まとめ
- 全米の大学で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃を非難するデモが拡大している。
- デモはニューヨークのコロンビア大から始まり、ワシントンにも波及しており、バイデン大統領の支持基盤である若者の離反が懸念される。
- コロンビア大では、学生らが大学にイスラエル関連企業とのつながりを断つことなどを要求し、抗議活動が行われている。
- 全米の大学では、抗議活動に参加した数百人が拘束され、一部で授業中止や卒業式の主要式典の中止などの影響が出ている。
- バイデン大統領は、反ユダヤ主義的な活動を非難しつつも、イスラエルへの軍事支援とガザの人道状況改善の両立に苦慮している。
イェール大学学生の親パレスチナデモ |
全米の大学では、抗議に参加した数百人が拘束されるなどの影響が出ている。例えば、南カリフォルニア大学(ロサンゼルス市)では保安上の理由から卒業式の主要式典を中止し、エマーソン大学(ボストン市)では授業を取りやめるなどの措置が取られている。しかしながら、一部の抗議活動には反ユダヤ主義的な要素も混じっており、大学側は表現の自由と差別助長の阻止との間で難しい判断を迫られている。
さらに、抗議活動の影響は学内にとどまらず、ホワイトハウスから数ブロック西のジョージワシントン大学で、イスラエルへの対外支援法を成立させた政権に抗議する声も上がっている。バイデン大統領は、これらのデモについて「反ユダヤ主義の抗議活動を非難する。同時に、パレスチナ人の状況を理解しない人々も非難する」との立場を示しているが、イスラエルへの軍事支援とガザの人道状況改善の両立は容易ではなく、混乱収束に向けた妙案は見えていない。
- 米国での出来事は、日本が陥りかねない危険信号が現れており、これに目を向ける必要がある。
- かつての労働者階級の代表とされた「左翼」がエリート層の価値観に同化し、"ビバリーヒルズ左翼"と呼ばれる存在になりその支持基盤から離れている。
- アイデンティティ政治といわれる、個々のアイデンティティに基づく政治的主張が対立や分断を助長し、偏見や敵対心を増大させる恐れがある。
- 米国では難関とされる、カリフォルニア大学アーバイン校やコロンビア大学での抗議行動や反ユダヤ主義的な行動が報告されている。
- 日本でも米国と同様の兆候が見られ、伝統的な価値観や勤労精神を守り、エリート主義に囚われた考え方を排除する必要がある。
日本が陥りかねない危険信号 AI生成画 |
米国では、かつて労働者階級の代表として位置づけられていた「左翼」と呼ばれる勢力が、今やその本来の支持基盤から離れ、いわゆるエリート層の価値観に同化しつつあります。
この「ビバリーヒルズ左翼」は、裕福な環境で育った人々の集まりであり、勤労者の現実的な課題から目を背け、知的エリートの関心事にのみ熱心です。以前は労働組合の集会に参加していた彼らが、今やアイビーリーグの大学キャンパスに集まるようになりました。
このグループは、安全保障、国民の食の確保や雇用創出などの現実的な問題よりも、リベラルな価値観の推進やアイデンティティ政治に熱心です。彼らが関心を寄せるのは、移民問題やLGBT、マイノリティの権利など、アイデンティティに関する課題が多いです。
ビバリーヒルズ青春白書 |
最近の一部の名門大学での反イスラエルデモの過激化は、まさにこの「ビバリーヒルズ左翼」の影響が学生運動に及んでいる例です。デモは時に反ユダヤ的な言動に走り、大学側を危機に追いやっています。特に優秀な学生ほど、反ユダヤ主義的なプロパガンダに洗脳されやすい傾向にあると指摘されています。
米国で有名校とされる、カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)では、イスラエル関連のイベントに対する抗議行動や反ユダヤ主義的な行動が報告されています。
同じく有名校とされるコロンビア大学(Columbia University)でも、イスラエル関連の講演会やイベントに対する抗議行動や妨害が発生し、反ユダヤ主義的な言動が報告されています。
反イスラエルの姿勢が問題なのは、それが極端な反ユダヤ主義につながる危険性があるからです。イスラエルに対する批判が一線を越えれば、ユダヤ人への差別的な言動や憎悪犯罪に直結します。これは絶対に許されません。
このような状況に対して、大学側は厳しい対応を迫られています。大学は多様な価値観を受け入れる場であると同時に、学生に安全な環境を提供する責任があります。反ユダヤ的な言動は構内の治安を脅かし、大学の中立性や知的開放性を損なうおそれがあります。そのため、大学はデモの過激化を放置することはできません。
アイデンティティ政治への過度の焦点は、米国民の分断と対立を助長します。"ビバリーヒルズ左翼"は、米国民を"違い"で定義し、"被害者"意識を植え付けようとしています。
アイデンティティ政治の負の側面は、しばしば社会の対立や分断を深め、個々のアイデンティティに基づいた偏見や敵対心を助長することです。
例えば、アイデンティティ政治が進むと、特定のアイデンティティグループが自らの権利や利益を強調し、他のグループとの摩擦が生じます。これにより、社会全体が対立状態に陥り、対話や協力が阻害される可能性があります。
また、アイデンティティ政治はしばしば単純化や過剰な一般化を招きます。特定のアイデンティティに基づいて個人やグループをラベリングし、その属性に応じて全ての行動や意見を決定付けようとする傾向があります。これにより、個々の多様性や複雑さが無視され、個人の自由や多様性が制限されるおそれがあります。
さらに、アイデンティティ政治はしばしば感情的な反応や怒りを引き起こし、合理的な討論や協力を難しくします。このような感情的な偏見や敵対心は、社会の結束や共存を脅かす要因となります。
アイデンティティ政治が過度に強調されると、社会は分断され、対立が激化する可能性があります。その結果、個々のアイデンティティが優先されることで、全体の共通の利益や社会の結束が犠牲にされるおそれがあります。
ビバリーヒルズ左翼はアイデンティ政治等のリベラルな理想論に惑わされ、現実から遠ざかった考えに走っています。多くの国民が直面する生活の困難や雇用の不安を見過ごしているのが現状です。"進歩"を掲げながらも、彼らの本当の狙いは、エリート主義的な価値観を押し付けることにあるかもしれません。
滑稽なアイデンティティ政治 AI生成画 |
残念ながら、日本でも同様の兆候が見られます。いわゆる「リベラル」と呼ばれる一部の層が、多くの国民の実態から遊離した理想論や表面的な正義を追求しています。例えば、最近の「LGBT理解増進法」成立をめぐっては、自民党内の保守派からも国民の生活への影響を十分に考慮せずに急いで成立させたとの批判がありました。
安倍政権は例外的であり、1990年代以降の自民党はリベラル政党とみなすことができます。自民党は結党時の保守的な価値観に立ち返り、国民の生活を最優先に考える政党に再びなるべきです。
このままでは、米国と同じ道を歩むことになりかねません。日本の伝統的な価値観、すなわち勤労を尊重し、個人の自立を重視し、国民全員が平等に自由に恵まれる社会を大切にしなければなりません。
私たち日本人は、祖先から受け継いできた誇り高い文化や価値観を決して忘れてはいけません。自由という尊い価値は、努力と責任を尊重することなくしては守られません。これを守り、次世代に継承することが、私たちの責務です。
エリート主義にとらわれた考え方が、日本に蔓延することを許してはいけません。日本の伝統的な勤労精神と自立の志こそが、国の繁栄につながる道です。