<解説>ウクライナ戦争の停戦交渉が難しいのはなぜ?ベトナム戦争、朝鮮戦争の比較に見る「停戦メカニズム」の重要
ウォールストリート・ジャーナル紙の3月18日付解説記事が、ウクライナ戦争の停戦交渉について、トランプ・プーチン電話会談までの進展を詳しく紹介しつつ、今後も厳しい交渉が続くとの見通しを示した。プーチン大統領は3月18日の電話会談で、ウクライナのエネルギーインフラに対する限定的な停戦に同意したが、トランプが推し進める長期的な和平計画には依然として抵抗を見せた。
トランプはこれまでキーウ側に譲歩を迫ってきたが、今回はロシアから初めて具体的な譲歩を引き出した。クレムリンに対し、関係改善と孤立解消を説得材料に使ったのだ。ホワイトハウスは、停戦合意を拡大するため中東でさらなる協議を予定し、「エネルギーとインフラの停戦、黒海での海上停戦、そして完全停戦と恒久的平和に向けた技術的交渉から始めることで両首脳が合意した」と発表した。
ゼレンスキー大統領は、プーチンが即時無条件停戦を拒否したことを非難し、ロシアがウクライナ南部と北部で新たな攻勢を準備していると警告。プーチンの要求する動員停止や西側の武器供与中止を「我々を弱体化させる狙いだ」と強く批判した。ロシアの譲歩は、米国の圧力でキーウが受け入れた完全停戦には程遠く、クレムリンは今後の交渉が厳しいと示唆。永続的平和には「根本原因」への対処が必要とし、ウクライナの4州占領やNATO排除を条件に挙げた。クレムリンは「ウクライナ問題」を米露二国間で処理し、キーウを交渉から排除したい考えを示したが、トランプがこれを受け入れるかは不明だ。
トランプの仲介には問題が浮上している。公平性が疑われ、ロシア寄りの姿勢が目立つ。ゼレンスキーは抵抗するも、トランプから武器供与や情報共有の停止をちらつかせられ、譲歩を強いられている。トランプは「停戦合意」の形を急ぎ、プーチンの立場を有利にさせる懸念がある。さらに、米国が当事者間を個別に調整する方式は誤解や猜疑心を招きやすい。トランプはウクライナ問題だけでなく、中東情勢やイラン核問題をプーチンと話し合い、停戦と別のディールを絡める可能性もある。ロシアは部分停戦を積み重ね、優勢な戦線を維持する戦略を取っているようだ。
歴史的に見ると、ベトナム戦争の休戦交渉が似ている。米国は北ベトナム軍の駐留を認め、南ベトナムに圧力をかけ合意させたが、米軍撤退後、北ベトナムが侵攻し統一が完成した。一方、朝鮮戦争では米軍が駐留を続け、北朝鮮の全面侵攻を防いだ。停戦には維持メカニズムが不可欠だと歴史が教えている。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。
昨日もこのブログに登場したエドワード・ルトワックというアメリカの軍事戦略家が、ウクライナ戦争の停戦について熱く語っている。彼の言葉には、現実と地政学が絡み合い、聞く者を引き込む力がある。
ルトワックは言う。ウクライナ戦争は、ロシアもウクライナも決定的な勝利を手にできない消耗戦だ。2023年10月の『UnHerd』のインタビューで、彼は「もう膠着状態だ。完全勝利なんて夢物語にすぎない」と言い切った。戦争を終わらせるには、米国が動くしかない。
ルトワックは、停戦が紙切れにならないためには仕組みが必要だと声を大にする。住民投票だけでは足りない。2023年の『Foreign Policy』で彼は言い放った。「ロシアは隙を見れば埋める。抑止力がなければ終わりだ」。米軍やNATOの駐留が鍵だと彼は見ている。朝鮮戦争のやり方を参考にしろと言うわけだ。「ウクライナ東部に米軍やNATOが少しでもいれば、ロシアは手を出せない」と2023年のCSIS討論で断言している。べトナムのような失敗は繰り返すなと。
私はルトワックの案に賛成だ。なぜか。現実を見据えたこの策は、血を流し続ける戦争を終わらせ、未来を切り開く力がある。住民投票で決着をつけ、米軍と有志国が駐留して守る。歴史が証明しているではないか。ベトナムみたいに逃げれば崩壊だ。朝鮮みたいに踏ん張れば持つ。ロシアを抑え、中国に備える。米国が動けば世界が変わる。この案は、弱さじゃなく強さだ。迷うな。進め。そして守れ。それが勝利への道だ。
日本はこの方向で米国を支えるべきだ。なぜか。まずは日本の実質GDPは、2023年時点で約4.2兆ドルだ。インフレ調整後の数字で見れば、世界3位。米国、中国に次ぐ経済力であるという地事実がある。名目GDPではドイツに抜かれ4位と言われるが、それはドイツの物価高騰と円安のせいだ。
戦前、日本はソ連と対峙し、アジアの防波堤だった。1941年、日ソ中立条約を結んだが、ソ連は終戦間際に裏切り、満州と北朝鮮を押さえた。その結果、北朝鮮が誕生し、朝鮮戦争で米国を脅かした。今のロシアや中国の台頭も、その流れの果てだ。当時日本が米国と協力してソ連を抑えていれば、アジアは違う道を歩んでいたかもしれない。
過去の過ちを繰り返すな。日本が米国と組んで駐留を支え、監視を固めれば、ウクライナはもとよりアジアも守れる。日本も経済力を出し、技術も出し、自衛隊の力も活かすのだ。2023年の実質GDP成長率は1.68%。日本は半導体製造装置や素材産業などで世界をリードしてる。この力を米国と合わせれば、ロシアも中国も震え上がる。
さらに、大胆な積極財政と金融緩和策で実質GDPを再び世界2位に押し上げれば、それが最大の抑止力になる。国民も防衛力増強やウクラライナ支援などに反対することはなくなる。1990年代、日本は実質GDPで2位だった。それが中国に抜かれた。過去の緊縮策ではダメだ。失われた30年を完璧終わらせろ。金をばらまき、需要をぶち上げ、企業を動かせ。2位を取り戻せば、アジアでの発言力が増し、ロシアや中国への牽制が効く。
日本が動けば、アジアの未来が変わる。誰もが頷くだろ。これが日本の道だ。米国と共に進め。そして守れ。勝利はそこにある。
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トランプはこれまでキーウ側に譲歩を迫ってきたが、今回はロシアから初めて具体的な譲歩を引き出した。クレムリンに対し、関係改善と孤立解消を説得材料に使ったのだ。ホワイトハウスは、停戦合意を拡大するため中東でさらなる協議を予定し、「エネルギーとインフラの停戦、黒海での海上停戦、そして完全停戦と恒久的平和に向けた技術的交渉から始めることで両首脳が合意した」と発表した。
ゼレンスキー大統領は、プーチンが即時無条件停戦を拒否したことを非難し、ロシアがウクライナ南部と北部で新たな攻勢を準備していると警告。プーチンの要求する動員停止や西側の武器供与中止を「我々を弱体化させる狙いだ」と強く批判した。ロシアの譲歩は、米国の圧力でキーウが受け入れた完全停戦には程遠く、クレムリンは今後の交渉が厳しいと示唆。永続的平和には「根本原因」への対処が必要とし、ウクライナの4州占領やNATO排除を条件に挙げた。クレムリンは「ウクライナ問題」を米露二国間で処理し、キーウを交渉から排除したい考えを示したが、トランプがこれを受け入れるかは不明だ。
トランプの仲介には問題が浮上している。公平性が疑われ、ロシア寄りの姿勢が目立つ。ゼレンスキーは抵抗するも、トランプから武器供与や情報共有の停止をちらつかせられ、譲歩を強いられている。トランプは「停戦合意」の形を急ぎ、プーチンの立場を有利にさせる懸念がある。さらに、米国が当事者間を個別に調整する方式は誤解や猜疑心を招きやすい。トランプはウクライナ問題だけでなく、中東情勢やイラン核問題をプーチンと話し合い、停戦と別のディールを絡める可能性もある。ロシアは部分停戦を積み重ね、優勢な戦線を維持する戦略を取っているようだ。
歴史的に見ると、ベトナム戦争の休戦交渉が似ている。米国は北ベトナム軍の駐留を認め、南ベトナムに圧力をかけ合意させたが、米軍撤退後、北ベトナムが侵攻し統一が完成した。一方、朝鮮戦争では米軍が駐留を続け、北朝鮮の全面侵攻を防いだ。停戦には維持メカニズムが不可欠だと歴史が教えている。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。
- ルトワックの停戦提案: エドワード・ルトワックは、ウクライナ戦争を消耗戦とみなし、もはやロシアにもウクライナにも勝利はないとする。米国主導で住民投票による解決を提案。ゼレンスキーとプーチン双方に受け入れ可能な案とし、米軍やNATOの駐留を抑止力にすべきと提案
- 歴史的教訓: ベトナム戦争では停戦後の米軍撤退で合意が崩壊し、南ベトナムが滅んだ。一方、朝鮮戦争では米軍駐留が休戦を維持。ルトワックは駐留の重要性を強調し、過去の失敗を繰り返すなと警告。
- 米国の役割: ルトワックは、米国が500億ドル超の支援と外交力で停戦を主導すべきと主張。ロシアを抑えつつ中国との対決を優先し、最小限の駐留と制裁で効率的に安定を図るべきと主張。
- 日本の支援の必要性: 日本は実質GDP世界3位の経済力を持ち、米国と協力してアジアの安定を支えるべき。過去のソ連対峙や2022年の対露制裁参加をなどから、ウクライナでの成功が東アジアの抑止につながるだろう。
- 経済強化の戦略: 日本は大胆な積極財政と金融緩和で実質GDPを2位に押し上げ、抑止力を高めるべき。半導体製造装置や素材産業のリーダーシップを活かし、ロシアと中国を牽制し発言力を取り戻すべき。
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エドワード・ルトワック |
ルトワックは言う。ウクライナ戦争は、ロシアもウクライナも決定的な勝利を手にできない消耗戦だ。2023年10月の『UnHerd』のインタビューで、彼は「もう膠着状態だ。完全勝利なんて夢物語にすぎない」と言い切った。戦争を終わらせるには、米国が動くしかない。
彼のアイデアはシンプルだ。ドネツクやルガンスク、クリミアといった紛争地域の未来を住民投票で決める。国連やOSCEが監視し、ゼレンスキーには民主的な正統性を、プーチンには面子を保つ出口を与える。「これならゼレンスキーも断りにくいし、プーチンも納得する」と彼は2023年の『The Telegraph』で力強く書いている。米国は、500億ドルを超える軍事支援と外交の力で、この流れを仕切るべきだと彼は睨んでいる。
歴史を振り返れば、ベトナム戦争の停戦交渉が頭に浮かぶ。1973年のパリ和平協定だ。米国はキッシンジャーの采配で、北ベトナム軍が南に居座る案を押し通した。南ベトナムのグエン・バン・チューは「裏切りだ」と叫んだが、米国は援助を切り上げるぞと脅し、合意を飲ませた。協定から2カ月で米軍は撤退。
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当時のベトナム共和国大統領グエン・バン・チュー |
だが、監視委員会は役に立たず、北ベトナムは軍を増強した。1975年4月、サイゴンが落ち、南は消えた。停戦を守る仕組みがなかったからだ。一方、朝鮮戦争はどうだ。1953年の休戦協定後、米軍は韓国に残った。今も28,500人が駐留し、有志国も当初は支えた。1954年、北朝鮮が仕掛けた小競り合いを米軍が叩き潰し、大事に至らなかった。70年以上、休戦が続いている。駐留の力がものを言ったのだ。
ルトワックは、停戦が紙切れにならないためには仕組みが必要だと声を大にする。住民投票だけでは足りない。2023年の『Foreign Policy』で彼は言い放った。「ロシアは隙を見れば埋める。抑止力がなければ終わりだ」。米軍やNATOの駐留が鍵だと彼は見ている。朝鮮戦争のやり方を参考にしろと言うわけだ。「ウクライナ東部に米軍やNATOが少しでもいれば、ロシアは手を出せない」と2023年のCSIS討論で断言している。べトナムのような失敗は繰り返すなと。
2014年のクリミア併合後、監視が甘かったから今があると彼は振り返る。「駐留がなけりゃ、プーチンは合意をゴミ箱に捨てる」と警告する。ただ、彼は中国との対決を優先したい。2024年の講演で「ウクライナに全力を傾けるな。太平洋が本番だ」と言い切った。だから、駐留は最小限でいい。5,000人規模の米軍とNATO部隊で十分だと踏んでいる。監視団や経済制裁も絡めて、効率よく抑え込む。それが彼の絵だ。ボスニアのデイトン合意も引き合いに出す。1995年、NATOの部隊が駐留して和平が保たれた。あれをウクライナでもやれと。
米国はどう動くべきか。ルトワックは、ウクライナへの支援を続ける一方、戦争を早く終わらせろと迫る。F-16やATACMSを渡してる今、支援は盤石だ。バイデン政権がNATO加盟を急がないのは賢いと彼は2023年の『Wall Street Journal』で褒めた。だが、戦争を長引かせるな。ベトナムみたいに投げ出すな。朝鮮戦争みたいに守り抜け。中国を睨む大局を見据えながら、だ。住民投票を仕切り、米軍と有志国で抑え、監視と制裁で固める。それがルトワックの答えだ。歴史の教訓と現実が交錯する彼の言葉は、読む者を最後まで引きずり込む。
私はルトワックの案に賛成だ。なぜか。現実を見据えたこの策は、血を流し続ける戦争を終わらせ、未来を切り開く力がある。住民投票で決着をつけ、米軍と有志国が駐留して守る。歴史が証明しているではないか。ベトナムみたいに逃げれば崩壊だ。朝鮮みたいに踏ん張れば持つ。ロシアを抑え、中国に備える。米国が動けば世界が変わる。この案は、弱さじゃなく強さだ。迷うな。進め。そして守れ。それが勝利への道だ。
日本はこの方向で米国を支えるべきだ。なぜか。まずは日本の実質GDPは、2023年時点で約4.2兆ドルだ。インフレ調整後の数字で見れば、世界3位。米国、中国に次ぐ経済力であるという地事実がある。名目GDPではドイツに抜かれ4位と言われるが、それはドイツの物価高騰と円安のせいだ。
戦前、日本はソ連と対峙し、アジアの防波堤だった。1941年、日ソ中立条約を結んだが、ソ連は終戦間際に裏切り、満州と北朝鮮を押さえた。その結果、北朝鮮が誕生し、朝鮮戦争で米国を脅かした。今のロシアや中国の台頭も、その流れの果てだ。当時日本が米国と協力してソ連を抑えていれば、アジアは違う道を歩んでいたかもしれない。
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ノモンハン事件 |
2025年の現在、日本は米軍と共同演習を重ね、F-35を配備し、中国の脅威に備えている。2022年、ロシアがウクライナに侵攻した時、日本は即座に経済制裁に加わり、G7の一角として米国を支えた。岸田首相は「ウクライナは明日の東アジアだ」と喝破した。その通りだ。ウクライナでロシアを止めなければ、中国は台湾や尖閣に手を出すだろう。
過去の過ちを繰り返すな。日本が米国と組んで駐留を支え、監視を固めれば、ウクライナはもとよりアジアも守れる。日本も経済力を出し、技術も出し、自衛隊の力も活かすのだ。2023年の実質GDP成長率は1.68%。日本は半導体製造装置や素材産業などで世界をリードしてる。この力を米国と合わせれば、ロシアも中国も震え上がる。
さらに、大胆な積極財政と金融緩和策で実質GDPを再び世界2位に押し上げれば、それが最大の抑止力になる。国民も防衛力増強やウクラライナ支援などに反対することはなくなる。1990年代、日本は実質GDPで2位だった。それが中国に抜かれた。過去の緊縮策ではダメだ。失われた30年を完璧終わらせろ。金をばらまき、需要をぶち上げ、企業を動かせ。2位を取り戻せば、アジアでの発言力が増し、ロシアや中国への牽制が効く。
日本が動けば、アジアの未来が変わる。誰もが頷くだろ。これが日本の道だ。米国と共に進め。そして守れ。勝利はそこにある。
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