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2020年8月4日火曜日

【国家の流儀】「日米豪」対「中国」の対立構図が鮮明に! トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略 — 【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)

【国家の流儀】「日米豪」対「中国」の対立構図が鮮明に! トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略 

左寄り、トランプ米大統領、豪モリソン首相、安倍日本首相
 11月の大統領選挙を控え、国内対立が激化している米国だが、ドナルド・トランプ政権はそんな国内問題に足を引っ張られるどころか、コロナ危機の最中も「アフター・コロナ」の国際社会を見据えた大胆な手を次々と打っている。

 トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略、それは自由主義に基づく国際秩序を断固として守るために、米国を経済的軍事的に強くし、日本をはじめとする同盟国との関係を強化し、中国「共産党」政権の暴走を抑止する、ということだ。

 その世界戦略をまとめた報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ(United States Strategic Approach to the People’S Republic of China)」が5月下旬、発表された。

 日本のマスコミの扱いは小さいが、16ページからなるこの報告書は、経済、通商、安全保障、人権、環境など多岐にわたって中国の問題点を列記し、それらの課題への対抗策を列記している。

 その冒頭にはこう記されている。

 米国は1979年の中国との国交樹立以来、懸命に経済協力を行い、民主化を促してきたが、そうした対中関与政策は中国自身によって否定された。

 特に2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した際、加盟国は、中国が経済改革の道を歩み、市場志向の経済・貿易体制へと変貌していくことを期待していたが、こうした期待は実現されなかった。

 それどころか13年、「資本主義は必ず滅び、社会主義は必ず勝利する」と述べた習近平総書記(国家主席)のもと中国は「一帯一路」を掲げてアジア太平洋諸国を影響下に置こうとする一方で、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海、台湾海峡、中印国境地域で挑発的で強圧的な軍事・準軍事活動を繰り広げている。

 よって「過去20年間の対中関与政策は『誤り(false)』」だったと、トランプ政権は総括している。

 その歴史的な総括を踏まえて、トランプ政権は、米国を含む自由主義陣営の体制を強化し、同盟国を中国から守るため、今後、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているのだ。

 こうしたトランプ政権の動向に対して、日本では「親中派が横行する日本は果たして米国と協調できるのか。このままだと米国に見捨てられるのではないか」という声が聞こえてくる。

 だが意外なことに、トランプ政権のこの報告書には、米国と連携して日本とオーストラリアが、中国の横暴に懸命に立ち向かっている姿が描かれている。

 日本はもっと旗幟(きし)を鮮明にしてほしいと思うが、その一方で少なくともトランプ政権は、「日米豪」対「中国」という構図で国際社会を見ていることは理解しておきたいものである。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。

【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)

日本の報道では、何やらトランプが大統領戦で、再選されなければ良いような報道が多いですが、上の記事を見ていると、そうではないようです。

なぜなら、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているからです。

現在の米国は、中国に対抗することで、政府も議会も超党派でまとまっています。次の大統領選挙で有力視させているバイデン氏もその点では、変わりないように見えます。

しかしバイデン氏は、 大統領選への出馬を表明した直後の昨年5月2日、集会で次のように発言しました。

「中国に俺たちの昼飯を食べられてしまう(やっつけられてしまう)って? 冗談じゃない!」 トランプ大統領の対中強硬姿勢に対抗する意味で発言したものでしたが、逆にバイデン氏が中国に対して「弱腰」と批判されました。

 その対中姿勢に関連して、副大統領時代の2013年に中国を公式訪問した際、二男のハンター氏を同道させ中国側の要人に紹介したのですが、帰国後ハンター氏が経営する投資会社に中国銀行から15億ドル(約1500億円)が振り込まれたという話があり、トランプ陣営は選挙戦が本格化するとこの話でバイデン氏を攻撃することが目に見えています。

さらに、オバマ政権で対中政策の采配をふるっていたスーザン・ライスが要職に付くと見られています。

「副大統領候補の内、スーザン・ライスがバイデンと最も良い関係を築けるかもしれない」(ザ・ウィーク電子版5日)

 バイデン氏の副大統領にはアフリカ系女性が有望とされる中で、ライスの下馬評が高くなってきています。オバマ政権での安全保障問題担当補佐官としてバイデン副大統領とも通ずるところが多かったライスさんは、副大統領でなくとも国務長官として外交を仕切るのではないかと噂されていますが、これは日本とっては悪夢です。

ライスは2013年に補佐官就任直後の講演で「中国とは新たな大国関係を機能させようとしている」と言って注目されまし。習近平主席の太平洋を米中で2分割しようというG2論を容認したと受け取られたからです。

 また同じ講演会で記者から尖閣列島問題を訊かれると「米国は主権の問題には立ち入らない」と従来の米国政府の立場から後退した考えを示しました。 さらにライスは補佐官当時三回中国を単独訪問して習近平主席と会談しており「ライスにとって中国問題は最も重要な個人的課題になった」(ワシントン・ポスト紙)と言われました。

大統領選は3ヶ月先のことですが、政権が交代した場合の日本への影響と対策をも考えるべきです。

ただ、実際にはバイデンが圧倒的に有利とは言えないようです。米国調査会社トラファルガー・グループ(ジョージア州)は2016年の前回大統領選で激戦州ミシガンなどの結果を言い当て、トランプ氏勝利を予測した数少ない世論調査会社です。

同グループの、ロバート・カヘリー上級調査員は取材に対し「トランプ支持でも、そうとは言いにくい空気が4年前より強い」と指摘しています。

米国調査会社トラファルガー・グループのロバート・カヘリー上級調査員
カヘリー氏によると、電話など人対人の世論調査では、社会的に望ましいとみられる回答に反する場合、対象者がうそをつくことがあります。4年前、同社は「あなたはトランプ支持か」という質問に加え、「あなたの隣人の大半はトランプ支持か」を尋ねました。後者が本心を聞き出すための質問で、より実態を捉える効果があったといいます。

1日現在、各種調査の平均でバイデン氏の支持率はトランプ氏を7ポイント上回っていますが、同社の調査では、五分かトランプ氏やや有利の展開といいます。カヘリー氏は「人々がバイデン氏の楽勝を信じ、結果が異なれば、選挙の公正さを疑われかねない」と語り、精度向上の必要性を訴えています。

隠れトランプ支持者の存在をめぐっては論争があります。4年前、激戦州の直前世論調査の平均は、実際の選挙結果と最大7ポイント違っていました。米世論調査協会は半年後の17年5月、「なぜ間違ったのか」を検証する報告書を公表しました。

態度未定の有権者の多くが最終盤でトランプ氏に流れたことなどを理由に挙げましたが、「隠れ支持者」の存在は「証拠がない」として認めませんでした。

私は、このブログで先月バイデンが圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想にすぎなく、 実態は五分五分と認識すべきだと主張しました。この考えは、今でも変わりありません。そのため、ロバート・カヘリー氏の主張は、まさに我が意味を得たりという思いがしました。

米国で連日のように行われているトランプ政権に対する抗議デモや暴動は実は、選挙にはほとんど関係がありません。なぜなら、黒人の若年層は投票権がないか、投票所に行かないからです。

若年層に投票権がないのには、二つの理由があります。一つは、無論18歳未満で、そもそも選挙権がないということです。もう一つは、選挙人名簿への登録を行っていない者が多いからです。

米国には日本のような住民基本台帳が無いため、自動的に選挙人名簿に登録されることは無く、選挙人名簿(Voter registrationがこれにあたる)に自己申告で登録しなければ選挙人名簿には登録されず、投票資格が生じないのです。 なお選挙権が無いにも関わらず選挙人登録をすると刑法犯罪になります。

以上のようなことを考えると、バイデン優勢どころか、トランプがリードしている可能性すらあるのです。その理由を以下にあげます。
(1)一般的な世論調査ではバイデン候補がトランプ大統領を7ポイント程度リードしています。しかし「投票する」と答えた有権者への調査では、逆に3~5ポイント、トランプ優勢。 
(2)選挙資金の潤沢さ(トランプ2億5000万ドル、バイデン6000万ドル)。選挙戦では高額なTVスポット広告で、攻撃されたら直ちに反撃できます。この差は大きいです。 
(3)中国たたき。米国民の67%が習近平体制に反感を持ち、反中政策は人気。特に共和党びいきの93%がトランプ支持です。
トランプ政権の中国攻撃は、民主党をたたくことにつながります。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(2020年4月22日)によると、バイデンの息子が中国との間に持つ利権をトランプ陣営は調査中です。同時に、民主党幹部の中に、中国に利権を持つ人物が複数浮上しています。

バイデン氏(左)と息子
トランプ政権発足直後に、フリン大統領補佐官が辞任。その後、ロシア大使に接触したとして起訴されましたが、5月7日、司法省は起訴を取り下げました。

FBI(米連邦捜査局)がうそを強要したメモが見つかったとされ、トランプ大統領は「オバマゲート」と呼んでいます。トランプ政権にとって大勝利です。

5月12日、ワシントン連邦地裁は、起訴取り下げの承認を見送りました。今後、第三者の意見を参考に、事実関係を精査して結論を出す。2~3カ月かかるとみられていますが、トランプ側が有利な材料を手にしていることに変わりはないです。それに、もう8月です。今月にも結論が出されるかもしれません。

民主党指導部によるフリン起訴の仕掛けも、問題視されています。

2016年大統領選当時、ヒラリー・クリントン候補を勝たせるべく、国家権力を使ってトランプ陣営を妨害したとされます。しかし、トランプ当選で思惑は狂い、FBIを使ってフリン氏に罪を着せ、同時にトランプを陥れようとしたというのです。

司法省は「オバマ側がスパイ行為をしていた証拠を握っている」と発言。これも11月の大統領選の前に結論が出れば、トランプ側に有利になります。

オバマ氏
ただ、トランプ再選への大きな不安は、連邦最高裁に上がっているトランプの納税・銀行取引記録の開示問題です。

下院とニューヨーク市検察当局がトランプ取引銀行に開示を求め、大統領側は拒否しています。

米連邦最高裁は先月9日、トランプ大統領はニューヨーク州の検察当局が求めた納税申告書を含む財務記録の提出を拒否できないとの判断を示しました。一方で下院の調査委員会が求めていた開示は認めず、下級審に審理を差し戻しました。

いずれも最終決着までには時間がかかる見通しで、11月の米大統領選の前にトランプ氏の財務記録が公になる可能性は低くなりました。

以上のようなことを考えると、大統領選挙でトランプが不利で、バイデンが有利とは言えないと思います。いまだ五分五分どころか、トランプに若干有利かもしれません。

しかし、選挙は、水ものですから、蓋を開けてみるまでは、何とも言えないところがあります。そのため、バイデンが大統領、ライスが副大統領となった最悪の場合も想定しておくべきです。

そうして、それ以前に、米国は抜きにして、日本としては中国にどう対処するのか、戦略を立てておくべきです。そうすれば、大統領がトランプになろうが、バイデンになろうが、進むべき道ははっきりするはずです。

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2018年8月7日火曜日

「貿易戦争に勝利」とのトランプ氏の主張は「希望的観測」=中国紙―【私の論評】トランプ大統領がうつけものでないことに賭けてみる価値は十分にある(゚д゚)!

「貿易戦争に勝利」とのトランプ氏の主張は「希望的観測」=中国紙

米国と中国の国旗

中国の国営英字紙チャイナ・デイリーは社説で、中国株の下落が貿易戦争での米国側の勝利を表しているとのトランプ米大統領の主張について「希望的観測」だと一蹴した。

中国の国営メディアはこれまで米国の政策への直接的な批判を控えてきたが、トランプ氏に対する攻撃的な姿勢を徐々に強めている。

人民日報海外版は6日の論説で、トランプ氏が脅迫や威嚇のドラマを演じていると批判した。

トランプ米大統領は4日、ツイッターで「関税は誰もが予想していたよりはるかに効果を上げている。中国の株式市場は過去4カ月で27%下落した」と述べた。

チャイナ・デイリーはこれに対し、米政府による関税発動の前から中国株は下落していたと指摘。中国株の下落は企業債務削減に向けた中国政府の取り組みが一因との見方を示した。

また、6月の米貿易赤字が前月比7.3%増の463億ドルと4カ月ぶりに増加しており、「関税がはるかに効果を上げている」とのトランプ氏の主張を根底から否定していると指摘した。

チャイナ・デイリーはしばしば、中国政府が国際社会に対してメッセージを発信する際に使われる。

人民日報海外版に掲載された別の論説では、中国商務省系シンクタンクの研究員が、中国は貿易摩擦を乗り切るのに十分な強さと回復力を備えていると主張。「貿易摩擦が複雑化し、国内市場に依存する状況下においても、中国が世界経済や産業システムにおける主導的地位を強化し続けることができると信じる理由がある」と述べた。

【私の論評】トランプ大統領がうつけものでないことに賭けてみる価値は十分にある(゚д゚)!

中国のチャイナ・デイリーが上記のような内容の報道をするということは、中国側は内心ではかなり脅威に感じているということです。

中国ではトランプ氏が脅迫や威嚇のドラマを演じていると報道されていますが、米国内でも、連日トランプは狂人だ、精神病だ、米国大統領としてあるまじき言動で、米国を潰してしまいそうだ。弾劾も考えるべきだと連日のテレビやTwitterで批判されています。

最近トランプがヨーロッパへ訪問した時の各国でのトランプの言動は更に混乱を巻き起こし、批判を浴びました。トランプは米国の知識人からも厳しい批判の矢を受けています。しかしトランプ自身は全く気にしていません。一体トランプの本心はどこにあるのでしょうか。



これまでの戦後のブレトンウッズ体制、GATT、WTO、IMFなどの国際的な仕組みは、米国が世界の中で圧倒的な経済力を持つことを前提にしてつくられたものでした。つまり米国の他国に比較して圧倒的に巨大な経済力をもとに、他国を自分の陣営に固定するために、多くの資本を投下し、金を使ってきたのです。

世界の警察の役も多大の金がかかっていました。米国は、自分の経済力の衰退で、それが従来ほどには出来なくなってきました。トランプは、今の仕組みは他の国のために米国が大枚を払わされ続ける仕組みになっていて、それを変えなければならないと本気で思っているようです。このような考えの上考えでトランプは多大な批判を受けるような発言をしているのです。

つまり、米国の衰退、グローバル化の行き過ぎが、これまでの国際経済の仕組みでは旨く行かず、その「制度疲労」を何とか修復しなければならない時がすで来ており、これをトランプが、「アメリカ・ファースト」と言いながら、変えようとしているのでしょう。


EU自身もその経済的・政治的に構造的な欠陥持っているのですが、誰もそれを正そうとしていません。

近年の技術的、経済的な土台の変化の中で、こうした世界的な経済社会の制度疲労が起こっていて、それを修復しなければならない時に来ているのです。そしてグローバル化の行き過ぎを是正しなければならないのです。

米国自身の「制御装置」の破壊の修復も含めて、これをトランプは模索していると考えられます。これに関して誰が正しい、誰が間違いなどということがまだはっきりわからない段階で、トランプ大統領は、本能的に動物的感覚で、何とか修正しようとしているように見えます。その方向性を、いろいろの利害関係者に暴言に近い本音で脅しをかけ、その反応を見ながら探っているというのが実体であると考えられます。

トランプ大統領は、暴言のように、利己的にみえるように直言します。しかも土建屋的な第六感で動き、相手の出方によってはすぐ前言を翻して、引き下がるか、訂正することもありません。

土建屋の「押して駄目なら引いてみろ」を地で行っているようです。彼は中国の習近平とは異なり失う面子など持っていません。こうしたトランプ大統領の動きは、意外に新しい道を探す良い探索、交渉の方法なのかもしれません。

これまでこのような振る舞いをする大統領はいませんでした。しかし現在のように前例が全く役に立たない、制度疲労した混乱の時代において、これを是正するには、こうした言動が有効なのかもしれません。

これからは古い産業が衰退し、世界はハイテク、サイエンスの開発競争になります。特に中国がこの方向で国を挙げて推し進めていることに、危惧したトランプ大統領はハイテク覇権戦争に挑んでいます。

そこでトランプ大統領は、特に中国がIP(知的所有権)を無視していることに対して、中国を攻撃しているのです。これは、単なる関税戦争、貿易摩擦戦争でありません。関税の引き上げはその暴言の一部であり、関税の引き上げは米国自身も損をすることはトランプ大統領自身もよく分かっていると思います。

1989年のベルリンの壁の崩壊で、米国の敵であったソ連が崩壊しましたが、最近ロシアが、自分の生き残りのために、ヨーロッパのあちこちで戦争屋のような動きをしています。

そのために国際社会が混乱してしまい、難民、テロが生まれています。しかしトランプは、これまでのように単にロシアを叩くのではなく、ロシアと北朝鮮を米国の対中国戦略の舞台に引き込もうとしているように見えます。

トランプ大統領はこれまで土建屋ビジネスで儲けてトランプタワーを建てたのですが、米国の悪質金融資本家の儲けに比べると、トランプ大統領の儲けはごみのようなものです。そのため彼は基本的には悪質金融資本とは一線を画しているようです。

悪質金融資本家はグローバル化を使ってぼろ儲けをしてきました。そうして現在は、グローバル化の行き過ぎを是正しなければならない時です。これは保護主義ではありません。トランプは保護主義が経済をだめにするということぐらい学校で学んできた筈です。

そもそも、貿易赤字自体が悪であるという考え方が間違いであることや、基軸通貨国の経常収支が赤字になりがちであることの理由など知っていると思います。仮に知らなかったにしても、大統領の座についてから、彼のブレーンらに聴いていると思います。

トランプ大統領は「国民中間層を救う」ということで大統領になりました。一部のエリート、金融資本家による金権政治で国民の富が収奪されたのですが、その国民大衆の貧困を救済するというのです。金権政治のエリート層に立ち向かうには、彼らを油断させるため、うつけものをよそう必要があったようです。

トランプ大統領は、米国が世界で突出した経済力を持っていないことを前提として、中国の覇権主義を廃して、米国を頂点とする新たな世界経済の新しい秩序を再び造ろうとしているようです。重要なことはグローバル化の行き過ぎでの是正です。

日米ともに過去には内需を拡大したときが安定成長した

しかも戦争屋の仕掛けを排除することです。うつけもののトランプがそれを実現しようとしているのでしょうか。それならわれわれもトランプを応援しなければならないです。ただし、トランプ大統領が本物ののうつけものである可能性もありますが、それでも誰かが、現在の世界経済の仕組みをここで見たように変えていかなければならないことには変わりありません。

このまま、手をこまねいていては、間違いなく世界の半分は、中国が中国の価値観により、新たな新秩序を確立してしまうかもしれません。それは、世界の半分が闇になることを意味します。ただし、運が良かったことに、中国は現在の段階において、米国を頂点とする世界秩序に対して挑戦するとはっきりと公表しました。

これが、中国が「能ある鷹は爪を隠す」方式で、覇権願法など露ほどもなく、中国は経済発展すれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をなしとげ、先進国と似たような体制になると期待させつつ、経済を拡張し、資金をたくわえ20年後あたりにいきなり、覇権主義を露わにしたとしたら、さすがの米国も太刀打ちできなかったかもしれません。

しかし、現実ではそうではありませんでした。今の段階であれば、十分に中国をまともな体制にするか、あるいは米国を頂点とする戦後秩序に対して、永遠に抗えないほど、中国経済を弱体化すすることができます。

こうしたことを考えると、トランプ大統領がうつけものでないことに賭けてみる価値は十分にあると考えます。

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2022年12月27日火曜日

騙されてはいけない、トランプは「これまで同様に強力」と有力世論調査員―【私の論評】日米のリベラルメディアの情報だけだと、日米の半分しかみえない(゚д゚)!

騙されてはいけない、トランプは「これまで同様に強力」と有力世論調査員

投稿日:2022年12月27日

トランプ大統領(現職当時)

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2022.12.22>ポール・ベダード氏によるワシントン・シークレット論説
本コラムや他の場所で、ドナルド・トランプ前大統領に挑むロン・デサンティス知事などの浮上を大々的に宣伝する世論調査をご覧になっただろう。だが共和党では今のところ、2024年共和党大統領予備選挙への出馬を発表したのはトランプのみだ。

それらは、前大統領が多くの局面でやり玉に上げられながらも、倒れずにやり返している中で出た。

トランプと強いつながりを持つ2人の米国共和党トップ世論調査員は今、トランプが予備選挙に勝ってジョー・バイデン大統領を打ち負かすのに、引き続き「これまで同様に強力」なままである理由を説明している。

マクラフリン・アンド・アソシエイツを運営するジョン・マクラフリンとジム・マクラフリンは最近、前大統領がデサンティスに対して48パーセント対23パーセントで優位に立つことを示す世論調査を発表した。先月の選挙の時と同様の人気であり、バイデンには48パーセント対45パーセントでリードしている。

本コラムにおいて、世論調査のことは多く取り上げており、デサンティスの浮上について特に先月の知事再選の大勝後に多く強調してきた。最初の党員集会や予備選挙までまだ1年以上ある中、それらはみな、候補者が有権者の間でどのような状況であるかを提示しているが、決定的な言葉として受け取るべきではない。

マクラフリン世論調査について異なる点は、使用するサンプルについてもっと厳しいということだ。全く投票したことのない人を多く含む比較的大きなターゲットではなく、投票する可能性が最も高い人々にサンプルを絞ろうとしているのだ。

マクラフリンは、多くのメディアの世論調査における反トランプ偏向を避けようとしている。そして最後に、より最近の選挙の民主党・共和党比を再現している。

それは結果に違いを生じさせることがあると、マクラフリンは述べた。

「まず世論調査と発信元の品質に目を向けなければなりません。発表された世論調査のほとんどはリベラルの、反トランプメディアからのものであり、彼らはトランプへの投票者や献金者を抑え込むための偏向した調査を作り出すために、態度を急変させます。偏向メディアの世論調査の多くは投票しない人々で薄められており、選挙様相調査で行うような、実際に投票する人々を反映しません。また反トランプ的な質問をしてサンプルに偏見を抱かせます」とジョン・マクラフリンは述べた。

2016年と2020年の両方でも明らかだったように、世論調査はトランプの支持を少なく見積もることが多く、民主党を推進する。「有権者が2016年の『ヒラリー・ロック』」や2020年の『バイデン・ブルー・ウェイブ』の事を有権者が忘れたと彼らは思っているのでしょうか?」と2人はブログ投稿で問いかけた

「我々にとってはデジャヴの繰り返しです。2016年と2020年で学んだかもしれないことを別にして」と彼らは述べた。

Newsmaxのブログ投稿でも、次のようにいくつかのサンプル基準についてこの説明をしている。
「またもメディアがトランプ前大統領の支持者と献金者を落胆させ、抑え込むために世論調査を利用しています。なぜか?それは共和党エスタブリッシュメント、ワシントンD.C.エスタブリッシュメント、そしてメディアエスタブリッシュメントが、トランプを再び大統領にさせたくないからであるのは非常に明白です」

「サンプルを希釈したり、サンプルの25パーセントまで共和党を少なくしたり(2020年出口調査は共和党が36パーセントでした)、投票について質問する前に反トランプ的な主要な質問をしたりするこうしたメディアの世論調査と異なり、我々の調査は全体的にトランプ前大統領にとって朗報でした」
ジョン・マクラフリンは本コラムにこう付け加えた。「バイデン大統領と議会のリベラル派によるトランプに対する継続的な攻撃は、トランプの保守派支持基盤を活性化させています。結論として―トランプは依然として勝てる共和党候補であり、実際の代議員選挙への投票は1年以上先のことです」

彼らの最新調査では、トランプが依然として対立候補として有力であるだけでなく、先月の選挙以来、デサンティスへの支持が全米で4ポイント低下する一方で、トランプの支持が1ポイント上昇している。

他に追随を許していない。マイク・ペンス前副大統領は5パーセントと一桁に留まっており、最新調査では3位だ。

【私の論評】日米のリベラルメディアの情報だけだと、日米の半分しかみえない(゚д゚)!

上の記事をうらずけるような出来事もあります。米ドナルド・トランプ前大統領は、自身をモチーフにした公式NFT(非代替性トークン)デジタルトレーディングカード「CollectTrumpCards」を発売しました。

カードの価格は、「1枚たったの99ドル(約1万4千円)!」と宣伝していました。トランプ氏とゴルフができる権利などが当たる抽選付きで、45枚購入すれば同氏との夕食会に加われるそうです。

CollectTrumpCardsは15日にリリースされ、投機的な買いも集めてわずか数時間で完売しました。トランプ人気が衰えていれば、これだけ売れるはずもないと思います。

詳細は、以下の記事をご覧になってください。


イーロン・マスク氏

ご存知のように、米国ではイーロン・マスク氏がツイッターファイルとして、ツイッターが政府や官僚、メディアと連携して、トランプの不利になるような情報操作を行っていた証拠を次々暴露しました。ネット界隈では以前から言われていたことなので、今更驚くことではありませが、実際の証拠としてデータが開示されたのは重要なことです。それまで、関係者は、知らぬ存ぜぬで、事実を否定、隠蔽していました。

http://totalnewsjp.com/2022/12/11/musk-180/

この事実は、年明けから下院は共和党が握っている議会が動き出して、バイデン親子はもちろん、ペロシやヒラリーも糾弾され、2020選挙の不正が暴かれることにもなるかもしれません。

そうなると、2024の大統領選挙はトランプが返り咲く可能性も十分にあります。その場合、長年、世界統一政府を目指してたグローバリスト、民主党が、またトランプに足を引っ張られることになって、なりふり構わず動き出すかもしれません。

今後米国がどのような事になるのか、わかりませんが、このまま民主党が不正を働き続けると、ほんとに米国は腐り果てて、自由も民主主義も失われ、完全に崩壊し、それは現在の世界秩序の終焉になるかもしれません。

ただし、隠蔽されてた悪事が暴露されたということは、そう言った隠蔽工作が、できなくなるので、エスタブリッシュメント(米国支配層)にとっては動きづらくなるでしょう。

2022年12月15日15時(米国時間)にトランプ氏は、重大な発表をしました。先にあげたトレカの発売も発表しましたが、それと同時に重大な発表もしています。

トランプ氏は、「今日、私は左翼の検閲体制を打ち砕き、全ての米国人のために言論の自由の権利を取り戻す計画を発表する」と宣言し、「堕落した報道機関の邪悪な集団が、米国民を操り黙らせるために共謀していたことが、衝撃的な報道で確認されている。彼らは選挙から公衆衛生に至るまで、あらゆる重要な情報を抑圧するために協力してきた。検閲カルテルは解体され、破壊されなければならない」と述べています。

これはイーロン・マスク氏がTwitter社を買収し、2020年当時の大統領選挙で何が起きていたか、Twitter社の経営陣がトランプ氏の自由な発言の場をTwitterのプラットフォームから締め出した犯罪的行為の証拠の数々を、先にもあげたように、マスク氏が最近公にした事実を指していると思われます。

そしてトランプ氏は、次の大統領選挙で勝利した時には、「私の就任後数時間以内に、私は大統領令に署名し、連邦省庁がいかなる組織、企業、個人と共謀して、米国市民の合法的な言論を検閲、制限、分類、または妨害することを禁止する。そして私は、国内の言論に誤報や偽情報のレッテルを貼るために連邦政府の資金が使われることを禁止する。そして、国内検閲に直接的、間接的に関与した連邦官僚を、国土安全保障省、保健福祉省、FBI(連邦捜査局)、司法省、誰であろうと特定し、解雇するプロセスを開始する」と宣言しています。

さらに、「私は司法省に対し、絶対的に破壊的で恐ろしい新しいオンライン検閲体制に関わる全ての関係者を調査し、特定されたあらゆる犯罪を積極的に起訴するよう命じる」と述べ、「これには、連邦市民権法、選挙資金法、連邦選挙法、証券法、反トラスト法、ハッチ法、その他多くの潜在的な刑事、民事、規制、憲法違反の可能性がある」と指摘しています。

他にも多く語っていますが、こういうトランプ氏の発言内容を見ますと、米国は2020年の大統領選挙において、完全に言論の自由を失っていた可能性があるということであり、検閲活動、情報統制によって、全体主義国家と変わらない不公平さと差別性によって、誤報や偽情報の方がまかりとおる犯罪的な国家に陥っていたかもしれないのです。

言論の自由を失えば、もはや、健全な民主主義国家は成立しません。そのような意味で、現在、米国は民主主義国家とは言えない状態であり、専制的、統制的、抑圧的な全体主義の国家に近づいている可能性があるのです。

言論の自由を取り戻そうとするトランプ氏の真摯(しんし)な挑戦は、真の民主主義を打ち立てるための戦いであると言えますし、米国には今なお、それを信じている国民も多いのです。

このブログでは、以前から主張しているように、米国のメデイアのうち、大手新聞はすべてリベラル系であり、大手テレビ局は、FOXTVを除くすべてがリベラル系です。リベラル系メデイアがトランプ氏を悪く言うのは当然のことです。

メディア・バイアス・チャート クリックすると拡大します

大手メデイアがリベラル系であるということは、無論世論はリベラル系の価値観でかたちづくられることになります。この価値観は米国では、社会のありとあらゆるところで、幅を効かせ、職場や学校、地域社会でも当然のこととされ、この価値観に反する保守派は、変わり者か、物の道理をわきまえない人とみられてしまいます。

そのような社会において生まれた、GAFAやtwitterもリベラル系の価値観を有するようになったのは、無理からぬところもあると思います。ただし、twitterが、トランプの不利になるような情報操作を行うようなことは、許されることではありません。しかし、現実にはそれが行われていたのです。GAFAにもその疑いがあることは、否定できません。

そうなると、保守派は心の中で思っていることを公言できず、口を閉ざしてしまいます。世論調査などでも、自分の考えを正直には出さないようになってしまうでしょう。そのため、世論調査ではこのようなバイアスを取り除かなければあまり意味がなくなってしまうのです。しかし、米国の少なくとも半分は保守派であり、だからこそ、トランプ氏をはじめ共和党の大統領も誕生しています。

しかし、日本のメディアはこうした米国リベラル系メデイアの報道をほとんどそのまま日本国内で垂れ流しているだけです。こうした報道だけを見聞きするということは、日本でいえば、産経新聞は一切読まず、朝日・毎日・読売のようなリベラル系新聞の情報だけを読んで、日本を判断しているようなものです。日本でもリベラルメディアだけの情報を見ているのは、日本の一部だけをみているようなものであり、偏るのは当然です。

そのような姿勢では、米国の人口のおそらく半分は存在する保守系は無視するということになります。それでは、米国の半分しかみていないことになります。

日米ともにリベラルメディアだけをみていれば、日米の半分しかわからない

どんな人物にだって、毀誉褒貶があります。トランプ氏にだって、良いところと悪いところがあるのは当たり前です。しかし、米主要メディアと日本主要メデイアだけをみていると、トランプ氏の良いところはみえてきません。

その状態だと米国の真の姿は見えてきません。時には、米国の保守メディアの情報も見聞きして、正しい姿をみるべきと思います。

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2020年8月25日火曜日

米大統領選、トランプ氏が肉薄! “バイデン旋風”は起こらず? 「反トランプ」のCNN、驚愕の世論調査結果 ―【私の論評】米国内では「バイデン圧倒的に優勢」との確信が揺らぐような内容の報道も(゚д゚)!


永田町・霞が関インサイド

バイデン氏(左)とトランプ氏(右)

 筆者は度々、わが国メディアのワシントン発の記事に対して疑問を呈し、不満を口にしてきた。残暑厳しい日が続くなか恐縮ではあるが、本稿でまた言及する。

 米民主党は8月18日夜(日本時間19日午前)、大統領候補にジョー・バイデン前副大統領を正式に指名した。そして遡(さかのぼ)る11日にはバイデン氏が副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んでいる。

 「反トランプ」を旗幟(きし)鮮明にするCNNテレビは12~15日に米大統領選について世論調査を実施、その結果を民主党大会前日の16日夜にホームページで公表した。驚愕(きょうがく)の調査結果だった。

 バイデン氏支持が、前回調査(6月2~5日)比5ポイント減の50%、ドナルド・トランプ大統領支持は5ポイント増の46%で、その差は僅か4ポイントである。トランプ氏が誤差の範囲内にまで肉薄したのだ。

 世論調査の時期を見てほしい。ハリス氏が副大統領候補に指名された翌日12日から党大会開催前々日の15日までの期間である。

 本来であれば、バイデン陣営にとって追い風の好機である。正副大統領候補の正式決定で、民主党支持層の歓喜の声に沸き返って支持率が急上昇するタイミングでの世論調査だった。

 それだけではない。各質問項目のなかでも重要項目とされた「経済運営(政策)」については、バイデン氏支持が45%(前回比1ポイント減)、トランプ氏支持は53%(同2ポイント増)であり、「大統領にふさわしいスタミナと鋭さ」という質問でも、トランプ氏がバイデン氏を2ポイント上回った。

 「スタミナ」に続く、「鋭さ(sharpness)」という表現がくせ者である。当選すれば78歳と最高齢で大統領となるバイデン氏には当初から健康不安説が指摘され、とりわけ「初期認知症」疑惑が取り沙汰されてきた。だが、CNNは「鋭さ」と質問することで問題をぼかしたのである。

 この世論調査が、保守系のFOXテレビが行ったのであれば、この結果は「やはりそうか」である。

 平たく言えば、党内左派のバーニー・サンダース上院議員を推した若者たちの支持が得られず、バイデン旋風が巻き起こっていない証と見るべきである。

 トランプ氏は残る選挙期間で、新型コロナウイルスのためのワクチン開発に成功したと言い募り、対中強硬策を相次いで繰り出すことで「弱腰バイデン」をプレイアップするはずだ。

 なぜかCNN調査を一紙以外は報じない日本の新聞は「バイデン優勢」を決め打ちすべきではない。 (ジャーナリスト・歳川隆雄)

【私の論評】米国内では「バイデン圧倒的に優勢」との確信が揺らぐような内容の報道も(゚д゚)!

上の記事の通り、日本のメディアでは、米国のメディアの報道をそのまま垂れ流し、「バイデン優勢」の決め打ちをしています。

このブログでも何度か掲載してきましたが、米国の大手メディアのうち新聞は全部がリベラル系で、民主党よりです。全米ネットワークの大手テレビ局は、FOXTVのみが保守で、あとはすべてリベラルです。

日本人の中にはウォール・ストリート・ジャーナル紙を保守メディアと勘違いするむきもありますが、これもリベラル系です。ただし、歴史は古く、比較的まともな報道をしています。

だから、米メディアがどうしても「バイデン」寄りになるのは当然なのです。2016年の大統領選挙では、米メディアは最後の最後まで、「ヒラリー推し」をして、結果としてどのメディアもトランプ大統領の誕生を予測できませんでした。

2016年トランプ大統領の誕生を伝える朝日新聞の号外

この「ヒラリー推し」の報道を鵜呑みにして報道した、日本のメディアも右に倣えで、トランプ大統領の誕生を予測できませんでした。

今回の大当選でも、同じことが起ころうとしているようです。「バイデン優勢」との確信が揺らぐような内容の報道もなされています。

実は、CNNは8月6日にも「バイデンは引き続き優位に立っているが、トランプは低迷を脱してきた。新型コロナウイルスの感染が収まらず死亡者も増えている中で、トランプはバイデンをstriking distancing(射程内)に捉えた」との記事をウェブサイトに掲載していました。

記者はCNNの政治アナリストであるハリー・エンテン氏です。各種の世論調査を分析して、5~6月にはトランプ大統領への支持が立ち直れないほど低迷しながらも、7月になると底打ちして回復してきていることに注目するとつとは言えCNNのことなので、こう付け加えることも忘れていませんでした。

 「現在の世論調査を見る限りでは、バイデンが比較的安定した優位を保っており、明らかに勝者と考えられるが、全てに前例のない異常な状況に直面している時に、トランプが虎視淡々と逆転を狙っているのも確かだ」

この記事は、8月16日の調査結果の正式に先立ち、調査の内容の概要がわかった段階で発表したものと思われます。そのため、支持率などの正確な数値自体は8月16日に発表されたようです。

そうして、このような報道がどのような状況のもとに行わているかも注目に値します。

監視機関「メディア・リサーチ・センター(Media Research Center)」のプロジェクトである「ニュースバスターズ(NewsBusters)」のプロジェクトである「ニュースバスターズ(NewsBusters)」調査によると、アメリカの夕方のニュースはドナルド・トランプ大統領に対する否定的な報道を大量に流す一方で、民主党大統領候補のジョー・バイデン氏を事実上無視していることが明らかになりました。

「ニュースバスターズ(NewsBusters)」は6月1日~7月31日までのABC、CBS、NBCによる夕方のニュースを分析しました。その結果、トランプ氏に関する報道時間は512分で、バイデン氏の58分の9倍でした。

ところが、トランプ氏に関する報道はほとんどがネガティブなものだったのです。

トランプ氏に対してネガティブな報道をする米メディア

同センターの分析によると、大統領に対する評価的陳述の668件のうち634件が否定的で、これに対してバイデン氏は12件のうち4件が否定的でした。

米国のメディアは、ジョー・バイデン氏に大統領を任せることより、自らがドナルド・トランプ氏の反対者になることを選んでいるようです。

このような調査を見るまでもなく米国の主流メディアは公然とトランプ大統領に偏見を持っているようであり、多くの米国民がそれを見抜けないと思っているのなら、自らを欺いていることになるでしょう。

通常の選挙シーズンでは、ニュースは両候補者をともに報道します。この不均衡は、バイデン氏が中共ウイルス(新型コロナウイルス)の大流行期間に何カ月もキャンペーン・イベントを開催しなかったことが一因でしょうが、それでもバイデン氏は依然として毎日発言を続け、公約も立てていました。また性的暴行疑惑などのスキャンダルもあります。

バイデン氏に焦点を当てた報道の40% (23.5分) は、バイデン氏がトランプ氏を批判する内容でした。一方、トランプ氏に焦点を当てた報道はわずか0.25% (88秒) が、トランプ氏のバイデン氏に対する批判を伝えるものだったといいます。

まるで米国メディアは、両方を報道すると、大衆は正しい決断が出来ないと思っているかのようです。

この調査では、記者やキャスター、あるいは専門家や有権者といった超党派の人たちによる、トランプ氏やバイデン氏についての明確な評価的陳述を対象にしました。党派的な人物からの評価やコメント、そして中立的な陳述は含まれていません。

トランプ氏は、多くの記者が彼に偏見を持っていると繰り返し述べてきました。

トランプ氏は8月17日、「フォックス&フレンズ」との電話インタビューで、「私の最大の敵はバイデン氏でも民主党でもなく、腐敗したメディアだ。この国には今まで誰も見たことのないような腐敗したメディアがある」と述べました。

民主党全国大会の期間中に選挙キャンペーンをしている理由について尋ねられたトランプ氏は、メディアのせいで「仕方なく」やっていると述べました。

「地下室から出てこない男(バイデン氏)がいて、メディアは彼を報道している」とトランプ氏は述べ、「彼ら(メディア)が私に質問する時、私は彼らの目に火が燃えているのが見える。私は彼らを見ながら、本当にどうしてそんなに大きな憎しみを持っているのだろうかと思う」と付け加えました。

バイデン氏は3月に自宅で隔離を始めて以来、記者会見をほんの数回しか行っておらず、自宅隔離は夏の間に終了しました。バイデン氏と新しく発表された副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員 (カリフォルニア州選出、民主党) は、8月11日に副大統領候補が発表されて以来、あまり質問を受けていません。
トランプ氏がバイデン氏に肉薄していること、米国メディアがトランプ氏に対して、かなりのネガティブな情報を流していることを考えると、実体はトランプ氏のほうが優勢なのかもしれません。

いずれにしても、「バイデン圧倒的に優勢」と決め打ちするのは、時期尚早です。

日本では、安倍総理が病院で検査ということで、ネガティブな報道がされています。テレビ局は、安倍総理検査入院で、嬉しくてしょうがないようで、まるでお祭り騒ぎのように沸き立っています。



自分の健康について、総理自らが確認するのは、当然のことです。それに、検査入院ということになれば、周りの人間の本音が見え、敵と見方の区別がつきやすくなるし、使えない馬鹿と使える利口の見分けもしやすくなります。

それに野党は、合流話など馬鹿真似ばかりをしていて、しかも「政権奪還」などというばかりで、政権を奪還した後にどのような具体的な政策を実施するのか、まったく見えません。次の選挙で自民党が勝つのは、確実です。その意味では、現状では野党は自民党政権の最大の応援団です。安倍総理は、その意味では、今後続投するにしても、もしそうでなくても心安らかかもしれません。

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2016年3月26日土曜日

米産業界、トランプ氏へ懸念の声 グーグルも対策議論?―【私の論評】日本にとって自腹で動くトランプが大統領になるより、中華マネーで動くヒラリーのほうがはるかに危険(゚д゚)!

米産業界、トランプ氏へ懸念の声 グーグルも対策議論?


朝日新聞デジタル

大統領候補トランプ氏
米国の産業界に、米国の大統領選の共和党候補者の指名争いで首位を走る不動産王トランプ氏の言動を懸念する声が広がっている。貿易や移民など経済政策での極端な持論が、堅調な米国経済の足を引っ張りかねないと心配するからだ。

米大統領選2016

「危険な人物だ。米国が不況に陥る」。ヒューレット・パッカード(HP)のメグ・ホイットマン最高経営責任者は3月上旬、こう痛烈に批判した。「扇動家は大統領にふさわしくない」とも語った。ゼネラル・エレクトリック(GE)を長年率いた「カリスマ経営者」ジャック・ウェルチ氏も出演したテレビで、トランプ氏が優位な情勢を「残念ながら」と嘆いた。ともに共和党支持者だ。

トランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)に反対し、中国やメキシコに35%の高い関税を課すとも主張。ホイットマン氏は「彼の貿易政策の間違いはひどい」と指摘する。米経済紙は「貿易戦争になる」と警戒感を高める。

ハイテク企業の集積地シリコンバレーの経営者らは、「移民敵視」発言に敏感だ。移民の力が技術革新を促してきた歴史があり、それを否定する考えに反対する。米メディアによると、アップルやグーグルなどの経営トップが3月上旬に共和党系会議に出席し、党の主流派議員も加わって、「トランプ対策」をテーマに話し合ったという。

「工場を米国外に移した会社(菓子大手ナビスコ)の『オレオ』は食べない」

トランプ氏の論調の一つには「大企業が工場を国外に移したため、労働者の生活が苦しくなった」というものがあり、支持者からは喝采を受ける。指名争いの勝利が現実味を帯び、一方ではウォール街の重鎮カール・アイカーン氏をはじめ、支持を表明する経営者も目立ち始めた。著名資産家ウィルバー・ロス氏は「いまは人気取りの発言もあるが、指名候補になれば大統領らしい政策を語るだろう」と述べている。(ニューヨーク=畑中徹)

【私の論評】日本にとって自腹で動くトランプが大統領になるより、中華マネーで動くヒラリーのほうがはるかに危険(゚д゚)!

上の記事でもわかるように、朝日新聞はトランプ氏が大統領になることについては、消極的なようです。記事の中では、朝日新聞得意の一応両論併記という形式にしていますが、ネガティブな扱いのほうが圧倒的に多いです。

朝日新聞は、他の記事を読んでいても、トランプ大統領誕生には消極的です。その記事の典型的なもののリンクを以下に掲載します。
「お前はクビだ」 トランプ氏のTV仕込み演出術を分析
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、確かにトランプ氏のことをポジティブには捉えてないようです。

以下にこの記事に掲載されていた、「ドナルド・トランプってどんな人」というチャートを掲載しておきます。


朝日新聞が、このような反応を示すのはなぜなのでしょうか?このヒントになるのが、以下の動画です。


この動画をご覧いただくと、トランプ氏は色物という見方は、必ずしも正しくはないことが良く理解できます。

さらに、トランプ氏の対抗馬のヒラリー・クリントン氏が良い候補者であるかどうかには疑問があります。

クリントン氏には、いわゆる献金疑惑があります。それに関する記事を以下に掲載します。

これは、昨年4月22日のZAKZAKの記事です。
ヒラリー氏、早くもピンチ… 献金問題浮上で選挙戦略に大ダメージ 
ヒラリー・クリントン氏
 女性初の米大統領に挑戦する民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が、献金問題で苦境に立たされている。関係財団が外国政府から多額の献金を受けていたことをめぐり、メディアや共和党が追及姿勢を強めているのだ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も巨額裏金疑惑でピンチだが、ヒラリー氏は危機を乗り越えられるのか。 
 「(野党の出方は)予想していた。この手の攻撃はつきものだ」 
 ヒラリー氏は20日、ニューハンプシャー州で記者団にこう語った。共同通信が伝えた。 
 問題の財団は、夫のビル・クリントン元大統領が主宰し、温暖化や貧困への対策、女性の地位向上に取り組む慈善団体「クリントン財団」だ。 
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ヒラリー氏周辺の資金の流れを追った「クリントン・キャッシュ」を来月出版する作家、ピーター・シュワイツァー氏が、同財団に献金した外国政府や企業が、ヒラリー氏が長官時代の国務省から有利な取り計らいを受けていた-と主張している。 
 シュワイツァー氏は、レーガン政権で国防長官を務めたキャスパー・ワインバーガー氏との共著『ネクスト・ウォー-次なる戦争』(二見書房)でも知られる人物だ。
 AP通信によると、少なくとも16カ国の政府が最大1億3000万ドル(約155億円)を財団に献金していたという。この中には、女性の人権侵害が深刻なサウジアラビアなども含まれていたことが先に問題化し、同財団は外国政府からの献金を欧州4カ国とカナダ、オーストラリアの計6カ国に限定する方針を決めたばかりだった。 
 ヒラリー氏は12日の出馬表明に合わせて財団の理事職から退いているが、共和党側は「出馬する資格があるのか、有権者に疑問を抱かせる」(ポール上院議員)などと攻撃を強めている。

今後、複数の米主要メディアが、シュワイツァー氏の協力を得て調査報道を行う方針といい、ヒラリー氏の選挙戦略にダメージとなりそうだ。
この記事で掲載されていた、『クリントンキャッシュ』は、今年日本でも出版されています。以下にこの書籍に関して簡単に説明します。

米大統領選では、あれだけ大本命と言われたヒラリー・クリントン前国務長官が、民主党内の指名争いで、サンダース上院議員と大接戦になるほど追い込まれています。指名争い初戦のアイオワ州での党員集会では、両者はわずか0.3%差でした。

日本での報道からは、なぜかファーストレディーや国務長官を務めた「スーパー・ウーマン」ぶりしか伝わってこないだけに、この苦戦ぶりは私達には意外にも思えます。そこで、その謎を解く鍵になるのが、今年2月10日に発売された本書『クリントン・キャッシュ』(著・ピーター・シュバイツァー、監修・あえば直道)です。

クリントン・キャッシュ

著者のピーター・シュバイツァー氏はこれまでにも議員の不正行為などを果敢に暴いてきました。彼が今回、目を向けたのは、クリントン一家が運営している「クリントン財団」をめぐるお金の動きです。

著者は財団の財務情報や、各国での報道などを調べ上げ、同財団に海外政府や企業などが多額の献金を行ってきた事実を丹念に描き出しています。しかも彼らは、クリントン一家がアメリカ政府を動かし、自分たちに便宜を図ってくれることを期待して、お金を振り込んでいた可能性があるというのです。

こうしたスキャンダルにまみれたヒラリーは、ついに国民の過半数から「嘘つき」「信用できない」と思われるまでになってしまい、選挙戦でも痛手を被ったのです。こうした裏事情を知らなければ、大統領選の真相は見えてきません。ヒラリーの疑惑に斬り込んだ本書は、まさに大統領選を語る上で必読の書と言えます。

この書籍で、もう一つの重要な点は、「チャイナ・マネー」です。南シナ海に人工島を建設するなど、中国による周辺国への脅威は日を追って増すばかりです。日本にとっても、同盟国アメリカと連携して、いかに危険な行動を抑止していくべきかが問われています。アメリカ大統領選は、外交政策を担っていくのかという問題でもあります。


『クリントン・キャッシュ』を通じて浮き彫りになってくるのは、「ヒラリー大統領」は日本の安全にとってはマイナスであるという点です。外国からの献金をやすやすと受け取ってしまう一家に、アメリカの外交を任せられるのでしょうか。

実際に、夫のビル・クリントン氏が大統領だった時代には、米民主党が中国からの多額の献金を受けて問題になったこともあります。この書籍から、「チャイナ・マネー」に弱い米大統領が誕生することの危うさを読み取っていただければ、幸いです。

ところで、アメリカはいわゆるエスタブリッシュメントとといわれる、ほんの一部の支配層が支配する国でした。そのエスタブリッシュメントのうちの多数派の中国に対するエンゲージメント派は、いずれ中国は民主化するであろうと見ているようで、中国は将来的にアメリカにとって自分たちが御せる良い市場になると信じているようです。

これに関しては、以下の動画をご覧いただければ、良く御理解いただけるものと思います。



この動画をご覧いただければ、アメリカでは中国に対して、簡単にいうと媚中派のエンゲージメント派と中国反対派のコンテインメント(封じ込め)派が存在しており、アメリカの富の大きな部分を握っているわずか上位0.1%のエンゲージメント(媚中)派が圧倒的に優勢であることを語っていました。

ただし、この動画の伊藤­貫は、ルトワックのような軍事や戦略の専門家ではないことと、アメリカに長期間滞在しアメリカのエスタブリッシュメントやエンゲージメント派に多大な影響を受けていると見られます。

そのためでしょうか、中国の軍事力を過大に評価しているところがあります。現実の中国の軍事力は、伊藤氏の想定よりはるかに遅れています。しかし、これはアメリカのエンゲージメント派の中国に対する見方なのだと思います。

さて、クリントン氏は、エンゲージメント派の操り人形であるばかりではなく、先ほども述べたように、チャイナマネーも受け取っているということです。そう考えると、クリントン氏はとても日本にとっては良い大統領候補とはいえないです。

そうして、無論のこと外国勢力からお金を受けているため、アメリカにとっても良い候補者ではありません。

これと対照的なのがトランプ氏です。トランプ氏は自身がとてつもない富豪なので、膨大な選挙資金も自ら調達できます。

トランプ氏以外の候補者は、多かれ少なかれ、エンゲージメント派に多大な影響を受けていることが考えられます。というより、上の動画に示されているように、オバマも含め、歴代の大統領はほんどが、エスタブリッシュメントの操り人形だったと見るべきです。

このような背景があるので、今のアメリカはエンゲージメント派にとって都合の良い社会になっているため、それに反発する人たちが、トランプ氏を支持するので、トランプ人気は衰えるどころか、さらに加熱しているのです。だから、トランプ・トレインという現象が起こっているのです。そうして、エンゲージメント派の力がいかに強大であったにしても、実数はアメリカの0.1%に過ぎないのです。

このような状況ですから、エンゲージメント派は、強大な権力を駆使して、アメリカ国内で、トランプ氏を糾弾するためのありとあらゆるキャンペーンを繰り返していることでしょう。

トランプ・トレインに乗り遅れるなという世論が巻き起こっている
トランプ氏というと、確かに過激な発言で不評を買っている部分がありますが、対抗馬であるクリントン氏はさらに不評を買っています。

トランプ氏は、莫大な資産と、自らきずいてきたビジネス・ネットワークを用いてヒラリーは諸外国にカネを無心したことについて、詳細な情報を収集しているものと思います。

トランプ氏は、いずれそれを公にして、勝利を収める可能性は十分にあります。ヒラリーが大統領になるよりも、トランプ氏が大統領になって、トランプ氏に改心してもらい、まともな政治をしてもらうほうが、アメリカにとっても、日本にとっても良いことだと思います。

それに、以前もこのブログに掲載したことがありますが、トランプ氏が大統領になったにしてもアメリカの政治制度からいって、トランプ氏が何もかも好き勝手にできるわけではありません。

まずは、二大政党制ということから、たとえ民主党から共和党に政権交代があったにしても、政治の継続性を保つことから、6割から7割くらいまでは、従来の政権の政治を受け継ぎます。政権交代して、前の政党との違いは、残り3割から4割で出すということになります。

さらに、平時においては、厳密な三権分立制が行われているアメリカにおいては、世界で最も権力のない権力者がアメリカの大統領です。

ただし、戦時になるとアメリカの大統領にかなりの権力が集中します。ただし、これも議会で戦争の決議がなされないかぎり、そうはなりません。だから、トランプ氏が大統領になったなら、とんでもないことになるという見方は間違いです。

トランプ氏もそのようなことは、当然知っているでしょうし、選挙キャンペーン中には過激なことを言っていても、仮に大統領になったとしたら、そのようなことはしないでしょう。ただし、実務で培ってきた、ずば抜けた交渉力がありますから、議員に対しての交渉力も従来の大統領に比較すれば、ずば抜けていることでしょう。おそらく、オバマなど足元に及ばないと思います。

もし、トランプ大統領が実現したとしてら、ここしばらくなかった、エスタブリッシュメントの操り人形でない大統領が登場することになります。



さて、以上のような背景を知ると、朝日新聞がトランプ氏を色物扱いするのは、良く理解できます。他のメディアも同じことです。

日本のメデイアは、最初からトランプ氏を色物扱いし、トランプトレインと言われるようになった最近でも、その姿勢を変えていません。

やはり、日本のマスコミは朝日新聞をはじめとして、多くが、アメリカのエスタブリッシュメントのエンゲージメント派と、中国の影響を多大に受けているのだと思います。

私は、チャイナマネーで動くクリントンと自腹で動くトランプとどっちが良いのかと問われれば、無論トランプと答えます。

とはいいながら、アメリカのエンゲージメント派は、自分たちの利権を守るために、ありとあらゆる手段を講じてトランプが大統領になることを阻むと思います。

日本では、朝日新聞をはじめとする、マスコミなどが、トランプ氏を色物扱いをしていて、トランプが大統領になると大変なことになると喧伝しています。しかし、現実には、ヒラリーが大統領になったほうが、アメリカのエスタブリッシュメント派がさらに勢いをつけることになるので、日本にとってはるかに危険なことになると思います。

そうして、それこそ朝日新聞を含む、日本の反日メディアの望むところなのです。だから、彼らは、ヒラリーの危険性を暴かず、トランプ氏の危険性を煽るのです。

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2017年1月30日月曜日

トランプはかくも賢く、計算高い! メディアが知らない「真の実力」―【私の論評】新大統領のしたたかな戦略・戦術!日本の保守も見習え(゚д゚)!

トランプはかくも賢く、計算高い! メディアが知らない「真の実力」

歪んだイメージに騙されるな


高橋洋一氏






 公約実行は当然のこと

トランプ政権が20日にスタートし、矢継ぎ早に大統領令を出している。

これに対してほとんどのマスコミは「異例である」と報じ、識者の多くはトランプ政権が早々に行き詰まるだろう、という見方を示している。

筆者がレギュラー出演している朝日放送「正義のミカタ」(毎週土曜日朝9時~)でも、米国人モーリー・ロバートソン氏が大統領令について、「異例の多さで、内容が悪い」と語っていた。彼は民主党支持者で、まるで大統領選挙中の民主党によるトランプ批判そのものを聞いているかのようだった。

米国の大統領令は、連邦政府や軍に対して連邦議会の承認を得ることなく、行政権を直接行使するものだ。これをモーリー氏は「今回は異例に多い」と言っていた。これに対して一緒に出演していた岡田斗司夫氏は、「オバマ大統領も数多くの大統領令を出していた」と返していた。

また、筆者は、実はどこの国でも行政権の行使に関して、議会承認を得ないで行うものはあり、たとえば日本でも政令は国会の承認を得ないで行うものだと説明した。同じ番組内で、新たな元号についての話題もあったが、実は元号の決定は国会の承認ではなく、政令によって政府が決めているものだ。

アメリカの大統領令の範囲が明確でないという批判もあるが、連邦議会の制定する法律に基づき大統領に委任されているものも少なくない。

この点、日本の政令でも、根拠法律が明確な委任政令と、そうでない実施政令が混在しているので、アメリカの大統領令との差異は、少なくとも筆者にとってはそれほど明確でなく、五十歩百歩ではないかと思う。

こうした意味で、「大統領令が乱発されている」という報道は、アメリカでもなされているが、やや大げさであると思う。

新政権が選挙期間中の公約を実行に移すのは当然である。また、見方を変えればトランプ政権は、選挙期間中、当選後の戦略をよく考えて、議会の承認の必要のない大統領令でできることばかりを公約に掲げてきたともいえるのだ。

もっとも、連邦議会が反対法律を制定したり、過去にも大統領令について連邦裁判所が違憲判断を示したことも2回ある。行政権の執行であるので、三権分立の立場から立法と司法からチェックを受けるのもまた当然である。

 マスコミが知らないトランプの素顔

マスコミの報道の多くは、いまだに「トランプ大統領はバカではないか」というものが主流であるように感じる。これは(筆者は直接トランプ大統領と面識があるわけではないが)、私の友人・知人を通じて知るトランプ大統領のイメージと異なっている。

実は、昨年11月、安倍首相が当選直後のトランプ氏と電撃的な会談をしたが、それを仲介した人物は、筆者の長年の友人である日系三世アメリカ人、村瀬悟氏である(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50422)。友人の名を明かすのは気が引けるが、もういいだろう。


村瀬悟氏 写真はブログ管理人挿入以下同じ
彼は、日本語の勉強のために日本に中学・高校と留学しているが、留学先は成蹊中学・高校である。年齢は安倍首相と一つ違いであり、安倍首相も成蹊中学・高校であるので、当然よく知っている仲だ。

ハーバード大卒、ニューヨークで評判のいい弁護士をしており、トランプ大統領のかつてのビジネス案件も手がけいたこともあって、トランプファミリーとも密接な関係がある。

当然、トランプ大統領に直接連絡できる人物だ。彼は、トランプはとても賢く数々の発言は計算に基づいているといっていた。

また、トランプ大統領がかつて倒産したとき、彼のために金策で奔走した日本人も知っている。苦境の時に助けに乗り出した人であり、そういうときの恩義は古今東西を問わず忘れないものだ。その人も、トランプ大統領はかなり賢く、先々のことをいろいろと考えて行動していたといっていた。

 最も大きな失点は「国境税」

さらに、かつてのトランプ氏は今のようなやさしい英語を使わなかった。しかし、不動産で失敗した後、テレビショーに出演していたときのトランプ氏は別人のように言葉づかいが変わり、難しい表現を使わなかった。

しかも、WWEというプロレス団体のリングにも登場した。日本では、地位のある人がプロレスを好きだといっても自然だが、アメリカではプロレスは完全にプア・ホワイトら向けのもので、リング上で使われる言葉も基本的には低レベルだ。こうした経験を積むこと、トランプ大統領は一皮むけたという。

ただし、トランプ大統領の行動すべてが計算づくでうまくいっているわけではない。

メキシコとの国境に壁をつくる、というところまでは想定内だ。実際、今でもメキシコとの国境には壁がある。そもそも国境に壁があるのは、アメリカとメキシコの間を往復すれば旅行者もわかることだ。それに入国管理を強化するのも大統領選挙期間中の公約である。

しかし、国境税についてまともにブチ上げたことには面食らった。たしかに大統領選挙でも国境税については言及されていたが、これは悪手だろう。早速、「国境税といっても、相手国に課すことができない以上、アメリカ国民が支払うことになる」といったの批判が出た。

この批判はその通りであるし、相手国もWTOなどの国際機関をうまく使えばかなり防戦できる。こうした意味で、これは「ディール」に向かない戦法であり、トランプ政権としては「しまった!」と思ったはずだ。

ただ、トランプ大統領とメキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領との間で、電話会談が行われたので、ディールは一歩前進している。結果オーライ、ともいえるかもしれない。

 実はしたたかな「失業・雇用論」

さて、経済政策に関しての言動は想定内である。もっとも、トランプ政権への批判はまだ強く、そうした論者のなかには「トランプ政権が掲げる経済政策は、とてもできっこない」と断言する者が多い。

一方、『現代ビジネス』のサイトには、冷静な記事もある。1月26日付けの安達誠司氏の「トランプの経済政策は本当に『保護主義』なのだろうか?」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50815)は有用だ。この見方には、経済学的な観点から賛同するとことが多いが、筆者の場合、それに政治的な観点を加えてみている。

トランプ政権は、雇用を増やすことを主張しており、これに対して「アメリカはいま、完全雇用に近い状態」という批判がなされている。安達氏は、アメリカ経済は「完全雇用」に近いのか? と自ら問いかけて、実際の「失業率」はもう少し高いとの試算を提供している。

興味深い指摘だが、もしそうであっても、統計で目に見える「失業率」は容易に低下しない。高い失業率を低くするのは困難なので、これでは政治的には無意味な主張になる。

トランプ政権の射程は2年、中間選挙までに政治的に目に見える成果を求めている。それまで、マクロの「失業率」は、理由がどうあれ顕著に低下することはない。

トランプ政権はこのことをよく知っているのだと思う。マクロの「失業率」には目をくれずに、個別企業の雇用を促進させ、「その雇用はオレが作った」と成果を主張することを考えているのだろう。

実際、そういわんばかりのつぶやきをツイッター上で展開している。一連の日本叩き、日本企業叩きも、そうした戦略から行われているのだろう。

となると、日本としては、1980年代に起こったような日本叩きにならないよう、したたかな対応が必要だ。

幸いなことに、対日貿易赤字は80年代ほど大きくはない。ところが、貿易赤字は経済学的にはたいした意味はないが、政治的な意味は大きいので、あまり経済的に考えるのは得策ではないのだ。

80年代、筆者は実際に対米交渉をやった経験があるが、そのとき一応経済学的な観点から各所に説明するのだが、あまり意味がなかった。今や中国が日本のポジションに変わっているので、この点(つまり、政治的な観点)を強調した方が日本のためにもなる。

 日本が優位に立つチャンスはある!

さて、これについて「トランプ政権の80年代を彷彿させる行動は、トランプ政権が比較優位の貿易論も知らないから採られるもので、いわば暴挙」という識者もいるが、それは誤りだ。

伝統的な貿易論どころか、その次の「新貿易論」、さらに貿易は格差の源になりうるという「新新貿易論」さえも利用して、対日交渉に臨んでくると思ったほうがいい。

1月28日夜、安倍首相とトランプ大統領は電話会談した。2月10日、安倍首相が訪米し日米首脳会談を行うことを取り付け、その直前の2月3日にマティス国防長官が来日する予定だ。

当面は、トランプ政権が離脱を表明しているTPPの後をどうするかだ。筆者は、昨年米大統領選直後11月14日付けの本コラムで、日米2国間交渉に移行すべきと書いた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50202)。それは、日本が言わなくともアメリからそう求めてくることが予想できたからだ。

案の定、日米2国間貿易交渉という流れが出てきている。報道によれば、アメリカから提案が持ち出されたら、日本も受けるという。だが、この報道通りの受け身対応だと、ちょっと心配である。

筆者が昨年の本コラムで書いたのは、どうせ2国間になるから、日本から先に持ちかけるべきだ、ということだ。そのほうが、議論の枠組が作れるので有利になるからだ。

これも新聞報道だが、アメリカが2国間交渉を日本に持ちかけるとき、在日米軍の駐留経費負担増を日本に求めない、とのマティス長官の話が出ている。

一見すると、マティス長官は日本に配慮したように見えるが、日本にとってはいい話ではない。じつは、在日米軍の駐留経費増を日本がいわれても、年間2000億円程度なのでたいした話でないのだ。むしろ増額に応じて、2国間貿易交渉を有利に運んだり、日米地位協定の見直しをとる方が、日本としても得策だっただろう。

トランプ政権がそれを察知して在日米軍の駐留経費増を持ち出さないのだとしたなら、2国間交渉はかなりタフなものとなるだろう。

日米2国間交渉は、TPPで決まったことをベースにして行うのは当然として、場合によっては、オーストラリア、ニュージーランドの旧英連邦も加えればいいだろう。少なくとも、TPPベースの交渉ではいいパートナーとなる。

さらに、NAFTAで再交渉のカナダ、EUから離脱するイギリスも加えて、アングロサクソン+日本という先進国型自由貿易経済圏を模索するのもありだ。

トランプ政権は、貿易交渉をしようというだけで、先進国間では保護主義ではなくどちらかといえば自由貿易を指向するだろう。その中で、日本もしたたかな交渉術が求められている。

ディール(契約)は、売りと買いで折り合いがつかないと思っても粘り強く交渉すると着地点があるように、決して破壊的な結末ではなく、両者が納得できるところに落ち着くものだと肝に銘じてほしいものだ。

【私の論評】新大統領のしたたかな戦略・戦術!日本の保守も見習え(゚д゚)!

トランプ氏の大統領令については、矢継ぎ早で突拍子もない印象を受けるかもしれないですが、実はそのようなことはないです。

高橋洋一氏も上の記事で、実はどこの国でも行政権の行使に関して、議会承認を得ないで行うものはあり、たとえば日本でも政令は国会の承認を得ないで行うものだと説明しています。

確かにその通りです。しかし、これ以外にも本来マスコミなどが、異例であるとするには根拠に乏しいと言わざるをえない理由があります。

そもそも、トランプ氏はこのようなことをすることを予め国民に向かって宣言しています。それは、選挙中の公約のことを言っているのではありません。

トランプ氏は、大統領選の直前に、「アメリカを再びかつてのような偉大な国にするための100日プラン」を公表し、サイトに公開しています。

メキシコとの国境沿いに壁を築き、建築費用をメキシコに支払わせる」「イスラム教徒の入国を禁止する」などの過激な発言にもかかわらず、あれよあれよという間に支持を集めて次期アメリカ合衆国大統領に選出されたドナルド・トランプ氏が、アメリカを再び偉大な国にするために、大統領就任後直ちに実行するという公約「100日プラン」はこんな感じです。

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(PDFファイル)https://assets.donaldjtrump.com/_landings/contract/O-TRU-102316-Contractv02.pdf



「『100日プラン』はアメリカの有権者と私自身との契約であり、誠実さと責任をもって始め、ワシントンに変化を起こし始める」というトランプ氏の決意表明から100日プランはスタートします。

◆ワシントンD.C.内の特別な衝突を一掃する6つの政策
1:議会のすべての議員に任期制限を課すように憲法改正案を提出する。
2:すべての連邦職員の雇用を凍結し、職員数を削減する(ただし、軍事、公安、公衆衛生についてはこの限りでない)。
3:新しい連邦規則に反する従来の連邦規則は廃止する。
4:公職を離れた連邦議会職員のロビー活動を5年間禁止する。
5:外国政府を利するロビー活動をした職員は、永久にロビー活動を禁止する。
6:アメリカの選挙費用を集めようとする外国のロビー活動は一切禁止にする。

◆アメリカの労働者を守るための7つのアクション
1:北米自由貿易協定(NAFTA)は第2205条に基づき再交渉するか離脱する。
2:環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は離脱する。
3:中国が為替操作国であることを認定するよう財務長官に直接命令を下す。
4:アメリカの労働者に不公平なすべての乱用的為替操作を特定し根絶する法律を制定するよう商務省とアメリカ貿易局に直接命令を下す。
5:シェールオイル、石油、天然ガス、クリーンな石炭などのアメリカが有する50兆ドル(約5300兆円)規模のエネルギー備蓄を放出する。
6:オバマ-クリントン路線でのインフラ投資抑制を撤回し、Keystone Pipelineなどの有望なインフラ整備プロジェクトを許可する。
7:気候変動枠組条約で支払っている何十億ドルもの分担金を取りやめる。取りやめた分担金はアメリカ国内の水などの環境インフラの整備に振り替える。

◆保安と憲法上の秩序を回復する6つのアクション
1:オバマ大統領によって出された憲法に反する大統領令や発行されたすべての覚書を取り消す。
2:最高裁判事Justice Scaliaの後任を、リストに上がっている合衆国憲法を支持し守っていけるであろう判事の中から選出する。
3:連邦政府から資金援助を受ける"聖域都市"の廃止。
4:200万人を超える違法な移民の強制送還を始め、二度とアメリカに戻って来れないようにビザを破棄する。
5:安全を担保できないテロの起こりやすい地域からの移民の受け入れを停止する。

◆中間所得層の税金の免除と徴収プロセス簡素化に関するアクション
経済の目標として年4%の経済成長と大規模プロジェクトを通じて少なくとも2500万人の新規雇用を創出する。これらは減税、税徴収手続きの簡素化、規制緩和やアメリカのエネルギー備蓄の解放によって実現する。最大の減税対象は中間所得層になる。子どもを2人持つ中間所得層は35%の減税を享受する。税制上の所得区分は7つから3つに減らし、税金の仕組みを簡素化する。法人税は35%から15%に減らし、資本10億ドル(約1070億円)以上の規模の大企業が海外資金をアメリカに戻す場合の税率は10%に軽減する。

◆オフショアを終わらせるアクション
海外に生産拠点を移し税を免れ国内の労働者を解雇する企業活動を阻止するために関税をかける。

◆エネルギーとインフラに関するアクション
10年間にわたって1兆ドル(約107兆円)規模の資金をインフラ整備に投入することで、官民共同プロジェクトや民間投資を活発化させる。

◆学校選択と教育機会平等に関するアクション
教育関連費を子どもの親に直接還元することで、公立、私立、宗教、ホームスクールなど種類を問わず学校を選ぶ権利を与える。一般的なコアカリキュラムを終わらせ、地域の教育機関に監督権を与える。職業教育と技術教育を拡大させ、2年制・4年制の大学をより安い学費で提供する。

◆オバマケア関連法の廃止と代替プラン
オバマケアを完全に廃止して、Health Savings Accounts(医療費用口座)による積立て運用に置き換える。この改革にはFDAの改革も含まれる。現在FDAの認可を待つ4000以上の薬剤がある。救命救急薬の承認手続きのスピードアップを実現する。

◆育児・介護費用を安くするアクション
アメリカ人に限り育児と高齢者介護に関する費用の税控除を許可する。企業内託児サービスの提供を促し、従介護者の免税用貯蓄口座を創設する。

◆不法移民を根絶するアクション
メキシコとの国境沿いに壁を建設し、その建築費用をメキシコに負担させる。不法移民に対して、1度目は2年以上の懲役を、不法に再入国した場合には5年以上の懲役を強制送還前に科すよう刑罰を改める。オーバーステイに対する刑罰を強化するようビザ規則を改定し、まず優先的にアメリカ人に雇用を提供するようにする。

◆地域の安全を修復するためのアクション

各地域の警察を訓練し、支援するプログラムへの助成金を増やすことで、犯罪やドラッグ、暴力を減らす。違法な犯罪組織を解体し暴力犯罪者を逮捕しやすくなるように連邦執行機関や連邦検察のためのリソースを増やす。

◆国家安全保障法の修復に関するアクション
軍事部門への投資を進めて軍を再構築する。退役軍人に傷病治療を受ける公的なサービスや民間医師の選択権を与える。重要なインフラに対するサイバー攻撃を防ぐ。アメリカに入国を希望する者に対しては、アメリカの価値観を支持するかどうかを見極めるための新しい入国審査手続きを設ける。

◆ワシントンの腐敗を一掃するアクション
政治に対して影響を与える汚職をなくすため、新しい倫理規約を作る。

昨年の11月にこれを、読んだ私は、以上のことを100日で実行するというのなら、当然のことながら、議会での審議だけでは到底不可能だと思いました。

当然のことながら、この100日プランの全部とはいわないものの、日本でいえば政令、米国でいえば大統領令で実行することになるものも多数あるだろうと思いました。

大統領令とは大統領が議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令のことです。憲法に明確な記述はないのですが、法律と同等の効力を持ちます。第2次世界大戦時のフランクリン・ルーズベルト大統領は、12年間の在職中に3522件も発令しました。

オバマ政権においては、気候変動対策の強化や化学物質管理の安全性向上など170件近く出されています。議会は反対する法律を作ることで大統領令に対抗できるほか、最高裁判所も違憲判断を出すことがあります。

まさに、トランプ氏はこの100日プランを実行するため、矢継ぎ早に大統領を出しているわけで、これを「異例」とか、不意打ちのように感じたり、そのように報道するのは全くの検討違いです。

士官学校時代のトランプ氏
日本では、あまり知られていませんが、トランプ氏は大統領選挙の前から、タブーともいわれていることに自分の考えをはっきり述べるようなことをしてきたので、テレビ局などは、トランプ氏を出演させ、トランプ氏に大胆な発言をさせ、それを専門家などが解説すというような方式で、かなり視聴率を稼ぐことができました。

とにかく、トランプがテレビに出ると、軒並み視聴率があがるという状況でした。トランプ氏はこうして、結果としてマスコミを自分の味方につけたのです。これは、明らかに大統領選を意識した伏線だったとみなすべきでしょう。トランプ氏は意図して意識して、そのようなことを計算ずくで実行してきたのです。

そうして、この「アメリカを再びかつてのような偉大な国にするための100日プラン」も、したたかな戦略の中に位置づけられるとみなすべきです。

そうして、トランプ氏としては、この100日プランに掲載したことは、実行すべきものと考えていることだと思います。

しかし、実はアメリカ大統領といえども、できることと、できないことがあります。実は平時にはアメリカ大統領は世界でもっとも権限の少ないリーダーであるともいわれています。ただし、アメリカの政治においては、議会が戦争を承認した場合、その戦争を遂行するため、極めて多くの権限が大統領に集中するという特徴があります。

平時にもっとも権限が強いのは、司法であるともいわれています。実際、ニューヨーク連邦裁判所は28日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で拘束されていたイラク人男性の一時的な入国を認める判断を下しました。
 
司法の判断が、イラクなどの出身者の入国を停止・制限したトランプ氏の大統領令を阻止した形で、他の拘束者に同様の動きが広がる可能性もあります。

だから、大統領令だけで100日プランを全部実行できるようにするということは不可能です。しかし、そのこともトランプ氏の戦略には織り込み済みなのだと思います。

現在行われている、入国制限は、トランプ氏による観測気球であると考えられます。どの程度のことができるか、探りを入れている状況であると考えられます。

大統領令1号 リンカーン大統領による『奴隷解放令』

というより、トランプ新大統領は、100日プランに向けて大統領令を出すことにより、タブーといわれていたことにも、手を染めて、特に大統領選で支持をした有権者の目を自分に惹きつけ、自らが行動する大統領であることを国民にアピールしているのだと思います。

そうして、その裏側にはしたたかな戦術があるものと思います。大統領令を出したにしても、今回の司法による介入、議会による介入があって、100日プランが実行できなかった場合も、トランプ大統領がそれに向けて努力したということはアピールできます。

さらに、大統領令によって100日プランの一部が実現すれば、それはそれで評価されます。過去のアメリカ大統領は、選挙期間中に公約として掲げたことを結局実行しなかったということは当たり前にありました。これによって、国民は政治不信に陥ったり、自分の支持した大統領に失望し、反対派にまわるというようなこともよくあったことです。

オバマ大統領に関しては、選挙期間中に様々な活動をした若者層が離反するということがみられました。

トランプ大統領としては、このようなことを防ぐため、100日プランをだし、それに向けて行動し、行動したとしもなかなか成就できない場合、その原因や背景を誰の目にも明らかにするつもりであると思います。

とにかく、大統領選でも破天荒な行動をしたトランプ新大統領です。日米のマスコミも従来の大統領や、政治家などのつもりで、トランプ大統領の行動を分析したり、報道するようなことをしていては、また大統領選報道の二の舞いになります。

トランプ氏は言動や、行動は一見荒っぽくみえますが、実は民衆の声には敏感で繊細でさえあり、その中には常人にはなかなか見えないしたたかな戦略・戦術があるとみなすべきです。

そうして、日本の保守層もトランプ新大統領の戦略・戦術をその背景も含めて研究し、見習うべきと思います。もっと戦略とか計画とかいうものを立てて、その上でトランプ氏のように意図して意識して発言し、行動し、そうしてただ行動するだけではなく、成果をあげるべきです。

日本の保守層もネットでただ文句を言う、ストレス発散するレベルに陥っている人が沢山いて勿体無いというか、そんことでは組織立って体系的に行動する敵対勢力と戦いにはならないです。トランプ氏が台頭した背景、歴史、さらにトランプ氏の戦略・戦術をもっと深く研究すべきです。

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2019年11月1日金曜日

弾劾調査発表後、トランプ支持スーパーPACが1日に約100万ドルの資金を集める―【私の論評】米民主党もトランプ再選で、日本のような「腑抜け野党」になってしまうのか(゚д゚)!

弾劾調査発表後、トランプ支持スーパーPACが1日に約100万ドルの資金を集める

<引用元:FOXビジネス 2019.10.31

ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)

ナンシー・ペロシ下院議長が弾劾調査を発表してから、トランプ大統領支持の献金額が急上昇しているとある支持者はいう。

トランプ政権の元中小企業庁長官でアメリカファースト・アクションPAC(政治活動委員会)理事のリンダ・マクマホンは10月31日、自身のトランプ支持団体がペロシの発表から数日で数百万ドルを集めたと、FOXビジネスのニール・キャビュートに語った。

アメリカファースト・アクションのようなスーパーPAC(特別政治活動委員会)は、広告が候補者の公式選挙運動と連携しないという条件で、候補者を支持する広告に利用できる資金を無制限に集めることが許可されている。

「ナンシー・ペロシが弾劾調査を進めると発表した時、それから7日間で700万ドルを集めました。1日約100万ドルです」とマクマホンは話した。

「それは大統領を味方する人がたくさんいることを物語っていると私は思います」とマクマホンは話した。

2020年の選挙サイクルが始まってから、トランプ陣営は1億6,530万ドルを集めており、共和党全国委員会は1億6,870万ドルを集めた。合計で約3億3,400万ドルになる。

民主党全国員会は、2019年から2020年のサイクルの間、これまでに6,650万ドルを集めている。2020年7月の大会まで正式な民主党候補者は選ばれないため、現在の民主党大統領候補者は全員、個々の資金集めの合計となる。

【私の論評】米民主党もトランプ再選で、日本のような「腑抜け野党」になってしまうのか(゚д゚)!

米議会下院が10月31日にトランプ大統領の弾劾調査の承認と前進を採決しました。

弾劾調査プロセスを巡る決議案はほぼ党派に沿って賛成232票、反対196票で可決されました。これは弾劾調査の公開段階に向かうロードマップを提示しただけではありません。トランプ大統領弾劾の訴追決議案採決と、上院での弾劾裁判がほぼ不可避だという明確なシグナルでもあるのです。

トランプ氏は正式な弾劾調査プロセスの対象となった4人目の大統領となります。ビル・クリントン氏と南北戦争後のアンドリュー・ジョンソン氏の2人は下院で弾劾訴追されたのですが、上院では有罪判断を受けませんでした。リチャード・ニクソン氏は下院が弾劾訴追の決議をする前に辞任しました。

1970年代当時のニクソン大統領は、あまりの
不人気のためトイレットペーパーの絵柄された

しかし、トランプ氏は弾劾訴追されてから再選を目指す初の大統領になるかもしれないです。しかし、これでトランプの再戦はなしとみるのは、あまりに時期尚早です。

米野党・民主党のペロシ下院議長は9月24日、トランプ大統領の弾劾に関する調査を開始すると発表しましたが、その直後から、2020年の大統領選で再選を目指すトランプ陣営は弾劾調査が再選に有利に働くと主張していました。

同陣営の広報担当ティム・マータフ氏は「民主党が馬鹿な真似をした場合に備えて、多くの準備を整えていた。実際、民主党は馬鹿だった」と発言しました。

「おそらく献金が急増するだろう。大統領が圧倒的勝利に大きく近づいたと考えている」と述べました。

同氏は、ペロシ議長が弾劾調査を発表した直後の15分間で25万ドルの献金を集めたと表明していました。

トランプ大統領も6週間前に撮影した動画を直ちにツイッターに投稿し、「(弾劾調査は)魔女狩りのくずだ」と批判しました。

トランプ大統領

同大統領はニューヨークで記者団に対し「再選にプラスになると誰もが言っている」ともコメントしました。

共和党全国委員会は8月下旬のモンマス大学の世論調査で弾劾に対する有権者の支持が低かったことを指摘。また、民主党主導の下院で弾劾決議が可決されても、共和党主導の上院で大統領が有罪にならないことはほぼ確実です。

このため、ペロシ議長も弾劾調査には消極的な姿勢を示してきました。

トランプ陣営を勢いづかせているのも、こうした「弾劾は逆効果」という見方です。

あるホワイトハウスの当局者は、大統領は懸念していないと一蹴。別の当局者も、民主党が2016年の大統領選でのトランプ氏の勝利をまだ受け入れられていない証拠だとコメントしました。

来年11月の米大統領選に向けた民主党候補指名争いで、トランプ大統領(73)に勝てそうな新たな候補の登場を待望する声が民主党の有力支持者の間で広がりつつあります。

本命視された中道穏健派のバイデン前副大統領(76)の勢いが衰える一方、左派系のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)が支持を拡大していることを受け、「現状ではトランプ氏に勝てない」との危機感が強まっているためです。

ウォーレン氏の持論は国民皆保険や巨大企業分割です。しかし、これらは米国では多くの人が両手をあげて賛成するようなな政策ではありません。さらに、ウォーレン氏は国民皆保険のための、財源についても未だに語っていません。これでは、確かにトランプ氏には勝てそうもありません。

以前にもこのブログに掲載したように、クリントン大統領は弾劾裁判かけられた史上二人目の大統領ですが、下院で共和党が弾劾を可決し、上院がそれを否決した後、大統領への支持率が大きく伸びただけでなく、1998年の中間選挙で民主党が大躍進しました。

20年前の不倫弾劾の引き金となったモニカ・ルインスキー(左)と<クリントン大統領(右)

国民の弾劾への支持は充分でありません。9月18日発表のポリティコ/モーニング・ コンサルト世論調査によれば、議会が弾劾調査を開始することへの賛成はわずか37%で、半分が反対であす。米国人は、法を非常に重視するので、法に基づいて選出された大統領を裁く、それも議会が裁くことに強い抵抗があります。いずれの党が多数を占めようと国民の議会に対する信頼が常に低いことも影響しているでしょう。

ただし、民主党支持者に限ってみると数字は全く違います。次の民主党大統領予備選で票を投じるとしている有権者の68%が弾劾調査を支持し、反対はわずか20%です。この数字とウクライナ疑惑を考慮すれば、民主党指導層は弾劾調査に踏み切らざるを得なかったのでしょう。

そうして、この弾劾の動きは完全に失敗したようです。先にもロシア疑惑で弾劾の動きをして失敗した民主党が今度は、ウクライナ疑惑で弾劾裁判に打って出た民主党は、大統領選挙選では、よほど窮地にたたされているとみられたのでしょう。

現在までに弾劾などを不安に感じていた、人もこれはトランプ圧倒的に有利と確信できるようになったのでしょう。この種の献金では、やはりせっかく献金するのだから、その献金が無駄になって欲しくはないと誰しもが願うと思います。だからこそ、トランプ大統領支持の献金額が急上昇したのでしょう。

さて正式に弾劾裁判になったとすると、トランプ氏にクリントン氏のときのように、かえって支持がますことが予想されます。しかし、トランプ氏も黙ってはいないでしょう。裁判の過程でさまざまな民主党に対するしっぺ返しが展開されるかもしれません。

トランプ氏は弾劾訴追されてから再選を目指し当選する米国史上初の大統領になるかもしれません。そうなれば、民主党の権威は地に落ちることになり、長期にわたって、政権与党になる道が閉ざされるかもしれません。民主党はかなり危険な賭けにでたといえます。

日本の野党あたりも、参院あたりで、まかり間違って、多数派になれば、このようなことをするかもしれません。しかし、現状では経済学者の田中秀臣氏が言うように、"景気悪化をダメ押しする「空っぽ保守」と「腑抜け野党」"という状況ですから、安倍政権が増税したにもかかわらず、それに対して攻勢をかけられない「腑抜け野党」ですから、まかりまちがってもそのようなことにはならないでしょう。

米国の民主党は現状では、日本の野党よりは酷くはなさそうにみえますが、そもそもあり得ない弾劾裁判を二度にわたって繰り出すなど、だんだん日本の野党に似てきました。

日本の野党は何度選挙で負けても、なぜ負けたのか、その真摯な反省をしていないようです。米国民主党も、なぜ大統領選挙に負けたのか真摯な反省をしていないようです。

もし、来年の大統領選挙でトランプ氏が再戦された場合、米国民主党も日本の野党なみに「腑抜け野党」になることでしょう。

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