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2024年9月27日金曜日

中国最新鋭の原子力潜水艦が春ごろに沈没か 犠牲者不明 アメリカメディア報じる―【私の論評】中国最新鋭原子力潜水艦沈没事故:衛星写真で判明か、軍事力増強にダメージ

中国最新鋭の原子力潜水艦が春ごろに沈没か 犠牲者不明 アメリカメディア報じる

まとめ
  • 中国の最新鋭原子力潜水艦が2024年5月下旬から6月上旬に武漢近郊で沈没したと報じられ、事故の原因は不明であり、核燃料を積んでいた可能性が指摘されている。
  • 中国政府はこの事故を公表せず、隠蔽を試みたとされ、アメリカ当局者は犠牲者の有無や核物質漏えいの危険性についても言及している。
  •  沈没した潜水艦は引き揚げられたが、再出航には数カ月かかる見込みで、この事故が中国の原子力潜水艦増強計画に「大きな後退」をもたらすと分析されている。
AI写真ソフトで拡大修正してみやすくした写真

中国の最新鋭原子力潜水艦が2024年5月下旬~6月上旬に武漢近郊の造船所で沈没したとアメリカメディア(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた。

専門家は核燃料搭載の可能性を指摘し、中国政府は事故を隠蔽したとされる。アメリカ当局者は犠牲者不明とし、核物質漏えいの危険性は低いとの見方を示した。

潜水艦は引き揚げられたが、再出航には数カ月かかる見込みで、中国の原子力潜水艦増強計画に「大きな後退」をもたらすと分析されている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】中国最新鋭原子力潜水艦沈没事故:衛星写真で判明か、軍事力増強にダメージ

まとめ
  • 今回の事故に関して衛星写真と推測される画像が報道されているか、米軍の監視能力に関連するため詳細な説明は控えられているとみられる。
  • 2024年5月下旬から6月上旬に中国の造船所で、中国最新の攻撃型原子力潜水艦が沈没したとされる。
  • この事故は、中国の原子力潜水艦艦隊拡張計画に遅れをもたらす可能性があり、米シンクタンク、ヘリテージ財団のセドラー研究員は「かなり重大な事件」と評価している。
  • 中国の原子力潜水艦の数は米国に比べて大きく不足しており、今回事故は中国の潜水艦技術の成熟度に疑問を投げかける。
  • 現時点では事故の詳細や犠牲者の有無は不明であり、中国政府からの公式な確認もない。
上記の記事に掲載されている画像は、中国・武漢にある武昌造船所の衛星画像(6月13日)とされています。各メディアがこの写真を掲載していますが、特に詳細な説明はされていません。これは、米軍の衛星監視能力など機密性の高い情報に関わるため、解説が控えられていると考えられます。

画像の一部を拡大したものが下の写真です。4隻のサルベージ船と思われる船舶が取り囲んで作業している箇所に黒い影のようなものが確認できますが、これが当該潜水艦と推測されます。米軍は航空機などから微量な放射線の増減や種類を検知できるため、この付近で放射線の増減・種類などからこの潜水艦事故や潜水艦の型などを感知した可能性があります。


WSJの英語原文記事は以下のリンクから閲覧可能です:


中国の潜水艦沈没については、昨年も報道がありました。当時、このブログでも信憑性が低いことを指摘しました。その後、追加情報もなく、おそらく誤報だったと結論づけて良いでしょう。

しかし、今回の報道は衛星写真画像も掲載されており、信憑性が高いと思われます。

WSJの報道によると、この潜水艦は中国最新の攻撃型原子力潜水艦で、Type-093B(写真下)または商級改と呼ばれる可能性があります。潜水艦の具体的な仕様や能力については詳細な情報が提供されていません。


ヘリテージ財団のセドラー研究員は、この事故が中国の原子力潜水艦艦隊拡張計画に遅れをもたらす可能性が高く、「かなり重大な事件」と評価しています。

中国は近年、海軍力の強化を積極的に進めており、特に原子力潜水艦の開発に力を入れてきました。しかし、この事故により技術的な問題や安全性の再評価が必要となり、計画の遅延につながる可能性があります。

中国の海軍力増強は、アジア太平洋地域の軍事バランスに大きな影響を与える要因です。原子力潜水艦艦隊の拡張計画に遅れが生じれば、地域の軍事バランスにも影響を及ぼす可能性があります。

ヘリテージ財団のセドラー研究員

現在、中国の原子力潜水艦の数は依然として米国に大きく後れを取っています。一方米海軍は71隻の潜水艦を保有しており、その多くが原子力潜水艦です。

一方、中国の原子力潜水艦の正確な数は公表されていませんが、米国に比べてはるかに少ないと考えられています。推測では、おそらく10〜12隻程度とされています。この数の差は、中国が海軍力の拡大を急ぐ理由の一つとなっています。この隻数で一隻の沈没はかなりのダメージです。

さらに今回の最新鋭の原子力潜水艦の事故は、中国の潜水艦技術がまだ完全には成熟していない可能性を示唆しています。この事故は、中国の軍事技術力に対する国際的な評価にも影響を与える可能性があります。

セドラー研究員の発言は、この事故が単なる一過性の出来事ではなく、中国の軍事力発展に重大な影響を与える可能性があることを示唆しています。

ただし、事故の詳細や実際の影響については、さらなる情報や分析が必要です。現時点では、事故の具体的な詳細や犠牲者の有無は不明であり、中国政府からの公式な確認もありません。この情報は米国政府当局者の話に基づいており、今後の展開に注目が集まっています。

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2023年10月14日土曜日

中国の原子力潜水艦事故は本当に起きたのか?―【私の論評】黄海での中国原子力潜水艦事故報道の信憑性に疑問が残る軍事的背景(゚д゚)!

 中国の原子力潜水艦事故は本当に起きたのか?

山崎文明 (情報安全保障研究所首席研究員)

まとめ
  • 中国海軍の093型原子力潜水艦が事故を起こしたとされるが、中国政府は否定している。
  • 報道の発端は、中国に不利な虚偽情報と陰謀論を投稿することが多いYouTubeアカウント「路徳社」の動画である。
  • デイリーメールの記事を後追いしたロイターも、中国国防部がコメントを避けたと報じている。
  • 情報源が「デイリーメール」しかないため、フェイクニュースである可能性が高い。
中国海軍の093型原子力潜水艦

 2023年8月21日、中国海軍の093型原子力潜水艦が朝鮮半島西側の黄海で、中国軍が米英などの潜水艦を捕捉するために仕掛けた障害物に衝突する事故を起こしたと、英国のタブロイド紙「デイリーメール」が報じた。

 この報道は、中国に不利な虚偽情報と陰謀論を投稿することが多いYouTubeアカウント「路徳社」が投稿した動画が元になっている。路徳社の動画を見た、潜水艦の情報を専門とする軍事評論家のサットン氏が、8月22日に自身のTwitter上で「093型潜水艦が台湾海峡で沈没した」との情報を「真偽の程はまだ確認されていない」との警告付きで投稿したことで、さらに広まった。

 しかし、中国政府は8月22日に、台湾国防部も8月31日に、いずれも「ネットに流れている中国原潜沈没の情報については何ら証拠を持っていない」と否定している。また、デイリーメールの記事を後追いしたロイターも、中国国防部がコメントを避けたと報じている。

タブロイド紙 デイリー・メイルの紙面

 デイリーメール以外の情報源がないため、今回の報道は極めて典型的なフェイクニュースであると考えられる。原子力潜水艦の母港は、米英など西側諸国が軍事偵察衛星で常時監視しており、093型潜水艦が帰還すればすぐにわかるはずである。

 093型潜水艦の任務期間は3カ月から6カ月ほどである。この期間が過ぎても帰還しなければ、今回の報道は本当だったことになる。

 この記事は、元記事の要約です。詳細ホ知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】黄海での中国原子力潜水艦事故報道の信憑性に疑問が残る軍事的背景(゚д゚)!

まとめ

  • 黄海は浅く、潜水艦事故はすぐに発見される可能性が高い
  • 米国や日本などの対潜戦能力は高く、事故を探知・報告する可能性が高い
  • 米、日、韓の軍事当局から確認されていない
  • 報道元は虚偽報道の過去がある
  • 中国も沈没を認めていない
黄海は比較的小さく浅い海域で、さまざまな国の船舶や潜水艦が頻繁に行き来しています。つまり、潜水艦の大事故を隠すのは難しいです。

さらに、日本、米国、その他の地域の国々の海軍は、高度な対潜水艦戦能力を有しています。もし中国の原子力潜水艦が黄海に沈んだとしたら、これらの海軍のいずれかがそれを探知している可能性がかなり高いです。 

Yellow Sea(黄海)の位置

黄海での中国原子力潜水艦の事故が公式には確認されていないこと、この事故に関する唯一の情報源が、虚偽で誤解を招くような記事を掲載してきた歴史を持つ英国のタブロイド紙であることは、この報道がフェイクニュースであることをさらに示唆しています。 

結論として、中国海軍の093型原子力潜水艦が黄海で事故を起こした報道はフェイクニュースである可能性が高いです。その主張を裏付ける信頼できる証拠はなく、疑うべき理由はいくつかあります。

黄海の最大水深は約 152 メートルです。平均水深は約 44 メートルで、全体的に浅い海です。さらは、黄海は日米やその同盟国の海軍によって厳重に監視されているため、大規模な潜水艦事故が見逃されることはほとんどあり得ません。

西側の軍や信頼できる情報筋からの報告がないことから、これはフェイクニュースである可能性がかなり高いです。監視衛星、哨戒機、潜水艦、水上艦船を含む米国の高度な対潜水艦戦(ASW:Anti Submarine Warfare)能力は、黄海における中国の潜水艦活動を綿密に監視しています。原潜の事故は即座に探知され、報告されるでしょう。

米国は中国の海洋進出を警戒しているため、中国海軍の弱点や脆弱性を公表することをためらわないでしょう。中国の潜水艦が沈没した場合、米国はおそらくこの情報を公開し、その原因も公表するでしょう。

日本もまた、この地域にかなりの対潜戦力を配備しており、中国の海軍の野心を制限することに米国と利害を共有しています。日本もまた、このような出来事について報告する可能性が高いです。日本は、過去には中国の潜水艦が領海を潜水したまま航行したことを公表し、マスコミも報道しています。

日米は、中国の潜水艦の行動をリアルタイムで把握するためのインフラ網を構築しています。このインフラ網には、衛星、航空機、海上艦艇、地中レーダー、潜水艦などさまざまな種類の偵察機器が含まれます。

日本の哨戒機P-1

2004年、中国海軍の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯しました。この潜水艦は、日本列島の島々の間にある狭い海峡を航行していたため、日米軍事筋は「迷い込んだのではないのは明らかだ」と述べました。

日米は、中国の潜水艦活動を監視するために、さまざまな手段を講じています。このインフラ網のおかげで、中国の潜水艦が日本や米国等の領海を侵犯した場合でも、迅速に追跡して対処することが可能になっています。

米、日、韓の軍事当局からまったく確認が取れていないことは、この報告が信憑性に欠けることを強く示唆しています。

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2022年5月25日水曜日

中国の台湾侵攻を阻止する4つの手段―【私の論評】海洋国家台湾の防衛は、潜水艦隊が決め手(゚д゚)!

中国の台湾侵攻を阻止する4つの手段

岡崎研究所

 ロシアのウクライナ侵略を受け、中国による台湾侵攻の可能性について種々の論議が戦わされるようになっている。4月23日付の英Economist誌の社説は、ウクライナ情勢から得られる最も重要な「教訓」は、中国の台湾への「脅威は現実のもの」であり、今すぐにこれに対応するための準備が必要であるとし、台湾がより良い準備をすればするほど、中国が台湾へ侵攻するという危険を冒す可能性は低くなる、と述べている。


 ロシア軍のウクライナ侵略は目下進行中であり、それが如何なる終結を迎えるのか、いまだ予断を許さない状況にある。ただ、はっきりしてきたことは、プーチンの当初の思惑通り事態は進行していない、ということだろう。そのような状況下で、エコノミスト誌の社説も、中国の将来考え得る台湾への侵攻がそれほど容易であるとは見ていないようであり、特に中国が「台湾統一」への行動をとることには、二つの大きな障害がある、と述べている。

 一つは、幅180キロメートルに及ぶ台湾海峡の存在であり、ロシアと地続きであるウクライナの場合と大きく異なっていることである。二つ目は、「台湾関係法」という国内法を持ち、台湾に防禦用の武器を供与し、台湾の安全にコミットしている米国が有する軍事力である。

 なお、ウクライナの場合には、バイデン政権はロシアが核兵器を使用し、「第三次世界大戦になる可能性がある」として、ウクライナへの武器支援を限定したことがある。将来、台湾海峡をめぐって、中国が台湾に対し、いかなる恫喝を行うか、それに対し、米国が如何に対応するかいまだ予想することが困難な点はある。

 現在までのところ、習近平指導部はウクライナ情勢から「教訓」を得るために状況を子細に観察しているものと見られ、ロシア側の度重なる誤算、ウクライナ国民の強固な抵抗力や欧米諸国の反応などに衝撃を受けているものと見られる。そして、将来有りうべき中国の台湾侵攻のハードルは、これまで一般に考えられていたよりもはるかに高くなった、と見てよいのではなかろうか。

やはりいつ来てもおかしくない台湾侵攻

 中国の台湾侵攻がいつ頃になるのか、予断を許さないが、エコノミスト誌の社説の主張するとおり、台湾側としては、いざという時のために警戒心を緩めることなく準備を進め、中国の侵攻を思いとどまらせる方策を講じることは、理にかなっているといえよう。

 エコノミスト誌の述べる台湾防衛の手段には、次のようなものがある。

(1)徴兵制に頼らず、より専門的な部隊を創設する。

(2)防衛費を現在の国民総生産(GNP)比2%は低すぎるので、増額する。

(3)台湾にはいたるところに「ハリネズミ戦法」が必要である。特に、敵の戦艦、軍用機に対する精度の高いミサイル攻撃が出来る武器が必要になる。

(4)台湾は、米国や日本を含むパートナー国との間で合同軍事演習を行う必要がある。中国による台湾海峡封鎖や有りうべき侵攻に対抗できるように準備を整える。

 ロシアのウクライナ侵略前には、数年以内にも中国が台湾に限定的な軍事侵攻をする可能性があるのではないか、との見方が米国の専門家の間で強まったことがある。しかし、ウクライナ危機以降は、中国としても、そう簡単に台湾に対し、軍事行動をとりにくくなったように思われる。しかしながら、習近平指導部にとって、台湾問題の重要性が基本的に変わらない以上、台湾としては警戒心を弱めることなく、準備できるものから準備するという覚悟が必要であろう。

【私の論評】海洋国家台湾の防衛は、潜水艦隊が決め手(゚д゚)!

台湾情勢となると、多くの人が思考停止したように、潜水艦の話題はたくみに避けることか多いです。上の記事もその例外ではありません。潜水艦の行動は昔からどこの国でも隠密にするが普通であり、それ故になかなか公開されることもないので、このようになってしまう傾向は否めないのですが、それにしてもバランスを欠いていると思います。

エコノミスト誌の述べる台湾防衛の手段には、上記の4つですが、その中には潜水艦という言葉が一つでできません。(1)〜(4)の台湾防衛手段は、悪くはないですし、そうすべきとは思いますが、もっと具体性を増すなら、特に(3)は以下のようにすべきです。

(3)台湾にはいたるところに「ハリネズミ戦法」が必要である。特に、敵の戦艦、軍用機に対する精度の高いミサイル攻撃が出来る武器として潜水艦が必要になる。

潜水艦は、海の下に潜り、なかなか発見できない「ハリネズミ」になりえます。

なぜこのようなことをいうかといえば、中国海軍には明らかな弱みがあるからです。中国海軍のASW(対潜水艦戦闘)能力は、日米に比較するとかなり弱いです。まずは、対潜哨戒能力がかなり弱いです。そうして、潜水艦の能力でも、ステルス性(静寂性)では日本にはかなり劣ります。

攻撃能力は米国の原潜と比較すると弱いです。その結果どうなるかといえば、中国の潜水艦は日米にとってはかなり発見しやすく、中国はそうではないので、中国の潜水艦は日米の潜水艦には歯が立ちません。

現代海戦についてルトワックも語っていた、昔から言われていることがあります。それは艦艇には2種類しかないということです。一つは空母やイージス艦のような、水上艦です。もう一つは、海の中に潜む、潜水艦です。

現代海戦においては、水上艦は空母でなんであれ、大きな目標でしかありません。これらは、すぐにミサイルや魚雷で撃沈されてしまいます。実際ロシアのバルチック艦隊の旗艦でもあってミサイル巡洋艦「モスクワ」は脆弱な海軍しか持たないウクライナ軍のミサイルによつて撃沈されてしまいました。

一方潜水艦は、水中に潜み、敵を攻撃することができます。すぐにミサイルや魚雷で撃沈されることはありません。だからこそ現代の海戦における本当の戦力は潜水艦なのです。ただ、これも対潜哨戒能力などによるASWが物を言う時代になっています。これが弱ければ、いくら潜水艦を多く持っていても、海戦において勝利することはできません。

これは、すでにフォークランド紛争(1982年)で実証されていたことです。この紛争では、ASWに長けていた英軍が結局勝利しています。

現代海戦においては、日米のほうがはるかにASWでは中国に勝っているため、中国が多数の水上艦艇を持っていたにしても、それは日米にとっては「政治的メッセージ」に過ぎず、海戦では日米の敵ではありません。

だからこそ、台湾は最新型の潜水艦をもつことにしたのです。これについては、以前このブログでも紹介しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性―【私の論評】中国の侵攻を数十年阻止できる国が台湾の直ぐ傍にある!それは我が国日本(゚д゚)!

自前の潜水艦の着工式に出席した蔡英文総統=2021年11月24日、高雄市

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、専門家は、台湾がもし高性能潜水艦の製造に成功すれば、台湾は中国の侵攻を今後数十年にわたって防ぐことができるとしています。

実際そうなのだと思います。先にあげたルトワック氏は、台湾有事になりそうになったら、米国は台湾に大型攻撃型原潜を2〜3隻派遣すれば良いとしています。なにしろ米国の攻撃型原潜の攻撃力は凄まじいですから、トマホークを数百発も発射できますし、対空・対艦ミサイルもかなり搭載できますから、2〜3隻のこれらの潜水艦で台湾を包囲してしまえば、そもそ中国海軍は台湾に近づくこともできません。

それでも無理やり近づき、仮に人民解放軍を台湾に上陸させたとしても、補給ができず、上陸部隊はお手上げになります。

日本の潜水艦も貢献できるでしょう。何しろステルス性に優れていますから、中国海軍に発見することなく、台湾の近海を自由に航行して、情報収集にあたり、その情報を米台と共有することができます。

台湾が最新鋭の潜水艦8隻を就航させることができれば、自前でこれができることになります。これに、日米が加勢すれば、中国海軍が台湾向けて事を起こせば、壊滅することになります。

2021年11月29日、ロイターは「As China menaces Taiwan, island’s friends aid its secretive submarine project」という記事を配信しました。その内容は、2017年から開始された台湾の潜水艦建造に、米国、英国が主たる役割を果たしていることに加え、オーストラリア、韓国、インド、スペイン及びカナダが関わっているとするものです。

米国は、戦闘システムやソーナー等の核心技術を、イギリスは潜水艦用の部品や関連するソフトウェアを提供し、その他の5カ国は技術者募集に応じたものであると伝えています。

それぞれは、台湾海軍及び潜水艦建造を請け負っている台湾国営企業「台湾国際造船」に、政府の許可を得て技術的支援を行っているとしています。韓国大統領府は、この記事に関し政府の関与を否定した上で、個人のレベルで情報を提供しているかどうかは調査中であると述べていました

記事では、米国の同盟国であり最も進んだ通常型潜水艦を保有する日本の関与について、防衛省関係者の発言として、非公式に検討したものの中国との関係悪化を懸念し、検討を中止したと伝えていました。また、日本企業は中国との取引を失うことを懸念し、台湾への関与は消極的であるとの海上自衛隊退職将官の発言を紹介していました。

台湾海軍は現在4隻の潜水艦を保有しています。2隻は第2次世界大戦中に米海軍が建造したグッピー級であり、もう2隻はオランダのスバールトフィス級潜水艦を元に1980年代に建造され、海龍級と呼称されています。

当初、海龍級は6隻取得する計画であったのですが、中国がオランダに圧力をかけ、残り4隻の建造は取りやめられました。グッピー級は言うに及ばず、海龍級も旧式化しており、台湾海軍はその更新を希望していました。

しかしながら、潜水艦建造能力を持つ各国は、中国の反発を恐れ台湾の潜水艦取得に協力することには消極的でした。米国は、2001年にブッシュ政権が、台湾関係法に基づき通常型潜水艦の提供を決定したのですが、米国国内には通常型潜水艦建造のノウハウが無く、宙に浮いた形となっていました。

これらの状況から、台湾の蔡政権は潜水艦国産化の方針を決定、2017年から建造が開始されました。1番艦の就役は2025年に予定されており、8隻が建造される計画です。

国産化にあたっては、米国を始めとした潜水艦保有国の技術協力が不可欠と見なされていましたが、それまで具体的な名前は明らかにされていませんでした。現時点で、韓国政府以外の反応は報道されていないですが、各国の協力を得て台湾潜水艦建造が進みつつあることが確認できたと言えます。

台湾の潜水艦勢力が充実することは、日本周辺の安全保障環境にも大きな影響を与えますが、軍事的観点から見ると、それにはプラスの側面とマイナスの側面があります。

プラスの側面としては、中国の台湾軍事侵攻に対する大きな抑止力となることです。当時、中国は台湾周辺における活動を活発化しつつありました。爆撃機がバシー海峡を経由し台湾南東部を飛行することに加え、同年11月中旬には中国海軍揚陸艦2隻が台湾と与那国島の間を南下し、台湾東部沖で活動したことが確認されています。

台湾は南北にわたって3,000m級の山脈が連なっていることから、その攻略には台湾海峡正面からの攻撃では不十分との指摘があります。当時からの中国艦艇及び航空機の活動は、台湾海峡方面からの侵攻に加え、太平洋方面からの侵攻能力を検証しているものと推定できます。

3,000m級の山脈が連なっている台湾

台湾潜水艦がバシー海峡周辺及び台湾東部海域で行動することにより、これら中国艦艇の台湾東部への進出を抑制することができます。潜水艦が行動しているという情報だけで、その脅威を排除するために行わなければならない作戦の負担や艦艇へのリスクを意識させ、最終的に中国が台湾への軍事侵攻というオプションを選択する可能性を低下させることが期待できます。

一方、マイナス面、懸念事項としては次の2点があげられます。

潜水艦の最大の特徴は、隠密裏に海中を行動することである。これを捜索するためのセンサーとして、現時点では音波が主流です。音波による捜索は、自ら音を出すアクティブ、相手の音を聞くパッシブともに、潜水艦であるかどうかの類別、そしてそれが潜水艦であった場合の識別(どこの国の潜水艦か)に多大の労力が必要です。

バシー海峡から西太平洋にわたる海域では、日米、状況によっては韓国、そして将来的にはオーストラリア潜水艦が活動し、これに台湾海軍潜水艦が加わった場合、潜水艦らしい目標を探知した場合の識別は非常に困難なものとなります。台湾を巡る紛争が生起した場合、台湾海軍潜水艦の存在は、日米艦艇の作戦を阻害する可能性があります。

次に、台湾の潜水艦の事故に対する備えが不十分であることが指摘できます。2021年4月、インドネシア海軍潜水艦がロンボク海峡付近で沈没しました。更には同年10月、米海軍原子力潜水艦が南シナ海において、海山と推定される海中物体と衝突し損傷しています。

潜水艦を運用する国が増加するにつれ、このような潜水艦の事故が増加すると考えられ、潜水艦を運用する国には捜索救難体制の整備が必須と言えます。他国との訓練が実施できない台湾は、潜水艦救難のノウハウが十分とは言えない状況にあります。

インドネシア潜水艦が消息を絶ってから発見されるまで4日間を要したことから分かるように、沈没潜水艦の位置特定には時間を要します。沈没潜水艦の救難は時間との勝負であり、距離的に近い日本はこれに積極的に協力すべきでしょう。

懸念事項を解消するためには、台湾潜水艦の運用状況に関する日台間の情報共有が不可欠です。潜水艦運用に係る情報の全てを共有する必要はないですが、少なくとも、事故の発生の通知や、探知した潜水艦が台湾所属である可能性があるかないかという判断を速やかに下せる程度の情報交換は必要です。これは、台湾の対潜戦兵力が日本の潜水艦を探知した場合も同様です。

日本の各企業が中国との取引を重視し、台湾の潜水艦建造に消極的であることは、民間企業として当然のリスク管理です。しかしながら、実際に台湾潜水艦の絶対数が増加し、活動海域が重複した場合のリスク管理は国の責任です。台湾の国産潜水艦が就役する2025年までに、日本政府としてリスク管理の体制を整えておく必要があります。関係国との調整を考慮すれば、残された期間は長いとは言えないです。

ただ、日米ともに以上のようなことを実施すべきです。台湾が自前で潜水艦を8隻持ち、シフトを組んで、24時間、台湾を包囲する体制を築いた場合、中国は台湾侵攻を断念せざるを得ないでしょう。

だから、2025年より前に、中国が台湾を武力侵攻する可能性は捨てきれません。そもそも、このブログでは、中国軍の兵員海上輸送能力は現在でも低く、台湾に一度に数万の陸上部隊しか送れないこと解説しました。そうなると、台湾に上陸した中国は侵攻部隊は、何度かに分けて輸送せざるを得ないことになります。そうなると、その度に台湾軍に個別撃破されることになります。

これを考えると、中国が台湾を武力侵攻することはあり得ないと考えるのが普通だと思います。もし、中国が台湾に侵攻した場合、台湾は当然戦うでしょうが、ロシアがウクライナに攻め入るのとは違い、圧倒的台湾のほうが有利であり、侵攻する中国はウクライナのロシア軍よりも、さらに破滅的な損害を被ることになります。

しかし、ロシア軍もウクライナに侵攻すれば、破滅的な損害を被るのは目にみえていました。しかも、侵入軍が当初19万人ともいわれ、これではとてもウクライナを制圧できないのは明らかでした。それでも、プーチンは明らかに勘違いをしてすぐに制圧できると高を括って侵攻したわけですから、中国が台湾に侵攻しないという保証はありません。

台湾を第二のウクライナにしてはならない

ただ、そうすれば、中国軍は破滅的な被害を受け、いずれ退却しなければならくなるでしょう。習近平はプーチンのように大赤恥をかくことになります。いや、それ以上かもしれません。しかし、それでも台湾は大きな被害を被る可能性があります。それだけは絶対に避けなければなりません。

そうならないためにも、台湾は潜水艦の建造を急ぐべきですし、日米としては、台湾有事は日米有事であることを中国に知らしめるべきでしょう。

その意味では、23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、バイデン大統領が「台湾防衛への軍事的関与」を明言したのは時宜にかなった適切な措置だったと思います。

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2025年3月26日水曜日

中国が海底ケーブル切断装置開発 深海で作業可 香港紙「重要なネットワーク混乱させる」―【私の論評】中国の海底ケーブル戦略と西側の対潜戦力:隠された意図を暴く

中国が海底ケーブル切断装置開発 深海で作業可 香港紙「重要なネットワーク混乱させる」

まとめ
  • 中国船舶科学研究センター(CSSRC)が深さ4000mで海底ケーブルを切断できる小型装置を開発し、中国の最新潜水艇と統合可能。
  • 香港紙が初公開と報道、台湾やバルト海でのケーブル損傷事案が続き、グレーゾーン攻撃や通信不安定化の懸念が浮上。
  • CSSRCは海洋資源開発目的と主張するが、戦略拠点付近での切断は地政学的危機を引き起こす可能性がある。
AI生成画像

中国船舶科学研究センター(CSSRC)が世界最強の海底ケーブル切断装置を開発したと発表。深さ4000mで動作し、鋼鉄、ゴム、ポリマーで覆われた装甲ケーブルを切断でき、中国の最新有人・無人深海潜水艇と統合可能。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが初公開と報道。ダイヤモンドでコーティングされた直径15cmの研削砥石刃が毎分1600回転し、ロボットアームで操作される。

台湾やバルト海で海底ケーブル損傷事案が続き、グレーゾーン攻撃の懸念が浮上。米国グアムなど西太平洋の戦略拠点付近でケーブルが切断されれば通信が不安定化する恐れがあるが、CSSRCは海洋資源開発への貢献を目的と主張している。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】中国の海底ケーブル戦略と西側の対潜戦力:隠された意図を暴く

まとめ
  • 中国の海底ケーブル陸揚げ地点は上海、広東省(広州・深圳)、青島に集中し、通信インフラの要所だ。米国はこれを監視対象と認識している。
  • 通信途絶を狙うなら、深海より陸上拠点をミサイルで攻撃する方が効果的だが、中国は深海ケーブル切断技術を公表し、技術力と抑止力を誇示する。
  • 中国の潜水艦技術は沈没事故(例: 周級核潜水艦)で課題が露呈し、ASW能力も発展途上。この弱点を補う非対称戦術としてケーブル切断が浮上。
  • 西側のASW能力は強化中(例: 米国監視網改修、AUKUS、英ドレッドノート潜水艦)。これが中国の焦りを誘い、ケーブル切断を戦略的選択肢に。
  • 米海軍大学のライル・ゴールドスタインは、中国が西側のASW優位性に対抗し、非対称戦術で影響力を拡大する可能性を指摘。ケーブル切断がその一例だ。
海底ケーブルマップ

日本で海底ケーブルの陸上接続点は、東京湾周辺や千葉、神奈川に集中している。東京が経済と通信の中心だからだ。APCN-2やTGN-Pacificがここに繋がる。地理的な利便性とインフラ集積が背景にある。地震対策で大阪や九州にも一部あるが、東京近郊が主力だ。詳細は非公開だが、通信戦略の要である。この地上施設が破壊されれば、通信が途絶える。

中国もかなり集中しており、特に沿岸の主要都市に集中している。上海だ。中国最大の経済都市で、アジア太平洋を結ぶケーブルがここに集まる。APCN-2やEAC-C2Cがその例だ。上海市内の通信事業者のデータセンターがその拠点と考えられている。次に広東省だ。広州と深圳が特に重要だ。深圳はテクノロジーの中心地で、香港に近い利点を活かし、TGN-IAなどが陸揚げされている。広州も通信の要として欠かせない。

そして青島だ。山東省にあって、北東アジア向けのケーブル、例えばJCNやNCPがここに接続される。これらの場所は、中国の通信インフラの心臓部だ。海底ケーブルが陸上ネットワークと結ばれる戦略的な要所である。ただし、具体的な施設名や位置はベールに包まれている。通信事業者や政府が厳しく管理し、詳細は公開されない。だから正確な場所をピンポイントで特定するのは至難の業だ。セキュリティのため、こうした拠点は厳重に守られ、場合によっては分散もされている。

米国の情報当局は、この事実をしっかり握っているだろう。上海、広州、深圳、青島。これらは単なる都市ではない。国際データ伝送のハブであり、地政学と経済の要衝だ。米国は中国の海底ケーブル網やその技術の動きを目を離さず見ている。中国船舶科学研究センター(CSSRC)が開発したケーブル切断装置や、中国企業がケーブル運用に関わる動きを、危険なシグナルと捉えている。


例えば、ファーウェイ・マリンが絡むプロジェクトには、監視や情報収集のリスクがあるとして、米国は真っ向から反対してきた。報道や公開情報によれば、米国は中国の海洋活動やインフラ展開を監視するプログラムを進めている。当然、中国の陸揚げ地点もそのターゲットだ。具体的にどこまで掴んでいるかは機密だから明らかではない。だが、米国の関心と技術力を考えれば、これらの地点が見逃されているはずがない。可能性は極めて高い。

もし通信をぶった切るなら、深海のケーブルを切るより、陸上の拠点をミサイルで叩く方が断然効果的だ。深海での作業は技術的に難しく、時間もかかる。だが、陸上の接続点は手が届きやすい。一撃で複数のケーブルを潰せる。なのに中国はなぜ深海ケーブル切断技術を大々的に公表するのか。その答えは、技術の誇示と抑止力だ。深さ4000mで動く装置は、中国の海洋工学の凄さを示す象徴だ。

深海での隠密作戦は責任を追及されにくい。陸上攻撃のような直接的な火種を避け、柔軟に動ける戦略を手にしている。海洋資源開発を口実にすれば、国際的な批判もかわしやすい。中国では最新潜水艦の沈没事故が話題だ。2024年の周級核潜水艦沈没疑惑や、2003年の明級潜水艦事故がある。潜水艦技術に穴があるのは明らかだ。静粛性や推進技術で、米国やロシアに後れを取っている。対潜戦(ASW)技術もまだまだだ。この弱点を埋めるため、ケーブル切断能力を非対称戦術として打ち出している可能性がある。

中国人民解放軍海軍(PLAN)は潜水艦の近代化を急ぐが、事故や限界が次々と露呈している。周級潜水艦の沈没疑惑は、設計や運用のミスを疑わせる。訓練不足や品質管理の甘さが原因かもしれない。ASW能力を高めようと、海底センサー網や無人潜水艇(UUV)を開発しているが、米国のソナーやP-8ポセイドン哨戒機には及ばない。この差が、ケーブル切断を頼りにする理由かもしれない。

しかも、西側のASW能力はどんどん伸びている。これが中国を焦らせている可能性は大きい。米国は2023年に海底監視網を強化し、AUKUS協定でオーストラリアに核潜水艦技術を渡した。2025年のSea Dragon演習では日本やインドと手を組む。イギリスのBAEシステムズは、2025年3月20日、ドレッドノート原子力潜水艦の1番艦「ドレッドノート」のキールをバロー・イン・ファーネス造船所に据え付けたと発表した。英国海軍史上最大の潜水艦だ。西側のASWが強まる中、中国は潜水艦の弱さを補うため、ケーブル切断を前面に出して劣勢をカバーしようとしているのだろう。

海底ケーブルには軍事情報も流れているし、さらに潜水艦探査センサーなどに繋がれていることにも留意が必要だ。これを破壊されれば、当然のことながら、ASW能力はある程度削がれることになる。

ドレッドノートは、イギリス海軍が2030年代初頭からの配備に向けて建造中の原子力弾道ミサイル潜水艦の艦級

この見方を裏付ける専門家がいる。米海軍大学のライル・ゴールドスタインだ。彼は中国の潜水艦技術が西側に遅れていると断言する。だが、非対称戦術としてのケーブル切断が戦略の鍵だと見ている。西側のASW優位性に対抗するため、直接ぶつからず影響力を広げる手段として、中国がこれを使う可能性を指摘する。ゴールドスタインの分析は、中国の海洋戦略が弱点を逆手に取った柔軟さを持つと強調する。

彼の『The National Interest』(2015年8月17日)の記事「A Frightening Thought: China Erodes America's Submarine Advantage」から引用しよう。「中国海軍は、これまで弱点だった対潜戦(ASW)能力を大きく改善している。この動きは、西側の潜水艦優位性を脅かす。とくに中国が非対称戦術を使えば、従来の海軍力のバランスを崩す戦略を取る可能性がある。」この言葉は、ケーブル切断が潜水艦技術の遅れを補う現実的な選択肢であることを示唆する。結論だ。中国がの意図や戦略にもよるが、ASWの遅れを補う意図がケーブル切断装置開発公表の裏にある可能性は高い。

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2021年10月9日土曜日

損傷の米海軍潜水艦、世界有数の難易度の水中環境で活動 専門家が指摘―【私の論評】米軍は、世界最大級のシーウルフ級が南シナ海に潜んでいることを中国に公表し本気度をみせつけた(゚д゚)!

損傷の米海軍潜水艦、世界有数の難易度の水中環境で活動 専門家が指摘

南シナ海で水中の物体に衝突した米原潜。難易度の高い水中環境で活動中だったという

香港(CNN) 米海軍の原子力潜水艦「コネティカット」が先週末、南シナ海で物体に衝突した事故をめぐり、専門家からは、同艦は世界でも特に難易度の高い水中環境で活動していたとの指摘が出ている。艦の上方は大量の雑音で埋め尽くされ、海底地形も絶えず変化している海域だという。

米国防当局者は7日、コネティカットの事故について詳しい情報は示さず、南シナ海で潜航中に物体に衝突し、多数の乗組員が負傷したと述べるにとどめた。

海軍によると、負傷の程度はいずれも軽かった。コネティカットは8日、自力で米領グアムの海軍基地にたどり着いたという。

海軍報道官はCNNに対し、潜水艦の前部が損傷したと述べ、「完全な調査と分析」を行う方針を明らかにした。

コネティカットは米海軍が保有する3隻のシーウルフ級潜水艦のひとつ。1998年に就役した同艦は排水量9300トン、全長約107メートルを誇り、原子炉1基を動力とする。乗組員は海軍要員140人。

コネティカットの船体は最新のバージニア級攻撃型潜水艦よりも巨大で、米国の他の攻撃型潜水艦に比べ多くの兵器を搭載できる。米海軍の説明文書によると、この中には魚雷最大50発とトマホーク巡航ミサイルも含まれる。

艦齢は20年を超えるが、就役中にシステムの更新が施されており、技術的にも高度な艦とされる。

海軍はコネティカットについて「極めて静粛かつ高速であり、高度なセンサーを搭載している」と述べている。

それでは、どのようにして南シナ海でコネティカットに問題が発生したのか。

海軍はコネティカットが何に衝突したのか明らかにしていないが、専門家からは、南シナ海の環境は同艦の高度なセンサーにとっても難易度が高いとの声が上がっている。

英ロンドン大キングスカレッジのアレッシオ・パタラーノ教授は、「雑音の多い環境ではソナーで捉えきれないほど小さな物体だった可能性もある」との見方を示す。

米海洋大気庁(NOAA)によると、海軍の艦船は水中で周囲の物体を探知するのに「パッシブソナー」を使う。「アクティブソナー」が発信音を送り、反響音が戻ってくるまでの時間を記録するのに対し、「パッシブソナー」は自らに向かってくる音だけを探知する。

これにより潜水艦は静粛性を保って敵から身を隠すことできるが、その反面、他の装置や複数のパッシブソナーを頼りに、進路上にある物体の場所を三角測量で割り出す必要が出てくる。

南シナ海は世界で最も混雑した海上交通路や漁場の一つとなっているため、水上の船が発するあらゆる種類の雑音の影響で、その下の潜水艦に危険をもたらしかねない物体が覆い隠される場合もあるという。

「事故が起きた場所によっては、一種のノイズ干渉(通常は上方の船舶から来る)がセンサーやセンサーの操作に影響を与えた可能性もある」(パタラーノ氏)

しかも、南シナ海の潜水艦にとって問題になりうるのは船舶だけではない。そう語るのは米海軍の元大佐で、米太平洋軍統合情報センターの作戦責任者を務めたこともあるカール・シュスター氏だ。

シュスター氏は「この海域は音響環境が非常に悪い」と述べ、水の性質そのものが問題を引き起こす可能性にも言及した。

また、潜水艦の下にある何かが問題を引き起こした可能性もある。

「あの海域の環境や海底は、ゆっくりとだが確実に変化している」とシュスター氏は指摘。「絶えず海底地形の地図を作っておく必要がある海域だ。地図に記載されていない海底の山に衝突することもありうる」と語っている。

この地域で潜水艦がらみの事故が起きるのは今年2度目。4月にはインドネシアの潜水艦がバリ海峡で沈没し、乗組員53人全員が亡くなった。

インドネシア当局は「自然や環境面の要因」によって事故が起きたとしつつも、これ以外の詳細は明らかにしていない。

【私の論評】米軍は、世界最大級のシーウルフ級が南シナ海に潜んでいることを中国に公表し本気度をみせつけた(゚д゚)!

今回事故のあった潜水艦は、上にもある通り、シーウルフ級原子力潜水艦であり、米海軍の攻撃型原子力潜水艦です。潜水艦一隻というと、大した軍事力ではないと思われるかもしれませんが、シーウルフ級は世界最大級の巨大潜水艦であり、その攻撃力は空母に匹敵すると言っても過言ではありません。

メンテナンス中のシーウルフ級攻撃型原潜 巨大さがよくわかる

あらゆる分野で仮想敵であるソ連海軍の原子力潜水艦を凌駕する超高性能艦として設計されましたが、冷戦終結による必要性の低下や高額な建造費などによって当初29隻だった建造数は大幅に縮小され、結局同型艦2隻・準同型艦1隻の計3隻で建造は終了しました。

米海軍最後の冷戦型攻撃原潜となった本級は、静粛性、氷海行動力、弾量を重視し、「聖域」内への積極的攻勢すら可能な、あらゆる面でソ連原潜を凌駕する超高性能艦とするべく設計されました。

ロサンゼルス級と比較してみると、減少した運用深度を取り戻すべく高張力鋼HY-110を採用し、氷海行動力も当初から盛り込まれた点で対照を成しますが、一方で水上艦用原子炉から発展したS6W型を搭載する点は引き継がれています。

また、イギリス海軍での運用実績に学んで、ポンプジェット・プロパルサーを制式としては初めて装備し、キャヴィテーションを起こさずに20ktで航走可能になりました。魚雷発射管室内の弾庫の容量も根本的に見直され、冷戦後期から米原潜が悩まされてきた搭載兵器量の問題はついに解決されました。

米国には、オハイオ級の攻撃型原潜もありますが、この潜水艦はとにかく巨大です。この潜水艦は特殊部隊シールズを乗せることができるだけでなく、巡航ミサイルのトマホークを1隻で最大154発、水中から連射することができます。軍事機密なのか、詳細は発表されていなのですが、シーウルフ級はこれを上回るのは確かです。

2017年のシリアの攻撃の時に駆逐艦2隻で発射したトマホークの数が59発ですからその規模がとんでもないことがわかります。

1997年から就役するアメリカ海軍有する世界最強の攻撃型原子力潜水艦シーウルフ級

南シナ海において、シーウルフ型攻撃原潜が、緒戦で攻撃に出れば、中国軍は手も足も出ないです。同時に中国側としては、いくらミサイル戦力や海軍力、宇宙サイバー戦能力を充実させても、米海軍の虎の子のシーウルフ型原子力潜水艦を発見し攻撃するASW(対潜水艦戦闘能力)が欠如している現状ではいかんともし難いです。

上の記事では、"海軍はコネティカットについて「極めて静粛かつ高速であり、高度なセンサーを搭載している」と述べている"としていますが、このブログで掲載してきたように、原潜は構造上どうしても騒音が出るため、静寂性には難点があるのですが、それでもシーウルフ型は原潜としては、静寂性か高く、対潜哨戒能力の低い中国がこれを発見するのはかなり難しいです。

一方中国の原潜や通常型潜水艦は、現状でも静寂性は劣ります。さらに、攻撃力も米攻撃型原潜に比較すれば、かなり低いです。特にシーウルフ型とは比較の対象にもなりません。

深海に留まり続け、中国の動きを偵察し、人工島と本土を結ぶ補給線を脅かす米巨大攻撃型潜水艦の存在は中国にとっては、脅威そのものです。もし南シナ海で、米海軍と軍事衝突という事態になれば、米巨大攻撃型潜水艦が、緒戦で中国軍の艦艇、ミサイル基地、空軍基地、監視衛星の地上施設などを破壊し尽くした後に、空母打撃群の波状攻撃にあえば、勝ち目は全くありません。そこに、強襲揚陸艦で米海兵隊員が多数乗り込んできた場合どうなるでしょうか。

そこまでしなくても、複数の米潜水艦が南シナ海を包囲して、中国艦艇や航空機を近づけないようにすれば、南シナ海の中国軍基地には水・食糧・燃料その他を補充できなくなってお手上げになります。


中国軍側からみると、何の前触れもなくある日突然、多くの艦艇、潜水艦、環礁上の基地が、どこから攻撃されたかもわからないうちに、撃沈、撃破され、無力の状態になったところに、さらに空母打撃群によるミサイル、航空機の波状攻撃を受けることになります。

これは、中国にとって悪夢です。中国としては、オハイオ級の攻撃型原潜等が南シナ海に潜んでいることは予期していたかもしれません。しかし、米海軍の世界一の巨大潜水艦が潜んでいることまでは、予期していなかったかもしれません。

以上のことから、私は今回の潜水艦事故は事実だったのでしょうが、それを理由に米海軍は南シナ海にシーウルフ級を潜航させている事実を中国に知らしめて、米軍の本気度を示したものとと推察しています。中国海軍は、対潜哨戒能力が低いので、シーウルフ級が南シナ海に潜航している事実を今回始めて知ったのではないかと思います。

もともと潜水艦の行動は、公表しないのが普通であり、潜水艦が沈没して多数が死亡した場合などの例外を除いて、公表しないか、公表しても場所や潜水艦の種別や負傷者や被害の程度などまでは、公表しないのが普通です。

それを今回の事故では、潜水艦の種別、具体的な潜水艦名、負傷者数のほか、さらにご丁寧に、7日の事故の後に、コネティカットが8日、自力で米領グアムの海軍基地にたどり着いたことまで公表しています。

これでは、いかに対潜哨戒能力が低く、シーウルフ級の行動を探知できない中国海軍であっても、海図とコンパスがあれば、大体どの海域で事故にあったのか、類推できます。

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2016年2月15日月曜日

【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオに見え隠れする中国のプロパガンダ―【私の論評】内実は他先進国とは渡り合えない、儀仗兵並の人民解放軍だが?

【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオに見え隠れする中国のプロパガンダ

RAND corporation(ランド研究所) 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日中衝突で「日本は5日間で敗北する」という衝撃のシミュレーションが、インターネット空間で飛び交っている。米外交誌「フォーリン・ポリシー」の1月15日号に掲載された仮想シナリオの紹介記事である。特に国防総省に近いランド研究所が実施したとの触れ込みだから、その衝撃は余計に増幅された。

原文にあたってみると、記事は2人の記者が連名で書いており、ランドが実施した詳細なシミュレーション報告ではない。本文も「ホワイトハウス地下の危機管理室ではなく、ランド研究所で専門家にたずねる形で行われた」と、ただし書きをつけている。

5日間の初日は、日本人の右翼活動家が尖閣に上陸し、中国の海警に逮捕されるという前提ではじまる。2日目は、外交か警察案件のはずが、いきなり日本が護衛艦、戦闘機を派遣し、米国が駆逐艦や潜水艦をだして中国の軍艦とにらみ合う。

3日目は、中国のフリゲート艦が射程内に入った空自機を機関砲で攻撃。交戦状態になって、海自艦2隻が撃沈される。4日目と5日目は中国がサイバー攻撃で日米の送電や証券取引システムを破壊する。米国は潜水艦と航空機を増派して、海自艦隊の撤退を支援した。かくて尖閣は中国が確保して終わる。

一読して、現実離れしていることに気づくはずである。活動家は日本の巡視船に阻まれるし、上陸できても中国側でなく日本側に逮捕される。2日目に米艦船が現場に出現した時点で、中国艦船は矛を収めざるを得ないだろう。交戦状態になっても、米軍や海自潜水艦の威力が過小評価され、米国が都市機能マヒに追い込まれて、報復に出ないことなど考えられない。

2人の記者から取材を受けたのは、確かにランド研究所のシュラパク氏で、文字通り戦争ゲームのプロだ。元来、ランドのシミュレーションは、政府関係者を招いて行われ、綿密な研究分析の上に、多様な動きを検討し、独自の裁定を下すのが通例だ。ところが、記事にはそうした周到さはみられない。

この記事に対する日本国内の反応にランドは、あくまで記者たちと東シナ海で考えられる可能性を短時間、議論したもので、ランドの公式シミュレーションではないことを強調している。

なぜいま、シュラパク氏が絡んで記者2人が、米国の「巻き込まれ脅威論」のシナリオを発表したのだろうか。結果として、「米国が小さな無人島に関与して中国との紛争に巻き込まれ、米国の国益を損なう」という中国のプロパガンダに沿ったものになっている。

最近、中国の対外宣伝は米欧紙への寄稿やシンクタンクを活用して、ソフトに語りかける手を使う。とかく世論は、目立った主張や甘いささやきに幻惑されがちだからである。この記事に効用があるとすれば、日本の安保法制に穴はないかを確認し、日米同盟の紐帯(ちゅうたい)を確認するよう促したことだろうか。

横須賀生まれの日系人である米太平洋軍のハリー・ハリス司令官
外交誌の公表から12日後、米太平洋軍のハリス司令官が講演で、尖閣防衛について「中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と述べて、クギを刺したのは妥当であった。

しかもここ数年、ワシントンで発表されるアジアの戦略報告書の主流は「中国の軍事的台頭にどう対処すべきか」であることを銘記すべきだろう。(東京特派員)

【私の論評】内実は他先進国とは渡り合えない、儀仗兵並の人民解放軍だが?

尖閣に関しては、上記とは別にYouTubeでは、中国がアメリカ軍撃破というシナリオの「3D模擬奇島戦役」というタイトルの動画が掲載されています。その動画(コピー)を以下に掲載します。



この動画は、昨年9月からYouTubeに掲載されています。9月というと、中国で抗日記念70周年軍事パレードが行われました。

昨年9月3日に北京で挙行された「抗日戦争勝利70周年記念軍事パレード」と歩調を合わせて、中国艦隊がアラスカ州アリューシャン列島沖のアメリカ領海内で“パレード”し、アメリカ海軍を憤慨させたなどということもありました。 

中国のイージス艦もどきの鑑定 能力はイージス艦にはるかに及ばない

しかし、中国によるアメリカ軍人の神経を逆なでする動きはそれにとどまりませんでした。直接人民解放軍当局が発表したものではないのですが、「某軍事同盟軍が中国に奇襲攻撃を仕掛ける。中国人民解放軍が反撃し、その軍事同盟軍の島嶼に位置する基地を占領する」というシナリオの「3D模擬奇島戦役」というタイトルの動画がネット上を駆け巡り、再び米軍関係者を憤慨させました。

この「3D模擬奇島戦役」と銘打ったシミュレーション動画は、人民解放軍の基地が攻撃される場面から始まります。そして「20××年に、某軍事同盟が国際法を無視して海洋での紛争を引起し、綿密に計画された奇襲作戦によって、いくつかの人民解放軍基地が攻撃された」というテロップが流れます。

わざわざ「某国」ではなく「某軍事同盟」としているのは、明らかに日米同盟を暗示しています。同様に「綿密に計画された奇襲作戦」はまさに真珠湾攻撃を暗示しており、「抗日戦争勝利70周年記念」を意識した演出のようです。

そうして、この動画で中国軍は、島嶼を攻撃するのですが、これは尖閣を想起させます。これは完璧に中国のブロパガンダです。

そうして、ブログ冒頭の記事におけるシミレーションも、やはり中国のブロパガンダに利用されたものと考えられます。

ブログ冒頭の記事では、「米軍や海自潜水艦の威力が過小評価」と掲載されていますが、まさにそのとおりだと思います。

それに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
B52を空母に搭載するとこんな感じです 合成写真

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国海軍は、日本の自衛隊とまともに対峙すれば、一日で壊滅するであろうこと、米国とまともに対峙すれば、数時間で壊滅するであろうことを掲載しました。

米国と本気で対峙したとすると、数時間で勝負がつくのは目に見えています。航空兵力、海軍力のいずれをとっても、中国は米国の敵ではありません。

まともに戦えば、海上自衛隊の敵でもありません。この記事でも説明しましたし、このブログでも何度か掲載しましたが、日本の対潜哨戒能力は世界一です。潜水艦建造技術も世界一です。

日本の潜水艦は、技術力が非常に高いので、今のトップクラスの「そうりゅう」型だと、原子力潜水艦よりは多少短いですが、それでもかなりの時間潜行できますし、それにスクリュー音がほとんどしないため、どこの国の海軍であれこれを発見することはほぼ不可能です。

オーストラリアも新型の導入を検討している日本の「そうりゅう」型潜水艦
これに対して、中国の対潜哨戒能力は日本には全く及ばず、中国側は日本の潜水艦の動向を全くつかむことができません。いざ戦争になったら、日本は中国の艦船や潜水艦の動向をつぶさに把握できますが、中国側は、どこに日本の潜水艦がいるのか、全く把握できません。

特に潜水艦に関しては、製造技術がお粗末なので、中国の潜水艦は、まるでドラム缶をドンドンとハンマーで殴るようなけたたましい音をたてながら、水中を進むので、簡単に敵国に発見されてしまいます。

この状況で日中がまともに、海にまみえることになると、中国の空母、艦船、潜水艦などは、一方的に日本の潜水艦の餌食になることになり、あっという間に海の藻屑と消えてしまうことになります。

その他航空兵力も現実はかなりお粗末なので、自衛隊の敵ではありません。この状況では、中国は尖閣に人民解放軍を派遣しようにも、到達する前にことごとく撃沈・撃破されてしまいます。はっきりいえば、自殺行為です。

これが、中国大陸の陸の上ということになれば、ゲリラ戦も可能なので、状況は多少なりとも変わるかもしれませんが、海・空戦ということになれば、ゲリラ戦というわけにもいかず、中国に勝ち目はありません。

中国の第五せだい戦闘機といわれる殲20 ステルス性能も低く、
米専門家は第三世代の戦闘機と費用するものも存在する

自衛隊に対してもこの有様ですから、米国相手だと、数時間で中国海軍は戦闘不能に追い込まれてしまうことでしょう。日米同盟軍と戦うことになれば、どうあがいても、全く勝ち目はありません。

それにしても、なぜ中国がこのようなことをするのかといえば、無論プロパガンダのためですか、では、なぜプロパガンダを行うかといえば、もう軍事力の差異ははっきりしすぎるくらいはっきりしているので、中国としては、これ以上南シナ海での示威行動や、尖閣付近での示威行動をできないことは明らかなので、習近平としては、苦肉の策として、これらを実行する以外に道はなかったのだと考えられます。

習近平というと、国内では、腐敗の撲滅などといいながら、実際には権力闘争の続きを実行しています。そうして、人民の憤怒のマグマは従来から煮えたぎって、いついかなるとき大噴火するかわからない状況です。

そのような状況の中で、日本に対しても、アメリカに対しても、強気の態度をみせて、相手に譲歩を迫るようでなければ、国内の人民や、反習近平派の重鎮たちも納得しないどころか、習近平体制を崩しにかかることになります。

特に最近では、経済が悪化しているので、ただでさえ、人民の不満が募っています。しかし、だからといって、本格的に日米と対峙すれば、先に示したようにボロ負けするだけです。そうなれば、習近平はさらに窮地に追い込まれることになります。

だから、昨年は、日本とも戦ったこともない中共が、抗日70周年記念軍事パレードをしてみたり、アリューシャンで米国相手に示威行動をしてみたり、尖閣に機関砲装備の公船を派遣したり、挙句の果てに、上記のようにランド研究所の記事を流布したり、動画を流したりして、本当は無意味なのに、いかにも自分は、やっているぞとばかり、パフォーマンスを演じているわけです。

以下に中国で昨年行われた抗日70周年記念軍事パレードに向けて練習をする女性儀仗兵の動画を掲載します。



この助成儀仗兵は、平均身長1・78メートル、平均年齢22歳で統一されていました。本番では計17人12列の正方形の隊列を組んで行進しました。

儀仗兵とは、儀礼,警護のために,元首,高官,将官に配置される将兵のことです。日本では 1945年まで,天皇,皇族の儀礼に際しては,近衛兵がその任にあたりました。

ところで、儀仗兵は戦闘のための兵ではありません。中国の人民解放軍は、非常に不思議な組織で、そもそも、他国に見られる軍隊とは異なります。この組織実は、商社のような存在で、様々な事業を展開しています。

日本でいえば、商社が武装しているというのが、人民解放軍の真の姿です。そうして、人民解放軍は、人民を解放する軍隊ではなく、共産党の配下にある組織です。そうして、内部もかなり腐敗しており、それこそ、習近平の腐敗撲滅運動の標的にもなっています。

そもそも、このような組織が、他国の軍隊なみに機能するとは考えられません。日本の商社の社員に軍隊なみの武装をさせたらどうなるか、想像に難くないです。さらに、中国では長い間の一人っ子政策のため、人民解放軍の兵士たちもほとんどか一人っ子です。そうなると、中国内での苦しいゲリラ戦なども無理かもしれません。

そうして、この武装商社は、技術的にはかなり遅れた、空母、潜水艦、航空機などを持っています。これらは、先進国の軍隊とまともに対峙した場合、ほとんど役立たずです。ただし、外見はそれらしく、場合によっては美しくさえもみえます。

モデルなみの中国人民解放軍の儀仗兵
ところで、ロシアの軍事米空母1隻を撃沈するのに中国人民解放軍の海軍力の40%が犠牲 になると、ロシアの軍事専門誌「Military-Indust rial Courier」が2013年に分析しています。中国が毎年国防予算 を2けた増加させ、軍事力で米国に追いつこうとしているが、まだ 格差は少なくないということです。 

同誌は、中国が米空母との海戦を念頭に置いて非常に効果的な武器 体系を備えてきた、と紹介した。世界初の対艦弾道ミサイルと呼ば れる東風21Dは射程距離が3000キロにのぼり、日本やグアム の海上の米空母を狙うことができる。鷹撃83などの誘導ミサイル
を装着した12隻の駆逐艦も、アジア・太平洋地域の米艦隊に大き な脅威になる可能性があります。
 
中国は最近、ロシアからモスキットSSM P-270対艦ミサイ ルを備えた駆逐艦4隻を追加で購入した。空母「遼寧」と中距離艦 対空ミサイル紅旗16を搭載した護衛艦「江凱」15隻も敵艦を沈 没させる威力を持ちます。

米空母が率いる艦隊が中国領海に入れば、中国海軍は対艦ミサイル を搭載した駆逐艦10隻とミサイル艇40隻をまず投入し、ゲリラ 戦術で米艦隊を苦しめようとすると予想た。もし空母1隻が沈没 すれば、米海軍は海上制空権の約10%を喪失し、数千人の乗務員
が犠牲になります。
しかし同誌は中国軍が米空母を撃沈するのは容易でないと分析しました。 ひとまず中国が人工衛星・攻撃機・レーダー網を総動員しても、移 動を続ける空母の位置を正確に追跡して打撃するのが容易でない。 米空母は巡洋艦・駆逐艦・潜水艦はもちろん、偵察機・対潜ヘリコ プターなどの護衛を受けます。。 

また、最も発展した艦隊防空網というイージスシステムを通じて、 飛んでくるミサイルをほぼ正確に迎撃することができます。 

空母に搭載されたF35ステルス戦闘機と無人攻撃機は数百キロの 長距離飛行が可能で、中国本土のミサイル発射台など軍事施設を打 撃できます。米空母は中国領海に入らず十分に攻撃できるということです。 

同誌はこのような分析で、中国が米国のジェラルド・R・フォード 級空母1隻を撃沈するには中国海軍戦力の30-40%を消耗する と計算しました。(ジェラルド・R・フォード級空母は2015年進水予定のジェラルド・Rフォードをはじめ、現在のニミッツ級空母に 代わる米次世代原子力空母)

ただ、カギは米海軍が保有する11隻の空母など強大な海上戦力を どれほど迅速に西太平洋に投入できるかだと分析しました。現在、西太 平洋を管轄する米海軍第7艦隊には、空母「ジョージ・ワシントン 」をはじめ、60-70隻の軍艦が配属され、18隻は日本とグア ムに常時配備されています。また、緊急事態が発生すれば、まず最大 6、7隻の空母を西太平洋に投入できます。

米国の空母一隻を撃沈するのに中国は海軍力の40%が犠牲になる

さて、上の分析もっともらしくもあるのですが、2つ大きな見落としがあります。それは、潜水艦と対潜哨戒能力です。上の分析はロシアの分析なので、やはり、自国の兵器の優秀さをアピールする反面、自国の弱みである潜水艦についてはほとんど触れません。

冷戦末期には、日本の自衛隊は、対ソ対潜哨戒を徹底に的に実施し、ソ連の原潜などの潜水艦の行動を逐一偵察しました。そのため、日本の対潜哨戒能力は世界一のレベルになりました。当時のソ連の潜水艦も、現在のロシアの潜水艦も日本の技術には到底及ばず、対潜哨戒能力もかなり低レベルです。

先に述べたように、日本の潜水艦はステルス性が抜群で、中国側には全く発見できません。米国の潜水艦も、日本の潜水艦ほどではありませんが、中国よりははるかに高く、中国を相手とするならステルス性は十分です。

だから、日米の潜水艦は、中国側に察知されずに自由に行動することができます。一方中国の潜水艦は、日米に逐一その所在が確認されてしまいます。

こんなことから、中国が日米などと海戦をするということになると、無論日米は潜水艦を多用することになります。そうなると、中国は初戦で潜水艦からの攻撃に晒され、海軍力はすぐに消滅することになります。その後に、日米は余裕をもって、作戦を遂行することができます。

こんな事を考えると、先ほど中国の儀仗兵について触れましたが、それこそ、人民解放軍自体が、儀仗兵のようなものであるといえなくもないかもしれません。儀仗兵であったとしても、他国の軍隊とはまともに渡り合えないかもしれませんが、人民を弾圧したり、周辺の弱小国などに対しては、戦いを挑むことができるかもしれませんが、日米豪などの先進国の軍隊とは無理というものです。

とは言いながら、人民解放軍は、核を保有しています。商社のような組織が、軍備をするどころか、核武装をして、技術的には稚拙ながら、原潜も保有しているという、とんでもない組織が人民解放軍です。

中国のプロバガンダに対しては、上記のような中国の内部事情を熟知したうえで、一体何のためにやっているのか、想像しながら分析をするといろいろなことが見えてきます。

私たちは、中国を等身大に見る習慣をつけるべきと思います。いたずらに中国に脅威を抱く必要はありませんが、それにしても、核武装をしている厄介な国であることには変わりありません。その核ミサイルは日本を標的にしていることを忘れるべきではありません。こんなことを考えると、現状ではやはり日米同盟がいかに重要であるのか、集団的自衛権がいかに重要であるのか、認識を新たにする必要がありそうです。

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2020年9月18日金曜日

米中軍事衝突の危機迫る中での中国の歪な世界観―【私の論評】米国はASEAN諸国に、地政学的状況の変化の恐ろしさと、米海軍の圧倒的な優位性を伝えるべき(゚д゚)!

米中軍事衝突の危機迫る中での中国の歪な世界観

岡崎研究所

 Zhou Bo(清華大学国際安全保障・戦略センター上級フェロー)が、8月25日付の英フィナンシャル・タイムズ紙に「中米軍事紛争のリスクは憂慮すべきほど高い。米国と中国は南シナ海でその面子を保つ軍事行動のパターンに落ちいっている」との論説を寄せ、中米軍事衝突のリスクを警告している。


 筆者のZhou Boは、中国国防部の国際安全保障協力部長、中国軍事科学院の米中防衛関係室の名誉フェロー等もしている人民解放軍の高官である。英語圏での滞在歴もあり、英語に堪能で、国際会議等にもよく出席する。彼の論説は中国の考え方を説明したものであり、参考になる。ただ、中国が国際法を無視して、南シナ海を自己の領域のように考え、好き勝手に行動しようとしていることを明らかにしたものであり、読んでの感想は、米中の軍事衝突の可能性は論説の筆者が言うようにかなり高いと思われるということである。

 南シナ海の人工島について、ボウは次のように主張する。「これら(人工島)は中国が拡大することを選択した自然な中国の領土であり、埋め立て前に名前があったことはそれが人工的ではない証拠である。中国の法律の下で、外国の軍事船の領海への進入には政府の許可が必要である。」これについて、国際法の観点からいくつかコメントする。まず、名前を付けたから人工島が領土になるわけではない。満潮時に海上に陸上部分が出ていること、それが人間が居住しうる大きさを持つことが島になる要件である。名前をつけるか否かではない。

 次に、領海については、国際法上無害通航権がある。それを、中国の国内法で一方的に中国政府の許可に掛からしめるのは国際法違反である。海洋法条約第58条の解釈も間違っている。中国が米軍の自由航行作戦を挑発であると言っているが、正当な国際法上の権利の行使を挑発などと言う国とは話し合う意味もないかもしれない。

 国際政治上の情勢判断については、これも間違っているように思う。中国の近くの米国の同盟諸国は、米中対決の中で、中国の核や中国との貿易に鑑みて米国の味方はしないだろうとボウは主張する。が、多分そうはならないだろう。それに、核兵器で非核兵器国を脅すなど、とんでもない発想をしている。日本に関しては、米国の側に立つことは明らかであるし、豪州についてもそうであろう。ASEAN諸国は割れるだろうが、ベトナムやインドネシアが米国側につく可能性は高い。

 中国がこういう国際法違反行為をしていることには、多くの関係国を糾合し、中国の9段線による囲い込み主張は国際法上違法であると言うことを明確に言い、中国を孤立化させることが重要であると考える。日本は率先してそういう働きかけをすべきであり、それが南シナ海での平和を守ることになるだろう。グアムでの河野=エスパー日米防衛相会談はそういう方向に向けての一歩になったのではないかと思われる。

 8月26日、中国はグアムを射程に収める「DF26」ミサイル、空母キラーと言われる「DF21D」を南シナ海に発射したが、自己の力を過信しているきらいがある。危険な状況をさらに危険にしている。自ら米中軍事衝突のリスクを高めているように見える。

【私の論評】米国はASEAN諸国に、地政学的状況の変化の恐ろしさと、米海軍の圧倒的な優位性を伝えるべき(゚д゚)!

多くの国・地域に囲まれた南シナ海に、中国は「九段線」と呼ぶ独自の境界線を設定し、広大な海域の大半が自らの主権の範囲内にあると主張してきました。こうした動きに対しベトナムやフィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾がそれぞれ自らの領有権を訴え論争になっています。

 中国が九段線を言い始めたのは1950年ごろからです。軍事力を使い、徐々に実効支配の範囲を南へと広げてきました。ベトナムとは1974年と88年の2度、軍事衝突を起こしています。近年は埋め立てや軍事施設の建設、示威活動を続けています。 

南シナ海は、世界の貨物の3分の1が行き交うという海上輸送の大動脈です。漁獲量は1割超を占め、石油・天然ガスを含めた天然資源も豊富です。中国は力ずくで自国の支配下に置こうとしています。

中国は「南シナ海の島々は歴史的に中国固有の領土である」と主張してきました。ところがフィリピンからの提訴を受けたオランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年7月、九段線には国際法上の根拠がないと断定しました。

 仲裁裁が論拠としたのは、1994年に発効した国連海洋法条約です。中国も締結国のひとつで、判決に従う義務があります。ところが中国は判決を「紙くず」と呼んで無視を決め込み、むしろ実効支配を加速しました力によって国際法の秩序に挑戦する行動が、周辺諸国の強い警戒を引き起こしてきたのです。

この南シナ海でなぜいま、さらに緊張が高まったかといえば、7月半ば、米国が中国の言い分を「完全に違法」と断じたからです。中国の強引な進出をけん制しつつも、中立的な立場から当事者に平和的な解決を促してきた姿勢を、完璧に転換したのです。

背景には中国が4月以降、南シナ海での示威行為をエスカレートさせたことがあります。巡視船がベトナム漁船に体当たりして沈没させたり、マレーシアの国営石油会社が資源開発する海域に調査船を派遣し、探査の動きをみせたりしました。 

世界が新型コロナウイルスへの対応に追われるなか、支配を既成事実化しようとする中国の手法に、米国は危機感を強めました。貿易戦争から始まった米中対立が南シナ海にも波及したといえます。 

東南アジア各国は米国の肩入れを無条件には歓迎していません。中国に経済面で依存している国が多く「米中どちらか」の選択は避けたいのが本音です。米国の同盟国であり、仲裁裁への提訴の原告だったフィリピンが、米中両国と一定の距離をとる構えをみせているのが象徴的です。

米国は中国の主張を完全否定した後、原子力空母2隻を南シナ海へ派遣して軍事演習を重ね、中国をけん制しています。負けじと中国も、同じ海域で実弾演習を実施しました。互いが対抗措置を競うなかで、偶発的な衝突が起きる可能性は否定できません。

 一方で中国は東南アジア各国と、南シナ海での各国の活動を法的に規制する「行動規範(COC)」の策定作業を急いでいます。外交筋によれば、中国はCOCについて

(1)海洋法条約の適用外とする
(2)域外国との合同軍事演習に関係国の事前同意を義務付ける
(3)資源開発を域外国とは行わない。

といった条項を盛り込むよう迫っています。 日本にとっても南シナ海は中東からの原油輸入の通り道であり、中国が沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張するなか、人ごとではありません。各国と連携し、中国に強く自制を求めていく必要性がますます高まっています。

南シナ海を巡る米中のけん制合戦は一段とエスカレートしています。8月26日、中国が同海域へ弾道ミサイルを発射したのに対し、米国は軍事施設の建設に関わった中国企業に禁輸措置を発動しました。

片や軍事的な示威、片や経済制裁の応酬の先に、軍事衝突の懸念は高まりつつあるようにみえます。 フィリピンなどが最も恐れるのは、自国の「庭先」で米中が戦争を始める事態です。それを防ごうと、中国とのCOC交渉で妥協し、締結を優先する展開もあり得ます。米国は対中圧力を強めるだけでなく、東南アジア各国をどう味方につけるかが肝要です。

そのためには、米国はASEAN諸国に以下の二つのことを納得させるべきです。

まず第一に、タイの運河ができれば、この地域の地政学的状況が一変し、タイがこれに苦しむことになるのは、目に見えています。中国による東シナ海の領有を認めるようなことをした場合、この地域の地政学的な状況が一変し、そのことがASEAN諸国を長年にわたって苦しめることになることを認識してもらうべきです。

タイ運河については、最近もこのブログで述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の海洋進出を容易にするタイ運河建設計画―【私の論評】運河ができれば、地政学的な状況が変わりタイは中国によって苦しめられることになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
タイ運河の位置については複数の候補があります。現在有力なのは9Aルートと呼ばれ、東はタイ南部ソンクラー県から、西はアンダマン海のクラビまで約120キロにわたり、深さ30メートル、幅180メートルの水路を掘るというものです。

ところが、タイにとってこのルートは、自国を二分する危険があります。9Aルートはタイ最南部の3つの県を、北側の「本土」と切り離すことになります。それはマレー系イスラム教徒が住民の大多数を占めるこの地域の住民がまさに望んできたことです。

近年、この地域では分離独立を求める反体制運動が活発化しており、しばしば国軍(タイ政治で極めて大きな力を持つ)と激しい衝突が起きています。そこに運河が建設されれば、二度と埋めることのできない溝となり、タイは今後何世紀にもわたり分断されることになるでしょう。

パナマ運河が良い例です。かつてコロンビア領だったパナマ地峡では、1903年に分離独立を求める運動が起こり、運河建設を望んだ米国の介入を招きました。結果的にパナマは独立を果たし、1914年にはパナマ運河が開通したのですが、以来パナマは事実上アメリカの保護領となっています。
今のところ、タイの領土的一体性は保たれています。ところが、タイ運河が実現すれば、東南アジアの地政学は大きく変わるでしょう。必然的にこの地域の安全保障パートナーとして、中国の介入を招くことになります。一度そうなれば、容易に追い出すことはできなくなります。パナマの事例からもこれは明らかです。

タイ運河はアメリカとその同盟国、あるいは戦略的要衝を軍備増強して中国の拡張主義に対抗し得るインドには大きな脅威にはならないかもしれないです。しかし一方で、ミャンマーやカンボジアなど、近隣の貧困国の独立を一段と脅かす恐れがあります。これらの国は市民社会が比較的弱く、中国に介入されやすいからです。それこそがタイにとっての絶対的な危険です。
ASEANが中国による南シナ海の支配を認めてしまえば、タイの運河どころの話ではなく、南シナ海の地政学的な状況は一変します。

中国は、自国に対して親和的な国々に対しては、この地域、特にマラッカ海峡などの通行を認めるものの、そうではない国に対しては認めなくなる可能性もあります。そうなれば、日本も多いに影響を受けます。

さらに、中国は本格的にASEAN諸国に介入をするでしょう。貧困国からはじまり、比較的裕福なシンガポールにまで介入して、南シナ海全体とその近隣諸国を自国の覇権が及ぶ地域としてしまうことでしょう。

こうなると、ASEAN諸国は完璧に中国の傘下に入り、現在のように中国との交渉の余地などなくなり、中国は我が者顔で、この地域の富を簒奪したり、中国が儲かる形で様様な開発をするでしょう。ASEAN諸国は苦しむことになります。

端的にいえば、それこそ現在の香港や、ウイグル、内蒙古のようにされ、これらの地域に中国の工場をたてて、地元民を安い賃金でこき使い、南シナ海の近隣諸国に輸出を始めるかもしれません。抵抗すれば、徹底的に弾圧され、この地域の政権はすべて中国の傀儡政権になり、注語に都合の良い政策ばかりを打ち出すようになるかもしれません。

第二に、このブログでも何度か強調してきたように海軍力においては米中を比較すると、海洋国国家の米軍のほうが圧倒的に優れていて陸上国家の中国には全く歯がたたないことを、米国はASEAN諸国に理解させるべきです。

これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国軍機が台湾侵入!防空識別圏内に 米中対立激化のなか、露骨な挑発続ける中国 日米の“政治空白”も懸念―【私の論評】すでに米軍は、台湾海峡と南シナ海、東シナ海での中国軍との対峙には準備万端(゚д゚)!

1997年から就役するアメリカ海軍有する世界最強の攻撃型原子力潜水艦シーウルフ級

海中の領域、つまり潜水艦による水中の戦いは今でも米軍が絶対優位を維持している分野です。私は米軍は、まだ公にしていないものの、根本的に戦略を変えていると思います。緒戦において米軍は、潜水艦を多様するものと思います。

軍事評論家の中には、このことを無視して、米軍は南シナ海で負けるとする人もいますが、そのようなことはないと思います。かつて米軍は、日本が空母を建造して、優位性を発揮し、真珠湾で大敗を喫した後にすぐに海軍の戦術を変えて、空母を用いるようにしました。

日本軍が、多数の南太平洋の島々に迅速に上陸した有様を研究して、海兵隊の戦法をすぐにかえました。現在では米中は戦争に突入してはいないものの、中国海軍の様子をみて、戦略を変える時間はいままでも十分にありました。おそらく戦術上も戦略上も有利なほうに迅速にシフトするのは今でも変わりないでしょう。

かつて、朝鮮有事が懸念された2017年に、トランプ大統はFOXビジネスネットワークの番組、「モーニングス・ウィズ・マリア」で朝鮮半島付近への、自ら空母派遣について言及しました。

トランプ大統領は、この番組の中で対北朝鮮問題にふれ「我々は無敵艦隊(カール・ヴィンソン打撃群)を送りつつある。とても強力だ。我々は潜水艦も保有している。大変強力で空母よりももっと強力なものだ。それが私の言えることだ」と発言しています。これこそが、私は米国の戦略の転換を示していたと考えています。

しかし、米軍は未だに潜水艦を多様する戦術・戦略を発表していません。それは、もちろん極秘中の極秘だからでしょう。

トランプ大統領が具体的に何を言っていたのか断定はできませんが、たとえばアメリカ海軍は4隻、太平洋側と大西洋側に2隻ずつ改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦を持っています。他の潜水かもあわせると70隻の潜水艦を所有しています。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、何をいいたかったかというと、 米中の原潜と他対潜哨戒能力を比較すると、米君は潜水艦の静寂性や攻撃力にはるかに優れ、対潜哨戒能力では米軍は世界一であるのに比較して、中国の能力現在でもかなり低く、米軍のほうが圧倒的に勝っているといるということです。

具体的にどうなるかといえば、この海域で中国海軍は、米国の原潜を探そうとオタオタしているうちに、ほとんどが米国の原潜の魚雷などによって撃沈されてしまうということです。

上の記事にもある通り、8月26日、中国はグアムを射程に収める「DF26」ミサイル、空母キラーと言われる「DF21D」を南シナ海に発射しましたが、自己の力を過信しているきらいがあります。危険な状況をさらに危険にしています。自ら米中軍事衝突のリスクを高めているように見えます。

確かに、空母キラーと言われる「DF21D」は米国の空母を撃沈できるかもしれません。しかし、海中に潜む米軍の原潜に対しては、そもそも中国はそれを発見する能力がかなり低いので、手を下すことはできません。

米原潜は中国に発見される可能性が低いので、中国の港の近くどころか、港の中を航行している可能性すらあります。第二次世界大戦中の米軍の潜水艦は、日本の潜水艦と比較すると小さく、技術的にも劣る面がありましたが、米軍は活用方法には秀でていて東京湾の中にまで侵入して偵察行動をしていたといわれてます。米軍が中国と南シナ海で戦争をしようと決意した場合、最初は中国のミサイル発射基地を原潜で破壊するということも十分に考えられます。

そうでなくても、米軍は緒戦で、空母や強襲揚陸艦を南シナ海に派遣し、最初にこれらを中国側に叩かせるなどという馬鹿真似はしないでしょう。最初に原潜で脅威となる中国のミサイル基地をたたくか、ミサイル発射の兆候があればすぐに破壊できるようにしておき、その上で南シナ海の中国軍基地に補給をしようと艦艇や航空機が近づけば、それを排除するなどのことをするでしょう。

これは、兵糧攻めであり、南シナ海の中国軍基地の要因は、戦うことなく手をあげるしかしかたなくなるような状況に追い込まれます。この戦法なら犠牲者もあまり出ず、米軍もかなり実行しやすいです。

この圧倒的な優位性があるうちには、中国がいくら優れた対艦ミサイルを開発しようが、宇宙の軍事利用をすすめようが、サイバー攻撃をしようが、米国の原潜を発見できないので海の戦いで勝つことはできません。

この圧倒的優位性を背景としてでしょうか、米国の有名な戦略化ルトワック氏は「南シナ海の中国軍基地は象徴的なものに過ぎず、米軍なら5分で吹き飛ばせる」と語っています。

潜水艦の行動に関しては、隠密を旨とするため、いずれの国も第二次世界大戦から公表することはほとんどありませんでした。そのため、ASEAN諸国は無論のこと、世界中の国々に、米軍の空母の恐ろしさは伝わっていないところがあります。

日本の河野前防衛大臣は、今年の6月中国の潜水艦が奄美大島接続水域を航行した事実を公表しました。これは、通常はありえないことですが、河野前大臣としては、日本も中国よりもはるかに対潜哨戒能力が段違いですぐれていることから、中国側に警告を発したものと思われます。

おそらく、中国側は、中国としては静寂性に優れた潜水艦が日本に発見されるかどうか試してみたのでしょうが、すぐに発見されてしまったわけです。この状況では、未だ尖閣を奪取するのは、かなり困難であると中国側も再認識したことでしょう。

何しろ、現在の最新鋭の日本の潜水艦は、リチュウム電池で駆動し、ほとんど無音で航行できます。このような日本の潜水艦は、対潜哨戒能力の低い中国には探知できませんし、対潜哨戒能力に優れた米軍でもほとんど不可能です。

そうなると、当然のことながら、東シナ海に潜んでいる日本の潜水艦を中国は発見できず、仮に中国が尖閣を奪取したとしても、日本の潜水艦に包囲されてしまえば、中国は艦艇や航空機で、補給しようとしても、それを絶たれる可能性が大です。それでは、全く無意味どころか、大恥をかくだけです。

米国も、このような中国に対する優位性を公表するまでのことをする必要はないとは思いますが、少なくともASEAN諸国のリーダーたちには理解してもらうことなどが、かなり有効な手段となると考えられます。

軍事機密というもの特に優位性に関するものは、完璧に隠していれば、抑止力にはなりません。さしつかえない範囲で、ある程度公開してはじめて抑止力になります。

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