2022年4月28日木曜日

「法の支配違反」ハンガリーへのEUの対応―【私の論評】EU「法の支配」の原則に違反したハンガリーへの予算配分を停止できる新ルールを発動する手続きに着手(゚д゚)!

「法の支配違反」ハンガリーへのEUの対応

岡崎研究所

 4月3日に行われたハンガリーの議会選挙では、現職のオルバン首相の党であるフィデスが圧勝し、結束してオルバンを打倒しようとした野党の企ては不発に終わった。フィデスの得票率は53%であったが、獲得議席数は135(総議席数は199)で3分の2を制した。


 オルバンは勝利演説で「われわれの勝利は巨大であり、月からも見えるし、ブリュッセルからももちろん見える」と述べた。敵はかつてなく多かったと述べ、ブリュッセルの官僚、ジョージ・ソロスの帝国、主流の国際メディア、そしてウクライナの大統領に言及した。ゼレンスキーは欧州でプーチンを支持しているのは唯一ハンガリー首相だと厳しく批判したことがある。

 あたかもハンガリーの選挙が終わるのを待っていたかの如く、4月5日、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、欧州連合(EU)資金に関する「法の支配」のコンディショナリティの仕組み(新型コロナウイルスによるパンデミックからの復興基金の設立に合わせて2020年12月に導入が合意されたもの)をハンガリーに対して近く発動することを表明した。

 コンディショナリティの仕組みは「加盟国における法の支配の原則の違反がEU予算の健全な財政管理あるいはEUの財政上の利益の保護に十分直接的に影響を与えあるいは与える深刻なリスクがある」場合にEUが適切な措置を取ることを規定している。

 欧州委員会が以上の要件が満たされる事態を認定した場合には理事会に適切と認める措置を提案し、理事会は特定多数決(加盟国数の55%、人口比で65%以上の賛成)で提案を採択出来る。適切な措置の対象は復興基金を含むEUの全ての資金であり、措置としては資金援助の支払い停止や削減などが列挙されている。

オルバンとの共生はできない

 これまでオルバンに対抗する上で有効な手段を持たなかったEUにとって、コンディショナリティの仕組みは強力な武器に違いない。しかし、この仕組みを働かせるのは容易でないように思われる。

 「法の支配」の原則の違反を理由に財政的な制裁を課すにはEUの予算と復興基金の資金が詐欺、腐敗、あるいは利益相反の故に適正に使われないことを具体的に証明せねばならない。それは骨の折れる作業であるに違いない。手続きに時間もかかる。

 しかし、当面、手続きが継続中にハンガリーに復興基金からパンデミックからの復興支援のための資金が提供されることにはならない。それは痛手であろう。また、ウクライナ戦争へのハンガリーの対応は他のEU加盟国とは際立って違っており、仲間を失うリスクを冒している。殊に、ポーランドを失うことになれば、オルバンは孤立感を深めるであろう。

 オルバンが容易に白旗を上げるとは予想されない。しかし、この機会を逃せば、EUがオルバンに規律を強いる機会は彼の在任期間の今後4年の間ないであろう。新型コロナウイルスと違って、オルバンと共生する訳には行かないように思われる。

【私の論評】EU「法の支配」の原則に違反したハンガリーへのEU予算配分を停止できる新ルールを発動する手続きに着手(゚д゚)!

ハンガリー オルバン首相

欧州司法裁判所は2月16日、「法の支配」を無視するポーランドとハンガリーに対する資金提供の停止を合法とする判決を下しました。

欧州連合(EU)は、両国が司法やメディアを政治支配し国民の権利を制限することで、欧州の法の支配に違反していると主張。順守しない場合には、両国への資金提供を停止する方針を示していました。両国は異議を申し立てていたが、司法裁がこれを退けた形です。

判決を受け、両国に対する数十億ユーロの資金提供停止に道が開かれました。EU内部の結束が揺らぎ、EUの国際的な立場にも影響が及ぶ可能性もあります。

EUのフォンデアライエン欧州委員長は判決について「EUが正しい軌道に乗っていることが確認された」と歓迎。欧州委員会が数日中に対応を決めると述べました。

ハンガリーのオルバン首相率いるフィデス・ハンガリー市民連盟は判決について、同国への「政治的報復」だと反発。ポーランドのモラウィエツキ首相は記者会見で、EUの「中央集権化」は危険だと批判しました。

同国の汚職・腐敗もすさまじいものがあります。オルバン首相の友人や家族が政府融資や公共事業を通じて財を成しています。オルバン氏の地元、フェルチュートの町には総人口の2倍を超す4000人収容の豪奢なサッカースタジアムが建設され、“お友達”の一人が巨万の富を手にしました。

各国の腐敗を監視する国際非政府組織、トランスペアレンシー・インターナショナルによると、汚職は「今や(同国の)システムの一部にすらなっている」といいます。

ちなみに、同組織の世界腐敗度ランキングでは、73位:(順位が低いほど腐敗が進んでいる)でした。ちなみに、18位:日本 73点、27位:米国 67点、32位:韓国 62点、66位:中国 45点(点数が高い高いほど腐敗が進んでいる)でした。

日本人の中には、日本を腐敗まみれとする人たちもいますが、世界水準でみればそんなことはありません。他国では、動く金の金額の桁が違います。

以下にハンガリーの腐敗度指数の推移のグラフを掲載します。年々低下傾向であることがわかります。


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オルバン政権は、選挙対策ともとれる歳出拡大路線の経済政策を実施してきました。インフレ対策として21年11月にガソリンや軽油の価格に上限を設け、2月にはこの措置を3カ月間延長すると表明しました。22年の月額最低賃金も前年比約2割増やすことで労働組合などと合意しました。一方、企業の税負担の軽減も進めています。

ハンガリーの2月の失業率は3.7%とEU全体(6.2%)を大きく下回り、経済状況は好調という実感を持つ有権者は多かったようです。保守層にはオルバン氏が生活に安定をもたらす「強いリーダー」に映ったようです。

右翼による反EUデモでEU旗に火を付ける参加者 ブタベスト

一方で、EUとの関係は近年あつれきが生じていました。直近ではロシアやウクライナを巡る外交ですれ違いが起きていました。

オルバン氏はロシアがウクライナ国境に大規模な兵力を配置し、侵攻への警戒が高まっていた2月上旬、モスクワを訪れて自国への天然ガスの供給拡大の約束を取り付けました。EUが決めた経済制裁に対しても調整の過程で反対まではしませんでしたが、一貫して消極的な姿勢を見せてきました。

一方で、ウクライナへの支援には及び腰でした。EU内では伝統的に軍事介入に慎重なドイツまでウクライナに対する武器供給に踏み切ったのですが、オルバン氏は「戦争に巻き込まれないようにしたい」という理由で承認していません。

ウクライナ政府はハンガリーについて「EU内の親ロシア勢力」とみています。ゼレンスキー大統領は3月下旬のEUでのオンライン演説で、オルバン氏を名指しし、ロシアと手を切るよう迫りました。

ハンガリーのオルバン首相の報道官が8日、CNNの取材に答え、同国はロシアと戦うウクライナに対し武器を供与するつもりはないと明らかにしました。

オルバン首相の国外向けの報道官を務めるコバチ・ゾルタン氏は「ハンガリーの立ち位置は揺るがない。今回の戦争に武器や兵士の供給という手段で加わるつもりはない」と語った。

ウクライナのゼレンスキー大統領は先月の演説で、オルバン首相を批判。ハンガリーに対し「どちらの側につくのか国として決める」よう告げていました。

一方のオルバン首相は3日の総選挙での大勝を受け、ゼレンスキー氏を攻撃。陣営にとって「戦わなくてはならなかった多くの敵」の一人だったと明言しました。

今回の選挙で与党勝利に一役買ったのはオルバン氏が進めてきたメディア統制です。政府に批判的なメディアには公共広告を減らし、政権に近い人物が買収するという手口を繰り返してきました。20年には影響力の大きかったリベラル派の独立系ニュースサイト最大手の編集長が突然解任されました。

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の21年の報道自由度ランキングでハンガリーは180カ国・地域のうち92位。オルバン氏が政権を握った10年の23位から急低下しました。

米著名投資家のジョージ・ソロス氏らが民主化人材育成のためブダペストに創設した「中央ヨーロッパ大学」も国外移転に追い込み、反政権の芽を摘みました。ネポティズム(縁故主義)がはびこり、政権に近い実業家らが不当に蓄財しているとの批判も多いです。

欧州連合(EU)欧州委員会は27日、「法の支配」の原則に違反した加盟国へのEU予算配分を停止できる新ルールを、ハンガリーに発動する手続きに着手しました。公共調達などをめぐる汚職や、不正対策の不十分さを問題視しました。昨年のルール導入後、発動は初めてです。

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2022年4月27日水曜日

韓国代表団〝特別面会〟は失敗か 岸田首相、反対意見押し切り…韓国メディアは「譲歩」示唆、報道放置すれば事実捻じ曲げる危険―【私の論評】岸田氏には勤まらない、日本のリーダーに必要なものとは(゚д゚)!

韓国代表団〝特別面会〟は失敗か 岸田首相、反対意見押し切り…韓国メディアは「譲歩」示唆、報道放置すれば事実捻じ曲げる危険

 岸田文雄首相は26日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領が派遣した「政策協議代表団」と官邸で面会した。韓国側による一連の「反日」暴挙への解決を待たず、反対意見を押し切って〝特別扱い〟したかたちだ。これに対し、韓国メディアは「岸田政権の譲歩」を示唆するような報道をしている。

韓国の政策協議代表団から表敬を受ける岸田首相(右端)=26日午前、首相官邸(内閣広報室提供)

 「日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、尹次期政権とは緊密に意思疎通を図りたい」「国と国との約束を守るのは国家間の関係の基本だ」

 岸田首相は、韓国代表団との面会後、記者会見でこう語った。両国関係の改善は韓国側の努力次第と、くぎを刺した。

 ところが、韓国メディアの報道は違う。

 「韓日両国が未来志向的な関係に発展するよう、共同利益のため互いに努力しなければならないとの認識で一致した」(26日、聯合ニュース日本語版)、「韓国人が日本を訪問する際の隔離免除、ビザ免除措置の復活(中略)を提案し、岸田首相が肯定的な立場を表明した」(同日、朝鮮日報)などと、日本側の〝努力〟や〝譲歩〟を報じる内容となっている。

 林芳正外相の満面の笑顔の写真を掲載したメディアもある。

 自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」代表の青山繁晴参院議員は「日韓両国が『互いが努力することで一致した』という報道は誤りだ。私は、岸田首相から事前に『韓国側から具体的な関係改善の行動が示されない限り、政権の姿勢は変わらない』と聞いている。日韓関係を戦後最悪にしたのは、理不尽な『反日』行動を続ける韓国の責任だ」と語った。

 今回の特別面会をどうみるか。

 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国人は、自らの願望を優先して、事実を捻じ曲げてでも都合のいい方向に話を持っていく民族性がある。報道を放置すれば、韓国次期政権は『日本も努力すべきだ』『岸田首相が認めた』などと主張しかねない。早急に報道を否定すべきだ。岸田首相は油断していたのか…。面会に応じたのは失敗だった」と分析した。

■文政権下での主な「反日」暴挙

・韓国国会議長(当時)による「天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求」

・韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件

・日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定

・いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐる異常判決

・自衛隊旗(旭日旗)への侮辱

・不法占拠する島根県・竹島への韓国警察庁長官上陸

・世界文化遺産への「佐渡島の金山」推薦に反発

【私の論評】岸田氏には勤まらない、日本のリーダーに必要なものとは(゚д゚)!

なぜ岸田が韓国の代表団にわざわざ会ったのか、全く理解に苦しみます。韓国のユン・ソクヨル氏は大統領に就任しておらず、まだ新政権、政府の人間ではないです。であれば、日本で対応すべきは政府の人間ではなく、自民党の人というのが当たり前です。

ユン・ソクヨル氏

これは外交の常識で、訪日の前に代表団は米国を訪れているが、米国政府関係者は彼らに会っていません。日本側が会うなら、官僚が妥当です。

問題は日本側だけでなく、韓国側にもあります。韓国側が会いたいのなら2週間後に新政権が発足してからで良いはずです。今回の先方のやり方は、非常識です。GSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)の行方や韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊P-1哨戒機へのレーダー照射事件など、重要事案が山積みになっていることを鑑みるべきです。

韓国代表団が岸田首相を始め各閣僚と会談している間も韓国は竹島や周辺海域にドローンまで投入し詳細な島の地形や周辺海域のデータを収集。これが韓国のやり方です。

本日の産経新聞

維新は、馬場伸幸共同代表名で抗議の緊急声明を発表しました。抗議文は外務省を通じ首相にわたっています。再び韓国に舐められる首相の“前のめり姿勢”に痛烈抗議です。しかし、外交儀礼上も、外交戦略上も、あり得ない代表団と岸田首相との会談に抗議したのは維新のみです。

岸田氏はすでに、日本のリーダーとしては、ふさわしくないようです。ただ、この言葉ほどごかいされているものはないと思います。

経営学のドラッカー氏はリーダーシップについて以下のように述べています。
リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』)
参院選まで、支持率を落とさないように、ひたすら重要なことは「検討します」などと発言して「検討士」などとも揶揄されている岸田氏は、とてもリーダーシップを発揮しているようにはみえません。

リーダーシップとは仕事であるとドラッカーは断言しています。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはないとしています。

ドラッカー氏は、リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することであるとしています。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者であると断言しています。

リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだとドラッカーは言います。

リーダーと似非リーダーとの違いは目標にあるといいます。リーダーといえども、妥協が必要になることがあります。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まるとしています。

ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきました。外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいたといいます。
リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである。(『プロフェッショナルの条件』)
リーダーシップに関して、ドラッカー氏は次のようにも語っています。
リーダーシップとは、人のビジョンを高め、成果の基準を高め、人格を高めることである。(『マネジメント』) 

 安易に韓国の代表団にあってしまう岸田氏には、この点にも問題があります。リーダーシップとは、組織の中の人もそうですが、組織の外の関係者のビジョンを高め、成果の基準を高め、人格を高めるものであるからです。岸田氏の態度は、韓国に対して安易に妥協をするとしか受け取れません。韓国の代表団もそう受け取ったことでしょう。

このブログでは、最近岸田首相を批判していますし、それだけではなく岸田政権は短命に終わらせるべきとも主張しています。

これは安倍政権や菅政権においては、なかったことです。両政権に関しては、是々非々で批判したこともありましたが、辞任すべきと言ったことは一度もありません。

特に菅政権については、コロナが収束する前に、辞任すべきではなく、継続すべきと主張しました。

岸田政権の有様をみていると、まさに私のこの主張は正しかったと思います。自民党にお灸をすえるべきだとか、菅氏は辞任すべきだと主張していた人たちは、猛反省すべきです。そのような人たちが、岸田政権を生み出してしまったということを反省すへきです。

お灸をすえるべきと言っていた人たちは、自民党がまた下野すれば良いとでも思ったのでしょうか。現状ではそのようなことは、絶対にすべきでありません。自民党に様々な問題があるのは事実ですが、現在の日本の野党にも問題がありすぎです。

先日もこのブログで述べたように、自民党が下野して政権交代した民主党がどうなかったか、まだ記憶に新しいところです。民主党政権は何も決められず、3年半漂流していたというのが実態でした。

もし現在政権交代したとしたら、民主党のように酷くはなかったとしても、政権を維持するのが精一杯ということになり、現在重要とみられる案件を解決することはできないでしょう。岸田政権と左程変わらないどころか、それを下回る可能性すらあります。

そのようなことだけは避けるべきです。それにしても、現在の岸田政権はあまりに酷すぎます。外交では、自らすすんでなにかをやろうとすれば、今回のような非常識なことしかできませんし、そもそも米国に要請されたことはしますが、その他は何もしません。

エネルギー政策でも、バイデン政権の何もしない姿勢に右ならえをしたのか、何もしません。安保でも経済安保は骨抜きになってしまいました。

経済政策においても、「新しい資本主義」という言葉をあげたものの、昨日の記者会見では「現在検討させている、決まったら公表」するなどと信じがたいことを語っていました。まともなリーダーであれば、ビジョンを持っているのが当然であり、そのビジョンをもとに検討させているとして、そのビジョンについて説明するのが当たり前だと思います。

ここまで、酷いともう二の句が告げません。記者会見をみていると、倦怠感すら感じてしまったので、途中で見るのをやめました。安倍・菅氏が総理大臣であれば、少なくともビジョンは語ったと思います。

リーダーシップの本質は仕事なのですから、重要な仕事をしないで、参院選で勝利できるように、ひたすら重要な意思決定は忌避し内閣支持率を維持しようとする姿勢では、とてもリーダとして仕事をしているとはいえません。

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2022年4月26日火曜日

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日本の解き方


 国際通貨基金(IMF)は19日発表した世界経済見通しで、2022年の世界の実質成長率を3・6%(2021年は6・1%。以下カッコ内は21年の数字)とし、1月時点の予測から0・8ポイント下方修正した。日本も原油高や長引くコロナ禍が打撃となり、22年の実質成長率は2・4%(1・6%)と1月時点の見通しから下振れとなった。

 ロシアは日米欧の経済制裁を背景にマイナス8・5%(4・7%)に落ち込み、ウクライナはマイナス35%(3・4%)とした。米国3・7%(5・7%)、ユーロ圏2・8%(5・3%)、英国3・7%(7・4%)と、いずれの国・地域も下振れし、21年より大きく低下することになる。

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 22年のインフレ率はどうなるか。世界で7・4%(4・7%)、日本が1・0%(マイナス0・3%)、ロシア21・3%(6・7%)、ウクライナは算出困難(9・4%)、米国7・7%(4・7%)、ユーロ圏5・3%(2・6%)、英国7・4%(2・6%)だった。

 ロシア(とおそらくウクライナ)では、戦争時によくみられるように供給不足から猛烈なインフレになる。その他の国も一定のインフレになりそうだが、日本は需要不足なので、インフレというほどではない。

 それでは22年の失業率はどうなるか。世界平均のデータはなく、国別では日本2・6%(2・8%)、ロシア9・3%(4・8%)、ウクライナは算出困難(9・8%)、米国3・5%(5・4%)、ユーロ圏7・3%(7・7%)、英国4・2%(4・5%)となっている。

 ロシア(とおそらくウクライナ)は、猛烈なインフレになるが失業率も高くなり、典型的なスタグフレーションが見込まれる。他の国では、多少インフレになるが、失業率は低下する。

 全体をみると、ロシアとウクライナでは、経済成長率の大幅な低下とインフレ率、失業率の大幅な上昇が予想され、その他の国では、経済成長率の低下とインフレ率の上昇、失業率の低下という見通しだ。ウクライナ侵攻が長期化すればこの傾向は続くだろう。

 侵攻されたウクライナにとっては、許しがたい災難だ。侵攻したロシアは、世界からの経済制裁を受けて代償を払うのは自業自得である。その他の国もロシアの侵攻により成長鈍化というとばっちりを受けるが、雇用が改善するのは、やや救いがあるといえる。

 こうした中で、先進国の中では日本は相対的に良いパフォーマンスにみえる。成長率は改善、インフレ率もマイナスからプラスとなるが、それほどのインフレでもない。その上、失業率も改善する。もともとデフレ傾向だったので、世界的なインフレによる影響を受けにくいためだ。これは日本にとっては千載一遇のチャンスである。

 世界の先進国は、経済制裁で協調しているが、経済政策までは協調していない。それぞれの国で事情が異なるからだ。世界ではインフレ傾向を抑制するための金融引き締め(利上げ)が主流だが、日本は決してまねをしてはいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】誰が千載一遇の好機を活かせるか(゚д゚)!

高橋洋一氏は、この記事では「日本経済は千載一遇の好機」としていますが、別の記事、例えば昨日の記事では、「予備費の積み増し程度では効果も限定的」ともしています。

この記事のリンクを以下に掲載しておきます。
補正予算編成は決まったが…予備費の積み増し程度では効果も限定的 今は検討より実行すべきときだ―【私の論評】参院選直前には、エネルギー価格等が上昇し、岸田政権の無為無策ぶりが暴かれる(゚д゚)!
菅前首相

これは、一見矛盾するようにもみえますが、両方とも正しいです。

高橋洋一氏は、昨日の記事では、以下のような結論を語っています。
 現在の予備費(最大5兆円)の範囲ではGDPギャップを埋めるにはほど遠い。となると、半年後には失業率上昇という代償を払うことになる。需要が弱く、エネルギー価格と原材料価格の上昇分をなかなか転嫁できずに経営困難に陥る企業が多く見られるだろう。

 ウクライナ危機に対抗する経済政策を立案するのは簡単だ。しかし、それを実行する政治がなんとも情けない。

 今国会での補正予算が編成される方針になったことはいいが、2兆5000億円で予備費の積み増し程度の規模では、効果も限定的なものにとどまる。

 岸田首相は、結論を出さずに「検討する」というので、ネット上で「検討使」と揶揄(やゆ)されている。今回も、トリガー条項発動について、伝家の宝刀「検討する」が行使された。「検討に検討を重ねる」「さらに検討するかを検討する」など、「検討する」の無限ループにならないように期待したいところだ。

 大規模な補正予算編成についても、今は検討するときではなく、実行すべきときだ。 

実は、世界経済がどうであろうと、日本は未だデフレから立ち直っておらず、30兆円以上もの需給ギャップがあり、需要が大幅に落ち込んでおり、これに対する対策は何をやるにしても、まずは補正予算30兆円以上を組む必要があります。

昨日の記事では、この記事に対して、いつものように、論評というか補足を行っています。昨日の記事の結論部分を以下に掲載します。

現状のような、目の前に良くて済的破滅、悪ければ軍事的破滅がある時代には、仕事をする政治家が必要です。様々な美辞麗句を並べたり、「検討します」などと言って結局なもしない政治家に用はありません。

これで、日本は生まれ変わるでしょう。ちなみに、このようなことは誰でも思いつくこどであり、自民党内ではそのような考えを持っている人もいるでしょう。

だかこそ、岸田政権の経済政策や、外交、安保、エネルギー政策、食糧政策、などに岸田総理対して苦言を呈する人がいないのかもしません。もうすでに、岸田政権を短期政権にしようとする勢力が蠢いているのでしよう。

今のまま、岸田政権が、経済対策、エネルギー対策をほとんど何もしなければ、参院選の頃には、エネルギー価格などがはねあがり、岸田政権の無為無策が明らかになるてしょう。その頃を境に大きな政局の動きがでてくるかもしれません。

仕事をする政治家とは菅前総理大臣のことです。 私は現在菅政権が継続されていれば、何のためらいもなく大型の補正予算を組んだと思います。30兆円台の補正予算まではくまなくても、少なくとも総務省が算出した需給ギャップ17兆円程度の補正予算は組むでしょう。

そうなると、たとえ現状では不足気味の予算であっても次の機会に同程度の補正予算を組んで、実行すれば需給ギャップは解消され日本は完璧にデフレから脱却できます。

そうして、現状現在の日本は他国のようにインフレ状況にはなく、むしろデフレであり、大型補正予算を組んでも、他国のようにインフレになる心配はありません。

これについては、以前このブログでも違った切り口から述べています。 その記事のリンクを以下に掲載します。

アメリカの「利上げ」、意外にも日本経済に「いい影響」を与えるかもしれない…!―【私の論評】米国の利上げの追い風でも、酷い落ち込みならない程度で終わるかもしれない日本経済(゚д゚)!
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を抜粋します。
円安と原油高、小麦粉などの資源高を分けて考えてみます。円安にはメリット、デメリットの両面があるとしても、短期的には景気に対してメリットが大きいと考えるのが一般的です。購買力を低め内需を低迷させる効果と比べ、外需を増加させる効果の方が大きいとみられるためです。

こうしたメカニズムを確認するには、マクロ計量モデルの推計結果が有用です。日本では、少なくとも数年の期間では自国通貨安(円安)は国内総生産(GDP)にプラスの影響を及ぼします。先にも述べたように、これは内閣府の短期マクロモデルでも確認できます。10%の円安によって、GDPは0.2~0.5%程度増加します。
このように自国通貨安が経済全体にプラスの影響を与えることはほとんどの先進国でみられる現象です。どの国も総じて輸出産業は世界市場で競争している優良企業群で、輸入産業は平均的な企業群です。優良企業に恩恵を与える自国通貨安は、デメリットを上回って経済全体を引き上げる力が強いとみるべきです。
 
 例えば、経済協力開発機構(OECD)のインターリンクモデルでみても、輸出超過、輸入超過の貿易構造にかかわらず自国通貨安は短期的には景気にプラスです。その影響は貿易依存度によって異なり、依存度が高い国ほどプラス効果が大きいです。

日本は、先進国の中では内需依存で貿易依存度が低いことから、円安の効果は他の国と比べると実はそれほど大きくはありません。ただ、これは逆の方向からいえば、市場関係者らが唱える円安弊害論は、一部の産業に限られており、日本経済全体の話ではないのが実態です。

米国が利上げを実行して、日本は利上げはせず、金融緩和を継続すれば、日本のほうがより緩和をすることになり、これは円安にふれるのは当然です。この円安を活用して、日本経済を回復させ、発展させることは十分に可能です。

その根拠としては、無論日本がデフレ気味であり、これから大規模な積極財政や金融緩和を行ったとしても、超インフレに悩まされることはありません。むしろ今はそれを実行すべきなのです。

経済政策としては、デフレを解消するのは、インフレを抑えつつ景気や雇用を維持するのとを比較すれば相当やりやすいです。雇用やインフレ率をにらみながら、積極財政と金融緩和を実行し、雇用が改善されずに、インフレ率だけがあがるようになれば、積極財政や金融緩和をやめれば良いだけです。

他国のように、インフレ率がすでに高まっていて、利上げなどの金融引締を行わなければならない国の経済運営はかなり難しいです。景気の低迷や、雇用の悪化を防ぐのは至難の技です。だからこそ、高橋洋一氏は、千載一遇の好機としているのです。

そうして、できれぱ、ガソリン価格の高騰に対する対策として、トリガー条項解除もすべきですし、それにエネルギー価格や資源価格の高騰などにも対応するため、消費税減税を実行すべきですし、原発も稼働できるものは稼働して、電気代の高騰を防ぐべきです。そうしないと、今年の夏あたりの暑さで、都内などでは停電せざるをえなくなるかもしれません。

やるべきことは、財政政策でも、金融政策でも、安保でもエネルギー・政策でも明々白々です。

ただ、現状の岸田内閣では、補正予算を渋るくらいですから、全く経済センスはなく、期待できません。だかこそ、最初のほうの引用記事では、自民党は経済だけでなく、安保や外交でも期待できない岸田政権を短期政権にして、仕事師といわれた、菅前総理に再登板願って、この千載一遇のチャンスをものにすべきであると主張したのです。

仕事師菅氏が総理であれば、安保、外交、エネルギー政策などでも一定の成果を必ず残すことでしょう。現在ほど先が見えて、何をすべきかが明白な場合には、菅氏のような仕事師こそ、総理になるべきです。今の時期なら、安倍元総理よりも、菅氏のほうが適任だと思います。

コロナ対策では、ワクチン接種の速度を驚異的にあげ、欧米諸国に追いつき追い越した菅政権も、日本特有の鉄のトライアングル(特に医療村)に阻まれて、病床確保には失敗しました。とはいいながら、医療崩壊を起こすことなく、経済政策では一番重要な指標である失業率も低いままで、岸田政権にバトンタッチすることができました。

このような失敗も糧として、仕事師の本領を発揮していただきたものです。

それに、菅総理は仕事師一辺倒というわけではありません。菅前首相自らが語るところによれば、皇位継承を巡る政府の有識者会議の報告書は「男系継承を明確に打ち出した」とのことです。 

その内容は、現岸田文雄内閣になり報告書にまとめられ、国会に提出されました。その内容は極めてバランスの取れた提案です。神武天皇の伝説以来の伝統を守り、「悠仁殿下への皇位継承をゆるがせにしないこと」を大前提としています。

悠仁殿下

今すぐ秋篠宮家から皇位継承権を取り上げたい人や、日本の歴史を踏みにじりたい人達以外には、誰もが納得できる案です。正直言って、政府の有識者会議の報告書には安堵しました。

これには、異論のある人もいて、近代の価値観を当てはめて、皇室批判をする人もいますが、このことに何の意味があるでしょうか。私は、神武天皇の伝説以来の日本の伝統を守るべきと思います。ことさら、これを否定することに意義を見出せません。皇位継承と、真子さんと小室圭の結婚問題とは、全くの別問題です。

今後、ウクライナ戦争が長引いたり、中国のゼロコロナ政策が失敗し中国のサプライチェーンが毀損される可能性もあり、そうなるとますます、デフレ傾向は強まる可能性があり、補正予算35兆円以上にしたほうが良いかもしれません。2億5000万円では話になりません。

今のままだと、半年後くらいには確実に失業率が増加しはじめます。それ以前に、参院選のはじまる夏には、電力不足や本格的なエネルギー価格や資源価格の高騰がはじまるでしょう。岸田政権は黙っていても短期政権になるでしょう。

もう自民党の一部では、そのようなことを重々承知で、次の政権を目指した駆け引きが始まっているかもしれません。

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2022年4月25日月曜日

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日本の解き方



 岸田文雄首相は、物価高騰に対応する緊急対策を26日にも公表する意向を示した。また、2022年度補正予算案の編成を指示する考えも表明した。

 自民、公明両党は、緊急対策の財源に22年度予算の予備費を活用し、使用した予備費の穴埋めなどに補正予算を充てる方針を確認した。約2兆5000億円規模の補正予算案の編成を政府に求め、今国会で成立を図るという。

 自民、公明、国民民主の3党は19日の3党協議で、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の発動を先送りする一方、当面は石油元売り会社への補助額を増やし原油高に対応するよう政府に求めることで合意していた。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻では、エネルギー価格上昇や原材料価格上昇が懸念されている。しかしながら、本コラムで強調してきたように、国内には供給が需要を上回る「GDPギャップ」が相当額ある。筆者は30兆円程度以上と試算しており、約17兆円とする政府の試算は過小推計だと考える。

 GDPギャップにより、エネルギー価格や原材料価格の上昇が最終消費価格に転嫁できないことへの対策は比較的シンプルだ。それらの価格上昇を抑えるために、ガソリン税や個別消費税を減税することだ。

 その一方で、値上がり分を価格転嫁し、その悪影響を吸収するために、GDPギャップを解消するくらいの有効需要を作る補正予算が必要だ。要するに、減税財源を含んだ大型補正予算が最良の経済対策になる。

 いまウクライナ危機を巡り、防衛費の増額が議論になっているので、これを補正予算でやってもいい。有効需要を作るとともに、国際情勢の変化に対応する一石二鳥の策だ。

 現在の予備費(最大5兆円)の範囲ではGDPギャップを埋めるにはほど遠い。となると、半年後には失業率上昇という代償を払うことになる。需要が弱く、エネルギー価格と原材料価格の上昇分をなかなか転嫁できずに経営困難に陥る企業が多く見られるだろう。

 ウクライナ危機に対抗する経済政策を立案するのは簡単だ。しかし、それを実行する政治がなんとも情けない。

 今国会での補正予算が編成される方針になったことはいいが、2兆5000億円で予備費の積み増し程度の規模では、効果も限定的なものにとどまる。

 岸田首相は、結論を出さずに「検討する」というので、ネット上で「検討使」と揶揄(やゆ)されている。今回も、トリガー条項発動について、伝家の宝刀「検討する」が行使された。「検討に検討を重ねる」「さらに検討するかを検討する」など、「検討する」の無限ループにならないように期待したいところだ。

大規模な補正予算編成についても、今は検討するときではなく、実行すべきときだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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上の記事のようなことは、私もこのブログに先日掲載したばかりです。少しでも経済をかじった人ならば、上記のようなことはすぐに気づきます。一体このお粗末な補正予算で何をしようというのでしょうか。これでは、何をしてもたかが知れており、今のままであれば、半年後には失業率か上昇しはじめるのは、確実です。

岸田文雄首相は、生まれついての三世議員です。親戚一同官僚一家。閨閥(けいばつ)に押し上げられて派閥の領袖、絶望的な人材難の中で自民党総裁、消去法で総理大臣に就任しました。悪い意味での「サラリーマン政治家」です。 


この方、出世して総理大臣になりたいのはよくわかりましたが、総理大臣になって何をしたいのか、さっぱりわかりませんでした。それもそのはず、首相に就任してから有識者を集めて「新しい資本主義」とは何かを検討させています。

岸田首相は、経済だけではなく、外交等でも何をしたいのか、さっぱり見えません。

ロシアがウクライナを侵略した同時刻、岸田首相は参議院予算委員会に出席していました。立憲民主党の蓮舫議員が「国家安全保障会議を開かなくていいのですか。我々は柔軟な対応をしますよ」と呼びかけているのに、「適切な時期に開きます」としか答えませんだした。 

その場で「今すぐ開きます」と答えられない時点で、事の優先順位がついていません。隣国が侵略戦争を始めた以上に重要な事柄などあるのでしょうか。 結局、役人からカンペが差し入れられて、委員会を中断、国家安全保障会議を開くに至たりました。 

蓮舫議員と言えば「最悪の民主党政権」の象徴のような人物です。しかし、今や自民党の政権担当能力は、その蓮舫以下に落ちぶれてしまったようです。自民党幹部は「野党に言われて開いたのではない」と強弁しますが、昔の自民党なら野党に言われる前にカンペを差し入れたものです。

プーチンのウクライナ侵攻に際して、G7各国は経済制裁、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除を決断しました。米国に英国とカナダは即座に同意、フランス・ドイツ・イタリアも賛同しました。

後刻、アメリカは「岸田文雄首相と日本政府はプーチン氏のウクライナ攻撃を非難するリーダーだ」と、わざわざ声明しました。要するに、日本は他の国の陰に隠れてロシアに石を投げようとしたら、アメリカに「お前が前に出ろ」と突き出された格好です。 

自民党には「NATOの話なので、あちらの調整を待っていた」などと意味不明な言い訳をSNSで絶叫する国会議員もいましたが、恥ずかしくないのでしょうか。 調整とは平時に行うことです。戦時において即座に旗幟を鮮明にするのが政治です。

調整など官僚でもできますが、戦時における決断は政治家にしかできないです。むしろ米欧諸国が手間取っているなら、自由主義陣営の間で日本が尊敬される好機だったではないでしょうか。愚かとしか言いようがありません。

一方で、「ロシア経済分野協力担当大臣」なる、世にも恥ずかしい大臣だけは、なぜか絶対に無くしません。野党の国民民主党の玉木雄一郎代表や伊藤孝恵参議院議員やNHK党の浜田聡参議院議員に「ロシア大臣」の廃止を提言されても、岸田首相は明確に拒否しました。

ただしその理由は「経済制裁を行うのが大事であって、大臣を廃止するつもりはない」と日本語になっていないだすが。彼は、一体どこの国の総理大臣でしょうか。

ロシア経済への協力「サハリン2」は経済産業省が進め、多くの大企業を巻き込んでいる国際プロジェクトです。その調整に手間取ったのでしょうか? 

しかし、調整が必要ならば経済産業省で行えば良いです。歴代ロシア大臣はすべて経産大臣の兼任なのですから。別に補償金が必要でもなく、名前を消すだけなのですから、首相が決心すればリアルに1時間で実行可能のはずです。  

その後「サハリン2、まずは民間企業が対応考える必要=岸田首相」とのニュースが飛び込み目眩がしました。

しかし、まだあります。ロシアの侵攻前、駐日ウクライナ大使が林外相に面会を求めてきたのですが、1か月も放置したとされています。理由不明ですが、結果責任で事務方の1人や2人、馘首でしょう。 

停戦交渉においてウクライナは、NATO加盟を諦める代わりに、ウクライナが指名する国々がウクライナの安全を保障する体制を求めました。 

ウクライナが指名する国々とは、まず国連安保理常任理事国の米英仏中露。大国なので当然です。ついで、独伊加のサミット参加国。準大国扱いです。そしてトルコとポーランドの周辺の関係国。さらにイスラエル。 確かにイスラエルはインテリジェンス大国でロシアとの関係も深い。 

しかし、日本はどこに。本来日本は、このような役割を担っても良いはずです。しかし、日本はこの面では役たたずと、ウクライナにはみなされたようです。ただ、戦後の復興に関しては日本の経済力をあてにしているようです。

公開情報を拾うだけで、これだけの不祥事です。参議院選挙で岸田自民党が勝てば、3年間は選挙の必要が無いです。そうなると、良くて経済的破滅、悪ければ軍事的破滅ではないでしょうか。 

ロシアの脅威に対抗する為、「日本も核保有を」との声が盛り上がっていますが、今の自民党に政権を任せるべきではありません。 では、どうすべきでしょうか。

 私は若田部日銀総裁を誕生させ、そうして菅義偉前首相に再登板願うしかないと考えます。参議院選挙で自公を過半数割れに追い込み、第2次菅内閣を日本維新の会と国民民主党が助けるべきでしょう。 

菅前首相

まずコロナ禍など、さっさと終わらせるべきです。現在コロナでもたついているのは、世界でも大きなところでは、日本や中国くらいなものです。中国はゼロコロナ政策の失敗でとんでもないことになりそうです。現在では、ワクチンはもとより、飲薬もできコロナを2類から5類に引き下げても何の問題もありません。

このくらいのことすらできないようでは、日本も中国のようにゼロコロナ政策で沈没しかねません。

これをやるのは、現在では慈恵会医科大教授の大木隆生先生にコロナ大臣をお願いするしかないです。そうして、来年3月の日銀人事では、若田部副総裁の総裁昇格で本格的景気回復を目指すべきです。 

安倍・菅政権のときのように、財務省にはノータッチにさせ、政府日銀連合軍で、政府が大量の国債を発行し、日銀がそれを引き受けるのです。これによって、政府は大量の資金を得て、様々な対策を打つのです。

どのくらいの規模にすべきかといえば、100兆円くらいが理想です。ちなみに、このくらい国債を発行したからといって、現在の日本は未だ2%の物価目標すら達成できていないのですから、超インフレにもならず、むしろ緩やかなインフレとなって、日本はデフレから完璧に脱却できるでしょう。政府の借金にもならず、将来世代への付けともなりません。

国土強靭化、安全保証、エネルギー問題、食糧問題などに大鉈を振るい、日本を根本からつくりかえるのです。それができるのは、菅仕事師内閣しかありません。

私自身は、このブログでも主張したように、菅政権は継続すべきであったと思います。菅政権が崩壊したのは、日本ではコロナ禍が収まる前でした。菅政権は、コロナの病床確保には失敗したものの、ワクチン接種を驚異的な速度で実行して、接種率を世界一の水準にまで高めました。結局医療崩壊も起こさず、大局的には成功したといえます。

菅政権は、短期間でそのほかにも様々な実績をあげています。以下にそれを一覧表にまとめたものを掲載します。
このようなことから、高橋洋一氏は菅内閣を「仕事師内閣」として評価しています。私もそう思います。何もしない、岸田内閣とは随分違います。

現状のような、目の前に良くて済的破滅、悪ければ軍事的破滅がある時代には、仕事をする政治家が必要です。様々な美辞麗句を並べたり、「検討します」などと言って結局なもしない政治家に用はありません。

これで、日本は生まれ変わるでしょう。ちなみに、このようなことは誰でも思いつくこどであり、自民党内ではそのような考えを持っている人もいるでしょう。

だかこそ、岸田政権の経済政策や、外交、安保、エネルギー政策、食糧政策、などに岸田総理対して苦言を呈する人がいないのかもしません。もうすでに、岸田政権を短期政権にしようとする勢力が蠢いているのでしよう。

今のまま、岸田政権が、経済対策、エネルギー対策をほとんど何もしなければ、参院選の頃には、エネルギー価格などがはねあがり、岸田政権の無為無策が明らかになるてしょう。その頃を境に大きな政局の動きがでてくるかもしれません。

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2022年4月24日日曜日

米国、中国も「道連れ」制裁か プーチン大統領を擁護、デフォルト迫るロシア救済…第三国の〝抜け穴〟許さない! 「二次的制裁」という伝家の宝刀も―【私の論評】中国を停戦協定に介入させれば、「蟻の一穴」の諺通り、世界はとてつもない惨禍に見舞われかねない(゚д゚)!

米国、中国も「道連れ」制裁か プーチン大統領を擁護、デフォルト迫るロシア救済…第三国の〝抜け穴〟許さない! 「二次的制裁」という伝家の宝刀も

プーチン大統領(左)を一貫して擁護する習主席

 西側諸国がロシアへの非難を強めるなか、擁護姿勢が際立つのが中国だ。ウラジーミル・プーチン大統領と親しい習近平国家主席は対露制裁に反対を明言し、経済面でもデフォルト(債務不履行)が迫るロシアを救済している。米国は制裁の抜け穴を作った国への「二次的制裁」も視野に入れており、米欧と中露の対立構図は鮮明だ。


 習主席は21日、中国海南省で開かれた経済会合「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」年次総会の式典で、米欧の対露制裁を念頭に「一方的な制裁の乱用に反対する」と強調した。「冷戦思考は世界平和の枠組みを壊すだけで、捨てるべきだ」とも述べ、ロシア寄りの姿勢を見せた。

 中露は日本への威嚇でも歩調を合わせているようだ。防衛省統合幕僚監部は20日、ロシア海軍の駆逐艦や政府系天然ガス企業「ガスプロム」関連のパイプ敷設船など計6隻が対馬海峡を抜け、東シナ海から日本海へ北上したのを確認した。同じ日に中国海軍の情報収集艦1隻が鹿児島県の奄美大島付近の海域を通過し、東シナ海から太平洋に移動した。

 経済でも中国の影がちらつく。欧米や日本が経済制裁を行い、ロシア国債は5月にもデフォルトとなる可能性が高まった。一方で中国はロシアから原油や小麦などの輸入を増やしている。

 中国経済に詳しい第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストによると、中国の3月の輸入額全体は前年同月比0・1%減と弱含みである一方、ロシアからの輸入額は同26・4%増と対照的な動きをみせた。

 西濱氏は「足元はゼロコロナの問題が大きいが、物価が上振れしている中で家計部門の痛みを和らげるため、ロシアと付き合うことで影響を抑えられる面もあるのかもしれない」と分析する。

 対露制裁を主導する米国は、第三国にも自国の制裁を順守させる「二次的制裁」という伝家の宝刀を持つ。

 福井県立大学の島田洋一教授は「米議会の中ではロシアの金融機関に抜け穴を与えた中国の金融機関に口座を持たせないとする法案も出ている。こうした金融機関における第三国制裁が一番効くことになるのではないか。西側諸国の一部の天然ガス輸入が継続している限り、中国への制裁も難しいが、米国から欧州への天然ガス供給体制ができれば、中国への制裁の可能性も高まるだろう」との見通しを示す。

 ジョー・バイデン米政権はウクライナに兵器の追加供与を進める一方、ロシアの「戦争犯罪」と、中国の「人権弾圧」の監視を継続している。

 米国務省が12日公表した「2021年版人権報告書」では、ロシアが93ページ、中国が90ページとほぼ同量の紙幅が割かれた。

 ロシアについて、ウクライナ東部で親露派武装勢力の「訓練や戦闘などを継続した」と記した。障害者や性的少数者らを標的とした暴力的犯罪もあると強調した。

 中国に対しては100万人以上のウイグル人が強制収容され、200万人が「再教育」を受けたと指摘する。恣意(しい)的な監禁や身体的自由の剥奪、強制不妊手術、強姦、拷問などの行為を列挙した。

 報告書は中露を「権威主義国家」と指弾した。民主主義国としての米国の本気度が問われている。

【私の論評】中国を停戦協定に介入させれば、「蟻の一穴」の諺通り、世界はとてつもない惨禍に見舞われかねない(゚д゚)!

ジョー・バイデン政権というか、現状の米国は議会から、司法まで、中国は「権威主義国家」であり、西側の技術を剽窃したり、強制労働などで不当に安いコストで様々な製品の製造を行い、それを米国等に輸出するなどして儲け、富を貯め込み、第二次世界大戦後の米国を頂点とする世界秩序に挑戦し、それを作り替えようする、敵であるとみなしています。

これは、米国が今後民主党政権になるのか、共和党政権になるのかでは変わらず、もはや米国の意思といっても良いです。


無論、ロシアは米国にとって敵であるとはみなしてはきましたが、近年は中国をより警戒するようになっていました。その理由は明らかで、このブログでも指摘してきたとおり、中露の一人あたりのGDPは中国と同程度(100万円前後)ではあるものの、中国の人口はロシアの10倍の1億4千万人であり、そのため中国のGDPは、ロシアの10倍であり、米国の安全保障の観点からみれば、中国のほうがロシアよりもはるかに大きな脅威であるからです。

ロシアのGDPは現在韓国を若干下回る程度であり、東京都と同程度です。にもかかわらず、あの広い国土を中国の1/10程度の人口で守らなければならないのです。


ただ、現在はロシアがウクライナに侵略したため、ロシアの暴挙を放置するわけにもいかず、ロシアに強く対峙していますが、中国のほうがはるかに大きな脅威であると考えていることには変わりはありません。

ロシアに関しては、すでに様々な外国企業の工場が操業停止を決めています。これは、ロシア国内では、部品が入手困難になることが予想されることや、売上をドルで受け取れなくなることが予想され、操業しても無意味になることが考えられ、ロシアの軍需工場もいずれ、兵器の製造が不可能になるとみられます。

しかし、中国はロシア以上の敵であるにもかかわらず、ロシアに対する制裁よりは、中国に対する制裁のほうが甘いので、現在の中国はロシアほどの窮地には至ってはいません。

ただ、このブログも示したように、「権威主義国家」である中露のうち、露をいくら制裁などで、弱らせたにしても、中国が現状のままの状態であれば、たとえロシアが弱体化したとしても、米国にとっては中国による懸念は拭い去ることはできません。

一方、中国が弱体化してしまえば、ロシアの脅威などとるに足りません。黙っていても、ロシアは弱体化します。北朝鮮もそうなります。

米国の優先するのは、やはりロシアよりも中国なのです。米国が中国に対峙しようとする姿勢は変わっていないどころかますます強化されたみるべきです。

このようなさなか対露制裁を主導する米国は、中国が米国の制裁に反してロシアを利するような行動にでれば、ためらうことなく「二次的制裁(secondary sanctions)」という伝家の宝刀を抜くでしょう。たとえ、バイデン政権がそうしなくても、米国議会はそのように動き、バイデン政権にそうさせるでしょう。

このような米国の態度について、批判するむきもあります。たとえばプーチンがウクライナ軍事侵攻に入った翌日の2月25日、習近平はプーチンと電話会談して、「話し合いによって解決してほしい」という要望を、プーチンに直接伝えました。

ところが同日、バイデン政権のプライス報道官は、記者会見で、ロシア軍のウクライナからの完全撤退でもない限り「停戦交渉のオファーなどは無意味なので、受けるな」という趣旨のこと発言をしたこと等から米国は、最初から停戦交渉を阻止しようとしてきたというものです。

確かに一刻も早い「停戦」が望ましいのは間違いないこととは思います。しかし、以前もこのブログで述べたように、バイデンは、ウクライナ戦争関する事柄でも、中東諸国やイスラエル、トルコ等とはある程度妥協しても良いですが、中国と妥協してロシアを説得させ停戦交渉成立させるべきではありません

早期停戦実現のため米国が妥協して、中国に停戦協定に関わらせ、停戦が実現してしまえば、習近平の存在感は嫌がおうでも高まります。下手をすると、習近平はノーベル平和賞を受賞するかもしれません。そうなると、習近平はそれを活用して、国内での権威付け行い、統治の正当性を強化するでしょう。

そうなると、習近平は余勢をかって、喜び勇んで台湾併合にはずみをつけるかもしれません。その後世界は中国にさらに翻弄されることになるでしょう。これは、悪い妥協です。バイデンはこの種の妥協は、絶対にすべきではありません。

今のところ、そのような兆候はありませんから、さすがのバイデンも中国に利するような真似はしないつもりなのでしょう。

もしも、戦争を少しでも早く終わらせることを大義名分として、バイデンが悪い妥協をしてしまえば、中露に大きな勘違いをさせてしまうことになるでしょう。

ウクライナ侵攻や、台湾侵攻などの暴挙を行ったとしても、米国は戦争を早期集結させるために、すぐに妥協するから、俺たちは何をやっても酷いことにはならないという勘違いをさせることになります。

中露の「権威主義国家」体質はウクライナ戦争後も温存されることになります。そうなれば、ウクライナの戦争は終了したとしても、ウクライナ危機が去るどころか、過去もそうであったように、ロシアのウクライナへの侵略は今後も繰り返されることになるでしょう。ロシアはその時々で、自分の能力にみあった侵略を小刻みに行い、時間をかけつつもいずれウクライナ全土を手に入れ、その次はモルドバに侵攻するかもしれません。

このようなことはたとえ目の前の戦争は早期に終了したとしても、ウクライナの将来に禍根を残すことになり、決して良いこととはいえません。早期停戦も大事ですが、どのような停戦の仕方をするかも非常に重要なのです。

ロシアが侵攻を小出しに何回も繰り返せば、ロシアはソ連邦だった頃の版図を取り戻すことになるかもしれません。今回のロシアの侵攻がドンバス地方のみに限られていれば、ロシアのウクライナ侵攻は早期に成功していたかもしれません。そうして、米国がこれに妥協して、停戦を安易に認めてしまえば、クリミアの併合と、ドンバス併合に勢いづいたロシアは、ソ連邦だった頃の版図を取り戻すために、8年ごとに侵略を繰り返すことになったかもしれません。

そのロシアのやり方を見習い、中国も台湾に侵攻し、その次は尖閣諸島、次は沖縄、その次は日本本土に侵攻するかもしれません。挙句の果てに、日本を南北で分断し、北はロシアが統治、南は中国が統治という事になりかねません。


分割統治の悪夢は過去にも起こりそうになったことがあります。多くの戦死者を出した第二次世界大戦は、日本の降伏によって幕を下ろしました。終戦後は通称GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の統治下、ほぼほぼ米国の管轄に置かれました。

しかしこの”8月15日”というタイミングで行われたポツダム宣言の受諾が、一週間後にずれていただけで、日本はドイツや朝鮮半島のように分割統治されていた可能性があると言います。

上の地図でもわかる通り、もし分割統治されていれば東京は4か国による統治が計画されていたので、ベルリンの壁にようなものが出来ていたのかもしれません。四国地方だけ公用語が中国語になっていたかもしれません。そうして東北地方・北海道はソ連統治下に入っていた可能性がありました。

そのようなことにならなかったのは、まさに不幸中の幸いでした。

さて、中国が台湾に侵攻すれば、ロシアが仲介し、早期停戦を行い、それがうまくいけば、プーチンはノーベル平和賞を受賞し、プーチンはそれを利用して、国内での権威付け行い、統治の正当性を強化するでしょう。

そうなると、プーチンは余勢をかって、喜び勇んでモルドバ併合にはずみをつけるかもしれません。ロシアがモルドバに侵攻すれば、中国が仲介に入り、早期停戦を行い。ということを何度も繰り返し、最終的に、時間をかければ中露が世界中を取り放題ということになりかねません。

そんなことは断じて許すことはできません。だからこそ、バイデン政権のプライス報道官は、記者会見で、ロシア軍のウクライナからの完全撤退でもない限り「停戦交渉のオファーなどは無意味なので、受けるな」という趣旨のこと発言をしたのでしょう。

私から言わせれば、プライス報道官の発言は穏当すぎると感じるくらいです。私なら「無意味」どころか、「停戦交渉のオファーを受ければ、中露を利して、世界をますます不安定化させることになるだけであり、断じて許さない」と言うと思います。

まさに、「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」のことわざ通り、中国に停戦協定に介入させれば、世界はとてつもない惨禍に見舞われることになるかもしれません。

そうして、日本もウクライナ戦争を契機に、安全保証のあり方を検討すべきです。もしバイデンがポンコツすぎて、早期停戦させんがために、中国に停戦協定に関わらせるようなことがあれば、上記の最悪のシナリオを招くことになりかねません。

実際、バイデンはアフガニスタンの無惨な撤退でも、ロシアのウクライナ侵攻でも、それを助長するような発言や行動しています。今後そのようなことをしないという保証はありません。

そうして、バイデンがそのようなことをしなくても、今後中露が他国の領土に侵攻しないという保証はありません。そのときに、時の米国大統領が中露を利するような悪い妥協をしないという保証もありません。

日本としては、そのようなことになっても自分の領土は守れるように、そうして、EU諸国等と協同で米国の誤りを正し、中露の「権威主義国家」から世界を守ることができるように、今から準備すべきです。

最期に念を押しますが、「権威主義国家」の独裁者とは、我々自由主義陣営に住む住人には、その本質は理解不能です。ですから、我々は少なくとも彼らが「やる」といったことは、いずれ必ずやると受け止め、それに対する準備を怠るべきではありません。

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2022年4月23日土曜日

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フランス・スペイン共同開発 インド海軍待望の新型潜水艦「ヴァグシーア」進水

カルヴァリ級6隻の最終番艦、就役は2023年後半を予定

 インド国防省は2022年4月20日、同国海軍向けの新型潜水艦「ヴァグシーア」が進水したと発表しました。

 「ヴァグシーア」はインド海軍が整備を進めるカルヴァリ級潜水艦の6番艦です。全長は67.5m、幅は6.2m、高さ(深さ)は12.3m、水上航行時の喫水は5.8mで、満載排水量は1775トン、乗員数は43人。主武装は魚雷並びに対艦ミサイルで、ディーゼルエンジンと発電機によって、水中ならば最大20ノット(約37km/h)、水上ならば11ノット(約20km/h)の速力で航行できるといいます。


 カルヴァリ級は、フランスのDCNS社とスペインのナバンティア社が共同開発した輸出用のスコルペヌ級潜水艦をインドがライセンス生産し導入しているもので、開発元であるフランスとスペイン両国での採用実績こそないものの、インド以外にもチリやマレーシア、ブラジルなどが導入・運用しています。

 インド海軍はカルヴァリ級を6隻調達する計画で、「ヴァグシーア」はその最終番艦になるとのこと。建造はムンバイにあるマザゴン造船所で行われ、今後は各種艤装や試験などを経て2023年後半までに海軍に引き渡される予定です。

 なお、インド国防省によると1番艦「カルヴァリ」が2017(平成29)年12月に就役して以降、これまでに4番艦「ヴェラ」までが実運用に就いており、5番艦「ヴァギル」も2022年中の海軍引き渡しを目指して現在、海上公試が進められているそうです。

【私の論評】印はやがて露から武器輸入ができなくなり、露に配慮しようがなくなる(゚д゚)!

インドは、潜水艦に関してはフランス・スペイン共同開発のものをこれから運用していく予定のようです。ただし、インドは、ロシアの原潜も運用しています。

昨日も掲載したように、そのロシアは西側から部品の供給を絶たれ、まもなく軍事装備の製造も修理も完璧にできなくなります。

それは、今回のように輸入を一国にだけ頼っていると、その国との関係が悪くなったり、その国が戦争に突入した場合、武器の調達が難しくなるからでしょう。

英国のジョンソン首相はインドのモディ首相と会談し、ロシアによるウクライナへの侵攻を非難しましたが、モディ首相は、これまでと同様、直接的には軍事侵攻を非難しませんでした。

イギリスのジョンソン首相は、22日、インドのニューデリーで、モディ首相と会談し、安全保障面での協力を強化することや、2国間のFTA=自由貿易協定の締結に向け交渉を加速させることで一致しました。

モデイ印首相とジョンソン英首相

この中には、インドで製造される戦闘機などへの技術支援も含まれ、イギリスとしては、インドの軍事面でのロシアへの依存からの脱却を後押しするねらいもあります。

会談後、ジョンソン首相は「独裁的な支配力が拡大するなか、自由で開かれたインド太平洋地域などで、価値観を同じくするわれわれが協力関係を深めることが重要だ」と述べ、ロシアを非難するとともに、インドとの協力の重要性を強調しました。

一方、モディ首相は「われわれは即時停戦に向けた対話と外交、および、すべての国の領土の一体性と主権の尊重の重要性を確認した」と述べるにとどまりました。

インドをめぐっては、先月19日には岸田総理大臣が訪れたほか、オーストラリアのモリソン首相、中国の王毅外相、ロシアのラブロフ外相、それに米国のバイデン大統領が、首脳間または外相間の会談を対面やオンラインで行うなど、主要国による外交が活発になっています。

背景には、ロシアによる軍事侵攻を非難も支持もしないインドを各国がそれぞれの立場に引き込みたいという思惑もあるとみられます。

ここ数週間、米国が発するメッセージは、インドの姿勢を渋々受け入れるものから、インド側にロシアとの取引を継続した場合に起こり得る結果を警告するものへと変化してきました。

直近では、ロシアとの長期的な安全保障関係を見直すよう示唆しています。 米国家安全保障会議(NSC)の高官ダリープ・シンはニューデリーで今月、中国が次にインドとの国境付近で挑発行為に出た場合、インドはロシアの支援を当てにできないだろうと述べました。 

日本政府がウクライナの周辺国に自衛隊機で救援物資を輸送する計画をめぐって、物資を積み込むための経由地のインドから同意が得られなかったことについて、インド外務省の報道官は「民間機に載せて運ぶということで許可していた」と述べ、民間機を使うことが望ましいという考えを示しました。

ウクライナ情勢をめぐり日本政府は、避難民を受け入れている周辺国に今月下旬から自衛隊機で救援物資を輸送する計画でしたが、物資を積み込むための経由地のインドから同意が得られなかったとしています。

ロシアは以前から経済的に中国依存の状態でしたが、ウクライナ紛争によってさらに接近しています。 昨日もこのブログで述べたように、西側から部品の供給を絶たれ、まもなく軍事装備の製造も修理も完璧にできなくなります。実際昨日も述べたように、ロシアの戦車工場はすでに操業を停止しています。

ウクライナの旧ソ連制戦車の修理工場が戦車の墓場のようになっているロシアの戦車工場もやがて・・・・

AK47ライフルやRPGなどローテクな兵器はこれからも輸出できるでしょうが、ハイテク関連が含まれる兵器は絶望的です。

今後ロシアが、インドへの武器輸出をいつまで継続できるかどうかは不透明です。政治学者のバサブジット・バナジーとベンジャミン・カーチはウェブマガジン「ウォー・オン・ザ・ロックス」で、ロシアの防衛産業は2014年のクリミア併合以降、財政難に直面していると指摘しました。

インドは長年、自国の防衛産業の生産能力不足に悩まされてきました。ロシア製の武器に依存度が高い現状では、輸入を止めるわけにはいかないのでしょう。 結局、米国にとってインドをロシア製の武器から引き離すよりは、依存度が低いロシア産原油から引き離すほうが簡単です。

インドのジャイシャンカル外相は11日の記者会見で、「おそらくわが国の1カ月分の輸入量は、ヨーロッパの半日分にも満たないだろう」と述べたが、 バイデン政権には、長期的にみてもっといい戦術もあります。

米国は、ロシアはそう遠くない将来、武器の輸出なその部品も輸出できくなることを説得し、米国からインドへの武器輸出をさらに拡大し、他の主要なフランスやイスラエル等の武器供給国にも同調を促し、インドの国産兵器製造能力の強化を支援することです。

インド海軍のP8I哨戒機

米国からインドへの武器輸出はロシアほどではないですが、実績はあります。たとえば、2021年7月13日、ボーイング社はインド海軍に10機目の哨戒機P-8I(ネプチューン)を引き渡しました。インド海軍向けのP-8Iには、インド海軍の要望により磁気探知装置(MAD:Magnetic Anomaly Detector)とマルチモード(イメージング、天候回避、ビーコンモード等)レーダーを搭載しています。

米国政府は、フルスペックのP-8A(ポセイドン)の海外輸出を認めていませんでした。そのため 、インド海軍向けP-8Iの電子装備は簡素化され、データリンクなど統合情報伝達システムは、インド国内のBEL社製を装備しています。

それにしても、P-8IはAUKUS諸国と直接データー共有などができないだけで、中露の対潜哨戒機よりもはるかに性能が良いです。

今後インドはロシアからの武器輸入はできなくなります。その時が来れば、黙っていてもインドがロシアに配慮をすることはなくなるでしょう。そうして、インド自身もロシアに配慮することは、今後自国の安全保障を危うくしかねないと気づくことになるでしょう。

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2022年4月22日金曜日

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日本の解き方

 ロシアによるウクライナへの侵攻からまもなく2カ月となるが、短期でウクライナを降伏させることや、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を阻止するといったプーチン大統領の当初の狙いは失敗している。


 ロシアが2月の北京冬季五輪閉幕後にウクライナ侵攻を始めた際、「平和の祭典時に何ごとか」という声の一方、ロシア擁護派からはパラリンピックまで「あと2週間ある」という意見があった。今思えば、これは五輪とパラリンピックまでの2週間で終わらせるという意味だったのだろうか。実際、公開情報からそうしたもくろみを示すものもあるので、あながち的外れではないのかもしれない。

 ベラルーシから首都キーウ(キエフ)を陥落させ、ゼレンスキー政権を転覆させるという見方もあったが、2週間でこれを行う計画だったのだろう。しかし、現在、ロシアはウクライナの東部、南部地方に勢力を再配置しており、明らかに短期間での首都陥落とゼレンスキー政権の転覆は失敗したといえる。

 プーチン氏は、ユーラシア大陸の覇権を握り、かつてのロシア帝国を復活させるという野望があると解説する研究者もいる。そのために「NATOの東方拡大は許せない」と言い、NATO加盟を意図しているウクライナに侵攻したという説が多い。しかし、今回のロシアの蛮行は、結果として中立またはロシア擁護だった欧州諸国の行動を変えてしまった。

 フィンランドのマリン首相は、ウクライナ侵攻で全てが変わったとして、NATOに加盟する意向だ。スウェーデンも与党の社会民主党は長年NATO加盟に反対の立場だったが、アンデション首相は、スウェーデンの安全保障の立場は根本的に変わったとして、やはりNATO加盟に前向きだ。

 スイスは永世中立国として有名で、これまでは欧米の経済制裁には加わらないとのスタンスだった。しかし、今回、欧州連合(EU)の対露制裁措置をスイス国内でも同様に実施することとした。今回はロシア政府関係者のEU域内の資産凍結をスイスでも行うので、プーチン氏らの関係者まで資産凍結された。永世中立国かつEU非加盟国であるスイスは中立的立場を重要視しており、2014年のクリミア危機の際にも対露制裁を実施しなかったが、今回は異例の措置だという。

 プーチン氏は、ドイツをも覚醒させた。左派政権のドイツは安全保障政策を180度転換し、国防費を国内総生産(GDP)比2%まで高める方針を打ち出した。

 プーチン氏の失敗は、欧州だけではなく、米国にも指導力を発揮させてしまったことにもある。米国はイラク戦争で誤った情報を出し、バイデン政権は昨年8月にアフガニスタン撤退で失敗を犯した。今回、バイデン政権は一貫して軍事介入しない意向を示すが、それ以外ではロシアの動きを正確に予測し、アジアを巻き込んだ対露包囲網の形成に大きく寄与した。

 背景にあるのはプーチン氏が独裁者だということだ。いかなる抑止力も、核を持った独裁者を抑止することは難しい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】西側から部品の供給を絶たれ、まもなく軍事用装備の製造も修理も完璧にできなくなるロシア(゚д゚)!

ロシア誤算は他にもあります。それは、ロシアの軍事用航空機産業の崩壊です。

ウクライナ、ロシアの両国の戦争がどのような形で決着するのかはわかりませんが、最大の敗者がロシアとなるであろうことはほぼ確定的だといえます。 ロシア経済はほぼ資源の輸出によって成立しており、世界と対等の競争力を持つ産業はほかにほとんどなく、その数少ない例外のひとつに戦闘機産業があります。

世界の大国としての地位をほぼ軍事力だけに依存していたといってよいロシアにとって、戦闘機は産業の規模としては極めて小さいながら重要な地位を担っています。

ソ連時代より有名な戦闘機メーカー「ミグ」と「スホーイ」は2022年現在、ユナイテッド・エアクラフト社傘下の戦闘機部門として名目上は存続していますが、2022年1月にはミグとスホーイともにブランド名としてのみ残り解散、ユナイテッド・エアクラフト社へ完全に統合することが決定し、ユナイテッド・エアクラフトはロシア唯一の戦闘機メーカーとして世界シェアを伸ばす計画でした。

ユナイテッド・エアクラフトの最新型戦闘機

しかしロシア自身が戦争を決断したことにより、その見通しは困難なものとなりつつあります。 米国、EU、日本など先進国のほとんどは、戦争勃発と同時にロシアへ対する前例のない厳しい経済制裁に踏み切り、ロシア経済はウクライナ侵攻開始1か月にして、早くも崩壊の兆しを見せつつあります。 

ロシアは広大な国土から産出される資源こそ豊富ですが、ロシア国内にある工業製品のほとんど全ては海外から輸入したものです。今後それらを輸入することが困難となってしまいましたから、「戦闘機をつくるための工作機械」や「戦闘機の部品」さえ手に入らなくなりつつあります。 

ロシアにとって最も致命的であろう制裁のひとつに、「半導体」の禁輸があります。電子部品の一種である半導体は、CPU、メモリー、液晶ディスプレイ、照明などなど、何かしら電気機器を手にすればその中にはほぼ確実に使われている、現代文明になくてはならないものです。

その重要な半導体を製造できる国は、実はあまりありません。米国、韓国、台湾、EU、日本で世界シェアの95%を占めており、これらの国が一斉にロシアへ対する禁輸に踏み切りました。

残る5%を占める中国だけはロシアへ輸出を続けていますが、米国は中国に対して制裁を行うよう強い圧力をかけています。 

戦闘機やミサイルなどの搭載電子機器に使われている半導体も当然、輸入頼りですから、ロシアは何十年かかけて半導体産業を育成するにしても、当座は低い歩留まりと超高コストとなることを承知で量産するか、密輸するか、中国に頭を下げるかを選ばなくてはならないです。

それでも兵器に使われるコンピューターなどは、意外にも大した性能は求められないので、なんとかなるかもしれません。しかし、レーダーや電子妨害装置など電波を送受信する機器に使われる「ガリウムヒ素(ヒ化ガリウム)」を材料とする半導体は別です。 

ガリウムヒ素を材料とする半導体は、現代戦闘機において欠かすことのできない「AESAレーダー」と呼ばれる装置に大量に使われます。通常、ガリウムヒ素でできた小さい「TRモジュール」を1000個から2000個程度、搭載しており、AESAレーダーの性能は使用したガリウムヒ素の量で決まるといわれています。

ロシアのAESAレーダ「ベルカ」の2009年の試作品

 さらに次世代戦闘機では、機体のほぼ全体をガリウムヒ素で覆う「スマートスキン」になるともいわれます。そして、よりにもよってロシアの最新鋭戦闘機Su-57は、このスマートスキンの考え方を部分的に取り入れており、全方向レーダー索敵能力を有し、同時に電子妨害なども行う、F-35やF-22さえできない野心的な設計を取り入れています。

 Su-57用レーダーに使用されている、韓国のソウルセミコンダクター社製ガリウムヒ素はすでに禁輸となっており、Su-57の開発に悪影響を与える可能性は極めて大きいです。Su-57だけではなく、2021年に初めてモックアップが公開されたばかりの「チェックメイト」と呼ばれる軽量戦闘機コンセプトや、MiG-41ともいわれる次世代迎撃戦闘機、そしてPAK-DA次世代爆撃機にもこの問題は及ぶでしょう。

 新型機ばかりではありません。すでに配備されているロシア機にも影響します。AESAレーダーの搭載は、戦闘機の性能向上において必ずといっていいほど行われる改修ですが、それも難しくなります。さらにこれまで実施されていた、ロシア製戦闘機やヘリコプターに対しヨーロッパ製の既成電子機器を搭載することも、いまでは難しくなっています。

2022年3月2日の国連総会緊急特別会合では、ロシアを非難しウクライナからの即時撤退などを求める決議案が賛成141か国、棄権35か国、反対5か国という賛成多数で採択されました。

 棄権した国の多くは、ロシアから戦闘機など同国製兵器の供与を受けていました。しかしそれらの国も、もはやロシアから部品の調達さえままならないとなれば、ロシア製兵器を維持することは困難になります。また「世界の敵」となってしまったロシアからの新規調達をためらう国も出てくることでしょう。  

最悪、ミグやスホーイは過去のものとなってしまうかもしれません。そのトリガーを引く可能性があるとすれば、恐らく中国です。これまで中国製戦闘機はおもにエンジンの信頼性に問題があり、ロシアの支援が不可欠だったものの、それも改善されつつあります。また中国は、ガリウムヒ素の次世代を担う「窒化ガリウム」半導体の生産技術を有しており、自国で生産を完結できる態勢を目指しています。 

ロシア製戦闘機は中国の支援なくして成り立たなくなり、中国とロシアの立場は逆転するかもしれません。そうなれば世界の戦闘機市場でロシアが持っていたパイは、すっかり中国に奪われてしまうことでしょう。 

料理に例えるならば、ロシアは有名店、ユナイテッド・エアクラフトはそこで働くシェフです。彼らの手がけたミグやスホーイといったロシア料理は世界中で愛されていました。しかしそれは食材を売ってくれる相手とお客がいるから成り立っていたということを、彼らは忘れてしまいました。

ロシアのケンドラー米商務次官補(輸出管理担当)は先月30日、各国による輸出制限によりロシアの戦車生産などが打撃を受けているとの見方を示ました。 ウクライナ政府の情報として、ロシアの主要戦車2工場が部品不足で生産停止したと指摘。

ウラルヴァゴンザヴォートの工場を訪問したプーチン大統領

ロシアのバイカル・エレクトロニクスは偵察機器や通信機器に使う集積回路を入手できなくなったとしました。 台湾積体電路製造(TSMC)の撤退で、MCSTは軍事・情報システムで広く使用する半導体の調達を断たれたとも指摘。 また、仏ルノー傘下アフトワズの「ラダ」ブランドが部材不足で自動車生産を停止したと述べました。

現状では、産業の崩壊がどうのこうのというどころか、ロシア軍は、航空機や戦車を新しく製造することもできず、故障しても修理できず、いずれ活動を停止せざるを得なくなるでしょう。

1〜2ヶ月後には、軍事力で、ウクライナのほうがロシアよりも圧倒的に有利という事態になるかもしれません。

ロシア軍の武器はAK47自動小銃と、核兵器と化学兵器のみということになるかもしれません。そこで、核や化学兵器を用いれば、さらに制裁は厳しくなるでしょう。

いずれ、訪れるであろう2度目の「ソ連崩壊」は、前回よりも厳しいことが予想されます。

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2022年4月21日木曜日

自公、今国会の補正成立方針で一致 公明幹事長「2.7兆円前後と想定」―【私の論評】今のままだと失業率が半年後には上がる怖さを認識できない岸田首相(゚д゚)!

自公、今国会の補正成立方針で一致 公明幹事長「2.7兆円前後と想定」



自民、公明両党は21日、物価高に伴う総合緊急対策で、2022年度予備費を活用して迅速に対応するとともに補正予算を編成し、今国会に提出・成立を図ることで一致した。自民党の茂木敏充幹事長が明らかにした。公明党の石井啓一幹事長は、補正規模について2.7兆円前後になると国会内で記者団に語った。

今後の災害や新型コロナウイルス感染症の再拡大、原油価格・物価のさらなる高騰で予期しない財政需要に迅速に対応する必要があると判断した。両党の合意を踏まえ、政府は26日に総合緊急対策を公表した上で5月下旬に補正予算案を国会に提出するシナリオを描く。

木原誠二官房副長官は21日午後の記者会見で、与党から補正予算の編成を求める申し入れがあったとした上で、提案も踏まえながら総合緊急対策をとりまとめていく考えを示した。

補正予算では、総合緊急対策で使用する一般予備費5000億円の穴埋めに加え、新型コロナ予備費について「新型コロナウイルス感染症および原油価格・物価高騰対策予備費」と改組し、使途を拡大したうえで5兆円の水準を確保することで合意した。

燃料油価格の激変緩和事業として6月から9月までの事業費1兆円強を計上することでも一致した。

公明党の石井幹事長は岸田文雄首相への報告後、官邸で記者団に「政府として詳細を詰め、補正予算を指示するとの話だった」と述べた。総合緊急対策に関しては26日に公表する意向を示したという。

総合緊急対策では、5月分の原油価格高騰対策として0.3兆円程度を想定。エネルギー・原材料・食料などの安定供給に向け300億円を計上することを求めた。

価格転嫁を念頭に置いた中小企業対策や、生活困窮者への支援策も盛り込み、地方創生臨時交付金の拡充(留保分込みで1兆円程度)や、低所得の子育て世帯を対象に1人あたり5万円を給付するため0.2兆円を支出することで合意した。

【私の論評】今のままだと失業率が半年後には上がる怖さを認識できない岸田首相(゚д゚)!

内閣府は12日、日本経済の需要と供給能力の差を示す国内総生産(GDP)の「需給ギャップ」が2021年10~12月期はマイナス3・1%だったと発表しました。マイナスは9四半期連続。金額に換算すると年間17兆円程度の需要が不足していることになります。


新型コロナウイルスの感染状況が一時的に落ち着いたことで個人消費が持ち直し、7~9月期から0・9ポイント改善した。10~12月期の実質成長率は年率換算の前期比で4・6%と、2四半期ぶりにプラス成長となりました。ただ、需給ギャップが存在するので、これを解消しない限り個人消費が持ち直し続けることはないでしょう。

需給ギャップは政府がデフレ脱却を判断する際に重視する指標の一つです。マイナスの場合、需要が供給を下回っていることを示し、物価が下がりやすくなります。

需給ギャップは、本予算のほかに、臨時で実施する補正予算の目安ともなります。本予算は日本経済を維持するための予算であり、需給ギャップがあれば、それプラスの予算を組む必要があるからです。そのため、17兆円の需給ギャップがあるなら、本来17兆円の補整予算を組むべきです。2.7兆円の補正予算では話にならないわけです。

まずは、17兆円の補正予算を組み、そこからが政治力であり、どこにどのように使えば最も効果が上がるのか腕のみせどころになるわけですが、それにしても需給ギャップに達しないような補正予算では、最初から焼け石に水で、ほとんど期待はできないです。

安倍・菅両政権のときには、両政権が継続中には、結果として需給ギャップに相当する部分を、補正予算として組み様々な経済対策を実施しました。2020年〜2021年の両政権期間中の補正予算を全部あわせるとおおよそ100兆円の補正予算を組みました。

このようなこともあり、さらに日本では雇用調整助成金(米国にはない)という制度もありますから、これらによって、コロナ感染が世界中で蔓延して失業率が増えてい最中、日本では、多くの期間を2%台で推移しました。日本政府の経済対策この時期においては概ね及第だったといえます。なぜなら、このブログても過去に何度か掲載したように、雇用こそ最も重要な指標であり、これが良ければ政府の経済対策は及第といえるからです。


さて、内閣府の需給ギャプの計算は、17兆円としているわけですが、内閣府の見積もり元々は甘いとする人もいます。それは高橋洋一氏です。

高橋氏によると、内閣府は需給ギャップのいちばん上のところを少し低めに見積もっていると指摘しています。内閣府の推計だと、失業が多いところを需給ギャップの一番高いところと見ているようです。簡単に言うと、前は100兆くらいあったけれど、「いまはそれより30兆くらい低いでしょう」という言い方の方が無難なわけです。 

100%の実力を出したら稼げるGDPの額を低く見積もれば、需給ギャップが小さく見えます。しかし逆に言うと、需給ギャップが埋まっても、物価が上がらないという状況になるわけです。 

だから実績値が、内閣府の推計値を上回れば普通、物価が上がるはずなのに、上がらなかったのです。これは想定しているところが低過ぎるとわかります。高橋氏はこれを補正して計算しましたとしています。そうすると現状の需給ギャップは35兆円くらいになるとのことです。

そうなると、補正規模について2.7兆円というの桁違いということがわかります。内閣府の産出した需給ギャップ17兆円にも届かないということになります。

それでも17兆円なら、今回は足りなくても、また次の機会に同程度の補正予算を組めば、いずれ需給ギャップが解消される目処がたつと思います。

しかし、たった2.7兆円ならば、焼け石に水どころか、大きな山のような焼け石にバケツリレーで水をかけるようなものでは、全く効果は期待できません。次の機会に補正を組んだとしても、同程度であれは、これはほとんど効き目がありません。

女子学生のバケツリレー(昭和13年)

このブログでは、つい先日公明党が政府に補正予算を促していることを掲載しましたが、たった2.7兆円の補正というのなら、全く意味がありません。

いまのままだと、半年後くらいには確実に失業率が上がり始めることでしょう。安倍政権が過去最高の長期政権になった大きな原因の一つとなったのは、雇用状況の良さです。過去20年雇用が良くなかった政権はほとんどが短期で終わっています。雇用が悪くなれば、岸田政権の支持率も落ちます。その怖さを岸田総理は全く理解していないようです。お目出度いです。

日本の政治家のほとんどがそうであるように、岸田総理大臣や、公明党は所詮マクロ経済音痴なのは最初からわかりきっていますが、自民党には安倍元総理をはじめ少なくとも数人は、マクロ経済を理解している人がいますから、なんとか岸田総理を説得していただきたいです。

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2022年4月20日水曜日

コロナ、ウクライナ…「陰謀論」にハマらない方法 統計数字や用語の定義を確認、根拠の不十分な断定は無視―【私の論評】財務省が緊縮財政をしたがるのは、陰謀ではなく官僚の頭が悪いためか(゚д゚)!

日本の解き方

反ワクチン団体「神真都Q」は全国各地でデモ活動を展開している

 新型コロナウイルスについて、「一部の人間が仕掛けたもの」としたり、「ワクチンは殺人兵器」などとする陰謀論が広がった。ロシアのウクライナ侵攻をめぐってもさまざまな陰謀論がネット上で出回っているが、見極める手法はないか。

 自然科学系と社会科学系に分けてみてみよう。自然科学系ではイデオロギーと関係なく、事実に基づく実験と数理ロジックで論証されるのが基本だ。そのため、科学知識があれば、陰謀論はかなり排除できる。そもそも陰謀論の論法は自然科学ではありえないものだ。

 科学知識のない人はどうするか。自然科学の場合、陰謀論を排除する人や組織がかなりあるので、ネット上の情報だけでも、これは陰謀論かなと見分けることができる。少しでも陰謀論の匂いがあれば、避けるのが賢明だ。

 社会科学系の場合、どうしたらいいのだろうか。筆者の場合、自然科学と類似した論法でチェックしている。社会科学の場合、実験ができないので、統計数字に基づくモデルの検証を行って、妥当な理論を選び出すという作業になる。筆者の戦争確率論も、過去の戦争データから統計手法により導き出したものだ。社会科学の場合でも、定性分析と定量分析があれば後者を信頼する。

 「ユダヤ資本やディープステートによれば…」といった話が陰謀論の典型であるが、統計数字どころか、用語の定義も出てこない。筆者は、歴史的に明確な前提、定量的な事実関係や議論がない話は基本的には信用していないし、定義のない用語に基づく話は聞こうとも思わない。

 陰謀論は、根拠が不十分な説明に基づいて物事を断定しているので、筆者の判断基準から見れば、話を聞かないとなる。

 根拠が匿名の証言やコメントであったり、ソースが不明なものも時間の無駄なので無視することが多いが、陰謀論もその類いである。

 マスコミ報道でも、「関係者」「専門家」といった書き方で、具体的な名前が明かされないものは情報としてそれほど価値がないと思っている。「捜査関係者」や「政府関係者」とかもあまり信じない。

 筆者は役人時代、記者にとって都合のいい記事に付き合うために、しばしば「政府関係者」に仕立て上げられたが、適当な与太話にすぎないことも少なくなかった。

 いずれにしても、ソースが明らかにできない場合、証言を翻す可能性もあるので、それほど信憑(しんぴょう)性は高くないことが多い。

 筆者は、情報の信憑性について、発信者によって区別しないようにしている。ただし、陰謀論を唱える人は繰り返す傾向があるので、避けるのは当然である。

 総じて自然科学系の人は、あまり陰謀論にハマらないが、例外も少なくない。人によっては、年を取ると陰謀論に陥る人もいるので要注意だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省が緊縮財政をしたがるのは、陰謀ではなく官僚の頭が悪いためか(゚д゚)!

陰謀論の中には、それを唱える人があまりに頭が悪すぎて、自分では正論を吐いているつもりでも、それが結果として陰謀のようになってしまっていることも、多々あるのではないかと思います。



たとえば、財務省の陰謀論もそうかもしれないです。財務省に関しては、前々からとにかく増税、とにかく緊縮財政をすれば良いと思っているとしか考えられない行動や発言を繰り返し、それを正当化する「ご説明資料」を作成し、政治家や、他の官僚や、場合によってはマスコミまで出向いて自分たちの言い分が正しいことを主張するという行動をとってきました。

そのため、多くの政治家や、官僚、マスコミ、経済学者までが、財務省の増税・緊縮財政に賛同し、日本経済がデフレであろうとなんであろうと、とにかく増税・緊縮をすすめてきました。これは、陰謀なのではないかと思わせられることもしばしばありました。

同時期には日銀も同じような傾向があり、日本経済がデフレだろうと、なんであろうと、とにかく緊縮するのが正しいという考えにもとづいて、事あるごとに金融引締を実行しようとして、実際現日銀黒田総裁前までの日銀はその傾向が顕著でした。日銀官僚も様々な異常な、言動を繰り返しました。

一番驚いたのは、日銀が資料として「デフレは人口減によって起こる」というとんでもない説を日銀のサイトに資料として掲載したことです。これは当時掲載されているのを見た記憶があるのですが、本日再度確認してみたところ、見つかりませんでした。削除されたのかもしれません。

ただは、白川元総裁などが、それを匂わすような発言をしている記録はありました。

そもそも、デフレ、インフレとは純然たる貨幣の現象であり、簡単にいってしまえば、その時々で貨幣が発行されすぎている(インフレ)、貨幣が発行されなさすぎている(デフレ)であって、人口増減とは無関係です。

ちなみに、過去にこれをわかりやすくする例え話を掲載したことがありますが、それを以下に再度掲載します。

非常にきな臭い話になりますが、これはあくまで譬え話です。日本で、中性子爆弾(生物は殺すが建物などの構造物は壊さないとされている)を爆発させて、人口がいきなり半分になった直後はどうなるかという話です。

正解は、インフレになります。貨幣がそのままで、人口が半減すれば、当然のことながら、一人あたりで比較すれば、貨幣量は従来の2倍となり、インフレになります。その後日銀がこれに対して何もしなければ、インフレが続くことになります。

これ一つ考えても、デフレの原因が人口減というのは間違いであることがかわかります。日本が長い間デフレだったのは、生産性の向上等に応じて日銀が貨幣を増刷しなかったからに他なりません。

生産性が向上しても、それに対応して貨幣が増えなければ、これもデフレとなります。ざっくり言ってしまえば、いままで日本全体で10個しか製品を製造していると仮定し、企業が努力して生産性を向上させて、12個製造できるようにしたとします。そうして、12個製造しても、なお需要はあり、デフレでもインフレでないものとします。

そのときに、日銀金融緩和をして貨幣の流通量を増やさなければ、12個の製品のうち、10個はすぐ売れたにしても、2個はなかなか売れないということになります。これが、まさにデフレです。

私は、日銀官僚や財務官僚がその時々で、まともな経済学の理論からいえば、金融緩和すべきところを金融引締し、積極財政をすべきところを緊縮財政にするのは、なぜなのだろうと、長年不思議に思ってきました。

そうして、財務省の場合は、緊縮財政で経済が低迷したとしても、とにかく増税で税収を増やし自分たちがそれを各省庁などに差配できる量や力を増やし、もって権力基盤を拡大し、自分たちの天下り先の確保のような利権を強化しようという財務官僚による陰謀によるものではないかと思ってきました。

そのためには、黒を白、白を黒と無理やりいいくるめて、まるで大きな政治集団であるかのように動き、様々な策謀をめぐらし、税の徴収実行部隊である国税庁で脅しをかけて様々な陰謀を企んでいるではないかと疑念を持ったこともありしました。

ただ、日銀官僚がなぜ金融引締にこだわるのか、それによって何のメリットが未だによくわかりません。とにかく金を出さないほうが、勝ちとでもいうような、単純なは馬鹿みたいな考えに支配されているようにしかみえません。

日銀白川元総裁

ただ、財務省には何か陰謀めいたものを感じていました。それは、なぜかというと、やはり財務省の官僚は優れているという考えを前提としていたからかもしれません。ただ、確証といえるものにたどり着くことはできず、そのためこのブログでは、財務省が陰謀を企んでいると主張したことはありません。

そうして、長年そうした不可思議な姿勢を続け、いまでもその姿勢を貫いているようであるのを見るにつけ、ひょとして財務省の官僚は頭が悪いだけではないかと考えるようになりました。

そうして、昨年の財務省の矢野康治事務次官の異例ともいえる「政治的発言」により、その考えを強めることになりました。それは、『文芸春秋』昨年11月号に掲載されたる「財務次官、 モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」と題された論説です。

矢野氏の主張は、論説に付けられたサブタイトルで、その趣旨はほぼ尽きています。「誰が総理になっても1166兆円の“借金”からは逃げられない。コロナ対策は大事だが人気取りのバラマキが続けばこの国は沈む」というものです。

「借金」とは無論「政府の借金」です。「政府の借金」なる言葉は得体が知れず、先日もそのような言葉は経済用語には存在せず、政府や日銀の金融行動と個人の行動とを同次元に扱う点で非常に誤解を招きやすいことを指摘しました。

矢野氏の発言は「政府の借金」という言葉はつかっていませんが、まさしくこれを指しています。

矢野氏は論説の中で、不偏不党の立場で、客観的に財政の危機的な状況を訴えたとしています。例えば、昨年行われた定額給付金や企業への補助金政策を「バラマキ」の典型例としてあげています。
 あえて今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けているのです。(「財務次官、 モノ申す」より)
すでにこれらのバラマキ政策で、十分に民間にはおカネが行きわたっている、コロナ禍が終われば消費や投資が一斉に出てくるだけだ、というのが矢野氏の主張です。さらに昨年度予算の繰り越しが30兆円(4月時点)あるとして、「本当に巨額の経済対策が必要なのか。その経済対策は本当に有効なのか。そのコストや弊害も含めて、よく吟味する必要があります」と言い切っています。

先日も述べたように、これは全くの間違いです。現在でも需給ギャップは30兆円以上あり、これ埋めるための補正予算を組むべきなのです。それは、財務省や内閣府の出している統計資料を吟味すれば誰でも確かめられます。

矢野氏の発言は、全くの間違いです。この間違いを安倍元総理は的確にそうして、わかりやすく指摘しています。

安倍元首相
財務省の(矢野康治)事務次官が、このまま日本が借金まみれだと、タイタニック号のように氷山にぶつかって沈没してしまうという趣旨の論文を(月刊誌「文芸春秋」に)書いた。こういう話をするから将来に不安を持って、(消費者の)財布のひもが固くなる。

日本は決してタイタニック号ではない。日本がタイタニック号だったら、タイタニック号が出す国債を買う人はいない。ちゃんと売れている。

(新型コロナ禍での巨額の補正予算は)赤字国債でまかない、そのほとんどは市場を通じて日本銀行に買ってもらった。決して孫の代に(借金を)背負わせているわけではなく、借金を全部背負っているのは日本銀行だ。荒っぽい言い方だが、日本銀行は国の子会社。立派な中央銀行だが、5割は政府が株を持っているから、連結決算上は債務ではないという考え方も成立する。(昨年12月15日都内であった講演で) 

このように簡単に安倍元総理に論破されてしまうような、屁理屈を文書にして『文藝春秋』に平気で掲載してしまうのです。発言するだけならまだしも、あのような形で寄稿すれば、自らの間違った発言が公にさらされるだけではなく、文書として残り、いずれ歴史の一部ともなります。これは、並の「頭の悪さ」ではないと思います。

無論、矢野氏のこの行動は、財務省の省益を拡大したい一心からでしょうが、それにしても、あまりに筋悪です。

矢野氏も大学を卒業したばかりで、財務省に入ったばかりのころは、現在のように頭が悪すぎるということはなかったのでしょう。しかし、あまりにも長い間、民間企業などとはかけ離れた財務省という特殊な空間にどっぷりつかり、本当の意味で「成果をあげる」ことも要求されず、ひたすら、国民経済など無視し、とくにかく財務省省益ばかりを追求するように仕向けら結果のなれの果が、ただのポンコツになってしまたったということなのでしょう。 

そうして、これは他の財務官僚にもあてはまるのでしょう。そうでなければ、「とにかくいつでも緊縮こそ我が生命」的な考えや行動の説明がつきません。とにかく「省益」を最大限に追求することを優先するという財務省の立場にたったにしても、現在の財務省のやりかたは、あまりに筋悪です。うまいやり方をすれば、国民からも支持され、もっと豪華な退官後の超ウルトラリッチ生活を満喫できると思います。

国民をもっと豊かにすれば、企業も大いに潤い、その結果として、天下り先も増え、さらに天下り先での現在よりもさらに破格の待遇も期待できるかもしれません。それに国民から批判されることもないかもしれません。今の財務官僚まるで最近のプーチンのようにポンコツになってしまったようです。財務省がこの有様ですから、文部省の前次官前川などをみてもわかるように、他省庁相当ポンコツになっているのでしょう。

財務省がエリートなどといわれるのは、ポンコツ同士の間の想定的比較ではそうだというだけで、外の世界には全く通用しないのだと思います。

このように陰謀といわれているもののなかには、その陰謀を主導している人がただ頭が悪いので、陰謀のようにみえているということもおうおうにしてあるのでしょう。だからこそ、客観的な証拠もあけずに、平気で思いついた与太話ができるのです。

私自身は、陰謀論を撒き散らしたり、簡単に信じ込む人の殆どは、相当「頭の悪い人」なのだと思います。

ツイッターなどのSNSをしていると、こういった類の人にお目にかかることもよくあります。お目にかかるだけならまだ良いですが、ツイートにおかしげなリプライをしてきたりします。

たとえば、財務省への批判をツイートしたりすると、「ここにも馬鹿一人みっけ、○○はユダヤ資本が□□のため、△△したから」などとリプライしたりしてきます。

財務省の増税キャンペーンを批判すると、「そんな幼稚なこといっていないで、財政再建をしないと大変なことになるぞ」などとくだくだとリプライしてきたりします。

このような場合はすぐにブロックするようにしています。話をしても時間が無駄ですから、皆さんもすでにそうしていると思います。

そうして、このような事象にふれるたびに、このブログに掲載した、ドラッカーの主張である、「政府の中で、統治にかかわる部分は残し、残りはすべて政府の外にだすべき」という考えは正しいと思うようになってきました。

この話をすると多くの人は「そんな馬鹿な」というような顔をしますが、民間企業においても統治と実行する部門とが同じ部門にしておくと、統治でも実行でも、無様な程に成果があげられないということは明らかになっています。

そのため、大企業では、統治部分を持株会社等の本部が担い、その他は本部とは別組織の事業会社が担うようになっています。

民間がそのようにして、機能不全を防いでいるのに、政府だけが旧態依然とした組織で運営されています。そのため、今や世界のあらゆる政府が「馬鹿製造機」になってしまっているのかもしれません。その典型例がポンコツプーチンを生み出したロシア連邦政府かもしれません。

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