2016年8月30日火曜日

【「帝国の慰安婦」裁判】「誤った認識で若者が日本に敵意」 被告の韓国教授―【私の論評】慰安婦問題等捨て置き、まずは金融緩和をしない限りデフレ韓国に明日はない(゚д゚)!

【「帝国の慰安婦」裁判】「誤った認識で若者が日本に敵意」 被告の韓国教授

ソウルの日本大使館前の慰安婦像。足元に追悼プレートが新たに設置された








 慰安婦問題に関する著書「帝国の慰安婦」で元慰安婦らの名誉を傷つけたとして名誉毀損罪で在宅起訴された朴裕河・世宗大教授の公判が30日、ソウル東部地裁で行われた。朴氏は出版の目的は「日本擁護ではない」とした上で「誤った認識で若者が(日本に)敵意を抱き、韓日関係が悪化するのを座視できなかった」と述べた。

 1月から続いた公判準備手続きを終え、30日から本格審理が開始。検察は冒頭陳述で、朴氏が慰安婦と日本軍の関係を「同志的」などと表現した一部記述について「虚偽事実で名誉を傷つけた」と改めて指摘した。

 弁護側は「帝国主義とは何かを考察した書す籍。資料に基づいており、名誉毀損は全くない」と主張した。

 裁判長は、問題とされた記述が実際に名誉毀損や虚偽に当たるかどうか、虚偽の場合は朴氏が虚偽と認識していたかどうかなどを争点として整理した。検察側は、存命中の元慰安婦の証人申請を検討しているとも説明した。

【私の論評】慰安婦問題等捨て置き、まずは金融緩和をしない限りデフレ韓国に明日はない(゚д゚)!

いわゆる、学術書『帝国の慰安婦』裁判に関しては、以前もこのブログでとりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「帝国の慰安婦」裁判 問われる韓国司法 弁護側は“メディア経由”の曲解報道を問題視 ―【私の論評】韓国で慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代前に時計の針を戻せ(゚д゚)!
学術書『帝国の慰安婦』の著者朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授
この記事は、今年の1月のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では裁判の内容や、学術書『帝国の慰安婦』の著者自身の要約を掲載しました。以下に一部引用します。
ブログ冒頭の記事の内容をはじめて読んだ方は、何が問題なのか、その背景がわからないと、何のことかわからないと思います。本日は、そのあたりを明らかにしようと思います

まずは、この著者は、慶応義塾大学を卒業後、早稲田大学院で博士課程を修了していることを掲載しておきます。そうして、この『帝国の慰安婦』は、日本で早稲田次ジャーナリズム大賞を受賞したことを掲載しておきます。

「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」の授賞式が昨年、昨年12月10日10日、東京都内で行われました。その授与式では、元慰安婦の名誉を毀損(きそん)したとして韓国で在宅起訴された韓国世宗(セ・ジョン)大の朴裕河(パク・ユハ)教授の著書「帝国の慰安婦」(朝日新聞出版)が文化貢献部門で受賞していました。 
受賞のしたときに、朴氏は「多くの人に問題を知ってもらいたいと考えた。(慰安婦の)支援者とこの問題を否定する人たち(の両方)に向けて書いたものだ」と話しています。 
朴氏は、アジア太平洋地域に関する優れた出版物の著者に贈られる昨年の「アジア・太平洋賞」特別賞(主催・毎日新聞社、アジア調査会)にも選ばれています。朴氏はこの日、毎日新聞東京本社を訪れ、北村正任アジア調査会長から記念の盾を受け取りまし。同賞の授賞式は昨年11月に行われましたが、朴氏は体調不良で欠席していました。 
この『帝国の慰安婦』ですが、読まれたことのある人はあまりいないと思いますので、以下に朴裕河氏ご自身のフェイスブックに掲載されていた、要約を掲載します。非常に長い引用ですし、以下の内容がすべて正しいとも思えませんが、資料としては、一次資料ということになりますので、そのまま掲載させていただきます。この資料の後には、私の論評を付加してあります。
要約自体は、ここでは掲載しません。 この記事に掲載してある要約もしくは、著者自身のフエイスブックの要約をご覧になって下さい。以下に『帝国の慰安婦』の表紙の写真を掲載します。


この書籍、私は要約は無論のこと、書籍も実際に手にとって読んでみました。その限りでは、この書籍は内容も体裁も学術書であり、引用文献などの出展も明らかにしており、この書籍がなぜそれほどまで問題になり、裁判にまでなったのか全く理解できません。

この訴訟で韓国当局がやり玉に挙げているのは、『帝国の慰安婦』の中で朴裕河教授が「自発的な売春婦」「日本軍と同志的関係にあった」などと記述し、「日本軍が組織として強制動員したとみるのは間違いと考える」と分析した部分です。

元慰安婦らは、この内容に納得しなかったようで、一昨年6月、「慰安婦を侮辱している」などと刑事告訴していました。

検察は在宅起訴の理由について、「慰安婦制度は強制的な売春」とした米下院決議などを例示し、「元慰安婦は性奴隷同様の被害者で、日本軍に自主的に協力したわけではない」「虚偽の内容で被害者の名誉を毀損した」としています。

しかし、朴教授の著書は非常に実証的で、日韓双方から高い評価を受けている優れた学術書であり、名誉毀損とはとんでもないことです。

韓国の言論弾圧については、国連も強い警告を発しました。国連の自由権規約委員会は昨年11月5日、韓国検察当局が政府を批判する者に対し、重い懲役刑を科す名誉毀損罪を適用する例が増えているとして「懸念」を表明し、名誉毀損への懲役刑の適用廃止を勧告しました。

同委は「いかに重大な名誉毀損であろうとも、懲役刑を適用してはいけない」と断じましたた。朴大統領の耳に届くことを祈るばかりだ。

この書籍はあくまで韓国人の視点によって書かれたものであり、レトリックによって、ファンタジーとはらないギリギリのところまで日本側に慰安婦問題での譲歩を求める方向で書かれていること、当時日本が植民地支配していたのだから、日本に責任があるという方向で貫かれています。この本を書いたこと自体がなぜ、裁判にまでなるのか、私の理解の上限を超えています。

しかし、それは私自身が日本と韓国とを同列にみているから他ならないからだと思います。韓国と日本を比較すれば、日本のほうがはるかに言論の自由や学問の自由があります。

韓国は、北朝鮮や中国などから比較すれば、言論の自由や学問の自由はありますが、まだまだ日本や他の先進国レベルまでには及んでいません。それは、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、韓国内のマスコミを引用した形で、日本国内で朴槿恵大統領の疑惑を掲載したことが、裁判になったことでもわかります。

この裁判で結局加藤達也前ソウル支局長は、無罪とはなりましたが、そもそも裁判になる事自体が異常でした。

2015年12月17日、ソウル中央地裁に
入る産経新聞の加藤達也前ソウル支局長
日本でこのような書籍を出版したとしても、様々な文献を参照した上で、あくまで学術書の体裁をとった上で著者自身の考えを表明したものであり、このような体裁ならば、日本ならばどのような内容であれ、批判されることはあるかもしれませんが、裁判になるなどということはあり得ません。

これでは、韓国ではとても、言論の自由と、学問の自由を保証しているとはいえない状況です。

言論の自由も、学問の自由も制限され、経済も低迷ということでは、若者等が将来に絶望して、韓国をぬけ出すのも無理はありません。韓国ではもう随分前から脱北者 (北朝鮮を脱出して韓国に亡命する人)よりも脱南者(韓国を脱出して、欧米などの国籍を取得して移住する人)のほうが多い状況が続いています。

最近では、脱北者が韓国に嫌気をさして、北朝鮮に戻ったり、他国に出国する人も多くでる始末です。

このような状況を打破するには、なんといっても経済の立て直しを最優先すべきです。しかし、朴槿恵にはそのやり方がわからないようです。それについては、先日も述べたばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日韓財務対話】通貨交換協定再開へ議論開始で合意 韓国側が提案 「日韓の経済協力は有益」と麻生氏―【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、韓国がキャピタル・フライトを恐れて金融緩和をせずに、構造改革ばかりしようとする姿勢のまずさについて掲載しました。

日本が通貨交換で韓国を援助したにしても、これによって韓国政府が外貨をある程度確保した上で、大規模な金融緩和と積極財政を実行して内需を拡大する道を選ばないかぎり、韓国に明日はありません。そうして、日本の援助は水泡に帰します。

これから、ますます経済が低迷し、国民の不満が高まるばかりです。これでは、ますます、政府が言論の自由や学問の自由を制限せざるを得ない状況に追い込まれるだけになると思います。

一般に、慰安婦問題と経済とは全く関係ないかのように思われているふしがありますが、私は大いに関係があると思っています。

政府の経済対策が全く的を射たものではないので、格差は日本等と比較するととんでもない水準にまで高まり、最近では若者は、ヘル朝鮮と形容するほどにまでなっています。

ヘル朝鮮とは、韓国の主に20-30歳代の若者たちが韓国社会の生きづらさを「地獄 (Hell) のような朝鮮」と自嘲するために使うスラングのことです。2015年にSNSから広がり、その後メディアや文化人も頻繁に言及する流行語となりました。

流行の背景には、韓国の超競争社会による雇用不安と、縁故採用がはびこる不公正な就職状況があります。韓国では過酷な受験競争を経て大学を出てもすぐ就職できないことは珍しくなく、2014年時点で20代の就業率は57.4%でした。

高学歴層の就職競争は特に熾烈です。反面、富裕層やエリート官僚による縁故採用がなくならず、政治的なスキャンダルにもなっています。結局、カネもコネも無い「第三身分」は勤勉に努力したところで安定したキャリアデザインを描けないという不条理な現実に対する憤りが、自国を否定する「ヘル朝鮮」という言葉への若者たちの共感を生んだのです。

 ヘル朝鮮を報道するテレビ番組の画像 ハングル:헬조선、漢字:헬朝鮮、発音:ヘルチョソン
このような、状況の背景にはデフレがあります。このデフレを解消しないかぎり、若者を中心とした、不満は高まるばかりです。雇用と、金融政策は密接にからみあっているということを理解すべきです。金融緩和をして、数%インフレ率を高めれば、即座に数百万人の雇用が生まれるという経験則を学ぶべきです。

雇用の確保は、韓国銀行(韓国中央銀行)の役割であることをしっかり認識すべきです。これは、世界の常識です。なぜ、グローバル経済を自認する韓国が、こと自国内の経済というと、構造改革一辺倒で、世界で普通に行われている金融緩和政策をしないのか理解に苦しみます。

しかし、政府は経済がこのような状態になる前も、なった後でもまともな経済対策を実施することなく、ことさら慰安婦問題を煽り、日本を悪者に仕立て、国内の求心力を保ってきました。

韓国の中央銀行韓国銀行 韓国の唯一の希望は韓国銀行が金融緩和に踏み切ること。
しかし、このようなことをいつまで続けても、韓国社会に救いはありません。慰安婦問題をいくらつついてみても現在の韓国のデフレは解消しません。ますます苦しくなるばかりです。デフレと、慰安婦問題、竹島問題は全く別次元の問題です。

重ねていいます。この状況を改善するには、まずは金融緩和をしてデフレから脱却する以外に方法はありません。その後に、ミクロ的な問題を解消することにより、やっとまともな経済状態となり、まともな社会になります。金融緩和をすれば、確かにキャピタル・フライトの恐れがありますが、日韓通貨スワップがあれば、外貨をある程度確保して、キャピタル・フライトを防ぎ、金融緩和をソフトランディングさせることも可能です。

しかし、デフレを放置していては、何も進みません。これは、まるで、2013年より以前の日本の姿のようです。ただし、日本経済はデフレであったにしても、もともと韓国経済よりは基盤がしっかりしていたので、朝鮮ヘルのような状況までにはいたりませんでしたが、それでも、就職率はかなり低下しました。それは、誰よりも日本の若者が実体験で知ってることです。

韓国は、日本の過去の姿を見て、参考にすべきです。まずは、慰安婦問題などは、捨て置き果敢に金融緩和に取り組むべきなのです。恨の文化など捨て置き、まずは金融緩和を実行して、真っ先に若者の雇用を安定させることこそ、韓国が喫緊で進むべき道です。

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2016年8月29日月曜日

尖閣の北西300キロに中国が新軍事拠点 藤井厳喜氏が警告「公務員の常駐を」―【私の論評】尖閣を有人化しなければ、中国は必ず奪取しにくる(゚д゚)!

尖閣の北西300キロに中国が新軍事拠点 藤井厳喜氏が警告「公務員の常駐を」

昨年中国複数サイトに公開された「南じ列島の新軍事基地写真」
習近平国家主席率いる中国の、軍事的野望がまた発覚した。沖縄県・尖閣諸島から北西に約300キロにある島に、軍艦用の埠頭(ふとう)や、艦載機用のヘリポートを整備していたのだ。尖閣強奪の軍事拠点にする可能性が高い。日本政府は覚悟を決めて、警察官や海上保安官などの「尖閣諸島常駐」に踏み切るべきではないのか。

 中国の暴挙が止まらない。軍事拠点が構築されていたのは、浙江省温州市の南●(=鹿の下に机のつくり)(なんじ)列島最大の島・南●島だ。埠頭は長さ70~80メートルで、複数の軍艦の出入りが目撃されているという。今年春には軍用機も参加した演習が行われたとの情報もある。共同通信が19日、報じた。

 南●列島は、自衛隊や米軍の基地がある沖縄本島よりも約100キロも尖閣に近い。

 8月に入り、尖閣周辺海域には、中国公船や漁船が大量に押し寄せ、一部が領海に侵入している。漁船には100人以上の海上民兵が乗り込んでいるとの報道もある。日本政府が再三抗議しても、やめる様子はない。

 26日も、機関砲を搭載した中国海警局の公船3隻が接続水域を航行した。尖閣周辺で中国船が確認されるのは24日連続。尖閣強奪を狙っている可能性が高い。

 日本政府は今こそ「自国の領土を守る」という断固たる姿勢を示し、効果的な対策を講じる必要がある。違法行為を行った中国漁船の臨検・拿捕(だほ)に加え、尖閣への公務員常駐は即効性のある対策の1つだ。

南じ島
 実は、自民党は2013年に公表した総合政策集「J-ファイル2013」で、尖閣への公務員常駐を明記している。

 「尖閣諸島の実効支配強化と安定的な維持管理」との項目で、「わが国の領土でありながら無人島政策を続ける尖閣諸島について政策を見直し、実効支配を強化します」「島を守るための公務員の常駐や周辺漁業環境の整備や支援策を検討し、島及び海域の安定的な維持管理に努めます」と記載しているのだ。

 自衛隊を常駐させれば、緊張状態を高める可能性がある。取り急ぎ、違法操業や不法入国取り締まり目的の「警察権の行使」として、尖閣諸島に警察や海上保安庁の「監視所」を設置すべきではないのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「政府は早急に警察官や海上保安官をはじめとする公務員を常駐させるべきだ。中国が尖閣に漁民に偽装した海上民兵を上陸させ、『救援・救出』の名目で南●列島からヘリコプターを飛ばし、一気に人員や物資を運び込む危険性もある。時間の問題ではないか。300キロはヘリで1時間の距離だ。世界から『日本は自信がないから尖閣の無人政策を取っている』とみられる」と警告を発した。

【私の論評】尖閣を有人化しなければ、中国は必ず奪取しにくる(゚д゚)!

上の記事では、中国の軍事的野望がまた発覚したなどと、突然ふって湧いたかのような報道ぶりですが、実はそうではありません。すでに、昨年の1月以前からこの動きはありました。南じ島の位置を示す地図を以下に掲載します。


新聞や、テレビなどのメデイアは、ほとんどこのことを報道していませんでしたが、週刊誌「週間実話」がこれに関しては報道していました。その記事を以下に引用します。
新軍事基地急造・レーザー兵器導入 尖閣強奪に動き出した中国の魂胆
2015年1月11日 15時0分

週刊実話 
 ついに、中国が尖閣強奪を本格化させる軍事的な動きを見せ始めた。沖縄本島より尖閣諸島に100キロも近い、中国浙江省温州市沖の南キ列島に新軍事基地を建設しだしたのだ。 
 「軍が基地を建設し始めた南キ島は、界隈にある52の島々のうち最大級の大きさを誇るが、ここに数百人の軍人が昨年秋に上陸。今では島の高所に複数の大型レーダーが設置され、軍事用の超高速通信網の敷設も始まっているという。また、ヘリポートや大型巡視船の艦載機に使用されると見られる滑走路の建設も始まっており、今年中の完成を目指していると伝えられているのです」(自衛隊関係者) 
 この南キ島には将来的に陸海空軍が駐留する予定だが、狙いは「ズバリ長年中国が目論んでいた尖閣諸島の強奪」(同)ともっぱら。そのため、日本政府も大慌てしている状態なのだ。 
 「すでに防衛省や自衛隊筋では、これが尖閣奪取に向けた方策と評判になっている。日米両国では緊急会議を開き、この軍事施設への対応を協議しているほどなのです」(防衛省関係者) 
 もっとも、尖閣奪取を狙う中国の動きはこれだけではない。昨年11月には中国政府傘下の軍事企業である『保利集団』が、「WB-1」と呼ばれるレーザー兵器を開発。これが南キ島の新軍事基地に配備される可能性も高まっているのだ。 
 「この兵器は強力な電磁波を発し、人体の水分を沸騰させる新兵器。ビームを当てられた人間は命に別状はないものの、電子レンジに入れられたような耐え難い熱さを感じ、ヤケドを負った感覚になる。中国軍は東シナ海や国内でのデモ排除に活用するとうそぶいているが、尖閣上陸作戦の折にこれを阻止する海保隊員らに用いるのに最適で、『中国軍はこの兵器を使って尖閣を実効支配する青写真を描いている』と評判なのです」(前出の自衛隊関係者) 
 ちなみに、昨年11月に広東省で開かれた航空ショーでは、最新鋭のステルス機『殱31』も公開された。抗日戦争終結70年の節目にあたる今年は、中国軍の動きが活発化すること必至といえそうだ。
この記事の中にでてくる南キ列島が、ブログ冒頭の記事の南●(=鹿の下に机のつくり)(なんじ)列島のことです。

この記事の中に出てくる「WB-1」という電磁兵器についても、以前から言われていたことです。それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
【軍事ワールド】人間を“瞬間沸騰”させる中国最新「電磁ビーム」に高まる警戒…海洋進出、デモ鎮圧、“恐怖政治”に利用か 
この記事は、2014年12月24日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 中国が人間を“瞬間沸騰”させるという最新兵器を開発した。強力な電磁波を人体に浴びせ、熱さや傷みを感じさせる「非致死性」の兵器で、海洋進出を強行する東シナ海・南シナ海や国内で頻発するデモ対策での使用を視野に入れているとされる。何だかB級SF映画に出てくる武器のようで、威力や実効性もよく分かっていないが、米国ですでに同種の兵器が開発されていることもあり、「中国では恐怖政治の道具にされるのでは」と警戒する見方も広がっている。 
 チャイナ・ポリー・グループ(中国保利集団)が開発した「WB-1」という兵器で、先月11~16日に中国で開催された珠海(ズンハイ)エアショーで公開された。 
 国際軍事専門誌を発行する英国の軍事コンサルタント会社、IHSジェーンズなどによると、WB-1は強力なミリ波のビーム(電磁波)を発し、人体の水分を沸騰させる。ビームを当てられた人は電子レンジに入れられたような状態となり、耐え難い熱さを感じるという。ビームが届く有効距離は80メートルだが、電源などを強化すれば1キロにまで伸びるという。 
 SF映画も真っ青だが、米軍もすでに同種の兵器を開発しているというから、決して“空想の産物”ではない。 
 米軍のものは、人道的な「非殺傷兵器」(ノン・リーサル・ウエポン)に分類される「アクティブ・ディナイアル・システム(ADS)」という対人兵器システムだ。米CBSニュース(電子版)では、「この兵器は銃器の形ではなく、皿形のアンテナの形をしている」「オペレーターは(ゲーム機を操作するような)ジョイスティックで狙いを定める」などと紹介。ビームを当てられると火傷(やけど)を負ったような錯覚に陥り、有効距離は少なくとも450メートルとされる。 
米軍のADS
 2007年に初めて存在が公表された。米空軍研究所によると、ビームを浴びると瞬時に熱さを感じ、その後は炎の中にいるように感じるが、ビームの範囲外に出ると何の痛みも感じず、後遺症もないという。 
 またAFP(電子版)は「けがを負わせるか、極度の不快感を与えるだけかの違いは、その周波数にある」と解説。「電子レンジのマイクロ波は深く浸透するが、ADSの95ギガヘルツの電磁波は皮膚の表面から0・4ミリ程度しか到達しない」として、「電子レンジの100倍の威力を持つADSでも、ポップコーンを作ることはできない」としている。 
米国でのADSの実験。ビームを当てられるやいなや、顔をしかめて逃げるデモ行進役の人たち
 実際に米国でボランティアが被験者として参加し、実験した際の画像も公開されているが、問題は実験時に主催者から被験者に対し「(熱が局所的に集中する)ホットスポットを引き起こす可能性がある」としてメガネやコンタクトレンズ、金属物を外すよう安全予防措置が取られた点だ。つまりこうした金属物などを身につけている場合は、無傷では済まないとみられる。
この記事を読んだ限りでは、中国の 「WB-1」は、大した代物ではないようではあります。わざわざ、このようなものを使わなくても、既存の兵器を使えば、殺傷能力はかなり強いです。

「殲滅31」もまだまたの代物で、現状ではとても実戦配備できるようなものではありません。そもそも、失敗しているようでもあります。仮に成功していたにしても、実戦配備は2019年あたりになる代物で、その戦力はまだ未知数です。

となると、この週刊実話の記事は、やはり週刊誌独特の煽り記事で、信ぴょう性はさほど高いものとは思われません。だからこそ、一見このショッキングな記事は、所詮週刊誌の記事ということで、あまり日本国内でも、注目を浴びなかったのでしょう。

中国が「WB-1」を尖閣で使う予定をしているというのなら、中国側としては、尖閣を奪取するにしても、死傷者の出る本格的な戦闘ではなく、デモ隊を鎮圧するように、死傷者を出さずに奪取しようとしているとも受け取れます。

中国としては、海軍力でも、空軍力でも日本と比較すれば、かなり劣ることを自覚しているのだと思います。これについては、このブログに何度か掲載してきたので、ここでは詳しくは、解説しません。詳細を知りたいかたは、以下のその記事のリンクを掲載しておきますので、これを参照して下さい
中国の海軍力が日本に比較して劣勢である根拠 
中国の空軍力が日本に比較して劣勢である根拠
中国の軍事力で優っているのは、まずは核兵器です。中国は核を保有しているものの、日本は保有していません。しかし、現実問題として、尖閣を奪取するくらいのことで、核兵器を使うなどということは考えられません。さらに、日本には米軍が駐屯しており、日本は米国の核の傘で守られているということもあり、中国としては、現状では尖閣奪取のたに核兵器を用いることなど考えられません。

もう一つ、中国が優っているのは、陸軍力です。これは、数の上では圧倒的です。ただし、空軍力と、海軍力が劣っている中国 は尖閣に多数の陸軍を上陸させることは不可能です。輸送しているうちに、その大部分を失うことになります。

以上のようなことを考えると、通常兵力で、尖閣を奪取しようとした場合、日本とまともに戦っていては、中国には全く勝ち目はありません。

だからこそ、通常兵器ではなく、「WB-1」などを用いることを画策しているのかもしれません。しかし、これとて暴動の時に暴徒を鎮圧するのには、良いかもしれませんが、戦車やその他の車両に搭載している兵士には効き目がないと思います。

さらに、歩兵などに照射したとして、歩兵が黙って無力化されるなどということも考えにくいです。その前に、何らかの兵器を用いて「WB-1」を破壊することでしょう。

しかし、ブログ冒頭の記事のような記事が、ZAKZAK(夕刊フジ)に掲載されることになったのですから、これは週刊誌の煽り記事などとは違うと思います。

中国海軍には探知できない日本の「そうりゅう型」潜水艦
やはり、尖閣に危機が迫っていると考えるべきでしょう。ここは、国際政治学者の藤井厳喜氏が主張するように、尖閣に自衛隊員などの公務員を常駐させるべきです。

尖閣に人がいるということになれば、もし中国が尖閣を奪取しようとした場合、日本側としては、その人を守るとい大義ができ、武力を行使して人民解放軍や、海上民兵を排除したとしても、国内的にも国際的にも、非難されることはありません。無人島だとそういうわけにはいかないと思います。

これからも、人を常駐させなければ、それこそ藤井厳喜氏が語っているように『日本は自信がないから尖閣の無人政策を取っている』とみられる」ことになります。これは、中国もそのような見方をし、軍事的には劣勢ということを承知しながらも、尖閣を奪取できると思い込ませ、その方向に走らせてしまうことになります。

やはり、藤井厳喜氏のいうように、尖閣を日本の軍事基地として、自衛隊員を常駐させ、その他海上保安庁の職員なども常駐させ、無論のこと尖閣に港や、ヘリポートなど構築して、一日もはやく本格的に中国に対峙すべきです。

これは、自国の領土守るためであり、たとえ戦闘になったとしても、先ほど述べたように、中国に負けることは考えにくいし、国際社会も容認するものと思います。ただし、愚かで外交の劣等生でもある中国は、喚き散らすかもしれません。しかし、これは放置しておけば、単なる負け犬の遠吠えになるだけです。日本政府にその覚悟があるかないかという問題があるだけです。

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2016年8月28日日曜日

【TICAD】安倍晋三首相、基調講演で「アフリカを力や威圧とは無縁の場に」 中国に対抗か? 3年で総額約3兆円投資の意向も表明―【私の論評】中国のアフリカ投資大失敗後の今のがベストタイミング(゚д゚)!

【TICAD】安倍晋三首相、基調講演で「アフリカを力や威圧とは無縁の場に」 中国に対抗か? 3年で総額約3兆円投資の意向も表明

第6回アフリカ開発会議が開幕し、基調演説する安倍首相=27日、ナイロビ

日本政府が主導する第6回アフリカ開発会議(TICADVI)が27日、ケニアの首都ナイロビで開幕した。安倍晋三首相は基調演説で、アフリカへの積極的な進出を続ける中国を念頭に、「日本は、力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として(アフリカを)育てる」と強調。2018年までの3年で官民総額300億ドル(約3兆円)を投資する意向を表明した。

 首相は演説で、「(アジアとアフリカの)両大陸をつなぐ海を平和な、ルールの支配する海とするため、アフリカの皆さまと一緒に働きたい」と呼び掛けた。

 また、「若者に自信と夢を持たせるため、向こう3年で5万人に職業訓練を提供する」と強調。「質の高いインフラ」を整備するため、「日本は率先し、3年で約100億ドル(約1兆円)をアフリカに振り向ける」とした上で、民間企業の投資を合わせると投資総額は約300億ドルにのぼると説明した。

 一方、日本が提唱している国連安全保障理事会の改革に関連し「2023年までにアフリカは常任理事国を送り出しているべきだ」と表明。日本も常任理事国入りを目指していることを踏まえ、「安保理改革は日本とアフリカの共通の目標だ」と連携を呼びかけた。

 会議は28日、アフリカに対する質の高いインフラ投資やテロ対策、強靱(きょうじん)な保健システムの推進を柱とする首脳間文書「ナイロビ宣言」を採択し閉幕する。

【私の論評】中国のアフリカ投資大失敗後の今のがベストタイミング(゚д゚)!

今回の、安倍総理のアフリカでの約束は、中国を意識してのものかもしれませんが、中国に対抗する必要など全くありません。確かに、中国はかなりアフリカに進出してはいるものの、中国の対アフリカ投資はことごとく失敗しています。

この中国の大失敗の後に、日本がアフリカ諸国に対して援助を実行するのは、まさにベスト・タイミンクです。

中国がアフリカに急接近したのは、慈善的な理想主義とはほとんど関係がありませんでした。それは、急成長する自国経済と、その輸出品に対する新しい消費者市場に対応するために、必要不可欠な原料、とくに石油および鉄鉱石にアクセスすることを最大の
関心事としていました。

当時は、21 世紀の終わりまでに原料の輸入を加速する必要に直面していると考えられていため、中国の政策決定者は全地球規模でのエネルギー・資源の分散供給を確保するための戦略的決定を行ったのです。

その方針は 2001 年の 9/11 危機(アメリカ同時多発テロ)によって加速しました。なぜなら、9/11 によって、不安定な中東の石油供給に 60%以上を依存する中国の政策の偏りが明らかになったからでした。これを受けて中国の政策決定者は「積極的に買いに行く」政策に舵をきったのです。

当初は、新しい原料供給先を確保するため中国の石油・資源企業が、アフリカ、中央アジアおよび南米へ赴くという戦略が重視されました。中国がアフリカのような地域にまで政治・経済的な触手を拡大しているのは、国内の経済開発が喫緊の課題であるという焦りを、色濃く反映していました。 


数年前までは、中国がアフリカに巨額投資し、いずれ経済植民地にするといわれていました。しかし、現実には中国は、アフリカで巨額損失を出し、アフリカ人からは見下され、未だ主導権を握ってはいません。

2000年代に資源価格が急騰していた頃、中国はアフリカの鉱山の採掘権などを買いあさっていました。

その規模は「あっちに1兆、こっちに2兆」というまるで豆腐屋のようなやり方で、中国はアフリカの植民化を目指しているとも言われました。

それから10年以上の年月が経って、中国のアフリカ資源投資は、資源価格暴落で大損失被っています。さらには、中国経済そのものが原則して、中国政府は6%台の経済成長をしているなどと公表していますが、それは希望的観測に過ぎず、実際にはマイナス成長をしているのではとの観測もあるくらいです。そのためもあって、現在の中国のアフリカ投資は、単純な鉱山買収から企業の進出のようなビジネスに移っています。

南アフリカ・ヨハネスブルクの中華料理店
今や、中国人はアフリカのどこででも見かけ、どの国のあらゆる町に中華料理店があります。しかし、中国人や中国企業がアフリカで生き残っていくのは厳しいようです。

アフリカに進出した最近の中国企業で目立つのが建設業です。現地の労働者を雇って道路工事やビル建設をしています。アフリカ人は性格的にコツコツ物を組み立てるのが性に合わないらしく、上手く中国企業が入り込んでいるようではあります。

しかし、杜撰な中国人と、細かい事が嫌いなアフリカ人の組み合わせによって、多くの欠陥工事が行われているという現実があります。

そのためもあってでしょうが、中国人はアフリカで良く見かけられる割りには、あまり感謝されないし敬意も払われていません。

さらに、最近では中国が「世界の工場」と言われることもあり、その本領を発揮して、雑貨や中国製品を販売するチャイナショップがとても多くなりました。小さな街にも中国人が経営する商店が必ずあり、低価格で低品質な商品の販売をしています。

コートジボアールで現地の女性に中国の薬を売る中国人女性
このような商店の経営者はさすがに現地語を話すのですが、建設現場で働く中国人は、中国語しか話せず現地で孤立しています。

中国政府は外国と巨大プロジェクト契約を結んで、中国人労働者を送り込むのですが、優秀な技術者や優秀な技術者ではなく、国内の失業者を送り込むようです。そのためでしょうが、現地の人から見ても中国人労働者はとても身なりや態度が悪く、見下されています。

アフリカには紛争地域が多く、中国が進出する国は、欧米や日本が進出しない国や地域がほとんどです。例えば軍事政権が長年支配していて、鉱山などで民衆を強制労働させているような国や地域です。

ザンビアの飯場で卓球をする中国人労働者
そんな国に対してでも中国は鉄鉱石や石油と引き換えに戦車やミサイルを売るので、独裁者等からはとても感謝されています。
そもそも、中国のアフリカ進出は自国のためであり、アフリカ諸国を考えてのことではありませんでした。そうして、最近ではあまり自国のためにもなっていません。そもそも、中国の経済が停滞しているのですから、資源の必要性も以前よりはなくなっていますし、そもそも海外投資などすぐに見返りを期待するものではありません。長期で儲けるべきものであり、短期では損をするくらいです。

エチオピアの建設現場。低賃金に反中感情が高まる。
さらに、中国が地元で工事をしても、地元にはほとんどメリットがなく、中国が儲かるだけです。そうして、自国の経済さえままならない中国、さらにもともと自国に極貧層が大勢いるような国です。そんな国がアフリカに投資したとしても地元のメリットにはならず、意味がありません。

しかし、中国のアフリカでの大失敗は、その後の日本のアフリカ諸国に対する援助を際立たせてくれることになります。日本は、中国などとは違い、国際投資や、援助に長年の経験があります。

アフリカ諸国に対して、素晴らしい援助をして、アフリカ諸国と日本との関係を良くして、さらには、中国との違いをもアフリカの人々に鮮烈にみせつけることになると思います。

私としては、ドラッカー氏がアフリカがアジア並に食料が生産できれば、世界の食糧危機はそれで防ぐことができると語っていことから、農業・義業などでアフリカもアジアなみに食料生産ができるようになれば、アフリカ諸国の人々も潤うことになるし、世界にとっても良いことなので、その方向でアフリカの援助を進められたら素晴らしいことだと思います。

安倍総理が演説の内容にもある通り、

「(アジアとアフリカの)両大陸をつなぐ海を平和な、ルールの支配する海とする」

「若者に自信と夢を持たせるため、向こう3年で5万人に職業訓練を提供する」

を是非とも実現し、アフリカの人々が自立し、自尊心を持って日々生活ができるようになってほしいです。

このようなことを実現することによって、中国の影響力をアフリカから永遠に削ぎ落とすべきです。

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2016年8月27日土曜日

【日韓財務対話】通貨交換協定再開へ議論開始で合意 韓国側が提案 「日韓の経済協力は有益」と麻生氏―【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!



日本と韓国の財務担当閣僚らによる第7回日韓財務対話が27日、ソウルで開かれ、緊急時にドルなどを融通し合う通貨交換協定に関し、昨年2月に終了したものに代わる新たな協定について議論を始めることで日韓双方が合意した。韓国が提案し、日本側が応じた。

財務対話には、麻生太郎副総理兼財務相と韓国の柳(ユ)一鎬(イルホ)経済副首相兼企画財政相らが出席した。

韓国側は、日韓の2国間の経済協力を強化することと、その「証」として日韓双方が同額となる新たな協定の締結を呼びかけた。

麻生氏は「今後ともグローバルや地域的な話で協調する関係を構築していかないといけない」と答え、両国は新たな協定が地域金融市場の安定を高めるとの点で一致した。新たな協定締結に向けた協議は今後行い、締結の時期や金額について詰めていく。

麻生氏は終了後、記者団の取材に応じ、韓国側が新たな協定への議論の開始を提案したことについて「いざというときのために(外貨は)用意しておくべきではないか。韓国が(そのように)必要だと判断したと思う」と述べた。その上で「日韓の経済協力は有益であり、地域の持続的経済成長に資するものだ」と強調した。

日韓の通貨交換協定は、両政府が平成13年に締結した。しかし、24年に当時の李明博大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなどで日韓関係が悪化、昨年2月に打ち切られた。

日韓財務対話の開催は昨年5月に東京で開催されて以来。

【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!

通貨スワップにの関しては、日本側は「向こうから話が出れば検討する」(麻生氏)姿勢ということを予め表明していました。 事前に日本側からこう言われた上でなお議論を持ちかけてくるということは、国内の反日勢力に構っていられない状況ということなのでしょう。

それだけ、韓国経済が危機に瀕しているということです。

韓国が頼みとしていた中国経済は失速が鮮明になり、さらに、米国による韓国のTHAAD配備によって、中国の韓国に対する態度はかなり硬化しました。それに輪をかけてイギリスの欧州連合(EU)離脱が決定したことから、外貨を中心に資本が韓国内から海外へ流出する危険がかなり高まっています。

このままでは、金融危機などで投資家のリスク回避志向が強まった際には、韓国から深刻な資本逃避が起こる恐れがあります。

そこで、韓国内では、米韓・日韓通貨交換(スワップ)締結に関心が集まっていました。韓国の経済専門家の間では、他国との通貨スワップを増やすべきとの主張が強まっていました。

通貨スワップは、両国政府・中央銀行が緊急時に資金(主にドル)を融通し合うもので、日韓スワップ協定は国際金融市場で流通量の少ない韓国のウォン安定化を目的に2001年から始まりました。本来は、締結した両国の金融市場の安定を目的として、相互に金融協力の強化を行うものですが、日韓スワップ協定は、日本から韓国への片務的な性質が強よいです。つまり、実態は日本から韓国への経済支援でした。

しかし、12年に李明博前大統領による竹島上陸を端に発した両国間の関係が悪化したことに伴い、協定延長を取りやめることを検討する動きが双方で加速しました。

日本政府は、韓国からの要請があれば協定を延長することもやぶさかではないとの姿勢をたびたび表明したのですが、韓国側は「日本との協力関係は不要」とする世論の高まりや、反日姿勢を貫く朴槿恵大統領の方針もあり、協定の延長は望みませんでした。

韓国銀行の金仲秀総裁(当時)が、「延長が双方にとって利益になるなら延長することができる」との見解を示したが、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べています。

かくして15年2月16日、日本政府と韓国政府は「日韓スワップ協定を延長せず、予定通り2月23日で終了する」と発表し、13年半続いた日韓スワップ協定は終わりを迎えたのです。

このような経緯で終了した日韓スワップ協定ですが、韓国は長引く経済の低迷(デフレ)と資本流出の懸念が高まったことで、日本とのスワップ協定を再開させようとの動きが慌しくなっていました。特に、朴大統領が焦りを見せ始めたようです。

日韓財務対話は、両国の財務大臣や財務省幹部クラスが出席し、経済や金融問題について定期的に意見を交わす会合で、以前は毎年定期的に開かれていたのですが、李前大統領が竹島に上陸して以降、開催は中断していました。しかし、昨年5月に2年半ぶりに再開され、また会合を定期的に開くことになりました。

柳副首相と麻生氏
韓国は来年、大統領選挙が控えています。14年の旅客船セウォル号沈没事件以来、支持率は低迷し続け、経済も回復の兆しがみえない朴政権。日本とのスワップ協定を再開させることでウォンの安定化を図り、経済を安定させたいところなのでしょう。ウォンの価値が下落すれば、外国人投資家は一気に外貨を引き上げる可能性が高いです。それを避けるために日韓スワップ協定は一定の役割を果たすことでしょう。

従来と同じように、スワップは日本にとってほとんどメリットがないと考えられるのですが、ウォン安が進めば韓国から資本が急激に流出し、対韓民間融資債権のデフォルトが起こる可能性が高いです。とはいいながら、韓国経済の規模は小さくて、GDPは東京都と同程度です。

全体でそのくらいで、さらに日本の対韓民間融資債権ともなれば、日本の経済の規模からすれば、それがたとえ全部が価値を失って紙切れになったとしても、誤差の範囲でしたかありません。輸出も輸入も微々たるものです。韓国向け輸出がゼロになっても、日本経済にとっては、軽微なものです。

先に述べたように、スワップ協定が終了した当時、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べています。さらに、今回の日韓財務対話の直前に、通貨スワップに関しては、日本側は「向こうから話が出れば検討する」(麻生氏)姿勢ということを予め表明していました。

今回日本に対して強硬姿勢をとってきた朴政権が、しおらしく頭を下げてきたということです。これは、韓国側がどう体裁を繕っても、国際社会はそうとしか受け取りません。日本政府が韓国政府に、韓国のほうから言ってきたではないかといえば、それに対して韓国政府は抗うことなどできません。

韓国から申し出をしたということで、今回の通貨スワップ協定は、日本の外交の勝利といえるでしょう。

私自身は、この通貨スワップに関しては、反対でした。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
通貨スワップ「不要」と打ち切った朴政権 日韓財務対話で復活要求の模様…―【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみを以下に掲載します。
もしウォン高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。 
逆にウォン安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、金融危機に陥るでしょう。しかし、中国を含めて、韓国を本気で助けようとする国はもうありません。 
結局、韓国が自分勝手な外交によって中国はもとより、日本と米国の信頼を失ったことが、韓国がリフレ政策を採用できない理由だということになります。韓国はなんとも愚かなことをしたものだと思います。 
これを解決するには、韓国がその尊大な態度を改め、日米との和解を本気で進めるしかないのでしょう。

しかし、これも今更かなり難しいです。日本としても、韓国側から、韓国の経済危機を絶対に日本のせいにしないことという確約をとりつけるのはもとより、その他でも譲歩してもらわないと、とてもできるものではありません。

米国としても、韓国が中国側に寝返ることを確約しないと無理です。しかし、過去の韓国はこのような約束はことごとく反故にのしてきたため、いまさら信用されません。結局、韓国はまた通貨危機に陥り、IMFの管理下に入るしかなくなることでしょう。

現状でも韓国経済はかなり危険なのですが、もし9月に日銀が大幅な追加金融緩和を決定した場合、韓国の破綻はさらに早まり、第二の通貨危機に陥ることになります。そうして、韓国は第二の通貨危機も、日本の金融緩和のせいにすることでしょう。本当にやっかいな国です。
今のままでは、このシナリオを変えることはできないでしょう。なぜなら、韓国は深刻なデフレに見舞われているのですが、キャピタル・フライトを恐れて、金融緩和を実行できないでいるからです。韓国内でも、結局のところ、金融緩和を恐れて、それには目をつぶり構造改革の論議ばかりされています。

ただし、確かに構造改革も必要といえば、必要です。それは、あまりにもグローバル一辺倒に偏りすぎた韓国経済の内需をもっと拡大するということです。GDPの4割近くが、輸出で占めていたというのがそもそも間違いです。

日本では、輸出がGDPに占める割合は、15%程度です。米国は、数%です。さらに、個人消費がGDPに占める割合は日本は60%台、米国は70%台、韓国は50%台です。

輸出の占める割合が高いことは、国際競争力があるということで、積極的に受け取られがちですが、それは逆の側面から見ると、外国の経済状況に左右されやすいということです。そうして、今の韓国がまさにそれです。

世界経済の低迷の直撃を受けています。特に、輸出先をかなり中国にシフトしていたというのが致命的です。

このような状態であれば、グローバル化一辺倒から、内需を拡大する方向に進むのが、韓国経済を救う唯一の道です。

たとえ大規模な外貨のキャピタル・フライトが起きたにしても、ウォンは韓国の通過です。国外では安くなっても、韓国内ではそれなりの価値を持って流通するはずです。国外に逃げ出すのは、ウォンではなく、ドルなどの外貨です。思い切った金融緩和政策と、積極財政を行い、内需を拡大させて、デフレからなるべく早く脱却すべきです。

しかも、韓国はEUなどの共同体に入っているギリシャなどとは異なります。ギリシャなどは自ら金融緩和をやりたくてもできないですが、韓国は自らやりたければ、いつでもできるのです。

そうして、これを機会に、グローバル一辺倒から、恒常的に内需をある程度大きくして、日本や他の先進国なみに、個人消費を60%内外にして、輸出はせいぜい20%内外にすべきです。これを、通貨スワップなしに実行するということになれば、どのようなことをしても、韓国はいっときGDPがかなり落ち込みとんでもないことになるどころか、また通貨危機を迎えることは必定です。

しかし、通貨スワップがあれば、この構造改革をソフトランディングさせることができます。とにかく、通貨スワップによりある程度外貨を確保した上で、デフレ脱却のため、大規模な金融緩和と、大規模な財政出動をすべきです。特に、即効性のある財政出動をすぐにも行うべきです。その他の構造改革など後回しで良いです。

誰か、このデフレからの脱却の王道であるマクロ経済政策を朴槿恵に納得するまで教えて、実行させるべきです。そうでないと、また通貨危機に見舞われて、せっかく日本が援助しても、先の通貨危機の時と同じで、韓国はこれを日本のせいにすることになります。

また、来年は大統領選挙であり、朴槿恵が素早く経済対策を行わない限り、経済の低迷で国内が混乱して、朴槿恵に勝ち目は全くありません。

その兆候はすでに見られています。日本では、なぜかほとんど報道されませんが、韓国では、昨年パリのテロ事件があったころに、7万人規模の暴動が発生しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本のメディアはなぜ報じない!?韓国を揺るがす7万人大暴動 来年秋に控える韓国大統領選は?             櫻井よしこ
櫻井よしこさん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事かなり大規模で、主催しているのは左翼です。以下に、この暴動の様子を写した動画を掲載します。



時の政府の経済対策があまりもまずいと、反対勢力はそれに乗じて大規模な暴動などで、国内を混乱させます。また、国民の中にも不満が鬱積してるので、反対勢力の扇動に簡単にのせられてしまいます。今の韓国がまさにその状況です。慰安婦問題などがなかなか解決しない背景にはこのようなこともあります。

日本としては、もし通貨スワップを再開するというのなら、これを外交カードとしてしっかり持っておき、できうれば、韓国政府に筋違いの構造改革一辺倒の改革を目指すのではなく、通貨スワップにより外貨を確保した上で、デフレから脱却するための、王道である大規模な金融緩和と積極財政を行うように促すべきです。

それに、当然のことながら、慰安婦問題や、竹島問題にもこの外交カードをうまくつかうべきでしょう。さらに、韓国経済が低迷してくれば、日本側は他の外交カードも持つことができるようになるでしょう。これら外交カードをうまく使って、韓国との関係を正常化していく方向に用いるべきです。

それは、麻生財務大臣などでは全く無理でしょうから、誰か日本でまともなリフレ派で外交にも通じている人間がそのような役割を果たすのが望ましいと思います。

もし韓国側が正常化を実行しないというのなら、外交カードを使うべきです。特に、来年大統領選挙でとんでもない人間が大統領になって、まともな経済対策も行わずに、反日的な態度や行動をさらに激化させた場合、即座に通過スワップなど停止すべきです。それで韓国が吠えまくったにしても、単なる負け犬の遠吠えに過ぎません。耳を貸す必要など全くありません。行き着く先は、再び通貨危機です。ぐうの音も出ません。

しかし、そうならないように、外交カードをうまく使うように立ちまわるべきです。

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2016年8月26日金曜日

中国上空の機内から女子高生、北朝鮮SLBMを撮影?…軍事アナリスト「北朝鮮のミサイルと推測」―【私の論評】北SLBM、中国の領空・領海侵犯にもドローン哨戒は有効なことが実証された?

中国上空の機内から女子高生、北朝鮮SLBMを撮影?…軍事アナリスト「北朝鮮のミサイルと推測」

女子生徒が航空機内から撮影した北朝鮮ミサイルの可能性が
ある被写体。右側に飛行機雲のような筋が見える=24日午前
島根県立矢上高(同県邑南町)1年の女子生徒(15)が飛行中の航空機内から、北朝鮮が24日発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性がある被写体を写真撮影していたことが26日、高校への取材で分かった。

 矢上高によると、24日午前5時半~40分ごろ、生徒が進行方向左側の窓から景色を撮影していた際、飛行機雲のような筋が真っすぐ上がった後、形が崩れたという。中国上空を南に飛行していたとしている。

 生徒は2020年東京パラリンピックの事前合宿を誘致する活動のため、邑南町の派遣団の一員として訪れたフィンランドから福岡空港に向かう便で帰国途中だった。

 写真を見た軍事アナリストの小川和久静岡県立大特任教授は「噴射されたように真っすぐ軌跡を描いている様子から、ミサイルかロケットとみられる。同じ時間帯に他にミサイルの発射は確認されておらず、北朝鮮のSLBMと推測できるのではないか」と話した。

 北朝鮮は24日午前5時半ごろ、東部咸鏡南道新浦沖からSLBM1発を発射。防衛省によると、ミサイルは東北東方向に約500キロ飛行し、日本の防空識別圏内の日本海上に落下した。
 
 島根県立矢上高(同県邑南町)1年の女子生徒(15)が中国上空の航空機内から、北朝鮮が24日発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性がある被写体を写真撮影していたことが26日、高校への取材で分かった。

 矢上高によると、中国上空を南に飛行中の機内で24日午前5時半~40分ごろ、生徒が進行方向左側の窓から景色を撮影していた際、飛行機雲のような筋が真っすぐ上がった後、形が崩れたという。

 生徒は2020年東京パラリンピックの事前合宿を誘致する活動のため、邑南町の派遣団の一員として訪れたフィンランドから福岡空港に向かう便で帰国途中だった。

 写真を見た軍事アナリストの小川和久静岡県立大特任教授は「噴射されたように真っすぐ軌跡を描いている様子から、ミサイルかロケットとみられる。同じ時間帯に他にミサイルの発射は確認されておらず、北朝鮮のSLBMと推測できるのではないか」と話した。

 北朝鮮は24日午前5時半ごろ、東部咸鏡南道新浦沖からSLBM1発を発射。防衛省によると、ミサイルは東北東方向に約500キロ飛行し、日本の防空識別圏内の日本海上に落下した。

【私の論評】北SLBM、中国の領空・領海侵犯にもドローン哨戒は有効なことが実証された?

この出来事について、ブログ冒頭の記事でも、他の報道でも北朝鮮のSLBMらしいということを報道するのみで、この出来事の持つ意味についてはどこも報道しないので、私がこのブログに掲載します。

これは、何を意味するのか?最初に結論を言ってしまうと、北朝鮮のSLBM、いや他の国のSLBMであっても、ドローンによる哨戒が有効であることの証明になっているということです。
北朝鮮のSLBM
ドローンというと、多くの人は最近普及した、4枚プロペラのドローン(クアッドコプター)を思い浮かべるかもしれません。しかし、そうではありません。軽量の飛行機型の偵察ドローンです。

そうして、このドローンは、皆さんが思い浮かべる軍事用のドローンとも違います。それよりもはるかに軽量で、数ヶ月から半年以上も継続して飛行できるものです。そうして、無論レーダーや他の探知デバイスを搭載するものです。

このような、ドローンも開発済みか、開発途上なのでしょうが、これは現在どこの国にとっても軍事上の最高機密なのでしょう、なかなか表にはでてきません。

日本を防衛することを念頭におくと、日本の上空をいくつかのドローンが一日24時間交代交代で飛んでいて、SLBM などの飛行物体を迅速に発見して、それを地上の部隊に知らせ、対処するというシステムです。

これがあれば、今回のように北朝鮮のSLBM(潜水艦発射型核弾頭)が発射されても、探知できずに、攻撃されてしまうという危険を未然に防ぐことができます。それどころか、現在は中国の航空機の領空侵犯に対する航空自衛隊のスクランブルもしなくても良くなります。あるには、するにしても遥かに楽になります。

飛行機のような固定翼を持つドローン「Parrot Disco
ドローンが空中で監視していれば、中国機が領空を侵犯すれば、即座に相手に対して、警告を発信することができます。さらに、地上からミサイルを発射して迎撃するという行動も迅速に行えます。さらに、現在のように航空機によってスクランブルをかけるにしても、従来よりはるかに前もって、領空の侵犯しそうであるという情報が入手できるので、かなり迅速でできます。

SLBMは潜水艦から発射されるため、深海に潜んでいる潜水艦から発射されると、発射されてからしばらくたってから、これを発見しても、現在の核弾頭は複数の弾頭が搭載されて、それが、どの地域を目指しているのか、それをさらに探知するに時間がかかって、防ぎようがないというのが過去の常識でした。

しかし、どんな時にでもドローンが上空24時間飛んでいるというのであれば、それこそ、上の記事にあるように、女子高生が肉眼で察知して、撮影出来たよりはるかに迅速に、これを発見し、対処することが可能になります。

先に述べたように、このようなドローンはすでに開発済みで世界の空を飛んでいるかもしれません。しかし、日本では未だ開発されていないようです。

しかし、これも技術力の高い日本が本気で取り組めば比較的短期間に、世界最高水準のものを開発できます。軽量化といえば、まずはカーボンファイバーが頭に浮かびまずか、これの技術は日本の独壇場です。

炭素繊維は重さは鋼鉄の20%にすぎないのですが、強度は10倍以上にのぼる素材です。 日本は1970年代から炭素繊維の開発に取り組んできました。細い糸を高温で加熱した後に束ねて作る炭素繊維は化学や繊維加工など各種先端技術が伴います。T1000と呼ばれる東レの高強度炭素繊維製品は戦闘機やミサイルに使われるため輸出規制も受けています。

ボーイングの次期旅客機(B787)のカーボンファイパー使用部位
日本は、このような素材を用い、その他の先端技術を用いることで、空中を数ヶ月間も飛行し、SLBMや哨戒任務にあたる、ドローンを作ることは十分可能です。

さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていないのですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。

分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。

シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。

さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。

シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。

現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる友人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。

空中でもこれと同じように、長時間空中を飛行し、様々な情報を収集して、地上や空中の航空機に伝えることも可能です。

まさに、ブログ冒頭の女子高生が肉眼でSLBMを発見したように、ドローンがこれを発見して、地上や他の航空機に知らせ、迅速な行動をとることが可能になります。

日本としては、今回の北朝鮮のSLBMへの対処や、中国の航空機の度重なる領空、領海侵犯への対処を考えた場合、ドローンによる哨戒や、シーグライターの活用など喫緊の課題でしょう。

そうして、F35 を1機購入することを諦めれば、これらの開発は十分にかなりの余裕をもって可能だと思います。

私としては、なぜブログ冒頭のようなことがあっても、メディアや軍事評論家がこのようなことを言及しないのか、不可解です。

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2016年8月25日木曜日

蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!


蓮舫代表代行
民進党の代表選(9月2日告示、15日投開票)は、蓮舫代表代行が出馬の意向を表明している。蓮舫氏は、野党共闘や憲法改正問題について、基本的には岡田克也代表が敷いた路線を踏襲すると思われるが、肝心の経済についてはどうなのだろうか。

蓮舫氏はロイターのインタビューで、経済政策について語っている。「アベノミクスは行き詰まっている」とし、経済政策については「お金の使い方を人に向けていくことで個人の将来不安の解消を図ることが重要」との認識を示したという。

インタビューでは、マイナス金利政策を含む日銀の金融緩和政策について、前向きな発言はみられない。マイナス金利については撤回を「日銀に促したい」と話している。

ただ、マイナス金利は、金融緩和措置であるとともに、金融機関への不当な補助金を防ぐという意味がある。金融機関は日銀への当座預金によって年間2100億円の利払いを受けてきた。一般企業が金融機関へ当座預金しても、金利はゼロであるにも関わらずだ。金融機関が一般企業から当座預金で受け入れた無利子資金を日銀へ当座預金して2100億円もの利ざやを得ているともいえる。

マイナス金利の撤回を日銀に働きかけるということは、事実上、金融機関への「小遣い」を容認し続けることだともいえる。民進党はいつから金融機関の応援団になったのだろうか。

同党の枝野幸男幹事長はかつて、「景気回復のために、金利を上げよ」との珍説を主張したが、蓮舫氏もそれと同じノリなのだろうか。

いずれにせよ、金融緩和を柱とするアベノミクスに否定的な蓮舫氏は、金融引き締め指向とみられるが、そうなると、金融政策と関連性の高い雇用確保は難しくなってしまう。なぜ民進党は雇用確保に冷淡なのか、理解できないところだ。

次に注目すべきなのは、「個人の将来不安の解消が重要だ」というフレーズだ。これは財務省が社会保障のためという名目で、消費増税を訴えるときの決まり文句である。

本コラムの読者なら、日銀を含めた統合政府ベースでみればネット債務残高は100兆円程度に過ぎず、いまは財政再建を過度に進めるべきときではないことはご存じだろう。それにもかかわらず、相変わらずの緊縮財政路線だとみていいだろう。

蓮舫氏は消費増税を安倍晋三政権が2度も延期したことが間違いだと思っているのだろうか。デフレを完全に脱却しないまま緊縮財政を実行すれば、ますますデフレ脱却から遠のく。金融引き締めと緊縮財政の組み合わせでは、実体経済を痛める可能性が極めて高い。雇用の確保ができないばかりか、GDP(国内総生産)ギャップが拡大して、デフレに逆戻りし、賃金も上がらないだろう。

いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるが、蓮舫氏の政策は真逆の方向のように思えてならない。万一これが実行されたなら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなる恐れがある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、高橋氏は「日銀を含めた統合政府ベースでみればネット債務残高は100兆円程度に過ぎず、いまは財政再建を過度に進めるべきときではないことはご存じだろう」と述べています、これに関しては、最近このブログでもとりあげ、さらに私なりに実際に計算してみて、その計算過程もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる国の借金、正しくは政府の負債を私なりに計算して、その計算過程も示しました。その結果では、ネットで計算さらに、日銀を連結した統合政府ベースで170兆円 ということになりました。

高橋氏の計算結果とは異なりますが、それでも100超円台であり、どう考えても1000兆円でないことははっきりしすぎるくらいはっきりしています。

これに関しては、他の方も計算過程を公開しています。そのリンクを以下に掲載します。
財政再建は終わりました
この方の計算では、政府の負債は169兆円となっています。私の計算結果170兆円とほぼ同じです。ちなみに、この方のハンドルネームは、アフロといい、ツイッターのアカンうとは、"@Afro_spirits"です。

いずれにしても、政府の借金1000兆円などあり得ないわけです。この計算自体は非常に簡単です。是非私やこの方の計算過程をご覧になって下さい。

さて、この方の計算は信用できるものなので、以下にいくつかのグラフを転載させていただきます。

まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。


このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。

さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。


日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。

日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。

蓮舫氏は無論このようなことも理解していないのでしょう。実質財政再建が完了した問つても良いこの時期に、さらなる増税など全く必要ありません。

増税すれば、我が国の60%占める個人消費の低迷を招き、GDPの伸びが阻害され、かえって税収が減ることになるだけです。

さて、民進党の代表戦には、前原氏も出馬するそうです。しかし、前原氏もかなり経済オンチです。

かつて(2013年1月)、前原氏は、デフレの原因は人口減であり、震災直後の円高は震災によるサプライチェーンの分断によるものと語っていました。

前原誠司氏
ご存知のように、デフレは純然たる貨幣現象であり、人口の増減とは全く関係ありません。人口が減った国がデフレになっているかといえば、そんなことはありません。それに震災直後の円高がなぜ起こったかといえば、震災の直後は当然のことながら、復興のためなどに円の需要が伸びるにもかかわらず、日銀が金融緩和措置を取らなかったためです。

こんなことは、小学生でもわかります。円の需要が伸びているときに、貨幣を刷り増すとか、その他の手段でも良いので、金融緩和をしなければ、円高になるのは当然のことです。

前原氏も、蓮舫氏に負けず劣らず、経済オンチで、デフレの原因は人口減など頓珍漢、奇妙奇天烈な考えをもっているようで、これでは、民進党にはまともな経済政策は期待できないようです。

民進党代表選(9月2日告示、15日投開票)をめぐり、共産党との共闘の在り方や、憲法改正への対応といった争点がぼやけつつあるようです。既に立候補を表明し最有力と目される蓮舫代表代行が、党内の保守系、リベラル系双方に配慮して主張に曖昧さを残しているためです。出馬を模索する前原誠司元外相も、自らへの支持拡大を狙って本来の強い保守色を封印しており、路線の違いが見えにくくなっています。


野党共闘について蓮舫氏は、「基本的な枠組みは維持しつつ、さらに検討する」との立場。岡田克也代表ら現執行部の後押しを受ける蓮舫氏は、岡田氏らの方針を大筋で踏襲している。同時に、共産党との連携に批判的な保守系の取り込みを意識し、共闘路線を見直す余地も残しており、5日の出馬会見では「民共」連立政権を明確に否定しています

一方、保守系代表格の前原氏は、赤松広隆前衆院副議長らリベラル系との連携を模索し、持ち前の歯切れの良さを失っています。共産党との選挙協力について昨年11月には「シロアリみたいなものだ。土台が崩れる」と反対していたのですが、8日発売の月刊誌の対談では「政策がないまま枠組み論になることのリスクを伝えたくて、あのような発言をした」と釈明。「政策論議を深め、共闘のフェーズ(段階)を進化させる」と強調し、条件付きながら容認論に転換しました。

憲法改正では、蓮舫氏が衆参の憲法審査会での議論に「積極的に参加する」と踏み込み、保守系議員から一定の評価を受けた。一方で、「9条は絶対に守る」ともしていることから、蓮舫氏の姿勢には「八方美人」(保守系中堅)との指摘も出ています。

前原氏は今年1月のブログで「憲法改正は必要」と訴え、戦力不保持を定めた9条2項の見直しに言及しました。ただ、月刊誌では「国民の間では、9条が戦争への歯止めになっているとの思いは浸透している。慎重な対応を取らなければならない」と軌道修正しました。

民進党の代表戦一体どうなるのでしょうか。共産党の共闘などやめるならやめる、やるならやると、立場を鮮明にすべきです。憲法改正についてもそうです。

さらに、本当なら、経済が争点になっても良さそうなものですが、二人とも上で指摘したような、財政再建はすでに終了したという認識もないくらい経済オンチなので、そうはならないでしょう。

それにしても、野党第一党の代表戦がこのような有様であって良いのでしょうか。

本日、経済史の田中秀臣氏が以下のようなツイートをしていました。
田中秀臣氏は、54歳です。前原誠司氏は現在52歳です。蓮舫氏は48歳です。前原氏も蓮舫氏も田中氏よりは若いです。この二人は、新しい思想やアートの騎手ではありませんが、野党第一党を将来的に背負っていく人物であるには違いありません。この二人も、経済を語ると、財務省の増税キャンペーンのパンフレットみたいな(実際はそれ以下)ことしかいえません。

本当に不思議です。それだけ、官僚の洗脳の成果が大きいということなのだと思います。それにしても、この二人に限らず、今の日本、あらゆる分野で他のことではかなり目利きの人でも、こと経済になるとなぜかほとんど駄目で箸にも棒にもかからない人も多いです。

多くの人は、自分は官僚に洗脳されているかもしれないと、疑ってみるべきです。直接には洗脳されていなくても、間接的に洗脳されている可能性は大きいです。

特に、財政再建がすでに終了しているということを理解しようとしない、しようともしない人は要注意です。しかし、それは他の人に指摘されてもなかなか気づくものではありません。自分で気づくしかありません。

洗脳を解く方法は、私は専門家ではないのでわかりませんが、参考になる記事などはあります。その中から一つご紹介します。以下にそのリンクを掲載します。
マインドコントロールのやり方は簡単。洗脳を解く方法もついでに暴露する

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に洗脳を解く方法を箇条書きでまとめておきます。
①自分を客観視できる「一人三役の思考術」を行う

②あらゆる人の話を聞く

③二元論(善悪)で物事を判断&裁くのをやめる
確かに、この3つを本当に心から実践すれば、たとえ洗脳されていたとしても解ける可能性が高いと思います。特に、あらゆる人の話を聞くことや、物事を二元論で片付けるような思考法をやめるようにすれば、かなり効果があると思います。

自分の嫌いな人や、自分の意見と反対の人の意見も聞くこと、勧善懲悪の単純な考え方から脱却すれば、大方の人の洗脳は解けると思います。

それにしても、民進党の大部分というか、政治家の大部分は財務官僚に相当洗脳されています。このような人は、他の人に操作されやすく、そのため他者に都合よく利用されやすく、どのみちまともな思考などできません。

このままでは、民主党に先はないでしょう。しかし、皆さんの将来がそのようなことであって良いはずはありません。

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2016年8月24日水曜日

日本は「無条件降伏」をしていなかった 教科書が教えない歴史の事実―【私の論評】姑息なドイツとまともな日本では、終戦の意味は全く異なる(゚д゚)!


■無条件降伏のウソ

 8月になると、戦争関連の記事や番組が増える。多くの日本人は、1945年に日本は連合国に対して「無条件降伏」をした、と習ってきたし、今もそう信じている人がほとんどだろう。

 しかし、有馬哲夫早稲田大学教授は、新著『歴史問題の正解』の中で、その見方に異を唱えている。第6章のタイトルは、そのものズバリ「日本は無条件降伏していない」である。

 このような見解を聞くと、「戦争を正当化するある種の人たちのトンデモ説だろう」と警戒する人もいるかもしれない。

 しかし、有馬氏はあくまでも第一次資料をもとに、それを論証している。そこで提示している事実は、私たちが信じ込んでいた「日本は無条件降伏した」という見方を覆す内容だ。

 以下、同書をもとに「無条件降伏の真実」を見てみよう。(「 」内は引用)

■海軍作戦部長も「間違い」

 「無条件降伏の真実」とは

 ルーズヴェルト米大統領が、無条件降伏という方針を唱え始めたのは開戦から1年以上経った1943年のこと。敵国が無条件降伏するまで戦争を止めない、というこの方針に、陸海空軍の幹部はもとより、当時の国務長官コーデル・ハルまでもが反対した。

 なぜなら、このような方針を採れば日本など敵国の徹底抗戦を招き、無用に戦争を長引かせることになる。そうなれば自国の兵士たちへの影響もはかりしれない。

 当時のアメリカ海軍作戦部長にいたっては、このように侮蔑的に述べている。

「このルーズヴェルトのお気に入りのスローガン(無条件降伏)は間違いであることを(戦争が進むにつれて)ますます確信するようになった」

 要するに、大統領が国民受けを狙ってぶち上げた方針に対して、政府も軍人もこれは政治的スローガンにすぎず、早期和平の妨げになると考えていた。

 ところが、ルーズヴェルトがこの世を去り、あとを継いだトルーマンもまたこの方針を受け継いでしまう。そこで、実際の交渉にあたってアメリカから日本に対しては、「無条件降伏」は、あくまでも「軍事的指導者の影響力が除去されること」であって、「日本国民の絶滅や奴隷化を意味するのではない」というメッセージを発していた。

 日本を災厄に導いたのは軍閥であって、天皇でも日本政府でも国民でもない、ということである。

 日本政府側も、このメッセージの真意を受け止めたうえで終戦に向けて動くようになったのである。

■国際法上認められない「無条件降伏」

 有馬氏は次のように指摘している。

「私たち日本人は『日本は無条件降伏をした』と繰り返し教わってきたので、『無条件降伏』という言葉に違和感を持つ者はあまりいない。しかし、国際法の観点から見た場合、『無条件降伏』を相手に求めるというのは、当時も今も、相当異常なことだ、ということは理解しておく必要がある。

 近代の戦争においては、降伏した国から主権や基本的権利を奪うことはできず、まったくの無条件ということありえない。

 もしあるならその国民を皆殺しにし、領土をすべて奪ってもいいことになる。実際、こんなことが出来ないように、1941年に行われた大西洋会談では、すべての国には政体選択の自由、領土保全、交易の自由があり、敗戦国も例外ではないとしている。逆説的だが、無条件降伏という言葉は、何が『無条件』なのかを定義しないと使えないのだ」

 有馬氏は、同書で示した事実に関してはすべて根拠(第一次資料)を明記しているので、事実誤認だと思う方も、根拠をもとに反論してほしい、そうした事実をもとに議論することが重要だ、と述べている。

【私の論評】姑息なドイツとまともな日本では、終戦の意味は全く異なる(゚д゚)!

私にとっては、前々から日本は無条件降伏などしていないことなどは、当たり前の事実であり、20世紀の世界で、戦争をした相手に無条件降伏をさせることができるなら、そもそもポツダム宣言など必要もなかったはずだと思います。だから、このブログには過去に何度か、日本は無条件降伏などしていないと書いています

全国戦没者追悼式のご出席された天皇皇后両陛下
このようなことは、別に一次資料になどあたらなくても、常識を働かせれば、すぐに理解できます。もしそんなことが可能なら、戦勝国が我先に、日本に侵攻して自分の領土を勝手に分捕ることができたと思います。

しかし、現実には、そんなことはなく、アメリカでさえ、ある一定期間日本を統治した、後日本を去っています。20世紀の世界で、戦争で負けた相手に対して、無条件降伏をさせることができるというのなら、当時でも日本は米国と、ソ連に占拠され、今でも北日本はロシア領、南日本は米国領だったことでしょう。しかし、現実にはそんなことは不可能でした。

こんなことは、少し常識を働かせれば、理解することができます。日本は、あくまでも条件つきで降伏したのです。無条件降伏をする状況に追い込まれれば、日本人は全国民がいなくなるまで、徹底抗戦したことでしょう。米国や、ソ連の上陸を許したにしても、後にはゲリラ戦で徹底抗戦をしていたに違いありません。これは、多くの日本人がしっかりと認識しておくべきことです。

さて、こうした終戦にまつわる話では、他にも誤解されていることがあります。

ナチス降伏後のドイツの様子を表紙にした当時のグラフ雑誌「ライフ」
その誤解の最たるものは、ドイツと日本の『降伏』や『終戦』の内容は全く異なるということです。これは、日本人でも、理解していない人が多いです。同じ枢軸国で連合国に負けたのだから同じといった表面的なものだけを見ていては事実を見誤ります。

さらにそれを理解しないと何故ドイツが戦後自虐史観を持たずにドイツの誇りを取り戻すことができ、今や再び欧州の名実共に盟主となったかを理解することはできません。

もし、親しいドイツ人がいたとしたら、「ドイツの終戦記念日はいつですか?」と聞いてみれば、驚くべきことがわかります。

日本人ならほぼ100%日本の終戦記念日を判で押したように、8月15日と答えるでしょうがが、ドイツ人は違います。人によって、答えが違います。実はドイツには全国民に共通な明確な終戦記念日はないのです。

質問した相手によって、答えがまちまちで、5月8日、5月9日、6月6日、7月20日、11月9日あるいはユダヤ系なら1月27日と答えるかもしれません。そうして、これらの日付にはそれぞれ歴史的な出来事があって意味があるのです。

それくらいドイツの終戦というのは認識がまちまちなのです。そのため、国際的にこれでは通用しないし国内でも混乱を招くいうことで、現在のドイツでは終戦記念日ではなく『国民哀悼の日』(11月第3日曜)を設けて国民的な記念日としています。

何故こういうことになっているかといえば、ドイツと日本は『降伏』や『終戦』の経緯やその持つ意味が決定的に違うからです。現在のドイツでは、あるいは多くのドイツ人は、『負けて降伏したのはナチス政権とその軍であって、戦後のドイツの政権はその継承者ではない』という論理が根底にあるからです。

1970年にブラント西独首相がワルシャワで跪いたのも、ナチスの悪行は自分たちと無関係という意識があるため哀悼の意を表明することなど全く平気だったのです。強いて言えばナチスに替わって哀悼・遺憾を表したのです。

ワルシャワで跪いたブラント西独首相
さらにこの論理をよく表しているのが、戦後40年記念でのワイツゼッカー大統領(当時)の有名な演説(1985年)で、ドイツの終戦を、『ナチスの暴力支配による非人間的システムからの解放の日』と定義してみせたことです。

この演説で『過去に目を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる』とも言っていて韓国はこのフレーズを恣意的に取り上げているのですが、こんなことより、先のフレーズのほうが遥かに重い意味がありますし、歴史の事実を恣意的に曲解する韓国の指摘全く的外れです。

また、統一後のシュレーダー首相(当時)も60年記念(2005年)で、『連合国による勝利はドイツに対する勝利ではなく、ドイツのための勝利であった』などと、まるでドイツが戦勝国側(連合国側)であるかのような錯覚を持たせるような演説をしています。

東西ドイツ統一の影響もあるでしょうがが、すっかり、『悪いのはナチスであって我々誇りあるドイツではない』と言わんばかりの論理です。何故、こんなことがまかり通るかというと、終戦の時の状況が日本とは決定的に違うからです。

ドイツが降伏したのは政府ではなくナチス・ドイツ軍(正確にはその臨時的な継承者)だということなのです。ヒトラーが死にその政権(=軍)だったドイツは臨時政府に相当する代表(フレンスブルク政府=デーニッツ政府)が5月8日にフランスのランスで降伏文書に調印し、5月9日に首都ベルリンで批准手続きをしたのですが、6月5日に連合国によってこの政府はナチス要人による政府であるため正当な中央政府として認めないとされたのです(ベルリン宣言)。

一方、日本はポツダム宣言を受諾しミズーリ艦上で降伏文書に署名した政府代表の重光外務大臣(文官)が存在したように降伏はしたものの正当な日本政府が厳然として存在していました。
戦艦ミズーリ上で調印式に望む日本側使節団
連合軍に対して降伏したのは、ドイツの場合は『ナチス・軍』であって政府ではなかったのですが、日本の場合は『正当な政府』だったのです。この違いは、決定的に大きいものです。

もし、日本が戦争責任を天皇陛下と軍に全て押し付けて『悪いのは天皇と軍』ということにして戦後の政府は戦前・戦中の政府の継承者ではないといったドイツと同じような定義づけをしていたとしたら戦後処理は全く異なったに違いありません。

そもそも、日本ではドイツ知識人のようなご都合主義など通用せず、戦争責任を天皇陛下や軍部のせいになどするようなことは到底できなかったのです。それに、ナチスドイツと当時の日本の軍部などは、全く異なるものです。ましてや、ヒトラーと天皇陛下を同次元で語ることなど到底できません。

ところで、第一次世界大戦後ドイツ中央銀行は、今日の日銀のようにドイツ中央銀行の独立性により、ドイツの金融政策の目標を定めることができたため、マルクを際限なく刷り増ししたため未曾有のハイパーインフレに見舞われました。

その後、ハイパーインフレは収束したのですが、今度は世界恐慌の煽りを受けてデフレが長引きました。1930年代のドイツでは「こんなに俺たちドイツ人は頑張っているのに、なぜデフレ不況から抜け出せないのだ?ユダヤ人が原因に決まっているじゃないか!」という声が巷に溢れていました。
 
その後のドイツ人が何をしたかは、世界中の人間が知っています。結局、ナチスドイツの台頭を招き、ユダヤ人もドイツ人もとんでもない災厄に見舞われることになったのです。しかし、そんな言説を撒き散らしていた当時のドイツの知識人が、そうしてその史実をナチスドイツを悪魔化することで回避した現代のドイツ知識人が、どのような自己批判をしたかは、誰も知りません。このことは、すっかり忘れ去られているようです。
ナチス党大会
日本はドイツのような姑息なことはせずに、国体の護持を選択し、潔くポツダム宣言を受諾し、あのリンチともいうべき極東軍事裁判の結果を受け入れました。

ニュルンベルク裁判では悪魔であるナチスを裁いたのですが、極東軍事裁判は敗戦国日本(政府、軍)を裁いたのです。

ただし、ドイツにおいてはあくまでナチス・ドイツは降伏したということになっているのですが、日本が国家として降伏したかどうかは学問的にはいろいろな説があります。

降伏した主体がどこかによる違いが、戦後の憲法(基本法)を制定する過程で大きく影響したという説もあります。

戦後の処理において(ナチスの継承者ではない)ドイツは、ロンドン勧告やフランクフルト文書に見られるように、憲法(基本法)制定で2つの条件を出したとされます。(ドイツ連邦共和国基本法)

・議会民主主義
・軍隊の保持

そして憲法は制定するがそれは『ドイツの国民が自由な自己決定を行えるまでの暫定的なもの』である『基本法』であるとされたのです。そのためもあってか、ドイツでは戦後何度も憲法が改定されています。

一方の日本の憲法はそうではありませんでした。先日もアメリカのバイデン副大統領がヒラリー大統領候補を応援した際に語ったように、日本国憲法は、米国が草案したものであり、しかもドイツとは異なり、当時の政府は憲法制定の条件を出すことも許されませんでした。

それどころか、米国によって草案された憲法は、暫定的なものであるとはされなかったのです。ドイツとは、異なり日本国憲法は戦後一度も改定されたことがありません。

そうして、これは、明らかに国際法違反です。戦勝国が、敗戦国に対して、憲法の内容を強要するなど明らかな国際法違反です。

このような日本国憲法は、一日でもはやく捨て去り、一度日本は大日本帝国憲法にたちかえり、そこから、自分たちの手で新たな憲法を創りだすべきなのです。

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