2021年7月26日月曜日

蓮舫氏が大炎上 五輪中止派なのに「金」祝福ツイート 「お見事なダブルスタンダード」痛烈な批判相次ぐ―【私の論評】実は、オリンピック後に菅政権が存続できる政治情勢となる(゚д゚)!

蓮舫氏が大炎上 五輪中止派なのに「金」祝福ツイート 「お見事なダブルスタンダード」痛烈な批判相次ぐ


 立憲民主党の蓮舫代表代行のツイッターが大炎上している。東京五輪・パラリンピックの中止を一貫して求めていたのに、開幕後は出場選手の健闘に歓喜していることに、「すごい手のひら返し」「あんだけ 中止しろ と叫んでおいて」「どの口が」「あきれた」などと批判が噴出しているのだ。蓮舫氏が反論すると、さらに燃え上がる状況となっている。

 「素晴らしいです! ワクワクしました!」

 蓮舫氏は25日、スケートボード男子ストリートで堀米雄斗選手が金メダルを獲得すると、こうツイートした。彼女は「仕分け人」として、「2位じゃダメなんでしょうか?」と発言した人物でもある。

 冒頭のような批判が相次ぐと、蓮舫氏は次のように書き込んだ。

 「開催そのものへの反対は変わらない。国民を守る危機管理の問題だからだ」「選手の活躍には心から敬意を表する。反対なら応援するな、ではない」「菅義偉首相には国民の命と暮らしを守るリスク管理ができていない」

 これに対し、「お見事なダブルスタンダード」「五輪を中止すれば選手の活躍もなかった」「どうやったらオリンピックができるかを少しでも考えましたか?」「金メダルを取った選手が『開催していただきありがとうございます』と言っている」「こんなのだから信頼されない」など、痛烈な意見が相次いでいる。

【私の論評】実は、オリンピック後に菅政権が存続できる政治情勢となる(゚д゚)!

日本では左翼運動家などが五輪開催中止を叫び、わずか数ヶ月前まではマスコミや野党も中止が当然のような論調だった

東京五輪反対を主張した野党の人のほとんどのツイッターでは、五輪を楽しんでいる様子は見えないです。そうした中で、蓮舫氏は、上の記事にもある通り、スケボーの堀米選手の金メダルについて、

「堀米雄斗選手、素晴らしいです! ワクワクしました!」とツイートしました(https://twitter.com/renho_sha/status/1419155844952854530)。

これに対し、高橋洋一氏は、

「こんなにスポーツで感動するのに、それまでの五輪中止は理解できないな。『五輪の感動>>>さざ波の中での医療崩壊リスク』ということは前からわかっていはずだが。五輪中止の人はあと2週間どうするの?」とツイートしていました。(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1419206109919809538)。

なお蓮舫氏は、

「五輪で健闘された選手へのTweetに「反対してたのに」と言う反応がありますが、選手への応援と政府の危機管理体制への姿勢は別です。感染拡大の最中、今でもこの東京五輪強行の政府と東京都、組織委員会、IOCの判断には反対です。菅総理には国民の命と暮らしを守るリスク管理ができていません。」

ともツイートしています(https://twitter.com/renho_sha/status/1419184149466816517)。

なんともわかりにくい弁明だが、松井大阪市長は、

『蓮舫さん、オリンピックが開催されなければ、選手の皆さんが健闘する場所が無かったんですがね! オリンピックパラリンピックが終われば、いよいよ選挙ですからね。』

とわかりやすく応じた(https://twitter.com/gogoichiro/status/1419237008015167490)。

確かに、東京五輪の開催は、政局にも大きな影響を与える可能性がでてきました。

2021年に入ってから、菅義偉政権は新型コロナウイルスの感染者数の抑制を優先したため経済活動の停滞が長引きました。各種世論調査で内閣支持率は菅政権発足以来の低水準まで低下していますが、このまま総選挙を挟んで、菅政権発足1年余りで首相交代という展開も完全には否定できません。

実際に、自民党の中の公認候補を巡る「内輪もめ」が聞かれ、自民党の幹事長人事などを巡る思惑もあり、自民党内の「菅おろし」が本格化するシナリオさえ予想されます。

もっとも、内閣支持率は低下していますが「反対勢力」というパフォーマンスに徹しているとみられる野党に対して国民の期待が高まっているようには思えず、次の総選挙において野党への政権交代はほとんど想像できません。二階、小沢、小池のきな臭い動きもうわさされていますが、これが本格的に大きな動きになるという予兆はみられません。

この意味で、今後政局に変化が起こるとすれば、それは自民党内部の主導権争いが引き起こすことになりそうです。

まず、世論の風向きですが、実際にはオリンピックが始まり、テレビなどは日本人選手を中心とした活躍を大きく伝えるので、これまでのオリンピック同様に相応に盛り上がっています。すると、多くの国民が抱く釈然としない感情は、今後、当初の想定よりも容易に払拭されることになりそうです。

【東京五輪2020 スケートボード】〈女子ストリート決勝〉西矢椛の決勝の演技=26日、有明アーバンスポーツパーク

菅政権は新型コロナやオリンピック対応で迷走している部分もありますが、内閣支持率は新型コロナ感染動向に大きく連動している部分が大きいです。菅政権が注力するワクチン接種は他の先進国並みのペースにしっかり速まってきていますし、緊急事態宣言など経済活動制限の効果もあり、新型コロナ感染者数は秋口にかけて落ち着くでしょう。

それにこのブログでも指摘したように、最近では高齢者ではワクチンの接種が進んだため、そもそも感染者数が少なくなりました。確かに若年層の感染者数は増えていますが、それでも、元々感染者数が他国より二桁以下の日本では、若年層の死者数は交通事故の死者よりも少ないくらいです。

そのため、感染者数が増えても、ワクチン接種が進んでいなかった数ヶ月前と現在とでは、意味合いが明らかに異なっています。死者数は減っていることから、現在医療崩壊を声高に叫ぶ人はいなくなりました。

そうして、2021年末頃から日本経済が急回復する条件がそろうことになるでしょう。

結局、菅政権が注力する、「オリンピックというイベントを無事終わらせる」「ワクチン接種を進める」という2つの課題をクリアすれば良いのです。これらが高いハードルであるかと言えば、そうは見えないです。このため、オリンピックにおいて、テロ発生などのかなりの想定外の出来事でも起こらない限り、総選挙が近づく秋口にかけて経済活動の正常化期待が高まると予想できます。

確かに、オリンピックが多くの会場で無観客試合となったことが、経済活動の下押し効果を懸念する声もあります。しかし、無観客試合のチケットが払い戻しされるだけなら、数百億円程度でマクロ的には影響はほぼありません。

もちろん、首都圏を中心に7月から経済活動制限が強化されたため、これによる経済的な下押し効果は続いています。また、これまで飲食店などの営業自粛に対する協力金が、東京都などから迅速に支給されなかったという対応の不手際が目立っていました。

それでも7月以降については、先払いで飲食店への協力金支払いが行われ始めており、政府・自治体の対応は改善する方向にあります。今後こうした対応を続けるなかで、秋口以降期待できる経済活動の本格化とともに、これまで執行されなかった財源を必要な歳出に回すなどで、効果的に大規模な財政政策を発動する余地があります。

最終的には、官邸の判断次第ではありますが、いずれ再度補正予算を組み、30兆円はあるというGDPギャップが埋められる手立てが講じられれば、財政政策の発動が経済正常化を後押しし、春先から夏場にかけて米国で見られた経済活動の急回復が、日本でも2021年末頃から始まるでしょう。

新型コロナが収束に向かえば、どの程度経済成長率は高まるのでしょうか。日本人による国内旅行消費(2019年)は約21.8兆円(GDP比約4%)です。新型コロナで国内旅行消費は大きく落ち込んでおり、2020年4~6月以降の1年間では旅行消費は約8.3兆円へと半分以下に落ち込んでおり、この需要喪失はGDPの約2.5%に相当します。

政府が目指すとおりに、今年の年末までにワクチン接種が進めば、抑制されていた日本人の旅行消費がかなり顕在化すると見られます。中止されていた、GOTOキャンペーンも再び実施されることになるでしょう。

GOTOトラベルはかなりコスパの良い経済対策だったことがわかつている

2022年内に2019年の水準まで国内旅行消費が戻るとすれば、GDP成長率を約2%程度押し上げる効果が期待されます。

また、2022年に新型コロナリスクが低下すれば、現在ほとんど蒸発している海外からの訪日客の増加にも期待できます。新型コロナ禍前の海外旅行者による消費金額(2019年)は4.8兆円である(GDP比約1%)。

もちろん、国内旅行消費ほど早期に海外旅行者が増える可能性は低いので、訪日外国人への大きな期待は難しいです。それでも、訪日外国人が2019年の半分程度まで戻るだけで約2兆円の消費需要が現れることになります。

これらの旅行需要が顕在化することに加えて、営業自粛を余儀なくされていた外食やレジャーなどの産業の売り上げも、国内旅行消費と同様に2022年にはかなり正常化するでしょう。

これらのサービス消費が増える時には、同時に他の消費需要が減るので、旅行需要などの顕在化が全てGDPの押し上げ効果にはならないです。ただ、ワクチン接種が菅政権の想定する通りに進めば、2022年の日本経済の成長率はかなり高まるでしょう。

オリンピック後には、ワクチン接種も進み、30兆円規模の補正予算を組むことにより、菅政権が存続する政治情勢となり、上記のシナリオへの期待が強まるなかで、これまでの日本株の出遅れのかなりの部分が解消されることになるでしょう。

このような軌道にはやく乗れば、菅内閣が存続しうる環境が整うことになります。

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2021年7月25日日曜日

米超党派議員がIOCに書簡、北京五輪の延期や開催地変更を要求―【私の論評】人類は、ナチスドイツに五輪開催させてしまったという大きな間違いを、再び繰り返すな(゚д゚)!

米超党派議員がIOCに書簡、北京五輪の延期や開催地変更を要求

マルコ・ルビオ上院議員

上院民主党のジェフ・マークレイ氏や上院共和党のマルコ・ルビオ氏ら米議会の超党派議員は23日、2022年の冬季五輪を延期し、開催地を中国の北京市から変更するよう国際オリンピック委員会(IOC)に要請した。米国は中国政府がウイグルなどイスラム少数民族を弾圧しているとしており、議員らはその停止を求めた。

議員らはバッハ会長にあてた書簡の中で、「中国政府に行いを改めるようIOCが圧力をかけた具体的な形跡がみられない」とした。

議員らは「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会」の委員。「五輪を開催する国の政府の行動が、五輪によって集める国際的な注目の制約を受けないという悪しき前例をIOCは作ろうとしている」と訴えた。

議員らは、東京五輪が新型コロナウイルスで開幕4カ月前に延期されたことに言及した上で、IOCには大会を延期する権限があると主張した。ロイターはIOCにコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。

人権団体や研究者、元住民、西側の政府関係者は、新彊ウイグル自治区のイスラム少数民族が強制労働に動員されていると指摘している。中国政府はこうした主張を認めていない。

【私の論評】人類は、ナチスドイツに五輪開催させてしまったという大きな間違いを、再び繰り返すな(゚д゚)!

日本でもボイコットの動きがあります。自民党外交部会などは20日、党本部で会合を開き、中国による新疆ウイグル自治区での人権侵害をめぐり意見を交わしました。出席議員からは、来年2月の北京冬季五輪について「外交的ボイコットを検討すべきだ」「中国自体が五輪憲章に反する人権侵害をしており、開催地変更を働き掛けるべきだ」などの意見が出ました。

欧米でも人権侵害への反発から、北京五輪に政府要人らを派遣しない外交的ボイコット論が相次いでいます。佐藤正久部会長は中国の人権問題について「人権という普遍的な価値を基軸とする日本外交にとっても非常に影響を受ける問題だ」と指摘しました。

佐藤正久参議院議員

五輪ボイコットとはいっても、選手団を派遣しないという本格的なボイコットではなく、外交的ボイコットや経済的ボイコットなどの間接的なボイコットが妥当だとする考え方があることは昨日のこのブログでも述べたばかりです。

ただし、私自身は、この間接的なボイコットやり方は望ましくないと考えていることも昨日このブログで述べたばかりです。

なぜかといえば、欧米が譲歩して、間接的なボイコットしかしなかった場合、中国共産党に誤ったメッセージを与えてしまうことになると考えられるからです。先進国の圧力など、おそるるに足りないと考え、さらに高圧的になることが考えられます。

先進国はすでに中国が豊かになれば、自ずと民主化などもするし国際ルールも守るようになるだろうと期待して、中国に対して譲歩したり、厳しい対処をせずに、放置したために手痛い目に何度もあってきています。もう、このようなことを繰り返すべきではありません。

ジェノサイドをしているのに、それを認めないような国で、五輪など開催すべきではありません。それは五輪の精神に反します。

だからこそ、直接的なボイコットをすべきなのです。これは、中国にとっては、痛撃になることは確かであり、それは中国の国内外で周知されることになり、国内でもただごとではないことが、周知されることになるでしょう。習近平は痛撃どころか、震撼することになるでしょう。

上の記事にある、上院民主党のジェフ・マークレイ氏や上院共和党のマルコ・ルビオ氏ら米議会の超党派議員らは、私と同じような考えなのだと思います。

彼らは、さらに先を行っています、確かに東京五輪を延期することができたわけですから、北京五輪の延期や開催地変更などもできる可能性は十分にあります。それにボイコットよりも、開催地変更をするというほうが、アスリートたちにとっては良いことだと思います。

2018年のジャカルタ・パレンバン競技アジア大会の女子水泳リレーでは国際ルールを守らなかった、中国と韓国が失格して、日本が金を獲得しました。


これは当然のことだと思います。オリンピック競技では、ルールを守らなければ失格するのです。しかし、中国は南シナ海の領有権を国際裁判所に認めらなかったにもかかわらず、いまでも実行支配を続けています。WTOの規約も平気で破ってきました。

国際ルールを平気で破るような国には、オリンピックを開催する資格はないとIOCは認めるべきです。

人類は、ナチスドイツに五輪開催させてしまったという大きな間違いを再び繰り返すべきではないです。そのためには、外交的・経済的五輪ボイコットではなく、延期および開催地変更などを行うべきです。

ベルリンオリンピック開会式におけるヒトラー(一番手前)

冬季五輪は、1年延期することにして、他の所で行うようにすべきです。そうなると、一箇所で行うには負担が大きすぎるので、いくつかの国で分担して行うようにすべきと思います。

その中に、日本も含めて、札幌・長野で行うようにすると良いと思います。柔軟に考えれば、やり方はいくらでもあると思います。

やは北京五輪は、外交的・経済的ボイコットではなく、開催の延期と開催地変更を行い、これを先例とすべきです。今後も、中国のような国が出てきた場合、同じような措置をとるべきです。

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2021年7月24日土曜日

日米VS中国で応酬! WHOのコロナ起源追加調査巡り…米は賛同、中国「科学に反する」と反発 北京五輪に影響も―【私の論評】北京五輪、先進国は経済的・外交的ボイコットではなく、選手団を送り込まない本格的なボイコットをすべき(゚д゚)!

日米VS中国で応酬! WHOのコロナ起源追加調査巡り…米は賛同、中国「科学に反する」と反発 北京五輪に影響も


 世界全体で414万人以上もの死者を出し、東京五輪の大半を「無観客」開催に追い込んだ新型コロナウイルスの「起源」解明をめぐり、日米と中国の応酬が展開された。世界保健機関(WHO)が中国での追加調査計画を打ち出したところ、日米は賛同し、中国が猛反発しているのだ。このままでは、来年2月開幕の北京冬季五輪にも影響が出かねない。

 「起源解明につながることが重要だ。追加調査を重視している」

 茂木敏充外相は23日、東京五輪開会に合わせて来日したWHOのテドロス・アダノム事務局長と外務省で会談し、追加調査の徹底を要請した。

 「中国ベッタリ」と揶揄( やゆ)されるテドロス氏だが、自由主義諸国の強い怒りを懸念したのか、今月のWHO会合で、中国・武漢の中国科学院武漢ウイルス研究所の監査を含めた追加調査を提案した。

 ところが、中国・国家衛生健康委員会の幹部は22日の記者会見で、「常識を重んじず、科学に反するものだ」と非難し、拒否した。

 これに対し、米国のジェン・サキ大統領報道官は22日、ホワイトハウスでの記者会見で、「深く失望している。彼らの姿勢は無責任で、率直に言って危険なものだ」と述べ、中国政府の対応を強く批判した。


 茂木氏の発言も、米国に歩調を合わせるものだ。

 北京冬季五輪をめぐっては、欧米諸国が中国での人権弾圧などを批判し、「外交的ボイコット」で結束を強めている。マイク・ペンス前米副大統領も今月14日、中国が新型コロナの「起源」を明確にし、人権侵害を停止しない限り、「ジョー・バイデン大統領は五輪の開催地を北京から別の場所に変更するよう主張すべきだ」と主張している。

【私の論評】北京五輪、先進国は経済的・外交的ボイコットではなく、選手団を送り込まない本格的なボイコットをすべき(゚д゚)!

3月30日に米国務省は、国別人権状況に関する年次報告書を発表しました。報告書は、中国共産党政府によるウイグル族の虐待はジェノサイド(集団虐殺)であると断じました。これを受けて、4月2日付のワシントン・ポスト紙は、世界的な大企業は北京オリンピックのスポンサーであることを止めるべきであると主張する社説を掲げています。

米民主党のペロシ下院議長は4月18日、米議会でのオンライン公聴会で、中国国内の人権弾圧を「ジェノサイド(集団殺害)」と非難し、来年2月の北京冬季五輪に各国の国家元首を派遣しない「外交ボイコット」を行うように呼びかけました。

米議会内では、超党派でボイコット論が強まっており、4月に米上院外交委員会で可決された「戦略的競争法案」では、北京冬季五輪への参加を米政府当局者がボイコットすることを求める内容が盛り込まれています。

7月8日、欧州議会は、新疆ウイグル自治区の人権問題が改善されない限り、2022年に北京で開催される冬季オリンピックをボイコットするよう加盟国に求める決議を採択しました。

英下院議会の外交委員会も8日、中国による新疆ウイグル自治区の人権問題に関する報告書を公表しました。中国政府への国際的な圧力を強めるためとして、来年の北京冬季五輪の式典ボイコットや、ウイグル自治区で生産される新疆綿の取引禁止措置などを提言しました。


2022年の北京の冬季オリンピックをボイコットするよう求める声は、今後ますます高まる可能性はありますが、それが具体化するかどうかとなると、おそらく困難であろうとする声もあります。

北米および欧州の諸国にとって、冬季オリンピックは夏のオリンピックよりも遥かに重要です。過去23回の冬季オリンピックを通じて、北半球の10の諸国(米国、カナダ、ノルウェー、ドイツ、オーストリア、スウェーデン、スイス、オランダ及びソ連、ロシア)が1060個の金メダルのうちの748個を獲得したといいます。

従って、北米と欧州が欠けた冬季オリンピックは成り立たちません。それだけにボイコットは北京を痛撃することにりますし、逆に、それ故に、北米と欧州の選手に犠牲を強いるボイコットを実現することは至難と言えるからです。

3月15日付のニューヨーク・タイムズ紙では、ミット・ロムニー上院議員(共和党、ユタ州選出)が、ソルトレーク冬季オリンピック組織委員会の会長としての経験を踏まえて、北京冬季五輪のボイコットの方法を提案している。ロムニー議員は、選手の参加を止めることは間違いだとして、経済的・外交的ボイコットを提案しています。

共和党の重鎮ミット・ロムニー上院議員

即ち、米国民は米国にとどまりオリンピックの観客にならないこと、米国企業は顧客をオリンピックに招待することを止めること、政府高官が参加することは控えること、TV放送権を有する NBCが開会式や閉会式の好戦的愛国主義の場面の放映を控えることなどです。

いずれにせよ、何等かの形のボイコットが具体化することがあるとすれば、それは目下立場を定めていないバイデン政権が方針を固める場合でしょう。もし、行動を起こすのであれば、バイデン政権は予め同盟諸国に協議して来ることが予想されます。

現下の情勢は、北京オリンピックを間近に控えて、中国は台湾や東シナ海あるいは南シナ海で侵略的行動に出づらい状況だと思われますが、北京オリンピック後は危険性がさらに大きくなるかもしれません。

ボイコットが及ぼす中国へのインパクトについては、中国が過剰な報復に出る可能性も含めて、同盟諸国間で慎重に計算する必要があるかもしれません。

ただし、これは米国内の一部の見方です。バイデン政権はまだ結論を出していません。いずれにしても、このような事柄に関しては、議会の承認が必要であり、議会がどのような結論を出すのか注目されるところです。

私としては、以上のような米国内の見方は、理解できなくもないのですが、こういう見方をする人たちは、一つ忘れています。

そうです。過去において、日本も含めた先進国の多くが、中国がもっと豊かになれば、民主化するであろうと考え様々な面で譲歩してきました。しかし、これは何回も裏切られてきました。もうこのような考え方をする人はいません。

コロナ起源がどころであろうと、中国が初期の段階で隠蔽していなければ、世界全体で414万人以上もの死者を出すことはなかったと思わまれます。この隠蔽に対しても、まともに対応しようとしない中国です。

この中国が、今回のボイコットを本当のボイコットでなく、上に述べているような間接的なボイコットだけで態度を変えたり、ジェノサイドの問題に本気で取り組むようになるとはとても考えられません。

実際、中国は欧米のこのような動きに対して、かなり反発していますし、それどころか報復をちらつかせたりしています。

にもかかわらず、ここで欧米が譲歩して、間接的なボイコットしかしなかった場合、中国共産党に誤ったメッセージを与えてしまうことになるでしょう。そうです。先進国の圧力など、おそるるに足りないと考え、さらに高圧的になることが考えられます。

そうして、台湾や尖閣に対して、冒険的な行動にでるかもしれません。無論、そうなったとしても、このブログに述べているように、中国には台湾、尖閣を奪取する能力はありませんが、それにしても無用な脅威は最初から取り除くべきです。

それには、やはりまともなボイコットをして、中国に先進国の本気度を示す必要があります。米国はそれをすでに実行しています。

米国の外交代表部の役割をする米国在台湾協会(AIT)関連の航空機が相次いで台湾に到着し、中国側が強く反発しています。

AIT関連の米国の航空機が台湾に降り立ったのは、今月に入ってすでに2回目だ。15日にも沖縄の嘉手納空軍基地を離陸した米軍C-146ウルフハウンド輸送機が午前9時32分頃、台北の松山空港に到着しました。

台湾空港に着陸したC-130輸送機

中国国防部報道官は15日、ウルフハウンド輸送機の台湾着陸と関連して声明を発表し、「台湾は中国の一部であり、中国領土に着陸する外国軍用機は必ず中国政府の許可を受けなければならない」としたうえで、「米国が火遊びを止めなければ、厳しい結果を招く」と警告しました。中国陸海軍は翌日の16日、台湾海峡と接する東部福建省で大規模な合同上陸作戦演習を行いました。

米軍は、中国に台湾を軍事的に奪取する力はないと見透かして、このような行動をしていると思われます。その背景には、中国海軍の対潜哨戒能力が日米と比較すると格段に劣るということがあります。

これは、たとえると目の見える人(日米)と、目が見えない人(中国)とが戦うようなものであって、中国が海戦においては、日米に比較して圧倒的に不利であることを示しており、海戦になれば、中国海軍は日米に太刀打ちできません。

それに、昨年中国は4海域で大規模な軍事演習を行ったのですが、今年は航空機を大量に台湾に派遣したり、上陸作戦演習などでお茶を濁しており、以前から指摘されているように中国軍には現代的な兵站が欠如していることが示されていましたが、その通りのようであることがわかります。

このような軍事的な裏付けもあるので、米軍は航空機を派遣するどころか、一時的に軍を台湾に進駐させていることが判明しても、中国側には目立った動きはありません。

このようなことを考えると、北京五輪の中途半端なボイコットは、中国に対して誤ったメッセージを与えかねません。やはり、ボイコットするのなら、中途半端ではなく、選手を派遣しないというのが筋だと思います。

無論本格的ボイコットをすれば、北米と欧州の選手に犠牲を強いることになるのも事実です。ただ、モスクワ五輪のボイコットのときには、モスクワ五輪に対抗した競技大会を準備し、リバティ・ベル・クラシックという名前で1980年7月にフィラデルフィアで開催しました。これは、陸上競技だけでした。

北京五輪でも、欧米はこのような北京五輪に対抗する大会を盛大に開催すると良いと思います。そうして、五輪のほとんどの種目を実施すべきです。

ジェノサイドをしているのに、それを認めないような国で、五輪など開催すべきではありません。それは五輪の精神に反します。

ちなみに、モスクワ五輪を開催した約10年後に、ソ連は崩壊しました。ナチスドイツが開催した、ベルリン五輪のほぼ10年後にナチスドイツの第4帝国は瓦解しています。

中国が10年後に瓦解するかどうかは、わかりませんが、中国にとっては、痛撃になることは確かであり、それは中国の国内外で周知されることになり、国内でもただごとではないことが、周知されることになるでしょう。習近平は痛撃どころか、震撼することになるでしょう。

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2021年7月23日金曜日

米ロ合意でも必須となるサイバー攻撃と防御の向上―【私の論評】東京五輪のもう一つの見どころは、日本のサイバー攻撃対応能力(゚д゚)!

米ロ合意でも必須となるサイバー攻撃と防御の向上

岡崎研究所

 リチャード・ハース(外交問題評議会会長)が、6月23日付のProject Syndicateで、米ロ両国がサイバー攻撃を相互に抑制する合意の可能性を論じている。


 6月16日のプーチンとの首脳会談でバイデンが力点を置いた問題に、サイバー攻撃の問題があった。彼はプーチンに16の枢要なインフラのリストを手交し、サイバー攻撃の標的としないことに合意することを提案し、今後、専門家の間で協議することになった。バイデンは記者会見で、「勿論、原則は原則である。それは実際の行動で裏付けられねばならない。責任ある国は自身の領域でランサムウェア活動を行う犯罪人に対して行動する必要がある」と述べたが、これは去る5月に「ダークサイド」と呼ばれる犯罪組織によるサイバー攻撃でコロニアルパイプラインが停止した事件のように、政府は知らぬ存ぜぬというロシアの態度は容認し得ないことをプーチンに述べたということであろう。これらの枢要なインフラをロシアが標的としたらどうするのかと問われて、バイデンは「彼には我々が顕著なサイバー能力を有することを指摘した」「我々はサイバーで報復する」と述べた。

 一方のプーチンも記者会見で、この問題で協議を始めることに合意した、これは非常に重要なことだと述べた。彼はコロニアルパイプラインの事件に言及し、この種の事件はロシアでは毎年起きている、「ロシアの重要な地域の医療システムも攻撃された」と述べ、大多数のサイバー攻撃は米国の領域発、二番目はカナダ発だなどとも述べた。

 ハースの論説は、サイバー攻撃を米ロ両国が相互に抑制する合意を実現する上での障害を整理してくれている。両国が相互にサイバー攻撃の対象としない枢要なインフラに合意することが出来れば一歩前進かも知れない。そういう原則だけなら簡単に合意出来るかも知れない。しかし、その合意を担保する検証は不可能である。ハイブリッド戦略を多用するロシアが非国家の主体のサイバー攻撃の取締りに応ずるかも問題であろう。となれば、ハースの論説が指摘するように、合意の有無にかかわらず、抑止力としてサイバーの攻撃と防衛の両面の能力を磨くことが必須となろう。バイデンはサイバー攻撃には「我々はサイバーで報復する(we will respond with cyber)」と述べたが、この種の言い方はこれまでになかったことではないかと思われる。報復の意図を鮮明にし、抑止を働かせる試みかとも思われる。

 日本にとっても、サイバーの攻撃と防衛の両面の能力を磨くことは喫緊の課題である。米国との協力も能力向上の道かも知れない。米国はサイバー空間でロシアに対抗するために同盟国と協力する方針を打ち出している。因みに、6月14日のNATO首脳会議の共同声明は、「我々はサイバー攻撃が条約5条の援用に何時至るかの決定はケース・バイ・ケースで大西洋理事会により行われることを再確認する」と述べ、サイバー攻撃が、NATOの集団防衛の引き金となる武力攻撃を構成する場合があり得ることを排除していない。

【私の論評】東京五輪のもう一つの見どころは、日本のサイバー攻撃対応能力(゚д゚)!

日本のセキュリティ関係者の間では現在、緊張感が高まっているでしょう。東京オリンピックがサイバー攻撃を受ける可能性があると、数年前からセキュリティ企業などに警戒されてきたからです。

というのも、それは過去を見ても明らかで、近年のオリンピックは軒並みサイバー攻撃にさらされてきた経緯があります。

 実は昨年、英TV「BBC」によれば、イギリス政府はロシア軍のスパイ機関であるGRU(連邦軍参謀本部情報総局)が東京オリンピックの妨害を企てていると警告しています。

「組織委員会やスポンサー、ロジスティックス(物流)企業への攻撃」を警戒したほうがいいといいます。 米政治サイト「ザ・ヒル」でも、米セキュリティ企業の専門家などの言葉を引用し、東京オリンピックへのサイバー攻撃が警戒されると指摘しています。

実は東京オリンピックがサイバー攻撃の被害に遭う可能性が高いことは、数年前からいわれていました。少なくとも、こうした世界的な大会ではいきなり攻撃をしてうまくいくはずはなく、攻撃者は、数年前から準備を始めるものだからです。




 2012年のロンドン・オリンピックでは、開会式が狙われました。当時のロンドンでは開会式がサイバー攻撃にさらされており、妨害工作によって開会式の照明が遮断されてしまう恐れがあったといわれています。

一体何があったのでしょうか。米TV「NBCスポーツ」などによると、ロンドン・オリンピックのサイバーセキュリティ担当主任だったオリバー・ホーアは、2012年7月12日、まさにオリンピックの開会式が行われる当日、朝の4時45分に電話で叩き起こされたそうです。

 電話をかけてきたのはシギント(通信や電波などの情報活動)を専門とする世界でもよく知られた英国の諜報機関、GCHQ(政府通信本部)でした。英国でも屈指のハッカーを抱え、米国で凄腕ハッカーが多く属するNSA(国家安全保障局)と密な関係にある機関です。

 ホーアはこう述懐しています。「信頼できる情報として、オリンピックの電力インフラへのサイバー攻撃が検知されたという話が電話でもたらされたのです」。寝起きだったホーアは、「その話を受けた最初の私の反応は、『なんてことだ、ストロングコーヒーを飲まないと』というものだった」と言います。

 ロンドン・オリンピックが行われた2012年は、いまほどサイバー攻撃が注目されておらず、どちらかと言えば過激派などのテロがより警戒されてました。 このサイバー攻撃に対応したのはMI5の本部に拠点を置く、オリンピックサイバー対応チーム(OCCT)でした。

「BBC」によれば、その時点で2つのポイントが優先事項となりました。 「最初の事項は、この脅威がどれほど信頼できる情報なのかを捜査することだった。夜中のうちに情報が入ってきて、攻撃の兆候はサイバー攻撃ツール(マルウェア=悪意のある不正なプログラム)の発見や、オリンピックに関連すると思われる攻撃情報を元にしていたからだ。そしてもう一点、捜査が続けられるなか、攻撃が現実になった際の緊急時対応策も導入された」 。

ロンドン・オリンピックの開会式は夜の9時からスタートする予定でしたが、当日の朝にこんな事態になっていたのです。 その日、サイバーセキュリティ担当者らは必死で大失態が起きないように対策を急いだといいます。

ホーアは「(機密情報のため)細かい話は明らかにできないが」と前置きをした上で、時間がどんどんなくなるなかで、「わたしたちは効果的に電力を、自動からマニュアルに変更することができたのです。これはかなり大雑把な説明になってしまうのですが……とにかくさまざまな場所に多くのエンジニアを配置した」と述べています。

それと同時に、開会式の照明が落ちるなどした場合の対応策も、政府で議論が行われました。そして時間が過ぎ、現場の必死の対応により停電の心配はなさそうだとホーアが報告を受けたのは、開会式の開始時間である午後9時の1時間ほど前だったといいます。

 この時、仮に最悪の事態が起きたとしても30秒で電力供給を再開できるとも報告されていました。もっとも、オリンピックの開会式で30秒も停電したらそれは「敗北」を意味します。しかし幸いなことに、開会式は無事に終了しました。

 なお、そもそも最初の攻撃の兆候そのものが結果的に間違っていた(フォルス・クレーム)のではないか、との指摘もあります。一方で、1日をかけて対処しなかったら、実際にサイバー攻撃で停電か何かが起きただろうとの声も挙がっています。

こうした経験をしている英国は、冒頭のようにロシアのGRUが東京オリンピックを狙っているとの情報を受けて、日本側に警告を伝えています。英国はロシアと対立関係にあることから、特にロシアの動きに警鐘を鳴らしているのですが、それでも東京オリンピックではロシアの攻撃は警戒すべきです。

 というのも、実はロシアは2018年の韓国・平昌の冬季五輪でも開会式を狙ったサイバー攻撃を行ったことが確認されているからです。 米ニュースサイト「ヴァージ」によれば、平昌の開会式の会場で、インターネット接続とWi-Fiがサイバー攻撃によって使えなくなりました。

さらに、公式サイトもサイバー攻撃に遭い、開会式のチケットを印刷できない事態になったのです。 平昌で起きたサイバー攻撃の捜査に協力した英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)によれば、目的はオリンピックの進行を妨害することだったと分析しています。

ターゲットとなったのは中継を担当する部門や、オリンピック関係組織の幹部、また開催地となったスキーリゾートのホテルなどでした。 平昌五輪への攻撃は、ドーピング問題で大会に参加できなかったロシアのGRUが関与していたとみられています。元MI5職員はそう断言しています。


 東京五輪でも、ロシアはドーピング問題が理由で参加できないです。抜け道はありますが、正式には参加できないのです。その事実だけをとっても、日本の五輪運営関係者らは、少なくともロシアからサイバー攻撃が行われるという前提で動く必要があります。

また日本の公安当局も、オリンピックへの攻撃は警戒を強めてきてはいるのですが、特に電力や通信など、国民や参加者に直接的なダメージを与えるようなサイバー攻撃はいつ起きてもおかしくはないと肝に銘じるべきです。

 日本オリンピック委員会(JOC)や東京オリンピック組織委員会なども、開会式を狙ったサイバー攻撃をあらためて警戒していただきたいです。 NHKによれば、JOCは2020年4月にサイバー攻撃を受け、「一時的に業務ができなくなり、事務局で使用していたおよそ100台のパソコンやサーバーのうち、ウイルスに感染した可能性がある7割ほどを入れ替え、およそ3000万円の費用がかかった」と報じられています。

すでにオリンピックを運営するシステム内に侵入され、ほかの関係各所にもマルウェア(悪意ある不正プログラム)が広がっている可能性もあります。開会式の関係者各所にも潜んでいるかもしれません。

 開会式に絡むネットワークも今一度、安全性の確認を行うべきでしょう。なかでも最も注目され、世界中の注目が集まる開会式は、要注意です。 もちろん、開会式を無事に実施しても、パラリンピックが終わるまで油断はできないです。大変な時期ではありまうが、トラブル続きの東京オリンピックが無事に行えるかは、サイバーセキュリティ担当者たちにかかっていると言っても過言ではありません。


内閣サイバーセキュリティ戦略本部の第19回会合 2018年7月25日

これを書いている時点では、開会式が行われている最中ですが、今のところ不都合は起きていないようです。このまま無事に終わるところを祈りたいです。

これから、五輪、バラリンビックと祭典が続きますが、この期間に目立ったトラフルが起きなければ、日本のサイバー対策もかなりのものになったといえると思います。

サイバーに関しては、ロシア・中国が注目されますが、それは主に西側諸国は言論の自由があるために、重大なサイバー攻撃があった場合には、公表されることが多いし、ロシア・中国ではたとえサイバー攻撃があったにしても、政府に都合の悪いものは、報道されないのであまり目立つことがないのです。

中国のサイバー能力は、かなりのものとも認識されているようですが、米国に比較すれば、足元にも及ばないというのが実態です。ロシアも米国には及ばないようですが、それにしても進んでいるのは事実です。

そもそも、東京五輪を開催することに決まったときからこの問題はついてまわっていたともいえます。それに対して、日本政府や企業がどのような準備をしてきたのか、それも今回の五輪・パラの見どころともいえるかもしれません。

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2021年7月22日木曜日

被災中に抗日ドラマ 中国の水害、当局対応に批判相次ぐ―【私の論評】中国は全体主義体制をやめない限り、あらゆる矛盾、非合理・非効率なことが多数発生し徐々に衰退する(゚д゚)!

被災中に抗日ドラマ 中国の水害、当局対応に批判相次ぐ



中国河南省鄭州市で21日、排水作業を行う消防隊員=新華社

 中国河南省の豪雨による水害で、省政府は22日、計33人が死亡、8人が行方不明になっていると発表した。被災者は約300万人にのぼるという。中国のネット上では、地元当局やメディアの注意喚起や情報公開の遅れが被害を拡大させたとする批判が出始めている。

  20日夜に浸水した地下鉄で逃げ遅れた12人が死亡した鄭州市。気象台が前日には最高レベルの警報を出していたのにもかかわらず、市政府が出勤停止など具体的な注意喚起をしなかったことに、SNSで疑問の声が出た。

  市内の地下鉄に雨水が流れ込み始めたのは20日午後6時ごろで、被災した乗客には帰宅を急ぐ人びとも。地下鉄の運転停止の判断の遅れを指摘する意見も書き込まれた。さらに、市内のダムが20日午前には放水を始めていたのに、翌日未明になってようやく市がSNSで公表したことにも「情報隠しだ」という声が上がっている。 

 メディアも問われた。被害が出ていた20日夜、省政府系の地元テレビ局は「抗日ドラマ」を放送を続けていた。これに対し、「少しでも人間性があるなら、災害対策情報を放送すべきだ」などと投稿された。

  共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は17日、すでに100人超が犠牲になっていたドイツの洪水について「西側諸国の統治レベルに対する信頼感が揺らぐ」などとSNSに投稿。一方、河南省の水害に対しては「極端な天気で水害は避けようがない」と当局をかばうような発信をした。 

 こうした発言に「憎まれ口をはやめろ」などと批判が殺到。胡氏は21日、「犠牲が避けられるはずだったという疑問は理解できる」とSNSで弁解した。(北京=高田正幸)

【私の論評】中国は全体主義体制をやめない限り、あらゆる矛盾、非合理・非効率に見舞われ徐々に衰退する(゚д゚)!

中国の水害では、他にも奇妙な出来事がありました。それを伝えるツイートを以下に掲載します。


本当に異様な風景です。これは、全体主義の象徴です。なお、この散水車は、普段から評判が悪いです。あまりに水圧が高すぎて、確かに道路の清掃はしやすいのでしょうが、バイクをなぎ倒したりします。これもかなり異様です。



では、全体主義ではどうしてこのような不可思議なことが起こってしまうのでしょうか。

ドラッカー氏は、政府の役割について、以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないと喝破しました。「統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い」というのです。

しかし、ここで企業の経験が役に立ちます。企業は、これまでほぼ半世紀にわたって、統治と実行の両立に取り組んできました。その結果、両者は分離しなければならないということを知りました。現在の上場企業等は、両者が分離されているのが普通です。たとえば、財務部と経理部は分離されているのが普通です。

企業において、統治と実行の分離は、トップマネジメントの弱体化を意味するものではありませんでした。その意図は、トップマネジメントを強化することにありました。

実行は現場ごとの目的の下にそれぞれの現場に任せ、トップが決定と方向付けに専念できるようにします。この企業で得られた原則を国に適用するなら、実行の任に当たる者は、政府以外の組織でなければならないことになります。

政府の仕事について、これほど簡単な原則はありません。しかし、これは、これまでの政治理論の下に政府が行ってきた仕事とは大いに異なります。

これまでの理論では、政府は唯一無二の絶対の存在でした。しかも、社会の外の存在でした。ところが、この原則の下においては、政府は社会の中の存在とならなければならないのです。ただし、中心的な存在とならなければならないのです。

おまけに今日では、不得手な実行を政府に任せられるほどの財政的な余裕はありません。時間の余裕も人手の余裕もありません。それは、日本も同じことです。
この300年間、政治理論と社会理論は分離されてきた。しかしここで、この半世紀に組織について学んだことを、政府と社会に適用することになれば、この二つの理論が再び合体する。一方において、企業、大学、病院など非政府の組織が、成果を上げるための機関となる。他方において、政府が、社会の諸目的を決定するための機関となる。そして多様な組織の指揮者となる。(『断絶の時代』)
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことなのですから、日本でいえば、最終的には各省庁の仕事は政府の外に置かなければならないのです。

これは、現代の民主国家に対してドラッカー氏が述べていることです。残念ながら、日本をはじめとする多くの先進国がドラッカー氏の主張するような構造にはなっていません。

ただし、欧米諸国では、日本よりは政府の仕事がはるかに政府外に出されています。特に、社会福祉や社会事業に関する実務は、NPOなどが行っている度合いがかなり高いです。

日本では、NPOなどというと、一般の人たちには、今でも奇特な人たちが、手弁当で集まって行う高邁な事業のように認識されていますが、西欧ではそのような考え方はありません。有名大学や有名大学院を卒業した優秀な人が、NPOに就職することも珍しくありません。欧米では、NPOは立派な就職先であり、有力NPOに就職することは名誉なことでもあります。

なぜ、そのようなことになるかといえば、欧米では寄付金制度が充実しているからです。日本は、財務省のいう似非財政民主主義とも呼べるような屁理屈で、寄付金制度が充実していません。このあたりは、このブログを書き始めた10年前ほどには良くこのブロクでもとりあげたのですが、本日はこれを述べると、長くなってしまい本題からずれてしまうので、ここには述べません。

ただ、寄付金制度が進んだ欧米では、NPOは決して奇特な人たちが行う手弁当の事業ではなく、本格的なビジネスになっています。米国では各地の多くのNPOに、銀行や建築業者等も入っていて、大掛かりに貧困者向け住宅の提供だけではなく、貧困者が自立して生活できるようにする包括的ブログラムを実行したりしています。このあたりは、NPOが貧弱な日本でも考えも及ばないかもしれません。

9万ヶ所の公園を生み出す!公園から地域づくりを目指す米国NPO法人『カブーム!』

ただし、寄付金制度が遅れたままで、NPOが未だ貧弱な日本でも、中国と比較すれば、はるかに多くの事業が政府の外に出されています。各省庁にも外郭団体などがあったり、最近では、様々なIT企業などに、関係省庁が仕事を依頼していることは、皆さんもご存知だと思います。さらに、各省庁は正職員だけではなく、臨時のスタッフも多いです。

しかし、現状では、日本をはじめとする先進国の政府が行う事業は、あまり評判が良いとはいえません。政府が直接・間接にでも、現場の仕事に関わると、非効率、非能率が常となるのです。やはり、本来はドラッカーの言う通り、政府がすべきは、統治であり、それ以外は政府の外に出すべきなのです。

先進国でも、このあたりは中途半端なのですが、中国においては中国共産党政府があらゆることに直接関わっています。そのためもあって、中国では民主化はおろか、政治と経済の分離、法治国家化もできていません。中国共産党は、そもそも最初から統治と実行を両立させようしているので、統治の能力が完全に麻痺してしまうのです。

この状態は現在の体制が続く限り改善されることはありません。全体主義体制をやめない限りこれからも、ありとあらゆる矛盾や非合理・非効率なことが多数発生し、徐々に衰退していく以外ないのです。

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2021年7月21日水曜日

中国共産党百周年祝賀行事で見せた中国の危険性―【私の論評】中国に迫る危機が透けて見えた習近平の演説(゚д゚)!

中国共産党百周年祝賀行事で見せた中国の危険性

岡崎研究所

 7月1日に天安門広場で中国共産党百周年の祝賀行事が行われ、習近平が演説した。その内容は既に多くの報道で取り上げられている通り、対外的に極めて強硬なことを言っている。


 習は、「中国人民は外国の勢力が我々をいじめ、抑圧、奴隷化することを決して許さない、その妄想を持つものは誰であれ、14億人の中国人の肉と血でできた鋼鉄の万里の長城でその頭を割り、血を流すだろう」と述べた他、Covid-19への対応、貧困問題、香港での反対派の弾圧についての外国からの問題提起に対し「我々はこれらの”教師”の傲慢な説教を決して受け入れない」と述べた。また、台湾問題につき「中国は平和的統一を望む。しかしその忍耐心は試みられてはならない。誰も中国人民の国家主権と領土一体性を守る決意、強固な意志、力強い能力を過小評価してはならない」と述べた。

 対外的に強硬な姿勢を打ち出した演説であり、中国と米国とその同盟国との対決の気運を強めるものであって、その緩和には役立たないだろう。しかし、そもそもこういう演説にそれを求めるのが無理であろう。7月1日付けのニューヨーク・タイムズ紙の解説記事は、「これは遊説演説のようなもので、少なくとも習があと10年は最高指導者、司令官で居残るべきであると主張したものだ」とするWo-Lap Lam(香港中文大学中国研究センター非常勤教授)の言葉を紹介している。その通りであろう。

 今回の演説の主眼が国内向けであるとしても、今後、共産党の学習会で繰り返し学習されることになり、その対外強硬姿勢が党員の頭に刷り込まれ、方針転換がしづらくなるというデメリットがある。

 中国共産党は1921年にコミンテルンの中国支部として上海のフランス租界で生まれた。習近平は今回の演説で「偉大で、栄光があり、正しい中国共産党 万歳」と叫んだが、かなり多くの過ちを犯した党である。1958年-62年の大躍進政策、1966年-76年の文化大革命では1000万人以上が死亡したと言われている。

 中国の経済発展が共産党によって遅らされたことは明らかである。鄧小平が改革開放を打ち出した以降、中国経済は急激に成長したが、それは西側諸国との協調があってこそのことではなかったかと思われる。日本は多額のODAを提供し、直接投資もしたし、中国製品を大量に輸入した。米国も同じようなことをした。西側は、中国が豊かになれば民主化につながり、世界はよりよくなると考えた。今から思えば幻想であったと言わざるを得ない。習近平は鄧小平の業績を引き継いだが、思想的な面は引き継いでおらず、対西側対決姿勢を打ち出している。それが中国経済に与える影響は今後よく見ていく必要があると思われる。

 中国の今後の政治については、習近平は、鄧小平が定めた最高指導者は2期10年とする制限を撤廃し、長期独裁政権を築こうとしているように見える。集団指導の原則もないがしろにする勢いである。鄧小平が行った政治改革を逆転させており、その結果がどうなるか、注意が必要だと思われる。独裁政権は安定しているようで、不安定であり、崩れる時には急に崩れるし、政策上の間違いも犯しがちである。

 中国は強大で、かつ危険な国になっていると思われる。「説教は拒否する」というのではなく、批判にも度量をもって、耳を傾け、民主主義国の意見との懸隔をできるだけ少なくする努力が中国に望まれる。他方、こちら側にも意見の懸隔を少なくする知恵がいる。

 日本としては、中国の危険性を認識し、経済関係の在り方をより制限的にすることや一層の防衛努力をすることなどが課題になるだろう。

【私の論評】中国に迫る危機が透けて見えた習近平の演説(゚д゚)!

現在「中華思想」丸出しの習近平政権ですが、ではその実力はといえば、核兵器、サイバー攻撃力のどちらにおいても米国の足元に及びません。 

2020年1月時点での各国の核戦力を比較してみます。世界の核兵器保有数は13,400ですが、そのうち、米国が5800、ロシアが6375で90%以上を占めます。 

中国は320で、フランスの290、英国の215と同程度です。また、インドが150、パキスタンが160保有しています。 


さらに、英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」が公表した15ヵ国のサイバー能力を分析した報告書で「第1級」のトップクラスとされたのは米国のみです。 

共産主義中国はオーストラリア、フランス、ロシア、英国などとともに「第2級」に分類され、米国との差は圧倒的です。

ちなみに、よくサイバー攻撃で話題になる北朝鮮は、日本、インド、インドネシア、イランなどと同じ「第3級」です。日本の現状は悲しい限りですが、中国や北朝鮮が実力以上の脅威ととらえられるのは、これらの国々の攻撃で先進国(企業)が被害にあった場合は情報がオープンにされメディアで報道されるからです。 

逆に、北朝鮮や中国がサイバー攻撃を受けても、何事も無かったように「だんまり」を決め込むから実態が知られないだけなのです。 

さらに、米国最大の石油パイプライン「コロニアル・パイプライン」がハッカー攻撃を受けて支払った身代金の大半が回収されました。FBIなどが作戦に関与したとされますが、米国の実力の一端を垣間見せる出来事です。 

もちろん、空母など通常兵器でも米国が圧倒的に優位に立っています。最近では、空母は実戦ではあまり役立たないどころか、ミサイルや魚雷の格好の目標となるとされていますが、それは中国も同じことです。

現代の海戦は潜水艦によって決まるといわれていますが、その潜水艦でも隻数では、中国が米国を上回るとはいえ、攻撃力では米国が圧倒的です。さらに、中国にとって悪いことに、米軍の対艦哨戒能力は世界一であるのに対して、中国のそれはかなり低いです。これが、海戦では米国を圧倒的に有利にしています。

さらに、日本の潜水艦の静寂性(ステルス性)は、世界トップ水準で、中国にはこれを発見できません。さらに、日本も対潜哨戒能力で中国をはるかに凌駕しており、現状では米国についで世界第二位といわれています。

これでは、中国は海戦で日米に勝てる見込みは全くありません。実際に海戦になれば、中国の艦艇のほとんどは戦う前に海の藻屑となるでしょう。

台湾に中国軍が上陸しようとしたとしても、日米の潜水艦隊に囲まれてしまえば、中国の航空機も、艦船も台湾に近づくことができません。近づけは、日本の潜水艦隊は、静寂性を活用して、中国側に発見されることなく、台湾海峡、東シナ海、黄海などを自由に潜航して、情報収集にあたるとともに、許されれば中国の艦艇に魚雷攻撃を加えることになるでしょう。

米国の攻撃型原潜は、水中に潜み、日本の潜水艦の情報を活用し、中国の航空機、艦船、中国国内の基地などを攻撃するでしょう。中国の空母は、軍港を出た途端に撃沈されることになるでしょう。

そうりゅう型潜水艦11番艦のSS511おうりゅう

この状況で「中華思想」に基づく外交を行うことは、国家の破滅さえ導きかねないです。「毛沢東2世」どころの話ではないのです。

共産主義中国建国から長年にわたって毛沢東が支配できたのは、それ以前の悲惨というか壊滅的な状況を国民が記憶していたからです。どれほどひどい政治であろうと外国による支配や戦乱よりはましというわけでした。 

しかし、習近平氏が統治しているのは「天国のようなバブル時代」と「わずかながらの自由」を経験した人民です。毛沢東流の統治が成功する見込みはありません。 

それに、過去の中国は鄧小平の開放政策により、急速に経済が発展しましたが、現在の中国は国民一人当たりの所得が100万円に近づきつつあり、以前のこのブログで述べたように、今後民主化、政治と経済、法治国家化を進めなければ、中所得国の罠(国民一人あたりの所得が100前んをなかなか超えない現象、發展途上国に一般的にみられる現象)にはまりこむのは必定とみられます。

過去においては、中国が経済発展をし、鄧小平が語った「富めるものから富め」といわるように、多くの富裕層を排出することができましたが、今後は中所得の罠にはまって、新たな富裕層が生まれることはなくなります。

既存の富裕層が利権を独占して、固定化することになります。経済が今以上に発展しないのですから、富裕層の中にも脱落するものも増えるでしょう。そうなると、中国の富裕層も共産党を支持しなくなる可能性がでてきます。

習近平が演説で繰り返し「人民」に触れざるを得なかったのは、人民の共産党離れを懸念したからでしょう。中国は高度成長が終わり、債務問題を抱えています。共産党は経済成長を統治の正統性に据えることができなくなったのです。

共産党の統治の正当性は、もはや軍事力しか無くなったと言っても過言ではありません。

また、毛沢東は8000万人もの人々を死に追いやったのですが、文革の時は富裕層や知識人であり、大躍進の際には特権階級を除く全国民が犠牲の対象でした。ウイグルなどもともとは外国であった地域のジェノサイドでは、海外からの風当たりが違うということもあります。 

そうして、毛沢東時代の共産主義中国はソ連という悪の帝国の陰に隠れていましたが、ソ連が崩壊した後のロシアは、軍事力な軍事技術が進んでおり侮れないとはいいつつ、現在のGDPは韓国なみの水準となり、大国とは程遠い状況にあります。


現在のロシアは、米国を除いた、NATOと戦っても勝利することはできません。軍事技術などがすぐれているので、初戦には勝つかもしれませんが、その後は、貧弱な兵站能力しかなく、補給などができず、戦線を維持できず、後退を余儀なくされることでしょう。

この兵站の貧弱さは、中国も同じです。昨年4海域で軍事訓練を行いないましたが、今年なりを潜めています。実施できるのは、台湾に航空機を派遣することぐらいのようです。航空機の派遣であれば、短時間で引き返して来るので、兵站のことをあまり考慮せずに派遣できます。

そうして、現代の中国は「悪の帝国の本尊」です。 結局、国際レベルでの政治的駆け引きが無い、ウイグルや武漢ウイルス研究所の問題における一本調子の対応(稚拙な外交)は自滅を招くのみです。これが、本当の中国の危機です。

それが、何ら具体的な戦略や政策などがみられない、今回の習近平の中国共産党百周年祝賀行事での演説に助けて見えたと思います。


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2021年7月20日火曜日

「科学」よりも「感情」が優先の社会 コロナへの恐怖で政権も動揺…ワクチンと時間が解決するか ―【私の論評】コロナ対策は「感染症専門家」ではなく、「リスク管理専門家」に任せるべきだった(゚д゚)!

「科学」よりも「感情」が優先の社会 コロナへの恐怖で政権も動揺…ワクチンと時間が解決するか 

高橋洋一 日本の解き方

ワクチン接種はすすみつつあるが・・・・

 東京都で4回目の緊急事態宣言が発令され、五輪も大半が無観客開催となった。ワクチン接種についても順調な進捗(しんちょく)よりも供給遅ればかりが強調されて報じられている。一方で、酒類を提供する店への締め付けについては国による法的根拠が乏しい要請が問題になった。科学や事実、法律よりも感情優先の決定がなされる背景は何だろうか。

 新型コロナウイルスをめぐる分析は、筆者からみて当初の段階から科学的とはいえなかった。一例として、数理モデルによる推計で「何の対策も講じなければ42万人死亡する」という試算があった。もちろん初期段階ではパラメーターの設定でいろいろな推計ができるが、事後に推計結果が現実と違っていれば、どのパラメーターがどの程度想定と異なっていたかを説明しなければいけない。しかし、そうした科学的検証も行われず、専門家としての権威を大きく失った。それ以降、あおるだけあおって科学的な事後検証のない試算値が各方面から出ており、言いたい放題になった。

 規制の根拠となるエビデンスも可能な限り示さなければいけないが、「Go To トラベル」の中止や飲食業の規制において、それらの根拠が明確に示されたとは言い難い。

 科学的分析の第一歩である国際比較について、日本の現状を各国と客観的に比較することさえ、筆者の「さざ波」発言のように社会的に批判されるという情けない状況だ。

 こうしたことの裏には、一部勢力が声高に東京五輪中止を今でも叫んでいることもある。それが政治的な動きになって、一部野党も後押ししている。

 一方、小池百合子都知事も自らの政治プレゼンスをそれらに乗じて高めようとし、政治的な老獪(ろうかい)さを発揮している。そうした中で、菅義偉政権も浮足立ち、冒頭述べたような基本的な行政判断も間違うようになってしまった。

 さらに、一部のマスコミがコロナをあおる報道を繰り返し、この異常な動きを加速している。筆者は、こうした各方面の動きの相乗作用によって、事実や科学、法律を無視するというあり得ない事態が生じているように思える。

 こうした動きのさらなる背景として、新型コロナへの恐怖が人々の正常な判断を阻害しているように思えてならない。

 人は誰しも弱いものなので、未知のものに対する恐怖心がある。筆者の知人にも少なくないが、新型コロナという目に見えないものを冷静に判断できず、感情で反応するのは分からなくもない。

 100年ほど前のスペイン風邪のときも、根拠のない流言飛語が飛び交い、冷静な判断を妨げたという。今回、感情的な判断ばかりなのも、新型コロナがもたらした心理的な要因が根本にあるのだろう。

 欧米の例をみていても、ワクチン接種が進めば、新型コロナの社会的な影響は徐々になくなっていくのではないだろうか。時間だけが確実な解決策である。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】コロナ対策は「感染症専門家」ではなく、「リスク管理専門家」に任せるべきだった(゚д゚)!

コロナ禍でのマスコミの煽りに関しては、良いことではないですが、マスコミにありがちなことです。昔からいわれているように「犬が人を噛むのはニュースにはならいが、人が犬を噛むのはニュースになる」という具合に、マスコミがある程度煽るのは、致し方ないところもあると思います。

ただ、正直言って「感染症専門家」に関しては、ほんとうにがっかりしたというのが正直な感想です。コロナが心配だから、五輪開催はしないほうが好ましいとか、開催するなら無観客で実施したほうが良いということは、誰にでも理解できることだと思います。これは、小学生でもわかります。

政府や東京都など、責任のある立場の人たちが知りたいのは、コロナ禍にあっても、どのくらいのリスクをとりつつ、それに対処して、五輪を有観客で開催できるかということだったと思います。

緊急事態宣言も同じことです。現在コロナ患者数が増えているから、緊急事態宣言をしたほうが望ましいということくらい、感染症に関するまっさらの素人でもわかります。そうでなくて、どのようなリスクをとりながらも、それに対処しつつ、緊急事態宣言を出すのか、出さないのかを決めるべきなのです。

企業経営に直接かかわる経営者なら、これは理解できると思います。リスクがあるからといって、最初から企業活動を放棄していては、会社が潰れてしまいます。かといって、リスクを無視して企業活動を続ければ、これも危険です。事前にどのようなリスクがあり、そのリスクをできるだけ低減しつつ企業活動をなるべく制限しないで続ける方策を見つけたいと思うでしょう。

ふりかえってみると、東大日本大震災のときの原発事故による放射能に関する問題でも、同じようにいわゆる専門家といわれる人々にも似たような傾向がみられたと思います。

今回のコロナ禍では、いわゆる専門家という人たちは、こうした要請には答えられなかったことが明らかになりました。

しかし、やはりコロナ禍や放射能等の不安に対処するには、特に政府や、自治体が対応するためには、それなりの専門家が必要であると思います。無論、感染症や、放射能医学の専門家も必要ではありますが、私はこれをメインにするのではなく、「危機管理(Crisis Managment )」と「リスク管理(Risk Management)」の専門家をメインにすべきと思います。


「リスク管理」(Risk Management)の基本は、想定されるリスクが“起こらないように”、そのリスクの原因となる事象の防止策を検討し、実行に移すことです。リスク管理では、想定されるあらゆるリスクを徹底的に洗い出し、そのリスクが発生したらどのような影響があるかを分析します。

そして、それぞれのリスクについて発生を抑止するための方策を検討し、影響度の大きさに従ってプライオリティをつけて、リスク防止策を実行します。つまり、究極のリスク管理は、想定されるリスクを予め抑え込んでしまうことと言えます。

一方、「危機管理」(Crisis Management)は、危機が発生した場合に、その負の影響を最小限にするとともに、いち早く危機状態からの脱出・回復を図ることが基本となります。もちろん、防げる危機であればその発生を防ぐことが望ましいのですが、自然災害や外部要因による人的災害や事故などの中には、自助努力で防ぎえないものも多くあります。

危機管理においても、リスク管理と同様に、起こりうる危機やそれに伴うリスクをリストアップすることが必須となります。しかし、危機管理の大きな特徴は、危機が発生したときに何をすればその災害や影響を最小化できるか(減災)、危機からの早期回復のためには何をすればよいかということが、検討の中心になるということです。

つまり、危機は「いつか必ず起きる」という大前提に立って検討を進めることが、危機管理の第一歩なのです。

リスク管理と危機管理、2つの管理活動は内容こそ違うものの、まったく別の管理活動と考えるのではなく、現在では一体型のリスクマネジメントとして取り組むことが重要です。

細かい不確定事象をリスク管理で回避し、大規模な自然災害やサイバーテロを危機管理で乗り切り、といったように単純な線引きはできませんが、国や自治体のリスク管理と危機管理の管理範囲を明確にすることで、双方の管理組織がそれぞれの責任を果たしながら相互に連携することで、より高度なリスクマネジメントを実施できるでしょう。

最近は暑い日が続いています、2m以内に人がいない屋外ではマスクを外すことを専門家もアドバイスしています。これはリスク管理の観点からも正しい判断だと思います

さらに、現代の組織に重要だと考えらえているのが「能動的リスクマネジメント」です。能動的リスクとは「自らが覚悟して取るリスク」のことです。ちなみにその反対となる、「自然と起こったリスク」を受動的リスクと呼びます。能動的リスクと受動的リスク、組織にとって管理しやすいのは間違いなく能動的リスクです。

自らが覚悟してリスクを取るため、そのリスクについて対応策を十分に考えた上で行動できます。事業活動の中には回避できないリスクも存在します。その際に、複数のリスクの中から影響度が少なくかつコントロールの利くリスクを取捨選択することで、重大なリスクを回避しつつ、リスクにより発生する影響を最小限にとどめられます。これを、能動的リスクマネジメントと呼びます。

リスク(Risk)は「絶壁の間を船で行く」を語源としています。要するに、危険を覚悟して突き進むという意味です。昨今ではリスクを単なる不確定事象と考えていますが、「組織が覚悟して冒す危険」と視点を変えてみるだけで、既存のリスク管理とはまったく違った管理活動が実施できるはずです。

この能動的リスクマネジメントこそ、昨今発生し続ける感染症や放射能から戦争などの不測の事態から国民をまもるリスクマネジメントなのです。

能動的リスクマネジメントを実施するにあたり、まず大切なことは「リスクごとに優先度を付ける」ということです。リスクによって発生する確率と、発生した際の影響度は違います。すべてのリスクを管理しようとなると、かなりの工数により膨大な投資と労力が必要です。そこで、効率良く能動的リスクマネジメントを実施するために、リスクごとに優先度をつけるのです。


上表は、リスクの発生確率と影響度から各リスクを評価するための一例です。発生確率と影響度を7段階で表し、2つの掛け合わせた数値からリスクを評価します。リスクは25段階の数値で評価され、数値は1.0に近いほど対応優先度の高いリスクということになります。

こうしたリスクを評価し、優先度をつけると早急に対応すべきリスクが明確になり、リスクマネジメントを効率良く行えます。さらに、リスクが避けられない場合は同種のリスクの中から最も危険性の低いリスクを選択することができ、能動的リスクマネジメントを実現するキーポイントにもなります。

このような能動的リスク管理ができれば、五輪の「有観客」開催もできた可能性があったのではないかと思います。

今後、感染症や放射能、戦争への脅威や、その他の社会に大きな悪影響をあたえる災厄がありそうな場合や、不幸にも起こってしまった場合は、リスク管理、危機感の専門家を中心とした専門家会議を開催するようにし、感染症、放射能のようなその分野の専門家は、その専門会議の中に一部として加わるか、別の専門家会議を開催して、危機管理の専門家会議にアドバイスをするなどのことをすべきと思います。

あまり良いたとえとも思えませんが、たとえば戦争のリスクが発生したときに、軍事専門家や平和研究の専門家をメインとした会議を開催したとしても、うまくいくはずがありません。やはり、リスク管理、危機管理の専門家に議論させ、その議論をたたき台としつつも、最後は政府や自治体が意思決定すべきと思います。

意外と「いじめ」の問題などでも、いわゆる教育専門家などよりもリスク管理・危機管理の観点から考えたほうが、打開策を見いだせるかもしれません。

今後も感染症、放射能、自然災害など未曾有の危機が起こる可能性は十分にあります。社会に甚大な影響を及ぼすリスクに関しては、リスク管理・危機管理の専門家に対応策を検討させる体制を整えるべきです。

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2021年7月19日月曜日

小山田圭吾さんが五輪開会式の楽曲制作辞任へ―【私の論評】世の中には、残念ながら鬼畜が存在する。OSINT(オシント)を活用すべき(゚д゚)!

小山田圭吾さんが五輪開会式の楽曲制作辞任へ

小山田圭吾

23日に行われる東京五輪開会式で楽曲制作を担当するミュージシャンの小山田圭吾さんが辞任する見通しとなったことが19日、大会関係者への取材で分かった。過去に雑誌のインタビューで学生時代のいじめを告白していたことが問題となっていた。

小山田さんは同日、自身の「ツイッター」で、「依頼をお受けしたことは、さまざまな方への配慮に欠けていたと痛感しております」とし、大会組織委員会に辞任の申し出をしたことを明かした。

小山田さんは平成6年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッキング・オン)などで同級生を箱に閉じ込めたり、障害のある生徒をからかったりしたことを語っていた。

【私の論評】世の中には、残念ながら鬼畜が存在する。OSINT(オシント)を活用すべき(゚д゚)!

ミュージシャンのコーネリアスこと、小山田圭吾氏が学生時代に行った何らかの障害を有する方に行ったいじめのインタビュー内容です。

雑誌「ロッキンオン・ジャパン(1994年1月号)」のインタービューによりますと、小山田圭吾氏は、和光大学付属の小・中・高校時代に、いじめる側の生徒でした。

以下、小山田圭吾氏への2万字インタビューで語られていた内容です。


■沢田さん(仮名)のこと

沢田って奴がいて。こいつはかなりエポック・メーキングな男で、転向してきたんですよ、小学校二年生ぐらいの時に。それはもう、学校中に衝撃が走って(笑)。だって、転校してきて自己紹介とかするじゃないですか、もういきなり(言語障害っぽい口調で)「サワダです」とか言ってさ、「うわ、すごい!」ってなるじゃないですか。で、転校してきた初日に、ウンコしたんだ。なんか学校でウンコするとかいうのは小学生にとっては重罪だってのはあるじゃないですか?
だから、何かほら、「ロボコン」でいう「ロボパー」が転校してきたようなもんですよ。(笑)。で、みんなとかやっぱ、そういうの慣れてないから、かなりびっくりするじゃないですか。で、名前はもう一瞬にして知れ渡って、凄い奴が来たって(笑)、ある意味、スターですよ。

段ボール箱とかがあって、そん中に沢田を入れて、全部グルグルにガムテープで縛って、空気穴みたいなの開けて(笑)、「おい、沢田、大丈夫か?」とか言うと、「ダイジョブ…」とか言ってんの(笑)そこに黒板消しとかで、「毒ガス攻撃だ!」ってパタパタやって、しばらく放っといたりして、時間経ってくると、何にも反応しなくなったりとかして、「ヤバいね」「どうしようか」とか言って、「じゃ、ここでガムテープだけ外して、部屋の側から見ていよう」って外して見てたら、いきなりバリバリ出てきて、何て言ったのかな…?何かすごく面白いこと言ったんですよ。……超ワケ分かんない、「おかあさ〜ん」とかなんか、そんなこと言ったんですよ(笑)それでみんな大爆笑とかしたりして。

ソースはこちら⇒https://koritsumuen.hatenablog.com/entry/20061115/p1
■高校時代

ジャージになると、みんな脱がしてさ、でも、チンポ出すことなんて、別にこいつにとって何でもないことだからさ、チンポ出したままウロウロしているんだけど。だけど、こいつチンポがデッカくてさ、小学校の時からそうなんだけど、高校ぐらいになるともう、さらにデカさが増しててさ(笑)女の子とか反応するじゃないですか。だから、みんなわざと脱がしてさ、廊下とか歩かせたりして。

こういう障害がある人とかって言うのは、なぜか図書室にたまるんですよ。図書室っていうのが、もう一大テーマパークって感じで(笑)しかもウチの学年だけじゃなくて、全学年のそういう奴のなぜか、拠り所になってて、きっと逃げ場所なんだけど、そん中での社会っていうのがまたあって、さっき言った長谷川君っていう超ハードコアなおかしい人が、一コ上で一番凄いから、イニシアチブを取ってね、みんなそいつのことをちょっと恐れてる。そいつには相棒がいて。耳が聞こえない奴で、すっごい背がちっちゃいのね。何か南米人とハーフみたいな顔をしてて、色が真っ黒で、そいつら二人でコンビなのね。ウチの学年のそういう奴にも威張ってたりとかするの。

何かたまに、そういうのを「みんなで見に行こう」「休み時間は何やってるのか?」とか言ってさ。そういうのを好きなのは、僕とかを含めて三、四人ぐらいだったけど、見に行ったりすると、そいつらの間で相撲が流行っててさ(笑)。図書館の前に、土俵みたいなのがあって、相撲してるのね。

太鼓クラブとかは、もうそうだったのね。体育倉庫みたいなことろでやってたの、クラブ自体が。だから、いろんなものが置いてあるんですよ、使えるものが。だから、マットレス巻きにして殺しちゃった事件とかあったじゃないですか、そんなことやってたし、跳び箱の中に入れたりとか。小道具には事欠かなくて、マットの上からジャンピング・ニーパットやったりとかさー。あれはヤバイよね、きっとね(笑)

ソースはこちら⇒https://koritsumuen.hatenablog.com/entry/20061115/p1

ひろゆき氏は小山田氏について以下のようにツイートしています。
「1回でもいじめをやった人は永遠に表に出てくるべきではないとしてしまうのもどうか」「あやまちに気づいた加害者が許されるチャンスは本当にないのか。東京オリンピックが直前に迫っている今、試されているのは人間同士の絆なのかもしれない」
これは、批判が殺到したのでしょうか、現在では消去されています。当然といえば、当然だと思います。

この問題には、他にも異様なコメントが続出しています。なぜことのようなことになるかといえば、「いじめ」という言葉を使うからでしょう。小山田の所業は障害者虐待であり、重大な人権侵害であり、文明社会においては明らかに犯罪です。

いわゆる「いじめ」については、以前はこのブログでも随分前はとりあげたことがありましたが、ここしばらくは、とりあげていませんでした。その一番最新のもののリンクを以下に掲載します。
中国ライバル視を顕著にしたEU委員長会見 — 【私の論評】到来する新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するため安倍総理は党内の雑音を取り除き正しい道を進むべき!(◎_◎;)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この中より、「いじめ」に関する部分を少し長いですが引用させていただきます。
EUと、中国とでは、全く価値観が合わないでしょう。そもそも、EUというか、ヨーロッパの国々は、現在の自由と民主主義、法の支配、人権など西欧的価値の生みの親であり、特に第二次世界大戦では、ドイツ第三帝国の全体主義により、直接大きな被害を被っています。
ドイツ第三帝国を統治したヒトラー
そのためでしょうか、EUの価値観は日米とも異なるところがあります。例えば、いじめの問題があります。米国人に日本のいじめの問題を話すと、大抵の人は一定の理解を示していただけるのですが、EUの人々には、なかなか理解してもらえません。
理解していないどころか、国を問わず、彼らと話しているとそもそも「いじめ」に関する日本人や米国人の考え方そのものが、間違いではないかと思えてくるのです。
それに関しては、このブログにも何度か掲載したことがあります。私は、英国人、ドイツ人、フランス人あるいは他のEUの国の人たちに、「いじめとは何か」という質問を受けたことが何度かあります。
私が、説明をし始めると、彼ら全員が、個々人の表現は違っていたにしてもとにかく、私の説明には納得がいかないようで、「それは犯罪です」というのです。
何度もこのようなことを繰り返すうちに、日本人米国人とEUの人々の間には、価値観が異なるところがあることに気づきました
それは、私達日本人や、米国人が学校という空間を、何やら治外法権のような、そこまでは行かなくとも特殊な空間だと見做しているのに対して、EUの人たちは、そうではなく、学校だろうが、職場だろうが、病院の病室などの特殊な空間も含めて、全く分けることなく、同じ価値観や、法律などによって規制されるべきことを当然のことと思っていると感じたのです。
それに比較して、陰湿ないじめも多い日本人や、日本などよりもはるかに苛烈な暴力による「いじめ」が頻繁にある米国などでは、何やら学校には、学校の価値観があったり、そもそもそれぞれの学校で異なる価値観があることを暗に認め、その結果として、不思議な法律や価値観が異なる閉鎖空間のような、治外法権の空間を生み出しているように感じられるようになりました。
最初は、EUの人たちの方が変わっていると思っていたのですが、彼らの話を聞いているうちに、自分の方がおかしいのではないか思うようになってきたのです。
確かに、自由とかそれに伴う責任とか、民主主義、法の支配、人権などの価値観が組織が変われば、変わるとみなすのは、おかしなことです。もし、そのようなことをしてしまえば、そもそも価値観なるものも、法の精神も成り立たないことになります。
よく考えてみれば、当然のことなのですが、多くの日本人は、学校という組織や空間を無意識に他の社会とは異なるものと考えがちです。今では、数が少なくなりつつあるブラック企業内では、社会常識など無視して、独自の価値で運営されています。
無論、EU諸国に日本でいわれる「いじめ」が存在しないとはいいません。それに、とてつもない鬼畜のような人間や、冷徹な人間が存在することも確かです。

ただ、EUの人々の中には、いわゆる日本でいうところの「いじめ」は、犯罪であるという普遍的な意識が定借しているのではないかと思います。

このあたりがしっかりしていなければ、日本でも陰湿な「いじめ」が起こり続けることもないのではないかと思います。

小山田氏の件は、成人した後に繰り返しその様子をわざわざ笑い話にしたことも含めて、本当に異常です。ただ、このような鬼畜はどこの世界にも一定数いるのですが、今回の件で深刻な点は彼を檜舞台にキャスティングしたことでしょう。

しかも、東京五輪という数十年に一度あるかないかの檜舞台に、なぜよりによってそうしてしまったのでしょうか。

私は会社で人事を担当していたことがありますが、誰かを雇う場合かならず裏取りをしました。いくつかの方法を用いるのですが、その中で必ず用いていたのが、ネットです。

当時はTwitterやフェイスブックなどはありませんでしたが、MixiなどSNSやブログ、掲示板などがありましたから、それを些細に調べれば、様々なことがわかりました。それで、確かな裏付けを持った上で、相手も納得させ内定を取り消したこともありました。いまから考えると、OSINTのようなことをしていました。

オシントとは、オープン・ソース・インテリジェンス(英: open-source intelligence)の略であり、諜報・諜報活動の分野のひとつで、他の HUMINT(ヒューミント)や SIGINT(シギント)と呼ばれる分野が主として「秘密の情報を違法行為を厭わずに得る」ことを旨とするのに対し、公開されている情報を情報源とすることが特徴です。


どうしてそのようなことをしたかといえば、やはり人事としての仕事の性格上思い責任を感じていたからです。間違って、反社的人間、左翼活動家などを正式に採用してしまった場合、重大な責任問題になるからです。

だからでしょうか、小山田圭吾を選んでしまった、大会組織委員会の人選を非常に疑問に感じてしまいます。小山田の「いじめ」関連の記事など、すぐに探すことができたはずです。

今回の件は、人選と「いじめ」について、考える良い機会になったと思います。世の中には、残念ながら、さほど数は多くはないと思いますが、鬼畜は存在します。鬼畜に足元を救われないように注意しましょう。

それしもて、大会組織委員会、どうなっているのでしょうか。私が、大会委員会の関係者であれば、それこそOSINTを駆使して、東京五輪の「有観客」開催を、様々な客観的エビデンスから主張すると思うのですが、なせそうしないのでしょうか、本当に不思議です。

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2021年7月18日日曜日

五輪無観客とアスリート。吉田麻也が伝えたかったこと―【私の論評】私達日本人は、人類がパンデミックに打ち勝てることを示す新たな世界史の1ページを綴るはずだった(゚д゚)!

五輪無観客とアスリート。吉田麻也が伝えたかったこと

吉田麻也選手


真剣に再検討を願う理由

「サッカーに限らず、オリンピックの舞台は毎日命かけて人生かけて戦っているからこそこの場に立てている選手たちばかり。マイナー競技でオリンピックに人生を懸けている選手たちは山ほどいる。なんとかもう一度考えて欲しい、真剣に検討してほしい」(吉田麻也)

 17日に行われた東京五輪男子サッカー日本代表と同スペイン代表のキリンチャレンジカップ。五輪前最後の準備試合となるこの一戦を終えて、テレビの前で吉田麻也主将が沈痛な雰囲気で繰り出した言葉は「(五輪の)無観客は残念ですね」というものだった。おそらく放送枠の都合でその言葉は途中で切られてしまう形となったので、あらためて試合後の取材で本人にその“続き”について聞いてみたところ、出てきたのが冒頭の言葉である。

 以前から吉田は無観客試合について無念の思いをにじませていた。「ウインブルドンでもEUROでも(観客が)入っている」とこぼしたこともあったので、あらためて観客の前でプレーする最後の機会で「なぜ日本だけダメなのか?」という思いを繰り出した形だろう。もちろん、これまで繰り返し医療現場で戦う人々への敬意を示し、そこへの感謝を口にしてきた吉田である。「(コロナ禍に対して)陰で戦っている人たちがいるのは重々理解しているし、オリンピックがやれるということだけでも感謝しなければいけない立場にあることは理解しています」と強調したように、それを忘れたわけでは決してない。

 それゆえに、アスリートのこうした主張を快く思わない人がいることも承知している。「実際、いまはどっちのコメントをしても叩かれるような状況だと思う。ただ、それは個人的に間違っていると思っている」とまで言うが、しかしそれでも伝えたい思いがあった。

「JOCの山下泰裕会長もオンライン壮行会のときにおっしゃっていましたけど、自分がちっちゃいときに観たオリンピックから影響を受けたし、ものすごく感動した。僕たちがやっぱり子どもたちにできることということは、家の中に閉じ込めて友達とも会わず、ことが過ぎるのを待つだけじゃないと思う。もっともっとできることたくさんあると思うし、僕にも娘がいるし、まだ4歳で、僕のプレーしているところを覚えていられないとは思う。そういう子どもたちに絶対いろいろなモノを与えられると思います。時差がなく、オンタイムで試合を観られるというのは、僕が2002年W杯のときにそうだったように、やっぱり物凄い感動と衝撃を受けると思うし、そのためにこそオリンピックを招致したのではなかったのかと個人的には思っている」

 せめて家族だけでも観に来られないのかというのは他のアスリートから聞かれた言葉だったが、吉田も選手の家族たちのことについてあらためて言及した。

 「じいちゃんばあちゃん、孫がオリンピックに出るところを観たいと言う人はたくさんいるだろうし。家族も、僕なんかもそうですけど、いろいろなモノを我慢して犠牲にしながら、ヨーロッパで戦う僕をサポートしてくれています。僕だけじゃなくて家族も戦っている一員なので、それが観られないというのは、誰のための何のための戦いなんだろう。そこはクエスチョンです」

 もちろん、「苦しいときにファンの助けは本当に大きい」と語ったように、パフォーマンス面でのメリットもあるだろうが、そこにとどまる話ではあるまい。スポーツの価値自体が毀損されてきたコロナ禍の中で、東京五輪が非科学的で感情的な攻撃の対象になり、政治的な闘争の具材にされてしまった現状に対する一人のアスリートの意思表明だった。

「もう一度検討していただきたいなと心から願っています」

 吉田はその言葉を残し、会見場を後にした。その言葉が届かないであろうことは百も承知。それでも、スポーツの価値を信じる人々に伝えておきたい言葉があった。

【私の論評】私達日本人は、人類がパンデミックに打ち勝てることを示す新たな世界史の1ページを綴るはずだった(゚д゚)!

上の記事を読んでいると、吉田麻也選手の気持ちかひしひしと伝わってきます。東京五輪は、制限付きで良いから、「有観客」で実施すべきと私は思います。

世界中がコロナ禍にあるものの、各国の主要なスポーツイベントは「有観客」に舵を切っています。大谷翔平が出場した米国メジャーリーグのオールスター(7月13日)は約5万人が観戦。テレビ映像などを観る限り、マスクをしていた人はごくわずかでした。英国でも、オーストラリアでも、その他の先進国等では同じよう状況です。

大谷翔平選手

では、日本国内のスポーツイベントはどうなのといえば、非常事態宣言下では、プロ野球、Jリーグ、陸上競技などの大規模イベントは、「人数上限5000人かつ収容率50%の制限」で行われています。現在開催中である甲子園の東東京大会と西東京大会もメガホンなど鳴り物の持ち込みを禁じているが有観客で行われています。

では、なぜ東京五輪だけが「無観客」なのでしょうか。 東京都では7月12日に4度目となる「緊急事態宣言」が発出された。東京五輪の無観客開催について、小池百合子都知事は、「都民の命と健康を守り、安全を重視した大会とするため」と説明している。
無観客となった理由のひとつに、英国や米国のようにワクチン接種が進んでいないことが挙げられます。「Our World in Data」の集計によると、ワクチン接種の完了率は、英国が51.8%(7月13日時点)、米国が49.7%(7月14日時点)。一方の日本は19.8%(7月14日時点)です。

確かにワクチン接種率の低さが目立ちます。英国は昨夏から法改正を進めて、摂取会場も確保。昨年12月からワクチン接種を開始しました。日本は、医療従事者への先行接種が始まったのが今年2月17日です。

ただ、日本と米英などの他国とは、明らかに異なる背景があります。それは、100万人あたりの感染者数が二桁以下だったということです。死者の数も桁違いに低いものでした。

感染症学の常識というか、世間一般常からいっても、感染症の酷い国や地域から、ワクチン接種を開始するのは当然のことであり、最近では接種速度もあがっており、五輪開催国としての日本がワクチン接種で後れを取ったという批判は一見もっともらしいですが、正しいとはいえません。

もし日本が、財力でワクチンを早めに獲得し、米英などと同じ時期に接種をはじめた結果、米英の接種が遅れたということにでもなれば、相当批判を受けたと考えられます。その意味では、日本のワクチン接種の時期は、まともだったといえます。

前安倍政権は、昨年には大規模なコロナ対策補正予算を組み、5月頃からワクチン確保や一日100万程度接種できるように、冷蔵庫を用意するなどの前準備を進めていました。安倍政権を引き継いだ菅政権が一日100万接種を目指すといったのは、このような背景があったからです。

このブログでも以前掲載したように、最近では高齢者のワクチン接種がかなりすすみ、高齢者の感染は減っています。確かに最近では若者の感染者数は増えていますが、死者ということでみれば、交通事故による死者よりははるかに低いのです。

昨年はわからなかったコロナ感染症の特徴も明らかになっています。若者は感染しても無自覚か、継承で済む場合がほとんどです。一方、高齢者は感染すると重症化する割合も高く、死亡率も高いです。ところが、その高齢者のワクチン接種がすすみ、感染率が劇的に減少しているのです。

この状況だと、同じ感染者数であっても、昨年から今年の2月〜3月の状況とはかなり変わっており、感染者数そのものの増加は以前ほど不安要因ではなくなりました。そもそも、若い世代から高齢者まで、重症化する比率がかなり低まり、同じ感染者数であっても、従来ほど医療崩壊になりえる確率は随分減ったといえます。 


そのさなかで、なぜか東京五輪がスケープゴートにされたのか、非常に気になります。他のスポーツイベントは緊急事態宣言下でも「人数上限5000人かつ収容率50%の制限」という条件で有観客開催が認められているのです。東京五輪だけ“特別”になる合理的な理由は見当たりません。 

一番問題だったのは、大手紙やテレビ局を筆頭とするメディアの姿勢です。東京五輪の開催について多くのメディアが「開催」に関してネガティブなトーンだった一方で、「観客を入れて開催できる」といったポジティブな意見はほとんど報道しませんでした。 

そうしたメディアの影響もあり、世間も「コロナ禍で東京五輪なんてとんでもない」という雰囲気を醸成してしまったのではないでしょうか。そのため、アスリートやスポーツ団体は「有観客で開催してほしい」という声を出しににくい状況になっていました。

出せば、叩かれるのは目に見えているからでした。実際、そのように主張した選手はSNSで、かなり叩かれていました し、そうした主張をしてもいなかった池江璃花子選手が叩かれていたのは本当に痛々しく、残念でなりませんでした。アスリートたちは世間から厳しい目を向けられているようです。自分の意見を言えない世の中は“正常”とはいえません。

本来ならば、政府を追求する野党から「有観客」を主張する声があがっても良いような気もしますが、「五輪開催」そのものに反対してきた野党にはそれはできないのでしょう。というより、今更「有観客」を主張してしまえば、矛盾すると糾弾されるでしょうし、「コロナ禍で東京五輪なんてとんでもない」という雰囲気を醸成されしまった現状では、とてもできないのでしょう。

元々は「有観客開催」を考えいていた与党の政治家からそのような声が起こっても良いと思うのですが、そうした声もありません。

まさに、吉田麻也選手、言いにくいことをよくぞ言ってくれたと思います。これは、本来は政治家が言うべきことです。日本国内にいるチケットを持っている人のうち、ワクチン接種済みプラス 検査陰性 の条件付きでも良いから、観客入れるべきです。その他の制限があっても良いかもしれません、ただ「無観客」だけは避けるべきでした。

当然のことながら、無観客開催になれば、不要になるものが出てきます。まずはハード面。観客入りを想定して造られた仮設スタンドはほとんど使われることなく撤去されることになります。結果として無駄な経費になります。

それからチケット収入で計上していた約900億円が消滅。赤字分は都や国が税金から補塡(ほてん)することになります。選手の立場はどうなのでしょうか。試合に向かうモチベーション自体は変わらないとはいえ、声援の有無はパフォーマンスに影響するでしょう。

実際、観客に応援されることで選手の運動量が約20%アップしたという調査も報告されています。特に沿道で行われるマラソンは観衆との距離が近いこともあり、声援が耳に届きます。それがエネルギーになるだけに、今回は“孤独な戦い”になるかもしれないです。 

また、集まる人数が多いほど熱狂の渦も大きくなる。「火事場の馬鹿力」のような驚異的なパフォーマンスは非日常の雰囲気から生まれるものです。無観客ではそういうシーンが観られる機会が激減するでしょう。これでは、ホームアドバンテージが無くなってしまいます。

無観客になると、東京五輪2020のレガシー(遺産)を次世代に引き継ぐことも難しいです。選手、ボランティア、大会関係者以外は、東京五輪を“体感”することができないからです。 

サッカー、野球、テニス、ゴルフなど一部の種目を除けば、オリンピックがその競技種目にとって真のナンバー1を決める最高の舞台になります。多くの種目(団体)はオリンピックで競技の魅力を観客にPRしたいと考えていたはずですが、その願いはかなわないのです。

東京五輪を生観戦できないことは、今後のスポーツ界にも大きな影響が出るでしょう。 また無観客になることで、10万人に依頼していたボランティアの一部は出番がなくなってしまいます。SNSの発展で情報を共有できても、体験をシェアすることはできないのです。

東京五輪の無観客は一般の方々が一生に一度できるかどうかという貴重な体験の場が奪われたことになります。 

人間が生きていくためには、安全安心に命を守る環境も大事だが、それと同様に精神的満足・充実を得ることも必要です。東京五輪を観戦したい、と熱望している人は少なくありませんでした。 

そもそも東京(日本)が開催地に立候補したわけで、世界中から開催を押し付けられたわけではないです。「お・も・て・な・し」という言葉で誘致に成功したはずですが、その精神はどこかに消えてしまったようです。 

東京五輪・パラリンピックの出陣式で、気勢をあげる(前列左から)JOCの竹田恒和会長、猪瀬直樹都知事、安倍晋三首相、森喜朗元首相(肩書はいずれも当時)=2013年8月23日、都庁

菅義偉首相は東京五輪に関して、「全人類の努力と英知で難局を乗り越えていけることを東京から発信したい。安心安全な大会を成功させ、歴史に残る大会を実現したい」と話しています。  
はたして東京五輪を無観客にすることで歴史に残る大会になるのでしょうか。無論、「無観客」という異常事態そのものは歴史に残るかもしれません。

しかし、大きな長い苦しみの果にとうとう最初に五輪が開催される場が日本になったということは、本来名誉なことであり、これをたとえ制限つきでも「有観客」で成功させれば、人々の間に長く記憶に残る祭典になったはずです。まさに、私達日本人が、人類がパンデミックに打ち勝てることを示す新たな世界史の1ページを綴ることになったはずです。

この大きな機会を日本は自ら逃したのです。しかも、このような機会は今後100年間は訪れないかもしれないのにです・・・・。目の前の安心安全にばかり執着して、大切なことを失ったことに気づかない人があまり多いのではないでしょうか。

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