2021年7月7日水曜日

東京に4回目の緊急事態宣言へ 政府方針―【私の論評】死者・重傷者数が減った現状では、緊急事態宣言を出さずに五輪を開催すべき(゚д゚)!

東京に4回目の緊急事態宣言へ 政府方針


新型コロナウイルス対策で、政府は、東京都を対象に4回目となる緊急事態宣言を出す方針を固め、与党側に伝えました。

また、沖縄県の緊急事態宣言も延長し、期限は、いずれも来月22日までとする方針です。

【私の論評】死者・重傷者数が減った現状では、緊急事態宣言を出さずに五輪を開催すべき(゚д゚)!

東京都内では、7日新たに920人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。
900人を超えるのは5月13日以来で、1週間前の水曜日より206人増えました。

また、都は、感染が確認された3人が死亡したことを明らかにしました。

東京都は、7日都内で新たに10歳未満から80代までの男女合わせて920人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

7日の920人は1週間前の水曜日より206人増え、18日連続で前の週の同じ曜日を上回りました。

7日までの7日間平均は631.7人で、前の週の124.3%となりました。

7日の920人の年代別は、
▽10歳未満が53人
▽10代が70人
▽20代が265人
▽30代が191人
▽40代が181人
▽50代が103人
▽60代が39人
▽70代が12人
▽80代が6人です。

これで都内で感染が確認されたのは17万8356人になりました。

また、都が参考として発表した6日の検査件数は7939件で、6日までの3日間の平均は7372.3件でした。

一方、都の基準で集計した7日時点の重症の患者は、6日より1人減って62人でした。

また、都は、感染が確認された50代と70代の男女3人が死亡したことを明らかにしました。

これで都内で感染して死亡した人は2244人になりました。

ということですが、内訳をみてみると、

920人の内訳は60歳未満863人、60歳以上57人です。若い人がコロナにかかってもそれほど深刻ではありません。

前週の同じ曜日に比べて、新規感染者は714人→920人の半面、重症化リスクの高い高齢者は42人→29人。新規感染者に占める高齢者の比率は5.88%→3.15%。 重症者は前日より1人減って62人でした。

60歳以上は急減しています。これはワクチン接種が進んでいるからに他なりません。高齢者がどれだけワクチン接種をしたかが重要です。若者を含めて新規感染者がどうのこうのというのは、現在であまり意味ありません。重症者、死者に着目して諸対策を考える段階になっています。


上のグラフをみてもわかる通り、元々死者はすくなかったですが、最近でも増えている様子はありません。

最近感染者が増えているのは確かですが、入院者と重傷者は超順調に減っています。重傷者は5月初旬のピークの半分、入院者は1/5くらいまで減っています。 増加傾向もありません。

東京で1,000人の陽性者は、1万人あたり1人という水準。仮にワクチンが浸透しても、日常生活に戻れば、この位の水準は達してもおかしくはありません。この状況におたつく政府の挙動が全く信じられません。

それなのにマスコミは煽るのでしょう。実際「東京都 コロナ 3人死亡 920人感染確認 900人超は5月13日以来」などと煽っています。そうして、政府は東京都を対象に4回目となる緊急事態宣言を発する予定であることを公表しました。

これは、必要あるとは思えません。最近では、ワクチンの接種も進んでいます。今月末までにもかなり接種できるでしょう。そうなれば、重傷者、死者数ともにこれから目立って増えることはないでしょう。同じ感染者920人とはとは言っても今年始めや、昨年のそれとは、全く意味合いが異なると思います。であれば、本当に東京の緊急事態宣言が必要なのかはなはだ疑問です。

もう政府は、思考停止で叫んでいるだけのバカのクラスターの不合理な要求に合わせる政治はやめるべきです。このようなことを繰り返していれば、日本はとんでもないことになります。何より予測もハズれっぱなしでワクチンの効果も評価もしないいわゆる専門家のレベルの低さは絶望的です。迅速な分析が一切できない彼らはリスク管理のド素人といわざるをえません。

すでに終わったことを後講釈しても無意味です。政府の専門家会議には、感染症の専門家だけではなく、リスク管理の専門家も加えるべきでしたし、リスク管理の専門家に主導権を握らせるべきでした。

政府として必要だったのは本当は、リスク管理の専門家であり、感染症の専門家ではなかったようです。IT関連の人間だと、専門外のことでも要点を素早く吸収する人も多いのですが、感染症専門家には無理だったようです。


東京に緊急事態宣言を出すといえば、野党やマスコミは「緊急事態宣言下で五輪だけを開催して庶民に我慢を強いるのか」と政府を批判することでしょう。

東京に緊急事態宣言を出さなければ、野党やマスコミは「緊急事態宣言を出すと五輪の開催に不安が出るので出さない。政府は無責任だ」といい出すのでしょう。

であれば、現在の感染状況や、重病者数や死者数からいって、後者のほうがまだはるかにましです。緊急事態宣言を出さずに、重症者、死者に着目して諸対策を立案すべきです。

「勝者なき都議選」が終わるやいなやのこの措置がだされれば、染拡大が起こっているのに、医療を脅かすオリンピック開催強行に拘泥し続ける姿勢は完全に矛盾していると都民には受け取られるでしょう。都民は総じて鼻白むことでしょう。

小池東島都知事

都知事も総理も自分の支持率と選挙しか頭にないようですが、こんなことでは選挙にも勝てないかもしれません。そもそも、東京都の感染症対策などは、小池知事に最大の責任があります。次の衆院選に出馬する予定であるといわれている、小池氏はそれを全く自覚していないようです。小池氏にとっては、都民も将来自分が女性初の総理大臣を目指すための、踏み台でしかないようです。

「国民に自粛を強いて五輪強行か」という共産党のプロパガンダがさらに声高になるのは見えています。

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2021年7月6日火曜日

“台湾有事は「存立危機事態」にあたる可能性” 麻生副総理―【私の論評】麻生氏の発言には、軍事的にも裏付けがある(゚д゚)!

“台湾有事は「存立危機事態」にあたる可能性” 麻生副総理


中国が台湾に侵攻した場合の対応について、麻生副総理兼財務大臣は、安全保障関連法で集団的自衛権を行使できる要件の「存立危機事態」にあたる可能性があるという認識を示しました。

麻生副総理兼財務大臣は5日、都内で講演し、中国が台湾への圧力を強めていることを踏まえ「台湾で騒動になり、アメリカ軍が来る前に中国が入ってきて、あっという間に鎮圧して『中国の内政問題だ』と言われたら、世界はどう対応するのか」と指摘しました。

そのうえで「台湾で大きな問題が起きると、間違いなく『存立危機事態』に関係してくると言っても全くおかしくない。日米で一緒に台湾を防衛しなければならない」と述べ、中国が台湾に侵攻した場合「存立危機事態」にあたる可能性があるという認識を示しました。

「存立危機事態」は安全保障関連法で、集団的自衛権を行使できる要件として「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」などと規定されています。

【私の論評】麻生氏の発言には、軍事的にも裏付けがある(゚д゚)!

存立危機事態とは日本が集団的自衛権を使う際の前提条件で、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」事態のことです。

政府がこの事態に認定したうえで、「他に適当な手段がない」「必要最小限度の実力行使」という要件を満たせば、首相は自衛隊に対し、防衛出動を命令することができます。安倍政権が2015年9月に成立させた安保関連法に規定されています。

この文脈からいけば、当然のことながら、台湾有事は存立危機事態とみなすことは十分可能です。一般的な想定は以下のようなものですが、実際はそうはならないように思います。



台湾有事が実際に発生したときには、日本がどのように貢献するかは、このブログでは何度も述べてきましたが、以下のようになるでしょう。

それは、日本の潜水艦隊の参戦です。中国は、対潜哨戒能力がかなり低いことと、日米のそれが格段に高いくて、世界トップ水準であること、日本の潜水艦のステルス性が格段に高いこと等があいまって、中国は日本の潜水艦を探知できません。そこで、日本の潜水艦は台湾周辺などを自由に潜航して、情報収集にあたることができます。

米軍の原潜は原潜であることの宿命で、日本の通常型潜水艦にステルス性には劣るものの攻撃力に優れています。これらの長所を組み合わせ、日米が協同して、台湾を包囲すれば、人民解放軍は太刀打ちできません。

呉第一潜水群

米原潜が軍事上の要所、要所に潜み、台湾を包囲しつつ、日本の潜水艦は台湾付近などを自由に潜航し、情報収集をしつつ、米軍と情報を共有すれば、日米は台湾に近づこうとする中国の艦艇をすべて撃沈できます。

さらに、いくつかの艦艇を撃沈できず、人民解放軍が仮に台湾に上陸できたとしても、日米により補給を絶つことができます。そうなると、人民解放軍は自給自足のゲリラ戦に転じるでしょうが、ゲリラとて水、食料、弾薬が尽きれば戦えません。そうなるといずれお手上げになります。

無論、中国のミサイル攻撃や航空攻撃もあるでしょうが、それも日米台の協同であたれば、防げないことはありません。特に中国の航空機は、最新のものですらJ-20の能力は米軍の最新ステルス機と「比較する意味もない」程の低さで、30年前に発表された米国ステルス戦闘機F-117程度であるともされています。

そうなると、海戦でも空戦でも、日米台がかなり有利です。以上のようなことを考えると、中国が台湾を奪取しようにも、日米台が協同して、中国に対抗すれば、中国が軍事力で無理やり台湾を奪取することは不可能です。

中国が核弾道ミサイルを使ったらどうなると考える人もいるかもしれませんが、そうなれば、米台とて、手段を選ばない攻撃をすることになります。そのときは、三峡ダムなどは格好の標的になるはずです。核を使用しなくても、ここを破壊すれぱ、中国の国土の4割は水浸しになるといわれています。

数百発の巡航ミサイルを発射して、飽和攻撃をすれば、人民解放軍はこれを撃墜することはできず、確実に三峡ダムは破壊されることになります。だから、中国は核兵器を使用することはないでしょう。

改良型アイオワ級原潜一隻で、154発ものトマホークを発射できるのです。そうして、中国には三峡ダムのように脆弱な標的はほかにもいくらでもあります。当然のことながら、米国のCIAはこれに熟知していることでしょう。

昨年7月19日、湖北省の洪水

このようなことになることを中国も承知しているので、中国が台湾に侵攻することは、当面ないでしょう。

にもかかわらず、米軍のある将官が、米国は中国に負けるようなことを語っていましたが、これは、単なる米軍による日本に対する「政治的メッセージ」であることをこのブロクに掲載したばかりです。

このように、中国台湾侵攻はあり得ないことなのですが、それにしても、日本の副総理が安全保障関連法で集団的自衛権を行使できる要件の「存立危機事態」にあたる可能性があるとい発言をしたことは、中国側にとっては、かなりショッキングだったと思います。

麻生財務大臣が台湾有事の際は「存立危機事態」として対応する可能性を示したことについて、中国外務省は「極めて危険だ」とし、日本側に抗議したと明らかにしました。 

中国外務省は6日の会見で「このような発言は極めて誤りで危険だ」「中国は強い不満を表明し、断固反対する。すでに日本側に厳正に抗議した」と強調しました。

また、「いかなる国も台湾問題に干渉することを容認しない」と牽制(けんせい)しました。

さらに「中国人民の、国の主権を守る断固とした意思を見下してはならない」と述べました。

ショッキングだったからこそ、このような声明を出したのでしょう。そうして、これは、中国に対する抑止となるのは確かです。しかも、麻生副総理の発言には、上でも述べたように軍事的裏付けもあるのです。

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2021年7月4日日曜日

SLBM水中発射成功…世界で8番目の技術保有国に=韓国軍―【私の論評】韓国SLBMが破壊するのは、韓国自身の国防や経済(゚д゚)!

SLBM水中発射成功…世界で8番目の技術保有国に=韓国軍


SLBM水中発射成功…世界で8番目の技術保有国に=韓国


韓国軍が国内独自の技術で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射に成功したことが伝えられた。これにより、韓国は世界で8番目の技術保有国になる。 

 YTNは4日、軍関係者を引用して、昨年末にSLBMの地上発射の成功に続き、最近は水中発射に成功したと報じた。SLBMは一定の深さで水圧を受けながらも正確に目標物を打撃する制御技術が必要なだけに、地上発射よりもはるかに難しい。 今回成功した韓国産SLBMは玄武2B弾道ミサイルを改造したもので、最大射程距離は500kmほどであることが分かった。

【私の論評】韓国SLBMが破壊するのは、韓国自身の国防や経済(゚д゚)!

米国の戦略家ルトワック氏も語っていたように、日米にとって「韓国は無視すべき国」という発言もあったので、ここ最近は私も、韓国についてこのブログで取り上げることはありませんでしたが、本日は久しぶりに取り上げてみることにしました。

昨年8月に韓国軍当局が公表した「2021~2025国防中期計画」の中では、4,000トン級原子力潜水艦3隻の建造計画が明らかにされています。SLBMを搭載した原子力潜水艦は、戦略原潜(SSBN)に分類されます。SSBNを保有する米ロ中英仏及びインドの6か国は、SSBNを核抑止戦略として位置付けていますが、韓国のSSBNの戦略的役割は何であり、何を狙っているのでしょうか。

SSBNは、大陸間弾道弾、戦略爆撃機とともに国家の核抑止戦略の三本柱の一つです。潜水艦は一旦洋上に出てしまえば、大部分の期間を海中で行動することから、その位置を把握することは容易ではありません。

原子力機関を装備すれば、長期間の潜没航行が可能です。そのため、大陸間弾道弾や戦略爆撃機が相手の先制攻撃で無力化されても、SSBNによる第2撃能力を保有することで、先制攻撃を抑止するというのが大枠の構図です。

従って、核弾頭を装備しないSLBMに戦略的意味合いはありません。韓国が開発しているSLBMには核を搭載する計画はありません。そもそも米国は朝鮮半島の非核化に躍起となっています。韓国のSLBMに核を搭載することは米国が許容することはあり得ませんし、韓国がSLBMと核を配備すれば、当然北京を含む中国も標的になることから、中国もこれを許容しないでしょう。

ただ、一方では海中から弾道ミサイルを発射できる体制をとることにより、北朝鮮に対し戦術的柔軟性が増すとの主張があります。確かに原子力潜水艦の高速かつ長大な航続距離、さらには長期間潜没航行できる能力は無視できないです。

しかしながら、韓国最大脅威である北朝鮮に対する兵器としては疑問があります。韓国SLBMの元とされている弾道ミサイル「玄武-2B」の射程は最大で500kmであり、しかも移動式装輪車に搭載されています。


相手の先制攻撃から逃れること目的として、発射位置を自由に変えることができます。北朝鮮の偵察能力を考慮すると、これを完全に無力化するためには、核攻撃により韓国全体を焦土化しなければ不可能でしょう。「玄武-2B」を、わざわざ海中から発射する軍事的合理性はかなり低いです。

次に指摘できることは、費用の問題です。韓国国防省が昨年発表した「2021~2025国防中期計画」で示されている予算は、300兆7千億ウォン(約30兆円)です。日本の令和元年度(2019年度)から5年間の防衛力整備計画(01中期防衛力整備計画)の総額は「概ね27兆円」とされています。これは、国家予算が日本のほぼ半分程度である韓国が、日本を超える国防予算を充当するという極めて野心的な計画です。

韓国の中期計画には、韓国型防空迎撃システム、軍事用偵察衛星等に加え、軽空母の導入も想定されています。米海軍の次期戦略原子力潜水艦コロンビア級1隻の建造費は94億7千万ドル(約1兆円)です。韓国がSLBM搭載3隻の原子力潜水艦を建造するとすれば、その研究開発費を加えると、空母建造を含む他の計画に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

潜水艦内を視察する文大統領 青瓦台facebookページより

更に問題なのはは、韓国が原子力機関の燃料となる「濃縮ウラン」を保有していないことです。韓国文大統領は大統領候補であった2017年4月の討論会において原子力潜水艦保有の必要性を強調し、核燃料購入に必要な原子力協定の改正を米国と議論すると語っています。

朝鮮半島の非核化を推進したい米国が、韓国に「濃縮ウラン」を提供する可能性はほとんどありません。韓国が原子力潜水艦の建造を推進し、中国やロシアから購入の決断を下した途端に、米韓同盟は終焉するでしょう。

北朝鮮は1月行われた第8回労働党大会において、米国を最大の敵とし、引き続き核戦力の強化を図るとしています。1月14日に行われた軍事パレードで目を引いたのは「北極星5号」と記載されたSLBMと思われるミサイルでした。

更に金正恩総書記は原子力潜水艦を保有することにも強い意志を示しています。実際に建造できるかどうかという問題はありますが、対米核抑止を目的とする、北朝鮮のSLBM搭載原子力潜水艦の狙っている目標は米本土や日韓の米軍基地であることは明白です。

翻って、韓国のSLBM搭載原子力潜水艦については、核抑止力にもならず、戦術的にも保有する軍事的合理性は低いです。しかも高額な調達費は他の国防関連予算を圧迫することは確実であすし、相対的に対北抑止力が低下することになるでしょう。さらに、米韓同盟を危機に陥らせる可能性も高いです。

軍事境界線に近い首都ソウル

このようなことをするくらいなら、米国が韓国に要求しはじめてから、40年以上たっても実現されていない、38度線に近い首都ソウルの移転などをしたほうが、余程合理的です。現在だと、首都ソウルに北朝鮮国内から長距離砲を用いれば、ソウルを砲撃できます。なぜいつまでも、ここを首都にしているのか意味不明です。

韓国SLBMが破壊するのは、韓国自身の国防や経済という韓国国家そのものと言えそうです。

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2021年7月3日土曜日

豊田真由子氏が解説「実は4500万回分のワクチンが使われていない」―【私の論評】国民全員にワクチンを2回接種しても有り余るほどの準備がなされており、接種したい人は、いずれ必ずできる(゚д゚)!

豊田真由子氏が解説「実は4500万回分のワクチンが使われていない」

豊田真由子氏

 元厚労省官僚、元衆議院議員の豊田真由子氏が3日、読売テレビ「あさパラS」に出演。各地で供給不足が問題となっている新型コロナウイルスのワクチンについて「実は国から供給がきてないんじゃなくて、4500万回分のワクチンが全国のいろんな地域の医療機関の冷凍庫の中に分散されて使われてない」などと解説した。

  番組では、大阪市で12日以降の1回目接種の予約受付を停止し2回目接種を優先、神戸市では予約済みの1回目接種をキャンセルにするなど深刻な状況になっていると報道。

  豊田氏は「実は国から供給がきてないんじゃなくて、国は今まで9000万回分を自治体には配っている。だけど実際に接種をされているのが4500万回分。そうすると、4500万回分のワクチンていうのが全国のいろんな地域の医療機関の冷凍庫の中に分散されて使われてないってことなんです」と話し、ニューヨーク州弁護士・山口真由氏も「接種を入力しなきゃいけないシステムがある。結構手がかかるので、自治体によっては管理が進んでないところがある」などと付け加えた。 

 豊田氏は、使われていない4500万回分の解決法について「国から都道府県に送ったものを都道府県が市町村に分配してるので、都道府県の中で、『ここの市町村に余ってるからこっちの市町村に移そう』とか、あるいは市町村で医療機関と連携をして、『この医療機関からこっちの医療機関に回そう』とか横の動きをやらないと、国の分は今の時点で配っちゃってるのでそれしか方法がない」と提言した。

【私の論評】国民全員にワクチンを2回接種しても有り余るほどの準備がなされており、接種したい人は、いずれ必ずできる(゚д゚)!

職場や大学で新型コロナウイルスのワクチンを接種する「職域接種」が北海道でも始まりました。ワクチン接種が急ピッチで進められる一方で、格差も生まれています。

当別町にある北海道医療大学でも、先月21日から「職域接種」が始まっていました。学生や教職員、教職員の家族、約6000人が対象で1日最大400人の接種を予定しています。これについて、地元のSTV(6/21(月)「どさんこワイド179」)が報道していましたので、その内容を簡単に以下にまとめます。


(接種した大学職員(20代))「職場で(ワクチンを)打てるのはいいなと思っていたのでありがたい」

(接種した大学職員(30代))「大学で学生も(ワクチン接種を)受けられるとなれば安心できると思う」

接種にあたるのは大学内の看護師や歯科医師です。

「職域接種」は接種対象者が1000人程度のほか、会場や打ち手の確保など実施の条件があります。

北海道医療大学は医療系の学部の強みを生かし、学内で打ち手を確保しました。

18日、国からワクチンを保管するフリーザーなどが届き、他の大学に先がけて「職域接種」の実施にこぎつけたといいます。

(北海道医療大学 浅香正博学長)「8月6日ぐらいまでには(接種を)終えようと思っています。我々のほうが早く終わった場合、当別町とも相談しながら、年齢は関係なく(ワクチン接種を)やっていこうと計画をしています」

札幌市豊平区の札幌大学です。

現在、オンラインによる講義が中心の大学では、事態を打開しようと21日から学生と教職員ら最大3500人の「職域接種」を目指していましたが。

(水谷記者)「こちらの体育館では、本来ならばきょうからワクチン接種の会場として使われる予定でしたが、現在のところ滞っている状態です」

打ち手が確保できず、21日からの「職域接種」を断念したといいます。

道が厚別区に設置した大規模接種会場では、19日から札幌、江別、恵庭、千歳在住の65歳以上を対象に接種が始まりました。

22日からは新たに白石区でも集団接種が始まるため「職域接種」の打ち手の確保が難しい状況だといいます。

(札幌大学 秋山一二三事務局長)「(打ち手は)やはり自治体のほうが優先されることになるので、職域接種、医療系の大学はできて、文系の大学はできない現状があるので、そのへんを汲んでいただいてサポートしていただければ大変ありがたい」

ワクチン接種が加速化する中、道内でも始まった「職域接種」。打ち手不足をどう解決するかが課題となっています。

 ワクチン接種の遅れは、打ち手不足の問題もあるのでしょう。それに、上の記事で、豊田真由子氏が語るように、市町村で医療機関と連携をして、『この医療機関からこっちの医療機関に回そう』とか横の動きもすべきなのでしょう。打ち手が足りないのなら、まず足りているところに、ワクチンを回すというのが筋です。

感染症の専門家などは、五輪開催開催がどうのこうの、飲食店での感染がどうのこうのと言う前に、こうしたノウハウに関して、日本に適用できるものなど広く啓蒙周知すべきだったと思います。

厚生労働省によりますと、自治体が接種しているファイザー社製のワクチンは、7月5日からの2週間で1万1千箱(1箱195瓶入り。1瓶6回接種で計1287万回分)を全国の自治体に配分する予定です。その前の2週間で1万6千箱配分したのに比べて大幅に減りますが、当初の計画通りといいます。6月末までにファイザーからは約1億回分届いて十分な供給量になりつつあり、今後も配分量は減る見通しです。田村憲久厚生労働相は供給不足にはならないとの考えを示しました。

田村憲久厚生労働相

その上で、田村氏は「心配で、なるべく多く確保したいという気持ちがあるかも分からないが、ワクチンの偏りが出てくると本来必要なところへ行かなくなる」と強調。偏在が起きている可能性を指摘し、実態調査に乗り出す方針を示しました。

今回のような大規模なワクチン接種は、日本では久方ぶりのことです。そのため、各自治体からワクチン接種のノウハウの蓄積がありません。そのため、思いがけない手違い等がある程度発生することは予め予期できました。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その内容を以下に再掲します。

先に、自治体にコロナ集団接種のノウハウがなくなっているとしましたが、このノウハウが急速に蓄積されて、これから幾何級数的に投与が増えていくと思います。そうなると、感染者数もおのずから減っていくはずです。

各自治体は、ワクチン投与の良い事例に関しては、積極的に他の自治体に知らせるべきです。そのようなシステムを構築すべきです。それが、ノウハウの蓄積に大いに役立つはずです。

政府は、ワクチンの供給はもとより、日本の自治体のワクチン大量摂取のノウハウを補うために、以下のようなサイトを作成しています。

ワクチン接種これいいね。自治体工夫集 
自治体でも、市町村あたりになると、感染症に縁のない人でも、ワクチン接種に関わる自治体関係者も大勢いると思います。ワクチン接種関係で何か疑問に感じたり、悩んだ場合は、まずはこのサイトをご覧いただくと良いと思います。すぐに解決策が見当たらなくても、質問先を見つけるなど、解決の緒になると思います。

そうして、最後に言いたいことは、政府によるワクチンの供給体制は十分です。これは、先日もこのブログにも掲載したように、予算を十二分にとったうえで、昨年の5月あたりから予定されていたものです。国民全員に2回ワクチンを接種しても、有り余るほどの、準備がなされています。そのため、ワクチンを接種したいと考えている人は、多少の遅れはあるかもしれませんが、必ず接種できます。だからこそ、日本は他国に対してワクチンの供給支援ができるのです。


そうして、先進国を見ていると、国民の5、6割はワクチン接種をするようで、それで十分です。6割がワクチンを打てば、集団免疫を獲得さているといわれてますし、それを下回っても5割くらいの人が接種を受ければ、いずれ比較的短期間で集団免疫は獲得できます。ワクチンを打たない自由はありますが、デマで人をだますのは厳に慎むべきです。

エビデンスに乏しいワクチン懐疑論は、そもそも流さないか、流すにしてもコロナが収束した後にするというのが、ものの道理というものです。

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2021年7月2日金曜日

先進諸国の大半で中国に否定的評価 米機関調査―【私の論評】自民は選挙直後に、まともな中国政策に転換し、補正予算を成立させ、有害な幹部を閣内から追い出せ(゚д゚)!

先進諸国の大半で中国に否定的評価 米機関調査


 日米など先進諸国で中国に対する否定的評価が最高水準にあることが米調査機関ピュー・リサーチセンターが実施した国際世論調査で明らかになった。

 同センターが2~5月に実施した先進17カ国・地域の成人約1万8900人を対象に実施した調査によると、15カ国・地域で過半数の人々が中国を「好ましくない」とみていた。

 特に否定的な評価が多かったのが日本で、88%が「好ましくない」と回答した。スウェーデン80%、オーストラリア78%、韓国77%。米国76%がこれに続いた。また、韓国と米国、カナダ(73%)、ドイツ(71%)では「好ましくない」がこれまでの調査で最高となった。

 中国を「好ましい」とする回答の方が多かったのは、シンガポールとギリシャだけだった。

 また、「中国は国民の自由を尊重していない」との回答は、17カ国中15カ国で80%を超えた。

 米中のどちらと強い経済関係を望むかについては、シンガポールを除く16カ国・地域が米国を選んだ。

 中国の習近平国家主席への信頼度は、シンガポール(70%)を除く16カ国・地域で10~36%の低水準だった。最低は日本で10%。

 中国との経済関係を犠牲にしてでも人権問題を重要視する回答が70%以上を占めたのは米国、オーストラリア、ニュージーランド。日本は54%、台湾は45%。一方「経済関係を優先する」との回答が上回ったのは韓国(57%)とシンガポール(55%)だった。

【私の論評】自民は選挙直後に、まともな中国政策に転換し、補正予算を成立させ、有害な幹部を閣内から追い出せ(゚д゚)!

ピュー・リサーチ・センターは各種調査・分析を手掛ける非営利組織で2004年に設立された。米ワシントンD.C.に本部があり、民間調査機関、世論調査機関、シンクタンクなどと呼ばれ、
世界を構成する問題、態度、トレンドを社会に伝える無党派のファクトタンク
を自任しています。

不偏不党を掲げ、その膨大なデータは保守系、リベラル系を問わず、内外のメディアに活用されています。時の政党や特定の宗派におもねることのない姿勢を貫いています。

その母体は、ピュー慈善トラスト(Pew Charitable Trusts)で、調査などのために年数百億円という巨費を用意しています。一方、この母体が海洋問題などで積極的に提言していることは、あまり知られていないかもしれないです。

上の記事にもあるピュー・リサーチ・センターの調査の一覧表を以下に掲載します。

多くの国において多数派の人が中国に対し否定的な意見を持っている、というピューリサーチの調査結果です。日本はここ10年、安定して中国嫌いが大多数、欧米ではここ数年で中国嫌いが急増していることがわかります。

このような状況にもかかわらず、日本の政治家は理解に苦しむ行動をとっています。

中国の共産党100周年に対して、祝賀を送っているですと?何を寝ぼけたことをしているのでしょうか。

河野洋平氏も送っています。立憲民主党の小沢氏も祝辞を送ったそうです。

こういう政治家たちは、国民の声など全く無視しているといえます。

民主党政権政権末期、野田佳彦首相は、自民党の安倍晋三総裁との党首討論で「どちらが政権を取っても、定数削減をやると約束できるか」と迫りました。安倍氏が「やりましょう」と応じて、衆院の解散が決まりましたた。大向こうをうならす場面として記憶に残る場面です。

しかし、一票の格差を是正する小幅の調整にとどまり、下野した野田氏が国会質問で「国民にうそをついた」と追及しましたが、安倍首相に「言うのは簡単だが、実行するのは簡単ではない」とかわされました。

民主党政権時代の2012年、衆院解散日を電撃表明し「名場面」を作った党首討論

大多数の国民が中国に否定的な見方をしているにもかかわらず、平然と中国に祝辞を送る政治家、さらにコロナ禍という国難で、国民に不要不急の外出自粛を求めているのに高級クラブに出入りする議員。

汚職や悪質な選挙違反もありました。こんな国会議員はいらないという事例をいやというほど見せつけられて、今さらながら議員の数を減らすべきだったと思ってしまいます。

ただ、政界も玉石混交で、寸暇を惜しんで勉強し、働く議員もいます。任期満了となる秋までに必ず衆院選挙があります。定数削減はできなくても、しっかりふるいにかけるべきです。

そうして、自民党もしっかりしていただきたいものです。

加藤勝信官房長官は2日午後の記者会見で、中国の習近平国家主席の国賓来日について、現在は具体的に検討する状況にはないとの考えを示しました。「現在は新型コロナウイルス対策に集中すべきときであり、具体的な日程調整をする段階にはない」と述べました。

現在コロナ禍だから「日程調整する段階にない」のではなく、「習近平国賓」など永遠に調整すべきではありません。史上最悪のジェノサイドの主犯を「陛下のお客様」として呼ぶようなことがあれば、日本人自らが拭い難い恥辱を歴史に刻むことになります。

自民党内でも幹部が共産党100周年に対して祝辞を送るなどのゆるいことをしているので、加藤官房長官のような発言になってしまうのでしょう。

自民党は、おそらく、無能な野党のおかげや数の力を知っているので、選挙戦では党内で一致して戦うでしょうから、秋の選挙で勝利はするとは思われます。

しかし、その後まともな中国対応や、経済政策を実施すべきです。特に財政政策、その中でもに補正予算の下支えが絶対必要です。現状では、消費や投資など景気を刺激する予算は、かき集めても5~6兆円程度です。

GDPギャップが大きい現状では、これでは明らかに経済的に力不足なので、補正予算を早めに策定して、最低でも30兆円、できれば40兆円規模くらいなければ、世界経済の中で失速することになります。

それに、無能どころか、害のある自民党幹部などは、閣内から追放すべきです。これら一連のことを選挙後すみやかに実施しなければ、次の選挙では惨敗することにもなりかねません。

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2021年7月1日木曜日

【日本の解き方】中国共産党100年の功罪と今後 経済世界2位に成長させたが…一党独裁では長期的に停滞へ―【私の論評】中国も、他の発展途上国と同じく中所得国の罠から抜け出せないワケ(゚д゚)!

【日本の解き方】中国共産党100年の功罪と今後 経済世界2位に成長させたが…一党独裁では長期的に停滞へ


 中国共産党は7月1日に創立100年の記念日を迎える。この間の同党の功罪はどのようなものがあるのか。そして習近平指導部の一党独裁は今後も続くのだろうか。

 これまで世界で共産党は110ほど結成されている。そのうち現存し、指導政党なのは中国、北朝鮮、キューバ、ラオス、ベトナムの5カ国で、そこでは一党独裁だ。そのほか現存するのは76、解散などで事実上現存しないのは29にのぼる。その中で、共産党(共産主義を掲げる政党)で国会に議席を有するものは、一党独裁の5カ国を含めて56カ国ある。

 世界初の共産党は、1912年1月に結党されたソビエト連邦共産党だ。同党はソ連崩壊とともに、91年12月に解散している。中国共産党の結党は21年7月であるが、それ以前に結党された共産党は世界17カ国にある。そのうち解散した国はソ連など6カ国、民主主義国の中で存在するのは11カ国(うち国会に議席を有するところは7カ国)。ちなみに、日本共産党の創立は22年7月であるので、中国共産党が100周年のときに、99周年となる。

 こうしてみると、中国共産党は長く存在し、今や一党独裁の指導政党になっているのだから、世界の共産党の中では希有(けう)な存在だ。

 中国は政治的には一党独裁であるが、経済面では「社会主義市場経済」と称して、78年以降部分的な開放政策を行い、国内総生産(GDP)は世界2位になっている。経済面で中国を経済大国にしたのは、紛れもなく中国共産党の功績といっていいだろう。

 問題はこれからだ。政治的な独裁は、自由で分権を基調とする資本主義経済とは長期的には相いれないのは、ノーベル経済学賞学者であるフリードマン氏が50年以上も前に『資本主義と自由』で喝破している。

 本コラムでは、そうしたフリードマン氏の主張は、独裁的な政治では民主国家にならず、ある一定以上の民主主義国にならないと1人当たりGDPは長期的には1万ドルを超えにくいという「中所得国の罠」という形で紹介してきた。

 1万ドルの壁を超えるためには、一部の産油国などを例外とすれば、一定の民主主義が必要だ。英エコノミスト誌が公表している民主主義指数でいえば、少なくとも香港と同程度の「6」以上だ。しかし、中国の民主主義指数は「2・3」程度しかない。これから、現在の中国は1万ドル程度だが、1万ドルを長期に超えることはできず最後は民主主義対非民主主義の覇権争いに負けるだろうと予測できる。

 要するに、中国が一党独裁を続けようとすると、中所得国の罠にはまり、長期的な成長はできなくなると筆者はにらんでいる。

 これは習指導部であってもなくても、中国が一党独裁を続ける限り妥当するだろう。

 併せてこの社会科学理論から予測できるのは、現在一党独裁のベトナムは、国有企業改革や資本自由化を含む環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加入したので、10年程度以内で政治的な一党独裁を放棄し、民主主義国に転換し資本主義経済に移行することだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中国も、他の発展途上国と同じく中所得国の罠から抜け出せないワケ(゚д゚)!

中国は、このままだと「中所得国の罠」に嵌るのは確実であり、今後経済が伸び悩むのは当然の帰結です。

このブロクでは、なぜ「中所得国の罠」が存在するかの背景について、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされないからだとしてきました。

これらが実施されないと、いわゆる「中間層」が成長することなく、たとえ政府が音頭をとって、大金を投入して何らかのイノベーションを行おうとしても、それは点のイノベーションに過ぎず、結局社会に非合理、非効率なことが温存されてしまい、そのため経済も社会も発展しないのです。




「民主化」「政治と経済の分離」「法治国家化」がある程度なされると、多くの中間層がでてくる余地がてできます。様々な地域や、様々な階層の人々の中に、自分の身近な社会の非合理や非効率を是正しようと試みる人がでてきます。

そういう試みを実行することにより、富を得ることができます。そうして、中間層は富裕層ほどではないものの、ある程度の富が得られることになります。

ここが重要なところです。現在の中国のように、富裕層と貧困層ばかりが多い社会においては、富裕層はそもそも社会の非合理、非効率を改革する動機などあまりありません。中には、いるかもしれませんが、それはほんの少数の変わりものです。さらには、何かを変えたいと思っても、そもそも富裕層なので単なるユートピアを夢見ることに終始しがちです。

貧困層に至っては、日々の生活を送ること、生きることに精一杯であり、そもそも社会の非合理や、非効率などには無関心にならざるを得ないです。中には、それを是正しようと試みるものもでるのですが、貧困がゆえに考えるだけに終わってしまうことになります。

これは、100年前の中国ではありません。現代中国です。

この状況が放置されると、社会には非効率と非合理が温存されたままとなり、経済発展もままならなくなります。これが「中所得国の罠」です。中世まではほとんどの国というか、地域がこの状況下にありました。

その壁を最初に破ったのは英国です。英国は他国に先駆けて、国民国家を形成し、国民国家を強くするために、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめました。

そうなるとどうなるかといえば、国家の中のあらゆる地域、あらゆる階層に、中間層が輩出することになります。それらが、自由な社会・経済活動を行うことになります。

富裕層から中間層が輩出するというのは、おかしな表現かもしれませんが、元々は富裕層だったもののうち、家督をつがないか、そもそも嫡子でないものが、中間層になり活発な社会経済活動を行うようになります。

そうして、国家の中のあらゆる地域や階層で、星の数ほどの中間層が、あるものは理想に燃えて、ある者は富を求めて、あるいは両方を求めて、爆発的なイノベーション(技術革新ではなく、社会を変革するのが真のイノベーションです)を行うことになるのです。これを促すのが、民主化であり、政治と経済の分離であり、法治国家化なのです。

そうして、社会が豊かになり、経済発展し、軍事力を強化して、英国は世界最初の海洋国となったのです。この状況をみて、自国も強い国にしたいと考えた現在の先進国というわれる国々もこれに追随したのです。

こう言うとイメージがわかないかもしれないので、以下に事例をあげます。これは、「ヒッポウォーターローラー」というものです。


このローラーは、一度に90リットルの水を運ぶことができます。地面を転がす仕組みになっており、ポリウレタン製のローラーは地面の凹凸に反発するデザインになっているため、90kgの水を運んでも体感としては10kg程度の重さにしか感じないといいます。頭上に載せていたポリバケツの4倍以上の水量であり、長ければ7人家族が1週間の生活を営むことができます。

これは、1991年、南アフリカのデザイナーのジョアン・ジョンカーとぺティ・ペッツァーが、これをデザインしました。

それまで南アフリカの女性や子どもが生活用水を運ぶ際に使っていたポリバケツは、約20リットルの水しか入りませんでした。それを頭や肩の上に載せて運ぶため、それ以上重くなると持ち運べなくなるからである。

場所によっては生活に必要な水量を確保するために、給水地と自宅を1日に3往復しなければならなりませんでした。時間を拘束するだけでなく、さらに、20kgの水を頭上に載せて歩くことによって背骨が圧迫され、子どもの健全な成育に支障が出ることも多かったのです。

このような状況を解消するには、富裕層の人間であれば、すぐに水道を導入するなどの方法を考えるでしょう。無論水道を導入すれば良いのでしょうが、たとえそれを実行したにしても、貧困層の人々には水道料を払うことができませんし、水道を完備するためには、かなりの年月を要することになります。

そうして、貧困にあえぐ人達は、何とか水くみの苦しみから逃れたいと思っても、日々生活していくのが精一杯であり、情報を得られることもなく、この苦しみを甘受するしかありません。

しかし、経済的に余裕があり、現地に密着した中間層ならば、「ヒッポウォーターローラー」のような道具を思いつく可能性は高いです。実際、南アフリカのデザイナーのジョアン・ジョンカーとぺティ・ペッツァーも中間層なのだと思います。

これによって、時間とエネルギーが節約されると同時に、背骨への負担を減らすことができました。女性や子どもたちは学んだり遊んだりする時間を手に入れました。実際、多くの集落において教育レベルや識字率が向上し、なかには女性起業家の数が増えた集落もあるといいます。まさに、新たな中間層の登場です。

ローラーの耐用年数は7年間で、販売価格は9,000円。発売された1991年以降、南アフリカ共和国を中心にアフリカ全土で3万2,000個以上のローラーが使われており、22万5,000人以上の生活を変えています。

このイノベーションにより、地域が以前よりは豊かになるはずです。豊かになった地域の中間層は、さらに次のイノベーションにとりかかり、次のイノベーションを生み出すでしょう。さらに豊かになった地域では、水道料が支払えるようになり、水道が導入されるようになるかもしれません。このような地域は、たとえ現在貧乏であっても、将来への希望が見え、明るい社会になります。

このように、「民主化」「政治と経済の分離」「法治国家化」が達成され維持されていれば、戦争や大規模な自然災害でもない限り、地域や階層を問わず、継続的なイノベーションが行われるようになり、いずれの地域であってもどの階層であっても、いずれ一定レベル以上のインフラを獲得できるようになるのです。そうして、豊かな社会となり経済的にも発展することになるのです。

それが、今日の先進国の姿です。しかし、そもそも、「民主化」さえされていない中国は、このようなことは起こり得ず、中国共産党が多額の投資をして、イノベーションを行ったにしても、それは点か、せいぜい線のイノベーションにしかなりえず、先進国にみられる、あるゆる地域、あらゆる階層にまで広がることはなく、継続もされず、その結果として「中進国の罠」から抜け出せなくなるのです。

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2021年6月30日水曜日

インド太平洋地域に英空母“打撃群”派遣 「クイーン・エリザベス」中心に新たな対中包囲網 「連携にためらう必要なし」石平氏―【私の論評】英空母打撃群による香港・マカオの奪還はあり得るシナリオ(゚д゚)!

インド太平洋地域に英空母“打撃群”派遣 「クイーン・エリザベス」中心に新たな対中包囲網 「連携にためらう必要なし」石平氏


 茂木敏充外相はイタリア南部マテーラで29日午後(日本時間同)、英国のドミニク・ラーブ外相と会談し、インド太平洋地域に同国海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とした空母打撃群が派遣されることを歓迎した。中国共産党政権の人権弾圧や軍事的覇権拡大が進むなか、民主主義陣営の結束を示した。


 日英外相会談は、対面で2年ぶりとなる20カ国・地域(G20)外相会合が同地で開催されることに合わせて行われた。

 茂木、ラーブ両氏は、中国を念頭に置いた緊密連携を確認し、インド太平洋地域における日英の安全保障協力を強化する考えで一致した。両氏は5月にも英国で戦略対話を行った。

 「クイーン・エリザベス」は、短距離離陸・垂直着陸が可能な最新鋭ステルス戦闘機「F35B」を搭載する。駆逐艦や潜水艦などを従えて、東アジア地域へ展開し、自衛隊や米軍と共同訓練を行う予定。

 茂木氏は28日、イタリア南部バーリで、オランダのシグリット・カーフ外務・貿易・開発協力相とも会談し、インド太平洋における連携強化で一致した。茂木氏は、英空母打撃群へのオランダ艦船参加や、オランダ独自の「インド太平洋ガイドライン」を歓迎した。


 さらに、茂木氏は29日、イタリアのルイジ・ディマイオ外相とも会談した。

 世界が注目するG20外相会合だが、中国の王毅国務委員兼外相は現地入りを見送った。中国共産党は7月1日、創建100周年を迎える。このタイミングでの民主主義国の結束をどう見るか。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国が独裁を賛美し、国威を発揚している時期だけに、日英などが連携を強化する意味は大きい。先の先進7カ国(G7)や、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議では、共同声明に『中国の脅威』が盛り込まれた。これらが象徴するように、民主主義国の連携は不可欠であり、ためらう必要は何もない」と指摘した。

【私の論評】英空母打撃群による香港・マカオの奪還はあり得るシナリオ(゚д゚)!

英下院は4月22日、中国新疆ウイグル自治区で進行中の弾圧をジェノサイド(集団殺害)と認定する決議を全会一致で可決しました。ウイグル族などのイスラム系少数民族に対する中国の行為については、既に米政府やカナダ、オランダの議会がジェノサイドと認定しています。

中国は新疆各地の施設にここ数年で最大200万人を収容したと批判されており、生存者は洗脳や拷問、レイプ、強制労働を含む広範な虐待の被害を訴えています。一方、中国政府はこのシステムについて、地域の治安確保に不可欠な職業訓練および脱過激化のプログラムだとして擁護してきました。

英下院はこの日の審議を経て、「新疆ウイグル自治区における大規模な人権侵害および人道に対する罪」を非難する拘束力のない決議を可決しました。

    中国政府はウイグル族などの少数民族を100万人近くを、新疆地区の
    収容所で拘束していると非難されている

中国共産党は英国を敵に回してしまったようです。世界でも敵にすべきではない国の筆頭は、実は英国です。英国単独では小さな国であっても、実際は英国は、英国連邦の中心です。しかも、英国はグローバル・ブリテンを目指すことを公にしています。

加・豪は連邦の一員ですから、中国共産党は世界を敵に回しているといっても良いです。英国は用意周到に間接的な戦争で敵国を弱体化させ、それから戦争をします。実は中国共産党はこれに耐えられるものではありません。

しかも、英国は一国二制度を反故にされ、香港から民主主義が奪われています。実は香港人保護を大義名分に、英国は英空母打撃群を用いた奪還作戦が可能です。中国共産党は強気に出ましたが、英国に正当性を与えています。次は英国の外交発言により、英国の出方がわかることになります。そのようなことはあり得ないという人もいますが、

2019年から2021年3月までの中国は強気でした。人民解放軍を使い大規模な軍事演習を世界に見せ付け、中国の存在感をみせつけました。人民解放軍の軍事演習は大規模で、渤海・黄海・東シナ海・南シナ海などの演習が連なり、さらに海岸部と内陸部の軍事演習が行われました。

この時期は、台湾への圧力が激化した時期と一致します。連日のように、人民解放軍機が台湾の国防線に接近。台湾空軍は連日スクランブルで対応。明らかに台湾が劣勢だたのですが、人民解放軍は未だ台湾侵攻しません。

それどころか、米国の台湾支援が強化されることになりました。中国は米国に対して、「米国軍機を台湾に入れたら開戦だ」と脅していました。ところが、米国は輸送機を台湾に入れてこれに応えています。にもかかわらず、中国は開戦しません。沈黙するだけであり、軍事演習で脅すこともしていません。

その後も米軍の動きは続き、駆逐艦を台湾海峡で通過させています。にもかかわらず、中国からの猛烈な抗議は無く、軍事演習による返答もありません。最近では米軍の動きだけが目立ち、人民解放軍の存在は低下しています。しかし香港では民主主義への弾圧を強化し、蘋果日報社は休刊に追い込まれています。

中国がつい最近まで人民解放軍を用いた軍事演習を国内外に喧伝していました。軍事演習の目的は、軍の練度向上と維持です。これは、敵が居ないだけであり実際の戦闘に近いものですから、指揮命令と物資消費は実戦そのものです。そのため、各国の軍隊は、定期的に軍事演習を行います。

軍事演習の裏の意味は、軍事を背景にした外交です。国際社会は軍事を背景に外交を行うのが基本であり、軍事力を見せつけて相手国を恫喝します。軍事力は覇権拡大と維持にもつかわれるのです。

ところが中国は、台湾侵攻を臭わせていますが、未だに実行しません。というより、できないのです。

欧米の軍なら、戦争に先立ち台湾の対岸に10万トン以上の物資を備蓄した基地を複数建設すします。備蓄基地が連なることで、はじめて戦場に物資を補給することが可能になります。ところが中国の海岸部には、台湾侵攻部隊を支援する備蓄基地は確認されていません。

ただし、中国は兵站を無視して人民解放軍を朝鮮戦争で使った過去が有ります。だから台湾侵攻の可能性は捨てきれませ。しかし、これを実行すれば2万人規模の師団単位を、使い捨てとして連続投入することになるでしょう。

人民解放軍の台湾侵攻をシミレートしていみると、人民解放軍の空軍による対地攻撃は週単位で減少していき、いずれ消滅します。その後は、台湾に上陸した人民解放軍だけの持久戦に移行することになるでしょう。

最終的にはゲリラ戦なるでしょう。さらに戦闘が続いた場合は、人民解放軍海軍の定期的な戦力投入。人民解放軍は、初期段階は数で圧倒できるでしょうが、長期化すると、補給が続かずゲリラ戦で挑むことになります。このやり方は生産力が著しく低く、敵に数で勝る場合に使われる方式です。

しかし人民解放軍の台湾侵攻は行われていません。これは、日々人民解放軍が消費する物資に対応できていない可能性が有ります。軍隊では、兵士一人は一ヶ月で食糧・水・弾薬など3トンの物資を必要とします。戦闘に備えるためには、膨大な備蓄も必要になるのです。

物資の流れは、生産・輸送・備蓄・補給ということになりますから、生産には将来のための備蓄と今の消費に対応する補給が同時進行で行われることになります。ところが、生産が低下すると、備蓄よりも補給が優先することになります。こうなれば、人民解放軍は容易には動けない状況になります。

さらに、このブログで日本の静寂性に優れた通常型潜水艦と米軍の攻撃力に優れた原潜が組めば、補給を絶つのは比較的簡単です。

現在の中国は、全域で電力不足になっています。これが事実ならば、人民解放軍を維持するための物資が欠乏している可能性が高いです。ミサイル・砲弾の生産には電気が必要ですし、精密機器のメンテナンスにも電気が必要です。

そうなると、人民解放軍は過去に備蓄した物資しか使えません。それに過去に大規模な軍事演習を行ったことで、本来必要な物資が無くなったはずです。これでは悪循環に陥っており、人民解放軍を使いたくても使えない事態に陥っている可能性があります。

中国は人民解放軍を用いた軍事演習による攻勢の外交を継続してきました。ところが、今では防勢に回っています。中国は香港の一国二制度を破棄し、民主主義を弾圧。その象徴として、蘋果日報社は休刊に追い込まれました。中国が国内への圧力を強化しているのは、人民解放軍が動けないことの裏返しの可能性が高いです。端的に言えば、大々的な軍事演習をやりたくてもできないので、国内向けのパフォーマンスをしているとも見えます。

外交で防勢なら、国内で攻勢に出て、これで中国の恐ろしさを国内外に喧伝するわけです。しかも香港の民主主義を弾圧できるから都合が良いです。

しかし、米軍はこれを見抜いている様で、台湾に輸送機を派遣し、台湾海峡で駆逐艦を航行させています。これは米軍が、人民解放軍は動けないことを見抜いたからでしょう。実際に人民解放軍の、軍事演習は、鳴りを潜めています。

台湾に派遣された米軍輸送機

無論、英国もこれを見抜いています。先に述べた、人民解放軍の物資不足で、動けない状況になっていることは、英国にとっては大きなチャンスです。このチャンスを逃してしまえば、中国は物資を大量に製造した後にチャンスが巡ってくるということになりますが、それにはかなり時間がかかることになります。

それどころか、中国も人民解放軍の兵站の重要性に目覚めて、米軍などのようにこれを充実されせるようになるかもしれません。そうなると、香港奪還は遠のくことになります。

英国が今がチャンスだとみれば、近いうちに英国が香港奪還の挙に出る可能性は十分にあります。そんなことをすれば、中国はミサイルを発射してとんでもないことになるという人もいるかもしれませんが、そうなると、英軍はもちろんのこと、米国、その他の国々にも中国に向けてミサイルを発射することを正当化することになります。

台湾にすら侵攻できない中国がそこまでやるでしょうか。三峡ダムを攻撃され、これが決壊すれば、国土の4割が水害に見舞われるともいわれていますし、核兵器を使わなくても、このような標的は中国国内の各地にあります。

英国空母打撃群が香港とマカオを奪取すれば、人権弾圧を受ける香港人を解放できます。さらに空港を使うことで、人民解放軍を南北に分断することが可能です。しかも内陸部の人民解放軍を空爆することも可能なので、奪取後の長期戦にも耐えられることになります。

そうして、クイーン・エリザベスは英空軍と米海兵隊に所属するF35B戦闘機計18機のほか、攻撃用ヘリや対潜哨戒ヘリなどを搭載。打撃群はこの空母を中心に45型駆逐艦2隻、23型対潜フリゲート艦2隻などで構成され、米軍の駆逐艦とオランダのフリゲート艦も参加している。全体の要員は3700人。英国の空母打撃群は、すでに米国とオランダの軍を含む混成軍なのです。

米英は人権を武器に戦争を行え、しかも中国を弱体化させることができます。戦後のアジアの安定を獲得し、しかも一帯一路構想で奪われた市場を取り戻すことも可能です。そのためのG7だっとしたら、中国はG7連合軍との戦争に怯えていることでしょう。シナリオとして、英空母打撃群の香港・マカオ奪還は十分ありえるのです。

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2021年6月29日火曜日

誰が五輪を「政治利用」するのか 一部野党は政府批判の材料に…日に日に現実離れする中止論 ―【私の論評】世界に先駆けて日本が「人類がコロナ禍に打ち勝てる可能性を世界に示す」 ことの意義は大きい(゚д゚)!

誰が五輪を「政治利用」するのか 一部野党は政府批判の材料に…日に日に現実離れする中止論 
高橋洋一 日本の解き方

白血病から復帰した池江璃花子選手

 政府の新型コロナ対策については「東京五輪ありきだ」「五輪を成功させてその後の選挙を有利にする狙いだ」といった批判もある。野党やメディアに対しては、政権批判を目的としたものも少なくないように思われるが、コロナ禍の五輪が「政治利用」されているのか。

 五輪憲章では、「五輪の競技会場などでいかなる種類の政治的、宗教的もしくは人種的な宣伝活動は認められない」と定められている。

 この趣旨からいえば、五輪の政治利用は好ましいことではない。自民党や公明党は、この規定を根拠として、都議選での公約に五輪関係を含めていない。

 一方、都民ファーストの会は「国が有観客での開催を強行する場合、『無観客』での開催を強く求める」、立憲民主党は「延期または中止」、共産党は「中止」をそれぞれ公約に入れている。

 都民ファーストは、小池百合子知事が特別顧問を務め、本来なら五輪を推進する側であるが、国に文句を言いたいので、「国が開催を強行」という意味不明な公約になっている。五輪開催都市契約では、主催者は国際オリンピック委員会(IOC)で、東京都はせいぜい会場管理責任者だが、国は契約当事者でもない。なので、そもそも国には開催権限がないのだ。

 立憲民主党や共産党は、すでに選手の受け入れが始まり、開幕が迫る五輪を止めろというのはあまりに選手らに失礼で、現実離れしている。これらの勢力こそ、五輪を政治利用しているといっていいのではないか。

 国政レベルでも一部野党は、政府・与党が五輪を政治利用していると決めつけている。そうしないと政府批判の迫力がなくなるからだと思われる。

 メディアで五輪批判が多かったのは、一部野党を応援していたからだろう。もっとも、メディアは五輪を報じざるを得ないので、そのうち手のひら返しになるのではないか。

 では、一部野党はなぜ五輪批判をするかといえば、もともと五輪反対の支持層が多いからだろう。政府は五輪を政治利用しにくいので、批判する側が有利という計算もあるはずだ。

 しかも、五輪以外で政府を批判できないからという理由もあるのではないだろうか。

 ワクチン接種については、一部野党の支持層に反ワクチン活動家が多いこともあり、当初は格好の批判材料だったが、国民の多くが接種を希望しているので言えなくなった。しかも、当初は接種が遅れ気味だったので批判もしやすかったが、ここにきて職域接種など接種の多様化を行った結果、予想以上のペースで進んでいるので攻めにくい。そこで、五輪批判なのだろう。

 もっとも、この戦略は五輪が近づくにつれて浮世離れするばかりなので、賢明とはいえないのではないか。7月4日投開票の都議選で、有権者の意向が分かってくるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】世界に先駆けて日本が「人類がコロナ禍に打ち勝てる可能性を世界に示す」 ことの意義は大きい(゚д゚)!

現在日本では、急ピッチでワクチン接種がすすんでいます。新型コロナウイルスワクチンの接種率が高まると、接種していない人たちへのウイルス感染も抑止されるとの分析結果を、イスラエルの研究チームが発表しました。免疫を持った人が増え、感染が広がりにくい状況になっているためとみられるといい、論文が米医学誌「ネイチャー・メディシン」に掲載されました。

昨年12月から米ファイザー社製のワクチン接種が始まったイスラエルでは、接種が世界最速ペースで進みました。現在は16歳以上が対象で、既に国民の60%超が1回以上の接種を受けています。

日常を取り戻しつつあるイスラエル

チームは、国内177地域の住民の接種率と検査陽性率を分析。その結果、子供との接触機会が多い16~50歳の接種率が20%程度に達すると、未接種の16歳未満の陽性率が、接種がほとんど進んでいない頃と比べてほぼ半減しました。接種率が20ポイント上がると、さらに陽性率は半減すると推定される。

ただ、免疫がない人にも感染が広まらなくなる「集団免疫」の獲得には、接種などで免疫を持った人が少なくとも60%程度必要と言われています。

日本では、1日百万回のワクチン接種が行われています。1日百万回というと、10日では一千万回、一月では3千万回です。4ヶ月では、1億2千万回です。これは、日本の人口に匹敵します。

もちろんこれは、一人一回ですから、二回接種することを考えると、この倍くらいは期間が必要という計算になります。

それにしても、この速度でワクチン接種をすすめれば、五輪開催時には現在よりかなりの人数になるのは確かです。接種率が高まると摂取していない人たちへのウイルス感染も抑制されることが予想されるわけですから、五輪からパラリンピックにかけての抑制が期待できるわけです。

そうして、この100万回に関しては識者の人でも不可能と語っていました。しかし、この認識は全くの間違いです。

安倍政権だった2020年5月、2次補正予算が成立したときにワクチンに関しては1300億円の補正予算がつけられました。その予算計上の積算においては、ワクチンはファイザー製を用いることが前提でしたから、冷凍施設が必要とされ、これを全国1万ヵ所に設置するという想定で積算したのです。

冷蔵庫を1万ヵ所設置することを前提とすると、そこで1日に100人打つというのは難しい数字ではありません。100人には3時間ほどで打ててしまいます。だから100万回というのは、別にとんでもない数字ではないのです。当時の安倍総理はおそらく、一日100万回はふかのうではないと思っていたと思います。 さらに、ワクチン供給に関しては、2021年3月のときにほぼ決まっていました。さらに菅総理が渡米したときに、ファイザー協議して本決まりになりました。このときに、6月末までに1億回分のワクチンが送られて来ることは決まっていたのです。そうなと、6月末には高齢者はそれで全員接種できるし、2回打っても余ってしまうのです。それはもうわかっていたことです。

一日100万回のワクチン接種は昨年の5月から予定されていた・・・・

1年前に話をもどしますと、契約上五輪開催の4ヵ月間前でないと延期できなくなり、開催するしかなくってしまいます。あのときのベストシナリオは、中止ではなくて延期でした。当時の安倍総理は延期を決断したのです。あとはそれに間に合わせるよう様々ななことを実施しました。ワクチンにかんすね事柄もそれに含まれます。 オリンピックの規定上、延期き難しかったのです。だから安倍総理が延期にかけたというのは1つの勝負だったのです。それとともにワクチンに関しても準備していたのです。それが菅政権に受け継がれ、現在予定通りに進んでいるのです。

こういうことが報道されないから、多くの人が「とんでもない数字だ」とか、「逆算で100万回と言ったのだろう」と言う人もいるのですが、そうではありません。これは、2020年5月から予定されていたことなのです。

だからこそ、先日のG7でも、東京五輪開催に賛成する声はあっても、反対する声はなかったのです。G7の首脳達が、様々な情報を持った上で、賛成しているのです。にもかかわらず、五輪開催をする必要はないと私は考えます。

東京五輪の開催が決まったのは2013年9月。選手たちは7年半前から東京五輪の舞台を目指して準備をしてきたのです。スポーツ選手のピークはさほど長くありません。しかも4年に一度しかない五輪です。今回が最後のチャンスとなる選手もいます。自分の素直な気持ちを発信できず、開催されることを祈りながら、黙々とトレーニングに励んでいる選手たちも多いに違いないです。

緊急事態宣言下でも必要に迫られて通勤電車に揺られて会社に向かう人も少なくないてす。それはコロナとの共存を図りながら、勤務先の企業や経済をまわしていくためでしょう。東京五輪でも「両立」するための手立てはあるはずです。

参考になるのは2月21日まで豪州メルボルンで行われたテニスの4大大会、全豪オープンです。新型コロナウイルス対策が徹底されたなかで全日程を無事に終えました。東京五輪とは大会の規模が異なりますが、開催に向けてのヒントになることがたくさんあり、大会関係者は大いに参考にすべきです。

この大会では、たとえばチャーター機で豪州入りした参加選手や関係者ら1016人に対して約2週間の隔離措置を義務付けました。隔離期間中はコートでの練習は許されましたが、時刻やパートナーを指定され、上限2時間という制限付きでした。

また、紙のチケットを全廃し、観客はスマホに表示した電子チケットのQRコードをゲートでかざして入場。売店での支払いはカード限定にするなど、「接触レス」を徹底しました。開催地ビクトリア州のロックダウン(都市封鎖)発令に伴い、大会期間の途中の5日間を無観客で開催、などのことが実施されました。

全豪オープンで優勝した大阪なおみ選手

いま日本国民にできることは何でしょうか。東京五輪の成功に向けて、一致団結することではないでしょうか。これは精神論ではありません。まず、国内の新規感染者をさらに減らすために、気を緩めずにマスク着用や3密・会食の回避を徹底するのです。ワクチン接種も可能な限りはやくするのです。テレワークを増やすのです。ひとりひとりが最善の感染対策を講じたうえで、ルールを決めて可能な限りの来日者を迎え入れる。それこそがコロナ禍における日本が世界誇る「おもてなし」の心の表現ともなるのではないでしょうかか。

主役となるアスリートたちが気持ちよく競技に向かえる雰囲気をつくり、温かい声援を送るのです。できない理由を並べるより、やれる可能性を探るべきなのです。

これは、コロナ禍で蔓延した“沈んだ空気”をスポーツの力で少しでも明るいものにする機会であり。人類がコロナ禍に打ち勝つ大きな可能性を世界に示す機会でもあるのです。
問題ではなく、機会に焦点を合わせることが必要である。もちろん問題を放っておくわけにはいかない。隠しておけというわけではない。しかし問題の処理では、いかにそれが重大なものであろうとも、成果がもたらされるわけではない。損害を防ぐだけである。成果は機会から生れる。(ドラッカー)

問題ではなく、機会に焦点を合わせるというなら、五輪も中止ではなく、 人類がコロナ禍に打ち勝つ大きな可能性を世界に示す機会に焦点をあてるべきです。

さらに、ドラッカー氏は以下のようなことも述べています。

問題に圧倒されて機会を見失うことがあってはならない。ほとんどの組織の月例報告が第一ページに問題を列挙している。しかし、第一ページには機会を列挙し、問題は第二ページとすべきである。よほどの大事件でも起こらないかぎり、問題を検討するのは、機会を分析しその利用の仕方を決めてからにすべきである。

五輪の危機ばかりを問題として、これの中止を叫ぶのは、五輪という機会を分析してその利用の仕方を決めてからにすべきなのです。私自身は、五輪には、あまり直接的な経済効果は期待していませんが、日本の「おもてなし」の文化を発信できる大きな機会にもなりえると思います。そうして、何よりも世界に先駆けて日本が「人類がコロナ禍に打ち勝てる大きな可能性を世界に示す」 ということの意義はとてつもなく大きいことだと思います。

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2021年6月28日月曜日

「バイデンは国を破壊した」:トランプがオハイオでの集会でバイデンと民主党を非難―【私の論評】米国共産主義の浸透はより深刻になりつつある、これを止められるのは誰か(゚д゚)!

「バイデンは国を破壊した」:トランプがオハイオでの集会でバイデンと民主党を非難

<引用元:デイリー・コーラー 2021.6.26
ドナルド・トランプ前大統領は6月26日夜、オハイオ州ウェリントンでの選挙運動形式の集会で現政権を非難した―ホワイトハウスを去ってから初めての集会だった。
何千人もの支持者を前に、トランプは南部国境の危機に対する対応、米国主要都市で顕著な犯罪増加、また意見が分かれる非科学的な「人種トレーニング」を連邦政府のあらゆるレベルで実施する包括的な大統領令に25日に署名したことについて、ジョー・バイデン大統領の政権を繰り返し追及した。 
バイデンを非難することに加え、トランプはカマラ・ハリス副大統領の南部国境訪問を批判し、彼女が訪問したのは自身が共和党テキサス州のグレッグ・アボット知事と地域を訪問すると発表したために過ぎないと主張した。
また前大統領は自身の政権での成果を強調しながら、ビッグテックにも批判を浴びせ―中でも―COVID-19研究所流出説を検閲したとされることを批判した。
集会はクリーブランドから南西に約40マイル離れたウェリントンの会場で午後7時に始まった。これに続いて今後、6月30日のアボット知事との米メキシコ国境訪問、7月3日のフロリダ州サラソータでの集会でも公の場に姿を現すことになっている。 
トランプが最後に公の場で集会を行ったのは、ジョージア州上院議員選挙前日の1月だった。25日のニュースマックスとのインタビューで、トランプは2024年大統領選の発表について「近い将来」に行う可能性があると述べた
【私の論評】米国共産主義の浸透はより深刻になりつつある、これを止められるのは誰か(゚д゚)!

かつて日本を第二次世界大戦で叩きのめした米国は、日本が二度と刃向かうことができないよう、日本人の精神にある種の毒素を注入しました。

その毒は、戦後70年以上が経過した今日においても社民党・吉田党首「九条は神様のプレゼント」(ナチス)ドイツ式敬礼でハイル九条状態にさせるほどの強力なものでした。

 社民党・吉田党首「九条は神様のプレゼント」(ナチス)ドイツ式敬礼でハイル九条状態
 ツイート 2014年12月01

その毒は、現在も学校教育等によって健全な子供たちに注がれ、マスメディアによっても日本全国にまかれ続けています。

しかし現在、日本に毒を盛った側の米国自身にも、それと同種の毒がまわり、のたうち回っています。

なぜこのようなことになったのでしょうか。 話は1920年代にさかのぼります。当時のソビエト連邦で成功した社会主義革命は、西欧には広がらりませんでした。マルクス主義者は、西欧で革命を成就させるには新しいマルクス主義が必要だと考え、敵は資本主義よりも、伝統文化であるとしました。

では、この伝統文化とは何を指しているのでしょうか。

米国は雑多な国で、地域差、人種・民族差、階層差がかなりあるので、これが米国的だと一括りにてきるものはあまりないような気もしますが、1960年代にロビン・ウィリアムスという社会学者が「米国社会・文化を支える価値観」を12個特定し、それにジェームス・ヘンズリンという社会学者が90年代に3つ加えました。ヘンズリン著の社会学原論の教科書の<文化>の章には、以下の15個が載っています。
1.(各個人が競争の末に)達成・成功(すること)
2.個人主義
3.活動・労働
4.能率・実用
5.科学技術
6.(常に)進歩・前進(し続けること)
7.物質的快適さの追求
8.人道主義・博愛主義
9.自由・解放
10.民主主義
11.(全ての人間に機会の)平等(が与えられること)
12.人種主義(個人対個人の人種差別よりはもっと体系的なもの)
ヘンズリンが加えたのは以下の3つです:
13.教育・学歴
14.宗教(ユダヤ=キリスト教的価値観)
15.(人類愛や家族愛と対比して)ロマンチックな愛・恋愛感情
マルクス主義者の戦略は、米国で革命を成就させるためには、これらを破壊するために、被差別意識を作り出す運動を起こし、それにより社会に亀裂を生じさせ、長い時間をかけて国家を崩壊へと向かわせる、というものでした。

そこで重要な働きをするのが「ポリティカル・コレクトネス」(ポリコレ)です。現在米国社会においては、深刻なポリコレが蔓延しています。日本だと冗談ではないかと思われるようなことが、まかり通っています。

ポリコレとは「性・民族・宗教などによる差別や偏見、またはそれに基づく社会制度・言語表現は是正すべきとする考え方」のことです。

米国においてポリコレは、1960年代の反ベトナム戦争の抗議活動の頃から目立つようになりました。

この程度であればまだしも、最近の米国のポリコレは理解しがたいものがある

弱者に対する差別や偏見を是正するのは、誰しも無条件に正義だと考えてしまいます。そのため米国の左派は、黒人、性的マイノリティー、女性といった「社会的弱者」を前面に出し、彼らの意図した通りの方向に社会を変化させていったのです。

左派たちは英語という言語すらつくり直そうとしています。英語の「He(彼)」と「She(彼女)」は、いまのアメリカでは性的な差別用語であると考えられているのです。左派はこれからの性別として、中立的な「Ze」を使うことを勧めています。


カリフォルニア州で結婚式を挙げる場合にも、式の最中に「夫と妻」という言葉を使うことは法律で禁止されています。性的に中立な意味である「配偶者と配偶者」を使わなければなりません。

なぜなら、「夫と妻」という言葉は、同性愛者の結婚に対して失礼に当たるからです。また、もしあなたが米国でビジネスを行っている場合、12月に「メリー・クリスマス」という看板を出すことは危険です。「あなたは、キリスト教の信者ではない人を差別している」と左派から裁判を起こされるかもしれないからです。

オハイオ州のオーバリンの大学では何人かの学生が、食堂で出している寿司とベトナム料理に反対していました。その学生たちの主張では、お米が正しく調理されておらず、文化的な配慮をもってその料理がつくられていないことが問題だというのです。米国はもはや自由に自分の主張を述べることができない国になっているのです。

そのような左派と右派の衝突も激しさを増しています。例えば、2017年、バージニア州シャーロッツビル市でアメリカ南北戦争の英雄ロバート・E・リー将軍の記念碑を撤去しようとする左派の提案に対し、右派が抗議する行進を行いました。

米国南北戦争の時代、特に南部のリーダーたちの多くは黒人の奴隷所有者でした。左派の望みは、南北戦争の記念碑を奴隷制の記念碑に取り換えることにあります。右派の行進は左派の社会主義労働党などから暴力的攻撃を受け、一人が亡くなり、多くの負傷者が出ました。こうした激しい暴力を伴う衝突が米国各地で発生しているのです。

そして、左派の中でも特に過激なのが、白人至上主義や人種差別に反対する反ファシズム運動を展開し、共産主義革命を掲げる「アンティファ」(Anti-Fascist Actionの略)です。実際、当時のトランプ大統領は昨年フロイド氏の事件への平和的な抗議活動が「アンティファ」の扇動によって暴動に発展したことを受けて「アンティファ」をテロ組織に認定しました。当時のバイデン氏は「アンティファ」を意見だとしました。

多くの人が暴動の背後には「アンティファ」の扇動があること考えています。実際そうなのでしょう。極左団体や「アンティファ」が目指すのは米国社会の分断であり、崩壊に他なりません。SNSに投稿された暴動の映像では、暴動が始まる前に黒い服装をした「アンティファ」の構成メンバーが街中にレンガを置いている様子が写っています。


また、暴動開始の直前、「アンティファ」の白人メンバーが黒人たちに何やら命令し立ち去る映像もあります。そして実際に警察と揉み合いになり逮捕されているのは黒人たちです。これが本当に黒人差別を訴えるデモ、暴動なのでしょうか。

米国では、大統領がトランプからバイデンに変わっても、状況は変わっていません。このまま極左の活動が活発化し、右派との暴力的対立が深刻化、激化していけば、バイデン大統領とて「戒厳令」を出す事態になることも考えられます。

そうなれば米国は本格的な「内戦」「内乱」状態に陥り、次の大統領選挙もどうなるか分からないかもしれません。日本もこうした分裂と崩壊に向かいつつある同盟国・アメリカの現実は無関係ではありません。激変する国際情勢に処していかなくてはなりません。

このような暴力は行きすぎた権利主張であっても、異議を唱えることは難しいです。彼らは、自分と異なる意見に対しては「差別だ! 」と大声をあげて黙らせてしまうからです。

姿を変えたマルクス主義は米国の教育、マスメディア、政治、そして社会に浸透し、大きな力を持つに至ったのです。

「メリークリスマス」はキリスト教信者以外の者に対する差別と言われ、結婚式では「夫と妻」ではなく「配偶者と配偶者」と呼ばねばならず、「風と共に去りぬ」が人種差別映画とされ、破壊が要求される記念碑の数は増え続け、些細な言動で人々が失職するようになりました。

このようなポリコレの暴走により、米国左派と右派の間で憎悪が増大し、すでに暴力を伴う左右の衝突が始まっています。

この状況は互いに銃を取って殺し合う、南北戦争以来の内戦にいずれ発展する可能性も大です。まさにマルクス主義者の目論見通りの結果になりつつあるのです。

残念ながら、現在の米国人の本音は、人種や党派性を問わず「会話は闘いである。ビジネスは戦争である。勝たなければ人生に価値がない」「騙されたら、騙された方が悪い」「相手をうまくごまかすのは、頭が良い証拠」というところかもしれません。

これが、社会主義者に利用されたという面はあるでしょう。これでは、以前もこのブログに述べたように、日本では経営学の大家といわれるドラッカーが、米国では忘れされているのも無理はありません。

マイノリテーを守る名目で国家を破壊していく偽善者の白人左翼、自分たちと違う者は徹底排除するキリスト教原理主義者の白人右翼、いまだ虐げられていると恨む黒人コミュニティー。

米国社会の奥底に渦巻く憎悪と我欲が、一触即発で米国を内戦へと引きずり込む可能性が増えてきました。

これは、おそらくもう手遅れかもしれません、内戦を避けることは不可能になりつつあります。

前回の大統領選挙では、誰がトランプ氏を支持したのでしょうか、それは、絶対優位が崩れ去り、自分たちの知る良き米国が失われていくことに危機感を抱いた米白人層でした。だからこそ、伝統的価値観を持つトランプ氏が大統領になったのです。そうして、昨年の選挙でもかなりの票を集めることができたのず。

これには、米白人層だけではなく、他の層でも、極端なポリコレを嫌う人たちも応援したことでしょう。こういう人たちは、未だにトランプを支持しています。

日本では、トランプ氏を狂ったピエロのように報道していますが、それは米国の大手メディアの報道をそのまま垂れ流しているからです。米国の大手メディアのうち大手新聞はすべてリベラルですし、大手テレビ局では、FOXTVを除いて他はすべてリベラルです。

日本の報道や、米国の報道は、米国の半分しか見ることができません。もう半分の保守派の声は、リベラルメデイアでかき消されてしまうのです。しかし、現代では大手メディアがすべてではありません。ネットなどでもう半分の声も知ることができます。

これまで、私達は、日本政治の不甲斐なさに絶望していましたが、それと同じ状況が米国にもあり、それは日を追うごとに酷くなっています。もうすでに、米国のほうが酷い状況になっているようです。

その原因は、先にも述べたようにロシア革命後のコミンテルン(共産主義)戦略の浸透によるもです。その浸透は、戦後70年以上を経て、米国で効果を表しつつあるのです。

米国と同じく、世論を誘導し、政治を操ってきた日本メディア、学者、政治家たちが共産主義に汚染され、日本を解体させる方向で動いているのです。現代社会の底流に流れる共産主義化への道は、是が非でも止めなければならないのです。

米国での共産主義の浸透はより深刻になりつつあります。これを止められるのは誰なのでしょうか。トランプ氏かもしれません。トランプ氏に限らず、伝統的価値観に立脚する、真の意味での保守派の出番だと思います。

ここでいう真の意味での保守派については、このブログの他の記事をご覧になってください。これには、多くの誤解があります。政治的にどのような立場だからとか、こういうことをいう、ああいうことを主張するのが、保守だ、左翼だ、リベラルだという言い方は浅薄です。これでは、ポリコレとあまり変わりありません。本当の保守派とはそのようなものではありません。


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