岡崎研究所
・メキシコのロペス・オブラドール大統領は、公然とメキシコの一党支配の時代に立ち返り、メキシコの民主主義の柱を損なっているのではないかという懸念を広く抱かせている。
・フィリピンのドゥテルテ大統領は、自国の司法を非難し中国の積極的な進出に妥協を重ねて来た。
サミットでは「権威主義からの防衛」「汚職との戦い」「人権尊重の推進」の3つをテーマに、各国が民主主義を活性化させる具体的な方策を協議します。その上で、1年後の来年12月に対面で2回目の会合を開き、進展を確認するとしています。
サミットの開催はバイデン大統領の公約で、権威主義体制と位置づける中国やロシアを念頭に、民主主義国が連携して対抗する姿勢を明確にする狙いをもっています。
調査では点数ごとに「完全な民主主義」(10.0~8.0)「欠陥がある民主主義」(7.9~6.0)「(民主主義と強権体制の)混合型」(5.9~4.9)「強権体制」に分類。日本は6年ぶりに「完全な民主主義」に復帰した |
ランキングは5つの観点から世界中の国々に点数をつけて算出する仕組みです。新型コロナウイルスの感染拡大で、ロックダウン(都市封鎖)をはじめとする強制力をともなう措置に踏み切ったことで、世界的に点数は低下する一方で、日本をはじめとする東アジアの国々は上昇。新型コロナ対策では批判を受ける日本政府ですが、点数の上昇は「政府に対する国民の信頼感の向上」が背景にあると分析されています。
20年は全世界の平均は5.37点で、06年の調査開始から最低を記録した。その原因のひとつが新型コロナへの対応で、20年のEIUの発表では、
「ランキングでは、政府の措置に対する国民の支持があったかどうかにかかわらず、市民の自由を制限したり、緊急事態の権限行使を適切に監視できなかったり、表現の自由を否定したりする国の評価が下がった」と説明しています。その一例として紹介されたのがフランスで、19年は8.12点で20位でしたが、20年は7.99点で24位に順位を下げました。分類上も「完全な民主主義」から「欠陥がある民主主義」に転落しました。
今月再びロックダウンされ、人通りのないシャンゼリゼ通り(右のポールに見えるポスターは、カンヌレーベルに選ばれたマイウェンの「ADN」) |
大統領選の大混乱が記憶に新しい米国は、「政治参加」の評価が上がったものの、「政府の機能」がダウン。19年の7.96点(25位)が20年は7.92点(25位)と微減し、引き続き「欠陥がある民主主義」にとどまりました。
19年は7.99点で24位だった日本は、20年は8.13点で21位にランクアップ。14年以来6年ぶりに「完全な民主主義」に復帰しました。EIUの報告書では
「この変化は、政府に対する国民の信頼感の向上によってもたらされた」と指摘されていますが、これに関しては、このブログでも菅内閣のコロナ対策は総体的には大成功と評価しましたが、EIUもこのような見方をしたということです。
日本は、アジア太平洋地域ではニュージーランド(9.25点、世界4位)、オーストラリア(8.96点、世界9位)、台湾(8.94点、世界11位)に次ぐ順位で、韓国(8.01点、世界23位)を僅差で上回りました。
特に台湾は、19年の7.73点、世界31位から大きく評価を上げています。報告書では背景として、20年1月に行われた国政選挙で若者を含めて高い投票率を記録したことや、新型コロナ対策ではロックダウンなどの強い措置が行われず、住民が自発的に対策に協力していたことなどを挙げています。
1位はノルウェー9.81点、2位はアイスランド9.37点、3位はスウェーデン9.26点でした。
テク企業への統制は中国企業の冬の時代を迎える―【私の論評】今後中国は社会も経済も発展することなく、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な全体主義国家になるしかない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
経済に関して、中国共産党が全く理解できていないことがあります。それは、先進国がどうして先進国になりえたかということです。
多くの発展途上国は、中国のように政府主導で、経済発展することができます。実際、過去には経済発展をした発展途上国もありました。ところが、一人あたりの国民の所得が100万円前後になると、それ以上になることはありませんでした。これを中進国の罠(中所得国の罠とも呼ぶ)といいます。
例外もありますが、それは産油国やシンガポール(人口570万人の都市国家)のような例外的な国だけでした。
なぜ、このようなことになるかといえば、それは民主化と、政治と経済の分離、法治国家化が行われないからです。
先進国は、過去において民主化、政治と経済の分離、法治国家化を成し遂げました。そのため、中所得国の罠を超えて、成長し現在に至っています。それ以外の国は、経済発展できず、発展途上国のままです。
これは、高橋洋一氏が作成した下の「民主主義指数(横)と一人当たりのGDP」を見ても明らかです。
民主化がなされれば、当然のことながら、その後政治と経済の分離、法治国家化もなされていくことになります。無論、経済・社会に規制などはなされますが、それは自由な競争等を阻害するときになされるのが筋です。
これによって何が起こるかといえば、多数の中間層が輩出され、それらが自由な社会経済活動を行うようになります。
自由が保証された中間層は、あらゆる階層、あらゆる地域で社会を変革するイノベーションを行うことになります。それによって、社会が改革され、あらゆる不合理、非効率が解消され、結果として経済発展します。そうして、中進国の罠を突破することになるのです。
これらをなし得たから、先進国は先進国になりえたのであり、故なく先進国になったわけではありません。
バイデン大統領は、 「民主主義サミット」で「権威主義からの防衛」「汚職との戦い」「人権尊重の推進」の3つをテーマとして話あいをするようですが、この内容では抽象的にならざるを得ないと思います。もっと具体的な話し合いをすべきと思います。
バイデン大統領は、経済発展するための基本は「民主化」であることを宣言し、全国民が豊かになるためには、「民主化」は避けて通れないことをテーマにすべきであると思います。
中国やロシアは民主化からはほど遠いので、これから経済的にも低下していく以外にないことも強調すべきと思います。
「民主化」こそ、多くの中間層を生み出し、それらが自由に社会経済活動をし、社会を発展させ富を生み出すことにより、国全体の富を増やし、経済発展して先進国になる唯一の道であることを参加各国に理解してもらうべきと思います。
そうすることにより、「民主化」があまり進んでいない国々が、「民主主義サミット」参加する意味や意義が出てくると思います。
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