってもデフレ再発の懸念がなくなるまで慎重に判断すべきだと強調。
  • 経済正常化には長期的な賃金上昇が物価上昇を上回ることが不可欠と訴え、日銀が政策金利を0.5%に据え置いた直後のインタビューで語った。

 加藤勝信財務相は、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、日本がまだデフレを克服していないと述べた。物価や賃金が上がっているが、デフレ再発の懸念がなくなるまでは克服を宣言すべきでないと強調。

 日銀が政策金利を0.5%に据え置いた会合直後に語った。基調的な物価や背景を総合的に見て慎重に判断すべきとし、経済正常化には賃金上昇が物価上昇を上回ることが必要だと訴えた。

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【私の論評】日本がデフレ脱却できない衝撃の理由!物価・賃金・日銀の失策を暴く

まとめ
  • 日本はデフレから脱却できておらず、コアCPIは2023年に2.5%、2024年に2.3-2.7%と不安定で、コアコアCPIも2.1-2.4%と低迷。需要が物価を押し上げる力はなく、デフレ脱却の兆しはない。
  • 実質賃金は2013年以降横ばいかマイナスで、2023年は1.8%減、2024年も1.0%減。名目賃金の上昇(2-3%)は物価上昇(3%超)に追いつかず、消費は冷え込んでいる。
  • QQE(量的・質的金融緩和)は日銀が国債や株を買い、お金を増やす政策。マネタリーベースは700兆円に達したが、マネーストック(M2)は年2-3%増の1,300兆円にとどまり、経済に火がつかない。
  • 金融緩和なしの賃上げは雇用を壊す。韓国の文在寅政権は最低賃金を急上昇させたが、金融緩和不足で2019年に失業率4.0%、雇用10万人減。2021年以降は財政と輸出で回復した。
  • 日銀の金融政策は失敗。QQEやマイナス金利でマネーストックは伸びず、2024年7月の利上げ(0.25%)は銀行支援が目的で、実体経済への効果はほぼゼロ。デフレ脱却には強力な金融緩和が必要だ。

日本はデフレの泥沼から抜け出せていない。誰もが感じるその息苦しさを、数字がはっきりと示している。総務省のデータだ。コアCPI(生鮮食品を除く)は2023年に平均2.5%上がったが、2024年は2.3%から2.7%でフラフラだ。2025年3月時点でも、2%を超えるのはエネルギー価格のせいで、安定感はゼロだ。コアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く)はもっと情けない。

2023年で2.1%、2024年は2.3%から2.4%だ。2024年12月時点で2.4%(ニッセイ基礎研究所)と低空飛行だ。サービス価格は1.5%から1.6%しか上がらず、需要が物価を押し上げる力なんて皆無だ。コアCPIが一瞬2%を超えてもすぐ失速し、コアコアCPIは2%に届くか届かないかでウロウロ。デフレ脱却? 笑わせるな、そんな気配はどこにもないのだ。

実質賃金もズタボロだ。厚生労働省の「毎月勤労統計」によれば、2013年以降、ずっと横ばいかマイナスだ。2023年は前年比1.8%減、2024年も1.0%減くらいだ(速報値)。2023年の春闘で名目賃金が2%から3%上がったと言うが、物価上昇(CPI総合で3%超)に追いつかず、財布はスカスカだ。製造業の労働者がNHKの番組で吐き捨てた。「給料上がっても物価高で貯金が減る一方だよ」。その言葉が胸をえぐる。賃金が上がらないから消費は冷え、デフレの鎖が経済をガッチリ締め上げているのだ。

いまはマネタリーベースとマネーストックをぶち込むべきなのだ。マネタリーベースは、日銀が現金と銀行の準備預金で世に放つお金の総量だ。2013年の量的・質的金融緩和、通称QQEでガンガン増やした。QQEは、日銀が国債や株を買いまくって、お金をジャブジャブにする作戦だ。2013年に始まり、2023年時点でマネタリーベースは約700兆円、GDP比130%だ。

マネーストック(M2)は、世の中を流れているお金の量、現金と預金を足したものだ。こいつが消費や投資に回るかどうかが勝負だ。だが日本じゃ年率2%から3%しか増えず、2023年で約1,300兆円だ。問題はここだ。QQEでマネタリーベースを増やしても、マネーストックが育たない。銀行の貸し出しも企業の投資も火がつかない。デフレをぶっ壊すには、マネーストックをドカンと増やすしかないのだ。

最近は賃上げが話題だが、金融緩和なしで賃上げだけやると、どうなるか。雇用がズタズタになる。ケインズ経済学の進化形の現代の標準的なマクロ経済学が言う通り、金融緩和で需要をぶち上げないと、賃上げは企業の首を絞め、仕事が消える。韓国の文在寅政権がその証だ。2017年から2022年、最低賃金を無理やり吊り上げた。2018年は16.4%増、2019年は10.9%増だ。だが金融緩和がショボかった。

結果、雇用は崩壊だ。韓国統計庁のデータでは、2019年の失業率が4.0%に跳ね上がり、製造業の雇用は10万人も減った。中小企業や自営業は潰れまくり、コンビニや飲食店がバタバタ倒れた。「雇用ショック」と呼ばれたあの地獄だ。でも2021年以降、コロナ対策で財政をぶち込み、半導体輸出が好調だったおかげで持ち直した。2022年の失業率は3.0%まで下がった。金融緩和が足りなかった分を、財政と外需がカバーしたわけだ。日本が同じ道を辿れば、雇用が吹っ飛ぶのは確実だ。

雇用を激減させた文在寅

消費も死んでいる。総務省の「家計調査」だ。2人以上世帯の実質消費支出は、2020年を100としたら、2023年で98.5、2024年で99.0だ。ほぼ動かない。名目では2023年に2%増えたが、物価が上がれば実質は減る。地方の高齢者が読売新聞でこう言った。「値上げで外食なんか減らすしかない。節約が当たり前だ」。消費者が値下げを待ち、企業が値上げをビビる。この腐ったサイクルがデフレを延々と引っ張っているのだ。

日銀の金融政策はどうだ。大失敗だ。「限界」じゃない、やり方が間違っているのだ。QQEでマネタリーベースは増えたが、マネーストック(M2)は年2%から3%しか伸びない。マイナス金利やイールドカーブ・コントロール(YCC)は銀行を苦しめ、貸し出しのやる気を奪う。日銀の「生活意識調査」(2024年)では、期待インフレ率が1%未満で固まっている。地方銀行の社員が日経新聞で吠えた。「低金利で融資先がない。国債しか買えないよ」。お金が経済に流れず、死に金だ。

さらに腹立たしいのは、日銀が金融機関を助けるためだけの施策に終始している点だ。証拠はある。2024年7月、日銀は短期金利を0.25%に引き上げたが、その理由を「金融機関の収益環境改善を支援する」と明言した(日銀政策決定会合後の声明、2024年7月31日)。日本銀行の「金融システムレポート」(2024年10月)でも、銀行の利ザヤが圧迫されすぎて経営が危ないと大騒ぎだ。だが実体経済への効果は? ゼロに近い。貸出残高は2024年で前年比1.5%増(日本銀行統計)と、雀の涙だ。企業や家計にお金が回らず、銀行の帳簿を飾るだけ。こんな政策でデフレが終わるはずがないのだ。

デフレをぶち壊すには、金融緩和をガンガン続けるしかない。ケインズ経済学の進化形の現代のマクロ経済学が示す通り、マネーストックを増やし、期待インフレ率をぶち上げる。米国のFRBは1990年代や2020年にそれをやった。M2を10%以上増やし、経済に火をつけた。日本は? M2/GDPが180%もあるのに、国債に偏って消費や投資に回らない。BISのデータでも、米国の緩和は経済を動かし、日本は停滞だ。2020年の米国では、中小企業がウォール・ストリート・ジャーナルでこう言った。「融資が増えて雇用を増やせた」。日本もそうしろ。ETFや社債をガツガツ買い、財政と組んだ緩和をぶち込め。中途半端な利上げなどは、デフレのドン底に突き落とすだけだ。

日銀植田総裁

ここで大事な話だ。緩和をやれば、インフレ傾向になる。物価が上がるということだ。ビビるな、それは実は歓迎すべきことだ。なぜか。デフレの今は、お金が回らず、みんなが節約して経済が縮こまっている。物価が上がれば、企業は儲けを増やし、投資に動き出す。消費も活気づく。

たとえば、アメリカでは2021年にインフレ率が6.1%まで跳ね上がった時、企業は売上が伸び、人を雇い始めた(米労働省データ)。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事で、ある店主がこう言った。「物価が上がったおかげで売り上げが増え、従業員の給料を上げられたよ」。日本だって同じだ。緩和でインフレが起これば、経済に血が通う。

そして何より、緩和を続ければ、賃金がインフレ率を上回って上がる。どういうことか。緩和でお金がジャブジャブになれば、企業は人手不足に悩む。仕事が増えて、人が足りなくなるからだ。すると、給料を上げてでも人を確保する。実際、アメリカでは2021年から2022年にかけて、インフレ率が6.1%に対し、平均時給は5.7%から6.5%上がった(米労働省データ)。インフレ率にほぼ追いつき、一部上回った。日本も緩和を続ければ、たとえば物価が3%上がる中で、賃金が4%や5%上がるなんてことが現実になる。財布の中身が増え、生活が楽になる。それがデフレ脱却の道だ。インフレを恐れるな。緩和で経済を動かし、賃金をインフレを上回るようにガツンと上げる。それが正解なのだ。

結論だ。コアCPIとコアコアCPIがフラフラ、実質賃金が下がり、消費が死んでいる。日本はデフレの泥沼から抜け出せていない。QQEでマネタリーベースを増やしてもマネーストックが育たず、金融政策は大失敗だ。韓国の雇用崩壊は賃上げだけじゃダメだと教えてくれる。あの回復は外からの助け頼みだった。日本は再度包括的金融緩和で、マネーストックを増やし、需要に火をつけるべきだ。2025年3月、デフレをぶっ壊すのに緩和が絶対必要なのに、日銀が利上げを企んでるなんて頭おかしい。このままじゃ経済が死ぬ。この狂った動きを今すぐ止めなきゃならないのだ。

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2025年3月24日月曜日

<独自>長射程ミサイル運用原則、日本主体で発射 24日発足の統合司令部 米軍頼らず―【私の論評】台湾のミサイルが中国を震えあがらせる!ウクライナの悔しさから学ぶ日本の自立戦略

<独自>長射程ミサイル運用原則、日本主体で発射 24日発足の統合司令部 米軍頼らず

まとめ
  • 防衛省・自衛隊は、長射程ミサイル「スタンドオフミサイル」の運用で日本が主体的に発射する原則を策定。2025年3月24日に発足する「統合作戦司令部」が一元指揮を担い、敵の攻撃圏外から反撃能力を発揮し、防衛力強化を目指す。
  • 2022年末の国家安全保障戦略に基づき、2027年度までに日本主導の態勢構築を目標とするが、即時運用は困難。米国製「トマホーク」や国産ミサイルは2027年度から配備、統合システム整備は2029年度まで必要で、米国との情報共有や依存回避が課題。
令和5年「防衛白書」より スタンドオフミサイルの運用イメージ クリックすると拡大します

 防衛省・自衛隊は、長射程ミサイルの運用において、日本が主体的に発射する基本原則を策定した。2025年3月24日に発足した「統合作戦司令部」がこの原則に基づき運用を担う。長射程ミサイルは「スタンドオフミサイル」と呼ばれ、敵の攻撃圏外から反撃能力を発揮し、防衛力強化の要となる。運用には多様な情報収集手段と陸海空自衛隊の一体運用が必要で、新司令部の一元指揮が前提。

 自衛隊は2022年末の国家安全保障戦略に基づき、2027年度までに日本主導の態勢構築を目指すが、即時運用は困難。米国製「トマホーク」や国産「12式地対艦誘導弾能力向上型」の配備は2027年度からだが、統合指揮システムの整備は2029年度までかかる。米国との情報共有や支援依存も課題で、自衛隊は米国の許可なしでは発射できない状況を避けたい考え。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】台湾のミサイルが中国を震えあがらせる!ウクライナの悔しさから学ぶ日本の自立戦略

まとめ
  • 台湾は長距離ミサイルを自主開発、中国を牽制。雲峰、雄風IIE、雄風III、清天で武装し、国産技術で自由に撃てる。ウクライナは西側の鎖に繋がれ、ATACMS等の長距離ミサイルの使用を制限されて悔しさが煮えくり返る。
  • 台湾の軍はウクライナをはるかに上回る。兵力、F-16V、「海鯤」(2023年9月28日進水)、ミサイルで精強だ。中国が舐めたら痛い目を見る。ウクライナは西側頼みでボロボロだ。
  • 台湾は中国を睨み、自立を貫く。2022年のペロシ訪台後の演習で即応し、2024年の漢光演習で反撃力を誇示。ウクライナはロシアにやられ、西側の顔色を伺う。
  • 日本は台湾を見習うべきだ。2025年3月24日、「統合作戦司令部」で長射程ミサイルを自力で撃つ体制を整える。ウクライナの3年(2022〜2024)の苦闘が「自立が正解」と示している。
  • 中国は台湾を侮れない。台湾海峡と精密攻撃が壁だ。ウクライナの制限が教訓となり、日本も自由に撃てる道を選ぶべき。
台湾で行われたウクライナ戦争反対デモ 2022年

台湾と、ウクライナの違いから、日本の防衛について考えてみる。台湾は中国の脅威に立ち向かうため、長距離ミサイルをつぎつぎに配備してきた。国家中山科学研究院がその心臓部だ。雲峰、雄風IIE、雄風III、清天が主役だ。一方、ウクライナは縛られた手足で長距離ミサイルを撃つしかなく、台湾との差は歴然。さらには、台湾の軍がウクライナより精強であり、中国に「侮るなよ」と凄む。日本も台湾を見習い、自立の道を突っ走るべきであることが正解だと、ウクライナの苦闘が教えてくれる。
雲峰は超音速で敵をぶち抜くミサイルだ。射程は秘密だが、1,200〜2,000キロメートルと噂される。北京や中国の奥地を射程に収める代物だ。2019年、台湾の新聞が「量産開始」と叫んだ。2021年、特別予算でかなり加速し、2024年10月のGlobal Taiwan Instituteの報告では、一部がもう配備済みだと囁かれている。蔡英文総統は中国の軍事圧力に「負けるか」と吠え、国防を鉄壁に固めてきた。2023年から中国軍機が台湾周辺をウロつく中、雲峰は「来るなら覚悟しろ」と睨みを利かせている。

雄風IIEは陸を狙う巡航ミサイルだ。射程は600〜1,000キロメートルと見積もられる。2011年に姿を現し、2010年代後半から実戦に投入された。2025年1月のAsia Timesが「中国沿岸を叩ける」と太鼓判を押す。2011年、中国の空母「遼寧」が動き出した日に模型を意図的に公開し、「こっちもやるぞ」と威嚇した。頭脳戦の火花だ。
雄風IIIは艦を沈める超音速ミサイルだ。射程は150〜400キロメートルで、海も陸もぶち抜く。2007年にデビューし、現在艦艇に配備されている。2019年、蔡総統が「もっと作れ」と号令をかけ、数が増えた。2016年7月、訓練で誤って漁船にあたり、死傷者が出た。戦える力はあるが、ミスは痛かった。
清天は開発中の猛者だ。射程1,200〜2,000キロメートルで、極超音速の可能性もある。2025年1月のAsia Timesが「2024年末から少しずつ配備」と伝える。将来、屏東県で移動式発射台が火を噴く予定だ。中国北部を震え上がらせる一撃が秘められている。台湾が自分独自の判断でミサイルを撃てるかは、技術と政治で決まる。全部国産で、設計から製造まで台湾の手に握られている。
2022年3月、台湾南部で発射された、独自製造の弾道迎撃ミサイル。

雲峰や雄風は昔、米国らの助けを借りたが、今は自力だ。さらに2021〜2022年、中国で試験設備を直したという考えられないようなトラブルがあった。雄風シリーズや雲峰の試験に使う精密機器の一部が故障したためだ。しかし、その後修理ルートを見直し、国内や信頼できる国(米国や日本)にシフトした。現在は技術的には全く問題はない。総統が軍を牛耳り、「自分で守る」と息巻く。米国との絆は強いが、ミサイルに口出しはない。2024年10月、米国がNASAMSを売ってくれたが、攻撃ミサイルに対する指図はない。
だが、ウクライナは違う。米国からもらったATACMS(射程300キロメートル)は強烈だが、鎖に繋がれている。2024年4月、クリミアで使ったが、ロシア本土は長い間NGだった(PBS News, 2024年4月25日)。2024年11月17日、バイデンがクルスクへの攻撃をOKしたが、北朝鮮が絡んだ特別なケースだ(The New York Times, 2024年11月18日)。自由からはほど遠い。
ウクライナの悔しさは筆舌に尽くしがたい。
2024年9月、ゼレンスキーが「制限を解け」と米国に噛みついたが、バイデンはビビって動かなかった。プーチンが「NATOが戦争に突っ込む」と脅し、火花が散った(CNN, 2024年9月13日)。ロシアの重要拠点を撃てず、「片手で戦えってか」と嘆く。2024年11月19日、ATACMSで武器庫を狙ったが、6発中5発を落とされ、成果は薄い(NPR, 2024年11月19日)とされた。米国は弾が足りないとケチる。
ただ、その状況も多少は改善され、2024年11月27日の国連安保理では、ウクライナのミサイル使用に世界がザワついた。ロシアが「オレシュニク」で反撃し、「報復だ」と吼えた(UN Press, 2024年11月27日)。ウクライナは「自衛だ」と叫ぶが、米国の鎖が重い。最近では、ウクライナが開発した。長距離ドローンを用いロシアの領土内を攻撃している。ただ、最初から長距離攻撃でロシア国内をウクライナの意思により自由に攻撃できていれば、戦況はもっと有利になっていただろう。
台湾とウクライナはまるで別世界だ。台湾は国産ミサイルを自分で撃てる。米国は味方だが、邪魔しない。ウクライナは西側の傀儡ともいえるような状況で、戦略目標に自由に手が届かなかった。台湾は中国を睨み、ウクライナは西側の顔色を伺う。立場と自立の差が大きい。
台湾の軍はウクライナをぶっちぎる。2024年の国防部報告では、常備兵16万9,000人、予備役200万人だ(Taiwan Ministry of National Defense)。F-16V戦闘機66機、自国製潜水艦「海鯤」(2024年9月28日進水、2025年運用開始)、長距離ミサイルが揃う。2025年度予算は6,200億台湾ドル(約2兆6,000億円)、GDP比2.6%だ。ウクライナは動員100万人だが、西側頼みで消耗がきつい(SIPRI, 2023年)。中国が台湾を舐めたら痛い目を見る。
台湾の強さは現場で光る。2022年8月、ペロシ訪台後に中国が演習で威張った。台湾軍は戦闘機と艦艇をぶっ放し、対空ミサイルで睨んだ(Reuters, 2022年8月4日)。2024年10月の漢光演習では、雄風IIIと雲峰がバッチリ決まり、中国に「来てみろ」と挑んだ(Taiwan News, 2024年10月15日)。中国の胡錫進(中国の記者)が「台湾は侮れねえ」と呟き、向こうもビビっている(Global Times, 2023年9月28日)。「海鯤」進水式で蔡総統が「海の新時代」とブチ上げ、中国を牽制した(CNA, 2024年9月28日)。
昨年の台湾軍事演習「漢光40号」に参加した台湾軍のF16戦闘機

ウクライナは奮闘するが、ロシアにボロボロされている。2024年11月のキーウ空爆で、防空がスカスカで民が泣いた(BBC, 2024年11月20日)。台湾は戦ってないが、準備と技術で圧倒する。中国の200万兵は怖いが、台湾海峡と精密攻撃が壁だ。台湾のミサイルは、中国の艦船をメタメタにするだろうし、中国の海上輸送力は限られている。RANDの2024年報告も「中国は計算ミスるな」と警告する。
日本も台湾と同じだ。2025年3月24日、「統合作戦司令部」が動き出し、長射程ミサイルを日本主導で撃つ(産経新聞, 2025年3月23日)。射程1,000キロメートル超の「スタンドオフミサイル」を自衛隊が握る。2027年に「トマホーク」と「12式」が来るが、米軍の助けは少し要る。それでも、日本が舵を取る。ウクライナの過去3年を見ろ。2022年からATACMSの鎖で縛られ、ロシアにやられた。日本が同じ道たどるなら、中国と北朝鮮が笑う。台湾の自立が証明するように、日本も自由に撃てるのが正解だ。
結論だ。台湾は長距離ミサイルを手にし、自分で撃てる。制限はほぼゼロだ。ウクライナは米国に縛られ、自由がない。台湾の軍はウクライナを上回り、中国をビビらせる。日本も自立を選ぶべきだ。ウクライナの苦しみがそれを裏付ける。中国が台湾を舐めれば、大火傷する。日本もこれを目指すべきだ。
台湾初の“国産”潜水艦が完成、戦略を見誤った中国の海軍膨張一本鎗のやぶ蛇―【私の論評】台湾が潜水艦建造国になったこと自体が、中国への強烈な政治・軍事的メッセージに! 2023年11月26日

落選に終わった小野寺勝が切り拓いた「保守の選挙区戦」──地方から始まる政党の構図変化

  まとめ 日本保守党は結党から2年足らずで衆参5議席を獲得し、比例だけでなく選挙区(北海道)にも挑戦。百田尚樹氏が参院比例で当選し、存在感を確立した。 北海道選挙区で落選した小野寺勝氏は、保守党として初の地方区本格挑戦を果たし、国防やアイヌ政策を訴えて一定の得票を得るなど、今後...