2019年9月23日月曜日

ユネスコ「世界の記憶」年内改革を断念 韓国反対、作業部会で結論出ず―【私の論評】ユネスコはとうに死んでいる、日本も脱退すべき(゚д゚)!

ユネスコ「世界の記憶」年内改革を断念 韓国反対、作業部会で結論出ず



国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「世界の記憶」(世界記憶遺産)改革で、目標だった「今年内の実現」を断念した。改革案を検討する作業部会で、日本の主張に沿った新制度の大枠が固まる一方、韓国の反対で最終結論に至らなかったため。審査が凍結された慰安婦関連資料をめぐる日韓の対立が背景にある。

 作業部会が今月まとめた報告書は「改革の核心」で答えが出なかったと明記した。問題となったのは、登録申請された後、「内容が史実と異なる」などとして加盟国から異議が出た案件への対応。関係者によると、対話で決着がつかない場合、日本は「審査継続は困難」との立場を示し、多くの国が賛同した。韓国は「審査対象から除外すべきではない」と主張した。

 韓国が登録を支援する慰安婦関連資料は2017年、日本の強い反対を受けて登録判断が見送られており、韓国は新制度の導入で「同資料が審査枠から外されるのを警戒した」(外交筋)とみられている。

 作業部会は昨年、設立された。世界の記憶審査の透明化に向け、加盟国が関与する制度のあり方を検討してきた。これまでの審査は専門家で作る諮問委員会が非公開で行い、加盟国が申請案件に疑義を抱いても発言の場がなかったため、「政治利用につながる」との批判があった。作業部会の報告を基に、ユネスコ運営を担う執行委員会(58カ国で構成)で来月、改革案がまとまる予定だった。 

 改革は15年、「南京大虐殺文書」の登録をきっかけに、日本が強く主張してきた。ユネスコのアズレ事務局長も改革を支持。作業部会の論議には最多で100カ国・地域が参加するほど、関心は高かった。

 作業部会では審査について、(1)申請案件には最長90日間、加盟国の異議申立期間を設ける(2)登録は、執行委員会が最終的に承認する-などと大筋合意した。来月の執行委員会はこの報告を踏まえ、18カ国程度の小グループによる協議を継続し、来年中の改革実現を目指す方針を決める予定。だが、ユネスコ筋は「日韓が対立し続ける限り、協議は結論に至らないだろう。改革実施のめどがつかない」と懸念を強めている。

 慰安婦関連では、日米の非政府組織(NGO)が「慰安婦は性奴隷でなかった」と示す別の文書を登録申請。ユネスコは「双方の対話」の可能性を探っているが、見通しは立っていない。


 【用語解説】世界の記憶 重要な歴史文書や映像フィルムの保存や開示を促すためにユネスコが登録する事業で、1992年に開始。フランスの「人権宣言」、ドイツの「ゲーテの直筆文学作品、日記、手紙等」、日本の「御堂(みどう)関白記」など400件以上が登録されている。

【私の論評】ユネスコはとうに死んでいる、日本も脱退すべき(゚д゚)!

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」改革案を検討する作業部会では、「政治利用の阻止」を掲げる日本を中国やロシアなど多数が支持し、「韓国は孤立する場面が目立った」(外交筋)といいます。ユネスコは改革のため2年間、新規申請を受理しておらず、制度再開の遅れに不満を示す国も出てきました。

世界の記憶改革は冒頭の記事にもあるように、2015年、中国の「南京大虐殺文書」が登録されたのを機に日本が主張してきました。専門家で作る諮問委員会が非公開で行う従来の審査方法では、登録という「お墨付き」で文書内容を正当化しようとする「政治化」が防げないためです。ところが、作業部会で中国は日本に同調し、加盟国の審査参加で、制度を透明化すべきだという方針を支持しました。

なぜ中国が支持したかといえば、やはり「韓国の書院」世界遺産登録を巡って韓国に不満があったからだと考えられます。

国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が、李氏朝鮮時代に建立された「韓国の書院」を世界文化遺産に登録したことについて、中国から「書院は中国の文化」「また中国の歴史遺産が韓国に奪われた」と反発が出ています。

世界遺産をめぐる中韓の対立はこれが初めてではありません。「文化とナショナリズム」の問題は、日本も無関係とはいえないテーマです。

「韓国の書院」は16世紀に建てられた白雲洞書院など9か所で構成されます。儒教が盛んだった当時の朝鮮で、官製の学校と異なり、地域社会が設立した私設学校です。



一般的に、教育機関としての書院は7世紀の中国・唐の時代に始まり、16世紀に朝鮮半島へ伝わったといわれています。先代の賢人を祭る祠堂(しどう)と、儒学を学ぶ書斎を兼ね備えるのが基本的構造で、朝鮮半島の書院もこれにならっています。

中国書院学会副会長の鄭洪波(Zheng Hongbo)氏は「李氏朝鮮の書院は、中国の書院制度を受け入れたことで発展を遂げており、その影響は実に大きい」と指摘。「朝鮮独自の部分もあるので世界遺産登録に反対はしないが、韓国の書院がアジア全体の書院文化を体現することはできない」とくぎを刺しました。

インターネット上の意見は、もっと激しいです。

2005年に韓国が申請した「江陵端午祭」が無形文化遺産に登録された際、中国メディアやネット上で「中国発祥の文化・端午節が韓国に奪われた」と批判が起きました。それだけにネットでは「今度は書院文化まで乗っ取られた」「本家である中国の書院はまだ世界遺産になっていないのに」という意見が相次ぎました。

中国の書院については、白鹿洞書院を含んだ廬山国立公園や、嵩陽書院を含んだ鄭州の歴史建築群が世界遺産に指定されています。ところが、「中国の書院」という形では登録されていません。

世界遺産は1か国につき一度に2件しか申請できず、2件を申請する場合も1件は自然遺産の申請が求められています。文化遺産の候補は、申請段階で「順番待ち」を余儀なくされるのです。

韓国からの反論もあります。「文化の起源論争をすれば、きりがない。仏教関係の遺産はインド以外、申請できなくなるではないか」

その理屈でいえば、中国で仏教彫刻の石窟として名高い「龍門洞窟」や、チベット仏教の聖地・ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群などが世界遺産に登録されたことはどうなのか、と議論することも不可能ではありません。そして中国人の多くは「外来文化を独自に発展させたのだ」と反論するでしょう。

日本の政治家や文化人が中国を訪れ、日中友好イベントに参加すると、「日本と中国はともに漢字を使っている民族。同じ文化を共有する間柄として仲良くしていきましょう」とあいさつすることをよく見かけます。

こういう時、中国人は内心、「同じ漢字って…。中国人が発明した漢字を日本人が使っているんでしょう?」と思っており、親しい日本人に実際にそう打ち明けます。

日本の幕末から明治期において、福沢諭吉や西周(にしあまね)ら日本の知識人が西洋の政治制度や文化を吸収・翻訳し、「自由」「哲学」「主観、客観」などの言葉を考案し、東アジアに広まっていきました。

現在中国で用いられている、政治・学術や産業の専門用語は、このときに日本から移入されたものです。共産主義ということばもその時に移入されたものです。

優れた文化は各地に広がり、そして発展を遂げて帰ってくるものです。文化をナショナリズムの道具とみなすか、国境や民族を超えて、手を結びあえるインターナショナルなツールとするべきなのか、それは一人一人の考えに委ねられています。

国際組織の多くは、問題を抱えていますが、ユネスコも例外ではありません。国際的な枠組みからの離脱を相次いで表明している米トランプ政権は昨年12月31日付で国連教育科学文化機関(ユネスコ)からも脱退しました。

ユネスコの姿勢が反イスラエル的だとして2017年10月に脱退を通知しており、18年末が脱退時期でした。その後はオブザーバーとして参加していますが、ユネスコ内で中国などの影響力が増すとの懸念は広がっていました。

米国脱退は、ユネスコが17年7月に、パレスチナ自治区のヘブロン旧市街を世界遺産に登録したことがきっかけとなり、イスラエルも続いて脱退を表明。ただ、ユネスコがパレスチナ自治政府の正式加盟を認めた11年以降、米国は分担金の支払いを停止しています。

深刻な資金難に加え、ユネスコをめぐっては、中国が世界記憶遺産に申請していた「南京大虐殺文書」の登録を決めるなど政治的な偏向が問題視されています。アズレ氏は「政治化阻止」の組織改革に取り組んでいますが、米国が脱退し中国の勢いが増す中、実現性は不安視されています。

ユネスコの創設趣旨は、人の心の中に平和のとりでを作ることです。当然公正でなければならない筈なのに、日本の反対を押し切って、中国が主張する歴史問題にお墨付きを与えてしまったのはとうてい日本としては許容できるものではありません。これでは国や人々の対立を深めるだけで、まさにユネスコは死んだ、としか私には思えません。



南京事件については、様々な意見に分かれています。日本国内の学者間でも意見の相違は大きいです。今後もしっかりした検証が求められますが、そういう状況の中で中国だけの言い分に沿って「記録遺産」に登録させることは断じて許すべきではありません。

韓国も今政府の支援で元慰安婦の支援団体が登録を目指しています。ここで放置すれば同じことが繰り返されることは必定です。

重ねて政府の断固たる姿勢を促したいです。日米が抜ければ、ユネスコは形骸化して骨抜きになります。

「南京大虐殺文書」の登録当時、日本政府はユネスコへの拠出金の停止や減額を検討

そんなところに莫大な負担金など払うべきでないです。日本政府は駆け引きではなく、本気で直ちに分担金停止を通告すべきです。

ユネスコなど潰して、新たな国際組織をつくるべきです。

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2019年9月22日日曜日

韓国・文政権「通貨スワップ」を日本に哀願 背景にウォンの脆弱さ…専門家「日本なら締結して当然と思っているのかもしれない」―【私の論評】本当は、韓国に対して生 殺 与 奪の権を持つ日本(゚д゚)!


17年8月に「通貨スワップ」に関して発言した麻生財務大臣

戦後最悪ともいわれる日韓関係のなか、文在寅(ムン・ジェイン)政権から日本との「通貨交換(スワップ)協定」の再開を渇望する声が出ている。「反日」に走り、日本製品や日本への旅行の「ボイコット」を放置しているというのに、なぜ厚かましくも日本とのスワップ再開にこだわるのか。専門家は、通貨ウォンの脆弱(ぜいじゃく)さという切迫した事情が背景にあると指摘する。

 韓国のCBSは12日、殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長が、日本との通貨スワップ再開を希望する意思を明らかにしたと報じた。金融危機が発生した場合に外貨の流動性が保障されるほか、国家の信頼度が向上の狙いとして、人事聴聞会で「日本と新たに締結したほうがいい」と発言したという。

 通貨スワップ協定は、貿易決済や為替介入などに必要な外貨が不足した場合、外貨と自国通貨を交換し合う仕組み。経済危機の際の外貨不足に対応できる。

 1990年代後半に韓国が国際通貨基金(IMF)に救済されるなどアジア通貨危機が起きたことから、日本は東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓が参加する「チェンマイ・イニシアチブ」を主導。2001年に韓国との通貨スワップを締結した。

 11年に700億ドル(約7兆5000億円)規模まで融通枠を拡大したが12年に李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が島根県・竹島に上陸するなど日韓関係の悪化を受けて規模が縮小。朴槿恵(パク・クネ)政権当時の15年、日本側の忠告にもかかわらず韓国側が一方的に破棄した。16年にいったん協議再開が決まったが、同年末に釜山(プサン)の日本総領事館前に設置された慰安婦像を韓国が撤去できず、協議は中断した。

 その後も韓国側からは何度も“ラブコール”が送られている。韓国の経済団体「全国経済人連合会(全経連)」の代表団が18年に訪日した際、自民党の二階俊博幹事長らを表敬訪問し、通貨スワップの再開をもちかけた。延世大のキム・ジョンシク教授は、今年3月の中央日報に「日本との通貨スワップを拡大することも検討する必要がある」と述べている。

 韓国が日本との通貨スワップ再開を熱望する理由について、ジャーナリストの須田慎一郎氏は「韓国の場合、ウォン建ての国債を発行してもリスクがあるため、投資家に信用されていない。急激なウォン安に備えてドル資金を確保するためにも通貨スワップ協定を結んでおきたい」と解説する。

 韓国銀行(中央銀行)の発表によれば、8月末時点での外貨準備高は約4014億ドル(約43兆4000億円)ある。リスクに備えているようにもみえるが、須田氏は「いったんウォンの買い支えを行えば外貨準備は急激に減少し、通貨危機ともなれば“瞬間蒸発”する恐れがある」と指摘する。

 日本側にとっては、韓国を助ける要素が強い通貨スワップだが、逆ギレして協定を打ち切った韓国から、勝手に再開をもちかけられている形だ。

 麻生太郎副総理兼財務相は17年8月の時点で、韓国との通貨スワップ協定について「信頼関係で成り立ってますので、約束した話を守られないと貸した金も返ってこない可能性もある」と突き放している。

徴用工裁判の原告

 現状もいうまでもなく、いわゆる「元徴用工」訴訟で国際法を無視した異常判決や軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄など問題山積で、通貨スワップ協定を再び締結できる状態にはほど遠い。

 米国との通貨スワップ協定も終了しており、再契約の見通しは立っていない状態だ。前出の須田氏はこう語った。

 「日本なら締結して当然と厚かましく思っているのかもしれない。通貨スワップは韓国への救済に等しいが、まるで韓国は『デフォルト(債務不履行)になってもいいのか?』と自らを人質に取り、日本の道連れも辞さずと脅しているようだ」

【私の論評】本当は、韓国に対して生 殺 与 奪の権を持つ日本(゚д゚)!

韓国への対応策として、「通貨スワップ」の交渉をしないというのは、かなり効き目のある対応策です。これに限らず、金融に関しては、韓国と日本との間では、信用力に雲泥の差がありますし、日本が韓国の命運を握っているといっても過言ではありません。

上の記事で、隅田氏は「韓国の場合、ウォン建ての国債を発行してもリスクがあるため、投資家に信用されていない。急激なウォン安に備えてドル資金を確保するためにも通貨スワップ協定を結んでおきたい」と解説しています。

これは、どういうことかとえば、そもそも韓国の通貨ウォンは国際通貨(ハードカレンシー)ではないし、韓国の政府系銀行は財務状況も健全ではなく、信用度は低いということです。

ウォンはドルや円とは異なり、国際通貨ではない

そこで、日本は韓国の銀行が発行する『信用状』(=貿易用の小切手)を日本の銀行が保証する枠を与え、間接的に支援しています。もし、こうした支援を打ち切ることになれば、韓国はとんでもないことになります。

貿易をしても、その決済ができないということになります。あくまで、韓国への「優遇措置」を取り消すだけでそうなります。

韓国ウォンは国際通貨ではないので、日米などのハードカレンシー国と為替取引ができなくなれば、そもそも、貿易ができなくなります。

昨年、米国は北朝鮮絡みで韓国の銀行に警告、ドルの直接送金ができなくなりました。日本のメガバンクが金融保証をやめれば、韓国は貿易ができなくなります。

それどころか、日本の大物政治家が一言「韓国向けの債券には注視することが必要だ」と口先介入するだけでも、韓国側はドルの調達ができにくくなるでしょう。

輸出依存度(GDPの40%近くを占める)が高い国だけに、輸出も簡単ではなくなり、貿易赤字は増え、通貨ウォンは売られて、価値が下落することになります。

これが現実となれば、韓国の金融面でのリスクは高まりかねないです。1997年の「アジア通貨危機」の再現も考えられます。このときに、通貨スワップは韓国にとって、強力な助っ人となるでしょうが、日本としては、再度締結することはないでしょう。

韓国に対しては、対韓輸出管理体制の強化のようなモノよりカネのほうが韓国への打撃が大きく、日本国内関係者への誤爆が少ないです。日本政府は韓国に対して、まだ強力な金融のカードを温存していると言って良い状況です。

日韓関係は、韓国が派手大騒ぎをして、いかにも主導権を握っているように見せかけたいのでしょうが、実際には主導権は日本にあるのです。このようなことを文在寅は、知った上でもなお、日本に対していちゃもんをつけ続けているわけです。日本もなめられたものです。

文在寅

しかし、日本政府は100件余りの報復カードを準備したともいわれています。現在は、やっとその1つを、しかもかなり軽いものを出しているに過ぎません。今後、段階的なカードがまだまだ準備されているということです。

 この金融カードは、かなり強力なものですが、それ以外にも日本は韓国に対して、通商農・水産物の輸入制限(農林水産省)、戦略物資の輸出制限(防衛省)、短期就職ビザの制限(法務省)、送金制限(財務省)があります。

他にも、韓国のカントリーリスクを高めるという方法もありました。これは、以前このブログで説明したので、ここでは述べません。

韓国政府の対応によっては、日本政府は、強力な経済報復に出ることが可能です。

いつまで、韓国が反日で騒ぎ回って、何も具体的な行動をしなでいられるか、見ものです。

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2019年9月21日土曜日

【田村秀男のお金は知っている】政治も「ガチョウの沈黙」に便乗!? 消費税が「悪魔の税制」といえるワケ―【私の論評】国民はもっと怒れ! 本当は増税率25%の大インパクト(゚д゚)!



 日本の法人税率は29・74%という建前だが、ソフトバンクグループは税引前純利益1624億2200万円もあるのに、納税額は500万円、税負担率0・003%。日本製鉄はそれぞれ1109億2200万円、16億1500万円、1・46%。これは、元国税マンで税制研究の大家、富岡幸雄・中央大学名誉教授が近著『消費税が国を滅ぼす』(文春新書)で明らかにした。

 大企業がまともに納税すれば約9兆円の税増収となり、消費税増税は不要どころか、消費税減税が可能になるという。消費税率を下げれば、家計の消費は上向き、内需は拡大、20年以上もの間、日本経済を停滞させてきたデフレ圧力は解消、日本再生の見通しが立つ。消費税増税による日本経済破壊ぶりを論じてきた拙論にとって、まさに正鵠(せいこく)を射た思いだ。消費税というのはつくづく「悪魔の税制」だと思う。

 消費税を世界で初めて導入したのは第二次世界大戦後のフランスだが、その基本的な考え方は17世紀、ルイ14世の財務総監、ジャン・バティスト・コルベールの「徴税の極意」に由来する。

 吉田寛・千葉商科大学教授の近著、『市場と会計』〔春秋社〕によると、コルベールは、生きているガチョウを騒がせずに、その羽をできるだけ多くむしり採ることだ、とうそぶいた。騒ぐとやっかいな貴族や僧職には課税せず、宮廷に出入りすることのない平民を徴税の対象とした。

 日本でも消費税が1989年に導入されて以来、財務官僚は何かとうるさい財界には法人税率を引き下げる一方、収入をむしり取られてもおとなしい家計に対しては消費税率アップで臨む。そればかりか、法定税率はあくまでもみかけだけで、内実は企業規模が大きくなればなるほど実際の税負担率は下がっている。忠実に税を納めているのは主に中堅規模の企業だという。

 日本国の国土、文化・伝統や国民の献身などあらゆる資源を最大限利用しているソフトバンク、日本製鉄のような超大企業が巨大な利益を稼いでいるのに税負担が小さくても、お上からとがめ立てられることはない。

 政治の方も、「ガチョウの沈黙」に便乗している。安倍晋三政権は消費税率を2014年度にそれまでの5%から8%に引き上げたばかりか、今年10月には10%とするのだが、安倍政権は消費税増税にもほとんど影響されずに安定した世論の支持率を保っている。

 このままだとどうなるか。家計なるガチョウは1997年度の消費税増税以来の慢性デフレにさいなまれている。子育てや教育にカネのかかる30歳から50歳未満の世代の2018年の給与は01年よりも少ない。


 グラフは家計消費と消費税、法人税、所得税など一般会計税収総額の推移である。税収増減額はほぼぴったりと家計消費増減額に連動している。政府税収は消費税率を上げない限り増えない。法人税は上記のような不公正ぶりだ。

 ガチョウを太らすことを考えないどころか、やせ細ろうとも、気にしない。そして平然と毛をむしり取る。(産経新聞特別記者)

【私の論評】国民はもっと怒れ!  本当は増税率25%の大インパクト(゚д゚)!

日本経済を旅客機にたとえると、増税で超低空飛行することに・・・・・・

今回の、消費税を「2パーセント」の増税と軽く考えている人もいますが、本当はそうではありません。「買った物の値段の8パーセント」の税が「10パーセント」に増えるので、税金としては「25パーセント増税」です。率でみれぱ、25%の増税率なのです。
計算式にすると10-8=2  2÷8=0.25  0.25×100=25(%)
すでに数十数パーセントのものを、2%だけあげるというのとは全く異なります。

400万の年収が500万になったら、年収は25%アップと同じ考え方です。おそらくほとんどの人が、年収が25%もアップすれば、かなり年収のアップを実感できると思います。

消費税の場合も、それと同じで。頭の中で2%と大勢の人が思っていても、実際に増税されれば、増税率は25%ということがすぐに実体験として感じ取られることになります。

それに、10%というと切りがよく、誰でも計算できるので、さらに始末が悪いです。10万のモノを買えば、 1万、1千万のモノを買えば、100万です。

因みに消費税3%の時から計算すると10%増税は、330%の増税率ということになります。これでは、消費が減るのも無理はないです。

そうして、これでは景気が良くならないのも無理はないです。個人消費支出は、景気を左右する最も大きな要素です。

日本経済を巨大な旅客機とたとえると、国内総生産(GDP)はその高度にたとえられます。これが増えていれば、経済成長率がプラスとなって好景気、反対に減少していれば、経済成長率がマイナスで、不景気となります。

旅客機を飛ばしているエンジンに相当するのが、①個人消費支出、②設備投資、③輸出入、④政府支出、の4項目で、この合計がGDPとなります。

この中でも、個人消費支出と設備投資は、「景気の両輪」と呼ばれることもあるメインエンジンです。ところが、設備投資がGDP全体の15%程度を占めるのに対して、個人消費支出は、全体の60%程度を占める圧倒的な規模を持つのです。

最近は個人消費は減っているか、12年頃までは60%程度を占めていた

したがって、設備投資が2%増えても、経済成長率は0.3%しか増えないのですが、個人消費支出が2%増えると、経済成長率は1.1%も増えることになります。
こうしたことから、「機長」である政府にとって、旅客機の高度を上げて景気を良くするためには、個人消費支出を増やすことが、最も効率的ということになります。それでは、個人消費支出を増やすための政策には何があるのでしょうか。

私たちが消費を増やすのは、収入が増えた場合です。したがって、「機長」である政府は、税率というレバーを操作して減税を実施、所得を増やすことで消費拡大を実現しようとするのが常道です。

反対に、消費が増えすぎ、インフレなどの弊害が発生している場合には、増税をして、エンジンの過熱を抑えるべきなのです。

しかし、減税が個人消費支出の増加に直結するわけでありません。実際バブル崩壊後の深刻な不況期、政府は度重なる財政出動(総額100兆円)を行ったのですが効果は無く、個人消費支出は一向に増えませんでした。

ちょうどこのあたりに、日銀は株価、土地価格等の資産価格が上昇していたものの、一般物価はほとんど上昇していなかったにもかかわらず、金融引き締めに転じてしまいました。これが大失敗でした。

将来に不安を感じていた人々は、財政出動分の大部分を貯蓄に回し、消費の拡大には消極的になりました。この結果、個人消費支出は増えずに景気は低迷、日本経済という旅客機の飛行状況は、さらに悪化してしまったのです。

日本経済のメインエンジンである個人消費支出は、景気の動きを大きく左右する最も重要なものです。しかし、その動きは中央銀行(日本では日銀)の金融政策に大きく左右され、「減税すれば消費は増える」という単純な図式は成立しません。

このメインエンジンをいかにコントロールするかは、日本経済という旅客機の安定的な飛行に直結するものであり、機長である政府(財務省)の手腕と、日銀の金融政策の手腕が問われるのです。

さて、財政政策については、ブログ冒頭の記事のような状況です。減税どころか、増税するという有様です。

では、日銀の金融政策はどうかといえば、インフレ目標は達成目前だったのですが、8%への消費増税で台無しになってしまいました。今では、「2%」の目標ははるか遠いものになってしまいました。

黒田バズーカのキモは国債を買いまくることに尽きるのですが、最近は日銀も手を緩めています。

2016年9月から、名目金利に着目する「イールドカーブ・コントロール」という新方式に変更した結果、国債の購入ペースは年間80兆円から年間30兆円に減額しているのです。



国債購入ペースが落ちている以上、予想インフレ率も、実際のインフレ率も芳しくないのは当然のことです。

日銀が国債購入額を減額したのは、市中の国債の品不足が理由だとしています。

ところが、'19年6月末の国債発行残高は980兆円もあります。日銀の保有国債は46%の454兆円です。

「コップに水がまだ半分も入っていない」と考えれば、526兆円もの国債が市中には残っているのです。インフレ目標達成を第一に掲げるなら、日銀は国債購入ペースを落とす必要はなかったのです。

日銀が、この状況にある現時点で、2%増税をすると、個人消費が確実に低下して、日本経済という旅客機はエンジンを減速せざるをえず、低空飛行余儀なくされることになります。

このような実体を知って、国民はもっと怒るべきです。おとなしくしていては、ますます、毛をむしり取られ「やせ細ったガチョウ」に成り果てることになります。

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2019年9月20日金曜日

ロシア統一地方選の結果をいかに見るべきか―【私の論評】日本が本気で北方領土返還を狙うというなら、今は中国弱体化に勤しむべき(゚д゚)!

岡崎研究所

 9月8日、ロシアでは、州知事や共和国の首長などを選出する統一地方選挙が実施された。このところ、モスクワでのデモ、地方での環境保護を求める抗議活動といった、プーチンの人気に陰りが出ていることを示す出来事が目に付くようになってきていたため、それなりに注目されたが、結果は、モスクワ市議会選挙などごく一部を除き、プーチンの与党の圧勝であった。モスクワ市議会選挙では共産党が勝利した。


 モスクワでは、今回の統一地方選挙に向けて野党系の候補者をプーチン政権側が不当に排除したのではないかということで、真の自由選挙を求めるデモが毎週行われていた。一方、地方では、モスクワその他の都市からのゴミの大きな埋め立て地を田舎に作る計画に対し、多くの抗議活動が行われている。そのほか、不満の源には、インフレ、停滞する生活水準 、定年延長、長距離トラックへの新しい通行料、ソーシャルメディア規制などがある。

 モスクワでのデモのインパクトが限定的であるのは、環境悪化や生活コストなどについてのロシア社会の不満を取り込むことに失敗しているためである。真に競争的選挙を呼びかけるというのは価値のあることではあるが、少し理念的に過ぎ、大衆の生々しい不満を反映する幅広いアピールに欠けている。他方、地方での抗議活動は生活に根差した不満の反映ではあるが、そこまで深刻なものではないということであろう。

昨年5月にも大統領就任式を前に各地で大規模な抗議デモが
 ロシアにおける抗議活動はプーチンの人気が下り坂にあることを示しているものの、今回の統一地方選挙の結果からも、プーチンが2024年までの任期を全うすることに問題を投げかけられているような状況にはないと言える。モスクワのデモも、市議会選挙で共産党(選挙から排除された野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイが支持を呼び掛けていた)が勝利したこともあり、次第に収束していくのではないか。

 ただ、プーチン流の強権的なシステムが長期的に続くかどうかは、慎重な検討が必要であろう。フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのTony Barberは、8月26日付け同紙に‘After two decades in power, Putin should heed the warning signs’と題する論説を掲載、今後のロシアについて展望を示している。Barberは、以下のような点を指摘している。

・プーチンは2000年から2008年にかけて、エリツィン時代の社会混乱を克服し、石油価格上昇を通じて所得増を実現し、人気のある指導者であった。

・最近では、経済的不満、環境についての懸念、権力濫用への不平が、ロシア国民に対するプーチンの立場を悪くしているが、プーチンの権力掌握は弱くない。彼は反対を打ち砕く圧倒的な力を持っており、取り巻きは富と生き残りのために彼に依存している。

・しかし、時の経過とともに、ポスト共産主義の初期の経済・社会の崩壊を覚えている世代は消え去っており、プーチン以外の指導者を知らない若いロシア人が出てきている。少なくとも彼らの一部は変化を強く望んでいる。

・ロシア史を振り返ると、こうした時代は過去にもあった。ニコライI 世の長く専制的な支配が終わった 1850年代、 1953年のスターリン死後、ブレジネフの「停滞の時代」が終わった 1980年代である。 ピョートル大帝以来、ロシアでは、改革と反動が交代してきた。

・モスクワでのデモや環境についての抗議活動に次の自由化のサイクルを見るのは時期尚早であるが、何事も永遠ということはない。

 このBarberの論説は、ロシア史を踏まえて書かれた良い論説である。ロシア史は、スラブ主義者と欧化主義者が交代して指導者になってきた歴史であると考えてよい。Barberは改革と反動の交代と言っているが、そうも言えるだろう。

 プーチン後は、欧米諸国との関係を重視する政権がすぐにではないにしても、出てくる必然性が高いように思われる。どれくらいのスピードでそうなるかは分からないが、一旦変化が生じると加速度がついて、行き過ぎたりするようなところがロシア人にはある。

 それから、プーチンが任期満了後にすんなりと退任するのかという問題がある。つまり、鄧小平やカザフスタンのナザルバエフのような最高指導者を目指す可能性はないのかということである。これについては、ロシアには「院政」の伝統はないと思われるので、可能性はあまり高くないのではないだろうか。

【私の論評】日本が本気で北方領土返還を狙うというなら、今は中国弱体化に勤しむべき(゚д゚)!

9月5日にウラジオストクで行われた安倍晋三首相とプーチン・ロシア大統領の通算27回目の首脳会談は、平和条約交渉で一切進展がなく、暗礁に乗り上げた形でした。ロシア側は「2島」すら引き渡さない方針を固めており、安倍首相の「独り相撲」(朝日新聞と産経新聞の社説)が鮮明になりました。安倍外交は対露戦略の総括と見直しが急務です。

第27回日露首脳会談

日露両国は昨年11月のシンガポールでの首脳会談で、歯舞、色丹2島引き渡しをうたった1956年日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意し、今年から本格交渉に入ったのですが、ロシア側は一転して高飛車に出ました。国是の「4島返還」から「2島」へ譲歩することで妥結は可能とみなした安倍首相の判断は裏目に出ました。

産経新聞(9月3日)は、ロシアが1月の国家安全保障会議で、「交渉を急がず、日本側のペースで進めない」「第2次大戦の結果、4島がロシア領となったことを日本が認める」などの交渉方針を決めたと報じました。事実なら、対日強硬路線を機関決定したことになり、プーチン大統領やラブロフ外相の一連の強硬発言もこれによって説明がつきます。

その背景として、大統領の支持率低下や民族愛国主義など国内要因が指摘されますが、むしろこの1年の米中露3国関係の構図の変化がロシア外交に与えた衝撃が大きいようです。

米露関係は、米国が対露制裁を強化し、国防予算を拡大して新型兵器開発を進めるに及んで、ロシアにとってはオバマ時代よりも悪化しました。ロシアは中国一辺倒外交に傾斜し、米中貿易戦争の長期化で、中国もロシアの利用価値を重視するようになりました。
こうして「米国対中露」の対立構図が深まり、ロシアは日米同盟を問題視するようになりました。ロシアにとって日本の重要性は以前より低下し、北方領土問題は米中露3国関係の新展開の中に埋没したということでしょう。

今後、プーチン政権と交渉を続けても、領土問題は低調な議論が続くだけでしょう。「私とウラジーミルの手で必ず領土問題に終止符を打つ」という首相得意のフレーズは色あせ、これを信じる国民はもはやいないです。むしろプーチン政権の存在自体が領土交渉の足かせになっているとの認識を持つ必要があります。

交渉が事実上破綻した今、安倍首相はこれまで秘匿してきた大統領との交渉内容を部分的にでも国民に開示し、領土政策を「4島」から「2島」に転換した真意を説明すべきでしょう。

対露支援8項目協力など経済協力を優先し、国家主権意識や安全保障観の希薄な経済産業省主導外交が通用しなかったことも、この際総括する必要があります。

大都市の若者が毎週末に行う反プーチン・デモが示すように、ロシアの若い世代には長期政権への閉塞感や国際的孤立への不満が強い。ポスト・プーチン時代を見越した長期的な対露戦略の再構築を図るべきです。

さらには、このブログでも過去に主張してきたように、現在の米中冷戦は、これからも長く続くことになること、中国が弱体化したときに、かつての中ソ対立が激化したときのように、中露対立が激化することも計算入れ、対露戦略を考えていく必要があります。

中露対決が激化したとき、ロシアは最大の危機を迎えます。現在のロシアのGDPは東京都や韓国なみです。日本の1/3規模です。そのロシアがクリミア占領や、中東に軍隊を派遣したりしているのです。

現状では、かつてのソ連のように、米国と制裁合戦をする余力もなく、米国から一方的に制裁をされるだけの状態です。かつてのソ連なら、米国から制裁をされたら、何らかの方法でそれに対して必ず報復したものです。やはり、経済が日本の1/3の国にできることは限られています。現状では米国抜きのNATOに対してもまともに対峙することは不可能です。

無論ロシアは、旧ソ連の核兵器や軍事技術を引き継いでいますから、軍事的には侮ることはできませんが、経済的には日本と比較すれば、小国と言っても良いくらい規模です。世の中には、未だロシアを超大国とみなし、北方領土の返還など、ありえないとする人もいますが、そんなことはありません。

やりかたを間違えなければ、帰ってくる可能性は、十分にあります。

ポストプーチンでロシア国内の求心力が弱まり、中露対立がかなり高まったときこそが、日本にとっての最大のチャンスです。

現状では、中露の経済力の差はとてもなく大きく、さらにロシアの人口が1億4千万であるのに比して、中国は13億人以上です。

これでは、現在のロシアは、どうみても中国に対抗できるわけもありません。しかし、米国による対中国冷戦で中国経済は弱体化しつつあります。更に弱れば、ロシアは積年の恨みつらみから、ロシアの中国に対する不満はいずれ大爆発します。

その時には、中露対立が顕になり、国境紛争も再度勃発することになるでしょう。現状の、中露の協調関係など、上辺だけのものに過ぎません。これは、元々はいつ破綻してもおかしくない関係なのです。

1969年3月2日中ソ国境紛争

その時こそ、日本の北方領土返還交渉のやり時なのです。安倍総理は、完璧に時期を間違えたと思います。

4島返還を本気で狙うなら、今から戦略を立てるべきです。当面は、ロシアには目もくれず、とにかく中国弱体化に勤しむべきなのです。

本来は、そのような時にいくら麻生氏が政権運用に不可欠とはいいながら、財務省の馬鹿共の策略にひっかりり増税などしている場合ではないのです。

国力を増す北方領土交渉を有利にするためにも、今は経済を良くするため、デフレからの完全脱却のために、増税などすべきではないのです。

安倍総理は、今のままだと、憲法改正はできず、北方領土交渉にも緒すらつけられず、政治生命を終えることになりかねません。

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2019年9月19日木曜日

対イランで多くの選択肢、48時間以内に制裁発表=トランプ米大統領―【私の論評】反対者のいない世界に安住すると敗者になる。トランプ氏は?


トランプ大統領

トランプ米大統領は18日、イランに対する措置には多くの選択肢があるとした上で、48時間以内に経済措置を発表すると述べた。

 トランプ氏はロサンゼルスで記者団に対して「多くの選択肢がある。究極の選択肢があるほか、それ以下の選択肢もある。様子をみる」と述べ、「究極の選択肢は、戦争を始めるということだ」と説明した。

 これより先にトランプ氏はツイッターに、財務省に対してイランに対する制裁を強化するよう指示したと投稿していた。

 米国は、先週末のサウジアラビアの石油施設に対する攻撃にイランが関与したという立場を示しており、米イラン間の緊張が一段と高まっている。

 石油施設攻撃を巡る対応を協議するためサウジアラビアを訪れたポンペオ米国務長官は18日、石油施設への攻撃は「戦争行為だ」と主張。来週の国連総会での主要議題になるとの見方を示した。

 ポンペオ氏は「先例のない規模の攻撃」と指摘し、「攻撃はサウジの領土内で発生し、サウジに対する直接的な戦争行為だ」と言明した。

 サウジアラビア国防省は18日、サウジアラムコの石油施設の攻撃に使用された無人機(ドローン)と巡航ミサイルの残骸を公表した。サウジは双方ともイランのものとしており、こうした残骸は同国の関与を示す「否定できない」証拠だとした。

 サウジ国防省のマルキ報道官は記者会見で、14日の攻撃では合計25の無人機と巡航ミサイルが使用されたとし、無人機はイランの「デルタ・ウイング無人航空機(UAV)」、巡航ミサイルはイラン革命防衛隊が使用している「ヤ・アリ」と識別されたと明らかにした。「攻撃は北方から行われており、イランが背後にいたことに疑いがない」とし、無人機とミサイルの残骸が証拠となり、こうした疑いは「否定できない」と述べた。

 この攻撃を巡っては、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が無人機で攻撃したと犯行声明を発表しており、イランは関与を否定している。

 イランのロウハニ大統領は18日、中東地域での紛争は望んでいないと表明するとともに、イエメン内戦を引き起こしたのは米国とサウジアラビアが主導する軍事連合だと主張した。イランの国内メディアが報道した。

 ロウハニ大統領は「われわれは、この地域での紛争を望んでいない。誰が紛争を引き起こしたか。イエメンの人々ではない。この地域で戦争を始めたのは、サウジアラビア、アラブ首長国、米国、一部の欧州諸国、(ユダヤ教の)シオニストだ」と述べた。

【私の論評】反対者のいない世界に安住すると敗者になる。トランプ氏は?

今回のサウジアラビア攻撃の背後には、間違いなくイランがいるものと考えられます。このサウジアラビア攻撃は、ボルトン辞任直後におきました。そのため、ボルトンの読みはあたっていたとする人も多いようです。

もし、ボルトンが今も辞任しないでいたとしたら、どうなっていたのでしょうか。


これまでのトランプ政権の閣僚や大統領補佐官らの解任や辞職は、合理的で事情通の穏健な人物が退けられ、強硬派が取って代わることが多かったです。

ところが今回のボルトン氏解任(本人は「自分から辞意を申し出た」と主張)はそれとは逆で、さすがのトランプ氏もボルトン氏のあまりのタカ派ぶりに愛想をつかしてクビにしたのです。

来年の大統領選を前に、北朝鮮との非核化交渉などで成果を演出したいトランプ大統領には邪魔者だったようです。

トランプ大統領は解任を発表後、「私はこれまで彼の多くの提案には、他の政権幹部と同様に強く反対してきた」と述べました。

以前からトランプ氏は側近に、「もしジョン(ボルトン)の言う通りにしていたら、今ごろ米国は4つの戦争を抱えていたところだ」と漏らしたといいます。

ジエームス・マティス氏

2019年1月1日に辞職した前国防長官ジェームズ・マティス海兵大将は、ボルトン氏を「悪魔の化身」と評したこともあります。歴戦の智将にとっては、戦争を知らない超タカ派の外交官は腹立たしい限りだったかもしれません。

ボルトン氏を切り捨てたことは、トランプ政権が北朝鮮、イランに対する先制攻撃を行わず、ベネズエラへの介入を避け、アフガニスタンの和平交渉を進展させる方向にかじを切りつつある兆候と考えられます。

今後それらの交渉や和解がうまくいくか否かは予断を許さないですが、戦争の危険が若干なりとも減じたとはいえるでしょう。

ポンペオ氏はトランプ大統領に徹底的に忠誠で、トランプ氏が「私はポンペオ氏以外とは誰とも争った」と言ったほどのイエスマンです。

大統領が対話、和解に目を向け、更迭したマクマスター前補佐官の意見も徴していると知れば、それに向かって努力するかもしれません。

ボルトン氏更迭の翌日、9月11日の記者会見で、菅義偉官房長官は「ボルトン氏は日米同盟の強化や北朝鮮問題の対応を含むインド・太平洋地域と国際社会の平和と安定に尽力した。これまでの貢献に感謝したい」と述べました。

トランプ大統領は、北朝鮮が米国本土に届くICBMの配備さえしなければ、「米国に対する北朝鮮の核の脅威を除去した」と米国民に実績を誇ることができます。

「完全な非核化」の目標に対し満点ではないが90点は取れる形ですから、北朝鮮が射程300キロ級の短射程弾道ミサイルの発射をしても不問に付す姿勢です。日本に届く中射程のIRBMにも関心は薄い様子です。

日本では「米国がICBM廃棄だけで北朝鮮と和解すれば最悪の事態」との声が強いです。

もちろん北朝鮮の核の完全廃棄が望ましいですから、「オール・オア・ナッシング」を唱え、「核の完全廃棄まで経済制裁の手を緩めるな」と主張するボルトン氏を日本政府が頼りにしたのは自然なことではあります。

しかし、真の「最悪の事態」は、核戦争です。

滅亡の淵に追い込まれた北朝鮮が自暴自棄になり、「死なばもろとも」の心境から、核ミサイルを日本の米軍基地(横須賀、佐世保、三沢、横田、岩国、嘉手納など)に発射し、さらに東京、大阪などが狙われれば、日本が滅びかねない大惨事になりかねません。

核攻撃に対して報復能力を示し、攻撃を諦めさせる核抑止戦略は、相手の理性的判断を前提とし、自暴自棄の相手には効果がありません。

「自爆テロの犯人は死刑に処す」と言っても効き目がないのと同じです。

同盟の強化もあまり効果はないです。

通常兵器による戦争なら同盟国軍と協力し、侵攻して来る敵軍を陸でも空でも撃退することが可能ですが、核ミサイルは戦線を飛び越え、直接こちらの心臓部に落下して来ます。

相手が弾道ミサイルを発射する前に、航空機などによる先制攻撃で敵ミサイルをすべて破壊できればよいのですが、北朝鮮の弾道ミサイルは移動発射機に載せて、山岳地帯のトンネルに隠され、いざとなればトンネルから出てミサイルを直立させて発射します。

旧式の「ノドン」では発射まで約1時間、燃料を充填したまま待機する新型だと数分で発射できます。しかもその詳細な位置を事前に知ることは困難です。

ダミーのトンネルもあるでしょう。また山腹のトンネルを上空からの爆撃でつぶすことも容易ではありません。

偵察衛星が常時敵地の上空にいてトンネルなどから出てきたミサイルを発見できるように思う人も少なくないですが、偵察衛星は時速2万数千キロの速力で周回し、1日に約1回各地の上空を通過します。

カメラの首振り機能やレーダーの能力を生かしても、1日に1分程度しか撮影はできないです。 

静止衛星は高度3万6000キロの赤道上空を周回し、地球の自転と釣り合うから静止しているように見えます。ところがこの高度からではミサイルは見えず、発射の際に出る赤外線を感知できるだけです。

しかも先制攻撃をするなら、すべての目標をほぼ同時に破壊する必要があります。そうでないと相手は残ったミサイルを発射してきます。

飛来する弾道ミサイルを迎撃するのも容易ではありません。日本の弾道ミサイル防衛に当たるのは、イージス艦6隻(他に2隻進水、艤装中)と航空自衛隊の弾道防衛用ミサイル「PAC3」34両です。

イージス艦は各種のミサイルを垂直発射機に最大90発ないし96発を積めますが、弾道ミサイル防衛用の「SM3」ミサイルは各艦8発しか搭載していません。今後増やす予定てすが「SM3」の新型は1発40億円もしますから、そう多くは買えません。

「PAC3」は射程20キロ程度ですから、地点防衛にしか役に立たず、発射機1両に16発積めますが4発しか積んでいません。日本のミサイル防衛は政府が言う「万全の備え」どころか、気休めにすぎないのです。

日本の安全保障を考えたとき、残念ながら北朝鮮を追い詰め、自暴自棄にしないことが安全保障の良策と考えざるを得ないところがあります。

トランプ政権が、北朝鮮に対して、米国に届くICBMさえ配備しなれば、経済制裁を徐々に緩める政策を選ぶとすれば、日本にとっては腹立たしいです。

ところが北朝鮮にICBMがなければ、米国は、もし北朝鮮が日本や韓国に対して核攻撃をした場合、自国が核攻撃を受ける心配をせずに報復攻撃を行うことができます。

米国が核兵器を極東に持ち込まなくても、アラスカ沖で常に待機している弾道ミサイル原潜から核ミサイルを発射できますから、北朝鮮が自暴自棄になっていなければ、十分に抑止力を保てます。

そう考えれば、日本の官房長官がボルトン氏に「感謝」する必要はないのかもしれません。

むしろ彼の更迭は米国が無謀な戦争に向かう危険をいささかなりとも減じ、日本の安全にも寄与する、と内心歓迎すべきではなのかもしれません。

反対者のいない世界に安住すると敗者になる

ただし、ボルトン辞任には私自身は両手をあげて賛成することはできません。ボルトンなら、日本を守るためには、日本が自前で、中短距離核ミサイルを配備すべきとか、在日米軍が配備すべきと主張するかもしれません。まともな人なら、こういった意見にも耳を傾けなぜそう思うのかを聴くべきなのです。

マネジメントの大家である、ドラッカー氏は意思決定において意見の不一致こそが問題への理解を促すとしています。私もそう思うからです。

「成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカー氏は、意思決定の過程では意見の不一致が必要だといいます。理由は三つあります。
第一に、組織の囚人になることを防ぐためです。組織では、あらゆる者が、あらゆる決定から何かを得ようとします。特別のものを欲し、善意の下に、都合のよい決定を得ようとします。トランプ氏はまさに、選挙戦に都合の良い決定を得ようとしているのかもしれません。
しかし、そのようなことでは、小さな利害だけで決定が行なわれることになります。問題の理解抜きでのそのような決定の仕方は、きわめて危険です。
さらに、プーチンのように、クリミアを併合したことが、国民の賛同を得て、支持率をあげたという例もあります。無論米国と、ロシアはあまりに国情が違いすぎるので、単純に比較するわけにはいきませんが、米国とて、その時々によって必ずしも強硬的な手段が必ず国民から忌避されるとは限りません。
第二に、選択肢、つまり代案を得るためです。決定には、常に間違う危険が伴います。
最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違うこともあります。決定のプロセスにおいて他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討ずみのもの、理解ずみのものを持つことができます。
逆に、全員一致で決めていたのでは、その決められたものしか案がないことになります。
第三に、想像力を刺激するためです。理論づけられ、検討し尽くされ、かつ裏づけられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となります。すばらしい案も生まれます。
明らかに間違った結論に達している者は、自分とは違う現実を見て、違う問題に気づいているに違いないと考えなければならないです。
もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければならないです。意見の不一致こそが宝の山なのです。意見の不一致が問題への理解をもたらしてくれるのです。
いかなる問題であろうとも、意見の不一致が皆無などということは、奇跡です。ましてや、四六時中奇跡を起こしているなどありえないと心得るべきです。それでは、会社ならば社長が一人いれば良いことになりますし、米国であれば大統領一人がいれば良いということになってしまいます。
企業等の意思決定についても、意見の不一致が必要なのです。ましてや、米国政府の意思決定ならば、意見の不一致がでるのは当たり前です。そうでなければ、異常です。特にリーダーは、自分と良く意見の不一致がある人を身近におき、そういう人の話こそ真摯に耳を傾けるべきなのです。
後で不祥事となった行動の多くが、ろくに議論もされずに決められていることは偶然ではないのです。
何も反対者の意見を必ず全部受け入れろといっているのではないです。問題の本質を見極めるために、反対者の意見が必要だと言っているのです。これが理解できない人は、いかなる組織のリーダーにはなるべきではないです。なれば、組織が腐るだけです。
特に日本の、リベラル・左翼の方々は、このあたりを全く理解していないようです。日本の核配備など、最初から聴く耳を持ちません。反対意見を聴いて、なぜそのように考えるのかということを最初から忌避しているようです。だから、最近ではリベラル・左翼は、弱体化しているだと思います。
「成果をあげる者は、何よりも問題の理解に関心をもつ」(『経営者の条件』)のです。
こうした観点からみれば、ボルトン氏のような人も必要なのです。優れた経営者や、為政者も、周りを追従者だけで固めたり、自分の考えだけでものごとを進めてはいけないのです。

トランプ氏はボルトン氏を辞任させましたが、それでも周りを賛成者だけで固めているということはないようです。しかし、韓国の文在寅はチョグク氏などをはじめとして、追従者ばかりで周りを固めているようです。敗者になるのは、どちらでしょうか。今のところ、文在寅氏が敗者になる確率が極めて高いようにみえます。
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2019年9月18日水曜日

放置は禁物、韓国政府代表が米国の新聞で日本を攻撃―【私の論評】歴史修正をしているのは韓国である(゚д゚)!

放置は禁物、韓国政府代表が米国の新聞で日本を攻撃
事実を無視して捻じ曲げる韓国外務省報道官

米国ニューヨークの高層ビル群。米国で韓国の広報活動が活発化している

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日韓対立が激化するのに伴い、韓国の米国に向けた広報活動が活発となってきた。

 9月上旬、韓国外務省の報道官が米国の大手新聞への寄稿で、今回の日韓の衝突は結局は日本が「朝鮮半島の違法な植民地化への責任を認めていないために」起きたと主張した。また、日韓両国対立の真の原因は「日本の歴史修正主義であり、過去を反省しないこと」だとも非難した。

 外務省報道官によるこの投稿は、米国をなんとか味方につけようとする韓国の年来の告げ口外交の典型と言えそうである。日本側としても、こうした「告げ口」を封じるための米国向けの広報活動が必要だろう。

「問題の核心は日本の歴史的な修正主義」

 韓国外務省の金仁澈(キム・インチョル)報道官は米国大手紙ウォール・ストリート・ジャーナル(9月8日付)に日本政府を非難する記事を投稿した。記事のタイトルは「日本は韓国との合意を守っていない」である。金報道官は同記事でこのところの日本と韓国の戦時労働者や慰安婦問題をめぐる対立について、以下のように主張していた。

韓国外務省の金仁澈(キム・インチョル)報道官

・韓国は1965年の日韓請求権協定を忠実に守ってきたし、それを破る意図もまったくない。韓国大法院は同協定を守りつつ、日本による違法な植民地統治と侵略戦争に直接関連づけられる強制労働の犠牲者たちが受けた損害は、同協定の対象には含まれないことを指摘した。

・日本はこの協定締結への長い交渉の過程で、朝鮮半島の植民地化への法的責任を認めることを拒否してきた。韓国側は日韓請求権協定を保持しながら大法院の判決を履行する方法を探ろうと努力してきた。だが、日本側は対話を拒み、貿易面での報復措置をとった。

・この問題の核心は日本の歴史的な修正主義であり、過去を完全に反省しない態度である。

事実を無視し、捻じ曲げる報道官

 日本の朝鮮半島統治の期間中に起きた韓国側の「被害」や「犠牲」への賠償請求は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」と規定されている。だが金報道官の主張はそれを無視する形となっていた。

 しかも、日本側が韓国大法院の判決を違法であるとして、今年(2019年)1月に日韓請求権協定に基づく韓国政府との協議を要請したにもかかわらず、韓国政府は協議の要請に応じなかった。金報道官はそのことも無視し、むしろ事実を曲げていた。

 さらに、大法院判決を受けて原告が日本企業の財産差押手続を進める中、韓国政府は何の行動もとらなかった。そのため日本政府は今年5月に日韓請求権協定第3条2に基づく仲裁付託を韓国政府に通告し、仲裁の手続を進めた。しかし韓国政府は応じなかった。そのことにも金報道官の投稿は触れていなかった。

 要するに金報道官がウォール・ストリート・ジャーナルに投稿した記事は、今回の日韓対立は日本側が朝鮮半島の植民地支配の過去を反省せず、その歴史を歪めていることから起きたのだ、とする一方的な主張だった。

「反論」になっていない牽強付会の主張

 こうした韓国側の勝手な主張が、米国で最大部数を有する主要新聞になぜ掲載されたのか。

 実は金報道官の寄稿は、同じウォール・ストリート・ジャーナルの8月23日付に載った日本外務省の大菅岳史報道官による投稿への反論の形をとっていた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは8月3日付社説で日韓対立問題を取り上げ、日本政府の韓国に対する貿易面での優遇措置撤回を「保護貿易主義的な外交がグローバルに広がる」として批判していた。その社説に対して大菅報道官は日本の立場を説明し、日本の対韓措置が決して「保護貿易主義的な外交」ではないことや、元戦時労働者問題での韓国側の動きに対する「報復」でもないことを主張していた。

 金外務省報道官の投稿は、その大菅報道官の投稿への反論だった。だが、問題はまったく論理的な「反論」になっていないことである。韓国側は、日本の対応が「保護貿易主義」「報復措置」かどうかという論点をあえて飛び越し、今回の日韓対立はそもそもが「日本側の違法な植民地支配」や「歴史修正主義」「過去を反省していないこと」に原因があるのだという牽強付会の主張を、米国で広げる動きに出たというわけだ。

日本に足りない広報活動

 すでにこの連載コラムで伝えたように、韓国政府は米国の首都ワシントンにある「韓国経済研究所(KEI)」などを使い、シンポジウム開催や論文発表、あるいは同研究所所属の専門家の発言などを通じて韓国側の主張を米国で広める広報活動を展開している。

 一方、日本政府はワシントンの「日本広報文化センター」やロサンゼルスの「ジャパン・ハウス」という立派な対米広報施設を持ちながら、今回の日韓対立に関してはなんの広報・宣伝活動も行っていない。

 この違いのせいか、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど米国の大手紙では、現在の日韓対立について「そもそも日本側の苛酷な韓国統治から生じた事態」とするような記述が多い。韓国外務省の金報道官のウォール・ストリート・ジャーナルへの投稿とまったく同じ趣旨である。

 日本側としては、そうした記述を否定し、韓国側の一方的な主張の広がりを防ぐ広報活動がぜひとも必要とされるだろう。

【私の論評】歴史修正をしているのは韓国である(゚д゚)!

韓国は、日本が歴史修正主義であるかのような主張をしていますすが、これは全く出鱈目です。韓国のほうが、歴史修正主義です。

韓国はことあるごとに自国を「第2次大戦の戦勝国である」と主張し、学校の教科書でも「韓国人は連合軍の一員として日本と戦った」と教えています。しかし、そのような事実はありません。それどころか、事実は全くその逆です。

日米開戦に至るまで、朝鮮の人々は日米交渉を固唾をのんで見守り、米国の一方的要求に切歯扼腕(せっしやくわん)しました。「米英撃つべし」の声が日増しに高まり、1941年12月8日、真珠湾奇襲が報じられると、彼らは内地の日本人に勝るとも劣らぬほど熱狂し「聖戦完遂」に立ち上がりました。

同月14日には、朝鮮の人々による朝鮮臨戦報国団全鮮大会が開催され、戦後商工大臣になった詩人の朱耀翰(チュ・ヨハン)は次のように訴えました。

朱耀翰(チュ・ヨハン)氏

「正義人道の仮面を被り、搾取と陰謀をほしいままにしている世界の放火魔、世界第一の偽善君子、アメリカ合衆国大統領ルーズベルト君」「しかし、君らの悪運は最早尽きた」「一億同胞…なかんずく半島の二千四百万は渾然一体となって大東亜聖戦の勇士とならんことを誓っている」

こうして大東亜戦争が始まると、特別志願兵募集に朝鮮の若者が殺到した。42年には、採用数4077人に対し、25万4273人が応募している。適齢期の健康な男子の大半が志願したことになります。朝鮮は儒教国家であり、応募するには父母、親族の許しが必要でした。大東亜戦争へ対する朝鮮民族全体の圧倒的な支持があったことがうかがわれる数字です。

このような高倍率を突破して合格した青年たちは、当然ながら優秀であり勇敢でした。38年に志願兵第一期生として入隊した崔慶禄(チェ・ギョンロク)はニューギニア戦線で一個小隊を率いて米軍に切り込みをかけ、全身に被弾しました。


部下の出田上等兵に担がれて後退し、新兵当時から彼に目をかけていた参謀長の小野武雄大佐がこれを発見しました。「彼を死なせては陛下と朝鮮人民に申し訳がたたん」と叫んで手厚く後送し、ようやく一命を取りとめた。(=出田上等兵はその場で絶命、小野大佐も戦死しました)

崔慶禄は戦後、外交官となり駐英、駐日大使などを歴任しています。駐日大使着任時には、天皇陛下に信任状を奉呈する際、通常10分のところ、かつての大元帥陛下と切り込み隊長は40分にわたって話し込んだといいます。万感の思いがこみ上げたのではないでしょうか。

大東亜戦争で、朝鮮の人々はよく戦いました。軍人と軍属合わせて合計24万人あまりが前線に赴き、アジアの植民地を解放するために日本人と生死をともにしました。

このような詳細までは、知らなくても、前後しばらくの間は、日本人も韓国人もこのような事実の概要は知っていました。知っていたというか、自ら体験していました。それは、子供の代にも受け継がれました。

そのため、少なくとも、現在70歳以上の人たちは、このような歴史を日本人も韓個人も共有していました。だから、これらの人たちが多数行きていた戦後まもなくからしばらくまでは、韓国が歴史修正主義的なことを主張しても、それを日本でも韓国でも社会が受け入れませんでした。

ところが、1990年代から様子が変わってきました。このように歴史を正しく継承してきた人たちが大勢亡くなっため社会の中では少数派になってしまいました。

韓国の歴史修正主義が始まったのは、このあたりからです。さらに、体系的、組織的な反日教育もはじまりました。現在のものごころついた世代以上〜30歳台くらいまでの若い世代が、反日教育を受け、現在に至っています。

私は、このブロクでは、韓国は日本にとって無視すべき国としていますが、無視と放置は違います。無視とは、存在価値を認めないこと、あるいは、あるものをないがごとくみなすことをいいます。放置とは、そのままにしてほうっておくこと。所かまわず置きっぱなしにしておくことです。

韓国が日本に対して歴史修正をし続けるのであれば、このことについては、放置するわけにはいきません。韓国を無視するためにこそ、放置は禁物なのです。

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2019年9月17日火曜日

【社説】サウジ石油施設攻撃はイランの答え―【私の論評】原油輸入依存する日本、石油危機も!本当は、増税している場合ではない(゚д゚)!

イランを警戒していたボルトン氏は正しかった
ウォール・ストリート・ジャーナル

赤の囲みは、今回ドローン攻撃を受けた箇所

 ドナルド・トランプ米大統領が2015年のイラン核合意からの離脱を表明して以来、イランは中東各地で軍事的緊張を高め、米国の決意を試してきた。サウジアラビア石油施設への攻撃にイランが関与した疑いがあることは、この不安定化の動きが新たな段階に入ったことを意味する。トランプ氏がイラン政策の軟化を検討しているときに攻撃が起きたことは偶然ではない。

 14日の攻撃を受けて、サウジの原油生産量は日量約570万バレル減少した。イランの支援を受けるイエメンの反政府武装勢力「フーシ派」が犯行声明を出したが、マイク・ポンペオ米国務長官はツイッター上でイランの関与を主張し、「攻撃がイエメンから行われた証拠」はなかったと述べた。イランは攻撃への関与を否定しているが、直接的な衝突を避けるために代理組織を使うのがイランの常とう手段であり、他に思い当たる犯人もいない。

 今回の攻撃は2つの地域大国間の局地的紛争以上の意味を持つ。攻撃によって世界の1日当たりの原油生産量は約5%減少した。サウジは減少分を相殺するための備蓄放出を約束しているが、生産を早急に回復させることができなければ、原油価格が上昇し、既に不安定な世界経済が痛手を受ける恐れがある。

 米国のシェールオイル生産が不足分の一部を補うことは可能だが、それも時間がかかる。原油供給へのダメージが長期化すれば、米国は、トランプ氏が検討していたイラン産原油輸出制裁の緩和をさらに強く求められるだろう。

 今回の攻撃は、米国の重要な同盟国であるサウジとイランの激しい代理戦争の一環だ。被害の大きさを考えると、サウジが今後、ドローン攻撃から十分に自国を防衛できるかは疑問だ。サウジの情報体制と防空システムはその任に堪えられそうもない。原油生産の減少はサウジの歳入に響く。先行きが不透明になれば、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に悪影響が及ぶだろう。

 攻撃を行ったのがフーシ派ではなかったとしても、イランはイエメンでアラブ有志連合と戦うフーシ派を支援している。フーシ派はサウジ国内や紅海を航行する石油タンカーへの攻撃を激化させている。もしサウジがイエメンをフーシに奪われれば、イランはアラビア半島をめぐる代理戦争にも勝利したことになる。サウジは理想的な同盟国とは言い難いが、サウジへの支援打ち切りを求める米上院議員は、イランに中東地域の覇権を握らせないための代替案を考えるべきだ。

 ホワイトハウスによると、トランプ氏はサウジのムハンマド皇太子と電話会談し、米国による支持を約束した。しかしホワイトハウスは言葉だけで終わらせるべきではない。

ムハンマド皇太子

 イランはサウジに対してだけではなく、トランプ氏にも探りを入れている。「最大限の圧力」をかけるというトランプ氏の決意を試し、弱みをかぎつけている。イランが夏に米国の無人機を撃墜したが、トランプ氏は軍事的報復の提案を拒否した。イランの対外工作を担うコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官はこれまで、こうした抑制的な動きがあると、イラン側に分があり事態をエスカレートさせても問題ないと解釈してきた。

 トランプ氏はイランのハッサン・ロウハニ大統領との直接会談についても前向きで、ポンペオ氏は国連総会の場での首脳会談を提案した。トランプ氏はエマニュエル・マクロン仏大統領が提案したイランへの150億ドル(約1兆6200億円)の支援への支持も検討している。週末の攻撃はそうした米国の動きに対するイランの答えだ。

 米国による制裁でイランの原油輸出はダメージを受けたが、イランはまだ他の石油製品から1カ月当たり数億ドルの収入を得ている。米国のリンゼー・グラム上院議員はイランの原油生産に対する直接攻撃を検討すべきだと主張しており、イランはその選択肢がないわけではないことを知っておくべきだ。

 サウジ主導の有志連合も、フーシ派に対するイランの武器供給を遮断するには多くの支援が必要だ。米国がイエメンへの関与を深めることに慎重になるのも理解できるが、イランが勝利し、イエメンでヒズボラのような体制が台頭すれば、米国の安全保障上の利益が損なわれる。そうなればシリアとレバノンの二の舞だ。

 トランプ氏がジョン・ボルトン氏に謝罪することになるかもしれない。ボルトン氏は、イランがホワイトハウスの弱点を見つけてはそこを突いてくると繰り返し警告してきた。そのボルトン氏は先週、イラン政策などをめぐる意見の相違から大統領補佐官を辞任した。週末の攻撃はボルトン氏が正しかったことをはっきりと証明した。トランプ政権の圧力キャンペーンは効果を上げている。今それを断念すれば、イランはこれまで以上に軍事的リスクを取るだろう。

【私の論評】原油輸入依存する日本、石油危機も!本当は、増税している場合ではない(゚д゚)!

イラン製ドローン

今回のドローン攻撃でサウジアラビアが失ったものは、原油生産ばかりではありません。米CNBCによれば、サウジアラムコが被った被害額は310億ドルに上ります。

重要なのはフーシ派がドローン攻撃を行った地域が「サウジアラビアの石油産業の中心地」(アブドラアジズ新エネルギー相)だったことです。ブルームバーグは「今回の攻撃はサウジアラビアの心臓発作を誘った」と報じていますが、サウジアラビアへの心臓部への攻撃が続けば、サウジアラビアは突然死しかねないです。

さらに「ビジョン2030」を掲げ脱石油依存型経済に邁進するムハンマド皇太子の夢が水泡に帰する可能性すらあります。

原油価格の下支えに向けたOPECプラスの協調減産のため、日量1200万バレルの生産能力を有しているサウジアラビアの実際の原油生産量は、日量1000万バレル弱に減少していますが、原油価格は一向に上がる気配を示さないことから、原油収入が大幅に落ち込み、サウジアラビアは今年再びマイナス成長となるリスクが高まっています(9月5日付ロイター)。

国家財政の「穴埋め」を行い、なんとしてでも経済成長への道筋に戻さなければならないムハンマド皇太子が当てにしていたのが、サウジアラムコの新規株式公開(IPO)の早期実施でした。ムハンマド皇太子は8日、IPOに消極的だったとされるファリハ氏の首をすげ替える荒療治を行ったばかりでしたが、今回のドローン攻撃でIPOは振り出しに戻ってしまうでしょう。

サウジアラビアの安全保障環境が改善されない限り、サウジアラムコのIPOばかりか、サウジアラビアへの外国投資も一層低調になるのは火を見るより明らかです。

ムハンマド皇太子に対する王族の非難が高まり、「宮廷クーデター」が勃発するなど地政学リスクが一気に高まるというシナリオも現実味を帯びてきました。市場関係者の間では「サウジリスクが長期化すれば、原油価格は1バレル=100ドルに高騰する」との声が出ています(9月14日付OILPRICE)。

世界経済を支える米国ですが、過去5回の景気後退のうち4回(1973年、1980年、1990年、2008年)で直前に原油価格が急騰していました。このことを鑑みれば、サウジリスクにより原油価格が高騰すれば、先行き不安が強まり世界経済への大きな打撃になることは間違いないです。

では、米国はどのような手を打つのでしょうか。あるいは、何ができるのでしょうか。それが問題です。答えはもしかすると、「あまりなにも」かもしれないです。

米政府は断固として、サウジ政府を支持しています。しかし、サウジアラビアが主導するイエメン内戦への軍事介入は、米連邦議会ではすでに評判が悪いです。サウジによる空爆は無意味ですし、ただでさえ貧困にあえぐイエメンを人道危機に陥れているだけだという認識が、日に日に高まっているのです。

ところが、今回のようなインフラ施設への攻撃によって、奇妙な側面もあらわになりました。トランプ政権はしきりにサウジ政府を応援するし、イランへの「最大限の圧力」をしきりに強調します。しかし実際には、米政府がイラン政府に発するシグナルの内容は、とても玉虫色なのです。

それというのも、トランプ氏は実は近く開かれる国連総会にあわせて、イラン政府幹部と対面して会談する用意がありそうな様子ですし、ジョン・ボルトン氏を国家安全保障担当補佐官の職から更迭したばかりです。そしてトランプ政権で特にイランの政権変更を強硬に主張していたとされるのは、ボルトン氏でした。

ジョン・ボルトン氏

イランとフーシ派は、強大な敵に立ち向かう弱者として、典型的な戦法をとっています。軍事戦略の教科書が「ハイブリッド紛争」と呼ぶものです。否認性、代理の使用、サイバー作戦、情報戦など、ロシアが得意とする作戦の中から、様々な戦術を借りて使っています。

トランプ氏がどれほど大げさに騒いで予想もつかない振る舞いをしようと、実のところは厄介な軍事対立から撤退したいし、新しい武力紛争にアメリカを巻き込みたくないのが本音だと、イラン政府は承知しています。そのためイランはイランで、「最大限の圧力」を米国にかけることができるのです。

しかし、計算を間違えれば全面紛争につながる危険はあります。そのようなことは実際、誰も望んではいません。

原油価格高騰を防止するため、米国政府は「戦略石油備蓄(SPR)」の放出準備に入りましたが、原油輸入の4割をサウジアラビアに依存する日本も「国家石油備蓄」の放出の準備をただちに開始すべきです。

そうして日本では今回の出来事は、単なる石油価格の高騰だけではすまない可能性があることを認識すべきです。

日本経済に悪影響を与える可能性がある世界情勢としては、①米中貿易戦争、②ブレグジット、③日韓関係悪化、④ホルムズ海峡での偶発などが以前からこのブログでも強調していました。

これらが10月の消費増税の後の日本経済にかなり悪影響を与える可能性があると強調してきましたが、④ホルムズ海峡はできればなければ良いと望んでいました。まったくやっかいなことになってきました。臨時国会では、これらに対する対策を本気で議論し、何らかの対応をしておくべきです。

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