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2023年6月17日土曜日

プーチン大統領が〝孤立〟 旧ソ連カザフスタンなど離脱、周辺からも支持失う  「反ロシア・反プーチン連合も」 中村逸郎氏が指摘―【私の論評】ウクライナ戦争が旧ソ連地域におけるロシアの立場を弱め、その影響力を維持することをより困難にした(゚д゚)!

プーチン大統領が〝孤立〟 旧ソ連カザフスタンなど離脱、周辺からも支持失う  「反ロシア・反プーチン連合も」 中村逸郎氏が指摘

プーチン大統領の「ソ連回帰」が周辺国に警戒されているのか


 ウクライナ侵略をきっかけに、旧ソ連諸国の中で「プーチン離れ」が進んでいる。

 ロシア指導部への支持率が急落し、ウクライナやモルドバを含む他の旧構成国でもロシアとの関係に疑問符がつくようになっている。

 ロシアのウクライナ侵略に対して批判的な態度を示してきたカザフスタンのトカエフ大統領は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでの会議を欠席し、ロシアとの一線を画した態度を明確にした。

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はモルドバで開催された首脳会合に出席し、欧州との結束を確認した。

 ロシアの支持率の急落は、モルドバ、アルメニア、カザフスタン、アゼルバイジャンなどの旧ソ連諸国で顕著であり、プーチン大統領の「ソ連回帰」の試みに対しては懐疑的な声も上がっている。

 中村逸郎名誉教授は、ロシアが埋没していることを嫌い、プーチン大統領が「ロシアの栄光」を復活させようとしていると指摘し、旧構成国間で「反露・反プーチン連合」が形成される可能性もあると述べている。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は是非元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】ウクライナ戦争が旧ソ連地域におけるロシアの立場を弱め、その影響力を維持することをより困難にした(゚д゚)!

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、長い間、ソビエト連邦を復活させようとしていると非難されてきました。彼はソビエト時代を懐かしむように語り、ロシアのメディアや経済に対する権力と支配力を強化するための措置をとってきました。また、異論や反対意見を取り締まり、クリミアを併合し、ウクライナ東部の分離独立派を支援してきました。

ソビエト連邦の復活を目論むプーチンだが・・・・・

プーチンのウクライナでの行動は、東ヨーロッパにおけるソビエト連邦の勢力圏を再現しようとする試みであると多くの人が見ています。ウクライナはかつてソビエト連邦の一部であり、ロシア語を話す人口も多いです。プーチンは、ウクライナへの侵攻を「非武装化・非ナチス化」のために必要だと主張し、正当化しています。しかし、プーチンの真の狙いは、ウクライナのNATO加盟を阻止し、ロシアの勢力圏に留めることにあるとする見方が多いです。

プーチンの思いとは裏腹に、ウクライナ戦争は、プーチンのソビエト連邦復活の野望を大きく後退させるものになりました。ウクライナ国民は独立のために戦う意思を示し、ロシア軍に多大な犠牲をもたらしましたた。

また、この戦争は、ロシアの経済と世界舞台での評判にダメージを与えました。プーチンがソビエト連邦の復活という目標を達成できる可能性は低いですが、今後も旧ソ連共和国に対する支配力を行使し、東ヨーロッパにおけるロシアの影響圏を拡大しようとしていた可能性は高いです。

プーチンのウクライナでの行動が、ソ連復活の試みとどのように関連しているのか、具体的な例をいくつか挙げます。

クリミアの併合 2014年、ロシアはウクライナからクリミア半島を併合しました。これは明らかな国際法違反であり、プーチンがソビエト連邦の国境を復活させようとしている兆候であると多くの人が見なしました。

 ロシアは2014年以降、ウクライナ東部の分離主義者を支援してきました。これらの分離主義者はウクライナ政府と戦っており、多大な死と破壊を引き起こしています。ロシアの分離主義者への支援は、ウクライナを不安定化させ、NATOへの加盟を阻止するための試みであると多くの人が見ています。

さらに、プーチンは2000年に政権に就いて以来、ロシアにおける反対意見を取り締まってきました。野党指導者を投獄し、言論の自由を制限し、メディアを統制してきました。このような反対意見の取り締まりは、ソビエト連邦に似た全体主義国家を作ろうとしていると多くの人が見ています。

ただ、プーチンは、ソビエト連邦を復活させようとしていると明言したことはないことに注意する必要があります。しかし、ウクライナなどにおける彼の行動は、それが彼の目標であることを示唆しています。ウクライナ戦争はプーチンにとって大きな後退だが、プーチンがその野望をあきらめることはないでしょう。

ただ、この考えは、一種妄想に近いともいえると思います。そもそも、ロシアがウクライナに侵攻し、キエフを占領し、ゼレンスキー政権を追放し、傀儡政権を作ることは、最初から不可能だったと考えられます。ウクライナ侵攻直前でさえ、ロシアのGDPは韓国をわずかに下回る程度であり、軍事力もNATOの連合軍ほど強力ではありません。

軍事費も一般に思わているほど大きくはありません。日本が軍事費を倍にすると、ロシアの軍事費をかなり上回ることになります。それでも、なぜロシアが軍事大国と思われてきたかといえば、旧ソ連の核兵器と、軍事技術を継承した国がロシアだからです。

無論、これを侮ることはできませんが、自ずと限界はあります。できることは限られています。ウクライナ侵攻は当初から絶望的に困難なことだったといえます。
IMFデータをもとにした世界の名目GDP国別ランキング

ロシアのウクライナ侵攻が成功しなかった理由をいくつか挙げてみます。

まず、ウクライナ国民は自国のために戦う意志を持っていることです。ウクライナ国民は国のために戦う意思を示し、ロシア軍に多くの犠牲者を出している。そのため、ロシアは目的を達成することが難しくなりました。

国際社会はロシアに厳しい制裁を課しています。米国とその同盟国は、ロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、ロシアに厳しい制裁を課しています。これらの制裁はロシア経済を麻痺させ、ロシアが軍事活動を維持することを困難にしています。

ロシアは多くの戦略的誤りを犯してきたことです。ロシアはウクライナ侵攻において、多くの戦略的誤りを犯しました。ウクライナの抵抗力を過小評価したこと、ウクライナ上空の制空権を確保できなかったこと、目的を迅速に達成できなかったことなどです。

ウクライナ戦争が長期的にどのような結果をもたらすかについては、まだ時期尚早です。しかし、ロシアが大きな後退を喫し、世界におけるロシアの地位が弱体化したことは確かです。また、この戦争は、ウクライナの人々が自国を守る決意を固め、戦わずしてあきらめないということを示しました。

キエフ郊外のアントノフ空港で、ウクライナの女性兵士とともにたたずむオレナ・ゼレンスカ(青色のコートの女性)。

ウクライナ侵攻をきっかけに、旧ソ連諸国の間でプーチンからの「離反」が進んでいることは、上の記事に示されていますが、これには、以下のような要因があります。

まず、ウクライナ戦争は、ロシアが信頼できるパートナーでないことを示したことです。ウクライナへの侵攻は明らかな国際法違反であり、多くの死者と破壊をもたらしました。このため、多くの旧ソ連諸国は、ロシアが約束を守ってくれるかどうかを疑問視するようになりました。

ウクライナでの戦争は、ロシアの経済にダメージを与えました。米国とその同盟国が課した制裁は、ロシア経済に大きな影響を与えました。そのため、ロシア国内の生活水準が低下し、旧ソ連諸国への経済支援も難しくなっています。

ウクライナ戦争は、プーチンに対する信頼の失墜を招きました。ウクライナへの侵攻は、プーチンが自分の目的を達成するために軍事力を行使することを厭わないことを示しました。このため、多くの旧ソ連諸国は、プーチンが自分たちの最善の利益のために行動することを信頼できるかどうかに疑問を持つようになりました。

こうした要因の結果、多くの旧ソ連諸国がロシアから距離を置くための措置をとっています。例えば、グルジアとモルドバはNATOへの加盟を申請し、アルメニアは集団安全保障条約機構(CSTO)への加盟を停止しています。これらの国々は欧米との緊密な関係を求めており、安全保障や経済的支援をNATOや欧州連合に求めている。

旧ソ連諸国の間でプーチンからの「離反」が進んでいることは、ロシアにとって大きな後退です。この地域におけるロシアの影響力が衰えていることを示すものであり、プーチンが目指すソビエト連邦の復活への挑戦でもあります。ロシアがこの課題にどう対応するかは不明ですが、ロシアはこの地域での影響力を維持する方法を模索する可能性があります。

たとえば、ロシアはその経済力を利用して、旧ソ連諸国に圧力をかけ、自国に従わせることができます。例えば、貿易や投資を遮断したり、エネルギー輸出の価格を引き上げたりすることが考えられます。

ロシアは、旧ソ連諸国が西側諸国と協調することを阻止するために、軍事力を行使することができます。例えば、旧ソ連諸国との国境付近で軍事演習を行ったり、旧ソ連諸国のうちロシアと同盟を結んでいる国に軍隊を派遣したりすることです。

さらに、ロシアは、偽情報やプロパガンダを用いて、旧ソ連諸国の住民の間に不和や不信感を植え付けることができます。これにより、旧ソ連諸国がロシアに対して団結することをより困難にすることができます。

そうして、ロシアは、旧ソ連諸国において自国の価値や利益を促進するために、文化的影響力を行使することができる。これは、ロシアのメディア、教育、スポーツを利用することで可能です。

重要なのは、ロシアがこれらの方法を一度にすべて使う可能性はないということです。むしろ、国や地域によって、いくつかの方法を組み合わせて使う可能性が高いです。

ロシアが旧ソ連地域で影響力を維持しようとする努力が成功するかどうかは、以下のような多くの要因に左右されます。

①旧ソ連諸国の経済力と軍事力、②欧米との関係強化に対する国民の支持の程度、③欧米の対ロシア制裁の有効性等です。

ウクライナ戦争が旧ソ連地域におけるロシアの影響力に長期的にどのような影響を与えるかについて結論を出すのは時期尚早です。しかし、この戦争がこの地域におけるロシアの立場を弱め、ロシアがその影響力を維持することをより困難にしたことは明らかです。

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2022年7月27日水曜日

〝宇宙大国〟崩壊の危機 ロシア、ISS計画から離脱 独自のステーション建設優先「西側の制裁が相当効いている…本格的な衰退見えてきた」識者―【私の論評】ソ連崩壊時のように現在のロシア連邦は、宇宙開発どころではなくなった(゚д゚)!

〝宇宙大国〟崩壊の危機 ロシア、ISS計画から離脱 独自のステーション建設優先「西側の制裁が相当効いている…本格的な衰退見えてきた」識者

国際協調の象徴とされるISS

 ロシアの国営宇宙開発企業、ロスコスモスのボリソフ新社長は26日、2024年で国際宇宙ステーション(ISS)の計画から離脱することを決めたとプーチン大統領に報告した。欧米の制裁や民間企業の成長でロシアの宇宙ビジネスは斜陽化が指摘されており、プーチン氏が掲げた「宇宙大国」の地位は崩壊しようとしている。


 15日に社長に任命されたボリソフ氏はモスクワのクレムリンでプーチン氏と会談し、共同運用期間が終わる24年での離脱が「決定された」と説明。地球の軌道を周回するロシア独自のステーション建設が当面の最優先課題になると述べた。

 日米欧露など各国の飛行士が滞在するISSは国際協調の象徴とされ、ロシアが14年にクリミア半島を強制編入した際も関係は保たれてきた。

 ISSの運用期限は24年で、米航空宇宙局(NASA)は30年まで延長する方針を示していたが、2月のロシアによるウクライナ侵攻で延長の交渉は事実上中断した。

 ISSへの有人輸送は、長年ロシアの宇宙船ソユーズが担ってきた。昨年12月、ISSに滞在したZOZO(ゾゾ)創業者、前澤友作氏を運んだのもソユーズだった。

 だが、イーロン・マスク氏が立ち上げた米スペースXなど民間企業が相次いで宇宙事業参入している。21年のロケットの打ち上げ回数でロシアは中国と米国に大きく水をあけられた3位だ。

 ロシアの宇宙開発企業、エネルギヤのソロビヨフ主任設計士は26日、ロシアが独自の宇宙ステーションを開発する場合、最初のモジュール打ち上げは早くても28年になるとの見方を示した。ステーション建設とISSへの参加を並行しないと、ロシアは数年間、有人宇宙飛行を中断することになり「新たに再開するのは、かなりの困難が伴う」と危機感をあらわにしている。

 筑波大名誉教授の中村逸郎氏は「ロシアにとって宇宙ビジネスは、米国に負けない技術力を持っていると誇示するプーチン氏の愛国主義と国威発揚の手段だった。重要な資金源でもあったが、ISSを放棄せざるをえないのは西側の制裁が相当効いているのだろう。技術力を欧米や中国にどんどん水を開けられ、ロシアの本格的な衰退が見えてきた形だ」と語った。

【私の論評】ソ連崩壊時のように現在のロシア連邦は、宇宙開発どころではなくなった(゚д゚)!

ロシアの宇宙開発というと、どうしても思い出すのは、ソ連崩壊時に宇宙飛行士が宇宙ステーションに、しばらくの間放置されことです。

1991年5月18日にミール宇宙ステーションに搭乗したセルゲイ・クリカレフが帰還したのは1992年3月でした。表向きの理由は、1991年12月26日、ソビエト連邦が解体され、クリカレフは国を持たない宇宙飛行士となったからだとされています。彼は、今でも最後のソビエト連邦市民とロシアでは呼ばれています。

セルゲイ・クリカレフ氏

ただ、本当の理由は、ソ連崩壊し、ロシア連邦がソ連の核兵器、軍事技術、宇宙技術などを継承したのですが、経済が極度に低迷し、宇宙ステーションどころではなくなったというのが実情でしょう。

実際、核兵器のメンテナンスなどでも、膨大な資金が必要です。実際、ソ連が崩壊に伴い独立した、ウクライナは、国内にソ連邦時代の核兵器が多数残っており、当時一時的に米露に続く世界第三位の核保有国になったくらいです。

ロシア連邦と同じく経済が低迷していたウクライナは、核兵器の破棄を決めました。そうして、ロシアも西側諸国もこの決定を歓迎し、核兵器の廃棄が進められることになりました。

ただ、ロシア連邦にはウクライナの核兵器を廃棄する余力すらなく、実際にウクライナの核兵器を無力化して廃棄したのは、米国をはじめとする西側諸国でした。

これだけ、経済が低迷していたロシア連邦が、宇宙開発に回せる資金はほとんどなく、ミールをしばらく放置せざるを得なかったのでしょう。

クリカレフは、現在ロスコスモス所属の宇宙飛行士です。1958年8月生まれの彼は現在63 歳、健在です。

さて今回、ロシアの宇宙開発の本格的衰退がみえてきた形ですが、今回はそれがはっきりしたということで、ロシアの宇宙開発は随分前から衰退傾向にありました。

米スペースシャトルが2011年に退役して以降、地球と国際宇宙ステーション(ISS)を往復する手段は露宇宙船「ソユーズ」だけとなりました。安定感を誇ってきたソユーズでしたが、その信頼は揺らぎました。

2018年8月にはISSに接続していたソユーズの穴が原因でISSの気圧低下が発生。同年10月に行われたソユーズ打ち上げも組み立てミスが原因で失敗し、米露の飛行士2人が緊急カプセルで脱出しました。米スペースX社は有人型ドラゴン宇宙船の実用化に成功した現在、ソユーズの独壇場は終わりました。

1950年~60年代、旧ソ連は世界に先駆けて人工衛星「スプートニク」の打ち上げやガガーリンによる有人宇宙飛行に成功。初の有人月面着陸(69年)では米国の後塵(こうじん)を拝しjましたが、71年には世界初の宇宙ステーション「サリュート1」の打ち上げを実現しました。

しかし、91年のソ連崩壊を境にロシアの宇宙開発は大きく停滞しました。90年代には国家資金が宇宙分野に回らず、人材も大量に流出。2000年発足のプーチン政権は宇宙大国再興を掲げましたが、明るい展望はありませんでした。

米科学者団体によると、19年3月末時点で稼働中の人工衛星は米国901基、中国299基に対し、ロシアは153基。昨年1月~12月中旬のロケット発射成功回数も中国の35回、米国の30回に対し、ロシアは15回にとどまりました。

ロシアは現在、ソ連崩壊後で初の純国産ロケット「アンガラ」の開発を進めています。汎用(はんよう)ロケットモジュール(URM)を組み合わせ、軽量級から重量級まで各種のロケットを造る構想です。ただ、技術不足から試験発射が2度行われたのみで、23年までの有人飛行という目標にはほど遠いです。

極東アムール州では12年から、アンガラの射場設備も備えたボストーチヌイ宇宙基地の建設が進んでいます。ところが、給与未払いや建設費の横領、作業員のストライキと醜聞続きで、やはり計画は大幅に遅れています。

ボストーチヌイ宇宙基地の建設現場

ちなみに、基地建設に関連して総額約110億ルーブルを超える規模の不正支出事件が摘発されて2019年に58人が有罪判決を受けました。

そもそも、現在のロシア連邦のGDPは、韓国を若干下回る程度あり、東京都と同規模です。一人あたりのGDP は10000ドルを若干超える程度であり、このような国が宇宙開発するのは、そもそも最初から無理筋というものです。中国の一人あたりのGDPもロシアを若干上回る程度ですが、人口がロシアの10倍ですから、国あたりのGDPでは、10倍あります。

しかし、中国ですら宇宙開発は難しいと思います。ソ連は、米国と宇宙開発競争と、軍拡競争を繰り広げた結果、国力が衰退し、結局崩壊しました。実際、このブログでも、中国が米国と宇宙開発競争と軍拡競争を繰り広げれば、旧ソ連のように経済が衰退し、旧ソ連のように崩壊する可能性があることを主張したことがあります。

中露がこのようになってしまうのには、もう一つ理由があります。それは、非常に非効率な官僚主義です。米国の宇宙開発でも、この官僚主義がはびこっています。特にNASAのそれは、非常に評判が悪いです。

実際ISSの運用管理は、NASAが管理すると、非常に非効率であり、採算を度外視した管理をするため、現在では、民間企業が行っています。民間企業が行うと利益が出るのですが、NASAが直接管理すると、信じがたいほど低効率で、利益が出るどころか、大赤字になるそうです。

中露とも、宇宙開発には民間企業を関わらせていますが、それでも官僚主義による弊害は免れないでしょう。

米国が、米スペースXなど民間企業などに委託するのも、官僚主義による弊害を避けるためです。

スペースX Crew-2 ISSへ接近するエンデバー

現在のロシアは、ウクライナ侵攻と、西側諸国による制裁で、宇宙開発どころではありません。ロシアは今後宇宙開発から脱落する可能性が高いでしょう。

ただし、ソ連崩壊後でも宇宙開発を完璧に捨て去らずに、何とか温存し、復活させたロシアです。何かの形で、将来復活してくる可能性は、わずからながら残されていると思います。ただ、しばらくの間表舞台から姿を消すのは間違いないでしょう。

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2022年7月24日日曜日

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[スキャナー]ロシア産業界にじわり打撃、制裁で機械も原材料も不足…「一番怖いのは機械の故障」

ロシア銀行大手ズベルバンクから預金を引き出すために列をつくる人々=2月25日、チェコ・プラハ

 ロシアがウクライナ侵略を始めてから24日で5か月となる。プーチン露大統領は、侵略に伴って米欧や日本が科してきた対露制裁を、ロシア経済を発展させる機会にすると強弁してきたものの、産業界の基礎体力はじわじわと奪われている。
  「一番怖いのは機械の故障だ。ここの製本機はドイツ製で、企業が撤退したので保守サービスが受けられない。いざとなったら自力での修理も考えている」

 モスクワ北東部で印刷工場を経営するアルチョム・ジュジャコフさん(51)は深いため息をついた。工場にある印刷機器はすべて外国製だ。今年4月に欧州連合(EU)が発動した、精密機器の輸出を禁じる制裁の直撃を受けた。

 ジュジャコフさんの工場では、ほぼ全量を欧州製に頼っていたインクも輸入できなくなった。侵略前からロシアでは製造していなかった厚手の上質紙も手に入らない。それ以外の紙やインクは中国製などで代替しているが、調達コストは2割ほど上がり、最近はロシア製の紙も品薄だという。

対応に奇策次々

 プーチン政権は制裁の打撃を緩和し、自国経済の機能を維持するため、国際ルールも無視して様々な奇策を繰り出している。

 最も制裁の影響が顕著だとされる自動車産業の「生産を維持し、雇用を守る」(副首相)ため、政府は5月、新車を認可する際の安全基準などを引き下げた。

 ロシアの自動車大手アフトバスが6月に発表した「新型モデル」は、ブレーキ時にタイヤがロックしないようにするアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)やエアバッグといった装備が付いておらず、排ガス性能も最新の基準には適合しない。アフトバスを傘下に置いていたフランスのルノーが保有株を売却して撤退したため、いずれも自前の技術では調達できなくなったのだ。

【随時更新】ロシア軍、ウクライナを侵略…最新ニュース・速報まとめ

 アフトバスは、ソ連時代に生産していた車種の復刻版も相次いで発表し始めた。ロシアの自動車業界は、急速に懐古色が強まっている。


 露政府は3月には、対露制裁で輸入が禁止された品目について、商標権者の許可なく輸入して流通させても合法とみなす「並行輸入」制度を導入した。産業貿易省が、スマートフォンや自動車、精密機器から医療品まで広範なリストを発表しており、国が率先して違法行為を推奨している格好だ。

 外国のリース会社から借りている航空機を返却せず、所有権をロシアの航空会社に移すことを認める法律も発効している。

物流混乱

 制裁対象の品目以外でも原材料の調達は課題になっている。モスクワでクラフトビールの醸造会社を経営するアレクサンドル・グロモフさん(32)は、欧州の仲介業者から輸入しているモルト(麦芽)やホップの供給が途絶える事態を心配し、精神安定剤を服用している。侵略の影響で物流が混乱したため、国境の税関も大混雑しており、原料を運ぶトラックの通関に1週間以上かかることもあるという。

 人材流出も加速している模様だ。米紙ニューヨーク・タイムズは、侵略開始から1か月で5万~7万人のIT技術者がロシアから出国したとの推計を伝えた。周辺国などで人材の囲い込みが起きており、侵略は長期的にもロシア経済に深い傷を残しそうだ。

【私の論評】対露経済制裁は確実に効いており、3年後くらいにはソ連崩壊時並になるのは間違いない(゚д゚)!

ロシア制裁については、すぐには効果がないとか、抜け穴があるので効かないなどの意見もありますが、どの意見も明確な定量的な裏付けがないままになさてれいます。

ただ、わかっていることもあります。ロシア経済発展省は24日までに、今年上半期に破産宣告あるいは債務返済のための資産整理を申告した同国国民の人数は前年同期比で37.8%増を記録したとの報告書を公表しました。

これらロシア国民の総数は12万1313人で、破産宣告が最多の地域は首都モスクワの6000人以上でしたた。首都近辺の地域がこれに続き5600人以上となりました。

同省当局者は今年上半期の数字に触れ、破産に見舞われた国民の人数は既に相当な高水準に達していると認めました。

報告書によると、個人の破産は2019年には6万8980人だったが、21年には19万2833人とほぼ3倍に膨れ上がっていました。

個人的な破産宣告の件数とロシアによるウクライナ侵攻との明白な因果関係を示す材料はないが、ロシアは侵攻以降、多数の国際的企業が同国市場から撤収するなどの影響を受けています。ロシアは日米欧やほかの諸国から資産凍結などの制裁も科されました。これは、やはり制裁の強化によるものとみるべきでしょう。

さらに、米ソ冷戦も参考になります。第二次世界大戦の終結直前の1945年2月から1989年12月までの44年間続き、連合国としては味方同士であったアメリカ合衆国とソビエト連邦が軍事力で直接戦う戦争は起こらなかったので、軍事力(火力)で直接戦う「熱戦」「熱い戦争」に対して、「冷戦」「冷たい戦争」と呼ばれました。

ソビエト連邦の崩壊(1988年 - 1991年)とは、ソビエト連邦(USSR)が内部分裂を起こし、主権国家としての存続を断念した出来事です。

冷戦が始まってから、ソビエトが崩壊するまでは、 45年もかっているのです。ソ連は崩壊しましたが、新たにできたロシア連邦が、ソ連の軍事技術、宇宙開発技術、核兵器などを継承しました。

ただ、経済は著しく低迷しており、その窮状は、想像を超えており、当時のロシア連邦空軍は燃料すら十分ではなく、国内のパトロールさえままならぬ状態で、見るに見かねた米空軍がロシア連邦空軍がパトロールできるように燃料などの支援を行ったとの記録があります。

このような状態にあってもロシア連邦は、核兵器や軍事技術を継承し維持したのてす。1991年ウクライナは独立しましたが、ウクライナはこのとき世界第三位の核保有国となりましたが、核兵器を廃棄することを決めました。もし、ウクライナが核兵器を廃棄しなければ、今日ロシアに侵攻されることはなかったかもしれません。

米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は、1914年の第1次世界大戦勃発から約100年間の経済制裁、204ケースを分析した。対象国の政策変更を実現させたか、制裁の効果はどの程度あったか、などを1~16点で評価しました。その結果、制裁が「成功」とされる9点以上だったケースは、34%でした。

ジェフリー・ショット氏

分析を担ったPIIEのジェフリー・ショット氏(73)は、「中でも軍事行動に対する制裁の成功ケースは約20%にとどまった。いまのロシアに対する輸出制裁は武器を製造できなくし、徐々に兵力を弱めるだろうが、制裁でただちに軍事行動を止めることはできない」と説明しています。

だからといって、「さらに厳しい制裁を科して対象国を追い込むことは、激しい対抗行動を引き起こす」として、ショット氏は太平洋戦争前の日本に対する米国の制裁を例にあげています。1941年夏に米国が打ち出した石油輸出禁止によって追い込まれた日本は、真珠湾を攻撃し対米開戦に踏み切りました。「石油禁輸が日本に多大な圧力となり、不幸な結果を招いた」

ショット氏によると、最古の経済制裁は紀元前432年の古代アテネによる経済封鎖にさかのぼります。それがスパルタとの「ペロポネソス戦争」につながったといい、制裁が戦争の理由の一つになるのは昔から変わらないようです。

制裁が失敗に終わる原因について、ショット氏は「抜け穴」となる支援国の存在をあげる。「21世紀に入りグローバル化が加速し、モノやサービスを供給するさまざまな経路ができたため、制裁対象国を支援する国がでてくる」。実際、制裁を科せられたロシアも中国やインドに原油などを輸出することで、経済が下支えされています。

ショット氏は、ロシアの軍事行動に武力ではなく経済制裁で対抗するのは「やむをえない」といいますが、「歴史からの教訓の一つは、制裁は始めるよりやめるのが難しいことだ」と長期化を予測しています。

制裁には別の意味合いもあります。「制裁側が同盟関係を広げて、包囲網をつくることが重要だ。一致して制裁を科すことは、ロシアに対してだけでなく、他の国が将来とる可能性のある行動、たとえば中国が台湾に対して軍事行動をとることを牽する効果もある」
としています。

ただ、以上は具体的数値に基づくものですが、実際にロシア経済が戦争継続が不可能になるまで、どのくらいの年月を必要とするかの答えにはなっていません。

それに対する答え出した人もいます。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
対露経済制裁は効果出ている 3年続けばソ連崩壊級の打撃も…短期的な戦争遂行不能は期待薄―【私の論評】制裁でロシア経済がソ連崩壊時並みになるのは3年後だが、経済的尺度からいえばこれは長い期間ではない(゚д゚)!
販売できる商品が何もない魚介類専門店で店員に詰め寄る市民たち(1990年11月22日、モスクワ)

この記事の元記事で、高橋洋一氏はロシア経済について具体的に数字を出しながら推測しています。その部分を以下に引用します。
 5月13日の英エコノミスト誌によれば、ウクライナ侵攻以降、ロシアの輸入は44%減少、輸出は8%減少した。輸出の減少が抑えられているのは、エネルギー価格の上昇にも支えられているという。

 これらからロシアの国内総生産(GDP)の動きを推計すると、年率10%程度の減少になるだろう。これは、リーマン・ショック並みの影響だといえ、これが3年間程度継続すると、ソ連邦崩壊並みになる。

ロシアが公表するGDPなどの資料は、昔から信用できないことが多く、だから髙橋洋一氏は輸入、輸出に着目したのだと思います。GDPに関しては、ロシア政府が公表するものですが、輸出入に関しては、相手国があることですし、あまりごまかすことはできません。

GDPと、輸出入に関してはある程度の相関関係があります。経済が良くなると、輸入が増える傾向にあります。輸出は、GDPに直接影響を与えます。これらから推測すると、ロシアのGDPの事実額までは推定できないかもしれませんが、GDP伸び率などは、当たらずとも遠からずの予測はできます。

これらの推測から、現状の制裁が3年続けば、ソ連邦崩壊時並の経済状況になると高橋洋一氏は予測しているのです。

経済制裁だけで、こうなるのですから、ロシアのへの経済制裁は相当効いているといえます。冷戦が始まってから、ソ連邦が崩壊するまでには45年もかかっていることを考えると、3年でこれほどの成果を出せる現状の経済制裁はかなり有効だということがいえると思います。

第二次世界大戦後、ソビエト連邦のGDPは米国についで世界第二位だったこともあります。その後日本に追いつかれて、世界第三位に落ちましたが、その後は冷戦を経て、ソ連が崩壊し、ロシア連邦がその後を引き継いだのですが、経済は落ちる一方でしたが、プーチンになってからエネルギー戦略でいっとき多少持ち直したものの、また落ち始め、現在のGDPは韓国を若干下回るまでに落ち込んでいます。

そうして、韓国の人口は、5千万人であり、ロシアの人口は1億4千万人ですから、一人あたりのGDPではロシアは1万ドル(日本円で100万円くらい)に過ぎず、これは途上国並です。一人あたりのGDPは、一人あたりの年収に近似できますから、いかに低いかが理解できます。

もともとの水準低いからこそ、3年間現在の水準の経済制裁が続けば、ソ連崩壊並になるのでしょう。

これを期間が長いとか、効き目がないという人は、一体何をを標準としているのか、聞きたいです。

先にあげた、ブログ記事にも述べましたが、もし戦争がエスカレートして、NATOとロシアとの直接戦争になってしまったとしたら、ロシアは核兵器数だけは世界一ですから、これは大変なことになります。

通常兵力では、現在のロシア連邦軍は米国を抜いたNATO軍よりも遥かに脆弱であり、まともに対峙することもできません。

核兵器についても、数は多いものの、旧式なものが多く、新型を開発しているとはいっても実数は多くはないです。さらに、防空能力でも米EUにはとても及びません。核兵器を用いても何をしてもロシアには全く勝ち目はありません。

ただ、両陣営が本格的に武力で対立して、核ミサイルを打ち合えば、世界は第二次世界大戦よりもはるかに甚大な被害を被ることになります。そこから、復興するには数十年の年月を要することでしょう。

これと、経済制裁の3年とどちらが良いかということになれば、経済制裁のほうが良いに決まっています。

ただ、これは思ったよりは長いと感じてしまうのかもしれません。それに、たしかに直接被害を被っているいるウクライナの人にとっては、大変なことです。

経済制裁でロシアの国力を削ぎ、軍事的にも弱体化させ、3年間でロシア連邦の戦力を削いで戦争継続を不能にするには、現在はない新たな手立てが必要だと思います。

現状では、NATOはウクライナ軍がロシア領内に侵攻することがないように、兵器も制限をつけているようですが、これはそのままでも良いのですが、ウクライナの都市などが、ロシア軍のミサイルによって徹底的に破壊されている状況にあります。

この状況を変えるために、防御型の兵器を強化すべきです。特に、ロシアからのミサイルを迎え撃つ兵器が必要です。たとえば、イスラエルのアイアンフィストのようなミサイル兵器です。


この装置は、RADAエレクトリック・インダストリーズが開発した固定式のレーダーセンサー、およびエルビット・システムズ(英語版)の子会社であるエリスラ(英語版)社が開発した付属の受動型赤外線検知器により、飛来する脅威を探知します。脅威が差し迫っている際には、炸裂する投射迎撃体がその前方へ撃ち出されます。

迎撃体は脅威となるものの非常に近くで炸裂し、破壊もしくはこれを逸らして、弾頭を起爆させることなしに安定を失わせます。このためには炸裂の爆風効果のみが用いられます。迎撃体のケーシングは可燃性の素材で製造されており、そこで炸裂によって生成される破片は存在せず、副次的な損害を最低限にする助けとなっています。

このような防空システムは様々なものがあります。有効なものを配備して、ロシアからのミサイル攻撃による被害をなるべく減らしつつ、経済政策を継続するという方式が良いと思います。

そうすれば、ロシアからのミサイル攻撃を受けつつも、ウクライナの復興ができるでしょうし、現在国外に退去していた人たちが、ウクライナに戻ることも増えているといいます。防御兵器が充実すれば、これも加速すると思います。

いずれにしても、ロシアへの経済制裁が効いていないということはありません。そうして、私自身は3年間という期間は長いとは思いません。


近づきつつある民主主義国ウクライナのEU加盟―【私の論評】プーチンのウクライナ侵攻は、結局ウクライナの台頭を招くことに(゚д゚)!



2008年5月15日木曜日

現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋

ソビエト社会主義共和国連邦国歌

上は、ソ連の国家。オリンピックなどの競技大会で聴かれなくなってからひさしい。とても懐かしい響きです。
中華人民共和国国歌

上の歌は、今後10年もすると聴かれなくなってしまうのか?

以下にモスクワオリンピックをはじめとして、ソビエト連邦に崩壊に至るまで、世界現代史の年表をあげてみました。ソビエト連邦の出来事は、赤にした。なぜ、このような年表を掲載したかというと、これから北京オリンピックを開催する中国も同じような道をたどることが十分考えられるからです。私は、以前中国分裂の筋書きを書きましたが、分裂にいたるまでの道筋ははっきりとは描いてはいませんでした。

今日は、ソ連崩壊を参照して具体的な道筋の一つの案をあげてみます。私は、大学を卒業するときに、青年海外協力隊に入ると決まっていた同輩に、「ソ連は崩壊する」という話をしたところ、その同輩は「そんなことはありえない」と語っていた、それから10年以内にソ連は崩壊しました。私は、ここにはっきり宣言します。中国は10年以内に崩壊します。

ちょっとした現代史のおさらいのようになってしまいました。下が年表です。

年号     出来事
1980  モスクワオリンピック開催
1981  イギリスのチャールズ皇太子とダイアナ妃が結婚 エジプトのサダト大統領暗殺
     アメリカがスペースシャトルを打ち上げる
1982  日本で日航機が逆噴射で墜落 国際捕鯨委員会が捕鯨全面禁止を
     決定 フォークランド紛争
     このころアメリカのマイケル・ジャクソンが活躍
1983  日本に東京ディズニーランドが誕生 このころエイズが問題となる
     ソ連が大韓航空機を撃墜  アメリカがグラナダを占拠
     このころ日本でロッキード裁判
1985  ソ連のゴルバチョフが書記長となる アメリカでアフリカの
     飢餓救済コンサート(「ウイ・アー・ザ・ワールド」)
1986  フィリピンでアキノ政権樹立 ソ連のチェルノブイリで原子力発電所事故
1987  大韓航空機爆破事件  ソ連のゴルバチョフがペレストロイカを推進
    ニューヨークの株価暴落(ブラックマンデー)
1988  ソ連がアフガニスタンから撤退
    イラン・イラク戦争停戦
1989  昭和天皇崩御  ベルリンの壁が事実上撤廃
    中国で天安門事件  このころ東欧各国が民主化に向かう
1990  湾岸戦争(~1991) 東西ドイツが統一
    南アフリカ共和国でネルソン=マンデラが釈放される
    ペルーに日系のフジモリ大統領誕生
1991  ソ連でクーデター失敗 このころアフリカで食料危機
     ソ連の崩壊、独立国家共同体へ、ゴルバチョフ大統領退任

こうして、並べてみるといろいなことがわかるます。まず、年表には出ていませんが、ソ連はモスクワ・オリンピックを開催する前から、アフガニスタンに侵攻していました。なんとこの時期には、アメリカはソ連が支援するアフガニスタン政府に対する反抗勢力であるタリバン派を支援していました。この時期には、まさか後でタリバン派が頭痛の種になるとは思ってもみなかったと思います。

ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻。私の記憶では、中央アジア系の兵士の数もかなり多かった。

1983年ソ連の大韓航空機撃墜などがありました。この撃墜事件では、私が大学時代に習った英語の先生の奥さんが亡くなっています。その先生は、小樽商科大学の先生で、私が習ったときには、私の大学では、講師をされていました。最初ソ連は、撃墜を認めていませんでしたが、日本の稚内の自衛隊のレーダーサイトで、KAL007便のクルーの生々しいやりとりや、撃墜したスホーイ15TMのパイロットと基地のやりとりを傍受していたため、後には認めざるを得なくなりました。当時のソ連はなかなかハードな国だったことがわかります。

KAL007便を撃墜したSU-15MTの同型機

大韓航空機事件で撃墜された、KAL007便の想像図。

しかし、国際世論には、勝つことができず、その2年後に民主化を推進しようとするゴルバチョフ政権が誕生しています。ゴルバチョフが就任以来、ゴルバチョフはテレビ報道を積極的に行うなど情報公開に腐心していましたが、チェルノブイリ事件があって、必ずしも情報公開がされていなかったことが明らかになりました。そのため、1986年よりペレストロイカ(政治改革)とその一環であるグラスノスチ(情報公開)を推進することになりました。

1988年には、ソ連アフガンから撤退。1989年には、東欧諸国の民主化・自由化に向かう。と同時に中国の64天安門事件があった。このような事件があってから、中国に対する世界のバッシングは強くなり、ソ連も国内外でハードな対応はとれなくなる。そうこうしているうちに、1991年にはソ連での軍事クーデーターが失敗。ソビエト共産党解散。ソ連邦の崩壊と、CSI(独立国家共同体)設立、ゴルバチョフは大統領退任、エリツィンが大統領になりました。また、これは現在だからわかっていることでずか、ソ連が崩壊するまで、ソ連側は、経済が順調の伸びていると発表し続けていました。実際には、火の車の状況だったようです。この面では、ソビエト連邦は最後の最後までグラスノスチには成功しませんでした。


64天安門事件の時に一人で人民解放軍の戦車をとめた青年のテレビ画像は話題を呼んだ


モスクワオリンピックを開催したとき、ソビエト連邦はすでにアフガニスタンに侵攻していいまた。現在の中国は、チベット動乱がオリンピックの前に起こり、似たような状況にあります。この当時のソ連のアフガニスタンへの侵攻は今でいえば、中国が何らかの原因でベトナムや韓国に侵攻したような衝撃でした。



さて、現在中国はまだオリンピック開催前である。その前に大きな地震が起こってしまいました。地震+チベツト動乱のインパクトは、当時のアフガン侵攻などにも匹敵するものだと思います。現在中国の情報公開がまだ十分ではありません。これから、多くの国々の要請に応じて中国でもゴルバチョフ書記長のような国家主席が現れてくることは十分考えられます。というより、そうしなけばならなくなるでしょう。

ここから、先は私のフィクションであり創作です。

今回の地震では、中国の核施設や原子力発電所などが被害を受けていることは、十分考えられます。日本の救助隊を最初受け入れなかったのは、このへんの確認などもあったと思われます。実は、核施設に限らず、ダムなどの被害があったのを確認しているが、それを隠している可能性もあります。救助隊はそれと全く無関係なところに派遣される可能性もあります。ダムの場合は、国内の被害にとどまりますが、大被害になる可能性が大です。各施設、原子力発電所などの被害の場合は、チェルノブイリのように世界中に影響を与える可能性があります。

オリンピック終了後には、中国バブルが崩壊しています。旧ソ連の場合は、経済の実態はひどくても、完璧に共産主義の計画経済下にあったため、バブル崩壊などはありませんでした。とにかく、いろいろなことをひた隠しにしていたものが、1~2年後に隠せおおせなくて、明らかなります。これは、核の問題かもしれないし、大規模なダムの決壊かもしれない。そうして、不良債権の問題は白日のもとに晒されますだ。大地震の爪跡から、中国官僚の腐敗ぶりも白日のもとにさらされます。中国の今までの負の遺産が顕在化し、世界各国から批判が高まります。

そのため、胡錦濤体制は退陣を迫られます。それに変わって民主化を強力に推し進める勢力がとって変わります。主席は後瑠場(仮名)主席となります。不良債権処理を巡ってこの新しい体制は努力をし、表面上はつくろうことができるようになります。しかし、この時点でアメリカの経済植民地なる道は定まってしまいます。

そのころ、現代ロシアのプーチン首相が権力を強化し、それに反対する市民や周辺諸国が暴動などを起こす。それを鎮圧する目的で、ロシアが第2の天安門事件に近い事件を起こしてしまいます。これに対する世界各国の批判はすさまじいものがあり、プーチン首相は退陣せざるを得なくなります。これによって、名実ともにロシア大統領がロシアの最高権威となり、二頭政治に幕がおろされます。

中国でも、チベット以外の民族も独立運動を起こし暴徒化する。中国中央でも、米国の経済植民地になるのを潔しとしない保守派人民解放軍の一派がクーデターを起こそうとする。一部の軍隊が暴走して、後瑠場主席は、拘禁されてしまいます。人民解放軍は、一部暴徒と化した軍隊を制圧し、後瑠場主席を解放します。そうこうしているうちに、各地で暴動が起こり、自治や独立の圧力が高まります。中国は、ロシアの件もあるため、各地に強攻策を講じることはできません。後瑠場主席は、これを沈静化するため、中国共産党の解散を命じます。中国共産党の軍であった、人民解放軍は、その日より国軍となります。

その後、各自地区などの独立の声がさらに大きくなり、昔のようにハードに対応できなくなったため、中国自体も解散し、中国中央部のみを中国と呼ぶ国として、他国は独立して、中華人民共和国は消滅し、中華民主国が成立します。

台湾も新生中国である中華民主国には入らない旨を宣言して、独自の道を歩むことになります。中華民主国は、民主化および政経分離、法治国家化を各国に約束し、米国との経済植民地になることを回避するため、米国と粘り強い交渉を開始します。この新生中国の中核を占める指導部の実働部隊と将来の幹部候補は、いわゆるゼリー層と私が名づけた階層の人々になります。世界とも調和できる人々だ。それから、10年後、彼らは驚異的な奇跡の中国の経済発展をなしとげ、アメリカや日本にとっても脅威となっているでしょう。

この通りになるかどうか別問題として、いろいろな道筋はあると思いますが、私はいずれ、中国は分裂の道をたどると思います。
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。

■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの

■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?

■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水

■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?

■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?

■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?

■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄

■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?

■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択

■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権

■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々

■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?

■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩

■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実

■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない

■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史

■中国"義歯"から鉛「安全に問題」

■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名

■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?

■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情


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2022年10月2日日曜日

東部要衝リマン奪還 併合宣言直後、露に打撃―【私の論評】ロシア軍、ウクライナ軍ともに鉄道の要衝がなぜ軍事上の要衝になるのか(゚д゚)!

東部要衝リマン奪還 併合宣言直後、露に打撃


 ウクライナメディアは1日、ロシア軍が陣取ってきた東部ドネツク州の要衝リマンをウクライナ軍が奪還したと伝えた。ロシア国防省も1日、包囲を逃れるためリマンから部隊が撤退したと発表。前日にドネツク州を含む東南部4州の併合を一方的に宣言したばかりのロシアにとって、打撃となる。

 リマンはドネツク州北部の交通の拠点。リマン攻略で、東部ルガンスク州西部の人口約9万人のリシチャンスクを奪還できる可能性が高まった。

 ウクライナのティモシェンコ大統領府副長官は1日、軍兵士がリマン中心部で奪還を宣言する動画を通信アプリに投稿。動画で兵士らはロシア国旗を行政庁舎の屋上から投げ捨て、ウクライナ国旗を掲げた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は1日の動画声明で、ドネツク、ルガンスク両州で構成する東部ドンバス地域に、ウクライナ国旗を「1週間のうちに」さらに立てると述べ、攻勢を続ける考えを示した。

【私の論評】ロシア軍、ウクライナ軍ともに鉄道の要衝がなぜ軍事上の要衝になるのか(゚д゚)!

報道では、東部要衝リマンとされていますが、なせリマンが要衝なのかはほとんど語られていません。

なぜ、リマンが要衝なのかを理解するには、まずはロシア、ウクライナともに輸送のかなり大きな部分を鉄道に頼っていることを理解しなければならないです。

以下のグラフは、ロシア・ウクライナの輸送モード別貨物輸送量の推移です。比較対象として、ポーランドおよび英独仏伊の合計も掲載してあります。

クリックすると拡大します

上のグラフでは、ロシア、ウクライナの輸送モード別のトンキロ・ベース輸送量の推移を掲げ、ソ連解体と各国独立国化の後に、どう変化してきたのかを示しました。同時にポーランドや西欧の動きとも比較しました。

ロシア、ウクライナともに、1991年のソ連解体とその後の経済瓦解、社会の大混乱によって、物流量は大きく落ち込んだことがデータから明らかです。

1990年代のボトム輸送量は、ロシアの場合、ソ連時代のピークと比較して、鉄道、道路では約4割、パイプラインでは5割弱にまでに落ち込んでいます。今以上に鉄道輸送への依存度が高かったウクライナでは鉄道貨物の輸送量が対1990年対比で3割近くにまで落ち込んでいます。

これは、かなり激しい経済の崩壊状態に見舞われたことを示しています。

しかし最悪の状態はそう長くは続かなかった。その後、だんだんとロシアの物流量は回復し、2009年のリーマンショック後の世界的な経済低迷の時期の一時的な落ち込みを経て、現在は、少なくとも鉄道とパイプラインに関しては、ソ連時代のピークにまで回復して来ています。

ところが道路に関しては、なおピーク時の86%に止まっています。つまり、鉄道とパイプラインに過度に依存し、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴がさらに強まっているのです。

ウクライナでは、パイプラインが減り、道路による輸送は、若干増えていますが、鉄道輸送はピークのときと比較すると回復しておらず、現状でも経済的に厳しい状況に置かれていたことがわかります。ウクライナの場合も、まだ道路輸送のシェアが極端に低くと鉄道に頼る物流構造であることがわかります。

同時期に西欧(英独仏伊の計)やポーランドでは鉄道は横ばいか低下傾向をたどっているのに対して、道路輸送が大きく伸長しており、ロシア、ウクライナの動きをそれ以外の地域の動きと比較すると余りに対照的です。ちなみに、日本も西欧と同様、鉄道は低下傾向をたどっています。

ロシア経済は回復してきているとはいえ、石油や天然ガスといった資源の輸出への依存体質からの脱却が難しいことがこうした状況を生んでいると言えます。

ロシアもウクライナも物資郵送は、未だに鉄道にかなりを依存しているのです。

そのうえで、以下にリマンを含むウクライナの地図を掲載します。


この地図から、イジュームからリマン、シヴェリスクまで鉄道が伸びていて、スラビャンスクとも接続できることがわかります。リマン奪還により、ポーランドからキーウ経由でクピャンスク、リマンまで鉄道の補給線がつながり、東部でウクライナは圧倒的に有利になったと思います。 逆にロシアは補給線を3/4失いました。

ロシア鉄道のゲージ(線路幅)はいわゆる標準軌(1435mm)よりも幅の広い広軌(1520mmまたは1524mm)で、ヨーロッパではウクライナを含む旧ソビエト連邦内とフィンランドでしか使われていません。スペインも広軌ですが、ゲージのサイズがロシアとは違います。

このゲージの違いが、ロシア軍の作戦行動に大きく影響します。バルト三国、ウクライナを含む旧ソビエト連邦内なら広軌で統一されており、鉄道でスムーズな兵站線が引けます。一方ポーランドには、ロシアからウクライナのキエフを経由して南部のスワフクフまで、1本だけ広軌の鉄道が通っていますが、ほかは国境のごく一部を除き標準軌であり兵站線を連続できません。

ゲージが違えば鉄道を使った兵站線はそのまま連続することができず、積み替えかゲージの変更(いわゆる改軌)工事を行わなければなりません。台車交換や軌間を変更できるフリーゲージ方式もありますが、しかし結節点には設備が必要でスムーズな物流を妨げますし、ロシアの貨物列車はほとんど対応していません。

積替えすれば良いという話しなるかもしれませんが、莫大な物資を全部積み替えるのはとてつもない労力を必要とします。トラックを使えば良いという話しにもなるかもしれませんか、ロシア、ウクライナとももともと鉄道に頼っているということから、道路網も西側諸国などから比較すれば、発達しておらず、トラックも十分とはいえません。

原油パイプラインについては、欧州向けパイプラインはウクライナ東部を通らず、ベラルーシからウクライナ西部を抜けて、スロヴァキア及びハンガリーにぬけるものがメインとなっています。ロシア側としては、パイプラインを軍事転用することもできません。やはり物資、燃料ともに鉄道に頼るしかないのです。

この兵站線の特徴からロシア軍は、ウクライナ等の旧ソビエト連邦領域内で「積極的作戦」は行えますが、領域外で持続的な作戦行動を行う能力は限定的です。鉄道による兵站線が引けるかどうかのゲージの違いが、ポーランドとウクライナの安全保障上のリスクに違いを生んでいるといえます。しかしロシアがウクライナを抑えればまた状況は変わります。キエフ経由の広軌が利用でき、ポーランドのリスクは格段に高まります。 

国境付近に集結した兵力を数えるだけではなく、軍用列車を観察することでロシア軍がどう動くつもりなのか占うことができます。SNSに投稿される鉄道で運ばれる戦車の動画は「ミリ鉄」「撮り鉄」趣味どころではありません。中欧の人たちにとっては死活問題なのです。

ロシアも、ウクライナも兵站を鉄道に頼っているせいでしょうか、鉄道を破壊するようなことはほとんどしていません。例外的に、ロシア軍は5月4日に首都キーウや西部リビウなど8地域に向けて発射し、ウクライナが迎撃できなかった一部は着弾し、駅舎や電力施設が被害を受け、輸送インフラの破壊を狙った攻撃とみらました。

ただ、キーウなどは、すでにロシアは侵攻をあきらめていると考えられます。リビウには、当初から侵攻するつもりなどなかったでしょう。そうして、これ以降はロシアによる目立った大規模な鉄道の要衝に対する攻撃はみられません。

東部・南部の鉄道はロシア軍も使っているでしょうから、これを破壊することはしないでしょうが、民間人を巻き込むような都市部へのミサイル攻撃ではなく、今後ロシアが使う見込みのない西部等では鉄道網を徹底的に破壊する物流を阻害する効果的なミサイル攻撃をするべきだったと思うのですが、ロシアはそうしませんでした。

一方は、ウクライナは今回鉄道の要衝である、リマンを奪還しました。この奪還は、リマン市がロシア連邦に所属したとされてから、24時間以下で行われました。これは、史上最短の「併合」かもしれません。ギネスブックに登録されるかもしれません。

リマン駅は、鉄道の要所ということで、駅付近の路線図。さすがに複雑で、駅の前後にループ線が2か所あります。(下地図)


リマンは、ロシア軍がドネツク州北部への軍事作戦や物流の拠点としていました。ウクライナ軍報道官は1日、リマンの解放は、ロシアが大部分を支配する東部ルガンスク州への進軍を可能とし、「心理的にもとても重要だ」と述べました。

ウクライナ軍は9月上旬に北東部ハリコフ州の広域でロシア軍を撤収させることに成功しました。更に隣接するドネツク州でも要衝リマンを奪還し、東部で反転攻勢を続けている形になりました。

以上のような状況を考えれば、ロシア軍にとってもウクライナ軍にとっても、いかにリマンが鉄道の要衝、すなわち軍事上の要衝であるのか理解できます。

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2024年1月13日土曜日

ウクライナ・イスラエルでのバイデンの苦境 ―背景に民主党の分裂―【私の論評】ウクライがロシアのGDPを凌駕するロードマップを描け

 アメリカ現状モニター

ウクライナ・イスラエルでのバイデンの苦境
―背景に民主党の分裂
 

渡部 恒雄
笹川平和財団上席研究員

まとめ
  • ニューヨーク・タイムズとシエナ大学の共同世論調査により、イスラエル・パレスチナ衝突におけるバイデン政権の支持が33%、不支持が57%となり、トランプとの比較でもトランプが優位とされた。
  • 同調査では大統領候補としての支持でもトランプが優位であり、共和党優位の選挙人団制度を考慮すると、バイデン陣営にとって厳しい状況となった。
  • ウクライナ支援に関しても共和党との交渉が難航し、ウクライナ支援の予算に対する民主党左派の反発が生じている。
  • イスラエル情勢においても左派が政権に圧力をかけ、外交政策での難航が左派の不満の対象となっている。
  • バイデン政権がこれらの矛盾を脱却し、支持を得るためには、イスラエル・パレスチナ紛争とウクライナ戦争に対する左派と有権者の認識を変える必要がある。
バイデン

12月10日から14日にかけて行われたニューヨーク・タイムズとシエナ大学の共同世論調査によると、イスラエル・パレスチナ衝突におけるバイデン政権の政策に対する支持は33%で、不支持が57%となった。トランプとの比較では、イスラエル・パレスチナ衝突をどちらがうまく処理できるかについて、バイデン38%、トランプ46%となり、トランプが優位だった。また、大統領候補としての支持もトランプが49%、バイデンが43%で、共和党候補が優位とされている。これが共和党優位の選挙人団制度を考慮すると、バイデン陣営にとっては艱難な状況となっている。

同調査によれば、回答者の44%はガザの死者が既に2万人を超えている状況で、イスラエルはハマスに対する軍事作戦を停止すべきだと考えており、48%はイスラエル軍が十分な配慮をしていないと回答している。

バイデン政権はウクライナ支援のために共和党議会の支持を得ようとしているが、ウクライナ支援の予算に対する厳しい交渉が続いている。ウクライナ大統領のゼレンスキー氏はバイデン大統領や議員らと面会し、ウクライナへの支援継続を訴えた。一方で、共和党はウクライナ支援の条件として国境対策を求め、これが民主党左派の反発を招いている。

中東政策でもトランプ支持が増え、特にイスラエル情勢においては左派が政権に圧力をかけている。これにより、バイデン政権は外交政策での難航が左派の不満の対象となり、米国内外のストロングマンたちが優位に立つ状況となっている。これらの矛盾から脱却するためには、バイデン政権がイスラエル・パレスチナ紛争とウクライナ戦争に対する左派と有権者の認識を変え、支持を獲得する必要がある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】ウクライがロシアのGDPを凌駕するロードマップを描け

まとめ
  •  共和党と民主党内の左派がウクライナ支援に反対していると報じられ、トランプ政権成立時には支援の削減が懸念されている。
  • 大統領が誰になっても、ウクライナへの強力な支援が必要。ウクライナの主権支持や、プーチンのロシアに対抗する必要性が党派を超えたものである。
  •  ウクライナが戦後復興やEU加盟により経済的に大きく成長する可能性があり、ロシアを経済的に凌駕することもあり得る。
  • ウクライナが過去に経済成長できなかったのは、ソビエト連邦崩壊後の腐敗した民営化や、中央集権的統制の影響、汚職との腐敗の蔓延によるものである。
  •  ウクライナがEUに加盟することができれば、脅威の経済発展しロシアを凌駕することも夢ではなく、これをウクライナと支援国がロードマップに描くべき

ウクライナ支援に関しては、共和党も民主党内の左派も反対なようですが、もしトランプ政権が成立した場合、トランプ氏はウクライナへの支援を減らすか取りやめる可能性も取りざたされています。

私自身は、誰が大統領になったとしても、ウクライナへの強力な支援を維持してほしいです。プーチンのロシアに立ち向かい、ウクライナの主権を支持することは党派を超えて行われるべきだと思います。

ウクライナの自由と民主主義は米国の国益にかなうものです。米国はウクライナに対する見方を変えるべきと思います。

現状のウクライナに対する、共和党や民主党内の左派の見方は、民主主義の砦を守るための費用という見方しかしていないと思われます。しかし、これを費用としてだけとらえるのではなく、投資として見方を変えるべきと思います。現在は、発展途上国なみのウクライナですが、見方を変えれば、ウクライナには大きな洗剤可能性があります。

ウクライナ経済がロシア経済を凌駕する可能性

ウクライナの自由と民主主義が維持発展されれば、ウクライナはかなりの経済発展をする可能性があります。その根拠は、以下の表をご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。なお、以下の表は2021年のウクライナ戦争開戦の前年のデータです。

戦争中のデータは、特殊であるのと、正確性にも欠ける場合もあるので、2021年のデータを用いています。

まずは、一人当たりのGDPです。
GDP(ドル)一人当たりのGDP(ドル)
ウクライナ1,557億ドル3,745ドル
ロシア連邦1.7兆ドル10,610ドル
ウクライナのGDPは、ロシアの約10分の1であり、一人当たりのGDPも約3分の1でした。ウクライナは、ロシアに比べて経済規模が小さく、経済水準も低い国でした。これは、発展途上国の部類に入ると言って良い水準です。しかし、これは逆にいえば、かなりの伸びしろがあるということです。

次は、人口です。
人口
ウクライナ4,159万人(クリミア半島を除く)
ロシア連邦1億4,623万人

ロシア連邦と比較すれば、ウクライナの人口はロシアの1/3しかありません。それに、中国、インドの人口は14億人で、ロシア連邦の10倍です。このような国と比較すれば、確かにしウクライナの人口は少ないです。

しかし、ヨーロッパの他国と比較すれば、この人口は少ないとはいえません。また、モスクワ周辺に位置する、ロシア共和国の人口は、1000万人程度です。これを考えると、ロシアとウクライナの人口差は、絶望的に異なるという次元ではありません。

一人当たりのGDPと、人口から、ウクライナがロシア連邦のGDPを超えるには、一人当たりのGDPをどの程度にすれば良いのかを計算します。

2021年のウクライナとロシア連邦の人口は、ウクライナが約4,400万人、ロシア連邦が約1億4,600万人でした。

この人口差を考慮した計算式は、以下のようになります。
(ロシア連邦のGDP) / (ウクライナの人口) = 一人当たりのGDP

これを計算すると、以下のようになります。
1.7兆ドル / 4,400万人 = 38,636ドル

つまり、ウクライナがロシア連邦のGDPを追い越すためには、一人当たりのGDPが38,636ドル以上になる必要があります。

一人あたりの、GDPが38,636ドル付近の国を以下にあげます。比較の対象として日本、米国、ロシアも含めます。
一人当たりのGDP(ドル)
韓国38,740
台湾39,030
ポーランド32,250
スロバキア31,830
ロシア11,370
日本42,820
米国63,540

この表から、ウクライナは、一人当たりのGDPが韓国並になれば、ロシアのGDPと並ぶ水準になり、台湾並になれば、ロシアのGDPを追い越すことになることがわかります。

無論、これは戦争前の比較ですから、ウクライナが戦後復興して、それからの経済成長によりこうなるということになりますが、それにしても、一人あたりのGDPが台湾位の水準になれば、ロシアの GDPを完璧に追い越すというのですから、これはまったく不可能であり得ないということとは言えません。

もし、これが、日本やドイツ、フランス並とか、それ以上というなら、かなり難しいです。さらに、人口面でも、ウクライナとロシアの人口が、10倍以上もあれば、これもかなり難しいです。

しかし、ロシアとウクライナとの比較ということであれば、これは全く不可能とはいいきれないです。

ただし、これは数年ではなく数十年のスパンで達成できるということになると思います。ただ、日本の高度成長のような成長が可能となれば、10年くらいで達成できるかもしれません。

そのような目でみると、なぜウクライナは過去には経済発展できなかったのかという疑問がわきます。

ウクライナはなせ経済成長できなかったのか

ウクライナが過去に経済成長できなかった理由はいくつあります。

まず、ソビエト連邦の崩壊は、ウクライナの工業生産高、特に鉄鋼や鉱業のような重工業の急激な減少につながりました。これは雇用、輸出、全体的な経済成長に大きな影響を与えました。

ソ連時代には他の部門を犠牲にして重工業に重点を置いたため、ウクライナの産業基盤は時代遅れで硬直化し、変化する世界的な需要に対応するのに苦労しました。その結果、経済の多様化と競争力の欠如を招いてしまいました。

ソビエト連邦崩壊

次に、ウクライナがロシアの干渉を受け続けてきたことです。ロシアはウクライナの政治に関与してきた長い歴史があり、しばしば影響力を行使し、ウクライナの軌道を形成しようとしてきました。これには、クリミア併合やウクライナ東部で進行中の紛争に見られるように、特定の政治派閥を支援したり、誤った情報キャンペーンを行ったり、さらには軍事介入に訴えたりすることも含まれます。

ウクライナの犠牲の上にロシアが利益を得ているとされる不公正な貿易慣行や資源操作への懸念が提起され、経済的搾取への非難もあります。さらに、ソ連時代のホロドモール飢饉のような歴史的な出来事は、ロシア国家による意図的な搾取の例とみなされています。

さらに、ウクライナ国内の汚職や腐敗です。ソビエト体制は、ウクライナの社会とビジネスの多くの側面に浸透し続けているビジネス主体に対する後援と縁故主義の文化を育みました。これが公正な競争を妨げ、外国からの投資を抑制し、生産活動から資源を遠ざけています。

インフォーマルなネットワークと官僚主義 複雑な官僚制度を利用した経験から、ビジネスを行うための複雑なインフォーマル・ネットワークが発達してしまったのです。こうしたネットワークは近道を提供してくれるかもしれないですが、法的枠組みの外で運営されていることが多く、不透明で不公正なビジネス環境を助長しています。

1990年代の民営化 ソビエト連邦崩壊後、ウクライナは国有資産の大規模な民営化を実施しました。しかし、このプロセスは汚職にまみれ、価値ある企業が政治的につながりのある人物に割安な価格で売却されました。その結果、富と経済力が一部の人間に集中し、経済全体が投資と競争の欠如に苦しむことになりました。

ウクライナでは汚職との戦いが続いており、近年はさまざまな改革やイニシアチブが実施されています。

計画経済から市場システムへの移行は、法的・制度的枠組みの不備により困難なものとなっています。このことが企業や投資家に不確実性をもたらし、リスクの増大と経済活動の低下を招いています。

 数十年にわたる中央集権的な統制が、個人の自発性やリスクテイクを抑制し、起業家精神の欠如を助長し、活力ある民間セクターの発展を妨げてきました。

しかし、この複雑な問題に完全に対処し、ウクライナの経済的潜在力を最大限に引き出すには、まだ多くの課題が残されています。

ウクライナのソ連時代からの負の遺産は、根深いものがあるのです。こうした負の遺産を解消すれば、ウクライナの経済がのびる余地はかなりあります。

ウクライナ

計り知れないウクライの急速な経済発展の可能性

戦争終結、汚職撲滅、EU加盟などの条件が満たされれば、ウクライナの急速な経済発展の可能性は計り知れないです。

強固な基盤

ウクライナは、強固な基盤(インフラ)を持っており、これは他の発展途上国等にはないものです。

多様な産業基盤: ウクライナには、農業、鉱業、冶金、化学、機械、IT、宇宙、軍事など、確立された産業部門があります。宇宙産業に関しては、ロシアがウクライナから部品を輸入しており、これが絶たれると、ロシアの宇宙開発に支障がでるかもしれないとい割れるほどの水準にあります。また、これはあまり知られていませんが、中国の軍事技術の母体となったのは、ウクライナの技術です。 

この多様な基盤は、さらなる経済成長と新市場への進出を可能にする強力な土台となります。

高学歴の労働力: ウクライナは識字率99.4%という高い教育水準を誇っています。ヨーロッパの大学教育の統一基準・水準は、「バチェラー・マスター・ドクター(Bologna Process)」と呼ばれています。これは、1999年にイタリアのボローニャで開催された欧州高等教育会議で採択された「ボローニャ宣言」に基づき、欧州の大学教育の質と国際競争力を向上させるために制定されたものです。

ウクライナの大学・院にもBologna Processが適用されています。ウクライナは教育という面でヨーロッパと変わらず、物価も安いということから、戦前は、中国人の手頃な留学先として人気がありました。

また、人口あたりのエンジニアの数は、世界でトップクラスにあります。工学、科学、技術などさまざまな分野に長けた人材が容易に確保できることは、海外からの投資を誘致し、イノベーションを促進する上で貴重な資産となります。

戦略的立地: EUとロシアの間に位置し、中東のトルコと黒海を経て接するウクライナは、重要な貿易・中継拠点となりうる地理的優位性を享受しています。インフラとロジスティクスの改善により、この優位性を活かして市場を結びつけ、地域の経済活動を活性化させることができます。

これらの基盤は、他の発展途上国等には見られないものであり、ウクライナの高い潜在可能性を示しています。 

EU加盟

単一市場へのアクセス: EUに加盟すれば、4億5,000万人以上の消費者を抱える世界最大の単一市場へのシームレスなアクセスがウクライナにもたらされます。これにより、ウクライナの企業が商品やサービスを輸出する機会が大きく広がり、海外からの投資を呼び込み、経済成長を促すことができます。

金融・技術支援: EU加盟には、インフラ整備、制度改革、事業開発を目的とした多額の資金・技術支援プログラムが付随しています。これらの資源は、ウクライナの経済的進歩と近代化を加速させる上で有益です。

ガバナンスと法の支配の改善: EUの基準に合わせるためには、制度を強化し、法の支配を堅持し、腐敗と闘うことが必要である。これにより、より予測可能で透明性の高いビジネス環境が構築され、信頼が醸成され、海外からの投資が誘致されるでしょう。

その他の要因

豊富な天然資源: ウクライナは肥沃な農地、鉱物資源、黒海へのアクセスに恵まれています。これらの資源を持続的に管理することで、環境を保全しながら大きな経済的利益を生み出すことができます。

起業家精神: ウクライナ人は回復力があり、機知に富み、起業家精神に富むことで知られています。こうした資質は、長年のロシアの軛から開放され、支援的な環境と相まって、イノベーションと新規事業の創出を促進し、経済のダイナミズムに貢献することができます。

技術的潜在力: ウクライナには、熟練した労働力と活発な新興企業エコシステムを擁する成長著しいIT分野があります。このセクターを育成し、AIや再生可能エネルギーなどの新興技術への投資を呼び込むことで、ウクライナ経済を将来に向けて推進することができます。

もちろん、現在はロシアの侵攻を受けており、様々なインフラが破壊されていますし、先にあげたような課題も残っています。しかし、潜在的な見返りは大きいです。戦争が終わり、適切な条件と継続的な決意さえあれば、ウクライナは独自の強みと戦略的優位性を活かして急速な経済発展を遂げ、豊かで繁栄する国家としての地位を確立することができるでしょう。そうして、それはEU諸国にとって、ロシアの隣国にEUの味方である、強力な国ができあがることを意味します。これは、EUの安全保障にとっても良いことです。

そうした観点で、ウクライナ支援をとらえるべきです。ウクライナ支援はこうしたことを見据えて行うべきですし、ウクライナ側もこうした視点を支援国に示すべきです。

米国、日本、EUもウクライナと協同で、叡智を絞り、ウクライナがいずれロシアのGDPを追い越し、経済発展をつづけ、西側諸国とともに栄えるパートナーとなり、ロシアに対する強力な防波堤になることをロードマップに落とし込み、その上で支援をするようにすべきです。

これによって、米国は誰が、大統領になっても支援はやりやすくなるでしょう。それは、日本もふくむ、西側諸国も同じです。

イスラエルに関しても、イスラエル、ガザ地区(パレスチナ)の双方が経済発展し、テロリストを一掃し、安全保障での中東の要となれるようなロードマップを描くべきです。

日本こそ、このようなことに関してリーダーシップを発揮すべきと思います。

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2013年2月7日木曜日

「北方領土の日」に寄せて ロシアの「対中安保脅威」がカギ 名越健郎・拓殖大学海外事情研究所教授―【私の論評】北方領土は、北海道の島々!!北方領土のウクライナ人の多さや、対中脅威が返還の契機となるか?

「北方領土の日」に寄せて ロシアの「対中安保脅威」がカギ 名越健郎・拓殖大学海外事情研究所教授



2月7日は「北方領土の日」だ。領土返還要求運動の盛り上がりを図る行事が全国で行われる。約70年前のソ連の不法占拠に端を発する北方領土問題の解決には、ロシアに返還を決断させる衝動が生まれることが不可欠だが、キーワードは「経済」よりも「安全保障」にありそうだ。

過去の交渉でソ連・ロシアが領土問題で歩み寄ろうとした契機は、安全保障上の危機感だった。1972年1月、当時のグロムイコ・ソ連外相が訪日し、佐藤栄作首相に対し、「1956年の日ソ共同宣言に回帰し、(歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の)2島を渡して平和条約を締結する案を共産党政治局に提示したい」と述べたことがある。それまでソ連は「領土問題は解決済み」の姿勢だったが、ニクソン米大統領訪中を翌月に控え、米中接近を恐れて日本にアプローチしたもようだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ロシアが昨年来、日本との防衛交流や安保対話を求めているのも、中国への安保上の脅威感によるものだろう。外交権限を持つプーチン大統領が対中脅威感に触発され、持論の「2島」以上の譲歩に踏み込むかどうかが焦点になろう。

ただし、東アジアの際どい均衡の中で、尖閣問題を抱えるわが国が中露離間外交を画策するのはリスクが大きい。日米同盟を再構築した上で中露に対処し、北方領土問題でロシアの譲歩を促すべきだろう。(寄稿)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】北方領土は、北海道の島々!!北方領土のウクライナ人の多さや、対中脅威が返還の契機となるか?



こちら北海道は、函館からブログを発信していますから、本来北海道の話題も多く提供すべきなのでしょうが、最近はほとんど話題が中央の話になっています。本日は、北方領土の日ということで、最近あまり話題にならないこの話題を提供させていただくこととしました。まずは、上に北方領土の地図を掲載させていただきました。クリックすると拡大しますので、是非ご覧になって下さい。

新聞などでも、この話題あまり大きくはとりあげられてはいませんが、日本にとって重大な問題であるには変わりません。新聞のほか、フエイスブックを見ていたら、西村幸祐氏の記事をみかけましたので、以下に掲載します。

西村幸祐氏
いわゆる北方4島は「北方領土」ではありません。というのが僕の解釈。
北方4島は北海道の島です。
正しい「北方領土」とは、千島列島全部と南樺太です。なぜなら、わが国は昭和26年(1951)のサンフランシスコ講和条約締結で、千島列島と南樺太の領有権を放棄しただけで、他国への帰属を決めたわけではありません。現在は、昭和20年(1945)に一方的に日ソ不可侵条約を破って不法に侵略、占拠された地域をソ連が不法占拠し、その後ロシアがそのその不法状態を継続しているに過ぎないからです。
 全くおっしゃる通りです。北方4島は、北海道の島なのです。西村氏のおっしゃる通りで、当時のソ連が不法占拠したのです。しかも、不可侵条約を破ってです。そうして、不可侵条約をなぜ破ったかといえば、開戦当時の日本軍はあまりに強くて、当時のソ連も迂闊に手を出せるような相手ではなかったからです。

それが、大東亜戦争の末期になり、日本が完璧に疲弊した頃をみはからって、侵攻したわけです。全く盗人猛々しいとはこのことです。

日本とソ連が衝突したのは、このときがはじめてではありません。大東亜戦争の前に、当時のソビエト満州国境のノモンハンで衝突しています。そのときの戦況はどうだったといえば、なにやら、日本が一方的に負けて、小太平洋戦争の様相を呈したようなことがまことしやかにいわれていましたが、最近の研究で、無論日本も被害を受けてはいましたが、ソ連側も甚大な被害を受けたことが明らかになっています。

これに関しては、下の動画シリーズをご覧いただければ、当時の歴史背景も含めて良くご理解いただけるものと思います。


北方領土では、ウクライナ人も多いです。1989年の調査では12%、1991年の調査によると全人口の4割がウクライナ人とする調査もあります。ソ連の時代は、ウクライナ人は、ソ連の同胞でしたが、ソ連が崩壊してからは、ウクライナ人はもともとは外国人ということになります。

ウクライナ人というと、昔から美人が多いことで有名です。ロシア、ポーランド、ベラルーシに囲まれた東ヨーロッパの国・ウクライナ。旧ソ連に属していたということもあり、寒く閉ざされた地というイメージが強いです。一年で最も熱い8月でさえ気温は20度を下回るそうです。

だが、ウクライナのチアガールたちはそんな寒さなんて関係ありません! 美女ぞろいでとっても活発、真夏以上にホットです!

ウクライナの美女だらけのチアガール軍団は首都・キエフに本拠地を置く「レッドフォックス」だ。チアガールといえばプリーツのミニスカートが定番だが、彼女たちは水着、民族衣装、闘牛士、ときに「レッドフォックス」らしくキツネのしっぽまでつけちゃって小悪魔的な魅力も披露しています。この写真を以下に掲載します。




さて、話が少し脱線してしまいましたが、現在の北方領土は、このようなもともとは外国人も多いという土地柄であるということと、ロシアにとっては、上の記事にもあるように、中国の脅威が日に日に増しているということなどを考えると、北方領土の返還なども意外とはやいかもしれません。

下の写真は、2008年当時の新聞の写真です。北方領土がもともと、北海道の島であったことは、歴史的事実であり、これ自体は動かすことはできないということです。ソレは、プーチンも理解しています。


さて、ロシアにとっての中国の脅威とは、日本ではあまり認識されていませんが、相当なものです。それに関して、わざわざロシア側は、懸念を表明したりはしませんが、少し考えただけで判ることです。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。

旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

詳細は、上記の記事をご覧いただくものとして、以下にロシア関連部分のみを掲載します。
現在、ロシアのGDPは日本の3分の1以下なのです。日露戦争の頃は、ロシアのGDPは日本の8倍でした。100年間(正確には80年間)で日露の国力は大逆転したのです。



 2010年各国のGDP

1、アメリカ
2、中国
3.日本   5兆4500億ドル
4、ドイツ
5、フランス
6、イギリス
7、ブラジル
8、イタリア
9、カナダ
10、インド

・ ロシア  1兆4650億ドル
こんな国が、アメリカなみの、ミサイル防衛網など、構築できるわけがありません。それから、中国が世界第二位の経済大国になったのは、日本のおかげでもあ ります。それは、このブログに、何回か掲載してきたことですが、日銀が、いつまでも、執拗に増刷拒否など金融引締めをするものですから、固定相場制の中国 は、自国の元を好きなだけ、擦りまししても、日本の円が担保となり、インフレを免れてきたということです。しかし、それも、最近では、効き目がなくなりつ つあります。日本銀行がまともになったら、中国は、あっという間に、経済大国の座からすべり落ちることでしょう。

ロシアの弱体化は明らかです。現状の小国ロシアに、領土問題などで譲歩する必要など全くありません。日本は、日本銀行に金融引締めをやめさせ、円高誘導を やめさせ、また、世界第二位の経済大国に返り咲くべきです。それに、いますぐするしないは、別にして、核武装の論議をはじめるべきです。それだけで、ロシ ア、中国、北朝鮮はかなり脅威に感じることでしょう。

こうしたことを背景にして、日本は、弱体化が明らかになった、ロシアと領土交渉を有利にすすめるべきです。そうして、これは、他国ならどこの国でもやって いることです。日本だけができないとか、やってはいけないなどということはないはずです。そのためにも、一日でもはやく、新たな憲法を制定すべぎではあり ますが、今の日本国憲法の範囲でもできることは、すぐにも実行すべきと思うのは、私だけでしょうか?
 ロシアは、かつてのソ連が最盛期のような経済力は全くありません。それから、この記事には掲載しませんでしたが、人口でも、ロシアは、1億4千万人にすぎません。これは、日本より、2000万人多いという程度です。人口13億人の中国には及ぶべくもありません。それに、ロシアの場合、支配階層であるロシア人の人口は、ロシアは多民族国家であるため、単一民族の日本の日本人より実数は少ないです。

しかも、日本のように四方を海に囲まれているわけではありません。陸続きで中国とつながっています。それどころか、ロシア領内にも多数の中国人が在住しています。

このようなことを考えれば、ロシアにとって中国がかなりの脅威であることは間違いありません。



先日このブログに安全保障のダイヤモンドについて掲載しましたが、東アジアでこのようなダイヤモンドを出している日本です。このダイヤモンドが構築され、効力を発揮するようになれば、中国は戦略を変えるかもしれません。従来は、強国だったロシアの弱り目祟り目に乗じて、南シナ海ではなく、北の海で似たようなことをしでかす可能性もあります。

それから、先ほど脱線したウクライナ人の話ですが、実は北方領土に住む住人の大半はウクラナイナの出身(旧ソ連崩壊時、行政区分的に現居住地区がロシア共和国→ロシア連邦に帰属の為、仕方なく国籍もロシアを選んだ)です。北方領土返還反対運動に、いきなりコサック民兵団体(ロシア本土から来島ではなく、国後・択捉に在住!)が参加してたりするのもその名残です。ウクライナ本土のウクライナ人は旧ソ連恫喝外交の成果に否定的ですが、北方領土在住の元ウクライナ人は自分達の生活に直結する問題の為、偏狭なロシア大国主義に追従しがちではあります。しかし、もともとは、ロシア人ではないため、帰属意識は低いものと思います。

また、日本には比較的長い在日ウクライナ人の歴史あります。ロシア革命の前後、ロシアから日本へ亡命してきた人(白系ロシア人)の中には、シュウエツ家に代表されるようにウクライナ人も多数いました。多くのウクライナ人は日本領である南樺太に定住していたましたが、函館や神戸などで活躍したウクライナ人やユダヤ系ウクライナ人もいました。亡命者は北海道や関東、関西を中心に在住し、一部は太平洋戦争前に米国などへ渡ったが、残ったものは日本国籍を取得し、ウクライナ系日本人の系譜となっています。

戦後しばらくはウクライナ人と日本人の交流は停滞していましたが、90年代末以降、日本政府が興行ビザの発給を緩和して以降、在日ウクライナ人の人口が増加しました。90日を超えて外国人登録を行っている在日ウクライナ人の数は2003年には最大の1,927人にまで急増したましたが、2005年の興行ビザ発給制限の影響で減少し続け、2006年に1584人にまで減りました。先日亡くなったばかりの、日本の英雄でもある大鵬(納屋)幸喜氏の父方はウクラナイ人です。

先日亡くなった大鵬(納屋)幸喜氏の父方はウクラナイ人

その後は、数はほとんど変わらず2010年12月現在では1,507人となっています。在住者の内、女性が1,222人とほとんどを占めている。年齢別に見ると30代前半女性が384人と最も多く、次いで20代後半の322人、30代後半の259人と続きます。在留資格別に見ると、永住者が526人と最も多く、次いで日本人の配偶者等の428人、定住者110人と続きます。かつて主流だった興行ビザによる滞在は2006年の387人から大幅に減少し、今では73人しかいません。

北方領土はもともと、日本の領土ですから、日本と北方領土を自由に行き来できるようにすれば、日本に来るウクライナ人も増えると思います。北方領土からは、モスクワに行くよりも、東京のほうがはるかに近いです。日本各地に在住するウクライナ人も増えると思います。それに、これまで、日本は経済が停滞していましたが、アベノミクスで上向けば、現ロシア政権よりもはるかに巨大な開発をすることもできます。

以上のように、ウクライナ人をうまく味方につけることと、中国の脅威をうまくつかえば、意外とはやく北方領土は、日本に帰ってくることが期待できると思います。今は、日銀人事問題などの大きな問題があり、なかなか手が回らないでしょうが、安倍政権が長期政権になれば、これからの安倍政権の外交に期待したいところです。




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