2014年11月27日木曜日

中国、成長目標下げへ 15年7%前後 安定軌道狙う ―【私の論評】保八を捨てるのではなく、捨てざるをえなくなった中国に将来はないものと心得よ!体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定(゚д゚)!





【北京=大越匡洋】中国の習近平指導部は年間の経済成長率の目標を2015年に3年ぶりに引き下げる方向で最終調整に入った。今年まで「7.5%前後」としていた目標を「7%前後」に下げる案が有力だ。成長速度をいくぶん緩め、持続可能な安定軌道への軟着陸をめざす。足取りが確かとはいえない世界経済のけん引力が弱まることに懸念も広がりそうだ。

習指導部は12月初旬にも、翌年の経済運営方針を決める中央経済工作会議を開き、15年の成長目標を決める。複数の共産党関係者が「目標を下げるだろう。新たな目標は『7%前後』が軸になる」と語った。来年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で公表する。

中国は成長目標を05年から7年連続で8%、12年から3年連続で7.5%とした。13年までは実績が目標を上回ったが、今年1~9月の成長率は前年同期比7.4%と目標に届いていない。住宅販売の不振が投資や生産の鈍化に波及したほか、製造業の過剰設備の解消など構造調整圧力も加わり、足元では景気の減速感が強まっている。

【私の論評】保八を捨てるのではなく、捨てざるをえなくなった中国に将来はないものと心得よ!体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定(゚д゚)!

そもそも、中国の統計は出鱈目であり、米国の経済学者などでは、中国は未だ世界第ニの経済大国にはなっていない可能性が高いことを指摘する人もいます。

しかし、出鱈目は出鱈目にしても、それなりにある程度の根拠があり、たとえば実際より10%増しにするなどのことはあると思います。

だから、過去の中国においては、それなりのこれだけは、下回ってはいけないという最低限の目標数値がありました。

それが、保八です。中国には、昔からこの保八という言葉があり、「8%以上の成長率を保とう」という意味合いですが、2009年の全国人民代表大会(全人代)においては、当時の温家宝首相は「保八」への決意を高らかに宣言し、政府の経済運営の最大の数値目標として設定しました。

2009年の全人代で高らかに保八を宣言した当時の温家宝首相
過去15年間に、中国では求職者人口がピークに達し、都市部の急速な発展期を迎えていました。そのため、雇用機会を創出するため、政府当局は経済成長率8%を目標にしなければならなかったのです。

経済の成長率が8%以下に落ちると、失業率が拡大して社会的不安が広がり、体制安定の基盤が根本から脅かされかねない状況なのです。日米独のような先進国とは異なり、8%以上の成長をしなければ、雇用情勢が悪化するのです。

そのため、「保八」は中国当局最大の政治保証で、または中国の経済成長を判断する分岐点となり、人々が中国経済への信頼感を測る最低水準とされていました。この「保八」方針を取りやめた中国政府はやはり国内の経済発展に自信を喪失したのでしょう。

もともと、出鱈目の経済成長率ですから、保八なども簡単に出来そうですが、出鱈目であっても、何とかその出鱈目を粉飾できる範囲というものがあります。おそらく、これから、雇用情勢も悪化することも予想されるのだと思います。その時に保八を実行したなどと言っても、現実の雇用情勢の悪化など隠しおおせない程度に悪化していて、隠しおおせる状況にないのだと思います。

だから、こそ保八を諦めたことを発表せざるを得なくなったのです。そういわれてみれば、中国では大学生の数が昔よりはるかに増えたとはいいなが、大学生の就職難が数年前からかなり深刻になっていました。それは、今でもかわりありません。もう中国の経済は破綻しつつあるとみるのが、妥当です。

中国の就職フェア 今年の6~7月の大卒予定者727万人、中国は史上空前の就職難

長い間、中国の労働生産性の成長速度は労働者賃金の成長速度よりもはるかに速く、労働者の所得が増えないため、国内消費拡大を妨ぐことができました。2012年でさえ、個人消費が中国GDPの約3分の1を占めていましたが、その割合が2分の1を超える多くの国と比べて異常な低さでした。

一方、GDPに占める中国の投資の割合は約半分となっていました。これは現在多くの国では見られないことです。多くの経済学者は中国がGDPに占める投資の割合を長期的に維持していくことは、不可能だと指摘していました。また、中国の輸出は、GDPの40%以上を占めています。投資と、輸出でGDPのほとんどを占めるという異常な経済構造です。

これは、裏読みすれば共産党の独裁的支配体制の存続は、「成長率」という経済的数値の変動に大きく左右されるような事態になっていたということです。要するに、エラのないサメのようなものです。エラのないサメは、泳いで前進しつづけなければ、息がてきなくて、死んでしまいます。

日本や、アメリカのような国であれば、たとえ経済成長しなくても、確かに大変といえば、大変ですが、何とか維持はできます。しかし、中国では経済成長が止まってしまえば、死んでしまうということです。そうして、輸出や、投資にもかなり左右さます。そうした中にあっては、是が非でも、高い成長率を維持しなければならなかったのです。

過去の中国では、10%以上の成長率を維持して経済が繁栄している最中でさえ、年間数万件の暴動が起きていました。それが、2010年からは、10万件以上になったともいわれています。

中国で日常的に発生する暴動

日本やアメリカが経験しているようなゼロ成長や、マイナス成長ともなれば、体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定です。

あれだけこだわっていた保八を捨てた習近平の中国は、これからどういう道を歩むのでしょうか。ますます、社会不安が深刻になり、とんでもないことになりそうです。現体制がこのままずっと継続できるとはとても考えられません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月26日水曜日

「日本にあれこれ言う権利はない」中国、日本政府の厳重抗議に「主権侵害の言動停止」を要求―【私の論評】閉塞感に苛まされて、マンガ的幼稚行動しかとれない習近平と中国政府にはこれからもノータッチで臨め(゚д゚)!

「日本にあれこれ言う権利はない」中国、日本政府の厳重抗議に「主権侵害の言動停止」を要求


中国外務省の華春瑩報道官は26日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船3隻が侵入したことに日本政府が厳重抗議したことに対し「日本にあれこれ言う権利はない。われわれも日本に対し、中国の主権を侵害する言動を一切停止するよう要求する」と述べた。

華氏は「(尖閣諸島は)中国固有の領土。海警局の船が周辺をパトロールするのは中国の主権を使った公務だ」と従来の主張を展開した。

領海侵入は今月の日中首脳会談前に作成した合意文書に違反するのではないかとの質問には「約束を誠実に守り、両国が直面している突出した課題を適切に処理するよう日本側に促す」と述べ、非は日本側にあるとの見解を示した。

【私の論評】閉塞感に苛まされて、マンガ的幼稚行動しかとれない習近平と中国政府にはこれからもノータッチで臨め(゚д゚)!

上の記事に掲載された、中国海警局の船3隻については、昨日領海に侵入したものです。

それについては、以下のような報道がなされていました。
尖閣沖領海に中国公船侵入…日中首脳会談後で初 
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、25日午前10時過ぎ、中国海警局の公船3隻が沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島沖の領海に相次いで侵入した。 中国公船の領海侵入は、今月3日以来で、10日の日中首脳会談後初めて。

この3隻は今月20日以降、尖閣諸島沖の接続水域を航行したり、同水域に出入りを繰り返したりしていた。
尖閣問題で、安倍総理は習近平に一歩も譲らず、中国が尖閣を領土問題とすることは、一切認めず、もしこれがそれでもAPECでの日中首脳会談が流れるようなことがあっても一切構わないという態度を押し通しました。

結局は、習近平のほうから、会うことにしてため、安倍首相も会うことにしたということです。そのため、APECにおいては、最初から安倍総理が圧倒的な勝利を収めていました。これは、歴代の総理大臣にはなかった、安倍総理の快挙です。これを象徴するようなツイートがありましたので、その内容を以下に掲載しておきます。


それにしても、実際会談すると、あの「むさい」顔での対応です。全く幼稚としか言いようがありません。この習近平のAPECでの幼稚さ加減については、青山繁晴氏が徹底的に批判しています。

その動画が以下のものです。


上の動画で青山市氏も指摘しているように、アメリカのオバマはレームダック化、中国の経済は落ち込むばかり、プーチンは今や世界の孤児ということで、世界中を見回してみると、経済がまともか的になりそうな国は、日本とドイツしかありません。

ドイツは中国に擦り寄り姿勢をみせていますが、それでも、首相は習近平に"毒入りプレゼント"を贈っています。

これについては、このブロク゛ても以前掲載したことがあるので、その記事のURLを掲載します。
メルケル独首相、習近平主席に“毒入り”プレゼントを贈る―中国―【私の論評】メルケルは、当面の目先の商売の相手先としてか中国を見ていないことを、習近平と世界に伝えたかったのか(゚д゚)!
ドイツも中国を心から信頼しているというわけではない

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、メルケル独首相が習近平主席にこのような"プレゼント"を送るということは、ドイツは中国を当面の商売相手としか見ていないということです。

特に、ドイツは日本などと異なり、中国から地理的にかなり離れていますから、多少危険であっても、安全保障上の問題などありません。それに、昔は脅威であった、ロシアは、今やGDPは日本の1/5、人口見も1億4000万人であり、あの広大な領土にして、この程度の人口です。

しかも、プーチンは、今や世界の孤児のようなものであり、ドイツとしては、軍事的には何ら脅威のない環境において、経済に専念することができるわけです。この国も全く中国の思い通りにはならないでしょう。中国の経済が駄目になれば、すぐ手のひらを返して離反していくことでしょう。

日本は、中国の脅威がありますが、安倍総理は、対中国包囲網である、安全保障のダイヤモンドを着々と構築しており、完成に近づきつつあります。これも中国の思い通りになどなりません。

習近平は、国内的にも、経済の不振だけではなく、自分の腐敗はさておいて、官僚の腐敗を徹底追求しなればならず、なかなか思い通りになりません。その上、国際的にももう、過去のように中国幻想を信じるのは、圧倒的少数派になりました。

アメリカでも、数年前までは、親中派・媚中派の政治家や、ジャーナリストなどが大勢いて、強い中国幻想を抱いており、中国との関係を強化すべきと説いていましたが、今やそのような習近平の米中の二国間関係などまともに信じるものはほとんどいなくなりました。

それどころか、今やアメリカ議会も超党派で、中国の脅威を警戒しています。

ただし、オバマは習近平の頼りになりそうではありますが、それにしても、もうオバマは外交問題などまじめに取り組もうなどという気はさらさらありません。これについては、昨日このブログに掲載したばかりですので、詳しくはそちらを御覧ください。オバマは、次の選挙では、敗退するというか、立候補すらしないかもしれません。

このような状況ですから、習近平は国内でも、海外でも、完璧な閉塞状況にあります。この閉塞感の結果が、青山繁晴氏がマンガと評した、習近平のおかしげな行動です。そうして、今回の中国海警局の船3隻が侵入した際の日本政府側の抗議に対する中国側の幼稚な態度です。

今の中国は本当にかなり危険水域にあるとみるべきです。日本としては、今回のようなことがあれば、厳重抗議をして、後は中国に対してノータッチで臨むべきです。

間違っても、経済援助や、その他の援助などすべきではありません。ノータッチで臨むべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月25日火曜日

米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立無題―【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!

米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立

オバマ大統領とヘーゲル国防長官
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は24日、ヘーゲル米国防長官の辞任を発表した。イラク情勢やシリア政策を巡るオバマ氏側との意見の対立が背景にある。オバマ政権で国防長官の辞任は3人目となる異例の事態だ。政権に打撃を及ぼすのは必至で、日米の同盟関係や北朝鮮情勢への対応など米国内外の外交・安全保障政策への影響も避けられない。

4日の米中間選挙で大敗した後の閣僚辞任は初めて。ヘーゲル氏は後任決まるまで職務を続ける。人事には米上院の承認が必要で政策の停滞を招く恐れもある。

ヘーゲル氏は共和党出身で昨年2月、2期目の目玉閣僚として迎えられた。ブッシュ政権下の共和に所属しながらイラク戦争に反対したヘーゲル氏をテコに超党派の政策を進める狙いだった。

オバマ氏は昨年、ヘーゲル氏が進言したシリアへの軍事介入を土壇場で見送る一方で、今年に入りライス大統領補佐官(国家安全保障担当)らの求めに応じてシリア領の過激派「イスラム国」への空爆を決断した。こうした経緯にヘーゲル氏は不満を強め、ホワイトハウスとの不協和音が伝えられていた。

エボラ出血熱への対応や「イスラム国」との戦いなど課題が山積するなか、司令塔となる重要閣僚の辞任は世界の安保体制にも波紋を広げる。

この記事は、要約です。詳細はこちらから!

【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!

シリア、ウクライナ、対中国等、オバマ大統領の外交には、かなりの疑問符がつきます。オバマの煮え切らない態度が、問題をかえって大きくしてしまっています。このようなことが、今回のヘーゲル国防長官の辞任劇に結びついているのは間違いないと思います。

日本では、マスコミなどがほとんど報道しないものの、尖閣の問題をこじらせたのは、オバマの責任でもあります。もし、オバマが早い段階で、「尖閣諸島は、日本固有の領土であり、日中間に領土問題はない」とはっきり声明を発表していれば、こじらすことはありませんでした。

さらに、中国がこのような声明を出しても、尖閣付近での領海・領空侵犯をやめなければ、尖閣付近で、日米両国による協同大軍事演習を実行するなどの実力行使にでるべきでした。無論、キーンソードなどの軍事演習は実行していますが、尖閣付近で実行するということに大きな意味と意義があります。それは、未だに実行していません。

このようなオバマの及び腰が、日中関係を複雑化させています。中国としては、このブログにも以前から何回か掲載してるように、尖閣問題や反日デモは憤怒のマグマが煮えたぎっている中国の人民の目を中国共産党政府から、日本にそらすため、意図して、意識して実行されたものです。

しかし、反日デモに関しては、それを許容していると、反日デモが政府追求デモに変わってしまうため、最近は官製主導のデモはやらなくなっただけです。

そうして、中国側には、その他の意図もあります。それは、日本にちょっかいを出してみて、アメリカがどう出るかを見ているというところもあります。早い時点で、アメリカが本気で怒りだしたら、尖閣問題はあそこまで、長期化しませんでした。

これについては、以前のこのブログでも掲載しました。そのブログのURLを以下に掲載します。
オバマ大統領が尖閣は安保条約の対象と明言、中国にも配慮―【私の論評】お花畑オバマは、尖閣衝突を誘発するだけ!!ブッシュなら中国に配慮するリバランスなど表明しなかっただろう(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の締めくくりの部分のみを以下に掲載させていただきます。
オバマ、最近外交はまるで駄目です。シリアでも、ウクラナイでも大失敗です。今回の尖閣問題に関しての発言は、時期を逸したということと、中国に配慮したリバランスしたということで全く意味のないものになったどころか、中国尖閣挑発の格好の裏付けを与えたようなものです。 
これは、オバマのシリア問題での大失敗、ウクラナイ問題での大失敗によっても十分証明されたと思います。 
このままだと、尖閣も第二のシリア、第二のウクラナイになってしまうおそれも十分あります。日本としては、中国が尖閣で挑発するなら、毅然たる態度で臨むべきでしょう。尖閣には、一兵たりとも上陸させない。上陸すれば、全員殲滅。寸土の土地も譲らないという態度でのぞむべきです。 
しかし、これほど米国大統領の来日が一般国民に軽視されることは過去69年間の戦後の日米関係の歴史でなかったことです。 
オバマ以前の大統領であれば、もっと歓迎されていました。 
たとえば、あのブッシュでさえ、もっと歓迎されていたと思います。
アメリカは超大国的な動きができなくなった?
オバマとブッシュの差異は、はっきりしています。たとえば、中国問題一つとっても、ブッシュまでは少なくとも年に一回くらいは大統領自らが、中国は、民主化されていないこと、政治と経済が分離されていないこと、法治国家化もされていないことなどに対して、苦言を呈していました。 
オバマも発言はするのですが、シリア、ウクラナイなどの例を見てもわかるように、すっかりタイミングを逸してから発言するなどの不手際が目立ちすぎです。最近の、プーチンのウクライナ対策などをみていると、オバマは超大国の大統領としての動きがとれていません。 
ロシアは、今や経済的にも軍事的にもとるに足りない国になりましたが、それでもロシアのプーチンは、超大国なみの動きをしていて、小国ロシアの国益のために努力しています。 
米国は、今や世界で唯一の超大国なのですが、オバマはとても超大国の大統領とは思えないような行動ばかりしています。 
このオバマの外交オンチ、いかんともしがたいです。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
オバマの外交オンチは、ごく最近のAPECでも露わにされました。それについては、以下の動画をご覧いただくと良くご理解いただけるものと思います。


この動画では、独立総合研究所の青山繁晴氏は、中国の習近平国家主席が言っている「新型の大国関係」とは、ハワイまでアメリカから奪い取る意味だと指摘しました。青山繁治氏は、それに同意しているオバマ大統領の外交姿勢をぶれぶれで困ったものだと批判しています。

ただし、上の動画で、日米関係がどうの言っているバカがいますが、この発言は明らかな間違いです。この発言は無視してください。

それにしても、オバマはハワイより西を中国にやるつもりなのでしょうか。とんでもないです。

そうして、上の動画では、習近平と安倍総理の会談がわずか、25分に過ぎなかったのですが、オバマとの会談ではかなり長時間を費やしかなりの厚遇をしたことも伝えています。

これは、何をあらわしているかといえば、中国の故事そのままです。

その故事とは、一言で言ってしまえば、「無能な敵将は厚遇し有能な敵将は冷遇する」というものです。

これは、著名な兵法書『六韜』が出典です。

第十五 文伐篇武力を使わず征伐(文伐)する方法を文王が呂尚(太公望)に尋ねる場面です。以下にそれを引用します。

呂尚図
文王が呂尚にたずねた。 
文王「武力を使わないで目的を達するには、どうすればよいか」 
呂尚「それには次の12の方法が考えられます。 
第一は、相手の欲するままに要求を聞き入れてやれば、やがて驕りの心が生じ、必ずや墓穴を掘るようなことをしでかします。 
第二は、敵国の寵臣を手なずけて、君主と権力を二分させるのです。 
第三は、側近の者に賄賂を贈って、しっかりとかれらの心をとらえるのです。 
第四は、相手国の君主に珠玉を贈り美人を献じ、女に溺れて政治を忘れるように仕向けたうえ、下手に出て、相手の言いなりになって調子を合わせるのです。 
第五は、相手国の忠臣を厚遇し、君主への贈物は減らして、相手の結束に楔を打ち込むのです。 
第六は、相手国の内臣を懐柔し、外臣を離間するのです。 
第七は、相手国の野心を封じこめるために、厚く賄賂を贈って寵臣を買収し、利益で釣って職責を怠るように仕向けるのです。 
第八は、相手国の君主に重宝を贈って、わが方を信頼するようにさせ、わが方に協力させるように仕向けるのです 
第九は、相手国の君主を褒め上げていい気持ちにさせ、手も足も出ないふりをして安心させ、政治を怠るように仕向けます。 
第十は、謙虚な態度で相手国の君主に仕えて心をつかみ、頼りになる味方だと思わせるのです。 
第十一は、相手国の有能な臣下に、内密に高い地位を約束し、重宝を贈って手なずけ、わが方に肩入れする人間を増やすのです。 
第十二は、相手国の乱臣を手なずけて君主の心を惑わし、美女や歌舞団を送って関心をそちらに向けさせるのです。 
以上の12の策をすべて試みてから武力を行使するのです。つまり、天の時、地の利を考え、これなら勝てると見極めてから、はじめて軍事行動を起すのです」
さて、オバマはこの策の九、十によって、半分籠絡され、習近平の言うことに生返事をしてしまったということです。安倍総理は、この手には全くのらなかったし、習近平の大負けであったということです。

習近平が大負けであったことを、象徴的に示す、ツイートを以下に掲載しておきます。
やはり、これから、日本をそうして、世界をリードしていこうという気概のある安倍総理と、もう中間選挙でも敗れて、レームダック化しているオバマとの違いは明らかです。

しかし、このようなオバマの体たらくですが、アメリカ議会は、こうしたオバマのレームダック化に業を煮やして超党派で、動きはじめています。

それに関しては、このブログでも掲載したばかりですので、その記事を以下に掲載します。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から大洋海軍を目指す中国海軍

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を引用します。
米連邦議会の超党派の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会」は20日、中国の軍事力増強に強く警鐘を鳴らす年次報告書を発表した。 
報告書は、米国に「新型大国関係」の構築を呼びかける中国が、現実には東シナ海上空に防空識別圏を設定し、南シナ海で軍事用滑走路を建設するなど、着々と覇権を拡大している事実を直視。「習近平国家主席には、高いレベルの緊張を引き起こす意思があることは明らかだ」と非難した。 
さらに、中国の行動パターンは「対中関係を和らげるために東アジアの同盟国を見捨てるのか、あるいは中国の侵略から同盟国を守って中国との潜在的な対立に直面するのか」を米国に迫ることが特徴だとし、強い警戒感を示している。
報告書は、こうした中国の脅威に対処するため、米国の地域におけるリバランス(再均衡)戦略を維持し、その進(しん)捗(ちょく)状況を検証することや、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言している。 
オバマに関しては、もうレームダック化しており、特に外交においては、能力がどうのこうのという次元ではなく、もうやる気そのものがないようです。しかし、このようなオバマの投げやりな態度をそのまま、許容するわけにもいかず、アメリカ議会が超党派で動き出しているわけです。

そうして、このブログ記事では、このようにアメリカ議会は、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言しています。そうして、ここで、多くの日本人が知っておかなければならないのは、このブログにも掲載したように、もう数年前から、「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派になっているということです。

オバマのレームダック化は、ある一面では、脅威でもありますし、実際にオバマの優柔不断で、日本も被害を受け、尖閣問題が複雑化しています。

しかし、これはまた別の側面から見れば、日本にとってのチャンスになるかもしれません。アメリカは従来のように超大国でありつづけることは難しいかもしれません。しかしそれでも、ここ当面は世界唯一の超大国でありつづけるでしょう。

反面中国は、超大国とはなり得ず、直近では経済も落ち込み、もう富裕層からも見離されています。おそらく、現体制が長続きすることはありません。

そうなると、安倍総理が進めようとしている、「戦後体制からの脱却」が進めやすい環境が整いつつあるともいえます。

オバマの時代はもうすぐ、終わります、その次の大統領は、アジア、特に中国に対してどのような対応をするのか、いまのところ見えていませんが、オバマのようなやる気のない外交ということはあり得ないと思います。

年次記者ホワイトハウス晩餐会、レームダックを露呈したオバマ

オバマのやる気のなさは、中国を配慮したリバランスなどという矛盾を生み出し、中国近隣の諸国に混乱をもたらしました。しかし、こうした混乱があったらこそ、中国の海洋進出などの意図がはっきりして、それに対する脅威や、警戒感を生み出しました。

アメリカ議会もそれをはっきり理解して、今日では日本はアジアの平和に貢献して欲しいと考えるようになりました。日本国内でも、オバマのレームダック化ぶりは、安全保障を見直す、良いきっかけになると考えられます。

安倍総理は、このブログでも何回か掲載している「安全保障のダイヤモンド」をさらに推進して、アジアにおける日本の存在感をさらに高め、ゆくゆくは「戦後体制から脱却」を目指していただきたいものです。オバマのおかげで、そのような条件が、整いつつあるように思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月24日月曜日

今年度成長率はマイナスか 民間予測―【私の論評】IMFの10月時点の推計でも十分理解できる『増税推進バカの壁』!今回の選挙は、この『バカの壁』を崩すための選挙でもあると心得よ(゚д゚)!

今年度成長率はマイナスか 民間予測

NHK NEWS WEB



ことし4月に消費税率が引き上げられた影響で、7月から9月のGDP=国内総生産の速報値の伸び率が2期連続のマイナスとなったことから、民間の調査会社などは今年度の経済成長率の見通しを下方修正し、5年ぶりのマイナスになると予測しています。

民間の調査会社や金融機関合わせて10社は、今年度の経済成長率の最新の予測を発表しました。

それによりますと、物価の変動を除いた実質で、最も高い予測が前の年度と比べてマイナス0.4%、最も低い予測がマイナス0.9%で、全社が5年ぶりのマイナスを予測しています。

これは、4月に消費税率が引き上げられた影響で7月から9月のGDPの速報値が2期連続のマイナスとなったためで、各社が9月の時点の予測から成長率の見通しを下方修正しました。

一方、来年度については、安倍総理大臣が消費税率の10%への引き上げを1年半先送りすることを表明したことなどから、10社中7社が成長率の見通しを上方修正し、前の年度と比べて0.7%から2.5%のプラスに回復すると予測しています。

【私の論評】IMFの10月時点の推計でも十分理解できる『増税推進バカの壁』!今回の選挙は、この『バカの壁』を崩すための選挙でもあると心得よ(゚д゚)!
さて、消費税の10パーセント引き上げが、延期されたため日本の民間調査会社や金融機関合わせて10社が、今年度の経済成長率の最新の予測を発表しました。
以下にもう一つ気になる、統計数値をあげておきます。それは、1980年から2014年までの日本の経済成長の推移です。もう一つは、2010年から2019年までの日本経済の推移です。
無論2014年以降は、すべて予測です。どの機関による予測かといえば、IMFによる10月時点のものです。
この時点では、日銀の追加金融緩和はまだ発表されておらず、10%増税は織り込み済みだったと考えられます。
11月時点の推計はまだ発表されていませんが、追加金融緩和と、増税見送りがどのように評価されるか、新しい推計が出たらまた掲載させていただこうと思います。

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単位: %
数値はIMFによる2014年10月時点の推計
※実質GDPの変動を示す。
※SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ

<出典>

この予測データでは、無論のこと金融緩和をせずに、10%増税は、予定どおりに実行すること織り込まれていると思います。このグラフを見る限り、IMFは今年の増税による景気の落ち込みを現実よりは低くみていたことになります。

日本国内の直近のデータでは、IMFの予測よりもはるかに下がっていることがわかります。しかし、今年の14年から5年後の2019年までの予測では、14年に下がってから、横ばいで推移することが予測されています。

通常の頭で考えれば、追加金融緩和をせずに増税を実施すれば、しばらく、経済が下がりっぱなしで二度と浮かびあがることはないと考えるのが普通です。IMFもそう考えたものと思います。

日銀黒田総裁は、当初増税に賛成で、自信満々でしたが、、7月から9月の数字の悪さに、自分の間違いに気付き、このままではとんでもないことになるということで、これを回避するために、自分の出来ることは、追加金融緩和であることと考え、追加金融緩和を決めたものです。

その後は、いっさい、再増税のことを一言も言わなくなったことが、その考えを如実に示しています。

それにしても、黒田総裁はまだ良いです。悪い数字が現実に出てしまった後、素直に自分の非を認め、その後は増税のことはいっさい口にせず、自分のできる事を実行しているからです。

それに対して、いわゆる財務省を含む多数派の増税推進派は、どうかといえば、誤りを認めるどころか、何の反省もないようです。彼らは、4月に景気が落ち込むのは、消費税増税の駆け込み需要の反動てあり、織り込み済みであるとしていました。

そうして、いずれ景気は回復軌道にのると明言していました。しかし、5月、6月になっても景気は回復シませんでした。その後の7月、8月、9月が過ぎて、速報値では景気が回復しないどころか、マイナス成長であったことがわかりました。

そうして、この調子では、上の記事でみてもわかるように、今年度は、マイナス成長であることがはっきりしました。

大人の常識としては、自分が何かを予測して、それが大幅にずれて現実の数字がはるかに悪かった場合、少なくとも謝罪するのがあたり前です。

しかし、彼らは誰も、それをしません。そうして、挙句の果てに、天気のせいとか、何とかのせいとか、未だに未練たらしい御託を並べています。


景気が悪くなることはIMFの予測もそうですし、まともな人間であれば、容易に想像がついたにもかかわらず、いわゆる増税賛成派は、全く珍妙な論理で、増税すべきとの結論を出していました。

最後の増税の有識者点検会合でも、上記の表のように、増税賛成が5人、反対派が3人という圧倒的多数派でした。

これが、五分五分というのなら、まだ理解できるのですが、それにしても、こういう馬鹿が圧倒的多数派の馬鹿を何と呼べば良いのでしょうか。

彼らには、イギリスに代表される最近の外国の失敗事例も、過去の二度の増税の失敗も、いやそれどころか、古今東西いずれの国でも、景気が悪い時ましてや、デフレのときに増税などして、成功した国はなく、すべて失敗だったという事実も全く耳に入りません。

こういうのは、養老孟司氏が書いた2003年の大ベストセラー『バカの壁』にちなんで、『増税推進バカの壁』と呼ぶのが相応しいです。
知らず知らずのうちに人は自分の周りに「バカの壁」を築いている
バカの壁とは、養老孟司氏の著書『バカの壁』に出てくる、人間の悲しい性を表す言葉です。

養老孟司氏によれば、結局我々人間は、自分の脳に入ることしか理解できないとしています。学問が最終的に突き当たる壁は自分の脳であるとしています。著者は、この状態を指して「バカの壁」と表現しています。知りたくないことは自主的に情報を遮断し、耳を貸さないというのも「バカの壁」の一種としています。その延長線上には民族間の戦争やテロがるとしています。また、このころから、日本の経済の停滞などもすべてこの理論で説明されるといいます。

現代人はいつの間にか、自分の周りに様々な「壁」を作ってしまった。例えば、情報は日々刻々変化し続け、それを受け止める人間は変化しないという思い込みや、個性や独創性を礼賛する風潮などはその典型例で、実態とは「あべこべ」だといいます。

養老孟司氏は、「バカの壁」は思考停止を招く。安易に「わかる」「絶対の真実がある」と思い込んでは、強固な「壁」の中に住むことになると戒めています。

まさに、増税推進派は、養老孟司氏が2003年から指摘していたように、強固な「バカの壁」を築き、今日まで積み上げてきたのです。そうして、今日明らかに増税のために、経済成長がマイナスになっているというのに、まだ誰も自分の非を認めようとしません。

やはり、こういうのを「真性増税推進バカの壁」と呼ぶべきです。

最近のアンケートでは、国民の7割が、「再増税に反対」という結果がでています。これは、圧倒的にその増税推進派が多い、政治家、官僚、マスコミ、識者とは大違いです。やはり、多くの国民は、こと増税に関しては、「バカの壁」を築いていない人のほうが多数派のようです。

こうした背景を考えると、今回の増税見送り、解散・総選挙では、「増税推進バカの壁」を高く築く、多数の政治家には、いくら説得しても、無駄であることを悟り、「増税推進バカの壁」を築く人が圧倒的に小数である、国民に信を問い、信任された場合、この「増税推進バカの壁」を取り崩す行動に打つて出ようとしているのだと思います。

そうです。私達は、今回の解散・総選挙は、この『増税推進バカの壁』を崩すための選挙でもあると心得るべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月23日日曜日

こども版国の借金は永遠に続けられるの?―【私の論評】政府の借金は永遠にできるわけもない!インフレターゲット政策の是非を問い、政治主導のための第一歩を実現するのが、今回の選挙の争点の本質であることを認識せよ(゚д゚)!

こども版国の借金は永遠に続けられるの?

池田 信夫

安倍首相は衆議院を解散して、12月14日に総選挙が行なわれることになりました。彼は8%の消費税を10%にふやすことを先送りし、それについて「国民に信を問う」というのですが、先送りに反対している党は一つもありません。増税は争点になっていないのに、何を問うんでしょうか。

まぁそれはいいとしましょう。こうして増税を先送りしていると、1000兆円を超えた国の借金はどんどん増えますが、安倍さんは「景気が回復したら税収もふえるので心配ない」といっています。これは本当でしょうか?

どんな会社でも、金を貸してくれる人がいるかぎり借金は続けられます。国の場合は倒産して金が返せなくなるということは考えられないので、国債を返すとき、あらたに国債を発行して返せばいいのです。これは浜田宏一さん(内閣官房参与)のいうようにネズミ講の一種です。

ネズミ講は、バーナード・マドフのように「元本保証でいい配当を出します」といってお金を集め、高い配当を出す代わりに元本を食いつぶすものです。景気のいいときはどんどん新しい人がお金を出すので、みんなに高い配当を出すことができます。

でもリーマンショックみたいな事件で抜ける人が増えると、資金ぐりがゆきづまります。清算すると、お金はほとんどなくなっています。お金を運用しないで利益として分配してしまったので、残った人の出資金は返ってきません。

このようなネズミ講は詐欺ですが、国がやると犯罪にはなりません。税金を負担する納税者がいなくなるとネズミ講は終わりますが、みなさんのような新しい納税者から税金を取れば、国の借金は回ります。問題は、それを負担する納税者が無限に出てくるかということです。

もちろん日本の人口は有限で、しかもこれから30年で働く人は30%以上へります。その結果、一人あたりの国民負担はふえます。このまま負担がふえつづけると、2050年には図のように国民負担率は7割になります。つまりよい子のみなさんが大人になったころは、給料の7割が税金や社会保険料にとられ、可処分所得(税引き後の所得)は今の半分になるのです。


国民負担の予想(左軸は兆円、右軸は%)


みなさんの世代は、今より絶対的に貧しくなります。みなさんのおじいさんの世代の借りたお金を、みなさんの世代が返すからです。わかりやすくいうと、おじいさんは孫のクレジットカードを使って買い物してるみたいなものです。おじいさんのもらうお金は払った税金などよりひとり5000万円ぐらい多く、みなさんは5000万円ぐらい少なくなります。

いま増税を先送りすると、将来のみなさんの税負担はもっとふえます。安倍さんは「景気がよくなったら借金を返す」といっていますが、ひとり1億円もある差を景気がよくなるだけで埋めることはできません。

でも所得の7割が国に食われるようになる前に、国債が売れなくなるでしょう。日本の貯蓄より国債のほうが多くなるからです。そうすると金利が上がり、国債が暴落します。その結果、ひどいインフレになると、実質債務(物価で割った借金)がへります。

どこの国も、そうやって借金を踏み倒してきたのです。インフレは困ったことですが、みなさんの負担は軽くなります。ネズミ講をつづけるよりはましかもしれません。

【私の論評】政府の借金は永遠にできるわけもない!インフレターゲット政策の是非を問い、政治主導のための第一歩を実現するのが、今回の選挙の争点の本質であることを認識せよ(゚д゚)!

まさしく、池田氏のおっしゃる通り、国というか(この言い方は間違い)、政府の借金は永遠には続けられません。それは、どう考えてもはっきりしすぎています。

もし、このまま増税をしてしまい、その増税により日本経済がさらに落ち込めば、税収が減ります。税収が減ってしまえば、政府がさらに大量に国債を発行して国民から借金をしなければならなくなります。だからといって、また増税すれば、ますます景気が落ち込み、さらに政府は借金を重ねるこになります。

そうして、上記で池田氏が語っているようなことが、現実になってしまいます。そのようなことは、どこかで断ち切る必要があります。

ここで、突然話題を変えます。少し、話が飛んだようにも思われるかもしれませんが、後で話はきちんとつながるので、我慢して読んで下さい。

ここで、「日銀は国債をいくら購入してもインフレにならない」と仮定します。これは物価・金利の動向を全く気にすることなく市中の国債や新発国債を全て日銀が買い取り、マネーサプライを増加させたとしてもインフレが生じないことを意味します。

この仮定が正しいとすれば政府は物価や金利の上昇を全く気にせずして無限に国債発行を続けることが可能となり、財政支出を全て国債発行で賄うことができるとともに、さらに巨額の財政赤字を解消することも可能になり、無税国家が成立することになります。

ただし、現実には無税国家は成立しないため「日銀は国債をいくら購入してもインフレにはならない」という命題は誤りです。つまり、「インフレターゲット政策を行えばインフレになる」のです。

インフレターゲット政策は、アメリカでも導入され、効果をあげた政策である

デフレや、過度のインフレは、正常な経済循環から逸脱した、経済の病です。これを放置しておくことはできません。

今の日本は、16年間もデフレです。これから脱却するためには、インフレターゲット政策を行う必要があります。これを実施して、そのまま放置しておれば、過度のインフレになります。しかし、そうなる前に、金融引締め、増税などの対策を行えば、過度のインフレ(ハイパー・インフレ)になることはありません。

最後に池田氏のこの記事の、最後の部分を補っておきます。

過度のインフレは困ったことですが、緩やかなインフレであれば、みなさんの負担はかなり軽くなります。ネズミ講をこれからも続けるよりははるかに良いことです。デフレにおいては、こうした負担が過度に重かったとも言い換えることもできます。

今回の選挙の争点は、池田氏が語るよにう、増税が争点ではありません。上記で述べたインフレターゲット政策をすべきか、すべきでないかを国民に信を問うというのが、本質です。増税するしないは、この本質論の以前の、目先のテクニカルな部分の争点に過ぎません。

だからこそ、安倍総理は、今回の解散を「アベノミクス解散」と命名しています。特に、与党の増税推進派の皆さんや、野党の皆さんは、この本質を見失わないようにしていただきたいものです。

インフレターゲット政策が功を奏して、日本がデフレから脱却できて、緩やかなインフレになれば、国民の消費も増え、国民所得も劇的に増えます。国民所得が劇的に増えるということは、税収の源が増えることであり、税収も増えます。



これで、政府は無限に国債を発行し続けて、国民が借金をし続ける必要もなくなります。ただし、政府の借金と、個人の借金は、性質が全く異なります。個人が借金すると、お金が消えてなくなるだけですが、政府の借金は、違います。

政府が10兆円の借金をしたとします。そのお金は、政府がいろいろな対策に使うわけです。そうすると、そのお金は、政府の機関や民間機企業にまわり、いろいろなことに遣われます。そうすると、れが、国民の賃金にもなります。そうしてそのお金は、また税収として政府に戻ってくるわけです。

企業も同じですが、全く借金をしない組織というのは、一見良いようにもみえますが、その実新しいことに挑戦もしていないということです。だから、健全な企業が何らかの借金をするのは、新たなことに挑戦していることの証であるということでもあります。

それと、同じく、政府も多少の借金をしているというのがあたり前であり、世界中のまともで健全な国の政府は借金があるのがあたり前です。その借金が多すぎかどうかが問題なのであり、全く借金がなく、真っ黒の政府というのは、何も新しいことに挑戦しない怠け者政府であるということもできます。

だから、日本政府も多少の借金があるくらいが良いです。全く借金のない国家というのは、怠慢政府か、政府と為政者の金か区別のつかないような、独裁国家であるというのが通り相場です。

いずれにしても、デフレをそのまま放置してね景気を良くせずに、単に増税と国債だけで国庫を賄おうとすれば、池田氏が語る最悪の状況が現実のものとなり、いずれハイパーインフレがおこり、国民が大きなつけを払わなければならなくなります。



しかし、今からインフレターゲット政策を行い、デフレを克服しておけば、そのようなことには絶対になりません。なぜそのようなことが言えるかといえば、日本はもともと豊な国であり、政府は借金をしていまいますが、日本国そのものは、対外金融純資産(要するに日本が外国に貸しつけているお金)は、過去20年以上にもわたって、世界一です。その額は、260兆円を超えます。

確かに貧乏国であれば、インフレターゲット政策をとっても、何をしていても限界があり、何をしても、池田氏の言っているような暗い未来しかないかもしれません。

しかし、日本はそんな国ではありません。もともと、相当豊な国です。そんな豊な国が、デフレで消費が落ち込みとんでもないことになっているだけです。それは、日本がもともと豊な国であることから、確実に立て直すことができます。

デフレは悪いことばかり、一人あたりのGDPも落ち込むばかり・・・・・

池田氏が、語っている未来を現実のものにしないためにも、日本では、直近では、インフレターゲット政策を確実に行い、デフレを脱却する必要があります。そうして、それに一番反対しているのが、財務省です。そうして、上の記事の池田氏も、インフレターゲット政策でインフレにはならないと主張しています。

財務省は、国民生活などは二の次で、何が何でも増税すべきという方針を貫いてきました。今回の選挙は、こうした財務省の方針に安倍総理が突きつけたということも意味しています。

増税するしないは目先のテクニカルな問題に過ぎず、その本質は、現状のインフレターゲット政策をどうするかが問題であり、さらに将来的には、このような方針は、財務省が決めるのではなく、国民に選ばれた国会や、政府が決めるべきという政治主導を実現するための第一歩でもあるのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月22日土曜日

「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!

「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書

海岸防衛から太陽海軍を目指す中国海軍
米連邦議会の超党派の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会」は20日、中国の軍事力増強に強く警鐘を鳴らす年次報告書を発表した。

報告書は、米国に「新型大国関係」の構築を呼びかける中国が、現実には東シナ海上空に防空識別圏を設定し、南シナ海で軍事用滑走路を建設するなど、着々と覇権を拡大している事実を直視。「習近平国家主席には、高いレベルの緊張を引き起こす意思があることは明らかだ」と非難した。

さらに、中国の行動パターンは「対中関係を和らげるために東アジアの同盟国を見捨てるのか、あるいは中国の侵略から同盟国を守って中国との潜在的な対立に直面するのか」を米国に迫ることが特徴だとし、強い警戒感を示している。

具体的な軍事力の脅威としては、中国の向こう3~5年の核戦力は、多弾頭型の大陸間弾道弾(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が開発、配備されるなど、大幅に増強されるとの見通しを表明。

今後5~10年間で、軍事衛星の保有数が増加し、他国の軍事衛星を破壊する能力も向上して、「米国を脅かしうる」と指摘した。また、2020年までに、アジア太平洋地域に展開する潜水艦とミサイル搭載艦の数は、351隻にのぼるとの予測を示した。

報告書は、こうした中国の脅威に対処するため、米国の地域におけるリバランス(再均衡)戦略を維持し、その進(しん)捗(ちょく)状況を検証することや、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言している。

この記事は、要約記事です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!

国内では、増税見送り、解散総選挙ということで、マスコミも国民もこのことにばかり目がいきがちではありますが、やはりバランス良く国内外のことを見ていく必要があります。

その中で、この報道はかなり重要であると考えましたので、掲載させていただくこととしました。

まずは、上の記事を読む上で、アメリカの軍事力について忘れてはならないことを掲載しておきます。それは、アメリカの国防予算です。以下にアメリカの国防予算の推移について掲載します。


この、グラフを見てもわかるように、アメリカの国防予算は、減少傾向です。

米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は本年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。

今年の3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれました。

この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。

強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。

アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。

国防費に対する強制削減は、国防省ならびに各軍をはじめとする国防関連予算全体に対しての削減措置です。その削減総額は2013年度国防予算に対してはおよそ850億ドル(=およそ8兆750億円)、強制削減措置が続く2020年度までの10年間でおよそ1兆2000億ドル(=およそ114兆円)という巨額に達していました。

ちなみに、このアメリカ国防費の削減額がいかに巨大なものかというと、安倍政権になって1000億円ほど増額された2013年度の日本の国防予算がおよそ4兆7000億円であるから、2013年度の国防費強制削減額だけでも日本の国防費のおよそ2倍、10年間の国防費強制削減額は日本の国防予算のおよそ24年分強に相当します。まさに巨額です。

そうして、今後アメリカの軍事費は、今後10年間は、減ることはあっても増えることはありません。

一方、中国の軍事費はどうかといえば、皆さんご存知のように、絶対額はどんどん伸ばしています。それは、グラフでも明らかです。


日本の国防費を2004年あたりで、追い越しています。しかし、GDP比でみていくと、さらに異なる見方ができます。





たいへん興味深いことに、日本がほぼ1%で推移しているのに対し中国はほぼ2%で推移していることが見て取れます。

これは3~6%で推移している米国やロシヤ、3%前後で推移している韓国やインドよりも低い数値なのです。

中国軍事費の財源全体は、表に出ている国防費の2倍以上ともいわれていますので、このグラフでもって断定的な分析は避けるべきでしょうが、ひとつだけ確信的に判断できることは、中国がその国力に比較して突出して軍事費を膨張させているわけではないということです。

やはり、近年の急速な経済発展に呼応して、軍事費を増加させてきたということです。特に、無理をしなくても、過去においては軍事費を楽に伸ばすことができたということです。

ただし、絶対額はかなり伸長しているということであり、しかも楽に伸ばしてきたということを考えると脅威であることには変わりありません。

上記では、米国と中国自体は比較していませんが、絶対額で比較するとどうなるか、その表を掲載します。



このグラフをみると、中国の軍事予算は、アメリカの1/4です。しかし、この数字は、考え方次第で様々な読み方ができます。

中国は、確かにアメリカの1/4の軍事費ではありますが、守備範囲が全く異なります。アメリカは場合によっては、地球の裏側にまで、軍隊を送り込むことがあり得ますが、中国は主に自国内と、その周辺にしか軍隊を派遣しません。最近では、東シナ海などに進出していますが、それでも、アメリカから比較すれば、守備範囲はかなり狭いです。

これは、大東亜戦争のときの日米を比較すると、良く理解できます。日本は、太平洋方面にだけ軍隊を派遣すれば良かったのですが、米国は大西洋と太平洋の両方、それにヨーロッパの内陸にまで、軍隊を派遣しなければなりませんでした。

こういうことを考えると、日本が米国と戦争をしたのは、全く無謀という考えは成り立たなくなります。太平洋方面の軍事力を考えると、空母や、戦艦の数でも、日本が圧倒的に有利だったことが理解できます。

そもそも、大東亜戦争の直前といえば、日本の海軍も陸軍も、圧倒的に強くて、アメリカはもちろんのこと、ソ連も手出しができないという状況でした。特に、関東軍や、連合艦隊などは、世界一といっても良いくらいの強力な軍隊でした。

そのため、大東亜戦争は決して無謀な戦いではなかったと主張する人もいます。それは、日本人だけではなくアメリカ人でもそういう人もいます。ただし、日本には米内光政と山本五十六という一般には英雄と考えられている軍人ではあるものの、その実体は愚将であったため、当時の絶対国防圏をはるかに超えて戦線を拡大してしまいました。これが、大東亜戦争敗北の最も大きな敗因の一つです。

米内光政と山本五十六

だから、識者の中には、日本が絶対国防圏を守っていれば、無論米国に勝利して、米国本土に侵攻するなどのことはないにしても、有利な条件で講和を結ぶこともできたという人も多いです。

昔から、軍事力は距離の二乗に反比例するといわれていました。これは、核戦争などを除けば、今も当てはまる原則です。

だから、守備範囲の広い、アメリカと中国の軍事力を軍事費だけで比較することはできません。

とはいいながら、同じ軍事費であっても、アメリカや日本の場合は、かなり技術力がありますが、中国は技術力で劣っているため、まだまだ及ばないと考えるのが妥当です。

特に、海軍力は圧倒的に技術的に劣っているため、中国が空母を持ったとか、艦船の数を増やしたとはいっても、今でも日本の自衛隊とも互角に戦えない状況です。

以下に、中国と日本の戦力の比較の表をあげておきます。




これも、数字の上でいうと、中国が圧倒的に有利ですが、さりとて日本は中国への侵攻の意図もありませんから、中国と比較するとかなり守備範囲が狭いです。中国の場合は、国内で頻繁に暴動が発生するため、その鎮圧のためにも人民解放軍を派遣する必要があります。そうして、国土が広いです。また、最近では、東シナ海などにも進出しています。

また、軍事技術には天と地ほどの差があります。特に、海軍では圧倒的に大きな開きがあります。中国海軍の「遼寧」など、ぼろ船に過ぎず、実際に空母としては役にたちません。おそらく、こんな空母を持つくらいなら、イージス艦一隻を持ったほうが、はるかに戦力になります。

また、このブログにもしばしば述べたように、日本の対潜哨戒能力は、世界一の水準であるため、実際に戦争になれば、中国の艦艇や、潜水艦は日本の海上自衛隊にとても太刀打ちできないです。すぐに、海の藻屑と消えてしまうでしょう。だから、実際に戦争になれば、中国の艦艇は、中国の港を一歩も出られないという状況になります。

航空兵力も、中国は最近では、航空機そのものの性能は良くなってきましたが、航空兵力全体をみると、哨戒能力など格段に劣るため、これも日本の航空自衛隊などに太刀打ちできません。

陸上においても、日本が中国本土に侵攻するというのなら話は別ですが、日本の領土で日本の陸上自衛隊と戦うということになば、全く非力です。

以上のようなことから、中国は脅威ではありますが、それが今日明日の問題であるといするのは全くの間違いです。

しかし、今後10年後はどうなるかわかりません。特に、アメリカの国防予算が今後10年間は、削減され続けるをことを考えれば、アジアの中で、局地的には中国にとって有利なるようなところが、いくつか出てくることも十分考えられます。もう、そのようなことは、未だ小規模ながら、すでに起こっています。

こうした現実的な脅威に、米国はもとより、日本も対処しなればなりません。特に、軍事費が大幅に削減されるアメリカにおいては、日本がもっとアジア地域において、存在感を発揮してもらい、アジア方面における米国の負担を少しでも減らしというのは、全く自然な流れです。

だからこそ、ブログ冒頭のように、米委員会が年次報告書を出し、日本の集団的自衛権行使を後押しすることなどを提言しているのです。

戦後70年を経て、米国は日本に対する見方が変わってきたようです。大東亜戦争直後には、「恐ろしい国」であり、どこまでも弱体化すべき対象であったものが、中国の台頭により、「中国に対抗する同盟国」という見方に変わってきたのです。

それは、ブログ冒頭の記事にみられるように、アメリカ議会で顕著になってきた動きですが、実はこのような動きは前からありました。

実は、すでに数年前から、アメリカ議会では日本憲法改正派が、大勢を占めるようになっていました。これに関しては、このブログにも以前掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?

GHQによる日本国憲法草案

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、2010年12月9日にこのブログに掲載したこの記事では、米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになったことを掲載しました。

この現実は日本の護憲派にはショックでしょう。しかし、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのです。

日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論です。しかし、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めないと思います。

ブログ冒頭の、アメリカ議会の報告書に関する記事や、アメリカ議会が日本の改憲を認めているということは、今後の安倍総理の「戦後体制からの脱却」という政治課題を追求していく上で、かなりの追い風になると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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