2019年2月23日土曜日

ノーベル推薦問題でも鮮明…国益もたらした安倍首相と「仕事」できずに苦境の中韓―【私の論評】「べきだ論」に拘泥すれば、まともに仕事ができなくなるどころか人生でも失敗(゚д゚)!

ノーベル推薦問題でも鮮明…国益もたらした安倍首相と「仕事」できずに苦境の中韓

安倍首相

安倍晋三首相がトランプ米大統領をノーベル平和賞に推薦したと報じられた。これについては批判もあるが、外交の手段としてどう評価できるか。

推薦をめぐり、国会で質問があったが、安倍首相は否定も肯定もせず真偽を明らかにしていない。ちなみに、誰からの推薦があったかについて、ノーベル賞委員会は推薦者を50年明かさないので、50年間は分からないだろう。

トランプ氏への推薦は他国の疑問を招きかねないとの批判もある。立憲民主党会派の小川淳也氏は「ノーベル賞はありえない。日本として恥ずかしい」と非難した。

ただし、外交の観点からは、好き嫌いの感情より国益優先だ。国家間の関係は個人感情よりビジネスライクのほうがよく、そのようなリアルな外交からすると問題はない。各国の外交関係者には、日本はうまくやっていると見えるだろう。

実際にトランプ氏から「推薦」について話が出たというのは、米大統領に効果があったわけで、日本の国益という観点で、外交上の意味があったということになる。

いずれにしても、このノーベル賞推薦報道についてのコメントをみると、外交に関する理解度がよく分かる。

この推薦に批判的な人の中には、トランプ氏とのゴルフについても「遊んでいる」と批判する人もいるようだ。

こうした「理想主義的なお花畑論」は、「リアルな外交論」との対立軸に帰着する。お花畑論の人は「べきだ論」ばかりで、推薦もゴルフも不要であり、ひたすら理想論ばかりを言っていればいいとなる。

しかし、外交は生身の人間が行うことであるので、リアルな外交論からいえば、使えるものは何でもいい。一般のビジネス社会では、昼間の会議だけではなく、夜や休日の接待も「仕事」の一環となることも多い。トータルな「仕事」でビジネスすることを考えれば、リアルな外交論の方に軍配があがる。

実際、安倍首相は日本に国益をもたらしている。分かりやすい例が経済関係だ。トランプ氏の大統領選直後の面会、ゴルフ、そして真偽不明だがノーベル賞の推薦を行ったとされ、結果として日本は高関税を免れている。日本のアキレス腱(けん)は自動車関税だが、これまでのところ猶予されている。

トランプ氏は新しい天皇に面会するために5月中に来日する。6月末にも20カ国・地域(G20)首脳会議で来日する。このように短期間で米大統領が複数回来日することは異例だが、その頃までは、米国が自動車関税で日本を揺さぶることはないだろう。これは安倍首相が「仕事」をしてきたからだ。

一方、中国の習近平国家主席は、安倍首相のような「仕事」をしていない。そのため、トランプ氏は中国製品に高関税を課し、そのせいで中国経済は大きく減速している。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も「仕事」をできず、中国とともに経済で苦境である。

これまでのところ、中韓と比べて日本はうまくやっているというのが外交関係者の見方だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「べきだ論」に拘泥すれば、まともに仕事ができなくなるどころか人生でも失敗(゚д゚)!

日本では、企業によっては「虚礼廃止」ということで、社内や取引先などへのお中元、お歳暮の付け届け、年賀状まで廃止しているところもあります。これは、癒着や不正などを未然に防ぐという意味もあります。

また、取引先から接待など受ける場合は予め必ず上司に伺いをたてないとだめなどという会社もあります。

しかし、あまりこれが行き過ぎると、本当に社内や社外でお世話になった人に対してまで、真心によるお礼ができないということにもなりかねません。私自身は、何事もほどほどというのが良いと思います。

しかし、安倍総理がトランプ大統領に対してノーベル賞を推奨するなどという行為は、特に何も規制があるわけではないので、日米関係を考えると、私は上手なやり方だと思います。

ブログ冒頭の記事にもあるように、「理想主義的なお花畑論」的思考によれば「べきだ論」ばかりで、推薦もゴルフも不要であり、ひたすら理想論ばかりを言っていればいいということになります。

しかし、生身の人間同士が行う外交ですから、そこにはある程度の潤滑油も必要です。今回の安倍総理のノーベル賞の推奨は、その潤滑油の一つといえるでしょう。今回のことは、このくらいに鷹揚に考えられないのかと、ついつい思ってしまいます。


特に「べきだ論」は始末に終えません。「べきだ論」に浸る人たちには、「良き意図」と「意思決定」の区別がついていないようです。

経営学の大家ドラッカー氏は「意思決定」について以下のようなことを主張しています。
いかなる組織構造でも意思決定が行われる。その際、正しい問題を、正しいレベルで意決定を行い、実際の仕事に移し、成果に結びつけなければならない。
組織構造がこのプロセスの阻害要因となってはならず、意思決定を強化するものでなければならない。
では、意思決定にとっての阻害要因とはどのようなものでしょうか。
ひとつは、常に上位マネジメントが意思決定を行わざるをえなくなっていること。

二つ目は、構造が複雑で、明快さに欠け、致命的に重要な問題の発生がわからなくなること。

さらに、まちがった問題や成果に関わりのない縄張り意識に対して組織の関心を向けさせること。
ドラッカーは、組織構造の在り方は、意思決定を組織や個人の仕事に移すことに大きな影響を与える、としています。

最後に、
意思決定は、それが仕事としてあるいは行動として実行に移され、成果をもたらさないかぎり、良き意図にすぎない。
 「理想主義的なお花畑論」の人たちの意思決定は、もっぱらこの「良き意図」の範疇を出ていないのです。

ドラッカー氏

「お花畑論」の人々のこの「良き意図」は「べきだ論」にまで高まり、身動きがとれないほどに彼らをがんじがらめに縛っています。

ノーベル平和賞の本質を知っていれば、そうして現実の世界情勢を知っていれば、トランプ大統領をノーベル平和賞に推奨する行為は別に特に奇異なことではないことがすぐに理解できるでしょう。それについては、以下の動画を参照して下さい。



ノーベル賞の正体を知れば、安倍総理のように、「トランプ大統領をノーベル賞候補に推奨」するという、比較的重要ではない意思決定すらできないどころか、それを「良き意図」に照らし合わせ、否定的な批判しかできなくなってしまうのです。

ここでいう「良き意図」とは、無論「マスコミなどで見る限り、トランプは異常でありまともではないから、大統領にはするべきではない」という考えです。

「良き意図」にばかり執着する人々は、ドラッカーの語る「意思決定は、それが仕事としてあるいは行動として実行に移され、成果をもたらさないかぎり、良き意図にすぎない」という言葉の意味を全く理解していないようです。

要するに、まともな仕事をしていないのです。習近平も、文在寅も仕事をしていないのです。習近平は「とにかく中国共産党は絶対正しく何が何でもまもるべき」との、そうして文在寅は「とにかく北を支援すべき、反日すべき」との「べきだ論」にこりかたまっており、まともな仕事ができない状況に陥っているのだと思います。

「べきだ論」に拘泥しまともに仕事ができない、文在寅と習近平

そこにいくと安倍総理は「べきだ論」にこだわらず、欧米では左派の政策であるといわれている、金融緩和を実行して大規模な雇用の創出に成功しています。

日本にも「べきだ論」に凝り固まって、まともな意思決定ができず、結局仕事ができない人が大勢いるようです。そもそも「べきだ論」にこだわると、思考が停止します。

「〜べき」をはじめとする言い回しは何かを断言・決定・固定化するだけの「力」を持っているため、その言葉を使うことで自分自身を縛る枷となってしまいます。

「これはそうするべき」と断定してしまえば、それを簡単に撤回することは難しいです。人間は、意見や価値観の変化はあって然るべきですが、あまりに頻繁に二転三転していては、信用を失います。かと言って、なんてもかんでも「〜べき」で固定してしまえば、それ以外の主張を明らかにすることも憚られ、どんどん息苦しくなっていく一方です。
これは、上のように極端な事例で説明すれば、理解できるのでしょうが、意外と多くの人が「べきだ論」にこだわり、実際には何も仕事らしい仕事をしていないということは良くあることではないかと思います。特に中間マネジメント以上にそのような傾向がみられると思います。実際私は、そのような事例を過去にいくつもみたことがあります。

それにあまりに拘泥しすぎると仕事ができなくなるどころか、人生にも失敗してしまうようです。
貴乃花元親方

これに関しては"誰が不幸になろうと我をとおす「貴乃花病」"という趣旨の記事を高須クリニックの院長の興味深い記事があります。この"我をとおす「貴乃花病」"というのが、「べきだ論」で凝り固まる人の陥る病なのだと思います。
「べきだ論」に拘泥し続けると、仕事だけではなく、人生においても失敗してしまうということなのでしょう。

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2019年2月22日金曜日

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文在寅大統領

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の雇用政策は、驚くほど日本の民主党政権(当時)と共通点がある。その背景は何か。

 先日関西で放送された情報番組『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』で、金明中(キム・ミョンジュン)ニッセイ基礎研究所准主任研究員から興味深いリポートがあった。

 それによれば、韓国の文政権では、最低賃金引き上げと労働時間短縮をやったが、結果として失業率が上がったという。

 この話を聞いていて、筆者は「金融緩和を行って雇用を作る前に、先に賃金を上げてしまうと、結果として雇用が失われる」という典型的な失敗政策だなと思いながら、同時に民主党政権当時の政策を思い出した。

 実は筆者は、アベノミクスの金融政策を説明するため、韓国大使館をしばしば訪問していた時期がある。文政権が誕生する前のことだ。その後、韓国では文政権が誕生した。左派政権である文政権が、民主党政権と同じような失敗をしたのは、きわめて興味深い。

 左派政党の建前は「労働者のための党」というものだ。このため、雇用を重視する。しかし、雇用を作る根本原理が分からないと、目に見えやすい賃金に話が行きがちだ。

金融緩和は一見すると、企業側が有利になるため、短絡的に労働者のためにならないと勘違いする。金利の引き下げは、モノへの設備投資を増やすとともに、人への投資である雇用を増やすことになるのを分からないからだ。その間違いをする人は、金融引き締めで金利を上げることが成長にいいとか言いがちだ。立憲民主党の枝野幸男代表のかつての発言がその典型だ。

 そうした勘違いの末、政策としてやりやすい最低賃金の引き上げになる。

 民主党もこれで失敗した。2010年の最低賃金は引き上げるべきでなかったが、左派政権であることの気負いと経済政策音痴から、前年比で2・4%も最低賃金を引き上げてしまった。前年の失業率が5・1%だったので、それから導かれる無理のない引き上げ率はせいぜい0・3%程度であるのに、民主党はもったいないことをした。

 それが、結果として雇用の悪化につながった。民主党時代、就業者数は30万人程減少したが、第2次安倍晋三政権では300万人以上も増加した。

 大学卒業者の卒業年の就職率について、民主党時代の11年は91%だったが、安倍政権の18年は98%である。社会人になっていない学生は、雇用の既得権もないので、政策による雇用創出の巧拙の影響がもろに出る。

 最近の韓国は、北朝鮮化しており、いわゆる元徴用工判決、レーダー照射事件、慰安婦像問題、天皇陛下への謝罪要求など対日関係はひどすぎる。

 しかし、旧民主党からできた野党はほとんどモノを言わない。似た者同士なので言わないのかと邪推してしまうほどだ。

 野党が政府与党を批判するのは当然だが、2年以上も「モリカケ」をやって結果が出なかった。統計不正問題もまた「モリカケ化」するのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】文在寅・民主党政権の経済政策は「悪夢」以外の何ものでもない(゚д゚)!

2月10日の自民党大会で「悪夢のような民主党政権」と発言した安倍首相に対し、岡田克也元副総理が撤回を求めるなど、激しい論争になっていました。岡田氏にとっては、自分たちの時代を「悪夢」と言われて気のいいものではないことは理解できなくもありません。

一方で、国民にとって民主党政権の3年間は「悪夢」だったのかどうかは、様々な角度から検証されるべきです。

そもそもこの表現は、安倍首相だけが使っているものではありません。1月31日には、日本維新の会の馬場伸幸幹事長が衆議院代表質問を行い、その冒頭で「あの悪夢の3年間といわれた民主党政権」と発言しています。一国の首相と野党の幹事長では影響力が違うという声もあるでしょうが、首相だけの認識ではないということは、確認しておくべきでしょう。

さて、安倍首相が「悪夢のような民主党政権」と批判したのは、経済政策についてです。民主党政権時代は、安全保障分野では「普天間基地は最低でも県外」と掲げて内外の政策に大混乱を招いたこと、「尖閣諸島での中国漁船と日本の巡視船衝突事件」での中国人船長釈放、福島原発事故での「官邸による人災」など、「悪夢」と呼ぶにふさわしい出来事の連続でした。

鳩山元総理大臣

しかし、ここではあくまで安倍首相が指した民主党時代の経済政策、特に雇用に絞って議論します。

先に雇用以外について述べるなら、民主党政権が行った、震災復興増税の導入はまさに「悪夢」です。100年に一度の大災害が起きた場合、復興費用を捻出するために100年国債を発行するのが経済学の教えである。

これを増税で賄おうとしたことで、震災で大ショックを受けた上に、増税という人災で日本経済がダブルショックを受けることになったのです。地震などの自然災害を増税などで、賄うなどという、常軌を逸したことを行ったのは、古今東西日本の復興増税だけです。

私は、経済政策を評価する際、①雇用、②所得を基準に評価を下します。これは一貫して変わっていません。景気が悪くなれば、まず金融緩和(これに財政出動も加えて)によって有効需要を創出し、雇用を作るのがマクロ経済政策の手順です。

この観点から見れば、民主党時代の経済政策は「悪夢」だったと言えます。働きたい人に仕事がある状況を作るのが政治の大きな責任であり、民主党政権と安倍政権の差は、何より「雇用の創出ができたかどうか」です。

この両政権の差は、金融政策です。金融緩和を行わなかった民主党政権と金融緩和を行った安倍政権の差です。

金融政策がどうして雇用に効くかというと、一般物価の変動を通じて実質金利に作用し、モノへの設備投資とともに、ヒトへの雇用の増大へ影響するからです。他の政策では、個別物価に影響を与えても一般物価には影響を与えられません。これは金融政策がもつ、他の政策にない特徴です。

民主党は、この点の理解がまったくできていませんでした。就業者数を増やすべき時に、賃金を引き上げようとしたのですが、これはまったくの経済政策オンチだったといわざるを得ないです。

民主党議員等の中にも、馬渕氏や金子洋一氏のように、「金融政策は雇用政策であり、もっと金融緩和すれば雇用がよくなり自殺率がさらに低下する」ということを理解している人もいますが、これはほとんど例外的であって、民主党の議員のほとんど、そうして幹部は、皆無でした。これは自民党も似たようなものですが、安倍総理とその側近はこれを理解しています。

金子洋一前参議院議員

このような政策が実現しなかったのは、当時執行部にいた、現立憲民主党党首の枝野幸男氏の影響もあるでしょう。というのも、民主党が政権を取る前、あるテレビ番組で枝野氏は「金融引き締めが高成長につながる」との持論を展開していたからです。

安倍首相は政権を取る前から、金融政策のことを話していたので、やはりこれを理解していたのです。

私は、こうした話は、日本だけの話かと思っていたのですが、ブログ冒頭の記事にもあるように、「金融緩和を行って雇用を作る前に、先に賃金を上げてしまうと、結果として雇用が失われる」という典型的な失敗政策を文在寅大統領が実行して大失敗しているのです。これについては、昨年何度かこのブログにも掲載したことがあります。

実は筆者は、韓国の日本大使館にアベノミクスの説明をするためにしばしば訪問していた時期がある。文政権が誕生する前のことだ。その際、金融政策は雇用政策であることを安倍政権にも民主党政権にも説明したが、実行したのは安倍政権で、結果、雇用の確保に成功したということも説明した。

その後、韓国では文政権が誕生しました。文政権は左派政権ですが、金融緩和策を採らなかったために、民主党政権と同じような失敗をしたのは、きわめて興味深いことです。

このような失敗政策の悪影響は、大学新卒者の就職率に表れます。新卒者は限界的な雇用なので、政策による雇用創出の巧拙の影響がもろにでるからです。実際、いまの韓国で、大学の就職率はかなり悪いです。大卒の就職率は67.7%であり、若者の失業率は10.0%といわれています。

日本でも、大学卒者の卒業年の就職率について、民主党時代の2011年は91%でしたが、安倍政権の2018年は98%でした。社会人のスタートにもついていない学生は、雇用の既得権もありません。そうした若者に、将来の安心をいかに与えることができるかは、政治にとって重要なことです。この意味でも、民主党時代は酷かったと言えます。

これは大学関係者や企業の人事部の人なら誰でも知っていることです。少し前には、どの企業にとっても新卒雇用は買い手市場で、かなり楽だったはずです。しかし、今はその全く逆です。

若い人たちも民主党政権時代に就職状況が悪かったことはよく知っています。若い人の安倍政権政権支持が多いのは、右傾化ではなく、就職ができるようになったからでしょう。

経済政策においては「雇用の創出が先決で、賃金は後からついてくる」が正しいです。ただし、最低賃金をどのように設定すべきか、という問題が残るのは事実です。実は、最低賃金は前年の失業率から無理のない水準にし、賃金は後からついてくるという原則を曲げないようにさえすれば良いのです。

この点、安倍政権はかなり、手練たやり方をしています。雇用を作りつつ、失業率が下がるような環境を作っておき、最低賃金は失業率の低下に合わせて、毎年上がっていくように調整しています。

安倍首相は、このメカニズムを「政治的」に上手く利用しています。前の年の失業率低下から、無理のない最低賃金の引き上げを行うのですが、その際、「政労使会議」を利用し、あたかも安倍首相主導で最低賃金を引き上げたように見せ、政治的なプレゼンスを高めているかのようです。

いってみれば、最低賃金の引き上げは、雇用創出の成果であるが、その果実を安倍政権は政治的に上手く利用しているともいえます。

それは、次の図で明らかです。



民主党は、はじめの年の2010年の最低賃金は引き上げるべきでなかったのです。しかし、左派政権であることの気負いと経済政策音痴から、前年比で2.4%も最低賃金を引き上げてしまいました。前年の失業率が5.1%だったので、それから導かれる無理のない引き上げ率はせいぜい0.3程度であるのにです。

こうした失政は、多くの国民が(少なくとも肌感覚で)わかっているのに、元民主党の関係者は、このことについての反省がないようです。それでは、永遠に次の政権交代は起こらないでしょう。政権交代の選択肢がないということは、国民にとって大きな損失です。

最後に、①雇用と②所得(総所得と賃金)について、民主党政権と安倍政権の成果について、念のために図を掲げておきます。



これらをみれば、日本維新の会の馬場伸幸幹事長でなくても、「悪夢」といいたくなる気持ちがお分かりいただけると思います。

さらに、最近国会で、修正後もわずか0.5%とかその程度しか違わないの統計不正に関して、倒閣に利用しようとする民主党の後継である、立憲民主党等が国会での追求をみていると本当にあの「悪夢」を生み出したのは、「悪魔」ではないかと思ってしまいます。

ただし、不正は不正です。しかし、あの不正は官僚側に100%問題があるのであって、安倍政権側の問題ではありません。もし、あれで政権が崩壊するというのなら、どの政権も不正など発見しなくなってしまいます。

そうして、民主党政権のときにもあの不正はあったということを現在の立憲民主党や、国民民主党などの野党はどう考えているのでしょうか。

やはり、文在寅政権と民主党政権の経済政策は「悪夢」以外の何ものでもないです。

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2019年2月21日木曜日

【石平のChina Watch】20代蝕む「借金漬け経済」―【私の論評】無限の闇に向かって突っ走る中国の経済・社会! 冷戦はそれを若干はやめるだけ(゚д゚)!


中国主席習近平

昨年7月12日付の本欄は中国国内の巨額負債問題を取り上げたが、今年1月、負債総額に関する驚くべき数字が中国の経済学者によって披露された。中国人民大学教授の向松祚氏は1月20日に上海で行った講演で、今、中国国内で各方面の抱える負債総額は「約600兆元(約9700兆円)に達していると語った。これは、日本の名目GDPの18倍に近い、天文学的な数字である。

 今の中国経済はまさに莫大(ばくだい)な負債の上に成り立つ「借金漬け経済」であるといえるが、実は近年、この国の20代の若者たちまでが「借金漬け経済」のとりことなっているのである。

 先月下旬、中国国内の各メディアは香港上海銀行(HSBC)が行った経済調査の数字を大々的に報じた。それによると、今の中国では、20代の若者たちが抱える個人負債額は1人当たり12万元で、この世代の平均月給の18倍強に相当するという。

 「12万元」となると、日本円にしては約200万円。現時点での中国国民と日本人との平均収入の格差を考慮に入れれば、「負債額12万元」は、日本での感覚で言えば、20代そこそこの若者たちが平均して「500万~600万円の借金」をかかえていることになる。まさに驚愕(きょうがく)に値する異常事態であろう。

 中国の20代が抱える負債の多くは民間の消費者金融からの借金である。例えば中国で有名な消費者金融業者「蟻金融服務集団」が運営する「花唄」という金融サービスには、20代の若者、約4500万人が登録し、利用しているという(『2017若者消費生活報告』)。つまり、全国の20代の4人に1人が、この金融サービスを利用しているという計算である。

花唄のサイト

 もちろん「花唄」以外にも若者たちをターゲットとする消費者金融が多くあって繁盛している。実際、全国で消費者金融を利用している人々の半数近くが20代の若者である、という調査結果も出ているのである。

 先月発売の『中国新聞週刊』の分析によると、20代の若者たちが消費者金融に走った理由の一つは、彼らが業者やマスコミの吹聴する「超前消費=前倒し消費」という「新概念」に洗脳され、欲望が無制限に拡大したことにある、という。その結果、彼らは自分の収入水準をはるかに超えた消費をむやみに求めることになっている。

 「花唄」を利用している20代の64%が借りたお金を電子製品や化粧品、ぜいたく品の購入に費やしているとの調査結果もあるから、20代の消費行動がまさに「身の程知らず」の不合理なものであることが分かるであろう。

 しかし、これら若者たちの不合理な消費行動によって中国経済の成長と「繁栄」が支えられている面もある。昨年の「独身の日」、例のアリババのショッピングフェスティバルは1日で310億ドルの売り上げを見せたことで世界を仰天させたが、考えてみれば何のことはない。大半が独身であろう20代の若者たちが借金をして買い物したために、驚異的な売り上げを記録しただけなのである。

 そんなのは、あくまでも砂上の楼閣だ。若者たちが20代で冒頭のような高額な負債を抱えていると、今後は借金の返済に追われていくのがオチである。経済の低迷で20代の収入も伸び悩みとなるから、これから借金の「蟻地獄(ありじごく)」に陥るのは目に見えている。

 若者たちによる無理な「超前消費」と、それを頼りにしている小売業者の商売繁盛はいずれか、砂上の楼閣のごとく崩れてしまい、ただでさえ中国経済のネックとなっている国民全体の消費不足がさらに拡大していく。多くの消費者金融の破綻も避けられない。中国流「借金漬け経済」のツケはこれから回ってくる。


【プロフィル】石平(せき・へい) 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】無限の闇に向かって突っ走る中国の経済・社会! 冷戦はそれを若干はやめるだけ(゚д゚)!

上の記事では、中国の拝金主義が若者をも深く蝕んでいることが書かれていましたが、どこの国でも若者の行動はその社会を反映したものであることが多く、中国も例外ではないです。

以前より問題視されている中国産食品の安全性。特に農薬の基準値オーバーなどの違反事例が多いというのも拝金主義による側面が大きいです。

さらに、“経済的な問題”の影響も大きいです。昨年頃から中国国内は経済の減速感に包まれています。トランプ米大統領の米国と相互に制裁関税を課し合う貿易戦争が、地方経済を直撃しているのです。

そもそも、中国では先にものべたように、拝金主義が強く、後先考えず“儲かればいい”とばかりにずさんな安全管理をするケースが目につきます。経済が冷え込めば、なおさらです。

たとえば昨年、出荷直前の牛の体重を水増ししようと、1頭あたり60リットルの水を強制的に飲ませた畜産農家が告発されました。また、過去にはすいかの生産量を倍増させるため「成長調整剤」を畑に撒いたところ、すいかが爆発するという事件まで起きてます。

中国で爆発したスイカ

「日本の食品会社は『食中毒を出したら会社が潰れる』という高い意識で商品管理を行っていますが、中国の場合は大きな事故を起こしたメーカーも、ほとぼりが冷めると普通に営業を続けるケースが多いのです。

なぜ中国では食品の安全が脅かされるような事件が起こり続けるのでしょうか。それには中国という国のいびつな形によるところが大きいです。

賄賂や人脈などを重視する官僚主義によって管理の不徹底が見逃されてきたり、本当の意味で不正な食品を監視するメディアがないことも指摘されています。

そもそも道徳心が欠如していることが問題です。社会主義国家であるにもかかわらず、資本主義経済が導入された中国では、拝金主義がはびこるようになりました。その上、「お天道様が見ている」というような行動を律する倫理意識も低いため、「儲かればいい」と考えがちなのです。

中国人でさえも、自国の食品に対して危機感を抱く人が増えているというのは自然な流れでしょう。

もともと中国人は他人を信用しません。食べ物に関しても同じで、農村では農薬除けのために洗濯機で野菜を洗う習慣があるし、飲食店では食器を使う前にお茶で熱湯消毒してからでないと口にしない地域もあります。

2015年に北京市が1000人の市民を対象に行った食の安全に対する満足度調査では、99.3%の人が「食品安全の知識を求めている」と回答したといいます。

食品の安全に関しては、非常に二極化しているというのが最近の特徴です。安ければ健康はどうでもいいという人もいる一方、富裕層向けの高級食材スーパーでは、QRコードを読み取ると、どこでどう作られたかがわかるトレーサビリティーの仕組みが取り入れられていたり、生産した畑の様子を動画で見ることができるものまであります。

日本の安全な食品を取り寄せる中国富裕層も珍しくなくなり、日本人が中国食品を食べ、中国人が日本食品を食べるという逆転現象さえ起きているのです。

中国では、若者どころか、社会全体が上から下まで、金儲けのために「暴走」しているといつても過言ではありません。

本来ならば、「道徳」「倫理」がその歯止めになるものですが、それが中国には存在しないのです。2011年に北京大学の林毅夫教授が「2030年の中国のGDPは米国の2倍になる」と語りました。

結局、GDPでの規模拡大を最上の「繁栄」と位置づけている社会において、最後に残されている選択肢は破綻する以外ないはずです。米国社会学者のタルッコット・パーソンズは、以下のような社会変動図式を提唱しました。
L(宗教)→I(社会)→G(政治)→A(経済)
経済(A)は最終的に宗教(L)によって規定されるのです。中国には、自己抑制するL(宗教)が存在せず、欲望を肥大化させる「道教」(長寿と金持ち)しか存在しないことが、欲望の暴走を拡大させるのです。

米国社会学者のタルッコット・パーソンズ

しかも国家指導部のトップたちが、揃いも揃って家族に美味しいビジネスチャンスを許している実態は、国民すべてに違法ビジネスですら奨励する副次的な効果をもたらしているのです。

「薄熙来・前重慶市党委書記も、親族ぐるみで蓄財した資産は1億ドル(約79億円)を超える」事態は、中国人の欲がどれだけ大きいかを天下に知らしめたといえます。中国では欲望に「ほどほど」という際限がないのでしょう。「多々ますます弁ず」なのです。

自己抑制のない社会は、暴走するのみです。最後は自滅への道があるだけなのですが、中国ではこれを逆に解釈しているようです。

北京大学の林教授の所説のように、2030年には中国のGDPが米国の2倍になるという。こういう想定が出てきた背景を考えると、中国経済の成長抑制因子は全く頭に浮かばなかったのでしょう。

普通ならば、1978年から2010年まで10%成長を続けてきたのだから、当然に成長抑制因子(例えば、環境保存コストの増大等)が登場するはずと考えるはずです。それを完全に無視しています。ここが中国社会の構造上の特色です。「欲望はすべて満たされる」という前提に立つのです。

こうした中国の「欲望無限型」の登場は、宗教的(道教)背景から言っても肯けるところがあります。欲望の自己抑制機能は存在しないからです。

中国経済を規定しているものは、明らかに道教的な欲望の「自己発散型」でしょう。一国の経済成長とイノベーションなどは相関関係にあります。経済だけでなく、あらゆる方面で、イノベーションを成し遂げなければ、国の発展などあり得ないのです。

多くの人々が、国の体制をそのままにして、拝金主義に突っ走り、自分だけ儲けられればそれで良い良いと考える国には将来はないです。

しばらく前から、中国の拝金主義が、中国国内だけでなく、多くの国々にも悪影響を与えているることは明らかになっていました。多くの国々は、数十年前から中国が経済発展すれば、まともな国になるだろうと考えていたようですが、それはことごとく裏切られました。

米国も自国が明らかに不利益を被っていることがずいぶん明らかになっていたのですがオバマ政権のときはそれを静観しましたが、トランプ政権は中国に対する制裁を開始したのです。

林毅夫教授のような経済論は、百害あって一利なしです。林毅夫教授のよる経済論は、他国の拝金主義者にも大きな影響を与え、中国幻想を生み出しましたが、さすがにその幻想から冷めた人のほうがはるかに多くなりました。

中国の経済も社会も無限の闇に向かって突き進んでいます。米国による経済制裁などは、これを若干はやめることになるだけです。これは疑いないところです。

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2019年2月20日水曜日

米国務省が警笛を鳴らす中国の人権問題―【私の論評】中国を「法治国家化」するには、経済を弱体化させ中共を崩壊させるしかない(゚д゚)!

米国務省が警笛を鳴らす中国の人権問題

岡崎研究所

 2019年1月29日付で、米国務省は、中国の人権派弁護士、王全璋(Wang Quanzhang)氏に対する判決に関して、以下のようなプレス・リリースを発表した。

中国の人権派弁護士、王全璋(Wang Quanzhang)氏

 「1月28日に中国天津で、人権派弁護士の王全璋氏に対して「国家転覆罪」で4年半の禁固刑が言い渡されたことに、米国は深く憂慮している。王氏は、2015年7月9日(「709」)の中国政府による法の支配提唱者や人権擁護者に対する取り締まりによって最初に拘留された者の一人であり、判決を下された最後の者の一人である。

 中国が王氏を判決前に3年半も拘留、監禁し、彼が選定した弁護士は認められず、その弁護士は報復にあったことを、我々は問題視する。

 我々は、王氏が即時に釈放され、彼が家族のもとに戻れることを、中国に要求する。中国において、法の支配、人権及び基本的自由の状況が悪化していることを、我々は憂慮している。そして、中国が国際的人権ルールを守り、法の支配を尊重することを、引き続き要請する。」

参考:Department of State‘Sentencing of Wang Quanzhang’January 29, 2019
https://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2019/01/288664.htm

 2015年7月9日に開始された「709」キャンペーンでは、2-3週間の間に、300名もの人権擁護や民主主義、法の支配を訴えていた弁護士や法律顧問等が逮捕、抑留され、弁護士資格を剥奪されたり、仕事を失ったりした。

 この中で、上記に掲げた王氏のほか、少なくとも 4 名が収監された。2016年 8月、周世鋒(Zhou Shifeng)氏と胡石根(Hu Shigen)氏は、それぞれ7年と7 年半の禁固刑を言い渡された。2017年11月には、江天勇(Jiang Tianyong)弁護士が2年の刑に処せられた。その翌月2017年12月には、人権活動家の呉淦(Wu Gan)氏が8 年の刑を言い渡された。

 また、上記のプレス・リリースで指摘されている、王氏の弁護士に関しては、そのうちの一人、余文世(Yu Wensheng)弁護士とは連絡が付かず、 彼は1年以上拘束されているとも言われている。

 なお、この問題に関しては、1月31日付の米ワシントン・ポスト紙が社説で取り上げている。

 中国については、共産党が大きな役割を果たし、はたして市場経済であるのか否かとか、世界標準を外れた行いを中国の特色として正当化する傾向があるとか、いろいろな問題があるが、人権無視の問題はその中でも中国を尊敬できない、恐ろしい国にしている主要な問題である。このことについては、不断に注意喚起をしていく必要がある。

 中国で人権のために勇敢に戦っている人々は、民主主義世界の支持に値する。

 旧ソ連でも、1975年まで人権はひどく無視されていたが、ヘルシンキでの全欧安保会議でヘルシンキ宣言が採択された後、状況は徐々に変わっていった。中国に関しては、もちろんヘルシンキ宣言のようなものはないが、人権規約のうち社会権規約は締結済みであり、自由権規約についても署名済みである。自由権規約の批准、締結を求めていくことが適切である。

 また、中国の人権問題を、ウイグル、チベットの問題を含め問題にしていくことは大切である。それが中国を異形の大国である度合いを低めることになる。国内での法の支配の強化につながるし、国際的な場での法や規則の尊重にもつながると思われる。

 日本の人権活動家も、もっと中国の人権状況に関心を払うべきであろう。

【私の論評】中国を「法治国家化」するには、経済を弱体化させ中共を崩壊させるしかない(゚д゚)!

中国が掲げる「法治」は、共産党独裁を支える強権の追認でしかありません。法治に名を借りた人権弾圧を、決して見過ごしてはならないです。

中国は先進国のように「法治国家」されていません。そもそも、中国では憲法は中国共産党の下に位置づけられており、まさしく共産党は何でも意のままにできるというのが実態です。

法律体系もある程度は整えられているのですが、細かなところはあまり決まっていません。細かなところまで決めてしまうと、これに共産党が足を引っ張られて、意のままに動けないから、決めないのです。

天津の地裁にあたる裁判所は、ブログ冒頭の記事にもでてくるように、人権派弁護士の王全璋(おう・ぜんしょう)氏に懲役4年6月の判決を言い渡した。

「国家政権転覆罪」の適用にあたり裁判所は、家族や支援者らの傍聴すら認めませんでした。王氏が法廷で裁判批判を展開し、傍聴者を通じて王氏の主張が広まることを恐れた措置とみられています。

文化大革命で「反革命犯」とされた共産党の女性幹部、張志新は銃殺前にのどを切り裂かれました。刑場で不都合な言葉を叫ばせないための措置だったといいます。

張志新

裁判所の発想は、文化大革命当時のままではありまんせんか。

支持者の傍聴を認めず、判決理由すら示さない裁判が存在すること自体が現代の奇観です。裁判そのものが不当であり、王氏の即時釈放を強く求めます。

王氏と同じく、人権派弁護士や民主活動家を狙った2015年7月の摘発では、320人以上が連座しました。王氏の拘束は3年半あまりと最長に及びます。王氏が転向を拒み続けたためです。

拘束された者の多くが肉体的、精神的な拷問を受けたとの証言があります。夫との面会を求めた王氏の妻、李文足さんも治安当局の嫌がらせを受け続けました。

権力強化を進める習近平政権には、弁護士らが進める自由民主の価値観や権利意識の広がりが目障りだったのでしょう。改めて、中国共産党とは価値観を共有できないことを印象づけました。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、王氏の裁判そのものを「ひどい茶番」と断じています。

ドイツのメルケル首相は昨年の訪中時に北京で李文足さんと面会し、写真が公表されました。国際社会は中国の人権弾圧を注視しているという重要な取り組みです。

北京で李文足さん(左) と面会したドイツのメルケル首相

習国家主席との米中首脳会談を予定するトランプ大統領も、通商だけではなく中国の人権問題に言及してもらいたいものです。

それにしても、中国がまともに「法治国家化」できないのにはそれなりの理由があります。

先日新聞を読んでいると「中国の農村でも法治が進んだ」という趣旨の記事が目に入りました。大意を記せばこのような話です。

河北省のある農村で土木工事の請負を生業にしている自営業者がいました。2014年に用水路掘削の仕事を受注、完工したのですが、一向に代金が支払われないのです。こうした話は過去にもあり、泣き寝入りのケースも多かったそうです。

そこで自営業者氏は町のゴロツキ連中を雇い、発注者を脅かして一部を取り立てました。しかしその後、この人物は「このやり方は間違っている」と改心し、政府を頼ることにしました。役所の相談窓口に通って法的手続きを申し立て、司法機関の介入の下、見事に工事代金を手に入れたそうです。何事も「法治」で解決することが重要だという内容です。

たわいのない話ではありますが、中国社会で「法治」という言葉がどのような意識で使われているかがうかがわれます。まさに、多くの中国人が、私的な実力で問題を解決するのではなく、公的機関に訴えて自己の利益を守ることが「法治」であると考えているようで、実際政府もそのような行動を奨励しているにです。

もちろんこれらも「法治」の一部には違いないですが、日本をはじめとする先進国などの社会の「法治」の概念とはズレがあります。

私たちが日常的になじんでいる「法治」は「法律という一つの体系の下、社会的地位や属性などに関係なく、すべての参加者が同じルールでプレーすること」という考え方です。一方、中国社会の「法治」は「法律という道具を社会の管理者(権力者、政府)がしっかりと運用し、社会正義を実現すること」という意味合いが強いです。

こうした中国社会の「法治観」には一つの前提があります。それは社会には必ず国民の上に立つ「統治者(権力者、政府)が存在している」ということです。

日本を含むいわゆる議会制民主主義の国々では、社会を管理しているのは国民、つまり私たち自身です。うまく管理できているか否か、その実態はともかく、理屈の上では私たちは自ら代表を選び、その人たちに国の方向づけと管理を行ってもらっているすなわち信任していると考えます。

代表が十分な仕事をしていないと考えれば、人選を変えることができます。つまりこの社会を管理し、社会正義を実行するのは私たち自身の責任である。社会がうまくいかなければ自分たちで何とかするしかない。そういう大原則があります。

ところが中国の社会はそうではありません。現在だけでなく、中華民国時代の短い一時期、国内の一部で議会制民主主義が行われたことがある以外、古代から今に至るまで、中国には常に「支配者」が存在し、実力で世の中を制圧し、民草の意志とは無関係に「自分たちの都合」で統治を行ってきました。

法律とは支配者が「自分たちの都合」を実現するために作るものなのです。これは「良い、悪い」の問題ではなく、天地開闢(てんちかいびゃく)以来の現実としてそうであったし、現在の体制も例外ではないのです。

だから中国社会で暮らす人々にとって統治者の存在は水や空気のように当たり前であり、「自分たちで社会を管理する」という発想はほぼないのです。社会を統制し、「良い」世の中にするのは天から降ってきた「偉い人」の仕事であり、統治者がその仕事をうまくできなければ不満を言うのです。

ただ、あまり強く文句を言うと身に危険が及ぶから、周囲の空気を忖度しながら要求を出したり引っ込めたりするのです。要は「社会を良くする」「社会正義を実現する」のは民草の責任ではなく、統治者の義務であるという点がポイントです。

そして、そのような状態を中国の普通の人々は、「喜んで」ではないのですが、受け入れているのです。それは、そのような状況しか体験したことがないから比較のしようがないこと、さらには統治者に対する不満はあれども、間違いなく「無秩序よりはマシ」だからです。

5年に一度開催される全国人民代表大会。最新のものは2017年に開催された。
その時の写真。習近平が演説している。この大会は最早実社会から乖離している。

そして、統治者が仕事の遂行のために作る道具が「法」であり、それを使って世の中の秩序を維持することが「法治」です。人々は、統治者がそれを実行してくれるが故に、嫌々ながらも「税」という名の対価を払います。そういう構造が明らかに存在しています。

このような考え方を根本から変えなければ、中国は法治国家できません。

ただし、西欧の先進国でも近代になって国民国家が樹立されるまでは似たような考えでした。しかし、いくつかの国がさきがけて、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を推進し、多くの中間層を輩出し、それらが自由な社会経済活動を行い多くの富を生み出し、経済的にも軍事的にも強国になりました。これに負けじと多くの国々がこれを実行して強国になりました。

なぜ、このようなことになったかといえば、自分の国も強国にならなければ、他の強国に潰されてしまい、多くの国民の生命、財産が奪われ、国民も他国に従属せざるをえなくなるという恐怖があったからです。

ただし、中国はこのような体制を整えることなく、海外から多くの資金が流入して、経済だけが発展するという歪な発展を遂げました。先進国は中国が豊かになれば、自然と民主化、政治と経済の分離、法治国家化がすすみ、先進国と同じようになると期待していましたが、その期待はことごとく裏切られ今日に至っています。

今のままであれば、中国が「法治国家」することなど考えられず、人権問題はいつまでも放置されることになるだけです。

やはり、米国等よる経済制裁等で、中国を経済的に弱体化させ、中国共産党を崩壊させ、そこから再構築するしか道はないようです。

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2019年2月19日火曜日

バブル崩壊後の日本がマシに見える中国のこれから―【私の論評】中国のディストピアはさらに苛烈になり地獄をみることになる(゚д゚)!

バブル崩壊後の日本がマシに見える中国のこれから

政治体制はそのまま、悲惨なディストピア時代へ

2017年2月27日、中国の新疆ウイグル自治区ウルムチで
1万人以上の武装警官が大規模な軍事パレードを行った

崩壊すると言われながら長い間崩壊しなかった中国経済がついに崩壊し始めた。一時は、「中国崩壊説の崩壊」などと揶揄されていたが、やはり不自然なことはどこかで限界に突き当たる。

 バブル崩壊後の中国について考えてみたい。それには日本のバブル崩壊がよい教材になる。

 中国の経済発展と日本の発展はよく似ている。(1)官僚主導、(2)低賃金労働を武器にした輸出主導、(3)技術を盗んだと欧米から非難されたこと(中国は日本からも非難された)、(4)末期に不動産バブルや過剰融資、それに伴う金融不安が問題になったこと、(5)いずれ米国を抜いて世界最大の経済大国になると言われたことまで、そっくりである。

 そう考えれば、中国が今後どのような道を歩むかを考える上で、日本のバブル崩壊後の歴史が大いに参考になる。

ワンレンボディコンが踊り狂った日本のバブル

 中国経済成長は日本より25年から30年程度遅れている。中国の2019年は日本の1989年から94年に相当する。歴史に完全なコピーなどはないから、5年程度の誤差は仕方がない。

 現在の中国が日本の90年代前半と同じような段階にあると考えると、“爆買いから、こと消費”などと言われていることも合点がゆく。プラザ合意(85年)で円が強くなると、多くの日本人はヨーロッパに出かけて、ルイ・ヴィトンやグッチ、セリーヌなどブランド製品を買いあさった。しかし、90年代の中頃に入ると買い物には飽きて、秘境(たとえば電波少年と猿岩石、96年から)やヨーロッパの田舎を訪ねることがブームになった。

 日本のバブルを語る上で忘れてはならないのはディスコの「ジュリアナ東京」であろう。若者、特に女性がワンレンボディコンと呼ばれるバブルを象徴するファッションで「お立ち台」と呼ばれる舞台に登り、朝まで踊り狂った。

 ジュリアナ東京は91年に開店し94年に閉店している。経済的なバブル崩壊は90年なので、ジュリアナ東京が開店したのは厳密にはバブル崩壊後である。だが、多くの市民はバブルが崩壊しても、バブルは永遠に続くと思っていた。

コンサートとディスコを合体させたパーティーの「お立ち台」で、
思い思いの衣装を着て踊る女性たち =1994年8月29日、東京ドーム

 しかし、さすがに94年になると皆がこれはおかしいと思い始めた。日本人全員がバブル崩壊したと確信したのは山一証券などが倒産した97年であろう。

経済が変曲点を迎え、政治も官僚機構も変革した日本
 昨今、中国の電子工業界からの受注が急減したと言われるが、その一方で、日本製の高級化粧品の売り上げは伸びている。また、訪日客も増えている。この現象は、日本の1990年代初頭を思い浮かべれば、容易に説明がつく。

 あの時期、日本政府は景気を回復させようと躍起なって公共事業を行ったが、中国も同じことをやっている。だから、鉄鋼やセメントなどの需要は底堅い。

90年代の日本を語る上で最も重要なことは、政権が大きく揺れ動いたことだ。55年の保守合同以来、初めて非自民政権(細川政権、93年)が誕生した。94年には、現在の政治状況を昭和とは大きく異なるものにした衆議院の小選挙区制度が作られた。その後、自民党は政権を取り戻すために長年の政敵である社会党と連立を組み、首班が社会党の党首になるという驚愕の事態が出現した(94年)。

 高度経済成長を牽引したとして絶賛されてきた官僚機構が、新たな状況に対応できていないとして批判にさらされた。ノーパンしゃぶしゃぶ事件(98年)などによって、多くの官僚が処分され、官僚は地位も権力も失っていった。官僚の中の官僚と言われた大蔵省は特に強く攻撃された。金融部門を分離されて、名称も歴史と伝統を誇る大蔵省から財務省という一般的な名称に変更させられた(2001年)。もはや多くの官僚にとって、昭和の日本では当たり前だった「天下りで美味しい老後」など、夢のまた夢だろう。

 経済が変曲点を迎えると、政治も官僚機構も変革を余儀なくされた。日本は21世紀の日本にふさわしい理念として「官から民へ」「規制緩和」「内需主導」などを選び、それに対応する体制が求められた。

中国のバブル崩壊が政治変革につながらない理由

 中国共産党による経済運営は、地方政府の財政赤字、無駄な公共事業、非効率な国営企業などによって立ち行かなくなっている。そのあり様は、見方によっては昭和の日本にそっくりである。そのために、その改革の方向は日本と同様に「官から民へ」が主要な課題になろう。

 ただし、中国の今後を考える上で重要なことは、体制の受益者が日本とは異なることだ。

 日本には曲がりなりにも民主主義が定着していた。政治の受益者は国民である。選挙がある以上、国民に不人気な政権は存続できない。だから、バブルが崩壊した時に国民から大きな変革を求められると、政治も官僚機構も変革せざるを得なかった。

 現時点において、我が国において改革が十分に進んだと思っている人はいないと思うが、それでも多くの制度は昭和とは異なったものになっている。現在を生きる日本人にとって「平成」は不本意な時代であったが、後世において、それほどの混乱なくして新たな体制を作り上げた偉大な時代と評価されるのかも知れない。

 一方、共産党独裁が行われている中国はここが大きく異なる。中国の政治体制の受益者は約9000万人とされる共産党員である。共産党員の中の有力者は、政府、地方政府、人民解放軍、武装警察、そして国営企業の幹部として美味しい思いをしている。その幹部は日本のサラリーマンが想像できないほどの所得を得ており(反汚職運動が喧伝されているが、それでも相変わらずグレーな収入が多い)、かつ各種の特権を謳歌している。そんな共産党幹部(全共産党員の5%と仮定しても450万人もいる)を支持基盤として習近平政権が成立している。

 選挙がない中国では、バブルが崩壊しても、それが政治変革につながることはない。経済が低迷すれば習近平のやり方に文句のある連中(非主流派である共青団や江沢民派)の発言権は増すことにはなろうが、彼らが政権を取ったところで、共産党員が享受している利権を台無しにするような改革はできない。習近平が国営企業を重視する所以もここにある。ゴルバチェフがソ連を改革できなかった理由もまたここにある。

民衆の不満を徹底弾圧、ディストピア化する中国

しかし、何もできずに手を拱いていると、共産党員でさえも共産党ではダメだと悟るようになる。そうなれば、旧ソ連のように共産党体制が崩壊することになろう。

 とはいえ、それには時間がかかる。それまでは習近平、あるいは次の独裁者が無理矢理にこれまでの体制で突っ走って行かざるを得ない。

 今後、不動産価格が下落し、企業倒産が増え、給料が上がらず、失業者が増えれば、多くの人々が政権に不満を抱くだろう。しかし、選挙はないから民衆は政権を変える手段を有さない。デモを行うことも、政治集会を行うことも許されていない。

 習近平は自分と自分の家族、そして共産党を守るために文句を言う人々に対して徹底的に強硬な手段に出る。中途半端では、かえって反発が強くなる。そして、一度、強硬な手段を取ると後戻りできない。ある中国人は、現在、新疆ウイグル自治区で行われている非人道的な政治は、実験であり、いずれ中国全土に波及することになろうと言っていた。

 今年の春節は700万人もの中国人が海外で過ごした。日本各地を呑気に観光してバブル末期の生活を謳歌していた中国人たちも、バブル崩壊に伴い所有する不動産価格が下落したり経営する会社が破綻したり、また失業する可能性がある。その際に、政権への不満をちっとでも漏らそうものなら、インターネットを監視して盗聴器を張り巡らしている当局によって拘束されて、学習施設(収容所)に連れて行かれることになろう。そこで習近平思想を徹底的に学ばされる。これから中国に、とんでもないディストピアが出現する。

 これは悪意に満ちた予想だと思われるかも知れない。しかし、独裁の欠点を知れば、それほど的外れな予測とは言えない。今後、中国で大きな悲劇が発生した時、我々はウインストン・チャーチルの名言「民主主義は最悪の政治形態と言うことができる。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば」という言葉を思い起こすことになろう。

【私の論評】中国のディストピアはさらに苛烈になり地獄をみることになる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、納得できる部分もありますが、納得できない部分もあります。納得できない部分は、上の記事ではこれから中国のディストピアが始まるということですが、中国は元々ディストピアだということです。

中国は、建国以来毎年平均2万件もの暴動が発生したと言われています。2007年くらいからは、10万件以上ともいわれていますが、あまりの多さに政府は暴動の発生件数の統計をこのあたりから公表しなくなりました。最近では20万件ともいわれています。

中国の人口は13億、日本の人口は1億2千万人ですから、中国の人口は日本の約10倍です。毎年2万件といえば、日本に置き換えると毎年2千件の暴動が起きていたという計算になります。365日で割ってみると、毎日どこかで5件暴動が起こったということになります。

中国で10万件なら、日本では1万件ということになます。1万件を365日で割ってみると、1日27件暴動が起こったことになります。

これは、半端な数ではありません。もし、日本がこのような状況になれば、最早暴動ではなく内乱状態といっても良いくらいです。これは、最早ディストピアと呼んでも良い状況です。

ちなみに、澁谷 司(しぶや つかさ)氏によれば中国の暴動発生件数は以下のようなものです。
1993年が   約8700件   (一日あたり約24件)
1994年が  約10000件
1999年には 3万2000件
2004年には 7万4000件
2005年には 8万7000件
2006年には 9万件を超えた。
 それ以降、共産党は件数を公表しなくなりましたが、内部情報によると2011年には、約18万件の集団的騒乱が発生したそうです。

数値の信憑性はともかく、とにかく、とてつもないほどの件数の暴動が中国では発生しているということです。日本での状況を考えると、これはもうディストピアと呼ぶに十分です。

2012年10月27日 中国の遼寧で起こった数千人規模のデモ

それと、日本経済についてですが、ブログ冒頭の記事には何も出てきませんが、日本の平成年間では、ほとんどの期間において、マクロ経済政策が間違えていました。積極財政をすべきときに、緊縮財政を行い、金融緩和すべきときに、金融緩和を行うというとんでもないことをしてきました。

平成の終わり頃に、安倍政権が登場して、金融緩和はまともになり雇用は大幅に改善されましたが、財政に関しては相変わらず緊縮財政で、2014年には8%の消費税増税を実施して、大失敗しました。

これほどまでに、長期間マクロ経済政策を間違えた事例は、古今東西どこにもありません。日本だけがこのような愚かなことをしてしまったのです。そのため、日本の潜在的に成長能力はまだまだあると考えられます。

ここが、中国とは全く異なるところです。それにしても、中国の官僚ですら、マクロ経済政策をある程度まともにやってきたというのに、日本の財務省の官僚は一体どうなっているのでしょう。このあたりは、このブログではよく扱っていますので、詳細を知りたいかたは、ぜひそちらを読んでください。

さて、ブログ冒頭のような「中国経済大失速」のニュースが、世界を騒がせています。今後、さまざまなひずみが、一気に噴出してくることでしょう。

中国政府が2019年の経済運営方針を打ち出した、昨年12月開催の「中央経済工作会議」の内容が、意外に率直な自己分析であり、しかも中国経済の「患部」に比較的バランスよく触れています。



中国経済の理解や頭の整理に役立つと思うので、一部をご紹介しようと思います。

第一に、同会議では冒頭、正直に"弱音"が語られています。
今年、経済で結果を出すのは難しかった。同時に、経済運営が変化して不安定化し、外部環境は複雑で深刻であり、経済は下押し圧力に直面している。
「外部環境は、複雑で深刻」とは、もちろん「米中貿易戦争」のことを指しています。「稼ぎ頭」である輸出を干されているのですから、大ダメージです。

「下押し圧力」になっているのは、それだけではありません。

中国共産党は「アフリカ豚コレラ」の蔓延に頭を悩ませています。何百万頭、何千万頭もの豚が殺処分され、一時、豚肉の値段が急騰。現在ではそれにつられて、羊肉と牛肉も高騰しています。

こうした内憂外患により、景気が大きく落ち込もうとしています。

第二に、同会議では、その打開策として「マクロ政策は、積極的な財政政策と健全な金融政策を継続して実施する」と表明されました。

しかし、その実現性の低さが、また、中国経済の危うさをあぶり出しています。

前者の「積極的な財政政策」とは、「減税等による消費喚起」「輸出補助金(輸出還付金)で輸出を伸ばす」などを指すと思われます。しかし政府の借金は、地方政府と国有企業の負債を合わせれば、国内総生産(GDP)の300%以上もあります。カネは国庫にほとんどないのです。

そこで北京は、輪転機で人民元を盛んに刷っています。これが後者の「金融政策」です。その裏付けとして、中央銀行は米国債などの外貨準備高が豊富にあるように見せています。

しかし元はどんどん安くなっています。「1ドル=7元」が、人々が元の先行きに不安を感じて、さらに元を手放す「心理的節目」と言われています。当局は、その水準を割らないよう、腐心しています。しかしどこかで限界は来るでしょう。

つまり、落ち込む景気を下支える余力が、当局にはあまりないのです。

第三に、同会議では、「サプライサイド構造改革は清算を加速するために過剰設備産業を促進する。より質の高い企業を育成する」としています。

大づかみに言えば、売れない鉄鋼などをつくっている工場はつぶし、稼ぐ力を失った企業には退出してもらう。代わりに、本当に競争力のある企業を増やしていく。

そのために習近平政権は元来、官から民へという"小さな政府"を目指す「サプライサイド経済(学)」を標榜してきました。

しかし実際の政策は国有企業を優先し、民間企業を圧迫しています。"真逆のこと"をしているので、構造改革による経済成長など望めないでしょう。

第四に、同会議では、2019年の重点政策として7項目が挙げられました。それらは抽象的なので、一部具体策を挙げてみましょう。当局も自覚している焦りを、裏表で表しています。
(1)「ゾンビ企業」の処理を速める
本来なら倒産すべきだが、銀行や政府機関の支援で生きながらえている「ゾンビ企業」が、中国には最低でも2000社存在すると言われています。

それらが中国経済の足を引っ張っています。

しかし、「ゾンビ企業」を倒産させることは決して容易なことではありません。仮に1社当たり、5万人が勤めているとします。「ゾンビ企業」を全部倒産させたら、たちまち1億人が失業します。さらに、1人の労働者につき家族が3人いるとすれば、3億人が路頭に迷うことになります。
(2) 5G(第5世代移動通信システム)の商業ペースを加速する
ファーウェイ(華為技術)やZTE(中興通訊)が、中国の発展に欠かせないことが、改めて分かります。

翻って、米国の要請で、ファーウェイの孟晩舟副会長(CFO)がカナダで身柄を拘束されたり、同日、ファーウェイと関係が深い、天才物理学者、張首晟が自殺(他殺説も浮上)したりしたのが、北京にとっていかに痛手だったかも分かります。
(3) 大学卒業生、農民工、退役軍人や他のグループの雇用状況の解決に重点を置く
彼らの雇用状況を改善しなければ、北京政府にとって脅威となります。とりわけ、退役軍人の生活改善が急務です。

習政権は新しい産業を興し、雇用を増やさねばならないです。ところが、実際、これは容易ではないでしょう。経済的な苦境は、体制の不安定化にもつながってしまうのです。

これは、このブログでは過去に何度ものべてきたことですが、中国は他の先進国のように、民主化、政治と経済の分離、法治国家がされていません。

そもそも、このようなことが確立されていないからこそ、ディストピアになってしまうのです。

中国ではAIを駆使した監視システムも開発され、一部実用化されており、まさに
ジョージ・オーエルの小説「1984」の世界が中国で実現されることになる

ただし、中国が構造改革をして、これらを推進してしまえば、中国共産党は統治の正当性を失い崩壊し、中国の共産党一党独裁は終焉することになります。ただし、そうなれば中国はしばらくは混乱するかもしれませんが、その混乱の後に、構造改革が成功すれば、またかなり経済発展することも可能になります。

今日の先進国といわれる国々は、国民国家を設立し、はやい時期にこれらをすすめ、経済を発展させ、強国になっています。中国は、そうなる前に、海外から多くの資金が流れ込んだため、経済だけが発展して他はなおざりで、歪な社会構造になっています。

このようなことは、中国共産党はできません。しかし、米国はそれを迫り、制裁を課しています。中国が体制を変えないなら、米国は中国が経済的に弱体化し他国に影響を及ぼすことができなくなくなるまで、制裁を続けます。

中国はそれでも体制を変えないならば、かつてのソ連のようにいずれ経済は崩壊します。そうして、中国のディストピアはますます苛烈になり、いずれ地獄をみることになります。

中国では最新のAIを駆使した、監視システムも開発しつつあり、一部実用化もしています。経済的に疲弊しつつ、とてつもない監視社会にもなるわけで、まさにジョージ・オーエルの小説「1984」で予言された、ディストピアが中国で実現されるのです。

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2019年2月18日月曜日

「台湾は中国からの武力行使にどう対処するか」古くて常に新しい問題―【私の論評】日本には、中、露、韓は放置し、台湾を支援すべき時がやってきた(゚д゚)!

「台湾は中国からの武力行使にどう対処するか」古くて常に新しい問題

岡崎研究所

 1月2日に中国の習近平国家主席は、台湾政策に関する包括的な演説を行い、「一国二制度による台湾統一」を打ち出すとともに、いざとなれば「武力行使を排除せず」との姿勢を明確にした。今のところ、中国が台湾に対し、直接武力侵攻を行う可能性は決して高いわけではないが、ここ20年間で中国と台湾の軍事バランスは大きく中国の側に傾斜した。軍事費だけとってみても、1996年には辛うじて台湾の2倍だったのが、今や15倍になっている。


台湾海岸にて。台湾への日本人観光客が増えている。特に修学旅行で行くケースが急増。

 台湾においては、中国からの武力行使の可能性に備え、いかに対処するかは古くて常に新しい問題である。一つの有力な戦略として「ヤマアラシ戦略」がある。これは、大型の戦闘機や軍艦ではなく、安価で機動力の高い小型兵器(自動制御機雷、武装ドローン、ミサイル等)により、接近してくる中国軍を沿岸部で疲弊させることを目指すものである。米国による勧奨もあり、台湾は2017年に「ヤマアラシ戦略」を含む包括的な防衛構想を打ち出している。

 他方、最新の大型兵器の保有にも意味がある。戦車、大型艦船、戦闘機は、それ自体が抑止力として働き得る。台湾人の士気を高める効果も期待できる。しかし、こうした大掛かりな武器は費用がかかる。例えば、潜水艦は、国産であっても1隻10億ドル以上するが、台湾の国防費は年110億ドルである。徴兵制から志願兵制に移行中の台湾軍は、人件費の高騰にも悩まされている。その結果、兵士は削減され、1996年と比べると15万人以上も減り、現在は21万5千人である。

 結局、台湾の防衛のカギとなるのは、台湾関係法を持つ米国と台湾との安全保障上の特別な関係ということになる。米国の潜水艦8隻により中国の水陸両用艦隊の40%を戦争開始から1週間で撃沈できるというシミュレーション結果もある

 台湾関係法に基づき、米国は台湾に防禦用の武器を売却することにコミットしている。同法に加え、昨年、トランプ政権下において、米国議会は、ほぼ全会一致で「台湾旅行法」(米台高官の交流を勧奨)、「国防授権法」(台湾の防衛力強化にコミット)を可決した。

 今後の米国の台湾に対する武器輸出が、これまでより航続距離の長い攻撃用戦闘機などを含むようになるのか、米国の軍事演習やリムパック軍事演習に台湾が参加できるようになるのか、米国の軍艦が台湾の港を使用するようになるのか、米国の海兵隊員が台湾に駐留するようになるか、というような諸点が今後の注目点となろう。

 今や、毎年3500人から4000人の米国防省関係者が台湾を訪問し、2010年以降の米国の台湾への武器売却の総額は150憶ドルを超えたという。これらのことは、米国の台湾の安全保障へのコミットメントが、着実に深まりつつあることを示している。

 なお、1月2日の習近平の演説に対し、蔡英文は直ちに「一国二制度」の受け入れを断固拒否するとともに、台湾にとって「防衛力の構築が重要政策のなかでも最優先だ」と強調した。そして、同時に「台湾の防衛力強化に協力してくれるすべての国と協力したい」と述べ、米国だけではなく、日本を含むすべての国々との安全保障協力にも期待感を表明した。この蔡英文のスピーチが特に日本の名前を挙げている点は注目を要することである。台湾の現役の指導者が、安全保障関係で日本の協力に期待する、との趣旨の発言を行ったのは、恐らく今回が初めてであろう。日本にとっては、これまでの防衛関係者同士の交流、意見交換等に加え、台湾の安全保障のために何をすべきか、何ができるか等について、台湾、米国の関係者らとよく擦り合わせ検討すべき段階に来ていると思われる。
【私の論評】日本には、中、露、韓は放置し、台湾を支援すべき時がやってきた(゚д゚)!
馮世寛前国防部長(左)

台湾で昨年5月に発足した政府系シンクタンク「国防安全研究院」は12月13日までに、中国軍が進める組織改革について「国土防衛型から外向進攻型への転換を意図している」と指摘し、台湾海峡や東シナ海、南シナ海の周辺諸国にとって「深刻な脅威」になると警告しました。

同研究院は中国や地域情勢の専門研究を目的に発足、馮世寛前国防部長(国防相)がトップを務めています。今回は「中国共産党の政治と軍事」「インド太平洋地域の安全情勢」「国防科学技術産業」に関する三つの報告をまとめました。

陸海空軍の統合作戦指揮化を柱とする中国軍の改革について、海外での国家利益の確保、軍事技術の向上、習近平国家主席の絶対的指導力確立などの思惑があると指摘。軍改革は2020年までの完成をめどにしており、それまでは軍隊の調整期にあるため台湾海峡で大規模な危機が起きる可能性は低いと分析としています。

さて、今日本が真っ先にすることは「台湾と事実上の『同盟』をいかに結ぶか」です。

日本の保守派からは、20年以上も前から「台湾との連帯の重要性」が諭されてましたが、一向に「世論」は盛り上がりませんでした。その理由は、メディアが台湾に目を向けず、ひたすら「日中・日韓」との友好・連携ばかりを言い立ててきたからですが、今、日本政府が「台湾との連携」を言い出したとしても「反対」を叫ぶ国民はごく少数に違いないです。

すでに多くの日本国民が「台湾こそが日本にとって最も大事な『友人』だ」と認識しています。特に、東日本大震災後(3・11)の台湾国民からの熱い支援は、多くの日本人の胸に刻まれています。3・11のとき、世界最大の支援をしてくれたのは台湾でした。マスコミで報じられた以外にも民間レベルで、国家レベルに匹敵する支援が行われました。

3.11の時に最大の支援をしてくれたのは他ならぬ台湾だった

高名な画家は自分の個展を開き、その売上金をそっくり岩手県の病院再建に寄付しました。日本と台湾を結ぶ航空会社と言えば、中華航空が真っ先に浮かびますが、今は台湾民族資本の「長栄」(エヴァ・エア)の便数が一番多いです。3・11の折には、長栄の長栄発会長は個人で20億円をカンパしています。

その機体には「キティちゃん」が描かれ、機内食用のプラスチック製ナイフやフォークもキティちゃんでそろえるほど日本大好きなのです。

キティちゃんが描かれた長栄航空の機体

台湾の人たちが大切にする価値観は「親切」「誠実」「清潔」「勤労」「公に尽くす」などで、こうした価値観を台湾の人々は「日本精神」、台湾語で「リップンチェンシン」と常に口にします。神奈川・座間の海軍工廠に徴用で来日した台湾少年工は、補償を要求するどころか、感謝の意を表すため高齢となってまで家族ともに来日しています。

そこへ行くと韓国は、台湾とは反対に日本に対して徹頭徹尾「怨恨」しかありません。加えて「解決済みの賠償問題を蒸し返し=たかり」「経済失政を日本にツケ回し=失業大学生を日本企業に輸出」する有様です。「徴用工判決」で痛めつけている日本企業に、韓国の「就職難民」を雇ってくれと言っているのだから、呆れてもモノも言えない。さらには、最近では自衛隊の哨戒機にレーダー照射をするという、とんでもないことをしでかしました。

「怨恨」は単なる憎悪感情ではありません。心理学者によると、「強者に対する弱者の憎悪や復讐衝動などの感情が内向的に屈折している状態」といいます。こんな国と仲良くなどと、たわけたことを言っている場合ではないです。今、日本が極東アジアで組むべき相手は台湾しかないです。

ブログ冒頭の記事にもあった、米国が昨年3月に成立させた『台湾旅行法』と同じ法律を成立させるべきです。同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官を含む米政府当局者全員が台湾に渡航し、台湾側の同等役職者と会談することや台湾高官が米国に入国し国防総省や国務省の当局者と会談することを定めた法律です。

米国は中国との国交樹立以降、台湾とのこうした交流を自粛してきましたが、これをトランプ大統領は反故にしました。ラブコールを送る友人に日本も応えるべきです。

台湾に対する支援は、覇権主義の中国、「怨恨」感情を露わにする韓国や、強欲ロシアとの北方領土返還交渉にカネを使うより費用対効果は高いはずです。

日本政府は、過去40年にもわたり合計3兆円も、中国への途上国援助(ODA)をしてきましたが、今年度を最後に終了します。

北方領土に関しては、昨日のこのブログにも掲載したように、米国の対中制裁が継続されれば、中国が弱体化し、そうなれば現在は影を潜めた中露対立が高まることになり、それでロシアは疲弊することになり、その時がまさに交渉のベストタイミングです。今はベストではありません。

本当は、ベストタイミングは以前もありました。それは、無論ソ連崩壊のときです。あのときに、日本が強力にロシアと交渉すれば、あの時点で北方領土が戻ってきた可能性は十分にありました。

中露対立が高まった場合には、その機を逃さず日本はロシアに対して強力な交渉をすべきです。

現在は、交渉の時ではないです。将来を見越して、ロシアに経済援助するなどのことは絶対にすべきではありません。

日本は、ここしばらく、中露対立が高まるまでは、中国、韓国、ロシアなどへの支援はせずに、台湾に対して支援すべきです。それが、日本の将来を左右することになります。

台湾への支援もいろいろあります。まずはTPPに加入してもらうべきです。さらに、軍事的にも、技術的にも様々な支援を行っていくべきです。ただし、台湾にも大陸中国に親和的な勢力もあるので、それらを利することによって大陸中国を間接的に利するようなことだけは、避けながら、細心の注意をしながら支援すべきです。

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2019年2月17日日曜日

対ロ交渉、長期化色濃く=北方領土の溝埋まらず―【私の論評】北方領土は今は、返ってこなくても良い(゚д゚)!

対ロ交渉、長期化色濃く=北方領土の溝埋まらず



【ミュンヘン時事】河野太郎外相は16日(日本時間17日)、ロシアのラブロフ外相と、平和条約交渉の責任者に就いてから2度目となる会談に臨んだ。

【図解】日本の北方における領土の変遷


だが、焦点の北方領土問題で双方の溝は埋まらず、長期化の気配が濃厚。日本政府が描いてきた「6月大筋合意」のシナリオは崩れている。

「双方が受け入れ可能な解決に向け、かなり突っ込んだやりとりをした」。河野氏は会談後、記者団にこう説明した。今回は、前回1月14日の外相会談や同22日の首脳会談を踏まえ、相手方の主張に対する反証を述べ合ったもよう。日本側の同席者は北方四島に対する主権をめぐり「激しいやりとりになる場面はあった」と明かした。

河野氏は会談で、ロシア側の期待が大きい医療やエネルギー、極東開発など8項目の協力プランに触れ「(日ロの)貿易額が伸びている」と強調し、ロシアからの訪日客増加にも言及。4島での共同経済活動も取り上げ、経済分野の関係強化をてこに交渉の前進を図る姿勢をにじませた。

会談する河野太郎外相(左手前から2人目)とロシアのラブロフ外相
(右手前から2人目)=16日、ドイツ南部ミュンヘンのロシア総領事館

ただ、ラブロフ氏は会談後、北方領土の主権はロシアにあるとの立場を改めて強調した。交渉スケジュールについても、プーチン大統領が1月の首脳会談の際に「辛抱強さを要する作業が待っている」と長期化を示唆したのに続き、期限を切らない立場を鮮明にした。

「不法占拠」「固有の領土」といった表現を控える日本政府の配慮にもかかわらず、ロシア側が軟化する兆しはない。安倍晋三首相は12日、国会答弁で「期限を切るつもりはない」と表明。政府内には「6月まで数カ月でまとめるのは無理だ」(高官)と悲観論が広がった。

「70年間続いている問題だから、そう簡単に一足飛びに前へというわけにはいかない」。打開のめどが立たない現状を踏まえ、河野氏は16日、記者団にこうも語った。 

【私の論評】北方領土は今は、返ってこなくても良い(゚д゚)!

北方領土に関しては、現実的に考えれば「二島どころか一島でも返してもらうのが現実主義」とうそぶく現“状”主義者の言っていることも、「四島どころか千島全部返せ!」とできもしない空論を叫ぶ空想主義者の言っていることも正しくはありません。

「北方領土は今は返っ来なくて良い」というのが一番現実的な考えだと思います。なぜなら、十九世紀的帝国主義者的ロシア、プーチンのことを考えれば、基本的に国境不可侵の原則など外交の道具としか思っていないだろうし、一方日本の現状主義者も空想主義者など全く現実的ではないからです。

現状の予想外に好転するかに見えた状況を見据えつつも、現実だけを見るべきであって、空想など顧みるべきではありません。

その上で、昨年9月12日にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムの壇上で突如、同席した安倍晋三首相に「すべてを棚上げして日本と平和条約を結ぼう」と提案した、プーチン大統領の思惑は、どこにあるのでしょうか。これをどう捉えるべきなのでしょうか。

そもそも、ウラジミール・プーチンとは何者なのでしょうか。プーチンは国内を秘密警察により掌握し、事実上の独裁体制をしいています。暗殺した人間は数知れません。「人を殺してはならない」という価値観が通じない相手です。

対外政策では、欧州では強気ですが、中国にはいっさい逆らったことがありません。この前の「ハチミツ」騒動(下の動画参照,プーチンが習近平にロシアの蜂蜜をお土産に持たせた件)程度のシャレで済む意趣返しレベルはしても、基本的にはシナの従属国と言っても良いくらいの現状です。


せいぜい、中国共産党の権力闘争のバランスで立ち位置を変えるが、江沢民や習近平個人にはともかく、プーチンがロシアの独裁者である以上、ロシアが中国に逆らうことは無いでしょう。

この状況は現在の北朝鮮問題をよく見れば、わかるはずです。北朝鮮は元々はロシア(当時のソ連)が建国させた国であるにもかかわらず、現在の北朝鮮問題は米中で話あわれることはあっても、ロシアは蚊帳の外です。

米国も、北朝鮮というと、中国とは話をしても、ロシアと話をすることはほとんどありません。これは米国も現状のロシアは中国のいいなりであることを理解しているからでしょう。北朝鮮で米中が何らかの取り決めを行ったにしても、ロシアがそれを反対することはないからです。

そんなプーチンの「すべてを棚上げして日本と平和条約を結ぼう」という先の台詞を翻訳します。
「クリル(北方領土)なんか一島も返す気は無い。さっさと平和条約結んで業績らしきものにしてやるから、少しは金寄越せ」
そもそも1956年の日ソ共同宣言以来、二島返還は無条件で平和条約を結び、もう二島はその後の交渉だったのが、プーチンにひっくり返されています。これで二島どころか一島でも返ってくると考えたらよほどの愚か者かプーチンの回し者だとしか言いようがないです。ここまで読めば、タイトルの「北方領土は今は返ってこなくても良い」の意味がわかるでしょう。

今は、中国に従属するプーチン政権の間は、ということです。むしろ現状ではプーチンと交渉すること自体が、禍根を残すことになりかねません。現に、交渉するたびにプーチンは過去の日露合意を反故にしています。

北方領土を取り返したいなら、中露対決が再び高まった時まで待つべきなのです。現在ロシアのGDPは韓国なみです、ということは東京都のGDPとほぼ同じです。人口はあの広大な領土に一千四百万人しかありません。これは、日本より若干多い程度です。中国は13億人です。これでは、ロシアは本当はそうしたくなくても、中国に従属するしかありません。

今でもシベリアには中国人が大量入植しています。これを国境溶解と呼ぶ人もいるくらいです。プーチンは欧州方面でNATOと張り合わなければならないですから、極東では強気に出れないのです。だから中国にやられたい放題になっているのです。

ロシア人女性が中露国境の街で、長い冬に向けた生活必需品の買い出しに熱を入れている。写真は
黒河市の露店市場。国境のロシア人にとっては中国の物資はなくてはならないものになっている。

結局、戦争で取られた領土は軍事力で取り返すしかない以上、今は日本は、防衛力増強に努めるしかないのです。そしてロシアが本当に弱った時には四島どころか千島に樺太まで取り返しに行って良いのです。領土交渉ではそれ位の時間軸で考えるべきなのです。

北方領土、何島返還論が正しいのかという議論がしばしば聞かれますが、現在は「一島もいらん」で構わないのです。いかなる正論も、時宜にかなっていなければ、愚論よりもたちが悪いのです。

ただし、今は「一島もいらない」のですが、これを取り返せる時が従来よりは近づいているのは間違いありません。なぜなら、現在では米国の対中国冷戦が勃発しているからです。

これは単なる貿易戦争ではありません。ハイテク覇権や安全保障が絡んだ米中のガチンコ対決だ。中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の事件は、そんな対決の本質を如実に示しています。

このブログでは、米国は中国が体制を変えるか、体制を変えるつもりがないなら、経済的に相当弱体化するまで、制裁を続けると主張してきました。これには、短くて10年、長ければ20年の年月がかかることでしょう。

中国が体制を変えて、共産党1党独裁をやめ、民主化、政治と経済の分離、法治国家化などすすめて構造改革を行うことにした場合には、政治的には激変しますが、経済的にはさらに発展する可能性があります。この場合、ロシアは中国に対して強気にでることはできません。おそらく、北方領土が返還されることはないでしょう。

しかし、中国が米国の圧力に屈することなく、現状の体制を貫き通したとしたら、米国の制裁は継続され、それこそかつてのソ連が疲弊したように、中国も疲弊することでしょう。

そうなった場合、中露対決が再度深まることになります。そうなると、ロシアも疲弊することになります。その時こそが、まさに日本がロシアに対する北方領土交渉の好機が訪れるのです。

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2019年2月16日土曜日

米「反日」韓国にいら立ち 日韓関係改善の糸口見えず―【私の論評】日本バッシングの背後に、韓国の脱米と対中従属の加速あり(゚д゚)!

米「反日」韓国にいら立ち 日韓関係改善の糸口見えず

会議の前に握手する河野太郎(左)と韓国の康京和外相=15日,ドイツ・ミュンヘン市内のホテル

 1月に続く今年2回目の日韓外相会談は、いわゆる徴用工判決やレーダー照射事件など昨年来の問題に、韓国国会議長の不適切発言も加わり、日韓関係が一段と悪化した中で開かれた。河野太郎外相は康京和外相に一連の問題への誠実な対応を求めたが、康氏は韓国側の主張を譲らず、関係改善の糸口は見えなかった。米朝首脳再会談を控え、米国では北朝鮮問題での連携をよそに「反日」路線にひた走る韓国・文在寅(ムンジェイン)政権へのいら立ちも表面化してきている。

 河野氏「1965(昭和40)年の日韓請求権協定に基づく2国間協議にぜひ応じてほしい」

 康氏「そのことについては綿密に検討している」

 河野氏は会談冒頭から、2国間協議に応じるよう強く求めた。徴用工判決は日韓関係の根幹を覆しかねないだけに韓国政府の適切な対応が不可欠だが、康氏は従来の主張を繰り返すばかりだった。同席者の一人は「議論は平行線だった」と振り返った。

 関係悪化の原因となった一連の問題は韓国側がつくったものだが、文大統領は支持率下落に歯止めをかけようと「南北統一に向けた取り組みと『反日』で支持率回復を狙っている」(日本政府関係者)とされる。このため、日韓間の一連の問題について外相会談で韓国側が歩み寄ってくる可能性はそもそも低かった。

 それでも日本外務省幹部は「北朝鮮問題への日韓協力を外相同士で確認する意味はあった」と語る。

 河野氏が会談で「北朝鮮関係に関してもしっかりと意見交換したい」と切り出し、連携の重要性を強調したのも、日韓関係がこれ以上悪化すれば、北朝鮮の完全な非核化に向けた日米韓3カ国の連携に深刻な影響が出かねないからだ。

 すでに米議会では超党派議員が「建設的で前向きの日韓関係」の重要性を強調する決議案を上下両院に提出するなど、不満を募らせている。

 日本外務省幹部は「米国議会の決議案は韓国にとってインパクトのあるメッセージになっている」と指摘し、対北朝鮮での韓国との連携維持に期待を示す。

 ただ、関係改善の展望はなお見えないのが実情だ。河野氏は、来月に「3・1独立運動」から100年を迎える懸念を伝え、文政権が反日ムードを盛り上げようとする動きを牽制(けんせい)した。(ミュンヘン 力武崇樹

【私の論評】日本バッシングの背後に、韓国の脱米国と対中従属の加速あり(゚д゚)!


いわゆる慰安婦問題を巡って「天皇陛下の謝罪」を求めた韓国の文喜相国会議長。米国の首都ワシントンを皮切りにニューヨークや西海岸のロサンゼルスを訪問し、在米韓国人との交流を行ったほか、米国の政治家に韓国側の立場を説明しました。

安倍総理が文議長の発言に対して抗議し「謝罪と撤回」を求めた翌日ワシントン郊外の焼き肉店に文議長は韓国メディアを集めて会見を開き「確実で明らかなのは謝る事案ではないということ」などと開き直りました。

日本に対する非礼ともいえる一連の言動は何を意味するのでしょうか。韓国文政権で今、何が起きているのでしょうか。

これらは、一見すると戦後補償の問題のようですが、本当の狙いはそれではなかもしれません。韓国側の行動を長期的にみると、慰安婦、徴用工、旭日旗、自衛隊機へのレーダー照射など、文政権になってそれら全部が計画的ともいえるように一つ一つ積み上げられてきました。

サンデー・モーニングで提示されたフリップ

韓国国会議長による「天皇陛下の謝罪」要求にしても、日本政府は抗議したうえで発言の撤回を求めていますが、韓国政府は文氏の発言を擁護するなど事態を収束させようとする意思は見られないです。まるで収束することを望んでいないかのようです。ここで、一つ考えられるのは韓国側が意図的に日本との緊張を高めているのではないかということです。

これには、韓国が考える世界の将来像と関係しているかもしれないです。韓国は日本とは世界の将来像に対する考え方が根本的に違うようです。今後、世界で米国の影響力が落ちていったらどうなるかと考えた時、日本では米中で世界の覇権を争う「G2論」と、一方で米中以外の多くの国が登場し、世界はいろんな形で争う、または協力する「多極化」の時代に入るという2つの考えがあります。

日本ではこの、「多極化」が進むという考え方が強いです。ところが、韓国は「G2論」のほうが人気があります。韓国は朝鮮戦争という存続にかかわる大きな歴史的な出来事を経験しました。その時、100万の軍隊を入れて北朝鮮を守った中国と、韓国を支援した米国が戦いました。韓国にとって当時から今日に至るまで、米中とどのように関わっていくかは永遠のテーマとなっています。

韓国では「G2」論が優性なようだが・・・・・・

韓国の立場に立って考えると、韓国は過去には米国側にどっぷりと“漬かってきた国ですが、今後米国の影響力が落ちてくると、G2時代に突入すると見ているのでしょう。だとすると、米中に挟まれた韓国はその二つの国の間でバランスをとるべきではないかという考えに帰着します。

しかし、あからさまに米国と距離を置き中国との関係にシフトすれば、米国を怒らせることになります。そこで、米国の同盟国であり、多少緊張を高める行為をとっても無害な日本に、意図的に仕掛けている可能性は排除できないです。

日米韓の協力関係にすきま風を吹かせることで、韓国は中国に対し「私は米国の子分ではありませんよ」というメッセージを送っているのかもしれません。韓国にとって、日本との緊張を高めることは、外交の観点からこうしたメリットが考えられます。

また、内政面でも、日本と対峙する大統領は人気が上がる傾向があるため、人気回復手段となっているというのはこれまでもよく言われてきたことです。ただし、これは最近文在寅の支持率が落ちてきたことをみても、あまりうまくは行っていないようです。

なぜ韓国が日本をバッシングしても良いと考えるのかという、背景には韓国の軍事力の伸びもあると思われます。

ストックホルム国際平和研究所のデータによると、韓国の国防費は過去10年で30%近く伸びています。一方日本は4.4%しか伸びていないです。このままの勢いで行くと、韓国の国防費が日本の国防費を上回る状態が近い将来に起きるということです。

韓国は「日本に追いついて追い越すのだ」という雰囲気の中で日本への政策を決めているのではないでしょうか。日本との間で、もし何か間違いが起きて緊張が高まったとしても、韓国にとってそれほど怖い相手ではないという判断がなされる可能性が、この韓国の国防費の伸び率と関係しているということも言えると思います。

ちなみに、以下にそのデータをあげておきます。
■出処:スウェーデンのストックホルム国際平和研究所 
10年間の国防費の伸び率(2008年~2017年) 
韓国 29%UP 392億ドル(2017年国防費)
日本 4.4%UP 454億ドル(2017年国防費)
韓国は、米国と少し距離を置き、中国とのチャンネルを太くしようとする目的のために日本が利用しているという可能性が高いです。こうした動きは米国が弱体化していくことを見越したうえでの対応で、単純に日本軽視という問題ではなく米国の国力が見下されているということです。

しかし、この見方は正しくないと思います。現在の世界の超大国は米国一国だけです。現状は超大国でもない中国が、超大国である米国に冷戦を挑まれているのです。中国に勝ち目はないです。このような歪んだ見方は、朝鮮では昔から中国に従属しようとする姿勢があったことによるものでしょう。

ただし、このブログにも過去に何度か掲載しているように、北朝鮮の金正恩は、中国を文在寅のようには見ていないようです。

そもそも、金正恩は、中国の影響力を極力排除しようとしています。北朝鮮の核は日米だけではなく、中国にも向けられています。北朝鮮の核は、結果的に中国の浸透が朝鮮半島全体に及ぶことを阻止しています。北朝鮮がこのようになったのは、やはり建国の頃から中国に干渉を受け、特に金一族は滅亡の危機を感じていたからでしょう。

中国がは、国が北の核を脅威と感じる以上に、はるかに大きく脅威を感じています。北の核は、ICBMでなくても、中短距離のミサイルだけで中国の大部分を標的にすることができます。

この状況と中国に接近しようとしている韓国が半島の南に存在するという状況は、対中国冷戦を挑んでいる、米国側から見れば、戦略的には非常に良い状況です。最悪なのは、朝鮮半島全体が中国の覇権の及ぶ範囲になることです。これだけは、米国は何としても防ぎたいと考えていることでしょう。

2月27、28日に2度目の米朝首脳会談の開催が決まりました。北朝鮮の非核化は進展するのでしょうか、日本にとって拉致問題の進展につながるのでしょうか。

トランプ米大統領はこれまで大統領選での公約を実行してきましたが、北朝鮮問題は大統領選当時、米国民に意識されていなかったので争点にならず、公約はありません。

ただ、米国の歴代政権は北朝鮮に軍事オプションなしの宥和策を取ってきたために、北朝鮮が核兵器や大陸間弾道ミサイルをほぼ手中にするまでになりました。

これまでのトランプ政権は、北朝鮮の非核化が達成されるまで最大限の圧力をかけるというセオリー通りの行動でした。しかし、上記で述べたような現実もあるため、その戦略がここに来て変化があるのかもしれないです。

日本にとって最悪のシナリオは、北朝鮮は米国の領土に到達する核兵器を廃棄するが、それ以外には縛りがないという状況です。

中距離核については、米露の協定が破棄されました。冷戦時には、存在しなかった、中国や北朝鮮の中距離核が今や100以上も存在しています。これでは、米露だけでの協定では意味がないからです。

少なくとも米露中で新たな合意策でもあればいいのですが、そうした兆候はないです。こうした世界情勢では、北朝鮮の中距離核だけを規制しにくいのが現実です。

日本としては、北朝鮮の非核化について何らかの関与をしたいところです。非核化には多額の費用がかかるので、極東アジア諸国も相応の負担を求められるかもしれないです。日本は積極的に応じるという選択が適切でしょう。

軍事力を行使できない日本でも経済力で補うことで北朝鮮の非核化に関与できるからです。その延長線で北朝鮮の中距離核の非核化までを展望すべきでしよう。そうして、北の中距離核が非核化できるまでは、日本も何とかして、米国の中距離核をドイツのように、日本にも設置できるようにして、これもドイツのように日本の許可がないと米国は発射できないようにするとともに、その核について日本側も発議できるような状態にすべきです。

これは、すぐにはできなくても、まともに論議するようにすれば、それだけでもかなりの抑止力になります。中国、北朝鮮、韓国もこれを警戒するようになるでしょうし、韓国によるレーダー照射のような挑発はこれだけでなくなるかもしれません。

このような、日本の関与は結果として拉致問題への取り組みにも役に立つでしょう。日本は米国頼みで北朝鮮問題を解決するのは無理であり、相応のリスクと負担を持って、当事者として北朝鮮に対応しなければいけないです。

そうして、韓国に対しては無視を貫き通すことです。韓国が傍若無人な態度を取れば、韓国に対して抗議は当然すべきですが、韓国の歴史修正主義も含め、国際世論に訴えていくべきでしょう。韓国に対しては、抗議をするだけであとは無視、北朝鮮とは交渉するという姿勢で臨むべきです。

ただし、中国、北朝鮮、韓国の軍事的挑発はこれからも増すことはあっても、減ることはないでしょうから、防衛予算の1%枠など取り払い、軍事力を強化すべきでしょう。

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